2020/07/11 のログ
ご案内:「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室 階下」に城戸 良式さんが現れました。
■城戸 良式 > 「………」
『それ』は、雨すら泥水と化すそんな地域に静かに落下してきた。
水風船が重い水分を周りにまき散らすような音を立てたのだけが、
周りの岸壁に反響して不快感だけを胸に残していく。
――そこに居合わせたのは偶然だ。
どちらの仕事の途中でもなく、城戸良式ですらなく、
誰でもないただの一般人として、その音だけを聞いた。
音の出所に向かって歩くと、そこには少しの人だかりが出来ていて、
そいつらはまるで四足歩行の動物のように、
『それ』に群がっていた。
――その様子を俺は、
砂糖菓子に集る、黒蟻のようだと思った。
■城戸 良式 > 人間なんてものは、どこでだって蛆のように湧いてきては、
虫のように集り、害虫のようにそこに住み着くものだ。
ここにだってそういう人間はいるというだけのことだ。
およそ、市街地の人間からすれば人が住むような環境にない、
部室群の鍋の底のここにも、人は住みついている。
そいつらは、『それ』を――死骸を漁っている。
乱雑に、だが奪い合うような緩慢さもなく、
奪うべきものへの期待などなく、まるで本当に蟲が集るように、
そこで落ちてきた『救援物資』の袖を、裾を、懐を漁っていく。
手馴れたものだ。
実際、手馴れているのだろう。
喉の奥に湧いた反吐を飲み込み、その人だかりに近づく。
■城戸 良式 > 人だかりは、集ったときと全く同じ速度で散っていく。
拾うべき幸運には、降ってわいた僥倖には、やはりそれほどの価値はなかったのだろう。
奥歯に金色に光るものがないかどうかまで調べられた誰かの死骸は、
食いつくされた野生動物のように荒れていた。
横目で、恨めしそうな目で見られながら、散っていく人とすれ違い、死骸に近づく。
名前は憶えていない。
だが、その顔には見覚えがあった。
確か、違反部活の何某かという存在だ。
風紀と公安が先月合同で作戦を行い、二度取り逃していた。
恐らく、だとするなら勇敢で傲慢な誰かが今になって
その盤面に緩慢な王手を掛けたのだろう。
随分と腕がいい相手だったのか、胸元の一撃によって既に絶命をしていた。
ああ、そうか。
思い出した。確かその部活には、平和と名がついていたはずだ。
■城戸 良式 > 「………」
恐らく。
その生死の確認にもうすぐ風紀委員か公安委員か。或いは裏切りの黒か。
――どれでも構わないが、この悪に終止符を打った者が現れるだろう。
常世島はとかく『悪』が生きづらい島になった。
何にせよ、ここに居て誰に顔を見られても厄介だ。
すぐに立ち去るべきなんだろうが、俺はその死骸から目を離せずに居た。
「………」
何も言わず、死骸の半開きになった目を閉じる。
名前も知らない誰かに行うにはセンチメンタルな行為だったが、
罰当たりと嗤われるならばそれも本望だ。
きっとこの悪は『正義』を育て、その正義はまた別の『悪』を育む。
そうして循環する螺旋の中で、俺も、こいつを罰した誰かも生きて、
生きて生きて生きて苦しむしかない。
■城戸 良式 > 相手の、物言わぬ躯の耳元に口を寄せる。
「……何一つ、無駄じゃない。
お前の命も、行いも、人生も、苦悩も、愁嘆も、絶望も。
何一つこの島で無駄な物などない。
それらが全て、俺たち『存在しない悪』の萌芽となる。
律されない悪意こそが、この島での最も強い悪意となる。
だから――お前の無念も、俺たちが連れていく」
カチャリと。
懐で、薬同士が触れあってガラスの音を立てた。
耳元から口を離して、膝をついて立ち上がり、
口元を拭った。黒いコートを少しだけ正し、
地底から静かに空を見上げる。
「……人の『悪意』を余り舐めてくれるなっての。
腐れ散る土の上にこそ、大花が咲く世の中でもあるからさ。
なあ、この島の『正義の味方』たち」
一つ、重くなった懐を隠し逃げるようにして、
男は闇の中に再び消えていった。
ご案内:「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室 階下」から城戸 良式さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にテさんが現れました。
■テ > シャラシャラと小さな音を立てて飛び回る妖精。
機械について知ろうと街を放浪していたら、
いつのまにかこんなところに来ていた。
「……ここは?」
前に見た学生通りで見た地図には、歓楽区と記されていたと記憶している。
実際、少し後ろでは若い人間が多数いて、騒々しい雰囲気だった。
急に人通りが減ったのに気付いて、周囲を見回す。
左右を見れば応急処置が目立つ継ぎ接ぎだらけの建物。
下を見れば道の舗装の質がぜんぜん違う。
元いた世界にも、治安の悪い場所はあった。
だから、すぐにここが"そういう場所"だと分かった。
■テ > この島に来たときに、生活委員に案内をしてもらったが、
このような場所の情報など無かった。
それもそうだろう、公的な案内で、"闇"に触れるはずもない。
「つまり、ここがこの島のゴミ溜めか。
綺麗すぎると思ったんだよなー」
一人で納得して、その場でくるくると飛び回る。
となれば、ここに居るの不法な存在、あるいは人として扱われてないものか。
もしくは、それを食い物にしている連中か。
野放しにされているということは、それで回ってるシステムがあるのだろう。
元いた世界でもそうだった。隔離区に居る連中は、野生の動物のような扱いをされていた。
■テ > 路地裏から男が出てきて、睨むように妖精を見る。
それに気付いて、睨みを返す。
「……何?なんか用?」
男はバットのような棒で手のひらを叩く。
「いやぁハエがうるせえなと思ってねェ。虫退治に来たんだわ」
あぁ、そういう。
「それは失礼したね。おねむの邪魔しちゃったかな?
帰るから許してもらえない?」
めんどくさいな。見逃してもらえないかな、見逃してやりたいから。
「あぁ?ハイそうですかって言うと思ったか?」
はい、そうですね。
■テ > 「帰りたきゃなんか置いていきな」
そうきたか。殴らせろ、じゃないんだな。
「残念ながら"ここ"で価値のあるものは持っていないね」
"魔法の薬"ならストックがあるけど、そんな物をばらまいたら私が捕まってしまう。
「そうか。じゃあ身体で払えよ。珍しいんだから売れる先ぐらいあるだろ」
まぁ、そうくるよね。
「それは困るな、身体は1つしかないんだ」
別に保険は掛けてるけど。
「じゃあ、仕方ねェ、虫退治といこうか。
手加減できねえから死んでも恨むなよ?」
困ったな。手加減できる自信がない。
……人殺しはマイナスに働いてしまう。誰か助けてくれないかな。
■テ > 男が棒を振りかぶる。それが妖精に当たることはない。
「っと、危ないなぁ」
遅い。ケンカ慣れはしてるようだけど、素人っぽい。
「ちっ。ハエたたきがありゃなぁ」
ハエたたき。そういう道具もあるのか。
こんなゴミにまで疎ましがられるハエというものに同情を禁じえない。
なおも男は振りかぶる。当然それは妖精には届かない。
「うーん、時間稼ぎでいくか」
反撃したらおそらく過剰防衛になってしまう。
相手が疲れて諦めるか、誰かが介入してくれるのを待とう。
風紀委員、だっけか。衛兵みたいな存在が居るらしいし。
ご案内:「落第街大通り」に持流 童男(さんが現れました。
■持流 童男( > 突然轟音が響く
空から何かが降ってきた。
「もう大丈夫、なぜかって?」
「某が来た!!!」
と快活に言いながらも、そして元気よく、もう大丈夫と言って異形が降ってきた。その異形は見るものに勇気を与えるような
「風紀委員だ!!お主を、叱りに来た!!!!」
とテさんと男の間に立とうとする。
■テ > 5回目の攻撃をひらりと避けると。
何かが降ってきた。
何?人間……?異世界の人?
状況は飲み込めないが、彼は風紀委員だという。
じゃあ任せればいいか。
「あ、風紀の人?この人難癖つけてきたんだけど」
そう言って後ろに下がる。
そのまま帰ってもいいんだけど、まぁ風紀の人に失礼だよね。
「げぇっ!風紀!なんでこんな所に!?」
男はと言うと、風紀委員という名乗りだけでビビっているようだ。
■持流 童男( > 「何があったか、なぜ難癖をつけたか。聴いてもいいでござるか?」
とテさんと男に対して、異形が、腕を組みつつも優しい口調で聞きつつ。
「なぜこんなところにだって?それは勿論・・・パトロールでござる!」
「安心するでござるよ。何もしなければ、何もしないでござる。ただお主が悪かった場合は、お主を風紀委員に連れていくでござるよ。」
と快活にいいつつ、しかし真摯に男に対して言いつつも話を聞く姿勢に入る。
■テ > 「ああ、そうだ。そいつがここをゴミ溜めって言いやがった」
男は言う。
「……」
妖精はそれを肯定こそしないが、否定できない。
嘘をつくとマイナスに働いてしまう。
「この人、私をハエ呼ばわりした」
別の罪状で攻めるしか無い。
■持流 童男( > 「・・・・・」
少し考えてから。
少しだけニコッとして
「男殿、はここが大切だったからこそ、怒って、妖精殿は、その暴言でおこってしまったのでござるな。」
「だが、男殿はやりすぎでござるし、妖精殿も言いすぎたでござるよ。」
だからと言いつつ、
男さんと妖精さんに対して、柔和に笑いつつも
「お互いに悪いでござるよ、互いに謝るでござる。それに某の登場で、少しだけ冷静になってきたでござろ?」
言いつつも、どこかいい笑顔で言いつつ。
■テ > 「失礼した、とは行ったけどそれじゃだめ?
ま、いいか。ごめんなさいね」
妖精は先に謝る。そのほうが有利だから。
「ちっ……悪かったよ。次は気を付けてくれ」
男も仕方なく折れる。
得体のしれない自称風紀委員の異形とやりあうわけにもいかない。
「もう帰ってもいいか?」
男は棒を下ろして、異形に聞く。
■持流 童男( > 「うむ、いいでござるよ。よく謝れたでござる。」
優しく力強く言いつつも気をつけて帰るでござるよと言いつつ
「そして妖精殿もよく謝れたでござる。謝るっていうのはなかなか難しいでござるからな。」
しっかりと力強く言いつつも、優しい目で見つつ
■テ > 「ちっ……ハズレくじだな……」
男は棒を引きずって帰っていった。
「謝れば済む。謝るのは難しい。……人間らしいね」
どうということはないとでも言いたげに。
謝れば許してもらえる、という価値観はよくわからないが、
人間はそれで水に流すことが有る、という知識に従って謝ったまで。
「まぁ、助かったよ風紀委員さん。あなた人間?」
■持流 童男( > 「おお、そうでござる。」
ベルトを外しつつ変身を解除する、光がベルトに吸われていき
そして中から、大男が現れた
「某は、持流 童男、胸を晴れるヒーローを目指しているものでござる」
なかからは一昔前のオタクのファッションをした大男が名乗りを上げる。
「お主の名前は?妖精殿?」
温厚に言いながらも、
■テ > 「へぇ、変身。魔術……あるいは異能?」
くるくると相手の周囲を回る。
シャラシャラという音が聞こえるかも知れない。
「ヒーローねぇ……、あ、私は"テ"だよ。テ。1文字」
男のファッションはよくわからない。
妖精からすれば、この男に限らず皆が不思議な格好だ。
■持流 童男( > 「ベルトの力でござるな」
と笑いながら言いつつも、不思議そうに見て
「テ・・・なるほど・・・。テッさん!分かったでござるよ!テッさん!」
と言いつつテさんを見つつ。
今回はなぜかキョドらない。
■テ > 「魔道具かなにかかな……ま、いいか」
まぁ深入りは止しておこう。
制御できてるとは言え、異形化する道具など碌なものじゃないだろうから。
「テッさん……ま、なんでもいいや、よろしく、持流さん」
変な呼び方をするな……とは思ったが、まぁ気にしない。
「あ、そうだ。困ってること有るんだけど。
機械に詳しい所知らない?探してたらここまで来ちゃったんだけど」
■持流 童男( > 「お、いいでござるよ。テッさん」
ニット笑いつつ
「機械なら、委員会街に行くといいかも知れぬでござるよ。」
「一緒に行くでござるか?ただ某も何分異世界人で、慣れたでござるが少し疎くて、まぁ大丈夫でござるよ!」
マップをスマホで表示しつつ快活に言いつつも
■テ > 「あぁ、新人さんなんだ。
じゃあ、その委員会街までたのんでもいい?あとは自分で探してみる。
あなたも忙しいでしょ?」
その場でくるくる回る。
■持流 童男( > 「おう!勿論でござる!!それならば行こうでござるよ!テッさん!」
応じつつもその場でくるくる回っている。テさんを見つつ
「綺麗でござるなぁ」
と見つつも案内しよう
ご案内:「落第街大通り」から持流 童男(さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からテさんが去りました。
ご案内:「落第街」にマトロアさんが現れました。
■マトロア > オンボロな第二アジト(勝手に名乗っているだけの廃墟の一室)で、
キセルを手にしたライダースーツの女。
カラスを模したマスクを付けており、素顔はわからない。
風の噂で、今日は風紀と公安の懇親会あると聞いた。
当然参加する予定はない。のだが。
そちらに人手が向けられる、ということは。つまり。
絶好の活動のチャンス。
いつもどおり、頭の弱いやつを騙して、借金を負わせて……と思っていたのに。
グランブルもエスケイプも連絡が取れない。
「あーもう、なんばしよっとかね……」
■マトロア > 「意識低かねえ……はぁ」
マトロア(※正しくはマトロナ)はやる気なのに、
違反部活『トライアド・クロウ』はメンバー無しには稼働出来ない。
グランブルがいないとあのヘンテコだが凄い発明の説明が出来ないし、
エスケイプがいないとボッタクリな値段を振っかっけた時に脅す役がいない。
いや、グランブルは単体でも全然活動できるのだが。発明品で一人でオチが付く。
なんでこんな違反部活に居るんだ?
■マトロア > まぁ付いてきてくれるのは悪い気はしない。顔はいいし。
顔もいいし技術力もあるんだけどな。
『トライアド・クロウ』に置いてマトロア(※正しくはマトロナ)の役は、ただの象徴である。
色仕掛けも出来なくはないけど、私処女だし、そういうのはちょっと……。
ともかく、それについて来てくれる二人、という構図で成り立っている。
というわけなので、指揮官だけ居ても部隊は動かないのだ。
破れてバネが飛び出しているソファーに座っている。
やれやれ、とい言いたげに、煙をくゆらせる。
■マトロア > なにやら違反部活や二級学生に声をかけて
風紀に引き上げる活動を行っている、という噂も聞いた。
もちろん聞くつもりはない。自分二級学生じゃないし。一応一般学生だし。
他の二人も聞かないと信じている。
彼らは迷いもせず、ひるまないと信じている。
チームメイトを信じている。彼らも私を信じている。
「どげんしようかねぇ……」
一人でいても動けない。もどかしい。
ヘンンテコ発明品の一つでも借りておくべきだった。
■マトロア > 「だー、もう、ばかちん!私帰る!」
むしゃくしゃして、両手を振り上げた。
その拍子に、キセルの火種がソファーに……
……
落第街の廃墟の一室でボヤ騒ぎが起きたという。
火元はタバコの不始末らしい。
黒焦げでボサボサヘアーの女性が逃げるように去っていったという噂が残った。
ご案内:「落第街」からマトロアさんが去りました。