2020/08/19 のログ
ご案内:「落第街大通り」に城戸 良式さんが現れました。
城戸 良式 > 落第街の大通り。
日も傾き始めて人通りも疎らなそこに、一つの小汚い布切れが落ちている。
いや、正確にはその小汚い布切れは何かを包む役割のためにそこにある。

布に包まれて、一人の少女が倒れている。
薄汚れた身体は、少女の体裁も、もしかしたら人間の体裁も保っていないほどの姿で、
うずくまった背中が辛うじて上下していることから、生きていることは分かる。
最後に噂を聞いたのが二日前だったので、もしかしたら、とは思っていたが、
運があったのかなかったのか、少女はまだ息を繋いでいたらしい。

人通りは疎らだ。
だがないわけではない。
そんな中、一人の少女の命が潰えようとしていた。
落第街では少女は生きられず、落第街でしか少女が生きられないことを理由として。

城戸 良式 > 数日前、一つの集落が解体になった。
そこ一帯を形だけ治めていた教会が経営破綻とも言えないような解散を起こし、
そのおこぼれに預かっていた者たちが路頭に迷った。
これ自体はそう珍しいことでもない。
集落が解体になれば落第街では別の集落に身を寄せるか、
己の身一つを守ることに専念すればなんとか暮らしていけるだけの口はある。

ただ、少女は幼すぎた。
身寄りのないその少女は幼いときからその協会の庇護下にあり、
他で生きる術を持たない少女だった。
そして同時に誰かに取り入る浅ましさもなければ、誰かにすがれる賢さも持っていなかった。
誰も好き好んで少女を一人抱え込む者はここにはいない。
学生として登録のない、人以下の存在を救おうとする奇特なやつはいなかった。
同時に彼女にとっては幸運なことだが、その体を商品として売りさばこうとする、
"肉屋"などがいなかったことは彼女の命を今日まで永らえさせていた。

栄養の足りていない痩せた身体は男を萎えさせ、
細い手足は食卓に乗ったり手術台に乗るにはあまりに軽すぎたのだろう。
その枯れ木のような少女が横たわる正面に屈みこみ、その体に触れる。

城戸 良式 > 少しだけ、反応があった。
鳶色の充血した両目が前髪の隙間から開き、見上げてくる。
或いは、その両目の色がもう少し奇麗だったなら、好事家が一生を保証してくれたかもしれない。
でもそこまでの幸運は齎されず、俺たちは持たないまま産まれてきてしまった。
俺は小さく笑うと懐からパンを一つ取り出し、相手の視界に収める。

少女の手が伸びる。
まだ、体を動かせる状態なのは僅かだが驚いた。
俺は、すいと手を動かして、パンを少女の手から逃がした。

少女の手がパンを追う。
水を飲んでいないのか張り付いた喉が掠れた音を出した。
何を言っているか聞き取れないが、聞き取らなくても伝わってくる。
それはパンを欲しがる懇願で、助けてほしいという救難信号だ。

「………」

少女の手がパンを追い、俺の手が逃げる。
しばらくそれを繰り返すと、少女は身体から絞り出すように涙をこぼし、
うずくまった姿勢のまま丸くなってすすり泣き始めた。

城戸 良式 > 「泣くなよ。
 泣いたら誰か助けてくれるのか。
 可哀そうなら誰かが許してくれるのか」

感情を乗せず呟くと、
少女の身体がびくりと恐怖に震えた。
薄汚い布で自分の身を隠すように丸まり、信じられないものを見る目でこちらを見てくる。
白面を外し、懐に入れ、その目を真っ向から見返す。
懐に入れた右手で自分の胸を探り、脇腹に挿していたナイフを取り出す。

それを、少女の目の前に投げる。
金属音と共に鞘のない刃物がカラカラと回りながら地面を滑った。
夕闇にもなお映える銀色の刃が、少女の涙に濡れた赤い目を映す。
俺は重ねて少女に言う。

「奪ってみろよ」

城戸 良式 > 少女は拒絶を示す。首を振り、地面にへたり込んだ。
うずくまり、世界を拒絶し、さっきまでパンを追っていた手で地面を掴んでいる。
嗚咽は掠れた声をさらに掠らせ、悲壮感に加えて哀れさすら感じさせる。
生きるには弱すぎる生き物が、誰かの庇護を求めて震えていた。

「そうしていて、誰かが手を差し伸べてくれたか。
 優しい誰かが寝床を用意して、パンを恵んでくれたか。
 可哀そうで、哀れで、助けてやりたくなって、そういうのは、
 ここの外側の話だ。内側で生きるお前にはわかるだろう。
 というより、今こそ痛いほどわかっているだろ。
 誰も助けちゃくれない、誰も恵んじゃくれない。
 他人の優しさを期待して、何かの幸運を期待して蹲っているくらいなら、
 剣を取って、自分に理不尽を突き付けてくる相手の喉元に突き刺してみろよ。
 泣くな。お前の身体の水分が惜しい。
 可哀そうな姿を見ると、俺たちみたいな人間は、お前の脇腹を蹴り飛ばしてやりたくなる。
 それで苦しむお前の姿を見て、指をさして笑いたくなるんだ。
 そんなやつらに、こうやって生殺与奪を握られてなお、そうやって蹲っていて何になる」

ナイフを砂埃と共に蹴飛ばす。
少女の身体に凶器がぶつかり、少女は反射的に悲鳴を上げた。
次に蹴飛ばされるのが何かを本能的に理解して、その目に恐慌を帯びた。

ご案内:「落第街大通り」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 通りすがりに歓楽街に帰ろうと
悲鳴を聞いてみれば何やら白面の男が、居た
うずくまっている弱っている少女に、
ナイフを飛ばしているのを見て
思わず「やめろお!!!!」

と言って、慌てて少女の前に立とうとする。
「何やってるんだ!!!」
といって白面の男を見る

城戸 良式 > 少女の前に躍り出る男がいた。
俺は白面を被りながらつつ距離を置いた。
男の後ろで少女が怯えの表情で震えているのが見える。

「何って……。
 見た通りのことだよ。
 弱い物イジメ以外の何かに見えるか? 正義の味方」

相手の素性は分からない、が、弱っている少女の前に立ちはだかるなら、
きっとそれは"正義の味方"だ。揶揄するように言って小さく笑った。

持流 童男 > 少女に振り返ってから・・・・サムズアップをして笑ってから
「大丈夫!!」と笑って、弱ってそうなのでバッグからスイカと、
お味噌汁と水ををあげようとする
「これ食べて!熱いから気をつけて」そう笑ってから

そういってから前にいる白面の男に対して

「だったら止める。君が弱いものいじめしてるなら、なんとかする!」

そう言ってから白面の男に対して、言い放つ少女の前に立つ。
そして
「なんで、弱いものいじめしてたの?」
しっかりと真面目に質問する。ファイトポーズをいつでも抜けるよにしておく

城戸 良式 > ありついた食物と水分を貪るように少女が食いつくす様を見ながら、
現れた奇怪な男に向けて肩を竦めた。

「……普通そういうことをイジメてる奴に聞くかな……?」

面白い、とまではいかないが目的が迂遠な方法で達せられたので、
少しだけその問答に付き合って白面の位置をを指で治した。

「弱いと生きていかないから。
 弱いままじゃ、死んでしまうから、とか。
 俺の住んでた落第街じゃ、急に空からスイカや味噌汁が降ってくる、
 幸せな光景を期待できなかったから、って言ったら伝わるかな。
 だから、弱い物は、イジメるべきだと俺は思ってる」

ちなみに、そのスイカって何人分持ってるの?と聞いた。

持流 童男 > 「うおお?!まじか!?これって君のすごいあれか!!こう少女に生き抜いてほしい、っていう、訓練みたいなもんか!!!うおおおミスった!!思わず君が弱いものいじめしてたから前に出ちゃった!ごめん!続けられる!?」

そう言って思わずショックを受けて、ぬおおおと叫んでいる
そして問答に付き合うようにする

「いや本当にごめん。こう、掴み取ること、あとは、欲することを、しっかりと、叩き込んで多分あれだよね!生き抜くすべを教えたかったんだよね!!・・・っかー!!君ってやつは!良いやつだ!」
快活に言った。
多分そうだと思ったのでそういった!ちなみにスイカは3人分あるよ!と言った。

城戸 良式 > ……これは、本当面白いやつだな。

「……っていうのは完璧な嘘で。
 実は小さい女の子が悲鳴上げてる様が大好きなんだよ。
 今からナイフ持った少女の顔面を正当防衛を盾に蹴り上げて、
 腹いせに骨の髄までボッコボコにしてやろうと思ってたとこ」

言うと少女がヒッと高い声をあげて持流の後ろに隠れる。
その様子に腰を折って笑った。

「面白いな。単純な暴力も受け取り方次第でそこまで変わるとか。
 安心しなよ、正義の味方くん、どんな理由があったとしても、
 理由を聞く前に少女を後ろに守れる男は間違いなく"正義の味方"だからさ。
 そこは自信持っていいよ。俺が保障するよ。悪い奴が保障するんだから間違いない」

ただ、と一つだけ意地悪な問いをした。

「スイカ一つで一人の少女が一日生きながらえるとして、
 今日キミがこの先同じ境遇の少女に"四人"出会ってしまったら
 どうするつもりなのかは聞かせてほしいな」

持流 童男 > 「え!?4人に出会ってしまったらそりゃ勿論」

そう言って快活に笑う。

「僕さ、風紀委員だから、身元引受人が見つかるまで、僕の家に泊めるさ!
あとは、事情聞いて、身元引受人が、いい人かどうかを判別してから!!
そして、それが駄目なら彼女たちが幸せになる道標になるさ!
あとはもしも戸籍がないなら、知り合いになんかそういう事が、
得意な人いるから!大丈夫!任せて!」

そうしっかりと白面の男さんに名乗って
少女に笑いかけてから自己紹介をする

「あ、ちなみに僕、持流 童男っていうんだ!よろしくね・・!ってこれ言っちゃけない情報じゃん!忘れて!!」

うっかりくちから自己紹介をいつもの癖でしてしまう

城戸 良式 > 「っ、ハハハハハッ!」

真っすぐド直球な返答に、
久しぶりに、声をあげて笑ってしまった。
白面がズレないように手で押さえたまま、腰を折る。

「いやぁ……そりゃすごい。
 正義の味方だと思ってたけど、俺の思い違いだったみたいだ。
 そこまでしてくれるのは、正義の味方でもなんでもなくて、
 "神様"なんじゃないかな、彼女たちにとっては」

肩を震わせたまま指を小汚い布に包まれた少女に向け、
その指をそのまま白面に這わせた。

「生憎、名乗る名前と合わせる面をを持っていない以上、
 他人の名前も持って行かないことにしてるんだ。すぐに忘れるけどごめんな。
 正義の味方はまだしも、神様の居る場所では、"悪者"っていうのはやりにくいもんだ。
 出来れば今度の悪事は、落第街に神様の居ない時間を狙うことにするよ」

少女の近くに歩み寄ると、その足元からナイフを拾い上げる。
後ろ手でそのナイフをひらひらとさせると、持流に名も告げずに去っていった。

ご案内:「落第街大通り」から城戸 良式さんが去りました。
持流 童男 > 「うおおお!!?神様なんかじゃないでござるよ?!人間!某人間!!」

そういってからまっすぐに行ってから

「・・ジャア行こうでござろうか!白衣の女性殿を頼るで御座る!!!」
そういってから少女に対してそっと優しくマントを羽織らせて

「・・よく頑張ったね。」
これだけ言って背中におんぶしてから、一緒に帰った。

ご案内:「落第街大通り」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 101本のバラを片手にこう意気込んでいる男がいる・・

妙にソワソワしている!!すっごいソワソワしている!!

「うう・・緊張するでござるなあ!アール殿と仲直りできるでござるかなぁ・・!」

そう言ってすごいソワソワ動いている

見られたらバラを隠そうとしている。

ご案内:「落第街大通り」にアールズアーズアースさんが現れました。
アールズアーズアース > 「……」

希ちゃんからの話は了解した。
アールとしても、別に生まれて初めての友人を失いたいわけではない。

ただ……その。

あの様子では、元から友達でなかった可能性まである。
そう思うと、正直、どうしていいかわからない。

そんなとき、自分を抑えられるだけの自信は、まだないのだ。
……バケモノの自分を。
師匠はそんなふうに思うなと言うが、そうでなければそもそもココまでしていない。

だから、正直自分でもどうなるかわかっていない。

でも、それでも会ってみようとは思った。
実際に出会ってみなければわからないので。

「なんでしょう? あの花束……」

持流 童男 > 「うおおおお、アール殿に嫌われたくないでござるなぁ・・」

しょんぼりしながら片手に花束を見ながらも

しっかりというアールさんには未だ気づいていないようだ

「・・・本当に、アール殿を見て無くて、最低でござるよな。僕。
彼女と友達に慣れて、この世界でできた一番最初の女友達なのに浮かれて、・・・見ないで、約束やぶて、逃げて、逃げて・・正直、仲直りできるかわからないよ。」
そう言ってしょんぼりしながら花束に弱音を語りかける。

「・・だけど、彼女に仲直りの花束を渡したいでござる。まだ、できると決まったわけじゃないんだけどさ。彼女が来たらサプライズで渡したいんだ。僕が彼女にできることってこれくらいしか無いから。」

そうしっかりと花束に語りかけた。

「当たって砕けろだー!!!」
気合を入れてる

アールズアーズアース > 「ええと……その。なにが当たって砕けろなんです?」

明らかに場違いな持流の前にいつの間にか来ていて。
突然に気合を入れだした持流に戸惑いを隠せない。

……もっとも、前回前々回と、相応に食ったりしていたので。
それはそれとして恐怖体験として刻まれているのだろうかと思いつつ。

持流 童男 > 「ひょおおおおおおおおおお!?!?!?!」

そう言ってびっくりする!結構食べられてた時の記憶が蘇ってくるが退かない。

「アール殿との約束を前回と前々回も約束破ってしまって、
本気で嫌われてて、もう、友達に戻れないのかなって思ってしまって・・・当たって砕けろっていってしまったんだ。正直仲直りしたいけどね。」

しょんぼりしながら言う

アールズアーズアース > 「……とりあえず、その。人気のない廃ビルかどこかで」

微妙な面持ちのまま、とりあえず場所替えを促す。

実際問題として、まだ持流の前で崩れない自信がない。
それくらい出来るならそう困らないのだろうけれど、感情が乱れれば、どうしたって体が暴れてしまう。
なんだかんだ真似してみたところで、所詮、自分なんて肉の塊でしかないのだ……。

いきなり話しだした持流には特に反応するでもなく、どこかの廃ビルの一室へと移動して。

持流 童男 > 「うん分かったよ・・」

しょんぼりしながらこちらも了承して、廃ビルの一室に移動しながら。

花束を持ちながらも、ソワソワしている

「(うむむ・・!こう・・!変なことを考えてしまうでござるな・・!)」

と想いながらも廃ビルの一室へアールさんと一緒に移動する

思春期!!

アールズアーズアース > 「……ここなら、たぶん安心して話せるので」

そう言うが、安心してというのはつまり、誰も来ないような場所だということだ。
前回も前々回も、誰かに見つかるような場所だった。
でも、あんな姿……もともと誰にも見られたくなんかない。
希ちゃんにだって見せたいものでもない。

「……で。
 要件そのものは伺いました。その、仲直りしたい、というのは私もです。
 ただ、その……したくても出来るかどうかまではわかりません。
 前回も前々回も……あんなどうしようもないような姿を晒してしまったので。

 それでも。
 とりあえず会ってみないとなにもわからないと思ったので、こうしてでてきました」

淡々と。
やや焦点の合わない目で事務的に話す。

そうでもしないと、混乱しておかしくなってしまいそうだ。
別に、眼球で持流を見ているわけではないが、それでも、どう捉えていいか今でも決めあぐねている。
そうした迷いが動作に出ている。

持流 童男 > しっかりとアールさんを見る。
前回と前々回もこの子は、
あんな思いをして、傷まで見せたのに・・!

と想いながらも

「・・・確かに、したくても出来るかどうかは、僕にもわからない・・だったら、少しずつお互い仲直りしていくっていうのは・・どうかな?」

そう言って花束を持ち出してアールさんに渡そうとする。

「・・今の僕には、これくらいしかアールさんに渡せないけども・・もしよかったら受け取って欲しいんだ。・・君の意思で決めてくれ。」

しょんぼりしながらアールさんを見る

アールズアーズアース > 「……あの」

意味がわからない。
どういう意味でこの花束を受け取って欲しいのか。

「さっきから気にはなっていたんですが。
 この花束は一体……?」

受け取るもなにも、意味がわからないことには対応ができない。
出来るのは戸惑うだけなので。
もっとも、持流がコミュニケーションそのものが上手くないのはなんとなく理解したので。
そういった部分でどうというのは思わないのだけれども。

自分だって相当、ニンゲンが上手くない

持流 童男 > 「えっと・・・この花はバラって言って、で花っていうのは本数によって意味があってね、この101本のバラの花束の意味は」

そう言って一回深呼吸する
そして言い出す

「『最愛』だよ。・・『最愛の友人』の君に渡したかったんだ!!」

そう言って顔を赤面させてはっきりという。
コミュニケーションが上手く取れてない・・!

アールズアーズアース > 「ええと……プロポーズや恋人との記念日に渡すような特別な花だって知ってます?」

ちょっと困ったような顔をして。

確かに花言葉はそうなのだが。
それだけに通常渡すものでもない。

まあたぶん、それだけ申し訳なく思っているのだろうけれども。
その気持ちがどこに向いているのかはすごく不安がある。

でも……そこまではいい。

問題は、コレを受け取ってしまったら。
こちらの対応に関係なく、持流の中で仲直りを了承したようになってしまいそうな気がするところだ。

持流 童男 > 「え・・・・!?!?????」

普通に驚く、これって薔薇って恋人の記念日に渡すような特別な花だったの!?

「うおおおお!?!??恥ずかしいでござる・・!!」

そう言って顔がものすっごい真っ赤になっている。ゆでダコに成っている。

そして薔薇の花束を差し出しながらも

「・・・アール殿自身で、受け取るか、受け取らないかを決めてくれでござる。だって、あれだけの事をしたのでござるから。」

しっかりとアールさんを見つめてから真剣な表情で言う。

アールズアーズアース > 「……まだ仲直りはしてないので、受け取れません」

謝罪なら受け取りもするが、愛のプレゼントでは受け取れない。
だって、これで終わってしまっては、なにも始まらないし変わらない。

別にコミュニケーションが下手な事自体は構わない。

ただ……その。
友達としてみてもらえないのは、つらい。
どうしようもなく。

「……仲直りするとかしないとかじゃなく。
 ともだちでいたい。

 それだけなのに。

 ねえ、どうしたらいいの?」

持流 童男 > >>>中断!!!!考える・・・!!!!<<<
ご案内:「落第街大通り」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からアールズアーズアースさんが去りました。
ご案内:「落第街-施療院」にマルレーネさんが現れました。
ご案内:「落第街-施療院」に神代理央さんが現れました。
マルレーネ > 小さな修道院を修繕して作られた施療院。
食料に医薬品を少しばかり収め、怪我人病人に対応する個人施設。
そんな施設内で、一人、ため息をつくシスターが一人。

「うーん、そろそろ来るとは思いましたが。」

一通の書面を前に、腕を組む。
落第街での活動においては、彼女なりにルール違反にならぬよう調べ、許可も取ったつもりでいた。
それでも、粗を探そうと思えば出てくるもの。
様々なルールを拡大解釈しようと思えば、いくらでも問題点を指摘することはできる。


書面の内容としては、
「認可について不備があるままの活動は認められない。
 しかし、正当性のある活動内容であるから、個人面談の後許可をする可能性はある。
 内容によっては支援も吝かではない。
 至急電話をしてくるように。」

しかし、記載してある電話番号は、どう考えても個人番号だ。
まあつまるところ。
「支援をするから個人的に会おうじゃないか。断るならわかっているね」というアレだ。

この手合いはどこにでもいるんですねー、なんて考えつつも、頭が痛い。

神代理央 >  
そんな悩めるシスターの耳に届くだろうか。
けたたましいサイレン音。悲鳴を上げる様なホイール音。
バキバキ、と何かを踏み砕く様な音。甲高いエンジン音。

その正体は確かめる迄も無い。
防弾仕様の大型車が、急ブレーキと共に施療院の前に滑り込む。
勢い良く開け放たれた扉から、どかどかと駆けこんで来るのは――数人の風紀委員。

『急患だ!風紀委員会の任務中故、詳細は聞いてくれるな!また後で、迎えを寄越す。取り敢えずでも何でも構わん!この人を、治してくれ…!』

風紀委員に両肩を支えられて現れたのは、制服は煤け、所々に生々しい血痕が飛び散り、痛みに呻きながら荒く息を吐く、少年。
血と硝煙の匂いが、完成したばかりの施療院に広がっていく。

マルレーネ > 「お、っと。
 何かありましたかね。」

手紙をくしゃりと丸めてぽい、っと屑籠に投げ入れ、よいせ、と立ち上がるシスター。
この手の手合いは欲望に忠実だが、同時に臆病でもある。
すぐには何もしてこないだろう。
そんなことより、今目の前の問題だ。

「………分かりました。
 ひとまずこちらは任せてください。
 とりあえずこちらのベッドに横に。
 怪我の状況など、分かることはありますか?」

任務中。何があったのかは聞かないが、怪我の治療に役立つものは尋ね。
消毒液やらなにやら、今あるものをかき集めるように隣のベッドに並べる。

一気に空気が引き絞られるが、それはそれ。 慣れっこだ。

神代理央 >  
シスターの指示に従って、えっちらおっちらと少年を横たえる風紀委員達。
しかし、怪我の状況をと尋ねられれば皆顔を見合わせて口を噤む。
――どうやら、少年が怪我を負った際、居合わせた者は誰もいないらしい。

そこで、横たえられた少年が、荒い吐息と共に口を開いた。

「……特段、命に関わる、訳でも、無い。貴様達は、任務にもど、れ。私も、治療を終えたら、連絡、する、から」

息も絶え絶え、と言う少年の言葉に戸惑い、反論しようとする風紀委員達。しかし、彼等の通信機からは、がなり立てる様な声がひっきりなしに響き始める。


『…申し訳ありません、シスター。後は、頼みます…』


暫しの沈黙の後、駆けこんで来た時と同じ様に、風紀委員達はバタバタと立ち去っていく。
後に残ったのは、怪我人の少年委員と、修道女だけ。

「……大した怪我、じゃない。応急処置さえ、施して貰えれば、直ぐに立ち去る。此処で、風紀委員を治療する、のは、評判が、悪くなる……だろう…」

ベッドに横たわった儘、時折痛みに苦悶の表情を浮かべながらも。
それでも、大した事は無いと告げる。
『落第街の施療院』に風紀委員が駆けこんだという事の危うさを説きながら、無理に起き上がろうとして――その試みは、失敗する事になる。

マルレーネ > ……ふー、っと溜息を一つ。
OKサインをウィンクと共に他の風紀委員に出して。
声を出さずに口だけを開いて、任せて、と伝える。
知り合いはいないが、それでも、怒鳴り建てられて板挟みになる辛さくらいは分かる。

さて。
二人きりになれば、少しだけ一息をついて、目を閉じる。
風紀委員が怪我をすることの意味。
この場所であることの意味。

まずは委員らが出て行ったのならば、いつでも解放している扉を閉める。
窓も閉める。
外からの攻撃を想定して、まずは相手に情報を与えないことを優先する。


「はいはい。まずは喋らないでくださいね。
 大したケガかどうかは、私が自分で見て判断します。

 ……それとも、お医者様です?」

よいしょ、とそのベッドに座って、相手の肩をそっと抱くように抱えて、寝かしつける。

神代理央 >  
ぱたぱた、と戸締りを始める彼女に視線を向ける余裕は無い。
それでも、意識がはっきりしているだけマシなもの。
と、痛む身体をどうにか動かそうと四苦八苦。

そうこうしている間に、気付けば彼女は己が横たえられたベッドへ腰掛けていた。
起き上がろうと悲鳴を上げていた身体は、容易く彼女によって寝かしつけられてしまうだろう。

「……話を、聞いていたのか。風紀委員を、助けたとあっては、良く思わぬ者も出て来る、だろう。
…杖か何か貸してくれれば、歩いて出ていける。迷惑は、かけぬ。だから――」

最後迄言葉を言い切る事も出来ず、再び痛みに呻く少年。

マルレーネ > …ふー。
小さく溜息をつく女。

「………聞こえませんね。その話は、また後程にしましょうか。
 私が貸そうと思ったら貸しますからね。」

痛みに呻く少年に対して、救う理由も、己の主義も何も語らぬ。
納得してもらおうなどとは到底思っていない、怜悧な行動。

「両腕を挙げてください。 無理なら服、切りますから言ってくださいね。」

まずは上半身から脱がす。怪我の状況を隊員も知らず、本人も語る気が無いのならば自分で見るしかない。
脱ぐことに非協力的であれば、服を切り刻むことも厭わぬ。


硝煙ではなく、弓矢が飛び交う戦場であったけれども。
記憶にある。 だから、女はひるまない。

神代理央 >  
此方の言葉に耳を傾けない彼女。
頑固者め、と顔を顰めようとするが、既に苦痛に歪む表情ではそれも叶わず。

それどころか、服を着る、等と言われれば流石に降参せざるを得ない。此方の言葉にも。風紀委員という立場にも。負った怪我と、硝煙の香りにも。
何物にもひるまないと言わんばかりの彼女を、じっと見つめながら。
やがて、不承不承、と言った仕草でのろのろと両腕を挙げるのだろうか。

「……頑固な、女だ。それとも、それもまた神の慈悲、とでも。
言うつもりかね、シスター……か、ふっ…!」

そんな彼女に皮肉めいた言葉を返そうとして、僅かに吐き出した血の塊によってそれは中断される事となる。

マルレーネ > 上を脱がしてしまえば、怪我の状況を確認しつつ。

「自分で言ってくださいね。下半身は怪我してます? 膝とか腿とか。
 言わないなら脱がしますけど。」

正確に、完璧に把握できるわけではない。 それでも、外傷の有無やら深刻な状況かどうかはすぐに分かる。
吐き出された血にその服を染めながらも、それにもまた動じることも無く。

「それも後。
 今は、身を任せて。 ここにいる間は風紀委員ではありません。」

そっと、目元に掌をかぶせる。

「何も考えないで。」

暗闇の中、声だけを響かせて。

「力を抜いて。」

静謐な部屋の中、二人きり。 女の声だけが耳に届く。

神代理央 >  
「………流石に、脱がされるのは、勘弁願いたい。
…何処を怪我しているか、正直自分でも良く、分らん。
全身打撲、に近いんだろうか。医術の心得等ないから、良く分からんが。……瓦礫の山に、思い切り、投げ飛ばされてな」

己が吐き出した血に穢れながらも、動じる事無く言葉を続ける彼女に。
降参だ、と言わんばかりに。訥々と今感じている痛みと、怪我をした状況を彼女に告げる。
上衣を脱いだ少年の上半身は、陽光に触れた事などありません、と言わんばかりの白い膚を、そこかしこ鬱血した痣が赤黒く染めている。擦り傷程度の外傷はあるが、それ以外に大きな外傷は見当たらないだろう。

「……風紀委員では、ない?何を、言って――」

疑問の声を投げかけようとした矢先。視界は彼女の掌に覆われる。
不意に訪れた暗闇の中で、彼女の声だけが耳を打つ。
それは、痛みを堪えながら理性を走らせていた少年にとって、不意に訪れた――休息。

それを実感してしまえば、急激な疲労が身体を包む。
先程迄無理矢理起き上がろうとしていた身体からは力が抜け、くたりと力の抜けた少年は、荒く呼吸を吐き出すばかり――

マルレーネ > 「諦めてください。 折れてるかどうか、見なきゃ分かんないんですから。」

全くもう、とため息をつく。少年がどんな立場の人間か知らないが、それで罰されるならばそれはそれだ。
腹を括ってしまえば、容赦なく下着以外は全部引っぺがす。

「動かないでくださいね。
 我慢できないと思ったら声を出してください。」

外傷がほとんど見当たらないのであれば、打撲傷の治療を優先して。
クーラーボックスから氷を取り出しては袋に入れて、タオルに包んで、痣にあてる。
包帯でそれを固定していけば、熱を持った箇所が穏やかに冷やされ。

重度の骨折に関しては………見る限りでとんでもないことになってはいないことを確認して、一つ吐息をついて。

もう一度そっと掌を瞼の上に置く。
目を閉じている状態よりもさらに暗く。それでいて人の手の暖かさを伝えつつ。

「………極端に痛む場所はありますか?」

神代理央 >  
「…待、て。言わなければ脱がすというから、答えたではないか――」

抵抗するには、如何せん身体の節々が悲鳴を上げている真っ最中。
抗議の声も虚しく、無駄にカッチリとした――今は、薄汚れて所々破れているが――制服も肌着も奪われ、下着のみの姿となってしまう。
さて、そうなれば。少年の発言通り、全身のあちらこちらに打撲による痣や擦り傷が見られるだろうか。捻挫くらいはあるかもしれないが、目立つ外傷は見受けられない。

「……っ……ああ、大丈夫、だ。ああ、少し……楽になった、気が、する」

氷を痣に当てられれば、一瞬その冷たさに身を捩るものの、大人しく彼女の治療を受け入れるだろう。
熱を持った痣を、身体を。穏やかに冷やす冷たさに、僅かに表情が和らぐ。

「………腹部、かな。目立った外傷も無いのに、吐血、している。
何でなのか、原因は、分からないが…」

己の治療に真摯である、とは、流石に理解した。
それ故に、再び目元へと置かれた彼女の掌を拒絶する事は無く、寧ろ安心した様に、吐息を吐き出した。

さて、吐血の原因も至極単純なもの。
全身的に重症な外傷を負った強いストレスにより、急に胃にびらん・潰瘍が発生した出血による吐血。特段、内臓に深いダメージを負った訳でも無い。
だが、早期に治療しなければ――それなりの悪影響が、少年を襲うのだろうか。

マルレーネ > 「わかんないって答えてなんでセーフだと思ったんですか。」

全くもー、と頬を膨らませて見せる。
喜んで脱がせてるように見えますー? なんて軽口を一つ叩いて、表情を緩ませる。
ふざけているわけでは無い。
"それくらいの状況なのだ"と、相手に思わせる所作。
深刻に表情を固めることばかりが、真剣ではない。

そのまま、擦り傷の消毒も終わらせてしまえば。


「とりあえず、次は魔術で治療します。
 私のは時間がかかりますけど、身体の負荷はあまり無いはずですから、安心してくださいね。

 ……楽になってきたら、好きにお話してても大丈夫です。
 あと、身体が冷えすぎてきたらすぐに言ってくださいね。」

タオルの上からそっと患部に掌を重ねて、精神を集中する。
おおよそ荒事にしか使わなかった肉体強化がここで役に立つとは思わなかった。
直接かけると、血のめぐりが良くなりすぎて痛みが増す。
しっかりと冷やしてから、その上で。

一か所ずつ、ゆっくりと身体の痛みを穏やかにしていく。
それくらいしかできない。

神代理央 >  
「し、仕方ないだろう…。分からぬものは、分からぬのだ……。
こう、あちこち痛い…くらい、しか…」

頬を膨らませる彼女を、困った様な表情で見返す。
それは、彼女の治療の成果と、空気を和らげる効能が効いた為だろうか。先程の様に、痛みを堪える様な表情よりは、幾分余裕を取り戻しつつあるだろう。
喜んで脱がせている云々、という冗談には、ちょっとジト目で睨む程度で収める事として。


「……ああ、頼む。出来れば、此の怪我を長引かせたくはない。
早く戻らなければ、皆の負担を大きくしてしまう。報告書も、上げねばならないし――」

好きに話しても大丈夫、という言葉に、痛みで失われていた理性がゆっくりと回転し始める。
そうなれば、口から零れるのは仕事や任務の杞憂ばかり。悩まし気に眉尻を下げた瞬間、再び腹部の鈍痛に呻く事になったのは、自業自得だろうか。

「……そう言えば、私も此の地区を良く警邏してはいるが、こんな施療院の存在は、知らなかったな。
最近、開業でもしたのかね」

痛みを紛らわせる様に。彼女の魔術を受け入れる様に。
そんな雑談めいた話題を、彼女に投げかけて首を傾げるだろうか。

マルレーネ > 「でしょうね。
 命にかかわらないだろう、っていうだけで、大怪我は大怪我。
 最終的に専門機関で診て貰うのは必須ですからね。」

順番に、順番に、痛みを和らげながら、目を閉じて。

「今は、貴方は風紀委員ではありません。
 さっき言いましたよね? まったくもう。

 ………私はマルレーネ。 マリーでいいですよ。
 ついぞ最近この島にやってきた、……異邦人と呼ばれる存在です。

 ここは廃墟だった修道院だったので、その場所をお借りして。
 ようやく、少しばかり蓄えができたので、何とか少しでも、と思ったんですけど。」

一人だった。
完全なる個人営業……営業ですらない、ぽつりとほの光るだけの奉仕。

「今はマリーとお呼びください。
 この場所でだけは、全部忘れてしまいましょう。
 見たところ、私の方が年上ですしね。」

ぱちり、っとウィンク一つ。片手を話して、少年の頭をぐり、っと軽くなでる。

神代理央 >  
「……うむ。そう、だな。落ち着いたら、病院で診て貰う事に、する…」

と、存外素直に彼女の言葉に頷きつつ。

「……マルレーネ、か。私は神代。神代理央。
成程、道理で知らぬ訳だ。私が訪れた時は、廃墟だったのだろうからな」

へえ、と言わんばかりに視線を巡らせる。と言っても、横になっているので、大して視界を巡らせられる訳では無いが。

「……では、マリーと。
…どうにも、ワーカーホリックな所は否めぬが…そうさな。忘れてしまわねば、怪我の治りも遅くなりそうだ」

「それをよもや、異邦人の修道女であるマリーに言われるとは、流石に自分自身を見つめ直したくもなるが」

と、軽口を叩く余裕も出来たのか。
ウインクを見せる彼女に小さく微笑むと、頭を撫でられる事も大人しく受け入れる。
差し詰め、姉と弟の様な。そんなほのぼのとした風景が広がっているだろうか。

マルレーネ > 「そういうことです。 現実は知りませんけれど、それでも。
 ………放っておいたらどうなるか分からない程の怪我をした人間が、早く戻らないと崩壊するほどに、委員会は脆弱なのです?」

あえてそうやって言葉を投げかけて、すぐさま。

「違うでしょう。
 侮っているわけでも、信用していないわけでもない。
 それでもただ、自分の不安を無くすために動こうとしているんです。
 ゆっくりと息を吸い込んで、吐き出して。」

「………それを言うなら。
 年下の少年に治安を守ってもらわなければならない自分の方が、在り方を考えなければいけないところです。

 ああ、今は風紀委員でも何でもないんでしたね。 なんて呼べばいいんです?」