2019/02/23 のログ
ご案内:「路地裏」に史乃上咬八さんが現れました。
■史乃上咬八 > ――――ごすっ、と。
鈍い音と、僅かな悲鳴が響く。
「――――っ」
……一人の青年が、頬に痣を持って立ち尽くす。
後ろには恐らく路地裏に迷い込んだのだろう小さな女学生。
そして前には――数人の、ガラの悪い男共が数人。
「……そこ、退ィちゃくれやせンか」
――二発目。今度は鳩尾に蹴りこまれる足。
ごほっ、と、せき込みながら膝をつき、片腕が腹部を抑えた。
『なァ、お前知ってるぜ?最近風紀に飼われたっつー暴力漢だろ?どうしたんだよ、オラ、殴ってみろよ噂みてぇに』
『ほらほら立てよ立てよぉ!!風紀の狗なんだろぉ!?悪ぃ奴らぼこぼこにすんじゃあねえのかよぉ!!』
『ぶっは!!いいサンドバッグじゃん!!いつまでも殴られっぱなしってなら好きなだけ殴ってやるよ!!次は俺が殴ってやるぜぇ?!』
――――こうなったのは、今から二十分ほど前。
女生徒を庇い続ける、褐色の青年は一切反撃をしなかった。
しないまま、一方的に暴行を受け続けている。
「……退いちゃ、くれや、せンか。手ェ出す、訳には、いかねン、スよ」
――答えの代わりに、三発目。
頭を掴まれて地面に叩きつけられる。視界が明滅して、鼻の奥で鉄臭い匂いがした。
頭の上を、汚れた靴底が押す。硬いコンクリートの地面に丁寧に丁寧に押し付けるようにされても、
青年は手を出さない。出せないようにも見えて。
後ろの女生徒を一瞥する眼の意図は、今の角度では、伝えられない。
ご案内:「路地裏」にギルゲイオスさんが現れました。
■ギルゲイオス > 「やっぱこの辺は空を飛んで通り過ぎるのが一番安全であるかなぁ。
まぁ……目立って対空砲火喰らう事があるのが、難であるが」
(おどれ誰の許可でワシの頭上飛んどるんじゃ、ごらぁ。的な経験が無くもないが。落第街で空を見上げるモノは、そう多くはないようだ。
周囲の屋根よりもさらに高く。これと言って音もなく、余程奇特なモノでもなければ気づかないような飛行で、猥雑な街を横切っていた、訳だが)
「んむ……?」
(とある路地の上を通り過ぎ掛けた辺り。唐突に移動を止めるとホバリング状態になり、くるりと上下逆さまになれば地上の様子を眺め見る)
「何やら妙な事になっておるな」
(争いごと自体はそう珍しくもない、というか日常の様な場所だが。その構図がどうにも見慣れない。
一方は、男数名。分かりやすくガラの悪いチンピラ、という奴だろうか。
もう一方は男と女。男は、これまたパッと見ガラが悪そう。そしてその後ろに小さ目の女性……余りこういう場には似つかわしくない様にも思える)
「なぁなぁお主よ。殴られているなら、殴り返しても良いのではないか?
それとも、そのまま半殺しになるか、殺されるまで殴られているつもりかの?余りその辺気を使う相手には見えぬのだが」
(頭を地に足を天に。そのままの姿勢で高度を下げてゆけば、殴られている方の男性へと向かって声を掛ける。
心配するでも咎めるでもなく、どちらかと言えば不思議そう、といった声音で。
思いっきりジャンプしても手は届かないであろう高さは維持しているものの、闖入者によって殴っている側の男たちの手が止まる可能性は、ありそうだが)
■史乃上咬八 > ――――また、鈍い音。
訪れた貴方がその存在たちに気づく頃に、もう一発。
地面に伏せられている青年の横腹を数人のうちの一人が蹴った。
後ろの女生徒は暴力が加えられる度に目を見開きながら、悲痛な細い悲鳴を上げながらも、ただ動くこともできず、おびえた様子でいた。
……そして。
『あ?』
「……ッ」
空中にいる貴方からの声が届いたのか、その場にいた者の視線が向いて、
地面に伏せられたままの青年以外は、目を見開きながら驚愕していた。
何せ、訪れた貴方の風貌は、島内において珍しくなくなりつつありながらも、きっと馴染みができたというものでもない。
異種族のそれだからだろうし、何より頭上から逆さで声を掛けてきているのだから。
「――誰か、知らね、スけど、頼ン、まス……」
――唯一、驚かなかった、その褐色の青年が声を出す。
ふり絞って、
「そこの、生徒を……避難、させてやって、くれャせンか……ッ!!!」
自分の救助、ではなく。後ろにいる女生徒の身を、貴方に預けるという選択をとった発言。
あっけにとられている不良共たちがそれに反応するのは、この後の貴方の行動次第だ。
■ギルゲイオス > (異能や魔法、魔術の類がそれなりに広まっているこの島ではあるが。とはいえ、飛行する人型生物を頻繁に見かけるという程ではない。突然と現れれば『普通』に歩いて現れるより余程気を引く事だろう。
そんな注目の的になりながら、特にコレといって気にする様子もない魔王様。視線というモノには随分と、慣れている。
自分なりで解釈すると、状況からして殴られている方の男に義はありそうなのだが。ここで不作法に力を振るうのも、声を掛けた方の男の信念か何かに反するかもしれない。
という訳で、この奇妙な姿勢で声を掛ける、という状況に、なった訳であるが)
「ふむふむ、なるほど。女性に危害が及ばないように、迂闊な手出しが出来なかったとか、そういう感じであるかな?
もし誰も現れなかったらどうする心算だったのか、という点は気になるが、まぁ良かろう。
『そこの生徒』は助けよう。お主はお主の力でなんとかしてみるがよい」
(くくっと、微かに喉元で笑うような声が聞こえた、かもしれない。
地面へ殴り倒され暴行を受けた姿も生々しい青年に直接手を貸す、訳でもなく。彼の願いのその通りに。
高度を保ったままスゥっと下がってゆけば、少女のすぐ近くにまで)
「では失敬、お嬢さん。高い所は苦手であるかな?」
(優しく、ゆっくりと。語りかける言葉と共に。
場違いな例えになるが、クレーンゲームか何かの様、だろうか。
高さを調整し少女を後ろから両腕で抱えると、そのまま再上昇していこうとする。
あっけにとられていたチンピラ衆が気を持ち直せば、此方に手を出す事も可能、だろう)
■史乃上咬八 > 「……頼ン、まス」
――直後。
『ひえ……っ?!』と、少女が後ろから抱えられて上昇させられていった。
その悲鳴を合図に、不良の一人が貴方をにらみながら、
『っ、気持ち悪ぃ!!テメェも異能者かよ!待て――』
手を伸ばしその足を掴もうとしたのだろう。
だが、その手が届くどころか、声が最後まで発されることもなかった。
何故ならば、"先ほどまで地面に伏せられていた青年が跳ね上がるように起き上がって、延髄をその隻腕で殴りつけた"からだ。
声もなく白目を剥いて地面に倒れる一人の不良。
そして入れ替わりに起き上がった、褐色の青年。
そこからは、最早一方的に、青年のその腕が唸り、一度の風切り音につき、一人の不良が確実に意識を奪われて行っていた。
そして、最後の逃げ出そうとした不良が、その足を引っかけ倒され、『丁寧に』首を殴りつけ気絶させられたところで。
「――――っ、はぁ」
――ゆっくりと、その赤い目をそちらへ向けた。髪に隠れ、片目だけが向いて。
「……ありがとうございやした。もう、大丈夫ス」
■ギルゲイオス > 「うーむ、分類的には異能者に入るのは、確かであるな。
もっとも、お主らにとってはもっと恐ろしい存在かも知れぬがな。ほら、よそ見している場合ではないぞ」
(少女を掻っ攫いながら、その片隅から見える顔には大きく弧の笑みが描かれていた。
余り急ぐ様子が無かったのも、この後どうなるか容易に予想出来たから、だろう)
「おーう、容赦ないのである」
(気が付けば、魔王様と少女はそう易々と手は出せない高さ。
そこから文字通り見下ろし、一撃貰ってぶったおれたチンピラに一瞥をやる)
「……というか、随分情けないのである。あれだけ痛めつけておいて、コレであるか」
(一言で表現するのなら、瞬殺であった。少女を抱え上げた役得を満喫している時間さえない。
アッと言うまに死屍累々……死んではいないだろうが。そんな状況が作り出されると、周囲の状況をちょいちょいと見回してから高度をさげてゆく」
「の様であるな。
いやぁやはり随分と強いのであるな。瞬く間とはこの事である。
多少この子に危害が及ぶ可能性を考慮しても、早めに手を出したほうがすんなりと片付いたのではないか、これ」
(すとんと、少女の両足が地面につく。浮遊感の残滓で倒れない程度に支えてから両腕を解くと、此方はくるんと半回転。
天地正常に地面へと立てば、もう一度辺りを確認した後。
ほれほれお礼言っておけ、とばかりに少女の背中をポンポンと軽く叩いていた)
■史乃上咬八 > 「……鍛えて、まスから。それに、俺は、先に手ェ、出すわけには、いかねンス。風紀委員の、手伝いで」
……頬に残った痣。血が滴る唇。それにしても、随分と耐えたように見える。
片目で降ろされ、背中をぽんぽん叩かれて近寄ってくる女生徒を見やる。
ぺこりと頭を下げてお礼を述べてくる女生徒に、怪我は無ェか。とか、近道しようとしてこンなとこ通るンじゃねェぞ。等。
見た目に似つかわしくなく紳士的に、かつ親切な対応をしていた。
一応、一人でも大丈夫ですという女生徒はその後、彼の指や頬についた傷に、少ししか手当はできないですけど、と申し訳なさそうに血を拭って絆創膏を貼ってから、また丁寧にお礼を述べて立ち去っていく。
そして、残された青年と、そして貴方という二人だけになってから。
「…………その、世話ン、なりました。御蔭で、助かりましたンで」
こちらもまた、貴方へとぺこりと頭を下げながら礼を述べていた。
■ギルゲイオス > 「ふむ、これがヤンデレという奴であるか?」
(ヤンキーデレ。二人のやりとりを眺めながら、何処から仕入れたのか変な知識を呟く魔王様)
「先にというか、もう随分手を出された後に見えるのだがな。ま、お主の基準では『まだ』なのかも知れぬがな。
ほほう、風紀の。パッと見るには余りに合わぬなぁ、はっはっは」
(一発殴られた辺りで仕返しても良い気はするのであるがなと、頭をこてんと横倒し。
した、後。相手の姿を丸くした目でしげしげと眺めてから、楽しげに声を出して笑う。外見が不似合って事以外は、特に他意も無さそうな、そんな声だ。
去ってゆく少女の後ろ姿に、気を付けるのだぞー、また巻き込まれるなよー、等と手を振りながら見送った後)
「いや、べつにかまわぬのである。たまたま通りがかっただけであるしな。最終的には、我が来なくてもお主が自力でなんとかしていたであろうさ。
ちょいとしたお手伝い位であるよ……そうだな、手伝いの駄賃代わりに名を聞いておいても良いかな?」
(小さく笑いながら、懐から小さな紙箱を取り出して。紙巻を一本口に咥えると、吸う?とばかりに相手へと差し出す)
ご案内:「路地裏」に史乃上咬八さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に史乃上咬八さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に史乃上咬八さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に史乃上咬八さんが現れました。
■史乃上咬八 > 先の一言はあんまり聞かなかったことにしたらしい。知らない知識の話に安易に話題を向けられる質ではなかった。
「……そう、スか。まァ正直、あまり宜しくない状況では、ありやした。手ェ、安易にァ出せねンで」
助かりやしたから。と重ねた。
……進められる紙巻に、未成年なンで。と掌で断った。
「……史乃上咬八(シノガミ カミヤ)、って言いやス。本名には、姓と名の間に、空真(ソラザネ)と入りやスが、あまり意味のある名前では、無ェスから」
名前が駄賃となるならと、事細かにまではいかないが、名前を告げる。
■ギルゲイオス > 「かも、知れぬな。まぁ何かを護るというなら、万が一の可能性で取りこぼしたりしないように、気を付けた方が良いのであるよ。ヨロシクない状況なら、余計にな」
(断られるとそのまま箱を引っ込めて。自分はと言えば咥え煙草の先端に指を近づければ、前触れなく現れた小さな火種で炙り。ゆっくりと煙を空に向かって吐き出す)
「シノガミ カミヤ……カミヤであるな、よろしく頼む。いやいや、名前は無意味ではないぞ。むしろ大事である。大なり小なり自覚するなりしないなり、何らかの影響を及ぼすモノであるからな。
っと、此方が名乗っておらんかったな」
(紙巻を指に挟むと、一呼吸と間を置いて)
「我が名はギルゲイオス、異世界の魔王である。此方の基準で言えば長いのでな、ギルと呼んでも構わぬぞ」
(両腕を広げやや天を見る大仰な恰好で、先ほどまでは無かった第三の瞳を額に輝かせ。ふはははは、と高笑いする背後にはどす黒いオーラの様な物が漂っていた。なお、無害である。
それらしい恰好をしていればそれらしく見えなくもないが。生憎と、相対している青年と服装については大差がない。外見についても、長身の威圧感はあるが此方の人間の延長線上とそうそう大きくは外れいていないはずだ。つまり、自称と受け取られても仕方がない)
■史乃上咬八 > 「……うス」
素直な反応を以て返事とした。何というか、何処か侠客然とした振る舞いをする青年だ。
煙を空へと吹く間にでも、どうやら鼻でも効くのか、くしゃりと顔がゆがんだが。
「……そう、スか。それでは、ギルさン、と」
――ギルゲイオス。どうにもその名前をフルネームで呼ぶことは危ぶまれたのだろうか。
その愛称を素直に呼びながら、そのオーラや、その額の目やら。
それを見て、大した反応は起こさない。というより、"それに慣れているかのような"節さえ見受けられる。
「……しかし、何故ギルさンは、こンな場所に」
――もっとこう、ふさわしいところに居そうなものじゃあないンスか。城とか。
などと続け、首を捻っている。
■ギルゲイオス > 「…………肉食系っぽい外見から繰り出される思いのほかうっすぅい反応に我もびっくりであるよ。
風紀の手伝いとかしているともっと色々なのに出会うだろうし、さもありあん、ではあるが」
(自己紹介ポーズで一瞬固まっていたが、無駄のない動きで直立に戻ると、いつの間にか額の瞳は閉じて、背後の黒いオーラも消えていた。
ちょっと淋しい魔王様)
「ふむ、煙草は苦手であるか、これは失敬した」
(まだ半ばも過ぎていない紙巻を、小さな皮袋に押し込んで。ぐりぐりともみ消してやった後。
次の質問に、こてりと頭を倒した)
「あぁ、そいういう意味の『こんな場所』であるか。
他の異邦人と同じであるよ、門から落ちてきたのだ。実は二度目なのだがな。
城ごと来たのなら苦労は無いのであるが、やってきたのは我だけでな。
お陰でアルバイトという奴もしなくてはならぬし、大変であるよ」
(はっはっは、と笑う声はするものの、何処か遠くを見ている。
いや、こういう苦労をするのも経験として悪くはないのだが。やっぱり早くまた帰り道みつけたいねー、という雰囲気が溢れかえりまくっていた)
■史乃上咬八 > 「……すんませン。どう反応するのが正解なのか、分からねェもンで」
真顔のままに返される返答。割と生真面目らしい。
雰囲気を察してか、ちょっと申し訳なさそうな顔をした。
「……いえ。
――門、スか」
覚えがありそうで、そして同時に苦い顔だった。何か関連する事象への節があるのだろうが、良い思いをしていた、という様子でもない。
……隻腕をゆっくりと動かして髪を暫く弄っていたが。
「……アルバイト、スか。魔王、ってのがどういうものかは分かりやせンが、その、……お疲れ、ッス」
缶コーヒーでも飲みやスか。と、自販機がちょうど近くにあるとばかり足が動いている。
■ギルゲイオス > 「いやぁ、何が正解かと聞かれると、それはソレで困るのであるが。
魔王、って言うと此方の世界で言えば『悪』のイメージであろう?その辺りについての反応が、多い気はするのである」
(その辺突っ込まれるの前提にして、自己紹介している節もある。
まぁ気にするなとばかりに、手をパタパタと上下に振った)
「左様、門というか穴というか。前回は定例の儀式中に開いたのだがな。今回は玉座に座ってる時で完全不意打ちであった。
流石に、ヒトが豆粒に見える位の高度で放り出すのは酷くない?
ふむふむ、お主も何か妙な縁がありそうだな」
(飛行の手段があるのでまだマシではあるが。放り出された物理的、魔力的ショックで二度とも地面に対してズドンである。
もっとも、唐突に開く門の都合など、分かりはしないのだが。
ここに住んでいる人間ならば、一つや二つ巻き込まれた経験があっても、おかしくはないか)
「我のいた世界で言えば、『王様』と聞いて想像する存在とそう大きくは違わぬよ。
ある意味では、この世界のバイトは肉体的に疲れるだけでまだマシと言えなくもないがな。
奢りであるかな?なら遠慮なくいただくのである」
(やや前屈みな姿勢をとれば、ひょこひょこと後ろをついていく)