2019/02/24 のログ
史乃上咬八 > 「……悪、スか。それなら、魔王より、ずっと質の悪い悪を見てきやした。魔王のほうが、俺からすると、幾らか素敵、スよ」

彼の口から出たのは、そんな言葉と、何処か憂う顔だった。

「……その高さから落ちて、無事だったッてのが、恐れ入りやス。
……ええ、まァ……一応、異能を得たタイミング、スから」

――彼もまた異能者、だという。歩く足の先、運よく自販機を見つけたので、上着を探って小銭入れを出し、適当なコーヒーを二本購入。
がこん、と出てきたうちの一本を差し出して。

「……労いと、先程の御礼、ス。これ飲ンだら、俺は俺で戻って、報告をしねェといけねェスから」

気絶させた奴らも縄掛けて連れてかねェとでスし。と。

ギルゲイオス > 「ふむ、これは新しい見解に遭遇した気がするのである。
悪の質、であるか。邪悪、という言葉もあるのでな。突き詰めれば、何か違うモノが見えそう、であるなぁ」
(噛み砕くように小さく頭を左右に動かしてから、数度と頷く。
まぁそもそも、彼の目の前にいる魔王が悪かと言われれば、という辺りから話が変わってくるのだけれども)

「魔王用の特別な衣服であったのと、着地寸前に防御は張れたのでな。モロに墜落してたら、ちょーっとヤバかったかも知れないのであるよ。
門が切っ掛けになって、という事であるか。異能と言うのも良く分からないものであるな、我もこっちに来てからそれらしきモノは身に付いたのだが……」
(使い勝手が悪いせいで、出番はほぼないが。恐らくは此方の世界での法則に、自身が対応した結果、なのだろうか。
魔族としての特殊能力ともまた違うし、なんとも奇妙なモノという認識がぬぐえないでいる)

「……そういえば、随分ボコられていたのを忘れていたのである。すまぬな、我の基準でいうとほっときゃ治るのであるが。生憎と壊すのは得意でも、治すのは苦手でな」
(受け取った缶コーヒーのプルタブを爪で引っ掻け……引っ掛け……
数度カチカチとやって上手くゆかず。やがて、呑み口のところにぐぐっと指で押しこむと、そのまま強引にこじ開ける)

「魔王に反逆するとは、なんという気合いの入った缶。
そうであるなー、我が居るよりお主に任せた方が色々と手間もかかるまい?
学生をやっているのでな、必要があれば風紀の方から連絡も出来るであろう。
我もそろそろと言った時間であるし……先に失礼させてもらうよ。ではな」
(根性入った缶コーヒーを一口すすれば、ヒラヒラと手を振り。口の端を軽く上げて。
後は任せた、と言わんばかり。緩い足取りで路地を歩き始めるのであった――)

史乃上咬八 > 「――突き詰めた悪の果てには、どの道一つの過ちだけがあるもンスよ。自分が世界で、一番正しいという妄執、だけスから」

――それを知っている、という顔だった。
何を見てきたのか、何を知ってきたのか。計り知れないような暗い陰が、その赤い目の中を過っていった。


「……あァ、成程。そういうことなら、幾分か無事なのも納得スよ。どんな生物でも、高所からの落下というのは、致死たりえまスから。
……便利な力じゃねェスから、多用出来ないンで」

不便スよ。と、缶コーヒーをあっという間に空にして。

「……うス。後のことは、俺と、他の風紀委員で動きまスンで。
……お気をつけて、ギルさン」

そちらが立ち去るのを、お辞儀をして見送っていき、
その後彼も何処かへ連絡のあと、合流した何人かの風紀委員たちと共に気絶させた不良共を連行していった。
――数日後、きっと貴方のところに、礼の品でも届いたかもしれなかった。

ご案内:「路地裏」から史乃上咬八さんが去りました。
ご案内:「路地裏」からギルゲイオスさんが去りました。