2019/06/01 のログ
ご案内:「路地裏」に星見 智さんが現れました。
■星見 智 > 常世学園には普通の学生が近づくべきではない場所が存在する。
落第街の路地裏など、その最もな例だろう。
曰く怪物の巣窟、曰く殺人鬼の狩場、曰く………。
誰もが忌避する落第街。その街並みをビルの上から見下ろす。
「たっく、こんな楽しそうな場所があんなら入学時に教えろよなぁ…!」
玩具で遊ぶ子供のように無邪気な笑顔で言う。
あくまで楽し気に、悪戯を考える少年のように。
やがて路地裏を行く黒い鎧を見つけると、嬉々としてビルから跳びだし、一足跳びに騎士の前に着地する。
砲弾が直撃したような轟音を響かせ、当の本人は涼し気に。
「オイオイオイオイ。この学園には騎士サマも所属してんのか?
それにしては随分とまぁ禍々しいな?」
■金剛経太郎 > (! ……何か来たな。)
物陰に身を潜め、極力呼吸までも最低限に抑えながら様子を窺う。
これまでも調査中に絡んでくる輩は居たし、今回もその類か、と小さく息を吐く。
さてどうしたものか。変に荒立てる気は更々無いが、と経太郎は思案する。
『………。』
その間、騎士は突然現れた少年の姿に怯んだ素振も無い。
歩みを止めどこか遠くを見る様に虚空へと兜を向けている。
■星見 智 > 「あん?何だよ反応がねぇな…。無視決め込んでんじゃねぇよ」
片眉を上げて少し睨む。
この騎士が話せないなりしても何らかの形で反応を示すのが普通である。
せめて会話のキャッチボールくらいはしたいのだが。
(だいたい後ろの方で息潜めてんのも関係者なんだろうが…。どうしたもんかね)
人外の聴力と気配察知能力で近くにいるモノを把握する。
鎧から何の反応もないことを悟ると溜息を吐き。
「おーし。反応ねぇなら殴るぞー?嫌なら後ろの奴でもいいから何かしろよー?」
■金剛経太郎 > (別に殴られて困る事など何一つ無いわけだが。)
ふーむ、と溜息混じりに息を吐いてややうんざりしたように目を瞑る。
視覚を騎士の方へと移し、やたら喧嘩腰で絡んでくる相手を見やる。
想像した通りに粗野な出で立ちを確認すると、改めて溜息をつく。
『………。』
そもそもこの騎士には口を利く事など出来はしない。
何せ中身は伽藍堂、経太郎の異能で現出させているだけのアバターだ。
騎士は大仰に剣を地面に突き立てると、そのまま瓦礫に腰掛ける。
お好きにどうぞ、と言わんばかりの態度で何も語らない。
(騒ぎになられても面倒だ、気の済むまで殴らせてとっととご退場願おう。)
物陰で経太郎本体も腰を下ろす。
丁度いい休憩時間だ、と言わんばかりに欠伸を噛み殺して。
■星見 智 > 「ああそうかい。そっちがその気なら遠慮なく…!」
地面を一蹴り。ただの一瞬で新幹線並の速度まで加速する。
狙いは漆黒の鎧を纏う騎士…………ではない。
物陰に隠れている少年の目の前に立つと満面の笑みで。
「さっきからコソコソと。バレてんだから出てこいよな?」
落第街に子供がいることに驚きもせずに。
人のあいさつは無視すんなよと青筋を立てながら、首根っこを掴み拘束しようとする。
■金剛経太郎 > 「こそこそしてる奴なんて周りにごまんと居るだろうに。
ここは落第街、街と言うからには住人が居る。
それも誰も彼もとびきりの日陰者達だ。そんな住人達が居る中をあれだけでかい図体が歩き回れば、いやでも注目は集まる。
様子を見てる奴らなんてそれこそ10や20はくだらないだろうに。」
心底うんざりしたような顔で突進してきた少年を見上げる。
ツッコミ所は山ほどあるが、とりあえず一つだけ、と自分の首根っこを掴もうとする手を鬱陶しげに払おうとしつつ、
「挨拶なんて、一言も発してないぞ、君。
誰かの前に降って来て、いきなり容姿に因縁つけることが挨拶だと言うなら、すまない。勉強不足だった。帰る頃には忘れることにするが。」
冷ややかな視線を向けて、ゆっくりと立ち上がる。
■星見 智 > 「あの鎧に着かず離れずの位置に陣取り、俺が鎧に近づいた瞬間に息を潜め、集中するように深呼吸。
これを世間一般で怪しいと言わないなら。ああ、確かに怪しくないかもな?」
一番怪しい奴に近づいたんだよと、ケラケラと笑いながら発言する。
実はビルの上から少年の姿も確認済みだったのだ。
淡々と事実を並べ満足げに。
「ハハハハハ!!俺が挨拶と言ったら挨拶だ。俺がカラスは真っ白と言えば、この世のカラスは全部白いんだよ」
払われた手をひらひら振りながら、小学生位の少年を見る。
10歳前後だろうか、随分と身長が低く、前髪の横が白髪になっている。
「んで、ガキんちょはここで何してんだ?」
■金剛経太郎 > 「俺が言ってるのは『そんな事は他の連中も皆やってるだろうに』という点なんだが。
まあいい、訊くだけ無駄そうだ。省く。」
そもそもこの街に来た時から息は潜めていたし、深呼吸をした覚えも無い。
無意識にしていたとして、それは厄介事に巻き込まれたくないという心理からの物で誰でもしているだろう。
怪しい怪しくないで言えば、誰も彼も該当するだろうに、と呆れ半分で三度目の溜息を零して経太郎は考える事を止めた。
「そうか、頭の中が真っ白なようで何よりだ。
何って見て分からないか、隠れてたんだよ。面倒な奴に絡まれない様に、目立たない様に。
全部君の所為で台無しだけどな。どうもありがとう。」
さらりと答えて、さてどうやってこの場から離脱しようかと考える。
考えなしの闖入者のお陰で洗いざらい晒されてしまえば、今後同じ様な手段で落第街を調査するのはほぼ不可能だろう。
(──幸い【騎士】のみを使って来たから他のアバターを使えば……
いや、似たような挙動をしているものがあれば関連性を疑うことくらい、ここの住人でもするか……)
■星見 智 > 「おう。どういたしまして」
皮肉を言われているのは理解しているが、気にせず笑顔を返す。
元の世界では散々な毎日を送っていたのだ。これくらいは屁でもない。
「いやだから、あの騎士サマと一緒になって何してたかを聞きたかったんだが…。まあ、大方落第街の調査かなんかか…」
一人で疑問を解決し、目の前の少年に向き直る。
いくら騎士が護衛に就いてるとはいえ、落第街では何が起こるかわからない。
何か力があるとはいえ小学生程の少年を放っては行けなかった。
「なんか手伝えることがあったら言えよ?情報収集でも何でも暇つぶしがてらやってやるぞ?」
■金剛経太郎 > 「自分の仕事を台無しにした馬鹿に助力を乞うような希代の大馬鹿が居るならぜひとも見てみたいな。
居たらサーカスにでも売り込むといい。そんな提案する奴諸共な。」
徒労感に目眩を覚えつつ少年へと向けてひらひらと手を振る。
そうやって自己解決するなら最初からこっちに来ないでくれ、と心底言いたげな顔で眉間に皺を刻み、終いには肩も落して。
現状損しかしていないし、これ以上関わっても損しかなさそうだと判断すれば、一つ、大きく息を吐いて。
「そうだな、じゃあ暇潰しがてらにあっちの通りで裸踊りでもしててくれ。大変助かるからな。
あるいは適当に破壊活動でもしていてくれ。
その間に俺は帰る。」
騎士の居た場所を一瞥し、音も気配も無く騎士が姿を消しているのを確認すると経太郎は少年へと真顔で告げる。
帰る算段が無いわけではない、ただ少しの間周囲の注意を引き付ける存在が必要だ、と手短に付け加えて。
■星見 智 > 「ふーん、そうかい。こんなもんでいいか?」
足元に転がる石を拾い上げ数キロ先のビルに投擲する。
音速を優に超えるソレは砲弾となりビルに突き刺さり、大音量を上げて注目を集める。
あのビルは犯罪組織の巣窟だったようだし、なくなっても誰も文句は言わないだろう。
「悪かったな、仕事の邪魔して。
だがまあ、お前のキレッキレの毒舌。けっこう面白かったぜ?」
じゃあ気を付けて帰れよ。
そう言って腕を振りながら背を向けて歩き出す。
会話で使われた言葉の数々を思い出してクツクツ喉を鳴らしながら。
■金剛経太郎 > 「俺は何一つ面白い事など無かったわけだが。」
金輪際関わりたくない、と去っていく背を見つつ思う。
これまでの邂逅に何かしらの利を見出せてはいたものの、今回ばかりはそれが難しそうだと経太郎は苦虫を噛んだ。
「まあいい、有言実行だ。さっさと帰ろう。」
周囲の注目がビルへと向いている間に新たな虚身を出現させる。
軽装に包まれた怪盗然としたそのアバターは、経太郎を抱えると夜闇に溶ける様にその場から気配も無く去るのだった。
ご案内:「路地裏」から金剛経太郎さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から星見 智さんが去りました。