2019/08/12 のログ
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地」にモルガーナさんが現れました。
モルガーナ > ピィーーーーーーー……

日も大分落ち、空が茜色に染まり始める山中に甲高い音が響く。
その音に山の斜面の放牧地に寝ころんでいた牧羊犬がピクリと耳を立て、欠伸をしながらもゆっくりと立ち上がると
軽やかな足取りで草を食んで居た牛達のまわりを走り回り、時に軽く吠えながら彼らにそろそろ帰る時間であることを伝えはじめた。
牛の方も慣れたもので、慌てることなく少しずつ固まり、合流しながら
牛舎のある方向へとマイペースに歩き始める。

「……実にのどかじゃなぁ此処は」

その様子を眺めた口笛の主はググっと伸びをすると
欠伸交じりで呟きながら空を見上げた。
茹だる様な夏の気温も日が沈む頃になれば多少は涼しくなりつつある。
夏の盛りの空は暮れに染まり、山の斜面を緑と橙色に染め上げていた。
いつしか虫の鳴く声が辺りに響き渡り既に一番星も天球に輝いている。
……今日は良く星の見える夜になるだろう。

モルガーナ >   
「やはりこう言った場所の方が気が楽じゃの」

普段は本島で学生をしているため
何方かというとと快適な暮らしをしている。
正直言うとそれ自体は悪くない。
”すまほ”なる機械は実に便利で大抵のものを部屋まで届けてくれるし
食べる物も毎日別の物を食べられるほど種類がある。
例え夜であっても町も学生も眠らず、まるで狂騒曲のような喧騒の中
面白可笑しく毎日を過ごす事が出来る。

「何より、楽でよい」

だがやはり、多少は不便でも空の色がゆっくりと
そして確かに変わっていく様を見ていられる場所の方が性に合っている。
バカ騒ぎをするにはあの場所は実に便利だが、
追い立てられるような空気が流れている事もまた確かだ。
良くも悪くもあの場所は人間の住処だ。
そこに自分の時間を合わせる事は苦痛とまではいわずとも
多少疲れを感じてしまう時がある。
……特に元々流れが違う種族ともなれば尚更。
だからこそ、たまにこういった場所で息抜きがしたくなるというもの。

ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地」に暁 名無さんが現れました。
モルガーナ >   
「……さぁて、夜は何をしようか
 借りてきた本を読むか……いや、明日の食事の仕込みでも良いな」

この世界の学生には夏休みという制度があるらしく
暫くの間正式に取得すべき授業等は行われないらしい。
約一か月近く自由に過ごしてよいというのだから驚きだ。
低学年ともなればこなすべき課題なるものもあるらしいが
聞いた限り言語綴りや観察記録といった簡単なものが主になるとか。
因みに自分には課題などというものは既に存在しないので
こうして期間の間、のんびりと畜産業に従事したりできる。
……最も、休みになってまで働いていると言えば多くの者が顔をしかめるだろうが。

「……いや、楽器の練習をするというのが一番じゃな」

自分の住んでいた場所ではどちらかというと竜笛や琴に近いものが主流だった。
近くの人間の町に行けば多くの楽器があったが、龍族にはあまり格式高いものと認識されていなかったため
特に弦楽器等はあまり触れる機会が無かったという事もある。
加えてそもそも彼方の世界では音楽も魔術の一種であったため
純粋に音楽を楽しむという感覚があまり一般的ではなかった。
王宮内の楽師は大体派閥争いの方に興味を持って行かれていたものが大半であったことも付け加えておくべきかもしれない。

暁 名無 > 「何つーかもうちょっとこう、交通の便がいい所に作れねえもんかねえ。」

ぶつぶつと愚痴を零しながら、大きめのトランクを抱えて山を下りてくる姿がある。
夏季休校中で仕事が空いてるのを良い事に、自分の所有する“放牧地”の様子を見に来た暁 名無その人だ。
服装こそバカンスを満喫しているかの様だが、今日は早朝に登山し、こうして日暮れまで施設の点検や放飼している動物たちの診断などを行っていたのである。

「明日は海に行って水着美女眺めようそうしよう。」

お盆の帰省シーズンでもあそこには人が居る、とそんな事を独りごちながら歩いていれば、
途中に人影を見つけて。

「おや。……こんなところに来るなんてよっぽどの物好きも居たもんだ。」

モルガーナ >  
「…ん?」

今夜の予定について夢想していると進行方向に何やら人影が。
はっきり言ってこの辺りは人口密度の低さで言えば学園でも五指に入る。
こんな所に来る物好きがいる物なのかと
目を細めるとどうもどこかで見たような姿。
 
「……なーにをけったいな事を呟いておるのやら。
 山に来て水着美女とはよほど欲求不満が続いていると見える」

そしてその呟きを唇で読むと呆れたような呟きを一つ漏らし指笛を鳴らす。
再び山間に響いた甲高い音を耳にした犬達は忠実に牛達を誘導していく。
……彼らの事だ。放っておけば番をしてくれるだろう。

「ごきげんよう。”先生”
 ……この辺りに水着で楽しめる施設は無いと思うぞ?」

開口一番揶揄う様な言葉を投げかける。
他生徒から普段彼がどのような言動なのかは聞いている。
以前……確か屋上であった時と大して違わない印象ではあったが
呟いている内容を見ると強ち間違ってはいないらしい。

……一方で自分は学級内では一言もしゃべらないキャラなわけだが
夏休みなのだからまぁいいだろうと声をかけ。

暁 名無 > 「よぉっす。こんなところで会うとは奇遇だな。
 ……流石にこの辺りで水着美女に遭遇できるなんて思っちゃいねえさ。」

そう言ってからふと思う所でもあったのか少し考える様に視線を彷徨わせ、すぐに止めた。
そのままえっちらおっちらモルガーナへと近付くと、足を止めてトランクを下ろし、

「何やってんだこんなとこで。
 って、見りゃ大方予想はつくけどな。
 牧場の手伝いなんて、真っ当にする生徒なんて少数だと思ってたが、感心感心。」

出来る事なら自分とこのも生徒に手伝わせたい名無だが、
如何せん取り扱っている生物が多種多様で危険度もまちまちなので一概に任せられないのである。

「感心ついでに此処は一つ水着になってみたりとは、いかないもんかね。」

下ろしたトランクに腰を下ろしつつ、そんなことをのたまったり。

モルガーナ >   
「夏は色々と暑さにやられておると聞くが予想以上での。
 てっきり主もありもせぬものが見え始めたのかと思ったが
 一応正気……なのかの?」

僅かに首を傾げるとゆっくりと近づいていく。
魔法生物担当の教師だとは把握している。
大方獣医のような仕事もしているのだろうと見当はつくが……
こんな僻地でこの猛暑の中働いていたのかと思うと正直哀れみが勝つ。

「うむ、折角の休みじゃからな。
 小屋を借りて暫く此方で過ごしておる。
 放牧はついでといったところじゃな。
 まぁ宮廷人よりは御しやすいでな」

道理の分からないお馬鹿と違い、誘導に必要なモノはそう多くはない。
言葉が通じない生物の方が楽だというのはある意味皮肉だが
えてしてそういうものだとも思う。が……

「前言撤回。主はやはり正気ではないようじゃの。
 暑さと欲求不満で正気を奪われたか?
 学校が休みじゃからと言って倫理観もオフになったのかの?不良教師め。」

トランクに腰掛けて問題発言を吐き出した教師に僅かに眉をひそめ、溜息を一つ吐く。
しかし数秒後に薄く笑みを浮かべた表情に戻る辺り
軽い応酬だとは理解していると伝わるかもしれない。

暁 名無 > 「はっはっは、正気も正気さ。
 いっそ暑さでやられてるほうがマシかもしれないけどな。」

名無は暑さや寒さといった環境に対する耐性は強い方だ。
今の時期でも砂漠に放り出されたところである程度は生存するだけの術は持ち合わせている。
とはいっても生き延びられる、程度のもので疲労や精神的なダメージを無効とするわけではないが。

「なるほどな。
 まあ折角の長期休暇だ、スローライフを満喫するってのも悪いことじゃない。
 生徒が思い思いに夏を過ごしてるってんなら何よりだ。  ま、ともあれ熱中症には気を付けろよ。」

もっと他の生徒たちも見習って欲しいもんだ、と口にはすれど。
遊びほうける事もまた夏の過ごし方の一つ、と理解しているし強制させる気も更々無いのだった。
同様に、目の前の少女にも他の生徒と同じ様に過ごせと言うつもりも毛頭ない。

「何だよ、正気だっての。
 そもそもカウガールといえばビキニスタイルってのが鉄板だろう?
 まあ、体操服ってのもそれはそれで乙なもんだけどな。
 倫理観なんて重ったるいもの、学校内で持ち合わせるだけで充分でーっす。」

汗をかいて下着が透けるのもまた夏の風物詩、とへらりと笑みを浮かべていけしゃあしゃあと言ってのける。
不良教師であることなど周知の事実であるし、それを今更撤回する気も無い。
もともと名誉なんて気にしない性質であるからして、挽回する気も無いのだ。
そしてそのスタンスが、どういうわけか生徒に受け入れられているのがこの教師の不思議な所である。

モルガーナ >   
「正気でそれとは恐れ入る。
 元々いかれておると公言するような物じゃと思うのだが」

悪びれもなく笑う様子を見る限り
一仕事終えてきた後なのだろう。
暑さよりも精神的な疲れが勝っているという所か。

「なに、人込みでの人酔いに比べればこの程度で体調は崩さぬ。
 人と造りが完全に一緒なわけではないでな。
 あくまで模しておるにすぎんよ」

文明の利器というのは便利なもので
電気だけで部屋を冷やせるという利便性も相まって
人間を部屋に引き籠らせることにも一躍買ってくれる。
猛暑日の日中ともなればあら不思議、普段はうっとおしい程の人混みが
綺麗さっぱり消え去ったりもする。

「それは臆面もなく笑顔で言う事か。放蕩教師め。 
 ……それを学校の重役の前ででもいえるのであれば認めぬこともないが。
 しかし……ふむ。そういったものなのか。
 ある程度慣れたと思っておったがやはり異文化というのはまだまだ分からぬことが多いの。」

とは言えこれまで聞いてきた情報にないだけでもしかすると一理あるのかもしれない。
何せこちらに来てそう長いわけでもないのだ。自分の感覚では。
僅かに首を傾げ、しばらく思考を巡らすと左手の人差し指と親指の指先を合わせ、ゆっくりと息を吹きかける。
指先から零れた光の粒子で薄く全身を包むと瞳を閉じ、パン!と両の手を打ち合わせると同時に光の粒が蛍のように散っていく。

「……これで良いのか?」

確か水着とはこんな格好だったはずだが……と変わった姿を見下ろし尋ねる。
手編みの麦藁から白い鍔広に変わった帽子を抑えながら空を見上げた。
日が落ちてだいぶたつがこの格好でも気にならない程まだまだ気温は高いようだ。
……しかし肌面積が広くあまり落ち着かないなと少しきまりが悪い心地がする。

暁 名無 > 「いかれてるとは、また随分な言い様だなぁ。
 酔狂と言ってくれ酔狂と。」

けらけら笑いつつ、さほど気にした様子は無い。
普段から言われる事もあるのだろう。「先生頭おかしいよ」と。

「ははあ、それもそうか。
 けどまあ念の為な。種族によっちゃ人間より体内に熱がこもる事もあるから。
 日光は平気でも湿気がダメ、とかな。気を付けるに越したことは無いだろ?」

体温調節の方法なんてそれこそ千差万別なのだろうが、
一応教師としては生徒の体調管理に気を配るのは当然ということらしい。
人酔いという言葉に、なるほどだからこんな僻地に、と納得して。

「言えるけど怒られるからあんま言いたくは無いわな。
 とはいえ普段の態度は上にも伝わってるだろうし……
 そのうえで怒られてないから、まあ、オッケーオッケー!」

労働者としてその気構えは如何なものか、と真面目な教員からは怒られそうなことも平然と言ってのける。
これが暁名無が教師として在籍していられる理由なのかもしれないし、近々懲戒免職されるかもしれない。
真相は神のみぞ知るといったところ。神様もそんなこと知っていたくはないだろうけれど。

「異文化といえどこの世界のみでもだいぶ文化が枝分かれしてるからな。
 文化の闇鍋状態さ。俺も大半は把握し切れてない自信がある。
 それでもやっぱり畜産に従事する女子は三角ビキニにデニムのパンツ……お?」

話の途中、丁度熱が入り始めたところで光に包まれるモルガーナを見て言葉を止める。
その後現れた水着姿に、口笛を吹いて感嘆の意を表して。

「そう、そうそうそう。
 良いね、よく似合ってるじゃん。いやー、ありがたやありがたや。
 ただ敢えて言うなら柄がなあ……そう、ちょうどあんな柄がベストよ。」

そう言って指差すは牛舎に帰っていく途中の乳牛。
参考にしても良いし、しなくても良い。