2019/08/15 のログ
■モルガーナ >
「……げほっ……」
力の入らない腕を男の両肩に回し、ぐったりともたれかかり
体を預けたまま岸へと運ばれる。
頬に当たる赤い髪にゆっくりと目を向けると喉の奥で笑い声のような音を零して
「……見ておったな。戯けめ」
確かに入水自殺に見えるだろう。
自分で立ち上がる事も出来ない程体力を使った挙句水の中に落ちたのだから。
外見上ほぼ裸体に近い格好だからと言って
泳げないほど体力を使ってしまえば結局の所沈むだけだ。
「そう思ったならなぜ助けた。
放っておけば良い物を」
肩におでこを当て、体を預けたまま小さな声で呟いて。
■暁 名無 > 「ったく、放っとけるか。
こちとらお前さんの言う責任を最後まで果たす為に明日の予定を変えてまでこんな山奥に戻って来たんだぞ。
だのに放置しようなんざ、大した女帝様も居たもんだ。」
ぶつぶつと文句を零しながら湖岸へ泳ぎ着けば。
モルガーナを小脇に抱えたまま、ざぶざぶと水から上がって大きく息を吐いた。
着衣水泳で人ひとり抱えるのはだいぶ無謀だった、と反省しつつ。
「さ、立って歩くくらいの力は残ってるよな?
ったく、びしょ濡れなのをどうにかしに来て、
結果さらにずぶ濡れになってるじゃねえか。どんな落語だ。」
肩腕でモルガーナの身体を支えつつもその場に自立させようと。
出来なければまた抱えて運ぶだけだ、と水泳の疲労を僅かに感じさせる身体に小さく活を入れて。
■モルガーナ >
「悪戯よりも機が悪かったという事じゃ。
不運だったと思って諦めるが良い。
……恨むなら己が不運を嘆く事じゃな。」
ひっぱりあげられたというのに不遜な口調を崩さないのは最早性格なのだろう。
だいぶ疲れこそしたものの、これで足元に池が広がるような事態は避けられそうだ。
……もっとも早急に魔力補給の必要はあるが。
支えられて立ち上がろうとはするものの、満足に体に力が入らず
ずるずるとその場に座り込む。
「残念ながら立つのは愚か体を起こすのもままならん。
暫く休憩が必要そうじゃの。
……家が水浸しになるよりはよかろうて。
主とて陸で溺死したくは無かろう?」
何処か自嘲するような響きが混ざりながらも
濡れた格好のままゆっくりと見上げて微笑む
■暁 名無 > 「ああ、全くだ。
やっぱり夏は山じゃなくて海だな海。」
こんな事態になっているそもそもの契機は、名無が気紛れに農業区に来たからである。
自分の決定を罵りながら、力なく頽れる少女を見て小さく溜息を零して。
「こんなとこでぼけっとしてたらそれこそ風邪引いちまうだろ。
やれやれまったく。
どうせでかい態度取るなら家まで運べくらい言えってのに。」
ちょいと失礼するぞ、と前置きしてモルガーナをお姫様だっこの要領で抱えてしまおうと。
元女帝様がお姫様抱っこなんて笑えるな、なんて軽口を叩きつつ。
「覗くなと言われたのに背いた罰だと思う事にしてだ。
他に何か必要な物とかあるか?着替えは……まあ、俺の分も必要になったわけだが?」
男物のタンクトップ一枚が男女二人の着替えに足るかどうかなんて考えるまでも無い。
■モルガーナ >
「来年はそうする事にしよう。
……どちらにしても水難の相が出ておる。
気を付ける事じゃな。」
来年の今頃の事を語るのがなんだか可笑しい。
そんな将来の事をいつかまた誰かとする日が来るのだろうか。
……取り急ぎ来年よりも近くに必要なモノがある。
「ふふ、不要な事は口にする必要はあるまいて。
他に必要なモノ……
そうじゃな、一つ拝借しようか。」
抱き上げられたまま一つ呟くと
ゆっくりと首に腕を絡め、ぐいと引き寄せて。
■暁 名無 > 「へいへい。
水難の相ねえ……」
どっちかと言えば女難の相だと思うんだが、というのはそっと心に秘めて。
どのみち気を付けないとなー、なんてどこか他人事の様に呟く。
だって気を付けたところで災難が降りかかる時は降りかかるもん!!とは本人の談。
「それって言わなくてもやってくれるだろう、みたいな意味で言ってる?
まったく、都合のいい奴め。律儀に従事してる俺も俺だけど。」
ぶつくさ。思ったよりもモルガーナが軽かったためか自称貧弱な名無の腕力でも苦も無く運べている。
さっさと小屋に放り込んで着替えさせて、と段取りを考えていたが、ふいに引き寄せられて。
「うん?何だよ何を拝借する気だ。
お手なら今埋まってるからな。」
■モルガーナ >
「女難に関しては大半が主の所為じゃからの
もはや言うまでもなかろうて」
腕の中でくつくつと笑う。
この教師の事だから来年もきっとお人よしに
誰かに引っかかって振り回したり振り回されたりしているだろう。
「言わぬが花とはよく言った物よな」
ぐったりとした体のまま運びやすいように身を寄せた。
随分体が冷えてしまっている。
恐らく今は普通の人ほどしか体温が無いはずだ。
「強いて言うなら……主自身、かの」
そう呟いて唇を寄せる。
カプリと甘噛みのように首筋に軽く歯を立て……
「ふふ、冗談じゃ」
そのまま僅かに舌先で舐めた後、再びぐったりと体を預ける。
■暁 名無 > 「ノーコメント!コメントは控えさせていただきます!
3回に1回は俺が悪くない時だってあるもん……」
自分自身の名誉の為に主張するが、その主張にどれほどの意味があるのか。
それでも主張せざるを得ない時だってある、と名無は後に振り返って語ったという。
「お、おい?
強いて言うならとか、言わんで良いから。強いるな強いるな。
……ははーん、さてはそう言ってアレだな、小間使いの仕事量を増やさせようって腹積もりだな。」
少しだけ焦る。
巫術を扱うものの中には術中のトランス状態から戻る際に過度の興奮状態に置かれるという。
腕の中に居る少女も、見た目こそ疲弊している様に見えるが実態は情欲に抗っているのかもしれない……
等と考えて、全くその心配が無いのだと知り名無は大きく息を吐いた。
「ったく、変な冗談を言えるだけの気力はあるってのは分かった。
てか、ひゃぅ……いきなり変なとこ舐めるなこらっ。」
■モルガーナ >
「まぁ今回は妾にも非があるでの。
……世話をかける」
ぼそりと呟く。
本人にも思う所があるのだろう。
実際事情を加味しなければ世話になっているのは自分の方ではある。
「……察しておるようじゃから言わせてもらうが
主とてそこまで身を挺する必要もなく、選ぶ権利もある。
これでも耐えておるのじゃからこれ以上言わせるでない」
ゆっくりと震える息を吐く。
疲労困憊ではあるが、先ほどの舞は
月との結魂の儀であると共に自身の命を削ってでも
魔力を世界に還元する法。
敢えて俗に言い換えれば魔力的な情交のようなものだ。
ましてや今のように物質に寄った状態であるなら尚更……
「……小屋に運んだらそのまま帰れ。
身の保証が出来ぬ。」
そう呟いて目を瞑って。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」からモルガーナさんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」にモルガーナさんが現れました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 「身の保証って……あー、まあ、そのな。
見た感じ衰弱の理由は魔力不足の様だし、応急手当くらいはさせてくれ。
世話を掛けたと思うなら最後まで世話を焼かれろ。」
小さく溜息を零し、帰れとの忠告は綺麗に聞き流す。
ここで帰れるならそもそもこんなところまでついて来ないのだ、と不服そうに眉を顰めた。
くったりとしたモルガーナを時折抱え直しながら小屋へと戻る。
さてこの女帝様をどう持成せば良いか、と思案しひとまず寝台が無いか改めて小屋内を見回しつつ、
「あとは……外の荷物に幾つか使えそうなモンがあったか。」
ひとまず見つけた寝台にモルガーナを下ろすと、踵を返して再び外へ。
開きっぱなしで放り出されたままのトランクを引っ掴むと、小屋内へと戻ってくる。
「さあ、何がどう作用するか分からない。
今、嬢ちゃんがどういう状態か、分かる範囲で自分の口で説明して貰おう。」
■モルガーナ >
「いけずよなぁ……主は。」
色々な意味で本当に。
躰がまともに動いていたなら張り手の一つも食らわせたかもしれない。
「現状妾は魔力の制御がおぼつかぬ。
一度枯渇させなければ延々足元が水浸しになるでな。
そのついでに世界に魔力を還元した。
……それだけの話じゃ」
横たわったままポツリと返す。
自嘲も籠ろうというもの。
一度トリガーを引くと打ち尽くすまで止まらない欠陥銃のように
魔力と命が枯渇するまで加速しまき散らし続ける。
いくら膨大な魔力の持ち主とは言え、今はソレは害にしかならない。
「袢魂の儀とは言え命に別状は無かろう。
……今回はな。」
震える手で掛布団代わりに使っていた布を引き上げる。
躰についた水を吸いながらもそれはそれ以上は濡れていかない。
……どうやらひとまずは収まっているようだ。
■暁 名無 > 「そういうところが良いって意見も時折寄せられててな。」
さらりと受け流しながらトランクの中を引っ掻き回す。
見た目よりだいぶ容量があるのか、次から次へと物が出ては仕舞われていく。
「なるほど、魔術を受けたらそれを変換増幅させ続けてたってことか。
それは……難儀だな、実に。せめて魔力を吸収、貯蔵程度に留められれば良いのに。
発動までワンセットじゃ……物によっては大惨事になりかねない。」
今回は水浸しで済んだから良かったようなものの。
いや、良くないかと事情を知らずとはいえ事態を引き起こしたのは名無である。
反省をしつつ今聞いた症状を頭の中で何度も思い描きながら鞄から小瓶をひとつ、取り出して。
「まあ何はともあれ魔力の補給が先決だ。
まずは肉体における魔力の器……エーテル体を補強しよう、というわけで。」
小瓶は薄紅色の液体で満たされており、中には花弁が複数舞と鳥の羽根が一枚浸されている。
それを数滴、マグカップに落とし、魔法瓶の水筒から水を注ぐとモルガーナへと差し出す。
「はい、飲んで。」
穏やかに微笑んではいるが、有無を言わさぬ気迫が滲み出ている。
■モルガーナ >
「大事なくて良かったな?
もし火であれば主は今頃この辺りと一緒に消し炭じゃ。
以後軽率な悪戯には気を付けるが良い」
軽口を叩きつつも実際消耗は激しい。
自分で吐き出すのと無理やり吸い出されるとは感覚が全く違う。
肺の空気を無理やり吸い出されれば人であれば最悪死に至る。それと同じだ。
まぁ今回に関してはいくつもの要素が重なって偶然引き金となったのだから
純粋に運が悪かったと言えばそうかもしれない。
「……誰も巻き込まぬ場所で療養しておればこれじゃからなぁ。
ほんに厄介な躰じゃな。
肉の体で生活しておる点に関しては素直に人間に感心せねばならんの」
苦々しく呟く。
折角この辺りは美しい場所なのだ。
消し炭にでもしてしまえばもったいないことこの上ない。
そんな思考に浸っていると差し出された液体に目を細める。
「……確かそれはやたら苦かったはずじゃの?
残念ながら体が動かぬでな。
またの機会とさせて貰おうかの」
まぁ今や味覚は無いのだから別に気にはしないのだが
素直に受け取るのがなんだか癪だという非常にどうでも良い理由で
飲めないと嘯いてみたり。
■暁 名無 > 「流石に火を着けるような悪戯はこれまでもこれからもしねえっつの。
そのままじゃ普通に暮らす分には良いとして、休み明けてからの学校が大変だろ。
感心するなら改善とはいかなくとも何か対抗策を打つべきだ。」
そもそも名無は目の前の少女がどういう経緯でこの島に居るのかを知らない。
誰に対しても明け透けな態度を取りつつも、どこか壁を作っている様な男は事実互いに踏み込まない一線を必ず引いている。
しかし、生来の人の好さが災いしてか、それとも別の要因があってのことか、一方的に踏み入ってでも他人に対して行動を起こすことがままある。
まさに今がその状態だ。
「そんな危うい状態で万一の事があったら承知しないからな。
ついでに我儘も関知しない。黙って大人しく飲め。ほら、ほーら。」
ぐいぐい、とカップを押し付ける。
最悪口移しで飲ませるぞ、と脅しを掛けつつ。
■モルガーナ >
「そうじゃな。丁度よいので休学届を渡しておこうかの。
別に退学届けでも良いのじゃが、
いましばらくこの島には滞在する事になりそうじゃからの」
部屋の隅に置いてある学生鞄に視線を向ける。
簡素な机の横に置かれたそれは何時でも使えるように綺麗に手入れしてあるが
「済まぬが暫く学舎には行けそうにない。
特に問題は無かろう。元々妾はくらすめーとの間では浮いておる。
声を聴いたことすらないものの方が大半じゃ。
この島では珍しい事でもあるまい。」
久方ぶりに学業に専念できるのは愉快であったがなと口にしながらゆっくりと上体を起こす。
震える手でカップを受け取ると僅かに口に含み、残りは傍の机の上に。
「生憎、人の言う事にはあまり耳を傾けぬ性分でな。
主とて同じであろう。諦めるが良い」
そんな憎まれ口を叩きながら倒れこむように再び横になる。
■暁 名無 > 「変な所で諦めが良い奴だなお前は。
夏休みが終わる前にどうにかしようって気概は無いのか。
デカいのは態度と胸だけですかー?んー?」
まったくもう、とモルガーナの視線に釣られて学生鞄を一瞥すると肩を竦める。
直接的な受け持ちでは無いので休学届にしろ退学届にしろ受け取る義理は無い。
何しろ今は休校中で、名無は教員という肩書きを学校に置いて来ている。そこまでしてやる道理は無いのだ。
自分でやっとくれ、と突っ返す様に告げて、寝台に倒れた少女を見つめる。
「同じだろうと言っておいて諦めることを進言するか。
馬鹿だなあ、そこまで解ってるなら無意味な事だって判るだろうに。」
机に置かれたカップを手に取ると、おもむろに即席の薬湯を口に含む。
水で薄めてなお粘性を感じる口当たりに辟易とした表情を浮かべつつ、横たわるモルガーナの肩口を押さえ付け、宣言通りに口移しで全て飲ませようと。
勿論無理に流し込むことはせず、ゆっくり時間をかけて飲み干すまでそのままでいるつもりだ。
■モルガーナ >
「永く生きれば生きるほど諦めは早くなるものじゃろう。
人のことを言う前に主はもう少し頭の方を大きくするべきじゃな。」
やれやれと首を振る。
学校まで届けるのが面倒だという理由ではないと判っているだろうに。
全くもって自分には人の運が無い。
……まぁ無断欠席でも問題はないだろう。
「……一応言っておくが妾と今は学生の身の上なのじゃから
無理に唇を奪いでもすれば流石に問題……っん」
幾分曖昧な意識のまま中空を見つめていると、何かが触れる感覚。
両肩を抑えられ抵抗する間もなく覆いかぶさられると
ぱたぱたと押さえつけられた体が跳ねる。
唇を割って入ってくるどろりとした質感に失われそうな正気を必死に保って。
■暁 名無 > 「っ……はぁ、はぁ……
まったく、手古摺らせやがって……」
何分の間口移しを続けていただろうか。
自分の口内が空になってもなお、少女が全て飲み下すまで唇を重ねていたが跳ね上がる様に顔を離して。
「問題にでも何にでもすりゃあいい。
教師でなくなる程度、俺じゃなくなるよりはよっぽどマシだ。」
薬湯の名残が口の端を垂れるのを手の甲で拭い、大きく息を吐く。
窓から差す月の光で朱い髪が煌めき、同様に紅く染まった瞳がモルガーナを見据える。
普段の飄々としたものから随分と幼く見える程に嫌悪感を露わにしたような表情で、
「長生きしてようが、人間じゃ無かろうが、なんだろうが、
大層な理屈を並べて、結局のところ目を背けて逃げようとするやつが俺は嫌いだ。
……大っ嫌いだ。
だから俺は逃がさない、絶対に。
お前の思い通りになんか、するもんか。」