2019/10/11 のログ
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」にモルガーナさんが現れました。
■モルガーナ > (竜人待ち合わせ中……)
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
■モルガーナ >
「聖職者の自覚は無いのかこの放蕩教師め」
例えしの間際でも軽口を叩く性分のため
口に残る感触に若干眉を顰めつつ机に飲み干した盃を置きながら愚痴のように吐き出す。
歴史上仕方が無いのかもしれないがこの世界は科学と魔術の進み具合が実に歪だ。
それ故かこういう事態に陥るとこういった飲み物はどうしても避けて通れない。
「主、これが我ら種族にとって劇薬であったなら大惨事じゃぞ。
加えて妾の気性がもう少し荒ければ今頃消し炭じゃな。」
実際火でも吐き出せそうな気分だ。
魔力枯渇の影響もあり頭や体に高熱が籠っているような感触に再び倒れこむように横になる。
「ああ、本当に熾火というのは厄介なものじゃ」
ゆっくりと吐き出しながらぼそりと零した。
■暁 名無 > 「この世界じゃ教師が聖職者だなんて言われてたのはもう数十年も昔の話なんでね。」
とうの昔に破綻してるさ、と肩を竦め答える。
そもそも名無にとって教職はあくまで『おまけ』だ。本業は学者である。
そんな事を嘯きながら、くぁ、と欠伸を漏らしつつ椅子の背もたれを抱え、顎を乗せる。
「それだけの元気があれば後は安泰だな。
ま、消し炭だけは何とか避けとくさ。ちゃんと快方に向かうのを見届けときたいんでね。」
飄々と微笑いながら寝台に横たわるモルガーナを見据える。
軽薄そうな表情の中に在っても、その眼差しは小さな異変一つ見落とさんとしていた。
「識火……か。
嬢ちゃんの世界ではそう呼ばれる体質なのか?」
あるいは病か、と考えつつ訊ねる。
別に答えが返って来なくとも構わない、と言った風の。いわゆる世間話の態で。
■モルガーナ >
「そうじゃの。
生徒に手を出す教師も何人か目にしたでな。
こちらの世界では一般的なのかは知らぬが驚いたな。」
自分の世界では文字通り聖職者こそが教師だった。
加えてそもそも人間の教師自体が少なかった。
彼らの寿命は余りにも短すぎ、世界は余りにも広く、険しい。
だからこそこちらの平和さを気に入ったわけだが……
「……期待はするな。
根本的な部分から我らは此方に合っておらん。
これもまた一時的な対処療法に過ぎん。」
異物である自分がこの世界の一部で居られるかはまた別問題だった。
何もかもが違う自分がこの世界に溶けていく事はしようのない事なのかもしれない。
ゆっくりと息を吐きながら寝返りをうち、此方を見つめる瞳をじっと見つめ返す。
「ふん、あちらで熾火などと言えば宗教戦争が起きかねんな。
それ程もっと尊大で下らぬ名で呼ばれておったよ。
……最も今の妾はその残骸に過ぎん。そういう意味では熾火というのが正しかろうて。
今や不便でしかないのだから笑うしかない。
それを知ってどうする。主が知る世界ではないのだから
主にとっては無いに等しい世界の話じゃろうに。」
全くもって笑い話にもならない。
此方の世界にやってくるもののどれ程がこの世界に適応するのだろう。
■暁 名無 > 「まあ、そんな世界もあるってこった。
一般的……とまではいかねえとは思うけど、な。」
流石の名無に言葉に詰まった。
そんな教師ばかりでは無いのは事実慣れど、例外がまさしく名無本人なので口が裂けても言える事じゃない。
「……だろうな。
まあ、そうは解っていても期待しちまうもんなのさ。
勝手な押し付けみたいなもんさ、気にしないでくれ。」
別の世界から来ているのも、別の時間軸から来ているのも、余所者と言う点では同じだと名無は思う。
ゆえに、異世界からの来訪者がこの世界に馴染む事はそのまま名無にも言えることだ。だから期待してしまうのかもしれない。
寝返りを打ったモルガーナと目が合い、錆色の瞳が僅かに柔らかく細められる。
「ま、知って如何こうなるもんでも無いのは百も承知さ。
ただ、知ることその物に意味があることもある。
現に嬢ちゃんに施した処置だって、これまでにかき集めた知識の結集みたいなもんさ。
知ってるのと、知らないのとで雲泥の差が付く事だってあるもんさ。」
そう嘯いてから目を合わせ続けるのは気恥ずかしいのか、視線をモルガーナの肢体へ向ける。
呼吸の乱れ等が無いかとつぶさに観察しているようでもあり、ただ目の保養をしてるようでもあり。
■モルガーナ >
「それ自体は不可思議ではないのぅ。
物質的な体を形成しておるうちはそういった快楽を求めるのも理解できぬ事ではない。
妾とてヒトの体をベースに自らを形作っておるのだから理解自体は難くはない。
かるちゃーしょっく、というものじゃな」
肉の体には肉の体の欲があるという事に過ぎない。
実際、美味しいものを食べる事も、ゆっくりと眠る事も
全身を襲う感覚に荒い呼吸で波に耐えるのも
こうして人の体を模すまで久しく忘れていた感覚だった。
「なるほどのう。
炎龍の住処では熱湯も冷水……とはよく言ったものじゃ。
人というのはこんなにも目まぐるしく生きておるのか。
愉快な事を探す事に迷う日が来るとはな。」
異質であることも、異質でしか在れない事も
そう悪い事ばかりではないと今は思う。
その中で過ごした日々は少なくとも鮮烈な色を持っていたのだから。
「……人が熱に耐えておる姿を眺めるのが趣味か?
世界も法則も違うモノの事を見ても理解は出来まいに。
……まぁ好きに眺めるが良い。今は咎める気分でもない」
四肢を見られることには慣れている。
顔を、特に口元を見られることもこちらに来てだいぶ慣れてきた。
……今でも少し恥ずかしい事には変わりはないが。