2019/10/12 のログ
■暁 名無 > 「……ふむ、そうか。
まあ肉体関係だけが目的じゃなかったりするしな?
一概にそういうものだと思われるのも、ちょっと可哀想だから。ほら。」
純な付き合いをしている人だって居るから、と言いつつ。
不純異性交遊の常習犯であるところの名無はそれ以上にフォローする言葉が無い。
正直聞いてて申し訳なくなってくるレベルで心が抉られている。
「生きられる時間が短く限られてるくせに、半端に高い知能なんて持ち合わせた結果このザマだ。
ただ、だからこそ生きてるのは面白いとも言える。
ま、中々捨てたもんでも無いさ。生きるってのも。」
にへら、と子供じみた笑みを浮かべたが、俄かに表情が陰る。
カタ、と椅子の足を鳴らしながらそっと腰を上げると、静かに寝台へと近付いて。
「……熱?
ふむ、魔力が飢餓状態にあるのだろうか。
それとも単純に風邪の初期症状か?湖の中でひと泳ぎした格好のままだしな。」
ちょっと失礼、と断りを入れてからモルガーナの額に触れて体温を確かめようとする。
その眼は真剣そのものだ。
■モルガーナ >
「他に何がある?
愛情故と言えば聞こえは良いがその傘の元でまぐわうておるのことは変わらぬ。
その感情があるが故に許されると思うておるだけで肉欲に耽っておるだけじゃ。
む、そういった欲求があること自体は否定しておらぬぞ。
欲そのものを否定する程稚拙でもないでな。その必要もない」
実際こうして肉の体が壊れていくのに抗って繁殖欲求を抱いているのと同じく
自分の子をなしたい。または相手を何らかの形で征服したいといった欲求、
もしくは純粋にその行為を通して快楽を得たいという理由で
そういった行為に及ぶのは生物学的には正しく理解できることだから。
逆に言えば純粋にそれ以外での意味で理解が出来ない。
「難儀なモノよな。
短い生を走り抜けるからこそ光を放つと嘯く一方で
永く生きる事を望み、その生の苦しみを詠う。
主ら人というのは時折理解に苦しむ。」
全てが全てどうであるといった型にはまらない生物であることは理解している。
けれどそういった傾向がある生物としてみてしまうのだ。
元居た世界のヒトの尺度をこちらにもどうしても当てはめてしまう。
全くの別物と言い切れないほど類似点が多い事もそれに拍車をかける。困った癖だ。
「ん?……今の体温はこちらで言う40℃前後といったところかの。
魔力飢餓であることもあるが……強制的に物質的な体を安定させるモノを飲んだせいか
体自体が生存欲求に忠実になっておるようじゃ。
同様の理由で神経の過敏化等の症状も見られるな。
……体温自体は別として所謂媚熱といったところか。
いやはや、肉の躰とは面白い程反応が強い物じゃな。」
自分の症状について語っているとは思えないほど淡々と自己分析してみせる。
■暁 名無 > 「世の中には結納前に肉体関係は持たないとする連中もいるらしい。
いや、俺には全く理解できないんだが、まあ、それも込みで──」
うんうん、と大きく頷いて、
「人間と言うのは同じ人間からしても完全に理解するのは難儀するもんなんだよ。
だからこそ群としても個としても成立出来るし、傍から観てても面白いんだろうな。
理解出来れば面白い、というものでもないさ。不条理ギャグみたいなもん。」
額に触れた手から伝わる熱に、僅かに眉根を寄せる。
特別熱を帯びている……普通の人間と較べれば遥かに高熱だが、という様子は無い。体温が高いのは前以て聞いているし。
それを踏まえて体温を確認したが、どうやらそういう事では無いらしい。
「生存欲求……なるほど。
まあ良い事じゃねえの。体は生きたいと思っている。それならその欲求に従っちまうのも一興だ。
そもそもそんな捨て鉢な生き方、面白くは無いだろ。」
アタマとカラダを切り離して生きるなんてつまらなさそうだ、というのが名無の率直な感想である。
とはいえ、現在のモルガーナの心境を正しく理解したわけではないうえでの感想だった。
その欲求が繁殖に向いているのであればもっと他に対応を取った筈である。
熱に浮かされた顔が艶っぽいな、などと気楽に笑いつつ。
額に触れた手でそのままモルガーナの頬を撫でようと。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」からモルガーナさんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」にモルガーナさんが現れました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
■モルガーナ >
「少なくとも妾の世界ではそれが当たり前であったな。
いや、世界と言うと語弊があるか。
我らの環境ではと言うた方が平等かもしれんの」
人はそうではなかったなと思い返す。
統治下の町ではそのような施設もいくつもあったし、
そういったものが必要であるという事は知ってはいる。
そもそも寿命が短くか弱い生き物と長寿かつ簡単には滅びない存在とでは
そういった事柄に関する感覚を共用できようもない。
「群であれば簡単なのじゃが
個となると理解する気も湧かぬな。
人は少々騒がしすぎる。」
突き放す様に言いながらもそれに暖かい感情を持っている自分がいる事も否定できない。
それらが愛おしく感じるからこそ自分を形作るときヒトノカタを選んだのだろうから。
「悪いがこれは借り物での。
あくまでヒトを模して造られた感覚に過ぎん。
ヒト種の生存欲求を模してはおるが炎が尽きれば
何れ構成しきれず形を失う。
……加えて言うておかねばならんの」
頬を撫でる手をゆっくりと払いのけながら
うっすらと浮かぶ汗に張り付いた髪を流し、
ゆっくりと笑みを浮かべて
「この選択は捨て鉢などではない。
我らは滅びもまた生の一部と捉えておるだけじゃ。
未来を捨てるつもりも希望を諦めたわけでもない。
我らによる星の選択であり、怯懦やましてや諦念などでもない。
捨て鉢などと主ら弱き者と同列にしてくれるなよ。ニンゲン」
ゆっくりと上体を起こしながらまっすぐに視線を返し
言葉を荒げるでもなく、ただ静かに言葉を紡いだ。
■暁 名無 > 「ほぉん、なるほど。
まあこのご時世、他所の世界や其処の種族の道理にとやかく言う気は無いけどもな。
……ふむ。」
という事は、と呟いてから考える様に口を噤む。
目の前の少女も果たして生娘なのだろうか、と余計な事を考える。
見た目の年齢など宛てにならないので、案外経験豊富なのかもしれないが、とまで考えて。
内心を悟られればまた口煩く言われそうなのでさっさと思考を放棄する事にした名無だった。
「群れであり個であり、時には個人で一つの種とも呼べそうな奴だって存在する。
本当に、けったいな生き物だよ。
これまでごまんと生物について知って来たけど、それでもこいつは底が知れねえんだ。」
苦笑を呈しながらも楽しげに名無は言う。
様々な生物、それこそこの世界の外側のものについても知識を詰め込んでみたものの、人間について総てを把握するのは難しいと。
それ単体で一つの世界にも匹敵しかねない、と肩を竦める。
「──ああ、そりゃあ。」
払われた手を静かに下ろし、紡がれた言葉を神妙な面持ちで聞いて。
ふぅむ、と小さく息を漏らすと神妙な面持ちのままモルガーナを見据える。
「そりゃあ礼を失した言い方だったな。撤回して詫びよう。
すまなかった。
……ただ、それらを踏まえた上で、何と言うか……。
やっぱり、つまらないというか、勿体無いと俺は思う。
多分、そんな生き方が到底出来ない生き物だからだろうな、俺を含めた人間という生き物が。」
まあ生きる年月の長さが違えば感覚が違うのも道理だと名無自身も解ってはいるし、
人間の中にもそういった生き方を是とする者も居るだろう。
だからこそ、非礼を詫びる事はすれど、その生き様を無暗に讃える事もしない。
そう言う生き方をする者も居ても良いが、自分には退屈そうに思える、と素直に言ってしまうのが暁名無という人間であった。
■モルガーナ > 「そうじゃな。
主らニンゲンにもニンゲンの理がある。それだけの事よな。」
何処か考えるべきことでも思いついたのか思案を巡らす様に一つ瞬きを返す。
魔法生物学の教師という事もあり、それについて思う事でもあったのだろう。
「それに関しては人に限らんと妾は思うのじゃがその傲慢さもヒトの長所よな。
多様性と諦めの悪さがヒトの武器だなどと言っておったものがおったが……
ふふ、懐かしいのぅ」
確か勇者とか言われる者だったか。
当時は完膚なきまでに叩き潰したが
今思い返せば可愛らしい存在であったなと思い返す。
種としての限界を超えているという点では脅威ではあったがあれも多様性の一つと言えるかもしれない。
「……良い。妾は寛大でな。
主なりに善意での提言であったことは理解できぬでもない。
主らには主らの信条もあろう。」
それを曲げてでも自分の心情を理解しろとは思わない。
自分は自分であり、相手は相手。他人だ。
ましてや種が違う者同士、こうして言葉を交わして相互理解を図れること自体が珍しいのだ。
本当の意味での理解や共感など、しようがない。
「しかし、退屈……そうか退屈か。
ふふ、退屈となぁ?」
中々的確な表現だと含み笑いが漏れる。
人のカタチを取って一番よかったと思える事は何より
毎日がめまぐるしい事だと思う。
日が昇り、日が沈むだけで心が動く。
そんな者達が樹木のように生きるのはさぞ退屈な事だろう。
「ほんにヒトというのは愉快じゃなぁ。」
消耗した体でも堪えきれないかのようにくつくつと肩を震わせる。
確かにこの日々を紡げば未来に何かあると期待をしてしまうかもしれない。
そう思うと沸き上がる感情を抑えるのが中々に難しい。
■暁 名無 > 「そういうこった。
まあその理とやらをなるべく分解して知識にしていくのが、理解するって事なんだけども。」
幸いにも心を読まれることは無かったらしい。
内心ほっと安堵に胸をなでおろしながら、名無は生物学者っぽい事をのたまう。
「まあ知的生命体なんて驕ってなんぼさ。
でなきゃとっくに集団自決でもして滅んでるだろうしな。」
似たような事をしでかした事は歴史を振り返ればところどころ目にするが。
それでもまだ人間と言う種が滅んでいないのは、結局のところ傲慢が故でもあるのだろう、と名無は思う。
「俺らの信条と言うか、その辺は割かしバラバラだと思うけどな。
そんな人間の代表みたいな立場気取る気は無いんで、あくまで俺個人の感想として思っといてくれ。」
変な宗教家に後ろから刺されたりとかしたくないんで、とおどけた様子で首を竦める。
そして何やら笑い始めたモルガーナを見て、僅かに眉根を寄せ。
「そう退屈。
まあ死期をすんなり迎え入れる事も悪くは無いんだろうが、これだけ多様な世界があるんだ、
自分の頭にちょっとでも多く何か入れてみたいとは、考えないか?
知識欲だな、知らないものを知りたい、見た事の無いものを見たい、経験したことの無いものを経験したい。
未知という不確定な物を解明したい、という欲がある程度の知能を持てば沸くと思うんだが。」
それとも未知に対する恐怖心から生まれる欲求は、なまじ力があると生まれないのだろうか。
などと、ぼんやりと考えつつ訊ねる。
■モルガーナ >
「世界を識る事は確かに他に代えがきかぬものじゃな。
されどそれはまた次の生とて同じこと。
それは幾年月か数え切れぬほど先かもしれぬ。
その時何も成せぬまま、生を終えるかもしれぬ。
されどそれでもまた、我らは時に龍として、
時に人として世界を巡り、何度でもその一端を紐解くじゃろう。
……この感覚は此方では理解されがたいかもしれぬがな。」
此方では宗教と笑われるような話らしい。
全てを死によって結びとする。そんな感覚がこの世界では主流であることは理解している。
確かに名あるものとしては、死という機会は一つの分岐点ではあると思う。
けれどそれで終わりだとは考えていない。
そう考えると早く終わりを迎えようと、そうでなくとも大して違いは無い。
途方もない時の中で、知るべきことが尽きる事は無いのだから。
とは言え……例外はある。
「そうじゃな。しかし興味は湧くことはある。
世界そのものの僅かな一端……というところか。」
どうにも体が重い。
上体を壁に預け、凭れかかる様にしながら再び視線を男へと向ける。
「……主は自分の言葉では語らぬのだな。
自分の感情や信条を語るようで主は自身を語ってはおらぬ。
――信条といったな。それは本当に主の信条か?
自身の在り方を問う割には主自身は隠そうとする。
どうにも使い分けの好きな男じゃな。主は。」
■暁 名無 > 「人間てのは弱くて臆病だからな。
果たして次の生が確実にあるかどうかは解らない。
仮にあったとして、それが万人に通用するものなのか証明されてない。
そんなあやふやなものに賭けられる程達観出来てないのさ。
死んだらその時点で個は確実に消滅する、てのが未だに人間の生命の通説だ。
だからこうして若い世代へと知識や経験を引き継ぐような機構を作ったりしたんだろうけれどな」
ふう、と息を吐いてから視線を窓の外へと向ける。
底から見えるのは夜空と、月と、木々ばかりでとても校舎まで見えそうもない。そもそも距離的にも見えるはずもないが。
「死んだ後も自己が残ったままでまた次の生を歩める、と証明されればまた違ってくるんだろうがな。
不確かな物に信を置けるほど強くは無いから、一代で出来る限りの事をしようとするんだろう。」
いずれ子孫が解明出来れば良いと思いつつ、出来れば自分がこの目で、と思う事もある。
しかしそれが出来る期間は100年と無い。短い寿命の、さらに短い期間でしかない。
壁に凭れ掛かるモルガーナに、しんどいなら横になってろ、と声を掛けた上で続いた言葉にはいよいよ顔を顰めて。
「えぇー、言い回しの問題かねえ。
割と俺自身の本心で物を言ってるんだが。
まあ、そういうもんさ。人間てえのは。
なまじ頭でっかちなもんだから、回りくどくなっちまうもんかもしれないな。」