2019/10/13 のログ
モルガーナ >   
「ふむ、癖になっておるのか。
 嗚呼では、言い方を変えよう。
 ……主は何故恐れる。
 そして何故恐れを隠す。」

いつしか泣き始めた虫の鳴き声と、湖を吹き抜ける風の音に耳を澄まし
小さな窓からぼんやりと霞む月をのぞむ。
月に照らされた草原と湖が真白に染まり、それ自体が発光しているよう。
ああもう、すっかり夜になってしまった。

「本心ではないとは言わぬよ。
 何れの言葉にも本心が含まれておることは理解できる。
 しかし、それは主の本心そのものではない。
 ……事実を含めておるから嘘ではないと言い、他者の言葉で衣を纏う。
 そのような方法で誤魔化し続けている割には他者には真っすぐであることを求める。
 まるで自身がそうあれないと悟っているとでも言いたげな物言いではないか。」

気だるげな様子で水差しに手を伸ばす。
水差しはまだ重く、今の手では持ち上がらない。
けれどその冷たさを確かめようとするかのようにそれに触れたまま暫く黙り込む。

「すまぬな。妾には主が泣いている子供のようにしか見えぬ。
 自らの虚を埋めようと世界をそこに詰め込んで足掻いているようじゃ。
 ……語られぬ以上、これはあくまで推測に過ぎぬと一笑に付すこともできよう。
 主としてはそう答える事が一番楽なのじゃろうな。」

しばらくの沈黙の後、ぽつりと。

暁 名無 > 「そいつは流石に考え過ぎってもんだなあ。」

モルガーナの言葉を、しばしきょとんとした顔で聞いていた名無だったが。
小さく息を吐くと、苦笑を浮かべて少女の頭へと手を伸ばす。

「とはいえ、嬢ちゃんのいう事も大間違いって訳でも無いか。
 実際のところ、何も恐れてる訳じゃないといえば嘘になるしな。」

それに、と一息置いてから名無は続ける。

「本来なら俺は此処に居る筈では無い存在だ。
 別の世界とはまた違う、もっと日が経った後のこの世界の住人だ。
 だから俺は“今の”世界に何かを残すわけにはいかないし、その為にはどうしても素の自分を出さないようにしないとだしな。」

へらりと笑いながら、少女の髪をくしゃくしゃと掻き撫でる。

「話を戻すか。
 俺が恐いのは、そうだな……単純に言えば、俺が納得しない形で誰かとの縁が切れること……だな。
 この世界に来る前に色々とあったんでね。トラウマってやつさ。」

モルガーナ >   
「……ふむ。」

そっと水差しから手を離すと腕から力を抜き再び壁に体を預ける。
そのまま目を閉じると眠っているかのように俯く。

「その割には今の妾に生きろというのじゃな。
 あと、今を生きる生徒に手を出すのは今に干渉する事にはならんのかぇ?
 ……まぁよい。今はこれ以上問わまいて。」

頭を撫でる感触にふふ、とわずかに笑みをこぼす。
元の世界に居た頃であれば不敬とはじいたところだが
此方の世界ではただのヒトリに過ぎないのだから
その必要もなかろうと。

「納得する形なら消えても良いのじゃな。
 なるほど。ある意味人らしく自分本位といえよう。」

人に限らずすべては通り過ぎていくものだと考えている。
そのなかで培った理論なのだろう。

暁 名無 > 「ああ。
 別に嬢ちゃんに限った話じゃないがな。」

大仰に頷いてから静かに手を引っ込める。
長い時間触れられているのは辛いだろうか、と判断しての事だった。

「手を出す程度ならな。
 遅かれ早かれ“そうなる結果”が付いて来るなら、俺が何したところで勝手に世界が帳尻合わせに掛かるさ。
 それより、今は問わないってことは、また問う機会があるってことだよな?」

ふふん、と鼻を鳴らしながら首を傾げる。
言質は取ったぞ、と言わんばかりの表情だ。

「うー……極論言えば俺がこの世界から居なくなるまでは消えないで欲しいけどな。
 ……まあ、そんな事言っておいて、俺だって同じことをするかもしれないんだ。
 前も言ったろ?単なる一方的な自己満足さ。」

歪んでいるし、賢くないとは名無自身も思ってはいるが。
だからと言って他に良い手があるかと言えば、とんと思いつかないのだった。

ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
モルガーナ >   


「うら若い乙女の人生に傷跡を残す事は気にせぬのじゃな。
 しかも後始末は世界に任せると。……うむ、ヒトデナシじゃな。」

過大評価なのか過小評価なのか、その辺りは判断に困るところだ。
個人の人生が変わるかもしれない体験だと思うのだが
……いや、此方ではそうでもないのかもしれない。

「次があればその時には考えよう。
 あるとは保証は出来ぬがそれに関しては妾に限らぬのじゃからうるさくはいわまい?
 明日をもしれぬのは我らに限った話ではないのだからの」

まるで言質は取ったと言わんばかりの言動にくすりと笑みをこぼす。
疲れと消耗で頬を汗が伝うがそのままにして空を仰ぎ、小さくかぶりを振って。

「開き直るものが一番厄介よな。
 そう言われてしまえばどうしようもないのじゃから。
 わかっているかは別としてものぅ」

考えた末に出した結論だというならそれを曲げるのは自他ともに難しいものだ。
他人にその事情や筋道などみえはしないのだから。

暁 名無 > 「はは、全くだ。
 でも、そうでもしないとこの世界に安定して居られないしな。
 ……それに、俺が居なくなった後はもっと良い男が後釜に納まってるだろうさ。」

どうせ元から存在しない筈の男が消えても誰の中にも残らない。
全く別の誰かが空いた場所に納まって、最初から暁名無という存在は無かったように世界は続いていく。
そんな事を嘯いて、名無は笑うのだった。

「まあ、それはそうだが。
 仮にも女帝様が口約束とはいえ約定を違えるなんてことは無いだろう?
 ……なんてな。まあ期待はしないでおくさ。」

ケラケラと笑いながら、おどけたように身を竦める。

「他に良い手があるなら教えて欲しいくらいだな。
 ……ま、俺の事なんて何の足しにもならん事はこの辺で置いといて。
 さっきから起き上がってるのしんどいなら横になっとけよ。
 汗で凄いぞ、色々と。」

せっかく魔術による水浸しは鳴りを潜めたってのに、と軽口を叩いて。

モルガーナ >   
「そうは言いつつ主にとっては都合が良いとも言えるよの。
 後始末をせずともよいと同義なのであれば。
 まぁ事情が分からぬ以上何とも言い難いが語るつもりもないのじゃろう?
 ほんに面倒で遊びがいのない男じゃ。」

気だるげながら呆れたように口にしつつその言葉と同じような表情を向ける。
実際の所そういう側面も込みで動いているように見える。

「これでも努力はしておるのじゃがな。
 うむ。期待はするでない。
 期待などするだけ傷が大きくなるだけじゃ
 ……が。」

ふぅと一息ついた後、呆れた表情を消して柔らかい笑みを代わりに浮かべ

「消えゆくものだからこそ聞けることもある。
 未知を信じるのであればその事を覚えておくが良い。
 まぁちょっとした親切というものじゃ。
 ……妾の事も何の足しにもならぬが?」

疲れてはおる事は確かだと頷きながらも横にはならず
その姿勢のまま流す様に視線を向けた。

暁 名無 > 「もうこれ以上なく面倒なんだもんよ俺の身上話は。
 隠したいとか、そういうのじゃなくひたすらに面倒だから黙ってたい。
 本当にそれだけ。疚しいとこなんか無いのさ。億劫なだけで。」

遊ぶな遊ぶな、とひらひら手を振って受け流しつつ。

「努力は過程を評価するものと、結果を評価するものに分かれる。
 この場合は後者だよなーがんばれー。」

さらりと他人事の様に応援しつつ、笑みを浮かべたモルガーナの言葉に少しだけ神妙な面持ちの後に頷いた。


「………ああ、そうだな。肝に銘じておこう。
 それに、今は何の足しにならなくともいつか何かの鍵になる事もあるだろうしな。
 その立派なお胸様と併せてしっかり記憶しておこう。」

真面目な話をし過ぎた、と言わんばかりに視線は双丘へと向けられる。
遠回りながらも忠告をして尚、隠すそぶりも無いという事は見てもいいのだろうという結論で。
……実のところ、目を合わせているのが何だか少し据わりが悪かったというだけなのだが。

モルガーナ >   
「そうしておけば若い娘も食いつくであろうと。
 そういった方向にだけ聡いのじゃな主は。
 ……人らしいと言えば人らしいのかもしれんの」

何だかんだこうやっていうのも遊びの一つなのだがとは口にはしない。
言わぬが花ともいうし、これに関しては伝わらずとも好い部類でもある。

「……ほんにいけずよなぁ主は。
 これに熱をあげる娘が居る事が冗談にしか見えぬな。
 余程のモノ好きか余程の事情をがあるかその何方もか。
 こちらでは……そう、蓼食う虫もというたか。
 人の多様性を垣間見た気分じゃ」

まぁ人の好みに口は出さない方が良いのかもしれないとやれやれと。
少しだけ垣間見せた神妙さには僅かに頷いて。

「まぁ立派であることは否定せぬ。事実であるからの。
 巷ではたぴおかちゃれんじなるものが流行っておるそうじゃな。
 すまーとふぉんもおけるでの。妾にかかれば造作もないが。」

上に立つものという事もあるが文化圏の違いから体を見られることにはあまり抵抗がない。
そもそも侍女に着替えさせられていたのが日常というのもある。
何より……

「天球の至宝とまで言われた妾がそこらの小娘に見劣りするはずもなかろうて。
 敬虔の念でも抱えつつ眺めておくがよい。」

傲慢と言われつつもそこは譲らない。

暁 名無 > 「流石にそれは誤解だっつの!
 ……いや、解ってて言ってるよな。」

まったく、と肩を落としてから大きく頭を振る。
もう少ししおらしくしてくれてりゃ良いものを、と内心で思いつつ。

「流石に風評被害が甚だしいだろ。
 まあ真っ当に生きてりゃ必要以上に俺なんかに関わる事も無いだろうしな。
 それとも、女帝様も物好きの一人だったり?」

いやあ困っちゃうなあ、とケラケラ笑う様は微塵も本心を感じさせない。

「ああ、これならどちらも容易いだろうな。
 この大きさで下着が無いにも関わらず重力を感じさせないとは恐れ入る。
 天球の至宝……なるほど天球だ。」

大いに履違えている気はするが、感心しながらしげしげと眺め回す。
そこまで言うからには何か乗せてみたいよなあ、と呟きつつ。

モルガーナ >  
「役得に主は収まっておるのじゃからこれ位は遊ばせろ。
 でなければ妾とてやっておれぬ。」

見られて平気ではあるがそれとこれとは別問題。

「ほう?風評被害とな。
 主が思っておる以上に主の放蕩歴は生徒に知れ渡っておるぞ。
 『前はもっとヘタレだったのにね―』やら『逆にふりきっちゃったかも?』やら。
 教師というものに個人情報保護という概念は無いようじゃ。
 生徒で良かったというものだ。」

注目されても詮索されても痛くも痒くはない身の上なので正直どちらでも良いのだが。
だが移動するときにいちいち煩わしい事が無いというのは生徒は楽だ。
制限されていても無視しているので実質移動制限などないようなもの。
主に禁書庫とか。

「まぁこの体も一種の概念じゃからな。
 核となった思念の好みがこちらに偏っておったのじゃろう。
 下着?あれは好かん。
 なぜあのような拘束具と変わらぬものを身に付けねばならぬ。」

聞くにこの世界のれきしではさらにきつい下着があったそうだ。
わざわざ締め付けたり寄せたりしなければならないというのも難儀な話だが
龍種である自分とはあまり関係のない話。

暁 名無 > 「本当だ、開き直られるのが一番厄介だな。
 致し方ない、甘んじて受け入れよう。」

やれやれ、と言わんばかりに首を振る。
モルガーナの言う通り、役得に納まっているのだから文句の言い様も無い。

「いや、俺へのじゃなくて女の子たちへのな。
 そんな物好きや事情持ちばかりじゃないってこった。
 それはそれとして、……今後はもうちょっと上手くやった方が良いな。」

認識阻害の魔術までわざわざ習得して利用してるというのに、と歯噛みする。
もう少し身の振り方を見直すべきか、と独り反省して。

「なる、ほど、な?
 まあこの際生徒の趣向をとやかくは言わんがな。
 その信条で授業に出るというのは……大した度胸だよまったく。」

夏休み直前にはブラウスにスカート姿で登校したのだろうか。
だとしたら視線を集めた事だろう。主に男子の。
独特の話しかけ難さを醸し出している為か、声を掛けられることは男女問わず無かったのだろうが。

「けどまあ……確かに、必要は、無さそうだものな。」

メロンかスイカか、はたまたボールでも入れているのかと思うほどにはハッキリと形も維持されている事は容易に見て取れる。

ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」からモルガーナさんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」にモルガーナさんが現れました。
ご案内:「離島東側農業区 山中放牧地付近山中湖」に暁 名無さんが現れました。
モルガーナ >   
「……?なぜ妾が斯様な者達の事情を気にせねばならぬ?
 どのような形であれ自分で選んだ相手じゃろうに。
 それとも主、人に言えぬような魔術でも使って生徒をたぶらかしておるのか?」

教師にあるまじき鬼の所業じゃなと口にしながら少し思いを馳せる。
どんな形であれ、そこまで相手を好けるというのもそれはそれで立派かもしれないと思い返して。

「……どちらにしろ本気になるには少々物足りんなぁ?」

失礼極まりないがそれがこの龍だったりもする。
ある意味他人に興味が無いと評されているのはあながち間違いではないのかもしれない。

「うむ。 今の所袖を通す予定はなくなったが……
 制服で登校しておったぞ。度胸も何も妾が何を恥じる必要がある?
 なんら我が身に恥じ入る事などない。」

不要なものは不要だし邪魔なものは邪魔なのだ。
ましてやなくても困らないものなど無くてもいいではないかと思う。
服を着ているのは基本好みなのだから。

「ああ、でもあのスカートとやらはそれなりに気に入ったな。
 良い生地と構造をしておった。」

此方に来てよかったと思う事は服の多様性と生地が非常に上質だという事だ。
肌触りや色を自由に選べるというのはやはり気分が良い。

暁 名無 > 「そりゃあ大半が根も葉もない流言飛語の類だからだ。
 デマだデマ、そんなにモテててたら一人でこんなとこ来てない。
 それが事実なら休日に女の子を侍らせて生活してるわっての。」

大きく溜息をついてから頭を掻く。
噂になる様な相手が全く居ないと言えば嘘だが、かと言って放蕩が過ぎると思われるのも腑に落ちない。
だって仕事漬けになってる方が多いもん。圧倒的に。

「別に本気にならずとも、戯れでも良いんじゃないか?
 ……って俺が言うとまた洒落にならんから、そのまま清い体で居れば良いと思うヨ。」

あーはいはい流石女帝様デスナー、とだいぶおざなりな返答をしつつ。

「いっそ周りが恥ずかしいからな。共感性が高い年頃の女の子だって居るんだから。
 男子は……まあ、放っといても良いけど。」

青少年の何かが危うい気がするが、まあこの学校の風紀も割と世紀末だしな、と他人事の様に考える。
この少女を担当する事になった同僚たちに同情の念を寄せつつ、名無は肩を竦めた。

「どうせならもっと色々と試してみりゃ良いのに。」

ふぅ、と嘆息しつつ何となしに口にする。
まあジャージ着たりもしてたくらいだから、それなりに楽しんだのだろうけど、と付け足して。

モルガーナ >   
「また極端な返しじゃの。
 それにあれは大変じゃぞ。実に疲れる。」

別に婚姻関係にあったわけではないがどこに行くにもついてきていた経験はある。
別に気を遣う方は無いのだから気にしなくても良かったのだけれど。

「そうじゃなぁ。清い体でおるというのも一興じゃなぁ」

純粋な意味で言えばすでに汚れ切っているのだがとは微塵も見せず
おざなりな返事におざなりに返す。
遊びくらいの感覚で居れる事が一番なのだろうこの世界では。

「しらん。
 自己性など自分で作れ」

そして思いっきり言い切った。
実際そういう意味では真面目に興味もない。
ある意味自我が強すぎるのも問題だがそれを慮るタイプでもない。
なお担当教諭には教室内では一言もしゃべらない生徒として嘆息させているが
本人は興味がないので与り知らぬところ。

「色々試すのは愉快じゃったなぁ……
 くふ、今頃奴らはどうしておるのやら」

色々着替えるのは楽しかったなぁと思い返し懐かしむ様な表情になる。
此方に来たばかりのころ、あまりの布の豊富さに一通り袖を通してみた事が懐かしい。

暁 名無 > 「だろうな。やったこと無いけど、まあ大凡察する事は出来る。」

別段やりたいとは思わない名無である。
興味が無いと言えば嘘になるが、好奇心で実生活に弊害が出るのは嫌だという。

「体だけでもな。体だけでも。」

体以外はもう小汚い感じするけど、と思わなくも無かったが静かに口を噤む。
別に噤まなくとも良かった気もするけれど、一応噤む。

「自己性はあるんだよ、まあ嬢ちゃんがその態度だったらそのうち周りも慣れるだろうけどな。
 ……いや、でも……ううむ。」

やっぱり思春期の男子には凶器では?と思う。
まあそれでも主だった問題が耳に入って来なかった辺り、上手い事回せていたのだろう。

「もう試した後だったのか。
 何だかんだと、満喫してはいたんだな。学生生活を。」

まあそれなら一安心だ、と緩く笑みを浮かべる。
周囲への影響を考えれば安心できるものでもないのだろうが、そこは今は目をつぶるつもりだった。

モルガーナ >   
「一々一挙手一投足に監視が付いた煩わしさよ。
 しかし好いた相手ならそう動いても良かろうとなるとやはり鬼じゃな。」

自分よかよっぽどひどい回答をしているのだからそれを鑑みればましだろうと思う。
何故かそうではないと信じられているようだが……

「そういう所じゃからな?
 誰が体以外が汚れておると言いたげなのかしっかり話してもらわねばなぁ?」

だれが”だけ”じゃ。と毒づきながら額に手を当てる。
自分で言うのもなんだが、例えば今の格好なんかも
青少年にとっては刺激が強いのだろう。理解自体は出来るのだ
気を遣う気がないだけで。

「妾の故郷に似た服もいくつかあったでな。
 それにこれを楽しまずして他に何を楽しむというのだ」

折角の異世界なのだからとあきれたような声で問いかけて。

暁 名無 > 「うわぁ……それは鬱陶しいな。
 まあでも女帝様だったんだろう?そういう目付役は付き物なんじゃなかったのか?」

それともまた別の案件だったのだろうか。
そんな事を思いつつ訊ねる。未だに目の前の少女が一国の主だったとは思えていない名無だった。

「どういう所じゃろか?
 ……まあ、少なくとも体はほら、シミ一つ無い綺麗な肌じゃないか。
 白くて陶磁器みたいで見惚れちゃうねえ。……おやこんな所に謎の陰が」

面倒臭い事になる前にやや強引に舵を切る。
つらつらと心にも無いお世辞を並べた挙句、緩やかに張り出た双丘の、その頂を指先で弾こうと。
どうせ怒られるなら、と敢えて虎の尾を踏みに行くスタイル。

「楽しめるものは楽しめる時に楽しまないと、損だからなぁ。うんうん。」

そしてトドメのしたり顔である。

モルガーナ >   
「慣れておるとは言えうっとおしい事には変わりあるまい。
 一々喧しい物は喧しいのだ。」

思い出して顔をしかめる。そうでなくとも見張りの多い身の上だったのに
陽光を身に宿した後と言ったら……

「妾を何だと思うておる。
 そこらの色女と一緒にするでないわ。
 白竜に陰りなどあるものか。
 手癖の悪い小童が。」

伸ばされた腕を気だるげに指先で払う。
疲れているのにかこつけるにしても雑なので大方誤魔化そうという所だろう。

「そういう所じゃよ節操無しめ。
 そこに躊躇いを持てというに。」

そんなだから女生徒に逆に吹っ切れたと言われるのだと呆れたように口にしつつ
再び水差しに手を伸ばす。

暁 名無 > 「なるほどねえ。
 まあ、俺はそんな立場になった事が無いので?推察するくらいしか出来ないわけだが。」

ご苦労なこった、と肩を竦める。
推察でもなお名無の思考が及ばないような苦労があったのだろう。

「いやあ、あはは。
 節操なしとは心外な、これでも堪えてた方なんだけどな。
 俺もこう、腐っても人間の雄なので。
 その様にご立派なものを惜しげもなく晒されてると、様々な欲求が起こる訳で。」

いやに快活に笑いながら、下心を隠そうともせず告げる。
その言葉が本心か否かは、名無のみぞ知るところだが。
そして払われた手のやり場を如何したものかと中空で彷徨わせて。

「ん、水……飲みたいのか?」

水差しへ手を伸ばすモルガーナを見て、僅か首を傾げた。