常世島全体に広がる広大にして強力な無線通信網(ネットワーク)、それが常世島情報通信網、通称常世ネットワークである。
科学・魔術・異界技術の粋を集めて作られた高度なネットワークであり、「地球」ではこれに及ぶものは存在しないともいわれる。
学園地区に存在するニコラ・テスラのワーデンクリフタワーの如き通信塔がその主要な発信源。
報道部や個々人による配信なども日常的に行われる。

常世島情報通信網上にはいわゆる電脳空間(サイバースペース)があり、共感覚幻想(マトリクス)によって形作られた疑似再現世界が広がる。
この電脳空間に自らの意識・精神を没入させる技術は既に確立されており、電極パッドを頭部に装着するか電脳化した脳髄に直接接続させる方法が一般的である。
事例は極僅少ではあるが、ネットワーク世界から現実の肉体へと戻ってこれなくなった者も存在する。

一部の生徒の間では常世ネットワーク上で運営される様々なMMORPGが流行しており、その中でも特に有名なのが「蓬莱オンライン」である。
一般的なMMORPGのようにプログラムで再現された怪異を倒すなど戦闘の他、電脳空間上に再現された都市や自然を駆け回ることが可能。必ずしも戦闘をしなくてもよいという点が売り。
「地球」の様々な時代を体験できることも特徴の一つであり、《大変容》以前の「地球」の文化をこのゲームを通じて知ることも可能。
「異世界」については情報量がまばらであるため公式では再現度があまり高くない。そのため、一部ユーザーによってより本格的な異世界再現ワールドが作成されている。
なお、必ずしも精神や意識をネットワークにダイブさせる必要はなく、様々な端末によってプレイすることも可能。

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参加者(0):ROM(1)
Time:09:32:24 更新


ご案内:「配信チャンネル」からめらん子ちゃんさんが去りました。 (01/14-01:59:00)
めらん子ちゃん >  
【この配信は終了しています】
(01/14-01:58:59)
めらん子ちゃん >  
「今日は」「これでおしまいにしましょう」

背伸びして教壇に立ち、黒板を背にして呟く。
先生を真似ているかのような似合わない所作。

「おやすみなさい」

手錠に繋がれたぬいぐるみが教卓の上でぱたりと
倒れる。好意的に見てもお辞儀とは呼べようもない
それを最後に映像は途切れた。
(01/14-01:58:45)
めらん子ちゃん >  
「だから」「私は黒い猫を追いかけて」
「レンズで出来た瞳を覗き返すのです」

「あなたは」「どうですか?」

引き戸の向こうの部屋。右手側の壁には大きな黒板。
色とりどりのチョークが粉受けに山と積み上げられ、
奇妙なバランスで乗せられた黒板消しを支えている。
左手側には生活感に溢れ、しかし一寸の狂いもなく
整然とした配置が歪さを感じさせる勉強机。

椅子の数は机より2つ少ないのに全ての机には
等しく1つずつ椅子が揃えられ、縦列と横列の
総数が異なるのに前後左右の間隔が統一された
それらは正方形を成している。

廊下と反対側にある窓からは同様に眩し過ぎる
陽の光が差し込んで、天井にまで届く黒々とした
机の影と教室を二分している。
(01/14-01:45:19)
めらん子ちゃん >  
「私は」「死んだうさぎの残骸から」
「くらげの骨を拾い上げて生きています」

「誰のものとも知れない魂が土くれになった庭で」
「埋めた骨に食べられて」「夕暮れのバス停で」
「また目を覚まします」

幼稚園児が描いたような歪な人の顔の絵。
同じ顔の張り紙に埋もれた扉をからりと開く。
びしびしと突っ張った紙が破れて、古ぼけた
フローリングに赤い絵の具の水溜りを広げた。

「みなさんは」「どうですか?」
「ゆめをみたことがありますか」
「ゆめから覚めたことがありますか」

「うさぎがしぬゆめを」「みたことがありますか」

併走していたカメラのアングルは窓のサッシから
飛び降りて、めらん子ちゃんの背後にある廊下の
果てへとピントを合わせた。

動画時間一杯使って歩き続けていたはずの廊下の
終わりは未だ見えないほど遠く、窓から差し込む
強過ぎるほどの陽の光を浴びてなお黒々と。
(01/14-01:32:47)
めらん子ちゃん >  
カメラはめらん子ちゃんを追って一定のペースで
移動している。強制スクロールのゲームのように
右端から新しい掲示物が映り込み、通り過ぎると
画面左側へと消えていく。その繰り返し。

元々は白かったであろう古い紙に鉛筆で描かれた
あまりにリアルな目が1クラス分。整然と並んだ
紙をはみ出した手形は骨ばった赤子サイズの手から
めらん子ちゃんの頭を鷲掴みに出来る大きさまで
多種多少。

額縁に嵌められた硝子の向こうには半透明の細長い
魚類が及ぶ夕焼け空や規則正しく並ぶ惑星を見下す
青空、星空のど真ん中で月を貪る虚の姿。

裏返しのカバーをかけられた今月のお勧め図書は
ナイフで逆さまに縫い止められ、柄に結ばれた
凧糸の先には旧型のCDディスクが鳥避けとして
揺れていた。

多種多様な掲示物が並ぶ廊下は学校か美術館を
思わせる。使い込まれて画鋲の穴だらけになった
壁紙や、魅せる意図が感じられない飾り気のない
フローリングの雰囲気的には前者が近いだろうか。
(01/14-01:18:55)
めらん子ちゃん >  
画鋲。磁石。古びて黄ばんだセロハンテープ。
壁に垂直に貼り付いたスティックのり。壁紙を
剥がした裂け目を挟むクリップ。青緑色の錆。
多種多様な留め具が壁に掲示物を貼り付けている。

荒い画質と明る過ぎる画面のお陰で細かい文字は
読めないが、どの掲示物も改行のタイミングが
不規則だ。冗長な文章は時に紙の端を通り過ぎて
白い壁にまで掠れた文章をはみ出させている。

「わたしは」「今日も」
「うさぎがしぬゆめを見ていました」

緩い靴下で古ぼけたフローリングを擦り、わざと
滑らせながら奇妙なバランスで歩き続ける少女。
平仮名を思わせる曲線で構成された拙くも意味が
通らない文字で彩られた習字紙が画面外に消える。
(01/14-01:05:25)
めらん子ちゃん >  
白橙色に焼けた画面と軽い足音。光感度設定が
甘いカメラが使われているのか、画面に映る
木製の廊下は温かみより眩しさが目立っている。

「おは」「よう」「ござい」「ますっ」

ダンスのステップを思わせるリズミカルな足取り。
足音を伴奏に、時間にそぐわない目覚めの挨拶を
唱う。白飛びした画面に溶けるルーズソックスの白。
足音にスタッカートを付けるはずのローファーは
屋内からの配信だからお休みだ。

「ゆめを」「見ていました」
「みなさんは」「どうでしたか?」

色褪せ、ワックスも剥がれかけたフローリング。
不特定の間隔で設置された引き戸は統一された
シンプルなデザイン。めらん子ちゃんの歩みに
合わせてスクロールする其処は長い廊下らしい。
(01/14-00:51:53)
めらん子ちゃん >  
……

…………

……………………

『めらん子ちゃんねる』に新しい動画が投稿された。
タイトルは文字化けしており、投稿者コメント欄に
『子供の頃の夢を覚えていますか』との文言。

活動は不定期、アーカイブの再生数も尻すぼみ。
当初の動画から桁単位で減った再生数はたまたま
プチバズった投稿者の範疇を超えはせず、企業が
抱える常世Tuberと比べるとなお小さく見える数字。

にも関わらず、告知も宣伝もない生放送には
投稿者コメント欄に答える形で子供の頃の夢を
語るコメントが集まっていた。アクティブな
根強いファン層があると見ることも出来るが、
それ以上に "ファン" の語源を思い起こさせる
奇妙な熱狂がある、ような。
(01/14-00:37:18)
ご案内:「配信チャンネル」にめらん子ちゃんさんが現れました。 (01/14-00:37:05)
ご案内:「データ溜まり」からノーフェイスさんが去りました。 (12/12-00:19:44)
ノーフェイス >  
「……あの雪の降る街には、大きなツリーがたくさんあったよね。
 手をひかれて歩いたときのこと、ぼんやり思い出せてきた。
 でも、ボクはまぶしいくらいのイルミネーションも、
 聖なる人の誕生日も、甘いケーキだってそのときはどうでもよくて……」

ログアウト。
噂話は伝播する。
今回は、小規模な興行ー―というよりは仕切りの代行と客寄せが仕事。
落第街に灯す明かりは、今回は仄かなものでいい。

「ショーウィンドウの向こうのギターがいちばんきらきらして見えたんだ。
 あのとき泣いてぐずっていたら、どうなっていたかな?」

スパイスを効かせたホットワインを口にして、
電脳空間から自分のあるべき現実へ戻る。
(12/12-00:19:37)
ノーフェイス >  
ちずにないまち あまいくしやき
ふゆがふかまる つめたいよるに
さんたくろーすが あらわれます

あまいおかしに えっぐのっくも
ほっとわいんも そろっています
さむさをしのぐ こどもたちには
どうぞそのてを ふれないように

くろいらっぴんぐの ぷれぜんと
さんたくろーすに たずねてみて
ひみつのことば かがやくきんか
のぞめばきっと しっているはず

めりーくりすます
(12/12-00:13:45)
ノーフェイス >  
立体造形がされておらず、書割のようにぺらぺらなかぼちゃが、
ふわふわと掲示板エリアに近づくと、そこで停止。
テキストログを残すのに接触する必要性は本来ないのだけれど、
そうした形式や作法には妙なこだわりがあった。
(12/12-00:04:36)
ノーフェイス >  
高度な三次元グラフィックを描画する常世ネットワークの電脳空間上にあって、
非公式の自作アバターが跋扈するここデータ溜まりは無秩序の氾濫が起こっていた。
数十年前に流行ったアスキー・アートが服を着て歩いていたり、
バグったまま闊歩する四足歩行の動物は中身のユーザーがいるのかもわからない。

交わされている会話もミームまみれのトークからダクトなネタに至るまで。
喧しい界隈にポップしたのは、これまたレトロなアバターだ。
かぼちゃをくり抜いたジャック・ランタン。アバター名はK.F。
(12/12-00:03:42)