2019/03/17 のログ
ご案内:「幻想生物の研究室」に近衛 昴さんが現れました。
ご案内:「幻想生物の研究室」に暁 名無さんが現れました。
近衛 昴 > 「ここでいいのかな?…先生~ッ?返事ないけど、入っちゃっていいよね」

学園に復帰したことをまずは報告しようととある研究室の扉の前に立つ荷物を持った黒服の少女、扉から声をかけてみるものの応答はなくて。
ここにいると確かめてきたのでとりあえず中を確認してみようとそっと扉を開けて、部屋の中へと体を滑り込ませれば部屋の奥へと。
こうして会うのはあの夜以来すごく久しぶりだ、突然のようにある企業からもたらされた条件付きの援助の話。
目まぐるしく休学しての企業での実験の毎日、そしてその果てに実地テスターとして学園に戻ることができた。

暁 名無 > 「……すー、かー……」

研究室の扉に鍵もかけず、室内のソファで寝こける男。
新学期の準備やら研究レポートの作成やらで不足しがちだった睡眠を補っている最中なのだろう。

手に持ったスマホを体の上に乗せ、鳴ればいつでも起きられるようにしながら、暁 名無は眠っている。
来訪者の気配には当然の様に気付いていない。

近衛 昴 > 先を確かめるように進んでいくと一枚の扉の前に辿り着き、そっと扉から顔を覗かせればソファーで寝息を立てているお目当ての人物がいて。
ソファーの前のテーブルに雑然と置かれた書類から根を詰めて仕事をした挙句に力尽きたのが容易に想像でき、とりあえず荷物を置けばソファーで寝息を立てている様子を傍でしゃがみこんで眺めて。
傍にいても気づかない様子に暫しの間寝顔を堪能させてもらい、途中悪戯心がこみ上げるもせっかく戻ってきたばかりなので今は我慢、我慢。
耳元に顔を寄せれば囁くように彼を呼んでみようかと

「生?…先生?…暁先生?」

暁 名無 > 「ぅ……ん……?」

書類が飛ばない様に重石代わりにおかれたコーヒーの入ったマグカップからまだ湯気が立っていることからも仮眠を始めてそんなに時間が経っていない事も分かるだろうか。
すやすやと心地良さそうに眠っていた名無だが、流石に間近で名前を呼ばれれば気付くらしく。
うにゃむにゃ言いながらも近衛の方へと顔を向け、薄目を開ける。

「………?」

商店の定まらない瞳でしばし近衛を見つめる

近衛 昴 > 声に反応したのか薄く目を開ける様子にソファーに身を乗り出すようにして顔を寄せ、向けられる視線を合わせながら微笑んで見せるか

「ふふ…先生、起きた?ただいま」

相変わらずの様子に笑みを零してしまう少女のほうといえば、休学前に比べると憑き物が取れたように穏やかな様子でどこか大人びた雰囲気も纏っていて、暫く会わなかった間の成長が伺えるか。
成長しているのは雰囲気だけでなく、衣服の間から惜しげもなく晒されているたわわな果実も相応に成長しているようで。

暁 名無 > 「んー……」

しばし近衛の顔を見つめた後、ふわぁ、と欠伸を一つ。
寝起きは悪い方なのか、まだ焦点のあやふやな視線を泳がせて。

「あー……近衛?なんだ、随分と久し振りだな。」

ようやくまともな思考回路に切り替わったのか、眠たげながらも言葉を発する。
視線が大きく開かれた服の胸の谷間に移ってから言葉を発したような気がするのは、多分気のせいだろう。

近衛 昴 > ようやく目を覚ましたかと思うと、まだ目が覚め切っていないのか寝ぼけ眼の様子を眺めながらも彼の反応に頬を膨らませて。

「なに、その反応?せっかく休学明けに会いに来てあげたのに。それともあんなことまでした仲なのにボクのこと忘れてた?」

向かいのソファーに座る場所を確保すれば、彼が自分用に淹れたコーヒーのマグを傾けて勝手に一口いただいてしまうか。
一息つけばマグを元の位置に戻して机の上に置くのは少女が持ち込んだ荷物、中から取り出したのは最近CMでも見かけたであろうある企業の最新型のVRヘッドギア。

「これ先生にお土産。…スポンサーからの貰いものなんだけどボクには必要ないから先生に、ね」

暁 名無 > 「いや、割と素で誰か分かんなくてな。」

猫の様な欠伸をしながら身を起こし、ソファに座り直す。
向かいに座る近衛を改めて見て、随分印象が変わったなあ、なんて呟き。

「はいはい、VRの……なんで俺に。
 そもそもお前留年して休学したんだったよな?今まで何してたんだ?」

お土産、と言われ置かれた物を手に取って訝しげに近衛と見比べる。

近衛 昴 > いい意味でなのか悪い意味でなのか気になるところだが、雰囲気が変わったのは会わない間に積んだ経験によるもの。
なぜと問われればお土産らしいお土産が思い着かなかったほうが正しく、冗談を口にしながらも最後の別れた後の話をしてゆくか。

「先生の役に立つかなと思って、色々とね。今まで?留年になっちゃってしょうがないかなと思ってたんだけど、ある企業がスポンサーになって欲しいって依頼が来て、研究に協力すれば援助だけでなく色々便宜を図ってくれてね。それで休学して従事していたってわけ。それはそこでもらったサンプルね。」

嘘は言っていないが話していないこともある。開発実験の名の元に行われた実験や異能の調整、そして便宜のための接待など後ろ暗いものについては言葉を濁すだろうか。

暁 名無 > 「ほーん……」

コーヒーを啜りながら近衛の話に耳を傾ける。
率直に言えば胡散臭さしかないような話だが、現に一年経ってこうして五体満足な姿を見せているのだから
言及するのも野暮かと感想は呑み込んだ。

「まったく、そういう時はまず誰でも良いから先生に相談しろっての。
 独断で成功した試しなんてほぼ無いだろお前さんは。」

やれやれ、と肩を竦めてコーヒーをもう一口。
今更軽率さを叱ったところでどうしようもない事は名無が一番分かってはいるが。

近衛 昴 > 疑うような口調に彼の衰えてない勘の鋭さに感服してしまい、やはりいらぬ心配をかけさせないよう黙っていて正解だったと。

「ふふ、なぁに?心配してくれたの?それとも、もし話していたら引き留めてくれた?俺のために傍にいてくれ、とか」

楽し気に冗談を口にしてソファーから立ち上がれば、クルクルとスカートをはためかせながら部屋の中を見渡し、置いてある物や書籍などを興味深そうに眺めて回るか。好奇心の塊のような行動は相変わらずで、興味が向く先は段々と飼育室の方へとも向いてゆくか。

「先生、こんな研究室持ってるなんてなんで言ってくれなかったの?教えてくれたらこんないい研究場所ないのに…んっ、こっちのほうは…飼育室?」

暁 名無 > 「いや、まず普通に留年して休学するな。
 何かと事情があるだろうってのは分かるが、それを少しでも軽減させるための制度だって多少の手間が掛かれどあるんだから。」

これまでの数々のやらかしを考えれば心配しない方が無理といものだ。
近衛ひとりに被害が出るのであればいいが、必ずしもそうとは限らないのが恐ろしい所で。

「研究室っても学校の中だからな、普通に教師紹介とかに載ってるし……
 直接言う必要も無かったろ、ていうかじっとしてろじっと。
 あんまり不用意にものに触れると大変な目に遭うぞ。」

飼育室に興味を持った近衛に、咎める様な声を掛ける。
まあでも多少は痛い目に遭わないと理解しない少女である事は重々承知しているのだが。

近衛 昴 > 「ある意味丁度良かったんだよね。条件と異能がかみ合ってたし、全面サポートもしてくれるっていうから。ああッ!その眼、またボクのこと信用してないの?」

確かにこれまで死にかけたりと起こした騒動を考えれば無理もないことだが帰ってきた少女は一味違うと自負しており、棚のものを弄り回しているところを咎められればおとなしく棚に物を戻すとなにを思ったのか最初に彼が寝ころんでいたようにソファーに寝そべろうかと。

「ぶーッ、危なくなければいいんでしょう?ボクがこれまでとは一味違うってところ見せてあげる。少ししたら戻るから、預かっていてね。…ボクがいないからって変なことしちゃダメだからね」

スマホを握ったままソファーに寝そべるなり、何を預かって欲しいのか口にしないまま目を閉じた少女。預かって欲しいというものは少女自身の体で、新しく習得した抜け出た体をネットワークで義体に飛ばす技を目の前で披露して暫しの間、抜け殻の体を残してその場からいったん離れるか。
無防備な体を晒したまま離れることは普段はしない、彼を相当信用しての行為かそれとも何をされても許容できるからなのか。
戻るまでの間、部屋の中には最初とは逆の展開が繰り広げられ、釘を刺されたとはいえその間彼はどうするか。

暁 名無 > 「近衛と信用、この世で一番縁遠い組み合わせの言葉同士だよな。」

全く一切信用していません、と頷いた。
多分騙されてるところが多いよなコイツ、っていう目で近衛を見ていたが、何やら証明しようとする近衛に嫌な予感を覚えて。

「いや、いいから。大人しくしてろって、ちょっと、オイ。」

殆ど一方的に言い放たれ、研究室に静寂が訪れる。
ソファの上で眠っている様な近衛を、マグカップ片手に確認しに向かって。

「変な事って言われてもなあ……別に今まで近衛に変な事したことないしなぁ。」

とはいえこのまま彼女にドヤ顔されるのも不服だ。
そう考えた名無は、横たわる近衛の隣に腰を下ろすと、上体を僅かに起こし、自分の膝の上に彼女の頭を乗せようとする。
いわゆる膝枕の体勢だ。ついでに寝てる子をあやす様に頭まで撫で始める。

近衛 昴 > 彼の確信の言葉に今日一番の不機嫌そうな表情と共に眉間にしわを寄せれば早々に体を抜け出すも、その様子に彼が浮かべた嫌な予感はこの後的中することになるだろう。確かに利用されやすい性格に加えて、見返りのために身を削ることも躊躇しないことが面倒ごとを引き起こす引き金になっているのは明白で。

「いいから…ちょっと待っててね」

本気で寝込みを襲われるなど考えてもおらず、彼が男性の中でも人畜無害ないい人だと考えての行動。だからこそ忠告のはずが誘っているようにも聞こえかねない。
意識はないもののまるで眠っているような体は膝枕をされても反応を返すことはなく、ただ静かに人形のようにされるままで。
こんな風に静かにしていればそれなりに女性としても見れるかもしれないが、いかんせん爆発物のような性格が災いしてそう見えないほうが大多数だろう。
頭を膝に乗せられれば体が傾いたことで、子供の様に撫でられる頭の先には衣服から覗く子供らしからぬ谷間が誘惑していて。

暁 名無 > 「見た目が変わっただけで中身全然成長してねえじゃねえか。」

体ばかり立派になりやがって、と口では言いつつ、柔らかな眼差しを膝の上の近衛へと向ける。
出来の悪い妹の様に思ってはいるものの、流石にそれを口にすればどんな風に怒るか想像も出来ないから黙っていて。

「てか企業からの協力が取り付けられたなら俺の助力は要らねえんじゃん。
 あの時のアレやコレが一切無駄なんじゃねえか。おい。」

ふと気づいた事実に猛烈に頭が痛くなる。
溜息と共に俯けば、寝起きにも見た胸の谷間が視界に入って。

「……ホント、体ばかり成長して、もー。」

近衛 昴 > 出来の悪い妹、まさかそんな風に思われているなど知りもせず、むしろ知らぬが仏。
そんなことが耳に入ろうものなら起こるだけでは済むはずがなく、二度と妹などと言えないような行動をとるのは既に予想されていた。
頭を抱える彼がまだ知らない事実、最初の頃は彼の協力を得る形で力をつけて目的を果たそうと考えていたが、事故がきっかけとはいえ男女として繋がったことで頼るのではなく、助けたいと考え始めてしまい調整を受け入れた。だが、そんな事実を本人を前に恥ずかしがらずに話せるほど大人ではない。
まだ披露していないが、複数のカメラ付きドローンの操作など調査向きの能力の付与は少女の希望に沿ったもので、彼の役に立てるかもという想いから。
何度も谷間に向けられる視線、一向に戻らない少女、そして身長に回らない栄養が回された胸は彼を悩まし続けるか。
そして、そんな中近づいてくる足音があって

暁 名無 > 「まったく、手のかかる生徒だよ……つーか何処まで行ったんだ近衛。」

手持無沙汰な手を近衛の頭を撫でる事で誤魔化していたが、いよいよ本格的に暇になってくる。
膝枕を解いてデスクに向かうのもありじゃないかとは思うものの、戻ってきた近衛の反応を期待して始めた事なので、それはそれで悔しい。
やり場無く退屈そうに近衛の髪を指で梳いたりしていたが、

「そもそもこの服装は、その企業の支給品だったりすんのかね……?」

何が目的でこんなにばっさりと胸元開けてるんだろう、と。

近衛 昴 > 「失礼な…ボクの趣味なんですけど。今戻りましたよ」

彼が抱いた疑問に答えるように扉から入ってきたのは少女とは違う声だが口調は同じ、いやそれ以前に体の機械的な関節や部品からも人でないのは明らかで。
体のラインを惜しげもなく晒した姿は本人に比べれば貧相と言えるほどにスマートで、無駄を削ぎ落したようなスタイルは彼の趣味にはそぐわないだろうがどう思うだろう。
 
「…それはそうと、膝枕される自分を客観的に見るのは、その、恥ずかしいな」

膝枕されながら頭を撫でられている光景は見てはいけないものを見ているような気恥しさを覚えるが、そんな光景が嫌だとは思えなくて反応に困るアンドロイドが立ち尽くしていて。
これが少女の考え、この体であれば多少の危険など問題にならないと持ち出したのはいつもテストしている愛機で。
以前、地縛霊に乗っ取られたことを逆に可能にしたのが今披露しているヒューマノイドの操作技術で。

暁 名無 > 「ええ、お前の趣味なのこれ……おかえり。」

やっぱり露出狂の気があったんだな、と内心納得しつつ。
新たに現れた人影へと穏やかに言葉と視線を投げる。
その見覚えの無い姿は、一目見て人間のものではなく、その時点で名無は「ああ、なるほど」と合点がいっていた。

「何ならお姫様だっこされてる姿も見とく?
 中々見れるもんじゃないよ、自分がお姫様抱っこされてる姿。」

そんな風に茶化しながら、優しく膝の上の近衛の頭を撫でる。
どうだ恥ずかしかろう、と得意満面。

近衛 昴 > 「使えるものは使わないとね。実際に効果あったでしょう?」

視覚的な使い方か物理的な使い方かここでは敢えて使用法は口にせず、それをどういう使い方をしてきたのかも意味深な言葉を残して語らずに。
もし義体に顔を引きつらせる機能があったのなら今まさに使いどころだろう、膝の上に乗せられて人形でも愛でるように得意顔で弄ばれている自身の姿に恥ずかしくないわけがなくて。
できる抵抗といえば満面の笑みに返す皮肉いっぱいの言葉と物理的警告。そばに落ちていた飲み終えた缶コーヒーの空き缶を拾い上げれば、目の前でメキメキと縦に潰して見せるだろうか。

「なんだったらボクそっくりな義体用意してあげようか?いつでも人形遊びできるよ。そ・れ・よ・り・も…奥、案内してくれないかな?」

暁 名無 > 「でしょう?って言われてもな……
 使う、っていうならもうちょっとこう、ギリギリを攻めてみるとか。」

近衛を恥ずかしがらせる作戦は成功したので大変満足した名無である。
更には調子に乗って近衛の着ている服を軽く引っ張り、じわりじわりと開かれた胸元を更に広げていこうとする始末。
居ない時に変な事をするなという言いつけは守ったので、居るときに変な事をしようと

「残念だけど人形遊びをする趣味はねーんだって。
 案内して欲しいっていうなら、こっちの身体に戻りなさいよ。
 ほら、こんな幸せそうな顔で膝枕されてちゃあ俺も動くに動けないって。」

自分でこの状態を作っておいて酷い言い様である。

近衛 昴 > 「先生はギリギリを攻めるほうが好み?てっきりギリギリまで責められるほうが好みだと思ってたよ。ちょ、それ以上下げた、ら、あぁッ!」

大満足ついでにさらに調子に乗った彼が胸元を下げ始めると少女が慌て始め、その意味を彼が知るよりも早くそれは起きてしまう。押し込められていた両胸は衣服に抑え込まれているギリギリのラインを越えてしまうと支えきれず、言い終える前にチューブブラに包まれた両胸が零れ落ちてしまうか。
そんなことをされたら戻らないわけにはいかず、慌てて自身の体に触れると同時に閉じられていた瞳を見開けば、ガバリと体を起こして零れ落ちた胸を元に戻すよりもさきに両手で彼の頬をつまんで左右別々の方向へ抓ろうと。
笑みを浮かべているが完全に目が笑っておらず、そのまま続けるようならこちらにも考えがあると。

「戻ったから、早く案内してくれるかな?先生?それとも別のことでもしたいのかな?んん?」

暁 名無 > 「思ったより、保たなかったな……」

服のサイズとか合ってないのではなかろうか。
そんな事を冷静に考えていたら、突然近衛が起き上がり、次の瞬間には名無の頬を両側へと引っ張っていて。

「いててて……わーった、わかったから。
 案内するのは良いけど、面白いものは何も無いと思うぞ。」

頬をつねる近衛の両手首を掴むと渋々了承して。
零れた胸を隠すより、こちらへの制裁を優先したあたりも相変わらずだな、と。

近衛 昴 > キリキリと頬を抓って限界まで左右に引っ張れば最後は解放してようやく胸を押し込み始めて、形を直す間自分で自分の胸を掴む様子を見られても気にしないあたりも平常運転で。

「そんなことないと思うよ。だって見たことない動物とかいるんでしょう?」

気分は動物園にでも行くような軽いテンションで奥へと続く部屋の扉の前で早く早くと催促し、結局生身で奥へと行くことになってしまうも今はあまり気にしていないが後々になって一方的に恥ずかしい思いをさせられたことに気づくか。
ドアの覗き窓から瞳を輝かせてワクワクしながら奥を眺めようとする様子は子供同然で、扉が開かれると制止も聞かずに飛び込んでゆくことになるか。

暁 名無 > 「にしても、また大きくなったのか。」

近衛が服を直している間に軽く机の上を片付ける。
といっても散らばっていた書類を重ねてその上にマグを置くだけなのだが。

「……まあ、見たこと無い動物が居るんだけども。」

間違ってはいない。間違ってはいないから性質が悪い。
やっぱり少し痛い目を見て貰おうと決心し、近衛に続いて飼育室へ向かう。

本来は別の教室が存在しているはずのその場所は、魔術で別の空間と繋げられており、学校の敷地からは出ることになる。
そんな事を遣っていいのか、という問いがあれば普通にダメだよと名無は答えるし、もちろん学校側に許可なんて得ていない。

「あんまりはしゃぎ過ぎると転んだりして危ないぞ。
 聞いてるのか、おい。おーい。」

近衛が飛び込んだ先はちょっとした多目的ホールほどの広さの草原になっていた。
踏み出した足元には不定形代表のスライムくん。

近衛 昴 > 「育ち盛りなんだからしょうがないじゃないか、それに好きで大きくなってるわけじゃない」

片づける様子を眺めながら減らず口を口にするも間違いじゃない、あれからさらに育ったのも実験の副作用というか副産物というか。
彼が痛みを伴う教育をしようなどと考えているなど気づきもせず、飼育場へと足を踏み入れれば室内とは思えない光景に圧巻と共に何かしらいけないことをしているのは明らかだが追及はしない、こちらも似たり寄ったりなことをしているのだから。
景色に目を取られながら足を踏み出すと足元に透明なゼリーのようなものの存在に気づき、彼の思惑通りスライムに飛び込むかと思いきやとっさに避けるように足をつくもバランスを崩して倒れ込んでしまう。
転んだ先は他の地面と同じなのに妙に柔らかく、草原に触れているのとは違う感触。そしてやはり嫌な予感は的中するか、スライムはスライムでも彼が想定していたよりも痛い目に合うであろう個体の上に倒れ込んだことで。

暁 名無 > 「あーあ、言わんこっちゃない。
 ホント、そういうフラグ回収とか神懸ってるよな近衛って。」

見事にスライムの上に倒れ込んだ近衛を見て、やれやれと首を振る。
まあ丁度良い、身を以て反省しろ、と言わんばかりに冷めた視線を向けて。

一方倒れ込まれたスライムの方と言えば、草原に擬態し惰眠をむさぼっていたところに衝撃を与えられ大変遺憾の御様子。
不定形の身体には青筋が浮かんだりはしないが、体の表面がぶるぶると波立ったと思うと、何本か触手を形成して近衛を捕らえ様とするだろう。

ご案内:「幻想生物の研究室」から近衛 昴さんが去りました。
暁 名無 > =====部屋移動につきここまで=======
ご案内:「幻想生物の研究室」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「幽世湯」にアガサさんが現れました。
ご案内:「幽世湯」におこんさんが現れました。
アガサ > 「えーっと、こういうのなんて言うんだったかな……開店休業?」

真新しい館内は調度の一つを取ってみても、多分に審美眼のある誰かが誂えたのだろうと知れる。
時期が時期ならきっと、もっとお客さんが居たに違いなくて
時期が時期だから、今はこんなにもお客さんが居ない。
SNS上で見かけた広告通りに様々なものがある大浴場、その内の一つのお風呂に浸かりながら私はぼんやりと独りごちた。
余り心配してもいないのは、遅かれ早かれお客さんが増えるだろうなって、直ぐに判って解る程には見事なお風呂場だから。

「それとも男湯の方は混んでいたりして。いやいやまさかね」

おこん > なんじゃ、この時間は人がおらんもんなのかのー。
まあ大人は仕事で忙しいし、生徒は学業で忙しいし、そういうもんかもしれんが…。
(日頃の疲れを癒そうと良さげなお風呂屋さんを探していたところ、
 最近できたというお風呂屋さんが目に止まった。
 それでは、と赴いたところであったが「裸はだめです」と容赦なく断られる。
 しぶしぶとその場で自分に合う水着を買いはしたものの、いまいち恥ずかしい。
 ごにょごにょとぼやきながら大風呂に向かったところで、一人の少女に出会った。)

…おお、おう。 おぬしもあれか、命の洗濯というやつかのう。
いやはや、年をとると一日一日が疲労を貯め込むので辛いのよなあー。
(きっと自分と似たような境遇だろう。 何度も彼女にうなずいて見せた。)

アガサ > 「お湯の肌あたりも良いし、きっとこんな貸し切り状態も今だけだろうなあ。
来月にでもなったらこうも悠々とは使えないんじゃないかなあ」

太平楽に言葉を述べて、誰もいないのだからと徐にお風呂で平泳ぎだってしてみちゃう。
普段なら絶対に出来ない、風紀委員をも恐れぬ悪行行使は、きっと春休みで心が浮き立っているからだろう。
なんて自らの心裡を曖昧にしてしまうのだから、実際浮き立っているに違いなく、
ともすれば洗い場の桶に座ってタイルの上をカーリングピンの如く滑ってしまうかもしれない。
いや、滑ろう。心の洗濯をしにきたのだから滑ろう。私はそう決めて颯爽と湯船から立ち上がる。

「あ"……ってなんだ、おこん先生じゃないですかあ。私ですよ私、アガサです」

立ち上がった所で誰かの声がして、しまった目撃者が!と驚嘆に慄きかかって破顔する。
先生の恰好自体は十分驚嘆に値するのだけど、それはそれ、これはこれ。
私は頭上に纏められたお団子頭を指さしながら近づいて、相変わらずの豊かな尻尾に目線が泳いで行きました。

「年をーなんて云う割に先生ったら全力でウキウキ気分な恰好じゃないですか……湯浴み着とか借りなかったんですか?というか、これ、尻尾とかどうなっているんです?」

尻尾に向かう途中で視止められるカラフルな水着。
有体に言えば私でも着ないくらいに子供っぽい、ビビッドな色合いが目に喧しい感じです。
でも今大事なのはそういう事じゃなく、この水着、尻尾の所どうなっているのかが気になろうってものでついつい不躾な眼差しです。

おこん > おおー……。 おう、アガサのじゃったかー。 すまんすまん。
湯けむりでよく見えなかったのもあるし、ワシおばあちゃんじゃから記憶が曖昧なんじゃよね…。
(湯船から勢いよく立ち上がった彼女を見て記憶を手繰り寄せる。
 アガサだった。生徒だ。 なぜこんな時間にお風呂やさんに? という気持ちはあるが、
 そこはそれ。命の洗濯をしたくなる日もあるのだろう。)

年甲斐もない格好しとるから、めっっっっちゃ恥ずかしいんじゃけど…。
…湯、湯浴み着…!! そうか、その手があったのう! いやでも、うーん…。
うん、なんじゃ、尻尾か? 尻尾はほれ、この通りよ。
(相手の注目がすごく尻尾に向けられている事に気づいて、尻尾を揺らして見せる。
 なるほど、お風呂に入るときにどうなるのかといわれると、確かにそのとおりだ。
 ぽん、と自分の腰のあたりを軽く叩くと、まるで元々なかったかのように尻尾は姿を消した。)

こんな風に尻尾を出したり引っ込めたりできるんじゃよー。 何しろ妖の類はあれじゃろ、
变化なんてのはお手の物じゃからな。 いーじーじゃよ、いーじー。
(えへん。平たい胸を誇らしげに張りつつ答えた。 もっとも、自分じゃなくても
 人に化けることができるなら、概ねそういった”ごまかし”はできる…と思う。)

アガサ > 「先生大丈夫ですかそれ。朝ご飯最後に食べた日、思い出せます?」

勿論普通は今朝の筈。問いにもならない問いを述べ、含羞に頬を染めまくる先生に眉を顰めもしてみせた。
だって物凄く似合っているようにしか見えないんだもの。

「大丈夫似合ってますって!……で、やっぱりこう、学生ですから探求心だとか、好奇心は大事にしていきたいなあって常々思っておりまして。
やっぱりどうしても目を惹くじゃないですか。尻尾」

それらは兎も角として、おこん先生は妖怪だ。
妖怪なので狐の耳や、立派な9本の尾が生えている。
そうなると自然と衣服には尾を通すための穴が開いている訳で、そうなるとそうなると、9本もの尾はどうなっているのか?
なんて気になりもしてしまう。根本が九つに分かれているのか、それとも違うのか──

「うわあ消えるんですか。うーん便利ですね……でもそうですよねえ、そのままお風呂に入ったら大変な事になりますもんね?」

──確かめるまでも無く湯気に紛れて解けるように尾が消えて、私は瞳を数度瞬いておこん先生のお尻を視る。
あ、穴がちゃあんと開いている。

「やっぱり妖怪さんはそういうの得意なんですか。ちょっと怖いような気もしますけど……と、こんな所で立ち話でもなんですね。
ここ、すっごい変なお風呂なんかもあるんですよ」

見届けて(?)満足し、確と頷いて私は先生の手を取って案内板の前まで行きます。そこには大浴場内にある様々な、
一般的にありそうなものから、一般的にありそうではないものまでお風呂がイラスト共に表示されているのです。

「ほら、イカ墨風呂とか迷路サウナとか!」

おこん > ううむ…朝ごはん、たぶん今日たべた…。 たぬき蕎麦たべた…。
(頑張って朝の献立を思い出した。 確かカップそばだったはず。
 大丈夫、合ってるはず。若干不安げな面持ちで応える。)

似合ってる似合ってないの問題じゃないんじゃよなあー。
まあ、ワシの尻尾はワシじゃからできることであって、他のものがどうできるかはわからぬがのう。
とはいえ、ほれ…民話なんかでもそうじゃろう、よく狐狸の類が化けそこねて尻尾出したりするじゃろ。
まあ、狐七化け狸は八化けというて、狸の萌芽化けるのがうまいというのが定説ではあるがな。
(ほれ、と後ろを向いて彼女に腰乃あたりを見せる。 穴が開いているのは尻尾を通す穴だ。)

うむ、尻尾をぶら下げたままじゃと、9本分の毛が浮いたりとか、あとは尻尾を9本拭うのが
まったくもって面倒でのう。 タオルがいくつあってもたりないんじゃよ…。
おお、変な風呂とな。 電気風呂とか黒湯とかかのう…。 えっ、何?イカスミ?迷路サウナ?
(案内板の所に連れてってもらいながら、相手の説明を聞く。 なんか想像以上にとんでもない施設らしい。
 若干打ち震えながら、改めて彼女に問いかけた。)

前者はパスタかなんか専用じゃろ。それに迷路サウナて倒れる人が出たらどうするんじゃよ!?
なんかこの風呂屋に人がおらん理由がわかってきた気がするぞ…!
(かしこい頭脳が結論を導き出す。 この風呂屋に人がいない理由、それは…ヤバい風呂しかないからだ!)

アガサ > 道すがらに聞く様々なこと。
狸と狐の違いは初めて知る事で、もし狸の妖怪の知り合いが出来たなら、その時はまた聞いてみようと思った。
朝ご飯の行方については、湯煙に紛れてしまったんだろう。そういう事にしよう。うん。

「た、狸蕎麦とか食べるんですね……ええと、そうそう。ですよね毛がぶわーってなっちゃいそうですものね。
この辺異世界から来た獣っぽい人達とかどうしているのか、ちょっと気になりもするんですけどー」

顎先に指を添えた、如何にも何か考えていますーって感じの様子を見せながらの事でした。
何だか怯えたような先生の声がして、視線をかたりと傾けると何かに気付いてしまったかのようなお顔になっていたのです。

「ふっふっふ気付いてしまったようですね……と言う訳でも無いんですよ先生。
此処、よりにもよって春休み中にオープンなんかしちゃったものだから空いているみたいですよ。
ほら、島外に帰省したり、島外に旅行に行ったり、何かと人が減る時期ですし」

だから奇妙なお風呂があるのも多分普通なんですよ。と、怯えているようにも見える先生の肩に手を置き
もう片方の手でぐっと握り拳を作って言いくるめ──じゃなくて説得、でもなくて説明をしていざお風呂へと──

「あ、でもあっちに普通のお風呂もありましたよ。泳げるくらい広くってお肌のあたりも中々良よかったですよ」

行く前に、さっきまで私が入っていた普通のお風呂を指さします。
湯気で少し見辛いかもしれませんが、示す先には物凄く普通で、ただ凄く広いお風呂があります。
傍の棚には『ご自由にお使いください』なんて文字が記されていて、中には整然と黄色いアヒルちゃんやねじ巻きの船や、
様々な水鉄砲等が並んでいるのも解るかもしれません。

おこん > ワシたぬき蕎麦食べるし天そばも食べるよ… 狐っちゅうからネズミの天ぷらとか、
はたまたきつねうどんぐらいしか食べないとでも思っておったのかー? まあそれはさておき、
そうそう、そういうことじゃな…。 まー、ワシらのようなものならば、おそらくお部屋に乾燥機を備えておるな。
温風をぶわーってやるやつじゃ。 そこに体を晒して、乾かすじゃろう…。 とりーとめんとの維持が大変かもしれんのう。
(相手の言葉に答えながらも、なんだかどや顔している相手を見て、ははあ、とうなずいた。)

なるほど、そんな時期に開店したのでは、そりゃあ人もあまり来るまい…。
とはいえ、営業しておるのは結構なことじゃのう。 島にずっと暮らしておる者もおるわけじゃしな。
(説得にはものすごく首を傾げるものの、しぶしぶ彼女についていく。
 普通のお風呂と聞いて、ちょっとだけ歩く速度が上がった。)

おお、これじゃこれじゃ! やはり大浴場というのが魅力的じゃのう!
やはり大風呂の本懐というのはゆっくりと手足を伸ばして入れるというのがあるわな。
よし、ではのびのびと風呂に入るとするか!
(彼女に告げながらもすばやく動く。たくさんのアヒルちゃん、船、それから水鉄砲を4つ。
 小さな腕に山盛りに抱えながら相手に呼びかけた。)

アガサ > 「いえいえまさか。ただ、ほら狐と狸って仲が悪いーみたいなお話がよくあるじゃないですか。
だからお互いにそういう名前の付く料理は避けたりとかするのかなって。
お部屋に乾燥機は……なんだかちょっと、凄そうですね」

お食事談義から無味乾燥ならざる乾燥話へと転がり、続くように私達の足も普通なお風呂へと向いていく。
生憎と私は全身を毛で覆われたりはしていないけれど、長い髪の毛を乾かすのには便利そうでいいなあ、なんて思いもする。
きっと、試したら連獅子の毛振りみたいになってしまうに違いない。

「で、そうなんですよ。こんな時期に開店するなんて何か事情でもあったんでしょうか。
私みたいに帰省しない生徒だとかには~すこうしありがたい事ではあるんですけど──って早っ!
おこん先生、おばあちゃんはそんな動きしませんよう!?」

自分がぐるんぐるん頭を振う姿を想起しついでに、九つの尾をぐるんぐるんするおこん先生をも想起する。
そんな事をしているとなんということだろう。先生ったら獣の如き素早さで棚に陳列された物品を手に取って
ざぶざぶと浴槽に入り込んで行くじゃあないか。私はまたもや瞳を数度瞬いて、一拍遅れて息を吐く。

「のんびり……と言うわりに遊ぶ気満々じゃないですか先生……。いえ、いいですけど!
折角の貸し切り状態、誰が見ている訳でも無しに、はしゃいでしまうのもありですよね、きっと!」

何しろ棚を置いたのは店側だもの。それならそれを使うのに何を憚ろうか。
私も負けじと黄色いアヒルちゃんや水鉄砲(とっても大きな奴)を掴み、勇壮な足取りで浴槽へと舞い戻る!

「……と言う訳で早速なんですけど、やっぱり何回ヒットしたら負け、とかが定番でしょうか」

でっかい水鉄砲に水を入れ、銃身横に配置された水圧を高める手回し式ハンドルをぐるぐると回しながら先生に問う。
湯船一杯にアヒルちゃんや船が浮かぶ中、距離を取って今にも一戦始まらんといった感じです。

おこん > そうじゃなあー。 まあ、確かに狸と狐は仲が悪いという話はあるがのう…。
それも一部の連中の話なんじゃよ。 人間も仲よくしとる連中がほとんどで、たまにいがみ合う連中おるじゃろ。
乾燥機、いいヤツ買わないときれいに乾かぬし、使ったら使った文だけ電気だガスだとかかるでのう…。
獣は毛物に通じるというが、困った問題なんじゃよなー。
(あんな感じ、という簡単な説明をしてあげてから、乾燥機の言葉についてはため息を付いた。
 教員のお給料とかだって、もちろん生徒が使えるお金にだって限りはあるわけだし。)

ええい、アガサよ! 今からワシは6歳じゃあ! お風呂にアヒルちゃん沢山浮いとらんと
安心してお風呂に入れないんじゃあ! ワハハー! 大東亜アヒル艦隊じゃあー!
見よ、この威力! これぞ大浴場の真髄というやつよのう!
(抗議に全く耳を貸さない素早さでお風呂に入ると、抱えていたアヒルちゃんとお舟を投下する。
 またたく間にぷかぷかと浮くそれらを見ながら、満足げにうなずいた。)

ほほう、なんじゃあー、やる気かあー? ワシもなあ、お手つきのおこんといえばそりゃあ有名でな…。
そうじゃな、そしたら3回がよいじゃろう。 3回でアウトじゃぞ。 絶対じゃぞ!
(気がついたら彼女が長物を準備していた。 自分は拳銃タイプである。4つあるそれに
 お湯をたっぷり充填しながら、ちょっぴり彼女と距離を取った。)

アガサ > 「そんな開き直り方をする6歳児がいるかーっ!?いやいいんだけどさ!」

狐狸の仲から乾燥機に纏わる生活基盤のアレやソレ。
大人ならではの苦労を思わせる語りから一転しての開き直りに、私の口調も一転する。
ついついと友人達に向けるようなものに砕けて散って、湯船に浮かぶアヒル達へと降り注ごうってものだ。

「しかもお手付きって別の意味のような……ま、いっか。ようし3回だね。今ばかりは先生だって先生と思わないぞ!
私は実は射的系はちょっとばかし得意ときてるからね!」

唇を三日月のように歪ませて笑う。
おこん先生は先生なので、もしかしたら私がガンドと呼ばれる投射魔術を使う事を知っているかもしれない。
勿論魔力の投射と、水鉄砲で目標を狙うのはイコールではないのだけど、今は水に溶かすように纏め上げ、
高まりきった水圧で押し流さんとトリガーを引く。
放射された水はまるで水ではないかのようにおこん先生目がけて飛び、けれども目算を外して横に浮かぶ船に直撃した。

「むっ、これはいけないな……」

玩具の船が沈む中、私は素早くお湯を補充しながら先生から距離を取る。何しろまたハンドルをぐるぐる回さないといけないのだから。

おこん > おお、師を師とも思わぬとは何たる言い草…! ワシは悲しい…!
かくなるうえはこの2丁拳銃でわからせてやろうぞ!
(水鉄砲を両手に構え、体を半身の体勢にして構える。
 一瞬緊迫した空気が…二人の気配がぶつかりあったその刹那、彼女が仕掛けた。)

ウ、ウワーお船がー! 威嚇射撃のつもりかもしれぬが、この程度で恐れるワシではないぞ!
(彼女の一撃が直撃したお船は湯船の端まで目にも留まらぬ速さで吹っ飛んでいった。
 大東亜アヒル艦隊の一隻が喪失したショックよりも彼女の強さが理解出来、思わず吠える。)

うおーっ! ワシの底力をくらえーっ! いかにおぬしの射撃が強くとも、一部の隙きもない弾幕に
どう対抗するというのじゃー! 逃れてみせよー!
(両手にある水鉄砲のトリガーを全力で引き続ける。 弾が切れたとわかったら給水口を開け、
 お風呂に鎮めるのと同時に、沈めてあったもう2丁の水鉄砲を手に取る。 隙を産まない射撃方だ。)

アガサ > 何時の間にやら無数のアヒルや船が浮かぶ浴槽を、それらをかきわけるようにして進む。
一体どれだけの数を投入したのか。まさか先生ったら棚の全てを放り込んでしまったのか。
そう考える私の横を水鉄砲らしい水弾が抜けていく。

「う"わっ、ちょ、冷静に考えたら連射できるそっちのが有利じゃないか!」

右に避け、左に避け、戻る所でお臍に一発、頬に一発。その間にも此方はハンドルを回して射撃準備に抜かりはなくとも後は無い。
お湯の中にて背水の陣となってしまった私の取った手段、それは

「対抗手段は、これだーっ!」

うおりゃー、なんて雄々しい声を上げ、両手でお湯をざっばーん!と巻き上げる!
勿論、これはルール外なので攻撃判定に入る訳も無く、じゃあ何故こんな事を?と言えば偏に先生への目くらまし。
一緒に巻き上げられた軽いアヒルちゃん達を他所に、私は素早くお湯に潜り、ぐるりと円を描くように迂回しておこん先生へと迫るんだ。
頭頂部で纏めた団子状の髪の毛が恰も海面に背鰭を覗かせる鮫のようにも視得るかもしれない。
もし視得なかったら?その時は先生の脇腹にチャージされた水鉄砲の一撃がズドン、さ!

おこん > そうじゃぞおー! 近接戦闘では弾幕が有利! おぬしが使う
ポンプ型の水鉄砲はある程度の射程を持ってこそ活きるものなのよ! 
そこを考えなかったのはうかつじゃなあ! わははゴボボボーーーッ!!
(威勢よく攻撃を続けていた所に、思い切り高波が押し寄せる。
 高笑いしていた口の中にお湯が飛び込んできて思い切りむせた。)

げぼ、ごぼぼっ…なんと、目くらましと来たか! しかしワシの目はごまかせんぞ~?
フォックスアイは千里先を見通すと言われておる。言うなれば神通眼!
しかし一里って役四キロじゃろ。4000kmってことじゃろ…。
ハノイとか見られたところでなにがあるのかオゴッ……。
(一瞬思索にふけったタイミングで、容赦ない一撃が脇腹に突き刺さる。
 体をくの時に曲げると、そのままごぼごぼとお湯に沈んだ。)

アガサ > 「こんにちはーっ!」

お湯の中から水鉄砲を構えながら飛び出しての御挨拶。そして射撃。
放たれた水は距離が近かったのもあってか先生の脇腹に直撃し、そして先生は沈んでいった。
何故か浴場のスピーカーから悲壮なBGMが流れて来たけど、これは偶然だと思いたい。

「お、おや?まさか一撃だなんてそんな……おーい、おこんく……じゃなくて先生~?」

つい、君付けで呼びそうになったのを踏み留まって、けれども足は留まらずに先生の轟沈現場へと向かう。
よもや気絶でもしていたら、幾ら人にあらざる妖怪だって危険が過ぎようってものだ。