2021/02/21 のログ
ご案内:「Free2」に花菱刃さんが現れました。
ご案内:「Free2」から花菱刃さんが去りました。
ご案内:「護送車移動ルート」に花菱刃さんが現れました。
花菱刃 >  
「問題ないぜボス。少し速度が速いがまぁ練習で使った奴とそこまで使い方はかわらねぇや」

 ルートの上空。真っ黒のエアースイムの装備を身に着けた数名の男。
 ただのエアースイムではない。違法改造した代物。通常より速度制御共に過剰になっている。その分寿命は短いかもしれないが。今夜持てばそれでいい。

「他のメンバーは空中で待機、俺が指示だしたら降下。焔にこの道具をつけて一緒に飛べ、俺は気にするな幹部を適当に伸ばしてから合流する、幹部がいなければ儲けものだ殲滅して帰還だ」

 眼下の車はこちらに気が付いていない。当たり前だどうすれば上空に犯罪者がいるなどと気が付けるだろうか。
 時計に目線を落とす。まだ想定時間までは少しある。
 遠くをにらみつけその時をまつ。

花菱刃 >  
「……あれか?」

 一見すると普通のバス。しかしどう見ても普通じゃない。
 周りの装甲、走り方全てが普通の車のそれではない。

「……ボスはちゃんと報告してくれてるんだよな」

 少し派手に止める。そうボスには伝えるように言ってある。
 別にそれしかできないからではなくその後を考えた場合派手に止めた方が便利だから。
 
「金」

 手を上にあげそうつぶやく。空に黒色の大きな針が何本も浮かぶ。
 爆破できないのが面倒ではあるが味方の為だ仕方がない。ということで。

「状況開始。弾着」

 手を振り下ろすとそれは無音で降下を始める。
 生み出したそれはフレシェット。つまりは爆破ではなく車両を破壊する。
 狙うは運転席エンジン。そして助手席。
 護衛がいるであろう位置、そして車その物を破壊するために。

「今」

 その声と同時に車に向かい殺到するフレシェット。
 装甲を貫き車その物を無理やり止める。
 そして自身も降下。完全に大きな箱とかした護送車の前に降り立つ。

ご案内:「護送車移動ルート」に羅刹さんが現れました。
ご案内:「護送車移動ルート」にマディファ=オルナさんが現れました。
マディファ=オルナ > 護送車が貫かれ、用を為さなくなったことを確認した少女が現れる。

「ドンピシャじゃな。
 予想が当たりすぎて怖いところではあるがの」

暗がりから少女が現れる。
襲撃者からすれば見知った顔、以前戦った相手。

「いや、ちと遅かったかの?
 しかしふむ、飛行魔道具か」

花菱刃 > 「へい、降下降下。内部に幹部は無し。突入して制圧……迅速に」

 声が聞こえてそちらへと振り返る。
 声の主は前に争ったからよく知っている。故にその危険性も理解している。
 彼の声に応じて上から銃で武装した”蛇”が数名降下してくる。
 それらはバスの真上へと。
 そして相対する相手をにらみつけるように。バスと少女の間に立ちふさがる。

「よう、傭兵元気そうでなにより。まだそっちにいたんだな……それにしてもかわいそうに。負け戦になるから首かもしれないぞあんた」

 バスの方にも意識は向けておく。有象無象の風紀委員ならば今降下した”蛇”で十分対処可能だろう。なにせ自身が選び抜いた精鋭だ。
 だがもし厄介なのがいれば話は別になる。故にそちらにも意識を傾けながら眼前の少女に声をかける。

「ついで言えばお前も逃げた方がいい……種はもう見切ってるぜ機械傭兵さん」

 機械ならば殺す手段はある。
 ゆえにそう警告を飛ばす。相手は傭兵、別に契約を切っても文句は言われない。もし不味い事になるならこっちで雇えばいいのだから。

マディファ=オルナ > 先程の神代理央らしき寝返り映像は、即座に偽物と見破った。
自身の及ぶ範囲は叱咤して、士気の低下は最低限。
ハンドサインでこの男は任せろと示してバスに向かう者たちの対応を任せる。
まあ多分無理くさい。

「うむーそれもそうじゃのうー。
 まいったのーこまったのー」

茶化すような棒読み。
成功するに越したことはないが、失敗を見込んでいるとマディファは判断している。
なにせ目立つようなルート取り、これでは襲撃してくださいと言わんばかり。

「ふむ、どこの情報か知らんが……中途半端に舐めた情報じゃのう。
 ま、見せてもらおうかのう」

大剣を構える。
周囲を一瞥すれば、事前に配置していた投光器に光が灯る。
投げつけられる強力な光は、事前に対策している特務後方部員には有利に動くだろう。
そして次の瞬間、距離を詰めて大剣を振りかぶる。

花菱刃 >  
「中途半端と言えば中途半端かもなぁ。でもまぁ何も知らないよりはマシだしさ」

 強烈な閃光後方の蛇は少し目がくらみ動きも鈍化するかもしれない。
 だが自身はくらまされない。前でそれは理解している。故に彼女が少しでも動いた瞬間目を閉じる。
 音を頼りに迫ってくるのを聞き取る。
 
「陽」

 刀が光を帯びる。
 陽の属性、すなわち剛の属性。それでもって相手の剣を受け止める。
 そして目を開くとニヤりと笑った。

「対策、してあるって」

 陽の属性は剛だけではない。それは熱。斬りつけた相手に植え付けられる温度と言う名の猛毒。
 1合結ぶだけならばその大剣は淡く熱を帯びる程度だろう。
 だが何度も打ち合えばどうだろうか。それは彼女に対しても同じこと。

「俺の攻撃くらい過ぎない方が良いぜ……オーバーヒート。怖いだろ?」

 多く受ければ熱暴走を招く。機械にとって自身の考えうる最も致命的な状態の一つ。
 切り結んだ形から剣を切り払うと下から剣を逆袈裟に切り上げる。
 踏み込みなどない手先だけの細かい1撃。命中だけを狙った軽い1撃。
 この剣は別に相手の命に届かずとも良い。何度も何度もぶつければ毒のように相手に熱を植え付けるだろう。

マディファ=オルナ > 当てることを狙った一撃。
さほど防御をせずともダメージを食らうものではない。
だがその本質はその一撃を喰らい、そして相手の言葉で理解した。

「なるほど、そういうことかの」

大剣は自身とは独立している被召喚物とはいえ、打ち込まれて熱を伝えてくる。
続けて剣の当たった場所からも。

「なれば、急がねばなるまいて」

マディファが手札を一つ切る。
狼の牙のような、強烈な下段からの切り上げ。
そしてその後に続くのは喉元への突き下ろし。
故郷の世界ではポピュラーな、熟達したものならば誰でも使える回避困難な攻撃。
直撃しても貫通しないよう剣の魔力を調整してはいるが、直撃すればマディファのパワーだ、ただでは済むまい。

花菱刃 >  
「急がねばって事は。効果ありってことでいいんだな」

 相手から引き出した言葉にニヤリと笑みを浮かべる。
 確実という保証はなかった。だがそういったということは効果があるということだ。もっともそれも狸かもしれないが……どんな生物であれ熱を過剰に持って良いわけがないのだから押し通すだけだ。
 
「っとぉ!?」

 一発目。切り上げを剣で防ぐ。そして2発目の突きおろし。回避不可。

「木ッ!!」

 喉元からニュルニュルと木が生える。それは盾のように相手の剣を防ぐも。

「グホォ!」

 血を吐きながら吹っ飛ばされる。相手の攻撃は防御の上からでも十分以上に痛い。
 空中で体制を整える。そして。

「金 陽 はじけろ!」

 詠唱。現れた金属の球体は爆発。数百という無数の針となる。
 相手がただの人であったとしても少し痛い程度で済むような細い細い針。
 しかしその全てが白く輝く。
 熱という猛毒を帯びた極細の針。嵐のように少女へと殺到する。

マディファ=オルナ > 「洞察も良し。
 実に厄介な相手じゃの」

当てて吹き飛ばしたが、吹き飛びながらも反撃を放つ相手に舌を巻く。
さてその反撃、先と同じコマンドワードが入っている以上喰らえば蓄熱は間違いない。
放熱自体も取る手段はあるが、全弾直撃すればたまらない。
ならば取る手段は。

「ムンッ!!」

大剣を盾に身を隠し、食らう数を最小限に。
もともと小柄になっているから、数本かすめる程度まで被弾は減るだろう。

「出よ剣霊、我が腕(かいな)となれ」

攻撃が止むまでの間に、新たな大剣を召喚しておく。
その時間は、相手に追撃を許すだろうが仕方ない。

花菱刃 >  
「あんたにだけは言われたくねぇなぁ。俺でもなきゃ手の打ちようねぇだろ」

 なんて軽く言い放つ。
 実際手の打ちようがあるというわけでもない。本当に無理矢理のごり押し。少なくともこんな早急に作戦展開をしなければいけない段階で行いたい戦闘方法ではない。だがそれしか手がないのだ。
 刀を納刀する。

「剣の召喚なんてさせるかよ。陽」

 自身にも強化を重ね、一気に距離を詰める。
 そして飛ぶ。頭上。

「陰」

 一瞬きらめく。抜刀。
 力を集中させる。1撃の居合。だが数十は重なったかと思うほど重く鋭く。
 陰の魔力で収束したそれを相手の頭上へと。

マディファ=オルナ > 上空からの追撃が来る。
避けられないが、避ける必要もない。

「お主でも不足と言ったら?」

すんでのところで召喚が間に合った。
それを横っ面からクロスカウンター気味に相手に叩きつける。
居合は食らったが、ダメージはない。

(一撃ではない!?)

そう、『ダメージはない』だけだ。
食らった熱は先の数十倍。

「一撃に見せた数十の打ち込みか。
 全く、お主の魔術は底が見えんな」

花菱刃 > 「不足なら足りるまで何十何百何千と重ねて手を打つだけだぜ。なにせ手数だけは自慢なんでね」

 相手の言葉にそう答えて言い返す。
 カッコ良い? いいや、それしか手がないだけである。究極の1ともいえる彼女に屑鉄の自身が相対するには屑鉄を数百数千数万とたたきつけ究極の1をへし折るしかない。
 だがそれは上手くいけばの話。

「ッッッ!!!」

 空中で叩きつけられたその剣を防ぐ方法などない。というより防いだ所で意味がない。
 足場もないそこでは相手の意のままに吹き飛ばされる。
 地面に叩きつけられ転がり吹き飛ばされる。
 バスの方から何人かがこちらに銃口を向けようとするが。

「出てくるんじゃねぇ!! お前らはお前らの仕事をしろ!! この機械女は俺が仕留める」

 路面に血を吐き出す。
 刀を杖に立ち上がる。

「底なんて見えるわけがねぇさ。何世代も重ねた魔術の経験だ。そんじゃそこらの賢者なんかよりよっぽど数は多いぜ。数だけは……な」

 そう言い放つ。
 息を吸い。吐く。

「木、金、陽」

 つなげる詠唱。木でできた人型は金属で覆われ純銀の自身が2人出来上がる。そしてそれらは全て淡い光を放つ。

「よろしく頼むぜ俺2号俺3号」

 全員が刀を構えると一斉ととびかかる。
 一人が横から潜り込むように。
 一人は頭上より強襲するように。
 本体は正面。相手の胸部を刺し抜くように。
 魔法により達成した3か所同時の斬撃。ひとつひとつ全てが本物の斬撃であり同等の破壊力を持つ。

マディファ=オルナ > 「一の手裏剣で足らねば百千と投げる。
 うむ、良い根性じゃ。
 そしてお主の魔術、コマンドワードから多岐にわたる効果を大まかにしか推測もできん。
 何世代どころか何十世代の集大成じゃろうの」

血を吐きながらもなんとか立ち上がるその姿、そして積み上げられた歴史の重みに感嘆する。
だが己の装甲は戦闘用に特殊加工された代物だ。
その程度では揺るがない。

(熱量はまだ余裕がある……じゃが、ここで一度放っておくか)

銀で覆われた木偶とともに攻撃を仕掛けてくる男を確認しながら。
攻撃が到達するまでの間に力を込める。
相手の攻撃が達するのと同時、正面の男本体と横から来た木偶を薙ぎ払う。
攻撃に意識を集中していたために少々のダメージと伝わる熱量。
そうして溜まった熱量は、頭上からの攻撃を当ててきた木偶にそのまま……否。
これまで動いた微々たる上乗せが口から放たれ焼き尽くす。

「ふぅー、スッキリしたわい」

花菱刃 >  
「おうおう、良く見抜いた。その通り本当は何十世代よ。この世界に魔法が生まれてから裏を生き抜いてきた家系の生まれなんでね」

 別に隠す事でもないし。シンプルに家が褒められるのはうれしいわけで。
 そんなことを言うが。相手の動きを見て目を見開く。

「っとぉ!!」

 今度はガードが間に合いしっかりと受け身もとれる。
 だがその後に起きた出来事を見て溜息を吐き出す。
 木偶人形をかき消す。

「なーるほど、放熱もしっかりとあるわけだマッジでめんどくっせぇなお前倒すの」

 刀で肩をトントンと叩く。
 それから片目を閉じる。

「プランB」

 ヒュンヒュンと刀を振るう。
 
「水 陽」

 刀からすさまじい勢いであふれ出す煙。ただの水蒸気……ではない。
 その霧に触れた金属がすさまじい勢いでさびていく。

「さびにくい金属ってのはあってもさびない金属はない。だから毒ガス撒かせてもらったぜ。まぁ今までたまった熱でどこかしら内部に傷とかあったら儲けもの。なかったら」

 刀は藍色に染まりそのまま淡く発光する。
 そしてニヤリと笑った。

「直接叩き込むだけよ。錆をな……陽!」

 それを振るう。見えざる斬撃。
 遠距離に拡散させたそれは真一文字相手の胴体を切り払わんと。
 金属にとっては猛毒ともいえる煙と錆を推進させる斬撃の同時攻撃。

ご案内:「護送車移動ルート」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
マディファ=オルナ > 「無いわけがあるまい……とはいえ予想外の手じゃったかの?
 しかし歴史の重みは厄介じゃな、この老骨の一身では全く届きもせぬ」

これはマディファに本来実装された兵器ではない。
魔力とともに竜の概念を得て獲得した生態である。
とはいえ、蓄熱の攻撃は得策でないと悟った男の次の手に。

「なるほどなるほど、今度は錆び・腐食ときたか。
 たしかにこれはたまらんな、終わったらメンテじゃな」

のんびりと余裕を持って言い放つ。
たしかにこれも、耐錆性の装甲を持ってしても完全にシャットアウトできるものではない。
寧ろこちらのほうが蓄熱よりも厄介だ。
相手の洞察力なら見抜かれるだろう。

「墳っ!!」

斬撃は見えない。
だが素直な剣筋の斬撃は胸を狙っていると判断。
跳び上がり、噴射炎を背中から起こして肉薄。
推進機で得た速度と機械竜の重量を以って、掠めるように刃を突き立てる。
流石に直撃させると強化装甲服を着込んだ人間でも肉片と化してしまうがゆえの配慮。
だがその配慮が吉と出るか凶と出るか……。

芥子風 菖蒲 >  
 
       ──────煙を播くよう、黒い夜風が霞を断つ。
 
 

芥子風 菖蒲 >  
状況は非常に混沌としていた。
違反組織の首領を神代 理央がどうとか、護送車が襲撃されるとかどうとか。
様々な情報が交錯しており、現場もあっちもこっちも混乱中だ。
芥子風 菖蒲は、混沌の中を駆け抜けた。
別に何がどう、とかじゃない。"風紀委員"である以上、当たり前の職務をこなしに来た。
動かなくなった護送車を、装甲車の上を黒風の如く駆け抜け、跳び、水蒸気の中へと躊躇なく飛び込んだ。
此処が戦闘の中央だ。音も聞こえる。なら、行かない理由はない。

「──────!」

煙の中対峙する二人。一直線に黒風が向かう。
漆塗りの刀を握り閉め、銀の刃が水滴煌めか煙を薙ぎ
マディファの飛び上がりに丁度合わさる形となり
錆びかけの刀身が一直線に花菱へと突き出された。急襲だ。
一方の刃とは違い、確実に"心の臓"を射抜かんとする刃だが
此の霞によって瞬く間に錆びて、脆くなっている事に少年は気づかない。

花菱刃 >  
「あったとしてももう少し緩やかだと思ったんだ。それならこっちが上回れるからな……でも、こっちの方が利くみたいで」

 マディファのかすかな様子を見てそう判断する。
 このまま押し切れれば上手くいく。そう思っていた。
 
「陽!」

 マディファの攻撃。こちらに配慮したのか少し威力は控えめ。それならば強化した自身ならばなんとか受け止める事は可能。
 
「直撃もらッ!!」

 かすかな音。霧を引き裂く黒い影。
 マディファを狙った攻撃をキャンセル。即座に後ろへと飛び下がりながら剣を振るう。
 さびた剣先をこちらの刀で切り払うと刀を納刀。

「……援軍か。本当に面倒ばかりが重なる」

 ボスからはまずくなったら撤退をといわれてはいる。
 正直言えばマズい状態だ。今の剣で理解できる。相手もかなりの腕利きだと。
 では言われた通り撤退する? 仲間を見捨てて? 否、損失1で仲間が救えるなら上等。相手には捕虜を奪われたという結果が残る。
 試合に負けても勝負に勝てばそれでいい。
 急襲してきた人物に目線を向ける。

「先にお前だな」

 この空間の中ならばマディファは時間をかければダメージになる。ならば狙うべきはそれが利かない生身の人間。

「陰」

 自身を中心に円形に空間が形成される。
 そして……刀を抜き放つ。

「陽ッ!!」

 圧縮した剣撃。それを陽の魔術で一気に拡散させる。
 結果、数十という居合が辺りに飛び散る。ビルも街頭も切り裂き引き裂く。
 その内いくつかは二人へと襲い掛かるだろう。

マディファ=オルナ > マディファの大剣の突き立った場所が大きく凹む。
大剣はまだ錆があまり回ってはいないが、時間の問題だろう。
そして、乱入してきた男の方を見れば。
その腕章から風紀委員、味方陣営であることを確認。

「助力感謝する。
 儂はマディファ=オルナ、特務広報部の傭兵じゃ」

既に雇い主の神代理央から報告が上がっているかも知れないが、名乗る。
己の素性を明かすのは、この落第街の戦場に於いてはわかりやすい判断材料だろうと考えて。

「じゃが、儂よりも奴ら一般部員を助けてやってくれんかの。
 奴らは空を飛ぶ魔道具を持っておる、持て余してそう……む!?」

即座に乱入してきた男の前に回り、大剣を突き立て盾にして。

「なかなか厄介じゃな……おぬし、もう一度いうが奴ら護送車側を助けてくれぬか。
 向こうの状況も危うそうじゃ……『出よ剣霊、我が腕(かいな)となれ』」

この空間では自分は継続ダメージを避けられない。
通常の攻撃手段が通らない以上、その蓄積を狙うのは明白。
まああの男との戦いは勝ちきれなくとも負けはしないだろうが、このままふたりとも足止めされて捕虜を奪われるのは戦略的敗北だ。
故に、乱入者にそう持ちかけつつ新たな大剣を召喚する。

ご案内:「護送車移動ルート」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 女はやや離れた場所に空から降り立つ。

「……あら、ぁ……1対……1……な、ら……見物……だった、の……だ、けれ、どぉ……これ、な、ら……おま、け……して、も……卑怯、だ、なん、て……いわ、ない、わ、よね、ぇ……?」


くすくす、と女は笑う。


「……ん……そう、ねぇ……やっぱ、りぃ……あっち、か、しらぁ……?」


手に、二冊目の本を取り出し、謳い始める


「……其は勇士。英雄に非ず。故に、英雄殺しの手には掛からざれば……汝、精兵と戦う者なり。鋼に惑いしもの、竜なりしもの……異種を討つべきモノ。汝は獣にて。この舞台に降り立つものなり……これが、我が書に書かれし真実の一部なり」

芥子風 菖蒲 >  
刃が空を切れば即座に構え直し……一歩引く。
獣のように機敏で在れど、相手の"間合い"に飛び込む程愚かではない。
花菱の目線と、青空のような穏やかで冷めた視線が交差する。

「随分と暴れてるみたいだけど、アンタがこっちの親玉?
 そっちの犬の子は……なんだ、仲間じゃないんだ」

てっきり二人とも"敵"だと思っていた。
当のマディファの言葉を聞けば如何やら味方らしい。

「傭兵?そこまで人手不足なんだ、風紀(ウチ)。何でもいいけど、アンタが思う程弱い連中じゃないよ。
 俺は適当にやるから、アンタも適当でいいよ」

島の秩序を守る風紀委員だ。
自分以外にも応援はやってくるし、伊達に治安を維持出来ている訳じゃない。
それよりも、頭を取った方が早く戦いは終わる。
マディファを一瞥すれば、花菱を見据えた。

「……!」

拡散する剣撃。
剣術じゃない。魔術的なものか。
周囲の瓦礫を該当を切り裂くかまいたちの暴力をマディファの大剣が一撃は防ぐも、まだ迫る。
一撃。袈裟に切り払い、一歩踏み出し、目を見開く。
二撃。刀身で受け止めるも、錆びた刀身が金切り声を上げて宙を舞った。
折れてなお前進し、三撃において肩を切り裂き、鮮血を吹き出す。
霧を染め上がる、真っ赤な鮮血を吹き出して尚────。

「邪魔……!」

止まらない。
痛みを感じていようが、確実な殺意と敵意を以て敵を倒す"意思"を持つ。
折れた刀を握りしめ、刃の嵐を抜ければ花菱目掛けて折れた切っ先を横一閃。
如何様に折れていようが、腐っても鯛。名刀と名打つ刃は多少の防刃なら切りさけよう。
しかし、剣士にとってのデッドゾーン。そのリーチの差は歴然だが、果たして……。

少年はまだ、空から降り立った存在に気付かない。

花菱刃 > 「向かってきてくれるのかこれはありがたい。が、その剣じゃ俺には届かねぇぜッ!!」

 と反撃しようとしたが。上の声に反応できた。援軍がこっちにも来た。そして何かをしようとしている。ならば。
 刀を振るい芥子風の迎撃を試みる。命中すれば儲けものこっちはどうでもいい。本命は別。

「木」

 同時に行うのは木の魔法。地面を引き裂き木の根っこがめちゃくちゃに生え芥子風、マディファ両名に襲い掛かる。
 それの目的はダメージではない。上から意識を反らす事。彼女の呪文を成功させることが目的だ。
 刀は芥子風の腹部を。木の根っこはそれぞれの背中と足を狙い殺到する。
 命中すれば御の字意識を下、もしくは自身に向けることが本命。果たしてその狙いは。

シャンティ > 「さ……いって、らっしゃ、い……猟犬、た、ち……ふふ……」


本の角から煙が立ち……狼にも思える異形が悪臭とともに現れる。彼らは、声にならぬ声を上げ……闇に姿を消す。


「人、は……人、どう、し……獣、は……獣、同士……ふふ……」


獣は唐突に、マディファの召喚した剣から湧き出し、牙をむく

マディファ=オルナ > 「儂から売り込んだほうじゃからちぃと知らぬ。。
 応援が来る……ふむ、ちょうど来たみたいじゃな。
 お主ら、護送車は任せた!」

言われて気付けば風紀委員の腕章を付けた人間が多数。
そちらに護送車を任せ、敵の男を……

(上方から声。
 対応は……)

音声センサーで拾った謎の声に対応しようか惑った瞬間、木の根が暴れ狂う魔術が男から放たれる。
そしてそれとほぼ同時、召喚の完了した大剣から狼のような異形が現れ牙を突き立ててくる。

「『我が眼前の藪をその剣持ちて薙ぎ払え火霊、イフリートソード』っ!!」

刹那の判断は木の根を伐り焼き払い、獣に鉄拳。
急な対応ゆえ拳に全力を最適に通すことはできないが、それでも相当な威力である。