2019/03/03 のログ
ヴィルヘルム > 「それもそうだね……。」
言えない。一日で決められなかったとか言えない。

貴女のそんな部分も,ヴィルヘルムにとっては大好きな貴女。
からかわれるのも嬉しいというのだから,大概救いようがない。
もっともこの場合は,本人が幸せならば良いのかもしれないが。

「…お願いします。」

ジュリエットに礼儀正しく頭を下げる。

クローデット > 1日で決められないことを見越してか否か、時間に余裕を持って花束を間に合わせた青年の段取り力は褒められて然るべきだろう。
そういう青年のまっすぐさが、今のクローデットにとっては好ましいのだ。優しく眼を細める。

しかし、「負けるが勝ち」ではあるものの、その「負け」はどうしようもないほどしっかり刻み込まれてしまっている感がある。

『承りました。それでは』
「ええ、よろしくお願いいたしますわ」

クローデットが花束をハウスキーパーに預けると、彼女はまた引っ込んでいく。

「…お花が整いましたら、今日の本題、でしょうか。
それまではおくつろぎ下さいね…と言っても、お題がお題ですから飲み物が「今は」お出し出来ませんので…申し訳ございませんが」

そう言って軽く頭を下げるクローデットだが…気遣いの側面もないではないだろう。
今日の「本題」で、最低2回紅茶が入るだろうから。

ヴィルヘルム > 下見,決定と予約,そして本日の受け取り…と,きっかり三段構え。
先を見越してではなく,単純に居ても立っても居られなくなったからすぐに見に行っただけの話だったが。

「じゃ,本題に入る前にコレ…改めて,二つ目のプレゼント。」

どうぞ,と貴方に小箱を手渡す。
なんだかこれをずっと持っているのも,それはそれで気恥ずかしかったから。

ただ,立ったままなので,ここで開けるというわけにもいくまい。
少し先走った感はあるが,それも青年らしいといえばそうだろう。

クローデット > 試験終了後、今日まではあまり日がない。居ても立っても居られなくなってすぐ動いた青年は、結果的に正しかっただろう。
…もっとも、流石のクローデットもその辺りはどこまで汲んでくれるやら。

「ああ、確かに…それでは、改めてありがとうございます」

空いた手を優しく差し出し、小箱を受け取る。
それから、一人がけソファが二つ並んだところの片方に座ってしまい、それらの間のテーブルに小箱を置く。
…それから、封を解くべく細い指を伸ばした。

ヴィルヘルム > 貴方が小箱を開ければ,そこに入っていたのは,花の髪飾り。
ベージュのトルコキキョウと,落ち着いた色のベリーがあしらわれた品だった。

「……ちょっと落ち着きすぎてるかもって思ったけど,こういうのも,似合うかなって。」

青年ももう一つのソファに静かに腰を下ろして,貴女の様子を見ている。
……今になって,もっと鮮やかなほうが良かったか,なんて内心に不安になったりしつつ。

クローデット > そこに現れたのは、気品に溢れた花の髪飾り。
すっかり「男」になってしまっても、こういうものが選べる感性が残っていることを…クローデットは、純粋に嬉しく思った。
…余計な意図が混ざらないからこそ、瞳が思わしげに伏せられ、万感の籠ったため息が控えめに笑んだ唇から溢れただけで…青年からすると、不安に思わせる反応かもしれない。

「………少し、ドレスの趣味の幅を広げようかと思い始めていたところでしたの。
とても、嬉しく思いますわ」

そう言ってから…青年の方に再度視線を戻して、優しく微笑む。

リビングの入り口あたりで、ハウスキーパーが様子を伺っていることに、青年は気づいてもいいし気づかなくてもいい。

ヴィルヘルム > 青年の中の“マリア”は確かに生きているし,彼女もまた,ヴィルヘルムとは違った形で貴女を好いていた。
先ほどの花束もそうだが,貴女が喜んでくれそうなものを考えるのなら,ヴィルヘルムよりマリアの方が得意なのかもしれない。

ヴィルヘルムはと言えば,貴女の反応に,少し不安げな顔をしていた。
けれど,貴方の言葉と,その微笑みが全ての不安を溶かしてくれた。

「良かった…!クローデットに絶対,似合うと思うから!」

ぱぁっと表情が明るくなって,そんな力強い宣言。
なお,今のヴィルヘルムはきっと,ジュリエットさんに気付けるほど周りは見えていないだろう。

クローデット > 「ええ…また今度、とっておきの機会にでも付けさせて頂きますわね。
………合うドレスを、探さなければならないでしょうか」

顔からすっかり憂いを払いのけた青年の様子を、微笑んで見守る。
と、話が落ち着いたところで…

『失礼致します。花束を生けましたので、リビングに飾らせて頂きたく』

と、ハウスキーパーが姿を見せた。

ヴィルヘルム > 今付けてほしかった,という気持ちも無いではなかった。
けれど,貴女の言葉に納得して,にっこり笑う。

「それじゃ……僕もその隣に居られるような,ちゃんとした服,探さないといけないかなぁ。」

そんな風に言ってから,その様子を想像して少し恥ずかしくなってしまったりするヴィルヘルム。
目が泳いでいるところに,ジュリエットが現れれば…

「…ありがとう。」

…そう呟く声も,少しだけ小さく。

クローデット > 「どうでしょう…わたしの身長はもう変わりませんけれど…」

「ちゃんとした服」の度合い次第だが、決して安い買い物ではないだろう。
青年の経済的負担を考えてか、クローデットの視線が気持ち落ちる。

ちなみに、クローデットが探そうと思っているのは「普通」のドレスである。
欧米の基準での「普通」。デコルテが、綺麗に見えるような。
………青年の将来に幸あれ。

『それでは、失礼致します』

ハウスキーパーはリビングの中に入ってくると、飾り棚の上に花瓶を置いた。
純真な色合いが、落ち着いた部屋の中に瑞々しさを添えている。

「ありがとうございます、ジュリエット」

クローデットも礼を述べた。

『いえ。…しかし、こういった色合いの花も良いものですね。春も近いですし』

謙虚にそう感想を述べたジュリエットは…

『落ち着きましたら、お茶の淹れ方の指南を台所で致しますが。いかがなさいますか』

そう、クローデットとヴィルヘルムに問うた。

ヴィルヘルム > 長期計画になるだろう…貴女がドレスを見繕う方が先だろうから,きっとヴィルヘルムもそれに合わせて服を選ぶに違いない。
もっとも,社交場に出るような服装のイメージは中世ヨーロッパなので,現代的でないという問題点もあったりするのだが,それはまた別のお話。

「ジュリエットさんにもそう言って貰えて良かった…。」

ヴィルヘルムはジュリエットにも笑顔を向けた。
それからつづけられた言葉に,当初の目的の1つをやっと思い出して…

「…そうそう,お茶の淹れ方。」
すっかり忘れてた,とは失礼になりそうだから言わなかった。
「よろしくお願いします。」
なんて,ソファから立ち上がって,一礼する。

クローデット > そもそもクローデット、ドレスを一人で勝手に選んでしまうつもりだろうか。
いや、デコルテが綺麗に見えるようなドレスを選ぶ場に連れられても青年はきっと困ってしまうだろうけれど。
まあ、色々と別の話である。

「…ヴィルヘルムが大丈夫なのでしたら、私も大丈夫ですわ。
それでは、参りましょうか」

『ええ…それでは、こちらへどうぞ』

ハウスキーパーはダイニングキッチンへ二人を誘導する。

青年が「本題」を忘れていたことは表情から何となく察されていたが、クローデットが追求しないことを、ハウスキーパーは当然追求しない。
…何せ、贈り物がらみの空気を横で読んでいたくらいだし。

ダイニングキッチンのテーブルの上には、紅茶を淹れるのに使う道具だけが並べて置かれた状態になっているだろう。

ヴィルヘルム > そう,ヴィルヘルムは確かに困ってしまうだろう。
けれどその一方で,ドレスの試着で沢山のドレス姿を見られるのはきっと,嬉しがるだろうなぁ。

貴女の言葉に頷き,ジュリエットに続くようにして,ダイニングキッチンへ移動する。
並べられた道具を順番に見ながら。

「…………。」

ちょっとわくわくしだしている。

クローデット > クローデットがドレス選びに青年の意向をどのように、どれだけ汲もうとするのか。
全てはその時の状況次第であろう。

それはともかく。

『美味しい紅茶ですが…可能であれば、道具からこだわってみて下さい。
鉄分を使ったポットはお茶の香味を損なってしまいますし…カップも、色が淡くて口が広く、そこが浅いものの方が紅茶の良さを楽しめますので』

早速説明を始めるジュリエット。道具の話から入るあたりつよい。

ヴィルヘルム > ヴィルヘルムも道具の話に興味津々だ。

「……お店とかにあるガラスのポットとか,綺麗だよね。」

その分,冷めちゃうのも早いけれど。

メモを取るわけではないけれど,一つ一つの話をじっくりと,集中して聞いているのが,すぐに分かるだろう。

クローデット > 『ええ、ガラスも香味の点では悪くありませんが、冷めてしまいやすいので…保温には特に気を使う必要がありますね』

穏やかに頷く。青年の集中度合いを確認して…

『水は軟水がお茶の香味を損ねず好ましいですが…まあ、この島であれば水道水でもさほど問題はありません。鮮度も悪くありませんので』

『私達は軟水のミネラルウォーターを用意しておりますが』と、冷蔵庫から水のボトルを取り出す。
しかし、最初にヤカンを火にかける時、彼女は堂々と水道水を使った。

ヴィルヘルム > 「蝋燭で温めたりしてたお店もあったけれど…あれはちょっと面倒そうだなぁ。」
味を重視するなら,ガラスである必要は無さそうだと判断。

「軟水……」
一般常識が危ないヴィルヘルムが引っかかったのはそこだった。
けれど水道水でも大丈夫と聞けば,とりあえずは一安心。

「…って,そのボトルの水は?」
その行動の意味が理解できなかったのか,素直に聞いてみる。

クローデット > 素直に聞かれても動じない。説明をしていないのだから、当然の疑問だ。

『最初に沸かすお湯は飲むために使うのではないのです』

お湯が沸いた後、それを陶器のポットに注ぎ、それから、今度こそミネラルウォーターでお湯を沸かし始める。
それから…

『紅茶を淹れるのに温度は大事ですので…最初にこうして、ポットとカップを温めるのですよ』

そう言うと、ジュリエットはポットのお湯をそのままカップに注ぐ。

「わたしが一人で淹れる時は、ついこの行程を蔑ろにしてしまいますわ」

クローデットの苦笑い混じりのコメント。基本的にやっていないわけではない(もちろん「例外」もある)のだが、割と雑なのである。
味の差はこんなところで出ているらしい。

ヴィルヘルム > 「…そういうことか,なるほど……。」

そのお湯の使い方は予想外だったようで,ヴィルヘルムは大きく頷いた。
なるほど確かにこれは,意識していなければ飛ばしてしまうだろう。

「クローデットが?…なんだかちょっと意外。」

くすくすと楽しそうに笑うヴィルヘルム。

クローデット > 「…誰かと一緒に飲むために淹れることが、あまりないものですから」

意外そうに笑われても、気分を害するでもなく穏やかに困ったような微笑を。
それでも、「人と一緒に飲む時には気をつけておりますのよ?」と念は押した。
そんなやりとりの合間にも、ジュリエットの説明は進む。

『お茶を入れるためのお湯を沸かしている間に、人数分の茶葉を計って空のポットに入れておきます。一人あたり2〜3グラム…ティースプーン一杯ほどが目安ですが』

茶葉の袋に、ティースプーンを入れてすくう。葉の形が伺える大きさの茶葉が、ティースプーンにこんもりとしている。

『茶葉が大きい場合どうしてもすくう際に隙間が出来ますので、大盛り気味にとって計算しましょう』

ジュリエットは、それを3回繰り返した。

ヴィルヘルム > 「そっか…確かに一人でここまでやるのは大変だよね。」

納得したように頷く。けれどこういう拘りが,嫌いではないヴィルヘルム。
ジュリエットの説明を聞き逃さないように,しっかりと耳を傾ける。

「2~3グラムって言われても難しいけど……そのくらいかぁ,なるほど。」

実際に目で見れば,ある程度の量は理解できる。

クローデット > きっとクローデットの場合、「お湯を沸かすのが面倒だから魔術を使って直で温める」みたいなことを平気でやっている。
まあそれはともかく。

『料理用の秤があれば、それで計っても良いでしょうね。
ティースプーン基準の場合、細かい茶葉だとここまで大盛りにする必要はないので注意して下さい』

そうしているうちに、お湯が沸く。
結構激しい沸騰だ。

『ポットの中でお湯の流れが発生しやすくなるので、飲むためのお湯は強めに沸かし…勢いよく注ぐよう心がけて下さい。
蒸らすためにも、蓋はすぐ閉めましょう』

自らが語るように、手慣れた早さで手順をこなしてしまう。

『蒸らす時間は茶葉の大きさによります。細かい場合は2分半から3分、今回のように大きめの場合は3〜4分。
ミルクティーになさる場合はもう少し長めでもいいでしょう』

そう言って、砂時計をひっくり返した。

ヴィルヘルム > 「秤あったほうが良さそうかな……確かあったと思うし…。」

アドバイスに頷きながらも…次の動作をしっかりと見ている。
決して派手な動きではないし,特殊な行動でもないのだが,その1つ1つが洗練されていて,無駄がない。

「時間は……買ったお茶を試してみて,美味しいって思える時間を調べた方が良さそうかな。」

そして,砂時計にちょっとだけ興味を惹かれる。
タイマーではなく砂時計というところがなんとも味がある。

クローデット > 『他の用途にも使えますから、あって損はないでしょうね』

秤については、そんなことを。

『茶葉のパッケージに、おおよその蒸らし時間が書いてあることがほとんどかと思いますので、その中で調整をなさると良いかと』

お茶を淹れる時のように、おおよそ時間が決まっている時は、砂時計の方が手順がシンプルになるのだ。
ポットにカバー…ティー・コージーをかぶせて、時間が来るのを待つ。

長いような短いような、そんな3分。

時が満ちる直前に、カップの中に注いでいたお湯を流しに捨てておく。
少し蓋を開けてティースプーンで軽くポットの中を混ぜてから、茶こし越しにカップにお茶を注いでいく。濃さと量が均等になるように、回しながら。

『最後の一滴に一番味と香りが凝縮されると言われておりますので…最後まで、しっかり注ぐように心がけて下さい』

そう言って…最後の一滴が落ちたカップを、ヴィルヘルムに差し出す。

『どうぞ』

ヴィルヘルム > 「そうします……砂時計,僕も買ってこよう…。」
ヴィルヘルムの何かに刺さったようで,砂時計お買い上げが決まりました。

砂時計の落ちるのを見つめていたら,3分という時間は,長いとは感じなかった。

「…最後の一滴まで…だから,お湯の量を気を付けないと。」

そんな風に小さく呟きながらも,差し出されたカップを見れば,ありがとう。と素直にお礼を言って,カップを手に取り…その香りを味わう。
それから,一口,ほんの少しだけ啜って…

「…美味しい,ホントに美味しいです。」

ヴィルヘルムの目は輝いていて,本当に感動しているのが分かるだろう。
単純なヴィルヘルムのことだから,全ての行程を目の前で見たことにも影響されているのだろうが。

クローデット > 『…よく使われる茶葉の時間に適したものを、選ばれると良いかと思います。
細かい時間のものならば、複数回測る…ということも出来るでしょうけれど、少々慌ただしいかと』

砂時計の刺さりポイントが読めないので、ハウスキーパーの声は微妙に戸惑い気味であった。

『…お気に召して頂けて、何よりです』

そう静かに語るハウスキーパーの表情はあまり変わらないが、落ち着いた声には誇りが溢れている。
ヴィルヘルムの感想を受けて、残りの二人もカップを手に取った。試飲会というか、まあお茶会である。リビングほど、雰囲気にゆとりはないが。

ヴィルヘルム > 「いろんな大きさ用意しておいても良さそう…。」

何故だろう。本当に気に入っている。
きっと後日,数種類の砂時計がキッチンに置かれていることでしょう。

「……ここまで美味しく淹れられるようになったら,お店できそう。」

それはちょっと甘く見過ぎかもしれないけれど,とにかくそのくらいに美味しいということなのでしょう。

3人の小さなお茶会が終われば,早速,練習が始まるのだけれど…
…それはまた,別のお話。

クローデット > クローデットも概ねの手順は理解している。
それでも味に差が出るとしたら…雑な温め手順だけではなく、作業のこなれ具合の差なのだろう。

『…光栄です。
それでは…飲み終えて一休みしたら、シュピリシルド様がご自身でもお試しになってみて下さい』

『困った際には、私もサポート致しますので』と。

…そうして、微妙なペースの差こそあれ3人が紅茶を飲み終え…

【続きは後日】

ご案内:「クローデットの私宅・誕生日」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「クローデットの私宅・誕生日」からヴィルヘルムさんが去りました。