2019/03/22 のログ
■ヴィルヘルム > 見透かされてしまっただろうか。
貴女が出してくれた助け舟は,ヴィルヘルムを赤面させる。
けれど,素直に言えば食べたかったし,断るのはクローデットに失礼だ。
「……もらっても良いかな?」
恥ずかしそうにしながらも,空になったお皿を差し出した。
■クローデット > 「違和感なく召し上がって頂けたのでしたら、感想としては十分なのですけれど…ヴィルヘルムご自身が、そう思われるようには見えませんでしたので。
…ええ、せっかくですから、是非」
恥ずかしそうに差し出された皿を受け取ると、ケーキをもう一切れ乗せて青年の前に戻す。
気づいたタイミングやら青年の反応が楽しいやらで、輝かんばかりの満面の笑みだ。
■ヴィルヘルム > 「もう…先に言ってくれれば良かったのに…。」
すこしいじけたような声を出したけれど,ケーキが出てくるとそっちに視線が移動する。
改めて,一口フォークで刺して,頬張った。
「………………。」
今度は,貴方の手作り,だという認識が追加された。
勿論素直に美味しかったのだけれど,それ以上に……
「……………。」
…自分のために,貴女が手作りのケーキを用意してくれた。
そんな事実が嬉しくて,恥ずかしくて,幸福で…涙が,一筋流れてしまう。
■クローデット > 「先に言ってしまったら、正直な感想を伝えて下さらないかもしれないじゃありませんか」
くすくすと笑いながら。
料理の腕そのものには自信はあるけれど、サプライズでは好みは反映出来ないのだ。
「………。」
青年の頬を涙が伝うのを、目を大きく瞬かせながら見つめる。
…それでも、似たようなことは前にもあった。クローデットは優しく微笑んで、レースのハンカチを青年に差し出す。
「お勉強を頑張っていらしたので、ちょっとしたご褒美を、と思ったんです。
…流石に、ここまでの反応を頂けるとは思っておりませんでしたけれど」
「大丈夫ですか?」と声をかけ、青年の背中に、空いた方の手をそっと伸ばす。
■ヴィルヘルム > 「……ごめん,いや,泣くつもりなんか無かったんだけど!!」
それは涙が止まらないような泣き方ではなく,ふと,流れてしまった,という類のもの。
差し出されたハンカチを受け取って,涙をさっと拭く。
「大丈夫,全然大丈夫で……何だろう,こんな風にケーキとか作ってもらったりしたのも初めてだったし…
…こんなに嬉しいことって,全然覚えが無くって…その,幸せだなぁ,って思ったら…」
…恥ずかしさや色々な感情で慌てているが,ヴィルヘルムは貴女に涙の理由を語る。
それは本当に,感情が溢れたような涙。溢れたのは悲しみではなく,喜びや幸せだった。
■クローデット > 「………幸福で涙が流せるのも、とても豊かなことですわね」
青年の、安定しない声の出し方やら言葉の詰まり方。そして語られる理由を最後まで聞いて、穏やかに微笑む。
………クローデットが、あの激動の時期にもあまり泣いていない(少なくとも、他人の前では)こととの差異やらを考えると、ほんのり意味深かもしれない。
「…クリスマスや…それこそ、ヴィルヘルムのお誕生日をお祝いするようなことがあれば、ご要望を伺った上で、またお作りしてもよろしいのですけれど。
…無論、ヴィルヘルムが望まれるならば、ですが」
もっとも、そんな陰影は束の間。たおやかな微笑で、なんかすごいことを畳み掛けてきた。
■ヴィルヘルム > ヴィルヘルムは元より涙もろい。
けれど,こうして幸福から涙を流したことなど,この島にくるまではあり得ないことだった。
「…そんなの食べたいに決まってるじゃない…!
…でも,クローデットに迷惑になっちゃう気がするし,そんなに沢山じゃなくっても…ほら,1年に1回だけだったら,その日を楽しみに出来るし…。」
素直に言うのなら何度でも食べたいし,作ってほしい。
けれどそれを言えるほど傲慢にもなれなかった。
「……それに,僕の場合ほら,自分の誕生日って,こっちの暦だとよく分からないから。」
■クローデット > 自らの過ちを理解して、クローデットは表面上は「弱く」なった。
…けれども、青年が幸福ゆえに流す涙を受け止める「強さ」を、引き換えに手に入れることが出来た。
「…まあ、クリスマスにお誕生日程度でしたら、年に数度ですから、そこまでの負担には」
欲望と引け目がない交ぜになったような青年の言葉に、ほんのり困ったような微笑を浮かべつつそんなフォローを。ちなみに、手作りケーキは多分月1相当くらいが上限だと思われる。
…と、誕生日の件については、ある種の納得があったようで…
「そうですか…使われていた暦が違うのですね。
…便宜的に、歳をとる日として決めた日はございませんか?」
それが決まっていないと永遠の〇〇歳ということに社会的にはなってしまうが、身体的にはそんなことはあり得ないだろう。世界が違えど青年の身体はこちらの人間と大差ないはずだし。
何か手続きはしていないのかと、確認を。
■ヴィルヘルム > ヴィルヘルムは確かに貴女に依存しているかもしれない。
それは大きな弱点で弱さだが,一方で貴女が居るだけで,驚くほど強くもなれる。
「…それなら……うん,僕は紅茶淹れるから……。」
お願いします。と,貴女に真っ直ぐな言葉でお願いする。
「あ,それって学校で書いたやつかな……?
確か……えーっと………覚えてないや。」
確かに書いてはいるようだが,残念ながら記憶には残っていないようだ。
だが,学園で調べれば,すぐに分かるかもしれない。
■クローデット > クローデットに言わせるならば、「依存しているのは自分の方」だったりする。
…「生きてみる」ことにした経緯に、青年が深く関わっているのである意味当然だが。
危ういほどの共依存…だが、スタート地点が悪すぎる二人には、手放せないものなのかもしれない。
「ええ、お願いいたします。
…ふふふ、次の機会の楽しみが増えましたわね?」
楽しそうな笑みを零す。
「学生証に載っているのではないかと思いますけれど…そうですね、後で確認なさるとよろしいかと」
必要な事務手続きに困るようなことがあればクローデットも手伝うだろう。
故郷を離れて新たな人生を手に入れた青年が、それに相応しい「誕生日」を得るのも、何もおかしなことではないのだから。
■ヴィルヘルム > お互いがお互いを求め,それが救いになるとしたら…ヴィルヘルムにとってそれは,ずっと願っていた理想の関係。
貴女の隣に並んで歩きたい。そんな願いは,いつの日か本当に形になるのかもしれない。
「…クローデットのお陰で。」
次の楽しみが増えた。そんな貴方の言葉と笑顔に,こちらも笑顔でそう返す。
……貴女と一緒に居るだけでも,十分に幸せなのだ。
このお茶会は,ヴィルヘルムがケーキを食べ終わり,紅茶を飲み干すまで,もう少し続く。
そして後日,ヴィルヘルムは貴女に“誕生日”を報告しに来るだろう。
だけれどもそれは,また別のお話。
■クローデット > 互いに求め合う。その側面は、確かにあった。
ただ、「愛の国」とも呼ばれたりする故郷で育ったクローデットにとって、今の二人の関係は「愛」ではないのである。
…ボールが自分の手の中にあることを、クローデットは自覚していた。
「あら、光栄ですわ」
未だに胸の中にくすぶる戸惑いを表に出さず、クローデットは華のある微笑を浮かべて返した。
青年の「誕生日」。これからのこと。…新たに芽吹いている、「考え事」。
まだまだ、クローデットの忙しい日々は続きそうだ。
ご案内:「クローデットの私宅・誕生日」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「クローデットの私宅・誕生日」からヴィルヘルムさんが去りました。