2020/08/11 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に高坂 綾さんが現れました。
■高坂 綾 >
「あれ………」
「ここ、どこだろ…………」
私は確かに、夕暮れの常世渋谷を歩いていたはず。
なのに、今は何かがおかしい。
街は深い霧に包まれ、夕日が血の紅のように地面を染め上げている。
周囲には怖気がするほどの妖気が満ちている。
まるで夜中に森の中に……異界に入り込んだかのように。
溜息をついて歩き出す。
とりあえずは出口を見つけないと。
今日はカジュアルコーデをしていてよかった。
スニーカーは歩きやすい。
■高坂 綾 >
なんてことだろう。人の気配がない。
思い返すのは、あの日……怪異にさらわれた友達を助けるために入った森。
いや、暗いことを考えるのはやめよう。
今は生き残ることだけを考えなければ。
確か、夕暮れに常世渋谷の交差点を歩いていたはず。
あれも広義で四つ辻……黄昏れに四つ辻か。
ということはここは、噂の裏常世渋谷?
思考に一部、モヤがかかっているけど。
大体はそういうことで良さそう。
忍者、異界で死す。洒落になってない。
ふと、視線を向けると闇よりも濃い人影が美味しそうな中華料理の屋台を出していた。
ヨモツヘグイか。
あれを食べたら、いよいよもってここから出られるかわからない。
■高坂 綾 >
次の瞬間、影から何かが飛び出してきた。
私は咄嗟に身を翻してかわす。
真っ先に目についたのは、灰色の翼。
そして西洋の天使やキューピッドと呼ぶべきシルエット。
しかし、彼らは。彼女たちは。
その双眸から血の涙を流し、手には血錆の浮いた武器を構えている。
「西洋の妖怪かしら…」
バッグを握ったままじりじりと距離を取る。
目を逸らしたら一斉に襲いかかってきそうであり。
今のままでは追い詰められそうでもあり。
どうする? どうする!?
ご案内:「裏常世渋谷」に桑原 梅乃さんが現れました。
ご案内:「裏常世渋谷」にドローン『No.9』さんが現れました。
■桑原 梅乃 > 「表でマークしてた場所は確か……この、へ、ん……」
久那土会特製の渋谷探索支援マップ(1冊5文)を手に、
予め表で目をつけていた場所まで潜ってきたのだが……。
目の前に怪異が出現していて、それらの挙動から察するに、
どうやらすでにここに誰かが来ているらしい。
"同業"ならなんとかなるだろうけど……"呑まれた人"だったら?
どうにも一触即発の雰囲気。迷ってる時間が惜しいな。
相手の隙を作ってやるか。
こっちに気を引けば、同業でも動きやすいでしょ。
ついてきているドローンに目配せをして、
その辺に落ちている瓦礫を一つ拾って、怪異と自分の間に落ちるように放り投げた。
■ドローン『No.9』 >
『思ったよりも時間が掛かったが、成る程。此処が裏渋谷か。』
梅乃の傍らにあるドローンから
男とも女ともつかない合成音声がぎこちなく流れる。
搭載されたカメラが忙しなく動き、観察している。
『因みに、お前の思っている事だが、恐らく後者だろうな。』
そうドローンが告げる頃には、既に瓦礫は真っ逆さま。
『……まぁ、そうなるか……。』
何処かでため息が聞こえたような気がした。
瓦礫がコツン、と空気に音の波紋をたてる。
■堕天使? >
瓦礫が落ちた音に反応して一斉にそちらに振り向く。
「ギアゴガギ!! ギギギギル!!」
恐らく人間とは可聴域が違う言語で意思の疎通を図っている。
■高坂 綾 >
誰かが、あいつらの気を引いた。
なら、今がチャンス。
後方に宙返りしながら自らの影を摘んで捲りあげる。
着地する頃には、忍装束と口布を装備していた。
「迅ッ!!」
異形たちにクナイを投げつけると、何体かが刺さって地面に落ちた。
噴出する黒い体液が足元を濡らす。
「誰かしら? 味方…よね」
凛とした声を張って、忍刀をゆっくりと抜いた。
■桑原 梅乃 > 「ほっとくわけにもいかないからね。仕事だから」
ドローンに返事をして、刀に手を添え。
異形達と相対する。
さぁコイツらは、先に来ている人は、どう出る?
と、視界の隅に現れたのは。
「え、忍者?」
本でちょろっと見たことがある程度の知識。
忍者と言う名前を知っているのも奇跡に近い。
「……あ、久那土会、"跳び梅"。今名乗れるのはこれだけ!」
異形達がクナイにたじろいでいる間に、挨拶を返す。
■ドローン『No.9』 >
『わかっているよ。とはいえ、戦闘力には期待するな。
ナビゲート以外の機能を使うには、少しばかり時間が掛かる。』
ドローンの装甲が僅かに開く。
バチバチと電磁波の様なものが僅かに流れ始めるだろう。
カメラアイは、異形たちをせわしなく見る中、綾の姿も捉えていた。
『高坂 綾……まぁ、実際忍者だな。一般生徒だ。……此の島の基準でな。』
自分で言っておいてなんだが一行矛盾にドローンもちょっと困惑だ!
『……私は水先案内人……の、仮免許とでも言っておこう。
"跳び梅"に合わせた名乗りをするならね。』
合成音声も律儀にご挨拶だ。
■堕天使? >
「グギリグググゲ!! ゲギギガガ!!」
ある者は弓矢を構え、ある者は手斧を振りかぶり。
“跳び梅”と高坂綾に襲いかかる。
ドローンを敵とは見做していない。今は。
しかし数を頼りにヒトガタの存在を襲っている。
■高坂 綾 >
「クナドカイ? 跳び梅………それに水先案内人」
相手の斧を持つ手を斬り払い、影から手を伸ばして地面に引きずり下ろす。
「忍者よ、忍者……知ってるなら、それでいい」
足元に落ちてもがくそれに白刃を突き立てた。
「忍法………」
矢を放ってくる堕天使に向けて移動しながら足元の影にクナイを放つ。
「影縫!!」
影を飛来する刃が貫くと、硬直するように動けなくなる堕天使。
数を減らさなければ、逃げ出すにも危険な状況か。
頬に付着した返り血を指先で拭った。
■桑原 梅乃 > 「情報さんきゅ!
ま、これぐらいならなんとかなるっしょ!ウメを甘く見ないでよね!」
ドローンに軽く返事をして、姿勢を低く構える。
「オッケー、話は怪異を片付けてからね!ニンジャさん!」
地面を蹴って踏み込み、空中でもう一度蹴って踏み込み。
飛んで来る矢は魔術で風を起こして逸らし。
あっという間に弓矢を持つ1体の懐に入り込めば。
「やぁ!」
技名とか無いよ!強いて言うなら居合一閃。あるいは真空斬り。
振り抜かれた刀の刃が、堕天使の首を落とす。
刃渡りが足りないように見えるが、魔術で補われているようだ。
力を失って崩れてゆく亡骸を蹴って、また距離を取る。
■ドローン『No.9』 >
『お前の力には十分期待しているよ、そっちの忍者も……。』
『それにしても……堕天使の軍勢。アンジェル・レギオンとでも名付けようか。
気を付けろ、個々の力は弱いが、意思疎通が出来る。つまり、連携が出来ると言う事だ。
奴らはそれほど間抜けじゃないが、我々のが賢い。……中央に集めろ、一気に叩いた方が得策だ。』
冷静に戦況を報告する電子音声。
此方を敵と認識しないのは幸いだ。
二人が戦っているうちに、カメラはずっと堕天使を達を見据えている。
その瞬間が終わるまで、じっと"観察"していた。
■高坂 綾 >
「やっぱり怪異……というわけね!」
忍刀でこちらの肩を狙って飛来する矢を切り落とす。
魔術で風を起こす“跳び梅”には確かな技量がある。
だからこそ、謎だ。組織として裏常世渋谷に来るような…
そんな構造があるのだろうか。
一匹、一匹と“跳び梅”と自分の剣戟で片付けていく。
しかし、数が多いのでとにかく手間取る。
「何かプランがあるのかしら、水先案内人さん?」
忍刀の血を払って鞘に収め、大金剛輪印を組む。
私のシルエットがブレ、周囲に“増えて”いく。
忍法、影分身の術。
消耗が激しいけど、確かに細々と戦うよりはマシ。
「奥義、絶影陣!!」
影分身たちは渦を描くように動きながらアンジェル・レギオンと戦い出す。
追い詰められた軍勢が交差点の中央に集まる。
■アンジェル・レギオン >
「ギギッ! ギギイィィ!?」
中央に集められ、防戦の構えを取る堕天使の軍勢。
■桑原 梅乃 > 「思ったより多かったなぁ」
どうやらこの人も戦うことには慣れているようだ。
まぁ忍者が慣れて無くてどうする、というのはあるけど。
なにはともあれ、ひとりでは厳しかったかも知れない、助かった。
手斧やナイフを持つ手を落とし、攻撃を避ける。
一発でも受けたら普通に痛手だし、呪いなんかを受ける可能性もある。
よほどでもない限り当たるわけには行かないのだ。
「それで?指示したからには何か作戦あるんでしょ?ヌルさん!」
魔術で補強しているとはいえ、手入れ無しに次々と応戦している状態。
だんだんと切れ味が落ちてきていた。
■ドローン『No.9』 >
バチバチとドローンの周りを弾ける電流が大きくなる。
敵として認識されてないなら、問題ない。
飛行するドローンが、中央に集められた軍勢へと飛んでいった。
『勿論だ。もう、"解析"は終わった。
本来は対異能者用だが、怪異にも十分に"利く"。』
ドローン……正確には、その操縦者の"とっておき"。
対象の存在を把握する事によって可能とする技。
ドローンの周囲に、爆ぜる電流が、紫色となってドローンの周囲を取り巻く。
『──────EMP、発動!』
張り上げられた電子音声と共に
ドーム状の電流……電磁パルスが堕天使の軍勢を包み込む。
本来電子機器にしか効果の無い技だが、此方の異能と合わされば別だ。
対象の"異能部分"を一時的に機能停止されることが出来る異能ハッキング。
怪異相手でも、その存在を"把握"出来れば問題はない。
効果は絶大だ。電源が切れたかのように、怪異の動きを停止させる。
『総攻撃チャンス。……何、"ファンサービス"だ。後は任せたぞ。』
■アンジェル・レギオン >
彼らは。彼女たちは。停止した。
うめき声すら上げない。
スイッチが切れたかのように動きを止める。
それは、一時的にだが。大きな隙となる。