2020/06/28 のログ
スライム > (オマエ、ナンド、デモ、クウ)

少女の問いかけにはこれだけでは終わらないという言葉。
そして返事も悲鳴も聞かないというように触手で口をふさぎ唾液すら啜り取ってしまい。
秘所の奥に押し込んだ触手は浴びせられる愛液を残すのは勿体ないとばかりに吸収してお代わりを求め。

口の中と秘所の中を触手で隅々まで味わうように擦り舐め廻して餌となるものを啜り上げ。
追い打ちとばかりに胸の突起を強く扱き、敏感な突起の皮の中にまで侵入して舐め廻して。

フィスティア > 「ー!ー!!ー!!!」

口の中の水分がなくなりスライムのベタつきで覆われる。
ただでさえ快楽で圧迫された脳にさらに口を塞がれ声が出なくされればもうその混乱は頂点に達する。
ただし、すぐに快楽に上書きされるのだが。

壁レベルの平坦な胸の突起を、その内部までいじられ、これまで誰も経験させなかった快楽に加え、さらに直接的な快感が叩き込まれる。
ただでさえ秘所を掻き回され全身を撫でられているのに、そこにさらなる快感を叩き込まれているというのに、まだ必死に自我を保とうとしている少女は逃れることまで脳が回らず、快感に抵抗することしかできずにいて。
知らない感覚への恐怖は消え去り、最後の堤防も段々と削られ、決壊の時は近い。
必死にもがきながら、喘ぎ、愛液をスライムに与え続け。

スライム > 涙も唾液も貪りつくし少女にスライムのべたつきや味も快楽と共に刻み付けていく。
声を出せない状態でモンスターと言える生物に犯される混乱すらも消してしまうほどの快楽と共に。

人間相手では経験を出来ないほどの刺激、快楽を感じさせその上で休みなく責め立て。
脳を弄り普通なら自我が飛んでしまっているほどの快楽を、全身に秘所にと送り付け愛液を啜り。
秘所に押し込まれた触手の先端は細くなり、子宮口の中へと入り込み子宮内を舐め廻し、最後の堤防を崩してしまおうと。

フィスティア > 「ッーー!ッーーー!!!」

意外と決壊の時は早かった。
固くなってしまったレバーがいきなり倒れたような、ヒビが入ったダムが崩壊し一気に水が溢れ出るような。
今まで抑え込まれてきた快楽が溢れだし、絶頂を迎える。
触手に向けて一気に愛液が吹き出し、唯一動かせる頭部がびくっと仰反る。
快感を押さえ込んでいた理性の大半が押し流されその機能を失い、瞳から理性の灯が消え去って。
一度絶頂を迎えれば、行きすぎた快楽に意識が飛ぶか、疲労から意識が飛ぶか、可能性としてはスライムが動きを止めるか...
それまで絶頂を繰り返すであろう。

スライム > 最後の抵抗を砕かれ絶頂を迎えた少女。
仰反った頭部、口から触手が抜け落ち、秘所に押し入っていた触手は吹きかけられる愛液を勢いよく啜り吸収し一滴とも残さない勢いで。

(オマエ、エサ、マタ、クワレニ、コイ)

瞳から理性の灯が消えてしまい絶頂を繰り返す少女に向けて響く声。
このまま動かなくなるまで絶頂を繰り返させ愛液を啜り続ける事が出来ればまさに至福の捕食時間。
だがそれでは何処かが壊れるのもいままでの捕食で学び、名残り惜しくはあるが、子宮内を舐め秘所をゆっくりな動きに変え掻き回す触手以外の全ての動きを止めてそう命じて。

フィスティア > 「ーーっ.....」

声にならない嬌声を叫び出し、ビクビクと体を震わせる堕ちた少女。
スライムの動きのほとんどが動きを止め、口の中の触手が抜け落ち、秘所の中の触手も暴れ回るのを止めれば、快楽の波は少しずつ引いていき。
そのまま冷静な思考が戻ってこれば良いのだが、初めての快楽、どころか性知識すら足りていない少女はそのままその意識をフェードアウトさせていくだろう。

最初の快楽にしては、強すぎる快楽だったのか...

スライム > 加減をしたつもりであったが意識を失ってしまった少女。
言葉への返事がなかった事に一度だけ秘所を荒く掻き回すがそれ以上は動かず。
ただ子宮内を舐めていた先端を切り離して内側へと残して。

そうすれば全身を大きく振るわせて動き出し、取り込んでいた少女をゆっくりと身体の中から外へと押し出していき。
最後に秘所の奥深くまで入り込んでいた触手を引き抜き開放し。

そして少女から離れるように動き始めるが動きを止めて触手を伸ばし。
お尻に押し当て強く吸い上げ赤く丸い跡を刻み付けて。

フィスティア > 「...何...を...してたんでしたっけ」

歓楽街の路地裏。
まあよく誰にも見つからなかったことだ。
剣と電子機器、押しつぶされた時に落ちた帽子のみが残された現場で白い裸体を晒す少女が目を覚ます。

「!!!
...私はなんで裸なんでしょうか...
あ....〜〜〜〜!!!」

上半身を起こし、その裸体を其処ら辺のボロ布で隠しながら何故裸体なのかと、不思議に思えば記憶の中から掘り出されるスライムに犯された記憶。
その時の快感や理性の決壊する瞬間を思い出し、内股になりながら赤面してその場で丸くなって。

「近くに私の異能の兵士を立たせておきます。....はい。...できれば女性の方でお願いします。」

しばらく恥ずかしさとそうなった自身の警戒心の薄さなどに後悔し、仲間へと連絡し、替えの服などを貰い帰って行った。

「歓楽街は怖いので行きたくありません」

なんて、風紀委員会になって最初のわがままはこれで。
思い出せば外であっても赤面し、自宅であればつい息を荒くして下腹部に手を伸ばしてしまいそうになるぐらいには記憶に深く刻まれたようだ。

お尻のマークに気づいたのは数日後...
余談だが「出るとこ出てなくても美しいものは美しいんだよ」と風紀で広がるのは彼女の知らない話。
風紀委員会は自分の風紀は守らないのか...

ご案内:「歓楽街」からフィスティアさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」からスライムさんが去りました。
ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」に神鳴 壬さんが現れました。
ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」にエインヘリヤルさんが現れました。
神鳴 壬 > もうなにも残ってないというのに残骸に馬乗りになるエインを見て何をするのか悟ってしまう。

それでも反抗することは出来ず、優しく服を脱がし始める相手にこちらは視線を反らすことしか出来ない。

「…、あぁ、好きにしろよ…。」 

結局のところ、自分ではなにも出来ず、このまま彼女が汚されるのを見ていることしか出来ない。

エインヘリヤル > 「ああ……まだなにか秘密を隠しているなら……
 話すのは今のうちですよ?」

優しく丁寧に、愛おしむように。
丁寧に、吐息を吹きかけながら。

ゆっくりと、ゆっくりと。

後ろから、エプロンを外し。
襟元を開き。
肩をあらわにさせて。

ブラに覆われた、機械仕掛けのの乳房を、揉みしだくように探っていく。

「なにか、隠しているかもしれませんもの。
 しっかり、中までで確かめないと……ね?」

見せつけるような、それ。

神鳴 壬 > 恋人に行うような優しい行為、自分が彼女に対してほとんどする事なかった対象的な行動真正面から見ることなど出来るはずもなく。

「そんなもんない…、俺が壊れるくらい使ってた。それだけだよ。」

動かなくなったとはいえ、自分のものを好き勝手に触られるのはやはり心地が悪い。
しかし見せつけるようにされるソレを止められるはずもなく好きにさせるだけで。

エインヘリヤル > 「ですが……んぅ。
 先程は、なにが入っていても関係ない……そうおっしゃいましたよね?」

服をはだけさせ、下着をあらわにして。
手袋のまま指を、ショーツの中へと滑らせていく。

「そう言われてしまっては。
 こうやって、ひとつひとつ丁寧に、中を検分して確かめるしか。

 ……ああ、失礼」

黒い手袋を脱ぎ、艶めかしい手付きで。
それでいて、どこか道具として扱うように。
むき出しになった女性器ユニットの割れ目に、指をなぞらせていく。

「ココは……繊細ですから。
 手袋というのは、無粋でしたね?」

神鳴 壬 > ただこちらの嫌がるように、見せつけるように艶めかしい手付きで触れていく手をただ見ているだけでしかない。

「見聞したって、壊れたアンドロイドだってわかる、それくらいだよ。」

自分のモノのはずの身体を弄られて行くのは酷く気分が悪い。
以前に何回も、エインがしている以上のことを買い手の奴らにさせていたこともあったがこんな事を思うことはなく。

きっぱりと割り切っていた。

なのに何故か、今回はそうは行かず悔しがるただそれだけである。

エインヘリヤル > 「ん……そのようですね。
 中が多少汚れているだけですか」

女性器ユニットの中を指で直接探り、その中身から、なにもでてこないことにがっかりするでもなく、悔しがるでもなく。
ただ単に、昨晩の激しい情事の残滓が、エインヘリヤルの指を汚し、糸を引く。

それを、軽蔑するでもなく、嫌がるでもなく。
ただ単に、ちょっとした汚れ、と表現する。

その、一般的には気持ち悪いにちゃりとしたその感触や匂いにもどうということはなく。
すました顔で、下腹部の無事な被膜にこすりつけるようにして、指の液体を拭き取る。

「なら、しかたありません。
 ……やるだけやりますか」

そして、かのんの残骸の腹部に手をかけると。
ハッチを強引に引き剥がし、中を確認する。

ひとつひとつ丁寧に。
ばらばらに。

人のかたちであったものを、人でないかたちにしていく。

神鳴 壬 > 綺麗にはしたつもりでいたのだが女性器ユニットに残された自身の残滓を掘り起こされれば気恥ずかしさもある。
だがそんなことを相手が考えるはずもなくただ、淡々とかのんの身体を調べていく。

これ以上壊した所で、何も出るはずはないと思っているが、

「だから何も無いって言ってるだろ。…これ以上壊したって何も出てこない。」

もう動かなくなってしまったかのんとはいえこれ以上壊されるのは見ていられなくなる。
エインはきっと、全部破壊して本当に何もない事を確認するまで止めてはくれないだろうが、それでも言葉が出てしまう。

エインヘリヤル > 「そうかも知れませんし、そうでないかもしれませんね……ところで」

胸のハッチを剥がし、裏側を確認しつつ。

「この人形、どうもメインの記憶装置が焼ききれているようなのですが。
 中身はどうされているんです?」

中身なしに動くラブドールでもない。
ましてやココまで焼くとなると。ただ事ではない。

さんざんココまでやっておいて。
いまさら、ついでのようにさらっと口にした。

神鳴 壬 > 相手の言葉に言い淀む。
別段理由などはない、

「……知らないよ、そんな場所が壊れたんだ。…、もうどうにもならないだけだろ。」

実際のところ、壊れたファミリアがどうなるかなど普通の一般人が知っているはずはない。
例え知っていたとしても違法改造した、この個体が、バックアップに戻ったときにどんな動作をするかも知らずその事については正直に答えた、つもりである。

それはそれとしても、完全に壊されほとんどバラバラになってしまったかのんに対してはやはり執着が隠せないのは仕方のないことで。

エインヘリヤル > 「つまり……証拠隠滅を図ったと、そういう事でよろしいので?」

淡々と。
誘うでもなく嫌味でもなく軽蔑するでもなく。

あなたの責任ですので仕方ありませんね、という態度で。

「今ならまだ、頭の中を確認する前に話していただければ。
 ……うっかりつまづいてしまうこともないと思うのですけども」

転がした残骸の頭の上に、足をあげ。
話すなら踏みつけにするのだけは許すと、そう言って。

神鳴 壬 > 「そんなこと言われたって、ホントに何も無いんだよ……!」

こちらが何を言い繕った所で上げた足は振り下ろされるだろう。
確信はあるし、こちらとしてはこれ以上の事を話す気はない。

一度直した彼女をまた壊してしまい、さらに今はバラバラにされて足蹴にされている。

だがそれ以上にコチラからはもう話すことはない。
かのんだったものが無機質な目でこちらを見ている気がするがそれでも吐くことはせず、顔を背け叫ぶしかなかった。

エインヘリヤル > 「……もう一度だけ聞きますが」

嘆息。
あまりにも信用されていないらしい。

こういうのは信用が大事で、何をされても仕方ないとなってしまえば意味がない。

「コレにだけこだわって丁寧にラッピングし、仮に趣味であることも認め。
 だと言うのに、その上でメインCPUを焼いて始末する。

 ……大事な人形、もしくは重要なデータだからこそ、すべてを記録しているから。
 最後に抱いた上で、過負荷による焼却処分にてデータの物理破壊。

 話と態度からすると、そういう分析になってしまいますが。
 なにか質問は?」

認めるなら足をどけるし、そうでなければ……と、付け加えてやって。

ああ、彼は気付いてるのだろうか。
そもそも半ば学園預かりの身でこれだけのことをやっておいて。

下手をすれば色々まずいことになりかねないというのに。

神鳴 壬 > 自分がここまでしていて学園預かりである以上、取り返しの利かない事をしでかしてしまえば退学どころか最悪、国に送還されて処刑。
という最悪のシナリオだってある。

相手が踏み潰そうとして猶予を与えているのはそういう意味合いもあるんだろうが…。

「……大事な人形なのは認める。だけど重要なデータなんてないのはホントだ。
…、…ファミリアナンバーのBD202=F202Gのバックアップデータを調べてみろ。おもしろいことなんて出てこないから…。」

言い渋りはしたが結局の所、我が身かわいさに代えられるものはない。
つい数時間前にあれほど慟哭したというのに。

要領の良さと本人の凡人さが悪い方面に出てしまう。
言い渋りはした、だがやはり神鳴 壬は権力に勝てるだけの力も無謀さもなかった。

エインヘリヤル > その言葉に、ゆっくりと、頭の上にあった足を戻す。

「……やれやれ。
 最初からそう言っていれば、大事な彼女もこんな目に合わずとも済んだものを」

これだけ丁寧にラッピングし、最後の夜に抱いたのだから。
相応の思い入れか何かはあるのだろう……それくらいはわかる。

彼女も、ココまで辱められることもなかったろうに。

「ところでその、【ファミリア】とは?」

便利な駒ではあるが。

私が部下として使ってはいても、なぜそれを彼が知っているのか。
私がわかっていて当然という口ぶりだ、アレは。
彼がなんの関係があるのか。

反撃の機会を与えてみよう。

神鳴 壬 > 頭に置かれていた足が降ろされたことを内心ホッとしてしまう。
なんだかんだと強がりつつもやはりこれ以上壊されることは望んでいなかった。

「……、アングラにアンタとファミリアたちが戦闘してる動画が上がっていた。細かい音声は拾いきれてなかったが……、少なくともアンタはファミリアを知っているはずだ。」

落第街で違反部を鎮圧するのにファミリアシリーズが出張るのはままある話である。
自分も何度か鎮圧したところを見た事もあるしかのんを拾ったのもそんな最中だ。

そして、技術が最新鋭化された弊害のせいかいくら情報を検閲した所で漏れるものはある。
それこそ、この街での戦闘などもの好きな連中の暇つぶしのために逐一投稿されているレベルなのだ。

その中に一際目を引く新参者の参戦、つまりは目の前にいるエインなのだが、そんな目立つ彼女の戦闘などチェックしていないはずもなく…。

あとはただの状況証拠と予想であった。

エインヘリヤル > 「ふふ……思ってたより勉強できるんじゃない。
 もったいない」

ああ、まったく……やれやれ、だわ。
情報の使い方がまるでなってない。

その割には、たぶんそこそこ情報通気取りだったりとかしたんじゃないかしら。
もしそれを知っているなら、もうすこしうまい立ち回りもあったでしょうに。

「それだけわかってて、今の今まで頭を下げられないばっかりに、こんな目に合わせるなんてね。
 ……頭の下げ方、っていうのを教えてあげるわ」

そしてゆっくりと歩み寄って、ぐるっとひと回りし、もったいぶると。
そっと、吐息がかかるぐらい耳元でささやく。

「じゃあもし、そのバックアップとやらが見つかったら。
 手元に返してあげられるかもしれないわね?」

そう。
あくまでも【しれない】だ。

神鳴 壬 > そう、結局の所。情報をいくら買い売りしたりアナグラやハッキングで持ってきた他人の秘密を公に晒して遊んでいたとはいえそういった交渉の場には立ったことがない。

情報の価値の精査は自分ではなくいつも他人任せだった。
愉快犯が、これまでやらかしてきたツケを払わされているだけである。


所詮は齢17程度の少年から少し足が出た程度だ。
同年代に見えるエインなんかより人生経験も少ない、ただの少年は。

彼女の囁きに屈すしかなかった。

「……、ご、ごめんなさい…。なんでも言うこと聞くから、俺からかのんを取り上げないでくれ……。」

エインヘリヤル > 「……わかったわ、そういう事なら善処しましょう。
 代わりに、こちらも全力は尽くすけれど、もし出来なかった時は放免でいいわ」

約束ってそういうものでしょう、と。
明るく微笑んで。

壬を……ちゃんと、見た。
やっと、人間を見る目で。

「素直な子は好きよ、私。
 ふふ……これからもよろしくね、神鳴くん?」

そう言って笑ったエインヘリヤルは、年相応の笑みだった。
まるで、悪魔かなんかが彼女の皮を被っているかのような。

神鳴 壬 > 「……あぁ、頼む。お願い、します…。」

昨日から合わせて二度、彼女に対して一瞬でも泡を吹かせてやろうと欲が出てしまった結果がこれである。
彼女に対しての完全な敗北、彼女が学園にいる限り、壬がかのんに囚われている限り約束された服従。

「……、こちらこそ、よろしく頼み、ます。」

歳相応の笑みを浮かべる相手はそれこそ何も知らなければかわいいものではあったが、壬が向ける感情はやはり良いものではない。
それでも従うしかなくなった彼は、そう、応えるしかなかった。

エインヘリヤル > 「ふふ……別に敬語じゃなくていいわ。そういうのあまり気にしないから」

身内になったら警戒させる意味などない。
もちろん、怖さを思い知ったからかもしれないが。

「でも、よくもまあ、ココまで色々と軽犯罪に手を染めたものね。
 流石に良くないものまで流すとかはあまり感心しないわよ?
 その分、信用される間柄なんかもあるんでしょうけど。

 ……だから、そういうのは風紀なり公安に買い取らせればいいわ」

どうせこの手の素行で学校預かりになってるなら、風紀や公安の情報なんかをバラす側になればいい。
その分、学園に貢献しているなら、ダメとは言わない部署や相手だっているだろう。
相手の必要を作るのが一番いい。

そして部下のファミリアに何事か話していたが、肩をすくめる。

「……ああ。流石に直接交渉しないとダメみたい。
 ココからリモートじゃ許可できないみたいだわ。

 でも交渉の相手をするっていうことは、大丈夫そうね、おめでとう」

さっきまでの冷めた威圧感が、味方になるとずいぶん違って聞こえるかもしれない。
どうしようもないクソ女だと思っていたとしても。

ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」に萩森きりはさんが現れました。
萩森きりは > 「失礼します」

ファミリアの一人がふと現れて一礼し、壬を睨むように見ながら、エインヘリアルに色々と結果を報告し

エインヘリヤル > 「ん、ごくろうさま。報告は受け取ったわ、しばらく自由に過ごしてていいわよ?」

きりはに労いの言葉をかけると、自由を促して。
無論、望むなら護衛の付き人にそのまま復帰するも自由のうち。

わかってて、あえて選択肢を与えておく。
コレは、そういう性格だ。

萩森きりは > 「ありがとうございます、では少し自由時間を、私は貴方の名前を呼びたくないですんで、人間ですかね、ちょっと言いたい事がありまして」

睨むように壬を見つめて

神鳴 壬 > 「あぁ、わかった…。」

恐さを充分ほどに思い知った今ではほとんど抵抗する気などない。
相手が敬語じゃなくてもいいと言えば大人しく従うだけだ。

「……こっちの方が手に入れるのも作るのも楽だったんだよ。」

とはいえ、エインが方針を提示したなら従うだけ。
相手ほど直ぐに切り替えられない。
ただ呆然とするだけしかない。

「それは…、ありがとう、助かった。」

味方であるならファミリアと交渉できる以上、ホントに悪い結果にはならないのだろう。
それについては素直に感謝する。
しかしそれはそれとして、エインへの感情が薄れることはないのだが。

エインヘリヤル > 「ええ、あなたの自由時間だもの、好きにするといいわ。
 神鳴くん、なんかこの子が言いたいことがあるそうよ?」

きりはが珍しく明確に主張をしているので、促してやる。

神鳴 壬 > 「なんだ、なんか用か?」

こちらを睨む、相手はたぶんファミリアだろう。
この個体に睨まれるだけの理由など思い浮かばずただ首を傾げるだけで。

萩森きりは > 「まあはっきり言えば私は貴方が嫌いです、はっきり言って監視していまして、貴方を命令で、その上で、言わせて貰いますよ」

機械の少女からは、君の所有物や、護衛よりも、意思を感じる、怒り、と言うよりは、義憤に近いのだろうその感情は、我慢しきれずに、爆発したようで

満面の笑みを浮かべて
「ご主人様、貴方は何も守れないんですね、わたしも、じぶんも、ええ、許します、もちろん許しましょう。
でもわたしはゆるしますけど、それで自分が許せますか?いいご身分ですね、人間風情が」

彼女、かのんの声でそう告げた、優しく、君を許した声で

エインヘリヤル > 「……だ、そうよ。ずいぶん彼女に嫌われたものね?
 普段は素直なファミリアの子が、ココまでするっていうのは余程のことよ?」

と。
肩をすくめて、どれだけ珍しいかを語る。
もっとも、珍しいかどうかについて、知ったところであまり意味はないのだけれど。

神鳴 壬 > 「なっ…、んで…。」

ファミリアなんていうアンドロイドからまさかそんな言葉が出ると思わずに唖然とする。
そして、声もかのんに似せたソレに驚く。
彼女たちに対しては感情なんてものがあるとは思っていなかったからこそ、横から殴りつけられたような反応をし、次の言葉が出なくなる。

萩森きりは > 「さしでがましい真似をしました、エインヘリアル様、人間」
丁寧にお辞儀した後、壬の耳元で

「さいごのおたのしみでしたね、ごしゅじんさま?」

もう一度、かのんの声で告げて、一歩下がり

「護衛に戻ります、エインヘリアル様」

壬を一顧もせずに表情を消した人形に戻った

エインヘリヤル > 「なんでも、なにも……ねえ?」

きりはに同意を求めるように。
なにを言ってるんだろう、とすこしおどけたように困ったふりをして。

「単に、彼女があなたに怒っただけ、よ……すごく」

単純な事実を示した。

「ああ、そうね。なるほど」

ふふ、と。
思い当たった恐ろしい言葉を口にする。

「その、かのんちゃんとやらに。
 今までなにも気づかないまま、ずいぶんひどいことをしてたのね」

神鳴 壬 > 「なんなんだよ、あのファミリア…。」

ファミリアが怒るというのがよくわからない。
以前から関わったときも彼女らがそんな事を思うなどと聞いた覚えがない。

そして気付く気もなかったが。

「気づくも何も人間らしい反応をするだけのアンドロイドじゃないか。」

壬がしてきたことはただのメンテナンスだけで詳しくは知らない。
そんなことは聞かされていない。
彼女たちに本当の感情が実装されているなんて話は知らなかったのだ。

エインヘリヤル > 「ん、ありがとう、いつも可愛いわ?」

あえて、今はきりはを名前では呼ばないし、知らせない。
頭を優しく撫でて褒める。

「ああ、彼女たち、どうも一定以上に育つと、ちゃんと怒ったり泣いたり笑ったりするみたいよ」

私も部下として使ってるだけだから、あなたと大して変わらない程度にしか知らないけど、と。
うろたえた様子を見て、腕を組みながら顎に手を当ててすこし考えるようなポーズ。

「たぶん、かのんちゃんもそうなんじゃないかしら。
 なのにそうとしか思ってなかったら……仲間や身内としてはやっぱり怒るんじゃない?」

萩森きりは > 優しく撫でられて笑みを浮かべ、そしてまた表情を消して護衛に戻る
神鳴 壬 > 「そう、だったのか…。」

少しばかりショックが抜けない。
あのファミリアに言われたことが後になってから聞いてくる。

否定したくもなるが一度彼女を認めてしまった以上、否定もできず受け入れるしかなく。

ただ、ショックを受けるだけ。

エインヘリヤル > 「彼女たち、頼まれれば嫌とは言わないし、なんでも役目はこなすけども。
 そんなに大事なら、ちゃんと女の子として認めてあげないとかわいそうよ?」

とりあえず、説明だけはしておく。
コレでもこれからは身内だもの。

それに、本人が帰ってくればまた色々説明するだろう。
そこから先は私たちの領域でもない。

「まあそういうことだから、優しくしてあげなさいな。
 かのんちゃん、神鳴くんがそれを知らなかったことも知らないんだから」

萩森きりは > 「エインヘリアル様、そろそろ出ましょう、汚れます」

時計を見ながら刺々しく告げるきりは、もう壬の事はいないものように扱うらしい

神鳴 壬 > 「あぁ、そういうこと…。」

覚えはある、なにをさせても受け入れるしこちらが使うままに使ってきた。
それは単純にアンドロイドで機械的なものだから、そういうものだと思っていたことが崩れてしまい頭を抱える。

「そういうことにするよ、あぁ、ありがとう。」

ここまで聞かされると、彼女が余計に人間に近いモノだとわかってしまいます本人が戻ってきたときにどういう顔をすればいいのか逆に悩み始めるのだが、その葛藤は胸のうちにしまっておく。

見ていてわかりやすいくらい頭を悩ませているのは、本人には自覚がないようだが

エインヘリヤル > 「それじゃ。
 用向きは追って伝えるわ」

まあ、彼にはそれなりに良い機会だろう。
ファミリアにも貸しになるかもしれない。

取り敢えず今はとやかくいうべきでもない。後は本人たちの問題だもの。

きりはが蛇蝎のように嫌っているのが分かり過ぎて苦笑してしまう。
あとで、もうすこしかまってあげようかしら。

そんなことを思いながら、必要なものだけ押収するとその場を後にした。

神鳴 壬 > 「わかった…。」

それ以上こちらから言うこともないだろう。
隠れ家にあるものの粗方は押収されて最低限以外の殆どのものが無くなってしまった。

これからはエインからも扱き使われるだろう事もそれなりに予想出来る。

かのんが帰ってきたあともどうするかなど考えることも多く。
この場にいるエインやファミリアがいなくなればそのままベッドに沈むだろう。

ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」からエインヘリヤルさんが去りました。
ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」から神鳴 壬さんが去りました。
ご案内:「◆落第街の隠れ家(過激描写注意)1」から萩森きりはさんが去りました。
ご案内:「農業区・森林」に松葉 雷覇さんが現れました。
ご案内:「農業区・森林」に杜槻 菖蒲さんが現れました。
松葉 雷覇 > 人の届かない場所と言うのは、得てして人以外が頂点に立つ獣の空間。
此の鬱蒼とした森林もまたその一つ。
奥の奥、弱肉強食が自然の理ならば

「……ふむ……。」

周囲の緑を鮮血の染める結果も、また一つの理となり得る。
男の目の前に横たわるのは、男の体躯の何倍にも巨大な獣。
しかし、既にその肉体は抉れ、爆ぜ、肉片を周囲にまき散らし
無残な肉塊へと変わり果てている。
臓物がまろび、零れ、枝木を飾る肉のイルミネーション。
血の臭いを鼻腔に止めながら、男は肉のなれはてをまじまじと見ていた。

「……獣一つ止めるのに、些か時間がかかってしまいましたか。調整が必要ですね?」

杜槻 菖蒲 > 何も言わぬ獣の屍の前に立つあなたの背後から、かすかに聞こえていた足音が止まる。
少し間を開け、植物の太い蔓が男の腕と胴に絡みつき 強く締め付ける。

伸びてきた方向からは殺気。
そちらを見るのであれば、目の据わった女の姿があるだろう。眼鏡は掛けていないが図書館で出会ったあの時の学生だ。


「こんにちはぁ…派手に、やってくれましたねー?」


口調こそいつもと変わらないが、声色は低く怒りを孕んでいることが伺えるだろう。

松葉 雷覇 > 当初の予定としては一撃で肉に変える予定だったが
原型が幾分か残っている。いや、人に使う分にはこれでいいかもしれない。

「ですが、異能者相手には些か……おや……。」

聞き覚えのある声だ。
男は振り向けば、融和な微笑みを浮かべたまま少女へと一礼した。

「どうも、いつぞやぶりですね……?何やら怒っているようですが……ああ、申し訳ない。」

「実験成果の結果でして、臭いに関しては申し訳ない。」

獣臭、血の気、糞尿の悪臭。
特に獣の糞尿と臓物は臭くて叶わない。
肉と練り込まれた不ぞろいな団子となった肉塊の臭いは
この日の夏の陽気には些か臭う。
少女にとっては見当違いの事を、男は謝罪した。

杜槻 菖蒲 > 「臭い、なんてどうでもいいんですよ」

鼻について不快になるのはそうだが、彼女にとってはそれ以上に許しがたいことが起きていた。
見当違いの謝罪を入れる男に、眉根を寄せる。
彼女の感情に呼応するように、異能の植物は蔓から茨に変貌し 何もしなければその服の上から強く巻き付いている分深く棘が刺さる。白い服には赤が滲むだろう。

「実験……?動物で実験を、していたとー……

これだから、科学者は嫌いなんですよぉ」

松葉 雷覇 > 腕に絡みつく茨の棘。
白い服に、血の紅は良く目立つ。
痛みに顔を歪めることは無く、自身の腕に絡みつく茨を興味深そうに一瞥した。

「おや……此れは此れは。随分とご挨拶ですね?」

「私、暴力を振るわれるいわれはないのですか……離していただけないでしょうか?」

困ったように、眉を下げた。
白々しいと思うかもしれないが
男にとって、一切の嘘は無い。本気でそう思っている。

杜槻 菖蒲 > 「白々しい…その子だって、殺される謂れはなかったと思いますけれどー」


嫌なものを見るような顔で、あなたを見ていたかと思うと。
その場に赤いものを撒き散らして、もう動かない肉塊に視線を移し 憐れむように、悲しそうに表情を曇らせる。


「動物を犠牲にするくらいなら、初めから人間でやればよいでしょうー?
貴方の事ですから、最終的には人間相手を想定しているのではないですかぁ?」

松葉 雷覇 > 「はて……申し訳ありません。私、そこまでは配慮していなくて……しかし、貴女もおかしなことを言いますね。」

「人間が家畜に慈悲を与えますか?これもまた、必要な犠牲の一つだと思うのですが……。」

命は得てして、命の上に立つ。
踏みにじるなというには、余りにも足の置き場が難しい。
はて、と態度を崩すことなく男は小首を傾げた。

「物事には段取りがありますので。段階を踏まずしていきなり事に取り掛かれるほど、私は天才ではないのです。」

「所でこれ……外していただけないでしょうか?中々痛くてですね……。」

杜槻 菖蒲 > 「必要な犠牲?…別に、動物でなくても良いですよねぇ」

言われていることは尤もだ。理解は出来るが納得は出来ない。
彼女は今、感情に突き動かされている。

「実験をするなと言っているわけではないんですよぉ、動物を使わなくともよいでしょうと言っているだけでー…極端な話、私はそのためなら体を差し出す覚悟はありますしねぇ」


彼女は、茨をあなたの体から離すだろう。
未だ警戒を解いていないのか、自身の周りに存在させたままにはしているが。

松葉 雷覇 > 「私、差別主義者ではありません。それに、人と動物では耐久性の差異もある。」

「動物で無くても良い、という理由にはなり得ません。」

それを対象とするのであれば、動物で無くていい場合もある。
飽く迄今回の実験は一般人以上の耐久性を
強さを持ちえた獣を対象にしたものだ。
微笑みを崩す事は無く、右手を軽くかざす。

「ですが、貴女の熱意は大変素晴らしい。そこまで言って下さるなら、協力して頂きましょう。」

そこまでして彼女が協力を申し出るのであれば、断る理由もない。
そもそも彼女の前提条件など、男が理解するはずも無い。

「────フィックス・スフィア、起動。」

男の言葉と共に、翳した掌に現れるのは六角形の小さな小さな鉄格子。
中では光すら吸い込むような黒い淀みが渦巻いている。

「それではどうか……すぐには死なないでください。」

右手首を回せば、光速で二つの鉄格子が飛んでいく。
その正体は小さな重力エネルギーの塊。
少し触れれば小規模な爆発を起こす小型爆弾。
弾ければ肉程度なら花火にすることは容易いものだ。

杜槻 菖蒲 > 「生きているものを使用することに固執する必要は…、…」

そこまで口にして、言葉を切った。
反応を見るために生体実験をするような人間もいるのだ。
この男とは価値観が合わない。これ以上言っても平行線だろう。と判断した。

「……耐久性…いいでしょう、二言はありませんのでー」

異能があること以外は普通の人間である、自覚はある。
飛んできた物体が何であるかは、彼女にはわからなかった。
しかしその中に渦巻く淀みに言い知れぬ不安を覚え、大きく分厚い葉で簡易的なシールドを張る。
とはいえ、元は植物だ。爆発のようなものに巻き込まれれば貫通するようなものであろうことは想像に容易い。

松葉 雷覇 > 葉に触れた途端、空気が爆ぜる。
衝撃が菖蒲の前ではじけ飛び、髪を、衣服を靡かせた。
直撃した葉は"抉られた"かのようにぽっかり穴を開けており
強い衝撃に弾けたというより、"綺麗にその部分だけをくりぬかれた"ように見えるだろう。

「貴女の異能も、中々面白い。……植物を操る力……。」

「────もっと良く見せてください。」

男の深い青に、興味の色が混じった。
手のひらに二つの鉄格子が現れては、くん、と直角に曲がり再び菖蒲へと飛んでいく。
真っ直ぐな軌道を描いて、高速で飛来する物体は────……。

男が指揮者のように、指を曲げると大きく左右に曲がった。
サイドから挟み撃ちにする形の攻撃だ。
当たればただでは済まないだろう。

杜槻 菖蒲 > 「っ…なるほど、そういうー…」

倒れていた動物の姿を思い出す。どんな物体でも穴をあけることが出来るのなら、当たるわけにはいかない。
冷静を装っているが、必死に頭を回している。

地面から生やした長い植物の葉で両側を覆う。
本人はしゃがみ込んで、衝撃の回避を試みるだろう。

松葉 雷覇 > 左右に生えた葉に触れた途端、先程と同じ結果に至った。
少女の頭上で空気が爆ぜ、ぽっかり空いた穴二つ。

「成る程。良き精度をお持ちだ。異能の差異は人によって違いますが、それだけ自在に操れる事を誇りに思うべきでしょう。」

それこそピンキリの話だが、異能とは自らの才能。
それを自在に操れるべき点は賞賛に値する。

「……ですが、防戦一方ではままなりません。むざむざ、殺されてくれるだけでは実験に成らない……。」

「せめて、"アレ"よりは頑張って頂かないと。さて……先程よりも勢いをつけましょう。」

パチンッ、パチンッ。
二度、その指から小気味のいい音が鳴れば、掌に現れる三つの鉄格子。
空をなぞる様に手を薙げば、扇状に飛んでいく。
真ん中こそ真っ直ぐ少女へと飛んでいくが
左右は明らかに軌道から外れている。

この男が計算違いをしていると油断をすれば、痛い目を見るだろう。
左右の鉄格子は周囲の木に二度"跳弾"し
その両腕目掛けてしっかりと計算して飛ばしている。
正面の鉄格子とは違い、時間差で襲い来る起爆薬。

「(さて、聡明な貴女ならこれ位避けてもらわないと……。)」

期待の眼差しが、止まらない。

杜槻 菖蒲 > 「お褒め頂き、どうも…っ!」

やけくそ気味に吐き出すと、穴の開いた植物を消滅させて立ち上がる。
ここで有用性を示さなければ、また矛先が動物たちに向くことを知っている。分かっている。だから逃げられない――!

続けて飛んできた物体。その軌道を目で追う。
この男は馬鹿ではない。勢いをつけるというのであれば、あれはフェイクではない!

彼女は物理知識が高いわけではない。
正面と右側の鉄格子の直撃を予測して多肉植物で衝撃を吸収する。無論えぐり取られることは避けられないが。

「!ずれ……っ、ぁ!?」

だが、左から来る物体が予想とずれた跳ね方をした。
彼女の腕を僅かに掠めて爆破するだろう。

松葉 雷覇 > ぱんっ。気の抜けた破裂音と共に、植物が爆ぜた。
少女の腕を掠めた途端、肉が爆ぜる。
皮膚が消し飛び、血液が草木を紅に染める。
飛び散る肉と痛みが全身を駆け巡り、血液は外へ溢れていく。

「……おやおや……。」

予想外の結果だ。
少し困ったように、眉を顰めた。
パチンッ、パチンッ。指が鳴る。

「気をつけてください。腕一つ飛んでもおかしくはない。」

パチンッ、パチンッ。

「一度崩れればドミノ倒しと言いますが……。」

パチンッ

「────今度はちゃんと、避けてください。」

手のひらに現れた四つの鉄格子。
一つ、二つ、三つ、四つ。
時間差で、少女の足元へと飛んでいく。
直撃軌道ではない。だが、どれも地面に接触すれば一度跳ねて、その体へと襲い掛かる。
如何様に回避してくれても構わない。此方はそれを望んでいる。
但し、どれも鉄格子は後"4回跳弾する"。
多方面から跳ねる小規模のブラックホール。
さて、どの様に対処するか見ものです……。

杜槻 菖蒲 > 「はっ、ぐ……」

歯を食いしばる。意地でも悲鳴は上げない。
彼女なりの矜持であり、意地だった。

「避ける、よりも……今は」

血を流す腕を抑え、軌道を確認する前に次は全てを受け止める殻のような葉で体を包み込む。
抉り取る性質のそれの前では、どう形取ろうが使い捨てになってしまうのだが。

葉の中で、汗を拭う。異能の力といえど、リソースは無尽蔵ではない。疲れを、覚え始めている。
まだ、先はあるのだ。

松葉 雷覇 > 「ほう……。」

無暗に避けずに防御に徹した。
流石に焦る程では無いと言う事か。
カッ、カッ、とデブリ同士がぶつかり合うように跳ね
最期は終息し少女を包む葉へとぶつかる。
空気が爆ぜると同時に、葉に直撃すると同時に、肉厚な葉を抉り、少女にとは届かない。

「……良い傾向です。ですが、その次の事は考えていますか?」

パチンッ

「足を止めれば、大変な事になってしまいますよ。」

手のひらに浮かぶ二つの鉄格子。
今度は少女に手を翳せば、一直線に飛んでいく。
一度回避しても、一度だけは跳弾するように仕込んである。
軌道を見切れば容易い事だが……二つ目の鉄格子は、"一つ目の陰"。
同じ軌道で、同じ位置に飛んでいく。
今一度防御に頼れば大惨事だが、どう動く?

杜槻 菖蒲 > 「はぁっ……防戦一方、というわけには……いきませんかー」

盾のように、自信の前にサボテンを生やし防御を固めつつ。
あなたが"彼女の身の丈程度"の範囲にしかそれを飛ばさないよう調整しているのであれば。

「これなら、どうでしょうかー…?」


彼女は自らの足元から、"太い枝を生み出し、続けて幹を伸ばす"。
身長の倍程度の高さまで上がり、空振りになるよう試みるだろう。
生やした梅の木の上で、様子を見る。

流石に、幹に当たってもへし折れるほどの威力ではないと踏んではいるが――

松葉 雷覇 > 「おやおや……。」

直撃するように飛ばした影の一撃も、伸び続ける幹に直撃して破裂する。
太い樹木ともなれば、小規模の爆発程度では簡単に砕けないようだ。
男は静かに両手を合わせて、拍手を送った。

「悪くない反応です。良いデータが取れました。成る程成る程……。」

「やはり、些か異能者相手には威力不足のようですね。」

「戦闘向けであることを配慮しても、防御系能力者であれば、そもそも届きそうにもない。」

「良いデータが取れました。」

何処吹く風。完全にマイペースだ。

杜槻 菖蒲 > 「それは、どうも……」

ゆっくりと幹を下ろし、地面に降り立つ。
ふらり、と上体が揺れた。能力を普段、ガーデニング程度にしか使わない彼女が疲労するのも無理はなかった。

「……動く相手に対しては、さして効果を発さないのではー…追尾があるわけでもないのでしょうー」

素早い相手が対峙すれば、防御がなくとも避けることは可能だろうと思う。実験であればこちらからも見解を述べておくべきかと言葉を投げた。

松葉 雷覇 > 「いいえ、跳ねる分には十分です。そもそも、これ以上やっても其方の持久力が持ちません。」

「そもそも、私がコレ一つで戦うとお思いですか?コレは、飽く迄私の発明品。」

「私自身の異能は、何処にも使われていません。」

そう、飽く迄行ったのは試作兵器の運用テスト。
此の兵器だけの運用、兵器だけでどれ程やれるのか。それを見る為のもの。
これが"戦闘テスト"であるのであれば、もっと状況は変わっている。

「それに、追尾しないからいいのですよ。ちゃんと物事には"理由"があります。」

「まぁ、追尾の実用性に至っていないのが理由ですがね。」

あっはっは。科学者ジョーク。

「さて、そろそろお暇致しましょうか。充分なデータは取れました。」

「汗をかいたままでは、其方も風邪を引いてしまいます。如何ですか?家まで送るのも、吝かではありませんが。」

至って態度を崩すことなく、男は接してきた。
一歩間違えれば死んでいたかもしれない女性に
殺していたかもしれない相手に、さも当然のように
友達同然に友好的に語り掛けてくる。
何の反省の色も無い。彼女が最初に向けてきた怒りの意味さえ、理解する気もないのだろう。

杜槻 菖蒲 > 「……そう、ですかー。あなたの異能、差し支えなければお聞きしてもー?」

答えても答えなくてもよい。何なら彼女は回答されないだろうと思っている。
貰えれば儲けものではあるが。

「いえ、お気遣いなくー。…この子の、埋葬をしてあげないといけませんから」

科学はよくわからなかったので、追尾仕様についてはこれ以上触れなかった。あんまりする理由はないらしい。

彼の誘いには乗らず、横を通り抜け 変わらず異臭を放つ動物の方へ向かっていく。
彼女はこの場を綺麗にしてからでないと、自分から森を出て行くつもりはないのだろう。
そしてあなたの考えを変えようとする気持ちももう残っていないのだ。変わらないなら、また止めに来るだけである。

松葉 雷覇 > "貴方の異能は?"
それを聞かれると同時に、少女へと踵を返す。
刹那、嫌な音を立てて少女の目の前の肉塊が"潰れた"。
逃げの無い血液が、肉が、骨が、ひしゃげ地面にめり込んでいく。
死体の原型もやがてなくなっていく。地面と共になるかのように
何もかもがごちゃ混ぜになってしまった。埋葬の手間すら必要ない
そう言わんばかりの、凄惨さ。
遺されたのは、足元に広がる血の池溜り。

「────重力操作。私はこれは重力激動(グラビティ・フラックス)と呼んでいます。」

「それでは、またお会いしましょう。」

男はそれだけ言い残し、静かに去っていくだろう。
最期の最期まで、少女の心意気を、コケにして帰っていく。

杜槻 菖蒲 > 「…………ぁ…?」

そこにいた、確かにあったものが"潰された"。
故意に行われたそれに、彼女は怒りを発する前に、その場に力なく座り込んだ。
呆然と、血だまりを見つめている。命をどこまでも弄ぶ行為に、疲れた心が打ちのめされていた。

「…………」

重力操作。
この男を野放しにしていたら、危険かもしれない。
と思うが、今の彼女はその姿を追いかけることが出来なかった。

立ち去る姿を見ることもなく、座り込んだままでいることだろう。

ご案内:「農業区・森林」から松葉 雷覇さんが去りました。
杜槻 菖蒲 > 暫くそうしていたが、血だまりを隠すほどの花を咲かせて 紫色の小さな花畑を作る。
埋めてあげられなくてごめんなさい。

せめてもの手向けとして。手を合わせると、彼女は立ち上がり 森から出て行くことだろう。

ご案内:「農業区・森林」から杜槻 菖蒲さんが去りました。
ご案内:「とある違反部活の拠点」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「とある違反部活の拠点」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
神代理央 > それは、様々な要素が複合した結果だった。
今回、風紀委員会の手入れが行われた違反部活は、所謂異能持ちや魔術師崩れの集まった傭兵団。
行き場のない二級学生達の群れでは無く、統率された武装組織としての一面を持ったものだった。

しかし、前期期末試験前の解決を急いだ一部の風紀委員が碌な事前調査の無い儘に突入を強行。結果、幸いにも死者は出なかったものの、負傷者を多数出した挙句に摘発に失敗してしまう。
撤退は完了したものの、ロクな包囲網を形成出来ていなかった事もあって、既に違反部活の構成員達は脱出の準備を始めていた。
此の侭では、戦闘力を有した構成員達を逃がした挙句、他の違反部活へ合流を許してしまう可能性が高い。

かくして、迅速な解決と"処理"の為に、委員会は近隣で任務に当たっていた一人の風紀委員を現場に向かわせる事になる。


「……既に当該組織の構成員達はその殆どが脱出可能状態にある。地下駐車場の出口は監視こそ出来ているが封鎖には及ばず、内部から車輛の駆動音を多数確認している」

「よって、敵拠点そのものを崩壊に至らしめる事により、脱出の妨害と敵戦力の漸減を測る。尚――」

通信機に向けて淡々と言葉を紡ぐ。其処に感情の類は一切存在しない。己の背後には、砲兵部隊の様にズラリと並んだ鋼鉄の異形達。天空に掲げた砲身は、どれも巨大な口径の物が揃う。

「――尚、今作戦は火急の案件である為、敵拠点周囲の区画への砲撃慣行の際の避難勧告は、事前の戦闘行動によって"既に完了した"ものと見做す。では――」

ゆっくりと、己の腕が宙に掲げられ――

「作戦を、開始する」

短く告げた言葉と共に、轟音が周囲に鳴り響く。数多放たれた砲弾の雨は、滞りなく違反部活の拠点である地下駐車場の地表部へと降り注ぎ、爆炎の華を咲かせる。
大地が揺れ、構造物が拉げ、火焔の波が周囲を包む。砲撃の交響曲の中、途切れ途切れに聞こえるのは悲鳴。絶叫する様な悲鳴。

拠点一帯を全て薙ぎ払うかの様な砲撃の嵐が、休む事無く落第街に響き渡る。

神代理央 > その砲撃は、地表部の構造物の耐久力を一瞬で奪い取り、出口であった車輛の通行ゲートを含め、火焔と瓦礫がたちどころに地下を埋め尽くしていく。
アスファルトを耕す様な砲弾の鉄槌は、地下に籠り脱出の準備を進めていた違反部活生を尽く飲み込んでいく。
或る者は瓦礫に押し潰され。或る者は地表から流れ込んだ火焔に呑まれ。或る者は逃げ惑う中で失われた酸素に気付かずに。或る者は幸運にも地上への脱出に成功し、不幸にも頭上から降り注ぐ砲弾に依って爆散した。

それは、違反部活生だけでは無いのだろう。
平等に、区別も差別も無く。拠点を取り囲むバラックや住居にも、等しく砲弾は降り注ぐ。
確かに、砲撃前まで行われていた戦闘によって、ある程度の住民は自主的に避難していただろう。
しかし、果たして全ての住民が避難を完了したのか。作戦区域に、二級学生の有無は。最後の勧告は。

何よりも急がれた迅速な対応。それらが全てを押し流し、轟音と硝煙が生命を奪い尽くす。

紫陽花 剱菊 > 怒号に次ぐ怒号。
戦火を作り出す鉄の雨、一切の容赦なく地表へと叩きつけられ瞬く間に爆炎と炎に変わった。
慈悲などある訳も無く、理央の目前を炎の暁が燃え広がる。
それは全てを焦土に返さんとする裁きであるなら
罪を犯した者の罰たり得るだろうか。
休むことのない徹甲の雨。不意に、燃え盛る炎が揺らいだ。

──────炎の中から紫電か駆ける。

飛び出してきた稲妻は人の形をしていた。
炎の光と相反し、宵闇を瞬く間に照らす紫の電光。
電光纏いし男の手に握られし鉄輪。
すかさず正面へと翳せば、四つの刃が花開く。
その正体は、巨大な手裏剣。
薙ぐように投げ飛ばすと同時に、紫の軌道を描き弧を描く。
軌道の先は、理央の背後の砲身。回避運動を行わなければ
並ぶ砲身一つ一つを瞬く間に刈り取っていくことになるだろう。

耳障りな稲妻の音が爆ぜ、その男は理央の目の前で着地した。

「──────……。」

ゆっくりと上体を起こし、黒の双眸が相手を見据える。
睨む眼差しの色は、"怒り"と"憂い"。

「……気のせいで無ければ、無警告の攻撃であったか。此の場に立ち会ったのは偶然だが……此の出会いは、天命か……。」

男の手には、日本刀が握られている。
鈍い銀色の刀身した打刀だ。

「……此れは、如何様な事態か。早急に返答を願いたいな……。」

神代理央 > 元より、砲身を生やす異形達に大した知性等無い。
【動体の索敵】と【召喚主の守護】が自動行動となっている程度。即ち、異形それぞれは召喚主に危害が及ばない限り愚鈍な鉄塊でしかない。
かくして、砲身は刈り取られていく。まるで刃が紙を切り裂く様に砲身は切り裂かれ、重量物が大地へ落下する音が数回響くのだろう。

「――…ほう?此の状況で反撃とは。先遣隊が撤退に至ったのも――」

砲撃を停止させ、近距離戦の為に異形達に思念を送る。
攻撃手段を残した異形達が主を守る様に前進し、雷光の如く現れた男に残った砲身を向ける。
しかし、現れた男の姿に。その正体に気付けば、意外そうな。そして不思議そうな表情と共に、異形達への攻撃命令を中止する。

「……確か、昨夜の。公安委員会の紫陽花、とか言ったか。まさかこんな場所で……いや、違うな。貴様の邪魔が入るとは思わなかったが」

向けられた眼差しの色は怒りと憂い。
それに応えるのは疑念と尊大。続いて投げかけられた彼の言葉に、小さく肩を竦める。

「砲撃そのものは無警告ではあるが、勧告そのものは砲撃前に行われた戦闘によって完了したものと認められている。此れは風紀委員会の正規の任務であり、公安委員会に邪魔立てされる謂われは無い筈だが」

やがて、その表情は。ニィ、と傲慢な色を湛えた笑みに変わり。

「それとも、その大層な刀を私に向けるつもりかね?たかだか落第街の連中の為に、風紀と公安の仲違いを生む様な行動を、貴様は取ると言うつもりかな?」

紫陽花 剱菊 > 「……自らの職務に肝胆を砕いて当たっていた。私の成すべき事の為に……。」

それが幸か不幸か。
その砲撃範囲であった事だ。
不遜の色を輝かす相手の赤と笑み。
無意識に、打刀を握る手に力が籠る。

「……目前と人が、無花果が如く潰れて消えた……。」

理不尽な迄の破壊の力。
爆発と鉄が瞬く間に人の命を散らしていった。
花火の如き爆ぜる肉が、臓物と血を撒き散らし
周囲を赤に染めていく。臓物の生々しく彩られた壁一面。
……真新しきも、何度も何度も、見た事ある戦場の記憶。

「…………。」

互いに立場が違えど、志す者は同じのはず。
同じのはずだ。なのに何故
何故、目の前の少年は泥土に塗れたような笑顔が出来る。
たった今、踏みにじられた命が、今でも命が燃えているというのに
何故、其の様な悪意を表情に出せる。

「──────……一理ある。」

此れがきっかけで、新たな争いの兆しになるかもしれない。
だが、これ以上戦火を広める事を、何よりも、彼自身をそのままにしておくことは出来ない。
やがて、視線からは怒りが消え、少年に向ける憂いだけが残った。
優しく、身を案じる、悲しき眼差し。

「……今すぐに兵を退かせ、此の場を治められよ。正規の任務と宣うなら、此れ以上の鉄火は不要だ。」

静かに打刀の切っ先を、理央へと向けた。

「……此れ以上の戦は、"過剰攻撃"と見なし、独自の判断で貴殿をに御用改める……。」

「……邪知暴虐に溺れんとする者よ。もう良い、此処迄だ。此れ以上、血と硝煙を吸って何を成す?見ろ、あの炎の先に、其方は未来があると本気で思っているのか?」

自らの背後でごうごうと燃える業火の先。
一体彼は、此の灼熱地獄に何を見ているのだ────?
それは、立場を鑑みての"警告"だった。

神代理央 > 「……ふむ」

今すぐに兵を退け、と告げた彼の言葉に逡巡する様な素振り。
そして、パチリと指を鳴らせば、召喚されていた異形達は次々と消滅していくだろう。
何と言う事はない。召喚者が目的を果たした召喚物を撤収させただけ。大地に融ける様に消えていく異形達には目もくれず、憂う視線を此方に向ける男と相対する。

「……我々の任務が果たされたかどうか、それを決定する権限は公安には無い。少なくとも私の元には、現時点において敵対勢力の無力化が叶ったという報告は上がってきてはおらぬし、任務終了の命令も受けてはいない」

詭弁である。
敵がどうなったか報告するのはそもそも己であるし、その己の報告が無ければ本庁から攻撃停止の命令が来ることも無い。
まして。風紀委員の中でも落第街に対して過激な行動を取る己を派遣した今回の事案においては、己の行動を制止する様な派閥は既に影響力を持っていないのだろう。
火急の事案を処理する為に仕方ない――その妥協が、己を此処に立たせているのだから。

「…これは謂わば清掃の火焔。塵を焼却する紅蓮の華。此の焔の先に未来は無い。未来を妨げるモノを焼却するのが私の仕事だからな」

そして再び、指が鳴らされる。
現れる鋼鉄の異形。背中から針鼠の様に無数の砲身を生やし、歪な多脚で大地を踏みしめる金属の化け物。
"戦場"というモノの醜さをそのまま金属のオブジェにしたらこうなるのだろうという様な怪物達が、次々と生える様に大地に顕現する。

「此方こそ、その無意味な発言と警告に忠告を与えよう。風紀委員会の正規任務に妨害を行おうというのなら、それは明確な敵対行動足り得る。私の鉄火が、貴様に火を噴く事になる。
無益な戦闘は好まない。――どうせ、何人死のうと統計上の人口は変わらぬ。そんな者達に義理立てするのは、賢い選択とは思えぬがね?」

クスクスと、愉悦の色を滲ませて笑う。
唯真直ぐな。正しく憂う男に、愉快そうな笑みを見せる。
新たに召喚された異形達は、金属が軋む様な音を立ててその砲身を男に向けるだろう。

紫陽花 剱菊 > 「…………。」

嗚呼、結局こうなってしまうのか。
何処までもその言葉は少年の濁流に呑まれていく。
決して口達者とは言わない、だが、何を彼が此処迄駆り立てるのか。
今一度現れた異形の敵意……否、此れは最早悪意か。
悪意が、自らへと向けられる。
男は静かに、目を閉じた。

「──────……。」

──……済まない。
胸中に溶けていく謝罪は、邂逅を得て自らを支えてくれた人々へのもの。
言葉届かず、赤心以てしても、少年には届かなかった。
成らば、自分に出来る事はただ一つ────……。

男の腰背に生成されたのは、紺色の鞘に納められた小太刀。
右腰に携わるは、無地の黒鞘。手に持つ打刀の鞘だ。

「……成る程……承知した……。」

男の声音から、穏やかさが消えた。
腹底を冷やすような、冷たい声音だ。

「──────命の是非を問えぬ若人よ。」

右手に握った刃を、静かに下ろした、
切っ先を下に向け、肩の力を抜いたような無気力な風体。
それが、男の構えだ。

「……其方の行動を、大局的に、公安として見ても私は良しとしない。」

男の目が、静かに見開かれた。
開いた瞳孔、獣のような鋭い眼光。

「────此れより先は、修羅道成れば、先達者として、其の身に刻むが道理成れば……。」

「……公安の権限を以て、抑止に当たる。過剰なまでの武力を、此の刃を以て断つ──────……!」

静かな殺気だった。
あの時、出会った時のような穏やかな気配は微塵も無く
鋭く、刃の様に空気を凍てつかせる氷柱の如き殺気。
灰塵を運ぶ生ぬるい風が、互いの肌を撫でる刹那
男の身が僅かに傾いたと思えば、既に大きく踏み込んだ────。

一切の無駄口は叩かない。
言葉通り、刃を以て断つ。
疾風が如き、一直線に、最短に少年の悪意にくすんだ赤に男の姿が目前に映る。
先に仕掛ける目論見だ。
手に持つ刃が、一切の躊躇いも無く、側面。
脇腹から逆袈裟に振り抜かれた。
まともに受ければ、臓物がまろびでる程の深い一閃がその身に通り抜ける事になる。

神代理央 > かくして、戦端は開かれた。
といっても、今回の戦いは端から己に取っては不利なステージ。眼前の男が握る得物は日本刀。となれば当然、近接系の異能、魔術、そもそもの肉体能力等々。
己が持ち得ず、不得手とする距離を彼は既に詰めている。
だから――

「命の是非を問う、等と烏滸がましい事を私は謂わぬよ。社会の規律が定めた通り、其処に差別も区別もなく。老若男女、種族、性別を問わず。私は、少数派を殺すだけだ」

嘗て、落第街にて学んだ肉体強化の魔術。
膨大な魔力を持て余した己に、とある男が授けた護身の術。それは、近距離での戦闘において数少ない己の手札。
それを早速行使する。といっても、元より武術の嗜みがある訳では無い。華麗な身のこなしも、白羽取り等も出来る訳がない。
ただ、後方に向けて跳躍。本当に唯それだけ。しかして、元より授けた術者が優れていた故か。己の魔力の行先がその魔術しか無い故か。
人間離れした筋力が疑似的に魔力によって与えられ、正しく"飛ぶ"様な勢いで後方へと下がり、男の刃を交わす。

その一手の最中にも、異形達の砲身は稼働を始める。
先程の様な重砲では無い。機関砲やCIWSの様なミニガンの様な対人向けの砲身を生やした異形達は、空間を埋め尽くす様な弾幕を形成する。
当たれば御の字。当たらずとも、先ずは召喚主から男を遠ざけ、動きを制限する為の牽制弾幕。

「改めて名乗ろうか。風紀委員会、神代理央。鉄火の支配者、などと大仰な呼ばれ方をする事もあるが、しがない風紀委員に過ぎぬ。
戦闘は不得手故な。お手柔らかに頼むぞ?」

愉快そうに嗤いながら更に異能を発動。
両腕が巨大な盾へと変形した二足歩行の異形が二体。後方に移動した己の親衛隊の如く、守りを固めているだろう。