常世学園の象徴である「橘」が文字盤に掘りこまれた巨大な時計塔。
鐘がついており、学園内のチャイムはすべてこの時計塔のものである。
非常に高くそびえており、登れば常世島が一望できる。だが、危険のため基本的には生徒は立ち入り禁止になっている。
しかし、特に警備がいるわけでもないので入り込むのはたやすい。
参加者(0):ROM(1)
Time:20:41:46 更新
ご案内:「大時計塔」からコトハさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から東山 正治さんが去りました。
■コトハ > 「そうかよ」
フェイ、というのは男の言葉から考えれば、もう一人の手伝いをしている不良少女、といったところか。
どんな少女なんだろうか。口も性格も、あまりよくなさそうだけれど、と少女は考える。
「弁護士って探偵とは違う職じゃねえの……?」
証拠の裏とりなど、探偵じみたことをする場合もなくはなさそうではある。
しかし、実際の職として混同したようなことをするのは如何なものだろうか。
思わず、胡散臭げに見る。
「……ま、それはそれとして。気が向いたら、な。
私だって、別に好きで来たわけでもねーし。さっさと帰るよ。」
面倒くさそうに男に返事を返す。
それから、男とは重ならないように僅かに時をずらして少女も帰っていく。
理由は単純で、同道するのは面倒くさそうだったから、である。
■東山 正治 >
「意外とお礼は言えるんだ。いいね、フェイちゃんよりはいい子だ。」
それこそからかうような物言いだった。
一気に缶を飲み干せば空缶を軽く振った。
「学務をサボってこんな所いるなら、充分優良不良少女でしょうが。
まぁ、こう見えて弁護士資格とかは持っててね。探偵の真似事もしてるってワケ。
意外にも法律関係者っていうのは、何時の時代でも重宝されるモンみたいだぜ。」
だからこそ教師もやるとなると激務なのだが、それはどうでもいいことだ。
此れがきっかけになりえればそれでいいし、停滞を望むならそれでいい。
そう、自由なものだ。行動に伴う責任さえ目を瞑れば、だが。
「ま、それ以外でも相談には乗ってあげるよ。
解決できるかは別として、教師でも個人でも。
じゃ、俺はもう帰るから、コトハちゃんもさっさと帰りなよ。」
それじゃあね、と踵を返す。
振り返ることもなく、やがてコーヒーの香りは風に消えていくのだった。
■コトハ > 「あ、そ」
変に諭すわけでもない。叱りつけるわけでもない。
好きにすればいい、という額面だけ見れば無責任にも聞こえる言葉であった。
ただそれは、少女に気持ち悪さと心地よさのどちらも感じさせていた。
「うぉっと!?」
投げ渡された名刺は、手に収まるように飛んだが思わず取り落とす。
慌てて拾い上げて、まじまじと見つめた。
「なんだよこれ……ほうりつじむしょ?」
少女は思わず、男と名刺の間で視線を何往復かさせた。
先程の話からすれば想像もつく内容ではあるが、実際に見るのでは印象がだいぶ違う。
「不良少女とか、ちょいちょい言い草が気に食わねぇな。
まあ、覚えておくくらいしてやるよ」
名刺をためすすがめつ眺めてから、財布にしまい込む。
ごく普通の財布だ。あまりにも。
「……ありがとう、ございます」
■東山 正治 >
教師もそうだが、それ以上に公安職。
おおよその情報は調べたりもする。
そういう仕事だ。昔取った杵柄として、そういう所も買われていた。
「……、……そ。
まぁよくいるさ。コトハちゃん以外にも、そういう子は。
単位がどーとか言うべき何だろうが、俺はそこまで堅苦しく言う気はない。」
「ソイツの人生だしな。好きにすればいいさ。
まぁ、でもせっかく入学してるんならちょっと勿体ないとは思うけどね。」
少なくとも"訳あり"なんて話こそきりが無い。
個人の問題や種族の問題。安定期に入ったとは言え、未だ混迷の時代だ。
それこそ星の数程。そう、よくある話だ。
くつくつとした笑い声を、コーヒーで流し込む。
「ん、俺そんな事言った?悪いね、人の名前を間違えて覚える親友がいてね。
もしかしたらクセが移ったかもなぁ。まだボケてるつもりはないんだけど……。」
「ま、それはおいといて、だ……。」
懐か取り出し、少女へと投げ渡す。
一枚の名刺だ。法律事務所と、その住所が書いてある。
「そ、迷える不良少女の人生相談。
さっきも言ったが、俺はわざわざ嫌いな場所に無理して行く必要はねぇと思ってる。
そんな所で何が学べるかって話。まぁ、心地良いっつーのはきっと個人の話だろ。」
「友達がいるからとか、そういうの。
まぁ、だからこのまま適当に生きるのも自由だけどさ。
どうせ暇ならちょっと俺のお手伝いとかしてみない?」
ゆるりと立ち上がればまたコーヒーを一口。
軽く伸びれば全身が軽くポキポキ音を立てた。
「なに、探偵の真似事だよ。単位も金も用意してる。
しっかり一つの委員会として容認されてるから合法さ。
オタクみたいなのも手伝ったりしてるし、ソイツにも勉強を教えたり、な。」
「気が合いそうだぜ?なにせ、コトハちゃんより口の悪い女だ。
気の強さもイーブンだな。けどま、本人なりにやりたいことがあるから手伝ってるって話さ。
はみ出しものがいちゃいけねぇ理由はねぇってな。……ま、何時でも暇な時に来なよ。」
それこそ教師でもあり、一個人としても手を差し伸べる。
根の勤勉さもそうだが、そういう意味でも変わり者なのかもしれない。
教師として自ら、グレーゾーンのセーフティとなる。
言葉とは裏腹に、その"面倒"な生き方は骨髄まで染み付いているようだ。
■コトハ > 「はぁん……?」
なんとなく当てずっぽうのように言ったことだが、あながち間違いではなかったようだ。
だからといって、少女もそれを自慢気に思うことはない。
むしろ、当たってしまったことがめんどくさい、と感じていた。
相手の乾いた笑いから、いい経緯ではないのは確かであるし。
「うん?」
ホシを追い詰める。相手は妙なことを言った。
警察とかそういう仕事をしていたのだろうか。
別に興味はないが、そういう堅い仕事をしていたのにこんな有り様になったのなら……おそらく何事かあったのだろう、とは察せられる。あまり考えたくはないが。
「……っ」
ほんの一瞬だが威圧とも殺気ともとれない、何かの気配を感じる。
少女は武術も何も素人なので、実際には悪寒が走った、といった程度のものであるが。
緊張のためか、バキリ、と音がして飴が砕ける。
「……別に、好きで行ってないです。嫌いなのに、心地だけはいいだけで」
ぽつり、と呟き
「言葉の綾だよ。マジで水がなきゃ干からびるし。ま、こいつ舐めてる分でだいぶ楽だけど。」
新しい飴をあけて見せて、咥え直す。
ぴこぴこと、飴と繋がった棒が揺れる。
「なんだよ、だれだよイロハって。記憶喪失かジイサン。
……ただのボケ、だよな?いや年寄って意味じゃなくて冗談って意味で。
真顔で冗談言うなよ、笑っていいのか突っ込んでいいのかわかんなくなるだろ」
言葉荒く突っ込んでから……どこか真面目に聞き返す。
一応、真面目に受け取ったのか、それから男の言葉を反芻する。
「……学びたいことととか、卒業後、か。」
しばしの間。考えているような素振りを見せる。
「ちょい前までは、なんか色々考えてた気がすんだけどな。
今は、さっぱりだ。法学……法学、ねぇ。
てか、なんで法学なんだ?いや、アンタがそういう教師なのか。」
そういえば、そういう系の仕事をしていたっぽい発言が本の少し前にあったか、と少女は思い出す。
「って、なんだこれ。人生相談かなんかか?」
■東山 正治 >
思わずふ、と鼻で笑い飛ばした。
「生憎と、俺は好きで教師になったワケじゃないんでねぇ。
まぁ、そうだな。言えば"手が空いてた"って奴だ。前職やめた後だったからな。」
人間的に問題ありでも、能力的に価値が在れば放っておかれなかった。
そして、それをどんな理由であれ受けた以上は真面目にこなす。
彼女の言うことは的を得ていた。だからこそ、笑うしかなかった。
乾いた力ない、笑い声だ。
「ハハ……全く以て。マゾってワケじゃないなぁ。
罪人を追い詰める方が得意なんだけど、ね。」
まぁそんな事はどうでもいいさ、と横目で少女を見やった。
「へぇ、学校に来ない割にはそのへんはしっかりとしてんね。
……歓楽街の"奥地"に遊びに行くワリにゃぁ……いや、だからこそか?」
特に落第街で変なものを貰ってきたら、命が幾つあっても足りはしない。
しっかりものだと評価したが、一瞬だけ目線は冷ややかだった。
そう、それこそ"罪人"を射抜き、心底を見透かすように凍てついていた。
が、本当に一瞬だ。気づけば結局、嫌味な雰囲気に戻ってる。
「ま、俺はそれを止める気も理由もないんだけど、ね。
……水分がいらないのは特異体質か、異能の影響か。まぁいいさ。」
「ところでイロハちゃんはさ、法学……には興味ないか。
一応聞いとくけど、学校で学びたい事とか、卒業後のことか考えてる?」
置いていた缶を拾い上げ、軽く開ける。
少し、いや、わざとらしいくらいにコーヒーの香りが風にさらわれた。
■コトハ > 「……………」
不思議な物言いをする教員だ、少女は思う。
面倒くさがり、というよりもむしろ端々に滲み出るような嫌味や一種の倦怠感が思想にも表れている気がする。
世の中は簡単に変わらない。他人のことは知ったことではない。
少女が言語化できる範囲ではその程度の理解。
その割に、職務には忠実にあろうとする妙な生真面目さも顔を出す。
「変なセンセだな。こんな学校の教師なんてだいたい、教育がしたくてとか、
生徒の面倒を見たくて、みたいなのじゃねーの?
でも、そのどっちでもなさそうだし。」
違和感、というべきなのか。
確かに社会に出る人間全てが、必ずしも自分の好きな道に進めるとは限らない。
それにしても、こんなズレ方をしてまで仕事を続けるものだろうか。
「それしか出来なかったってか?だせぇ……と言いたいトコだけど、その方がよっぽどめんどくさそうだな。むしろ、キモい方が正解か?」
考えたことが言葉になって出てくる。
どうにも憎まれ口になってしまうのだが。
「そのくせ、マジメにしようって生きづらくね?もしやマゾ……?」
誰もが色々なものを抱えている。そんなことは先だって改めて理解していたはずだ。
それでも、この口はなんだか動いてしまう。
「別に。怪しいやつからモノを貰わないことにしてるだけ。
水分も、特にいらねぇし」
知らない人から物を貰わないようにしましょう。
古から伝わる子どもへの教えである。
■東山 正治 >
「だって言っても直らないしな。言って直るならもうちょっと抗議してるさ。
俺が偽物かどうかは調べりゃすぐわかるよ。尤も、私文書偽造する程怖いもの知らずじゃないけど、さ。」
恐らくこういう風に放置されていくんだろう。
自分で言っといて痛感する。噛みつく少女を横目にくつくつと喉を鳴らして笑う。
「何のつもり、ね。学校もサボって禁止区域にいる女子生徒がいる。
"教師として"は声をかけるさ。そりゃね、大事があったら大変だ。」
どんな理由であれ、教師をしているなら放って置く選択肢はない。
手の上で何度か缶コーヒーを転がせば、その辺に缶を置いておく。
「その通り。個人的には"どうでもいい"。
オタクがこっから足滑らせよーが、暴漢に襲われようが知ったこっちゃねぇ。」
そして、教師としてはあるまじき発言でもあった。
だが事実、東山としては一つも嘘は言っていない。
彼女がどうなろうと自己責任。学園の自由性は、そう言う所だ。
「ただ、だ。担任じゃないとか、教科とってないから、とかさ。
そんなんでほっといたら教師なんていらないんだよね。
特に此処は、学園と名ばかりのモデル都市だ。勿論、学園として機能してないワケじゃない。」
「けど、自由すぎる。別に教師がいなけりゃ学べないってワケじゃないしな。
そんなこんなで教師と名ばかりっていうのは、俺は勘弁だ。職務にはマジメなつもりなんでね。」
だが、それはそれ。これはこれ。
個人の思想を教師の立場に入れ込むはずもない。
ご覧の通り胡散臭いのだが、それでも教員としては真面目なのは伺える。
「……にしても、意外と"お子様"なんだねぇ。
もしかして、ミルクコーヒーのが良かった?」
……まぁ、嫌な奴には変わりはないが。
■コトハ > 「どうでもいいのかよ!なら思わせぶりに言うんじゃねーよ。
ほんとに教員か?その教員証、偽造とかじゃねーよな?」
内情としてどういうことになっているか、などは少女が知る由もない。
とはいえ、注意されて然るべきなことは理解している。
となれば、この対応は肩透かしである。思わず噛みついた。
「……東山センセ、ね。んで、しょっぴく、とか物騒な言葉出たけど。
そんな気ないんだったら、なんのつもりなんだよ。」
珈琲は手のジェスチャーだけでいらない、と拒否する。
別に飲めないわけでもないが、この相手からもらうのは、なんだか嫌だった。
そもそも、水分自体……
「……別に。アンタに関係ないだろ。そりゃ教師だからっていえばそうなのかもしんねーけど。
教科も受けてねー、担任でもねーならほぼ無関係に近いじゃねーか。」
少女は胡散臭い男に最大限警戒する。
■東山 正治 >
「それは俺も言ってんだけどねぇ、手が回らないのかやる気がないのか……。」
実際はご覧の通り。それを言われたら肩を竦めるしかない。
個人でやったところで翌日にはきっと剥がされているだろうし、
何より、ある意味生徒の憩いの場になっているのも事実だ。
何がどうあれ、ある意味自由性の象徴とも言えるかも知れない。
「ま、そんな事は俺ァどうでもいいのよ。
それくらいでしょっぴくような理由にはならないし……ん?」
当たり前のように隣に座る東山。
地べたに遠慮なく座る姿はとてもじゃないが教員には見えない。
「こう見えて、教師職じゃ"勤勉"な方でね。
生徒や教員、学園関係者のデータはそれなりに頭に入れてるワケ。」
「改めて、はじめまして。東山。東山正治。此処で教師をやってる。」
お近づきの印にどう?とおどけるように差し出したのは缶コーヒー。
微糖タイプのよくあるホットなタイプだ。
「そ、サボりね。学校が退屈だって?それとも、常世学園が嫌い?」
■コトハ > 「そーだっけ?そんならちゃんと封鎖しとけよ。ガバガバじゃねーか。」
確かに立入禁止、となっていたはずではある。ただし、別に頑丈に封鎖されているわけではない。
まるで、どうぞお入りください、とでもいうように。勿論、そんな意図があるとも思えないが。
ただ、少女はその点を指摘する。
「……げ」
教員証を見る。真偽のほどは少女にはわからない。分からないが、仮にこんなものを偽造するのならろくでもない人間だ。
つまり、真偽のどちらが正解でもあまり状況は良くない、ということだけが確かなのである。
が、更なる言葉でわかったのはおそらくホンモノであること。
「……名前まで知ってんのかよ。キモ」
東山……先生。記憶を探ってみるも、授業を受けた覚えはない……はずだ。
見かけたことくらいはあるかもしれないが、その程度で覚えていることはないだろう。
「……サボ……まあ、そうなんだろうな」
実際に学校に行っていなければサボりの誹りは免れられない。
そこにどんな理由があろうと、教員にとっては同じことだろう。
ガリガリと、口中で飴が悲鳴をあげる。
■東山 正治 >
「────此処は、一般生徒は立入禁止だったはずなんだけどなぁ?」
そんな黄昏れているさなかの背中に投げかけられる男の声。
気づけば背後にはヘラヘラと笑う如何にも不健康そうな男の姿が見えた。
一見、不審者にも見えるが胸元から取り出した教員証をヒラヒラと見せつける。
先の言葉よりもわかりやすい証明だ。
「……確か、久森 琴葉ちゃん。だっけ?
良くないなぁ、そういうのは。悪い子はいつか痛い目見ちまうぜ?」
教師であり、公安の仕事柄生徒のデータはある程度頭に入っている。
確かそんな名前の生徒だった。噂では、学業をおろそかにしているようだが。
東山はヘラヘラとした笑みを浮かべ、教員証を胸ポケットにしまい、ゆるりと近づく。
「で、今日も学校サボったの?そういう噂は聞いたことあるんだけど、さ。」
ご案内:「大時計塔」に東山 正治さんが現れました。