2026/02/12 のログ
ご案内:「夜の学生通り」にカタストロアさんが現れました。
ご案内:「夜の学生通り」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
■カタストロア >
「生きることが大変なら──」
サングラスをしたリザードマンは歌を口遊みながら手を動かす。
「森の中でちょっとだけ死んでごらん」
何かが折れる音。
何かが噴出する音。
……何かが壊れる音。
「葉の擦れる音と生命の音色がぁ」
カントリーソングと共に手を下ろす。
「あなたを生き返らせてくれるから……」
そこには体の節々が曲がらない方向に曲がった少年二人。
「やはり骨を折ってもあまり楽しくはないな」
「先達に学ぶべきものはあるとは思ったが…」
既に意識のない彼らを一瞥しながら血塗れの手を舐めた。
■紫陽花 剱菊 >
夜もすがら、宵闇に吹き抜ける寒風が草木を撫でる。
凄惨なる斯様な光景を月夜のみぞ知っている。
……否、静寂はついぞ知っている。
故に輪郭は無く、あたかも元よりいたかのようだった。
気配も、音も無く、静寂をなぞりて寒風を遮る。
月明かりを移す銀の刃を携えて、疾駆。
正しく寒風に紛れる疾風の刃。
凶刃が、凶人目掛けて突き出される────!
■カタストロア >
気配も、音も、殺気もなく。
自然体に突き出された白刃。
それは背後から胸部を貫いて切っ先が突き出るまで気付く余地はない。
「なんてことをするんだ」
貫いた心臓部から緑色の血を夥しく流しながら、
振り返らず両手の鮮血を払う。
「オレじゃなかったら死んでいるぞ」
サングラスを取ると指先で路地裏の隅にピン、と弾いた。
「だいそれたことをしたものだ」
「通りすがりなら許しを乞え、正義の味方なら名を名乗れ」
フスッと鼻息を吹く。
酸鼻極まる場に流血の生臭い夜風が抜けた。
■紫陽花 剱菊 >
幾度と無く感じた生命を斬る感触。
然れど、灯火が消え入るものに非ず。
即座に打刀を手放し後退。獲物に愛着等無い。
「……聞きしに勝る生命力。確かに心の臓を捉えたはずだが……」
静寂が囀る。輪郭無き男は朧気だが、凶悪な眼に確かに映っている。
異様な居住まい故に、殺戮者成ればこそ鼻腔を擽る血の匂い。
同じ狢と思われようと、然もありなん、と。
「…………」
故に、静寂の男、剱菊は構える。
音も無く握られた新たな打刀を握りしめ、
虚の如く深く、暗い眼差しが凶人を射抜く。
「名乗る程の者でも無く、正義を語る程烏滸がましくも無い。
其方そなたの蛮行を贖うだけの刃に過ぎず……。」
冴ゆる血風に、目を見開く。
「────唯、斬る」
一足。風切り音と共に目前。
足先から疾風が如く斬り上げん。
■カタストロア >
ブレードを手放して下がった?
いつまでも握っていれば反撃ができたが。
クールだ。そしてそれ以上に手慣れている。
……殺しに慣れている。
「さて……オレはどうすれば死ぬと思う?」
振り返ると背中から刺さった刀を前に首を傾げる。
「抜き方がわからんな」
柄は背中側だ。困ったもんだ。
「いいねぇ、サムライって感じだ」
「オレと遊ぼう………ブレードマン」
心臓はコアのひとつ。
ここまで突き立てられれば破壊されたも同然。
……どうやらオレの体にはコア部分が五つあるらしい。
刺さったままでは再生はできない。
──面白いじゃないか。
並人なら視認も難しいであろう速度の斬り上げを受けると同時に尻尾を突き出す。
斬られてもすぐに再生できる部位だ、トカゲの尻尾切りってな。
そしてこいつの斬り上げは僅かに下がったにも関わらず大腿動脈を斬って腹部に創傷。
悠長に構えてたら死ぬな。
■紫陽花 剱菊 >
斬撃は確かに堅牢な鱗を裂き、緑血を散らす。
幾度も生命を奪ってきたが故に、瞬時に理解せしめる。
凶刃は、未だ生命に届き得ぬ、と。
「(幾度も似たような手合と戦っては来たが……唯々頑健なだけではないな……、……!)」
凶撃が迫る。大槌が如き尻尾による打突。
死線、死地。互いに生命に届きうる範囲。
故に、すずろのまま、返す刀で一刀両断。
緑血咲き乱れ、尻尾が地面に叩き伏せられん。
「…………。」
能面。戦人故に、表情にこそ出しはしない。
然れど、刃を握る両手には鈍く、痺れが残った。
畢竟、斬り払いも力同士の拮抗。力のみでは決して届かぬ。
力と力がぶつかれば、弱きは滅ぶは必定。
「(至近距離故、避けるより確実な方を選んだが……何度も出来んな。
あの強靭な筋力を何度も払っては、私の両手が先に逝く。敵ながら見事だな……。)」
奇しくも、思考は一致する。
深々とした夜更け。然れど天下のお膝元。
民草の事を、被害者の事を思えばこそ、迅速に終わらせねば、と。
「……異な事を申す。
耳朶に届くは其方の蛮行、凶行ばかり。
即ち、戯言だ。其方は自分が死ぬとは微塵も思ってはいまい。」
空気が爆ぜる。端無くも、静寂を破る破裂音。
やがて、紫紺が鮮やかに宵闇を割いた。
雷鳴轟き、月輪よりも艶やかに迸る紫電。
剱菊の周りを大蛇の如く、うねるのだ。
「私の言葉に二言は無い。斯様、常世学園は其方のような咎人も慮る。」
「……だが、私は違う。」
うねる紫電が刃を、全身を包み込む。
「躊躇は無く、一切合切を灰燼に帰す」
■カタストロア >
「ナ・ル・ホ・ド・ナ」
斬れた尻尾がまだ動いているうちに切断面から音を立てて肉が盛り上がり、
形はイビツながら靭尾が再生する。
武器は普通だ、剣腕が凄まじい。
人間離れしていると言い換えてもいい。
自らの凶行を断ずる言葉に両手を広げる。
「力だ」
後方では拉げたまま痙攣する被害者たち。
「力があれば容易い」
「お前だってできることだろう……」
「辻斬りくらい簡単にできる、そうだろうブレードマン」
紫電。
美しくも禍々しきそれ。
幻想の雨、その化身。
「棒立ちで微塵に斬られるってワケには」
低く姿勢を取る。
クラウチングスタート……ではない。
獣が獲物を狙うが如き。
「いかねェな」
空気が弾け、リザードマンの足元が砕ける音が遅れて。
凶身逸速。
ブチ当たれば即死、避けても鋭牙で噛みつきにかかる二段構えの殺し技。
■紫陽花 剱菊 >
血気、冴ゆる。
明鏡止水。焦眉を焼く必要も無し。
虚が覗くは、其の生命のみ。
「────!」
静寂がさんざめく。
凶人が疾駆するが否や、其処に非ず。
代わりに迎え撃つは白銀の槍。一直線に衝突せんと飛来する。
其の眼に自身があらば見えたであろう。寸前、具現しては投擲したのだ。
唯武具を具現する異能成れど、如何ようにでも使える。
然るに剱菊は何処に。
無論、狙うは唯一つのみ。
疾風迅雷。雷鳴と共に頭上に権限。
正しく雷其の物。先の疾駆の比ではない速さ也。
然るに、策を巡らえるのは同じ。
投擲せし槍と同時に、歯牙ごと砕かんとする薙刀の一突き。
紫紺煌めく一撃は、雷鳴の如し。速さとは力。
凶刃により鋭く、其の雷は一度傷を付ければ、自慢の再生力さえ阻害する。
■カタストロア >
無かったはずのものが。
有った。
「!!」
槍が飛来する、白銀にして貫くは中心部!!
避けられぬタイミング!
だからこそ。
その槍の穂先を齧り取る。
死を想起させる鋭牙は人外の戦術で一撃をかわす!!
男は。いない。どこへ、上ッ、影!!
薙刀なんざ持ってなかったろうがよ!!
そして着弾が同時であるが故にこれも回避は不可能。
受けるか迎撃しかない。
直後、真上を向き。
口の中で緑血に濡れた槍の穂先を吐き出し、吹き付けた。
ああ、なんだ。
美味くはねぇな……自分の血も、金属も。
口の中がズタズタだぜ、贖えってんだよ!! ブレードマン!!
■紫陽花 剱菊 >
柄を軸に一回転。
音も無く着地すれば一拍も無く雷鳴が轟く。
攻め手を緩める事は非ず。
「……幾度と無く聞いた言葉だ。
故に、より大いなる力に潰される。」
即ち、因果応報也。
唯我独尊。我道の先には滅びのみ。
其の因果が巡る時と、虚が射抜く。
「────覚悟!」
疾風怒濤。既に雷は互いの死地、目前に踏み込む。
異能にて握られた打刀が紫紺に煌めき、瞬く間に繰り出される雷の斬撃。
無数の雷光一つ一つが生命を蝕む、神殺しの雷撃が迫る────!
■カタストロア >
空中で動くかよ。
吐き出した穂先はコンクリートを貫き。
紫電纏う男は目前へ。
捉えきれんかッ!!
紫電の斬撃が袈裟に斬り裂く。
受けて初めて、再生が鈍っていることに気づいた。
噴出する血、減衰する命。
直後。
リザードマンは男へ剛拳を振り抜いていた。
握力に体がついていかず、抜けた爪が血の痕跡を。
痕跡を────
「調子ぶっこいてんじゃねぇッ!!」
周囲のガラスが破砕する破滅の咆哮と共に。
流れた血が赤に。
いや、鮮血というにも不自然な真紅の龍血に変わっていく。
■紫陽花 剱菊 >
「……!」
剛拳。破滅の封殺が捉えたのは雷影のみ。
即座に身を翻し後退による回避。
直後、鼓膜を劈く怒気。咆哮。
凶人の気配が、生命が変わった。
「(怒気が、殺気が、熱気が如く纏わりつく……。
人ならざる生命力。気配の強さ……覚えがある。然るに、龍か。)」
正しく逆鱗に触れたのやも知れぬ。
然れど、一入剱菊には関係無し。
神も龍も、一切合切斬り伏せるのみ。
紫紺瞬く打刀を構え直す。直後、一閃。
紫電が瞬く、雷の槍。牽制による一打だが……。
■カタストロア >
龍血は流れたままだ。
紫電による斬撃を受ければ再生が上手く働かないのだろう。
だからなんだ。
オレがすることはただひとつ。
壊すだけ。
縦に裂けた瞳が金色に変わった。
紫電を受けながら突進する。
痛みを、流血を、死を超越した先に闘争はある!!
そこにあるッ!!
音と空気を惰弱と薙ぎ払う速度で前に出る。
そして放たれたのは、右拳の打ち下ろしからの。
尾撃。
右、からの尾での薙ぎ払い。
先程とは楯鱗の硬度も膂力も桁違いに跳ね上がった連撃。
それは人智を超える。
いや…人そのものを超える。
■紫陽花 剱菊 >
よもや、紫電を受けて尚猪突猛進。
元より強靭さを活かした戦いをしていたが、諸共しない。
怒気によるものか、或いは精神的に麻痺したか。
何れにせよ、全てが凶悪であり、先より速い。
「……!」
戦人故に、脳裏を過る。
躱すのは容易い。然れど、力の行き場は何処へ行くか。
此度は市街地。端無くも、剱菊が取れる選択肢は一つ。
瞬時に決めた覚悟と共に、一入紫紺は轟きを増す。
目前。凶拳が髪を乱す。
すかさず打刀の切っ先を拳に突き立てる。
雷の一矢、然れど相殺に非ず。全身に肉骨が悲鳴を上げる。
衝撃に皮膚が裂け、鮮血が両腕に迸る。諸手が痺れ、刃を手放せ無い。
然るに、之で良い。
「!」
突き刺さった打刀を軸に跳ねる。梃子の力。
紫電を纏いた円月蹴りが尾を弾く。
激痛。足が曲がり、骨が折れた。単純な力の差は歴然。必定。
辺りに鮮血が舞い散るも、表情一つ変えはしない。
■カタストロア >
攻撃を。受けた。
結果を見れば一目瞭然。
相手は負傷し、オレは衝撃に体が流れた。
守っている。
この期に及んで。
背後のビルなんぞを気にしている。
「それを侮辱って言うんだぜ……ブレードマン…」
全力で抗えば比類なき剣腕を持ち。
紫電でオレの再生力を上回る男が。
この鉄火場で守護を優先させた。
風紀の車両のサイレンが遠くから急行してきている。
その中で声を荒らげた。
「なぜ闘争を純化させようと思わない」
怒気を孕んだ声はすぐに落ち着き。
流れる血はビリベルジンを含む緑の濃血に戻っていった。
「人が素手で卵の殻を割るように人の頭蓋を砕ける力を持てば」
「恐怖と好奇心を抱かざるを得ないだろう!!」
「眼の前の存在の卵を割ることで思考が満ちるはずだ!!」
風紀が駆けつけると同時にマンホールの蓋を踏み砕く。
「お前は強いだろう」
もう動かない、残された尻尾を一瞥。
「少しは我欲を満たせ」
その言葉と共に巨躯を折り畳むように下水溝に詰め込み。
逃走していった。