2026/02/22 のログ
ご案内:「夕暮れの学生通り」にカタストロアさんが現れました。
ご案内:「夕暮れの学生通り」にセツリさんが現れました。
■カタストロア >
今は風紀委員が一枚上手。
ならやり方を変える必要がある。
とっとと用事を済ませて、早めの帰宅。
夕暮れの学生通りを歩いていた男がコートを脱げば。
彼の肌を覆っていく緑に、周囲が異様さに気付くと同時に。
その体がパンプアップし、質量など無視するかのように巨躯のリザードマンへと変貌していく。
「Excuse me、前を通らせてもらう」
そう低く声が響けば、学生通りに悲鳴が響いた。
しかし、弱点が知れ渡るというのは悲しいものだ。
ネズミのような振る舞いは決して好まないのだが。
さて……美味そうなヤツでも探してつまみ食いさせてもらうか。
■セツリ > 夕焼けを背に、帽子を付けた白い少女が何のことはなく、歩いていた。
日常の光景だ。
そのはず、だった。
聞こえるのは悲鳴。
誰かの悲鳴。
「――へ…ッ?」
何かが起こったのだ。
そして――
やかましく手元のデバイスが鳴った。通信だ。
それも、緊急の。
それも、イヤな方の。
それも、寒気がするような。
■通信 > 状況を伝達する。現在、学生通りにて凶悪犯罪者「カタストロア」が出没。
付近の一般生徒および施設への被害拡大が予測される。
これは命令ではない。君がこの要請を拒否したとしても、公安内での評価や生活環境、現在の保護状況に一切の不利益が生じないことを保証する。
拒否を選択した場合、即座に別班の実行部隊を投入する。
彼らが現場に到着し、制圧に至るまでには相応の時間を要する。
だが、現在現場に最も近く、かつ最小限の物理的衝突で事態を収束させ得る。
――返答を待つ。
■セツリ > セツリはその画面を凝視したまま、小さく唇を噛む。
「命令ではない」という言葉。それは一見、彼女を尊重しているようだが、実情はその逆なのかもしれない。
「…ずるい。よ、そんなの。断れるわけ、ないじゃないか」
「――やるよ。」
「よしっ、頑張れボク!」
ト、と。
軽いローファーの音が地面を叩く。
彼女が踏み出した一歩。その足元のタイルには、目に見えないほどの微細な亀裂が走り、道端に咲くパンジーが、まるで時間を早送りされたかのように、一瞬で深い黒紫へと変色し、崩れ落ちる。
示されたところは直ぐ近く。
悲鳴が聞こえた方へと、恐る恐ると歩いていって。
「…待って!」
挙手の姿勢だった。
明らかに場慣れしていない、
逆に言えば学生街の一生徒に似つかわしい。
龍の如き魔物の前に、小動物よりも儚げな花のように添えられる存在感であろう。
■カタストロア >
呼び止められ、振り返る。
随分と小さい……だが。
眼の前の少女の行動を蛮勇とは思わない。
“足跡”が残っている。
どのような形であれ。
オレを止めに来るのであれば何かしらの力がある。
そういう街だ、この常世は。
相手の言葉に答える前に。
手の中で折った爪を親指で弾く。
致死の指弾。
モーションもなく命を奪う数センチの凶弾が。
鋭爪が彼女に飛来する。
態々能力を確かめたいとは思わない。
死ねばよし、死ななければ───
■セツリ > 「あ……ッ!?」
凶弾を喰らう。
目の前のソレは待ってと言えばはい待ちますなどというような存在ではない。
だが、少女はあまりにも戦いに慣れておらず、
あまりにも善性を信じており、
あまりにも非力であった。
故に。
それを「避ける」という発想すらない。
「が…は……ッ」
胸元へ穿たれた一撃をそのまま受け入れ、
花が散るようにその場にへたり込んだ。
■カタストロア >
「すまない、だが異能者だろうお嬢様」
崩れ落ちる少女を睥睨する。
受ければ死ぬ。
人は体の中心部に貫通する飛来物を当てれば殺せる。
「相手のペースに乗れば勝てるものも勝てなくなる」
「ここ一週間で学んだことだ」
一歩、また一歩と近づいて。
「キミは今の一撃で何を学んだかな?」
揺れる尻尾がプレタポルテの店先にある鉢植えをなぎ倒した。
■セツリ > ふらり、と。
セツリが立ち上がる。
胸元の服は無残に裂け、肌には紅い痕が残っている。
けれど、そこにあるはずの致命傷は、陽炎のように揺らめいて消えていた。
「――離れてッ!」
周囲に叫ぶ。
人を散らす。
この能力に巻き込まぬように。
瞬間。
彼女が踏みしめる地面は円形に陥没し、周囲の街灯はショートして火花を散らす。
店先から崩れ落ちた鉢植えが枯れ果てる。
終焉という存在が「存続」するために、世界がその代償を支払わされている。
空気がよどむ。
コンクリートが割れる。
風が止まる。
花が枯れる。
「いったたた……。」
「…あ、あはは。学び、学び…いやボクは難しい事は分からないんだ、ただ、その、」
「悪意のあるものから、」
「攻撃を受けるって、こんな感じなんだね?」
なんとか会話を受け取りつつ話をしてはいるが。
とても、とてもしどろもどろしている。
明らかに「こういう相手に慣れてない」のである。
「で、でもね。出会い頭に一撃っていうのは正直その、悪意がありすぎると思う……。」
「ボクじゃなかったら、って思うと。…見境なくやるつもりだったの?」
■カタストロア >
目が見開かれ。
縦に裂けた瞳孔が少女を真っ直ぐに見る。
終わっていく。
彼女を中心に、存在するものが存在を止めていく。
そして彼女がコストを受け取る側だ。
そして彼女は会話を始めた。
最初に言った言葉が、“待って”だったように。
会話を試みている。
「オレが悪党だけを選んで肉を齧り取っているとでも聞いているのか?」
「お前が動かなくなれば味見をしていくつもりだった」
「悪意があるかないかでいえば、ある」
「今もお前にぶつけている」
痛みを感じている。
ダメージを受けている。
何故だ……あれを受けて即死を避けられる、超異能者が。
このタイミングで対話を。
■セツリ > 「ぴっ」
睨まれる。
人ではない、悪意のある、自分よりも大きな化け物。
怖くないか?なんて。
怖いに決まっている。
素っ頓狂な声を漏らしながら、冷や汗を垂らす。
「ボクは、そういうの、良く分からないんだ。」
「ただ、犠牲を出したくないだけ。…出来れば君だってそうだから。」
「悪意がなきゃ、そういう事をしなくて済むのにね。」
傷口を指先でなぞれば、それは、なかったことになる。
セツリが悲しげに眉を下げた瞬間、彼女の背後にある街灯の柱が
まるで腐った果実のようにぐにゃりと折れ曲がりまる。
金属が疲労し、限界を迎えるまでの数十年という時間を一秒に凝縮したような終わりへの再生。
「…ね、もうこういうの、やめない?」
「これに何の意味があるのかな。」
「壊して、ころして、終わらせて。」
呟きは、とても悲し気だ。
声は震える。
目は泳ぐ。
「すぅ、はぁ…よし。」
周りを見渡す。
少なくとももう、ここにはほかに人はいないだろう、って、確認。
■カタストロア >
彼女は恐怖を覚えている。
彼女はオレを説得しようとしている。
彼女は……今、この瞬間も周囲のモノを終わらせている。
「意味がなければ何も壊せないのか?」
「ゴミを捨てる時にビニール袋を丸めたりはしないのか」
「趣味で間食をする時に、この行動に何の意味もないんだなとイチイチ思うのか」
ふぅ、と溜息。
憂鬱だ。これほどの力を持つ存在が善性を見せている。
偽りであろうと、心の底から出た言葉であろうと。
鬱陶しく、残酷だ。
コピー機に忘れられていた誰かの楽譜のように。
自分には無関係であって欲しかった、とも。
「心の準備をしてオレにその力を使うのは」
両手を広げ、構えを取る。
クラウチングスタートを取るランナーのように。
心も体も、“その時”に備えた。
「さぞ有意義なのだろう」
■セツリ > 「…違う。ボクは君を傷つける気はない。」
「君がこの場で悪意を晒さないのなら、ボクは君に何もしない。」
明確な否定。
「違う、違う。」
否定をする。
「そんな屁理屈じゃ、ない。」
「分かっているんでしょ」
「自分のやっている事が悪意に基づいていて、許されないコトだって」
「ゴミを捨てる時にビニール袋を丸める事と」
「誰かに向けて銃の引き金を引く事は、同じじゃないんだ」
「り、……理解できる?できない?」
じ、と。
自らよりも巨躯のリザードマンの目へ向く、
桜色の眼差しは、実に毒々しく映る事だろう。
実際、セツリの目は、毒。
情報という名の毒。
「ボクはね、…ある意味ちょっと君に似ているのかもしれない。」
「見て。」
そっと腕輪に手をかけてから、
アスファルトへと手を添える。
数千年の時を飛び越えたように一瞬で朽ち果て、黒の塊となって崩れ落ちる。
「……ボクにとっても、これはただの、避けられない呼吸みたいなものなんだって。」
「でも、抑えられるなら抑え込めるほうが、良いなって。思わない?」
「…ボクも、抑え込めるものは抑え込んでいるんだ。」
「君のそれだって、抑えられるなら抑え込んだほうが…その方が、楽しい、んじゃない、かな…って…」
この期に及んでも、彼女は未だに対話を試みようとしていた。
目の前の異形へ。
挙手の姿勢。
けれどもそれは早口で、恐れていて、明らかに顔色をうかがうような不安げさを感じられるだろう。
「みんな、いなくなったね。」
そうして話して注意を引きつけているうちに、誰もいない。
異様に周囲を伺うのは、
万に一つでも誰かを巻き込みたくないからと。
嫌われたくないから。
■カタストロア >
随分と気丈な。
根気よく説得を続けてくる。
そしていつまでも付き合っていて冷凍弾を受けるのはオレのほうだ。
彼女のリミッターが崩れ落ちる。
今までも制御できていなかったものが解放される。
「本音で言おう」
「全力を出すのは気持ちいいものだ、と」
「それが悪意であろうと、悪行であろうと」
拳を握る。空間が軋むような音が響く。
「全力で殴ったら人が血霞に変わるパワーを持っていればッ!!」
拳を大きく後方に下げる。
格闘者には何の意味もないモーション。
いや、プロレスラーの一部の派手なパフォーマンスには見えるか。
ただ力が強いという一点に担保された戦闘力。
「許されないことだろうと殺りたくなるッ!!」
「それは法に守られた理性の盲点にして死角!!」
双眸が、視線が。少女を射抜いた。
「お前もいなくなる」
拳を撃ち抜いた。
圧搾され、破壊された空気がジェット音にも似た悲鳴を上げる。
戮撃。
ただ小さな命に向ける、超破壊の一撃!!
■セツリ > 「が…ッ!」
その一撃は、少女を叩き潰すには十分すぎた。
走って避ける、腕で防ぐ、魔法で弾く、どれもできない。
土煙の向こう側、カタストロアの拳には確かな手応えがあった。
少女は破壊される。
まるで巨大な爆風を喰らったかのように。
彼が説明した通りの現象が起こった。
あまりにも華奢な体が圧縮されて吹き飛んで砕けた。
「う、…ぅあ…」
瓦礫の山となった中心で、
セツリはよろよろと立ち上がった。
血に染まった服、乱れた髪。
けれど、その体には傷一つ残っていない。
代わりに、底の見えない虚無の穴が周囲に無数に現れ始める。
彼の一撃が、次々に終わりという形を持って転嫁され、
セツリは起き上がった。
何かが終わるという事象そのものに終わりはないように。
セツリの存在もまた同じ。
「君は。」
「きっと、…化け物なんだね。どうしようもなく。」
「ボクのこれと同じように。」
悪意があるものと、悪そのものと。
きっと彼の存在は自分の持つ異能と同じような、存在するだけで忌み嫌われる者、なのだろう。
どれだけ話したって、そうだった。
「分かった。」
この状態で、あれだけの衝撃を受けたというのに、何故か無事なデバイスを手に、少女は連絡を入れる。
「――聞こえる?」
「うん」
「ごめんね、事後処理、お願い。」
「大丈夫。」
「追い払うだけ。」
「平気。人払いだけしておいて。」
「――やるよ。」
意を決したように、竜人の前へと歩み出る。
相変わらず震えてはいる。
目の前のソレが怖い。
嫌われるのが怖い。
力を使うのが怖い。
何かを壊すのが怖い。
だけど、
今ならこの力を、もっと良くないものを消すために使えるから。
■カタストロア >
破壊した。
瓦礫の山にかかったストロベリーソースになっただろう。
そう、それは普通の話だ。
殴った相手が買ったばかりの本に挟まった栞のようにありふれた存在なら。
確実に死んでいる。
「そういうお前も」
拳に付着した血を払う。
とても舐める気になれない。
立ち上がる彼女。
相手は死の概念にしか見えない。
「化け物だ」
相手が歩いてくる。
異形の歩みだ。
触れただけで肉が撹拌されるパワーの相手に。
警告じみた言葉と共に近寄ってくるのだから。
「フン」
手のひらを見せたままオレも一歩、歩を進めた。
このまま歩けば、相手に先に手が触れるだろう。
俺の腕が制空権に入る。
それはオレかヤツの死だ。
■セツリ > 「…ボクが化け物?」
「違うね」
「ボクは『忌み嫌われる者』だよ」
一歩踏み入る。
恐れているのは、そう、何より嫌われる事だった。
己が傷つくか否かは、無頓着だった。
先ほど見た通り、傷つく事には慣れている。
「……ッ!」
少女の周囲に穴が開く。
鉄柱が消える。
鉄柱があったという歴史が消える。
消えたって事も分からなくなる。
空気が淀む。
空間が割れる。
嫌な気配が広がる。
「やめて」
「…ボクは、ずっと」
「やめてって、言ったから」
「君を傷つける気はないって、言ったのに…ッ」
「もう…こうするしか、ないじゃないかあ…!」
真っすぐに竜人を睨む。
視線の先に情報が焼け付く。
それはリザードマンの鱗を、まるでそぎ落とすような感覚を与える。
腕は、近づけば近づくほどに、
まるで刃物に触れている様で、
まるで腐敗する様で、
まるで年老いる様で、
あらゆる手段を以って「終焉」へと招く。
セツリに触れんとした手に纏わりつくは、終。
「沢山誰かを傷つけるヤツは、消えた方が良いんだよ」
それは彼に向けた言葉でもあり――――
■カタストロア >
「!!」
腕の楯鱗が剥げた?
いや、違う。泡立つように一枚一枚が立って、変色し。
腐り落ちていく。
こいつの“こうするしかない”でオレの剛腕は死んでいく。
咄嗟に左手を手刀の形にして腕を根本から切断。
腐敗がコアまで昇らないように対処する。
立ち止まるが、退かない。
「じゃあ消えたほうがいい同士」
続けて尻尾を先端から突き出す。
槍のように、鋭く。
貫けば強靭な尾はそう簡単には抜けない。
「……踊ろうかッ!!」
腕の再生は遅い。
本当に死んでいるとはな。
異能の委細は不明。
わからないままでも、殺すッ!!