2024/09/19 のログ
■芥子風 菖蒲 >
だから人は、偶像を崇拝する。
だから人は、赦しを得ようとする。
見てきた。そう、何度も見てきた。
赦してきた。笑ってきた。
それで誰かが救われるならいいと思ってきたから。
少年の善意は、悪意によって動いてきた。
全てがなくなった時残ったのは、一人ぼっち。
だけど、それでもと信じてきたのは、
そんも温もりが、人は一人じゃないと信じてきた。
傀儡の中で学んだ言葉が、今度は嘘じゃ、なくなった。
「──────……そっか。そうだった……。」
ずっと、誰かのためにと思ってきた。
少年は分け隔てない、誰にでも手を差し伸べた。
時には失敗し、握れなかった手だってある。
でも、前に進むことを止めはしなかった。
気づけば口元は微笑み、泥はもう、止まっていた。
「ううん、優しいよ。優しくて、温かい。
オレだって不器用だし、それに比べたらさ。」
身体的なものじゃない。
もっと精神的なものだ。
ひんやりと、弱々しい鼓動でも、今は力強く感じる。
黒尽くめの少年の小さな体も今はわずかに震えて、日の香り。
そう、ずっと見てきたつもりだ。
彼女の血の香りも、もっとどす黒い"奥"も見てきた。
それでも、きっと、全てではないんだろう。
彼女は自らの言葉を聞いてくれた。
その上で、自分のことを受け入れてくれた。
……こんな自分勝手な感情、持つべきじゃないんだろう。
でももう、嘘はつけないや。
もぞもぞと顔を上げて、じ、と見上げる青空の双眸。
「違うよ。真夜先輩がいたから言えた。
真夜先輩だから聞いて欲しかった。
真夜先輩が、ずっといたから向き合えた。」
彼女が支えてくれたから、今がある。
撫でる茶髪はちょっとちくちくして、妙な手ざりの良さ。
じ、と見上げた青空が、瞬きすらせず言葉を続ける。
「オレは好きだよ、先輩の匂い。」
■芥子風 菖蒲 >
「匂いもだし、優しい所も好き。
誰かを見てくれてる先輩のそういう所が好き。
先輩がそういうのを気にして苦しんでるのも、見てられない。
……オレは、先輩の反対側だって見たことある。」
もうずっと前から多分、心には決めていた。
多分、行動には表れていた。口にはハッキリとしなかっただけだ。
何の恥ずかしげも無い。嘘のない言葉を次々と並べていく。
青空は、誰もを受け入れるように広がっている。
同時に、全てを覗き込むように、ずっとずっと、その奥底。
血色の心底を何処まで、手を伸ばすように覗き込む。
「オレ、全部好き。藤白真夜の事が全部好き。
その気になれば全部捨てれる。どれだけ匂いが移ったっていい。」
全てを踏まえた上で、見たうえで惹かれていた。
彼女は拒絶するだろうか、それとも否定をするだろうか。
でも、もう今さら止められはしない。
例えその先がどうなっていても、彼女が良いと言うなら進める覚悟はある。
「愛しちゃったんだ、全部。
だから、オレと一緒にいてほしい。」
■藤白 真夜 >
「に、においは、その……す、すみません……!」
……冷静になると、ちょっとずつ自分が何をしたのかが、染み渡ってくる。
落ち着いてくれるならば、と抱きしめたものの、その後に起きることを考えていなかっただけ。
触れてしまった体、写る香りに、好ましいと言われると余計に恥ずかしくなって、ようやく顔が紅くなってくる。
「……?」
反対側という言葉には首を傾げるも、彼の瞳を、見つめていた。
青空のような瞳を。……そこに映る、罪深き目を。
その言葉を、聞き届けた。
「──────」
時間が止まったような表情で、彼を見つめ返す。
喜ばしいはずのそれは、……冷たくわたしの心臓に潜り込んだ。
……できない。それは。……彼と同じく。わたしにも、裁かれなくてはならないモノが、あるから。
「……ごめんなさい。
わたしに……、誰かを愛する資格は、無いんです。
……今は、未だ」
拒んでいる。
菖蒲さんを、じゃない。むしろ、彼のことを考えると胸は暖かくなった。
……でも、どうしようもなく自分が、自分を拒んでいる。
温かい胸は、そのまま己の身を焼く冷たい炎のようだった。
わたしでは、いけない。
わたしが覚えてはいけない感情だと、自分の歩いてきた途が責め立てる。
それを、受け取ってはならないと。
「…………わたしが、……それでも、わたしが。
……素直に頷けるときまで。
わたしが、……わたしを、赦せるまで。
待ってくれますか……?」
少しずつ、体を離す。
今や、その余裕は無かった。心臓ではないどこかが、激しく叫んでいる。優しさが彼に向けられるからこそ、厳しさは己に同じ熱量で投げかけられる。
瞳は、離別に等しい涙を流していた。
愛しいものに向ける表情を、わたしは識らない。
……それでも……彼を見る表情に、諦めは浮かんでいなかった。
いつか、…………遠い、いつか。
来るかもわからない時を、待ってほしい。そう、投げかけるしかない、悲しみを。
震える声で、告げた。
■芥子風 菖蒲 >
はらり、はらりと、互いを包む青が崩れていく。
少年を伝う青い光は、まるで帳が降りたように崩れて消えた。
そこにあるのは、先程と変わらない煤けた教会。
窓枠から差す陽の光が、スポットライトのように二人を照らす。
「────────……。」
離れようとする体。
許されるのであれば、ぎゅっと強く抱き寄せた。
繋ぎ止めるように、離さないように、彼女を離さないだろう。
いや、きっと離したくははない。
今話してしまったら、離れ離れになってしまう。
そんな錯覚さえ、覚えてしまうのだから。
「……じゃあ、オレも同じだ。
オレは、オレが傷つけた人の分だけ、
誰かを助けるために常世学園にいる。
自分が自分を赦せないのがダメなら、オレも同じ。」
罪の告白は、初めから赦しも贖罪も求めていない。
それを聞いたうえで、彼女がこの先も自分を見てくれるが重要だった。
結果は見ての通りだ。自らの後ろめたさを抱えたままでいい。
彼女がそれを受け入れてくれたなら、やることは変わらない。
離別のような、涙を見ても、少年は変わらない。
自らの汚い所を受け入れた上でなお、そうしてくれた貴女に。
貴女だからこそ、きっとこの気持ちは、二人に対して変わらない。
じ、と青空はその涙に濡れる血色を見据えている。
「けど、先輩は祈ってくれた。
オレが、オレでいられるように祈ってくれたりもした。
だから、オレがオレのまま先輩に言えたのは、先輩のおかげ。」
罪を、空っぽの自分を彼女が満たしてくれた。
そう、もう既に充分すぎるくらいいっぱい貰った。
だから、こうして向き合える。まずそっと、片手が涙を拭う。
そして、あの時の同じようにその頬に口づけするように、少年の唇が涙を拭った。
そっと離れると、わずかにコクン、と喉が揺れる。
何時でも彼女を見る青空は、変わらない。
その奥も、心底も、何もかもを包み込むように広く、大きく──────……。
「オレもこういうの初めてだから、えっと……
こういう返事があってるかはわからない。
待てはするよ。けど、先輩って"不器用"だから、長そう。」
そして、敢えてちょっとからかうように言ってやった。
だって、自分自身が言ったんだ。自分だってそう思う。
「……オレはずっと、先輩の傍にいるよ。
"一人にはさせない"。どんな先輩でも、ずっと一緒にいたい。
返事自体はまた今度でもいいけど、オレは真夜先輩の傍にいたい。」
「……先輩がどんな人かなんて、今更だよ。」
それだけは変わらない。
確かに、人が人を赦すことは出来ないかも知れない。
人が人を罰するなんていうのは、烏滸がましいかもしれない。
でも、受け入れる事は出来る。穢れも何もかも引っくるめて、
その裏に潜む悪性も何もかも纏めて、すべてを受け入れる。
初めから少年の気持ちは、向けられているものは変わらない。
どうか愛しい人よ、自分で自分を責めないで。
自分に厳しくしないで。必要以上に罰しようとしないで。
こんな自分を"救い"と言ってくれた貴女だからこそ、全てを受け止める。
青空は今でもずっと変わらない。雲一つなく、貴女の上にに広がっている。
■藤白 真夜 >
「……。」
瞳を閉じる。
途絶えてもなお流れる滂沱は、口づけといっしょに拭われた。
……再び開いた瞳に、もう涙は無い。
そこに浮かぶのは安堵と……小さなゆらぎ。
……今、彼を直視するのは……いろんな意味で、難しかった。
それでも、……以前のような怯えは、きっと少ない。
彼も、自分の咎を受け入れた。だから、あとはわたしが、──
「……きっと、時間がかかります。
わたしが、──」
言葉が途切れるほどに見据える先は、遠い。
目の前には暖かな青空が広がっているけれど、それを理由には出来ない。
恋や愛のためではなく。……わたしは、わたしのために、わたしの咎と向き合わなくてはいけないのだから。
「…………じゃあ、戻りましょうか。
わたしたちが……胸を張って日常を過ごせる時が、訪れますように」
落ち着いた菖蒲さんから、体を離す。……移った体温が、熾火のように胸をくすぐった。
胸中に沸き立つものを抱えながら……聖母へと両手を合わせて、祈った。
ただ……己のために。
何にも涙することなく……自分と向き合える日が来るように。
■芥子風 菖蒲 >
時間は掛かると、彼女は言う。
そう簡単にできることじゃないのは、自分が一番理解している。
まだ彼女の全てを知ってるわけじゃない。
きっと、此れはまだ長い道のりになりそうだ。
彼女が言う、彼女の咎。この先がどうなるかは、わからない。
「いいよ。どんなに遠くても、オレは一緒にいる。
オレはずっと、先輩のことをこれからも支えるつもりだから。」
恋だの愛だの、そこに返事がこなくてもいい。
彼女が受け入れた自分が、彼女を支えられるなら、
それでも充分だ。長い道のりをせめて、照らし続ける。
自らが血に塗れようとも、とうに覚悟は出来ている。
「ん……そうだね……。」
離れる互いの体温。
何かを確かめるように、軽く手をぐっ、ぱ。
そして、彼女の隣で、両手を合わせた。
初めて自ら、祈りを捧げる。
ただ、ちょっと普通の祈りとは違うもの。
「(母さん、もうオレは大丈夫。一人で行けるよ。もう一人じゃないから。)」
こんな自分を受け入れてくれる人がいる。
だからもう、大丈夫だ。聖母との決別。
ほんのりと頬撫でる風は、二人の間を通り抜けていく。
帰ろう、日常へ。彼女の隣で、何時か向き合うべきものを、
それを支えるために、今日の一歩を強く、踏みしめた──────。
ご案内:「宗教施設群」から藤白 真夜さんが去りました。
ご案内:「宗教施設群」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
ご案内:「宗教施設群/とある葬儀場」に海藤 宗次さんが現れました。
■海藤 宗次 >
そこは異邦人街の区域にはあるもののスラムや落第街に程なく近いエリア。
となれば治安の悪化は認めざる得ず、風紀の目の通りにくい
そんな少々危ない場所でも需要はある。
治安悪い所の宗教街とはいえ冠婚葬祭は行える施設がある。
例えば葬儀。
抗争等行われれば死者は少なからず出て葬儀なんかは必須になってくる。
風が吹けばなんとやらというやつだ。
兎も角抗争続きで尚且つ治安悪くとも葬儀を取り扱ってくれる場所がここにあった。
事実、葬儀中に襲撃など外道の極みで厳粛に然るべき作法で行われるはずである。
なのに…
「おお、やっとるやっとる。お前らええかぁ~相手は葬式中で戦闘態勢も整っておらへん。攻めるなら今や」
葬儀会場を取り囲むように半グレ集団がたむろす。
半グレ軍団の親玉は宗次。
今からこの葬儀をしている連中『任侠会』を奇襲し壊滅させる。
宗次はなぜか喪服。まあ、死体が増えるし彼なりの哀悼の仕方である。
■海藤 宗次 >
「まあ、これも天王寺の姐さんの命令や。俺は悪うござらんで~」
宗次は口笛を吹いて明後日の方を見る。
卑怯?なにそれ。責任?無い方が身軽でええやん。
取り囲む際には外の見回りはサイレンサー付きの銃で一発。
各々配置についた。準備は良し。
周囲を念の為見まわす。
そこには銃で武装した半グレ集団。
これだけ上等な装備どこで、という疑問もあるだろうがそこは火ノ宮姐さんとボスとメキシコカルテル様様という奴や
「手筈通り、手順通りやれよ?…よっしゃ、突ったれ突ったれ」
軽いノリで部下達に号令を出す。
まずは扉を勢いよく開け放つ。
日本式の葬儀がちらっと目についたが連中で間違いないようだ。
このまま畳みかける。
「手榴弾投げぇい!」
初手は複数人で手榴弾を投げて滅茶苦茶にする。
複数の手榴弾が放り込まれ、宗次の部下の半グレ共は身を隠す。
そこそこ訓練された動きだ。
ご案内:「宗教施設群/とある葬儀場」にリビド・イドさんが現れました。
■リビド・イド >
「……騒がしいと思ったら、宗教を愚弄する奴が居んのか。」
身長157cm程の、緑と紫のオッドアイにモノクルを掛けた教師の姿。
爆音を聞きつけ、物凄く苛立たしそうに駆け付けた。
「どこの誰かは知らんが、ひとつ聞く。
常世島の信仰において、ここが何処か分かっているのか?」
■海藤 宗次 >
複数の手榴弾による大きな炸裂音何度も響き渡る。
惜別の場が一気に地獄絵図になる。
爆発で即死した者はまだいい、肘から先がなくなったものもいれば複数欠損が発生する者が出てくる。
とある誰かが叫んだ。
『葬式に襲うとは何たる外道!』と
だが叫んだ奴に対しては隙ありと言わんばかりに銃弾で鉛弾を叩き込む
「おんやまぁ~任侠会の皆様ぁ~この度はご冥福をお祈りしますわぁ~。でもよかったやん、みんな仲良くあの世行けて?赤信号皆で渡れば怖くないって格言がありましてぇ~」
かなり舐め腐った態度と容赦無さすぎる対応。
半グレの部下たちには適当にあしらっておけ、と号令を繰り出し射撃戦を繰り出す。
俺は急用ができた。
そっちをむけば…なんともまあ賢そうな教師風の人物がいる
「何処って…葬式するとこやな?せやからみんなで葬式すればええんやない?って俺なりの優しさやねん。…あとあいつ等敵で隙があったからその隙を突いた。何が悪いんや?」
さも当たり前のようにその半グレで唯一喪服の恰好をしたサングラス男が言う。
ふざけてはいるが臨戦態勢だ。
■リビド・イド >
「詭弁にもならんな。」
舐めた態度を無視し、スマホを弄る。
録画と写真、両面だ。
「たった今から、お前たちの組織は全ての宗教の敵だ。
ああ、風紀と公安、当然祭祀局にも適当に通報しておくとも。」
「ここは落第街じゃあないからな。そりゃ相当にお前らの事を付け回すだろう。
何処に責任を押し付けるか分からんが……たったいま、すべての宗教と神秘に喧嘩を売ったことを、理解しておけ。」
故に、会話をせずに淡々と通告をする。
祭祀局が、公安委員が、風紀委員が、面子を保つための理由が出来てしまったと暗に告げた。
スマートフォンを適当に弄繰り回し、
目の前の光景を数枚撮って各所へと通報する。
「どうして常世島関係物故者慰霊祭なんてものが行われているのか。
愚鈍じゃないのなら、多少頭を回せば分かるはずだよな。」
唾棄すべきものを見る眼で睨み、手をかざす。
「そんな所で揉め事を起こす愚か者をこの手で殴りつけたい所だが……
僕は先生だからな。表向きで動きたくはない。今逃げるなら、僕は見逃す。
逃げないなら……軽く宗教戦争のデモンストレーションだ。」
「賢明な判断をするかどうかは、お前に任せる。」
此処で仕置きをしても問題の根絶にならず、憂さ晴らしにしかならぬと理解しているのだろう。
上からの目線で、逃げる間を与えた。
■海藤 宗次 >
「おいおい、誰に断って撮っとんねん。やめてぇな。プライバシーの侵害で訴えるで~…本当はこんなイケメンの撮影、金取るんやけどねぇ~」
とりあえず目元だけは手でスッスッと隠す。
まあサングラスがあるのであんまり意味はないが
「なるほろ?せやなら落第街に逃げ込めば勝ちやな。簡単な鬼ごっこや。ハンデやろうか?」
と不敵に笑いつつまたしても舐めた口ぶり
ヘラヘラしながら頭を働かせる。
多分相手はそれなり以上には強そうだ。
でなければ銃で武装した連中に首を突っ込むわけはあるまい
考えて導きだした答え。
「うーん、せやなら無駄な血を流したくないし…お言葉に甘えまして撤退させますわ。別にアンタはターゲットやないし。…おーい、お前らーそいつら全員殺ったらお家に帰るで~」
素直な返答の割にはすぐには撤退しない。
敵組織を全滅させたら、という条件が加わるからだ。
そして全滅させるためにこの人物の介入を防ぐためにも時間を稼ぐために舌を回す。
「あ、せや…せっかくやしお話せえへん?宗教~と…言ってもなぁ~~~~一枚岩では~~~~ない~~~ねん………具体的にぃ~どんな~宗派が~~~敵かぁ~~~教えて~~~くれへ~~~ん?」
時間稼ぎをするためにわざとだらだらと長々と言葉を伸ばす。
ふざけてる。
ちらっと後ろを見れば半グレサイドが押してるのが分かる。
おっしゃもう少し時間稼いだろ。宗次は悪知恵をフル回転させる。
■リビド・イド >
「そう言う所だな、覇伝洲。
配信業も楽しそうだな?随分と周りを見ない集団だ。
新興の極道でも、もうちょっとは頭を回すぞ。」
録画に切り替えて、撮影を続ける、
呆れ気味にも言い捨てた。
「だからさっさと帰れと言っている。
ここはお前のシマじゃあない。居ない所でやるなら、少なくとも一枚の岩は知らんぷりだ。」
足元の小石を蹴とばす。
特に何も籠っていない、苛立ちを示す為だけの仕草。
「……これ位はしておくか。」
指を一つ弾く。
たったそれだけで、他方で行われている火種。
つまり、ここにあるすべての銃と火薬を、水の元素に書き換えて、
物質界から掻き消した。
業、と言うべき規模と精度。
ひとつの世界観を以ってして、あるがままに形而下のもの、形而上の形を書き換えた。
「今見せたものが宗教だ。世界をどう解釈し、どう定義するか。
その上でどう生きるか。魔術なんぞは副産物に過ぎん。」
■海藤 宗次 >
「配信は木曽山姐さんの独断で彼女の副業や。あれ、結構儲かるらしくて小銭稼ぎにゃ丁度ええってな」
へらへらと責任を放棄する。
ケラケラと、しかしながら状況を把握する。
相手は武装らしきものは何も持っていないように見えるが…一体何ができる…?
「せやけど、ここはあいつ等のシマでもあらへんで?中立の立場を重んじる団体がぁ、一方の勢力に肩入れしてええんですかぁ?ああん?」
距離も測る。
この距離はチャカ。
そう思ってた直後にチャカが消えた。自分のだけではない。周囲の半グレもだ。
何をされた?知らんが兎に角チャカが消えた事実だけを受け止める。
「うろたえるなぁ!接近戦に切り替えろお前ら、ナイフ位持ってきてんだろ」
とはいうがそろそろ潮時か?
部下たちは下がらせるべきかタイミングを見計らう。
「ちぃ、どんな手品や…俺の銃高かったんやぞ。時間たてば元に戻るんやろうなぁ?」
そうなると手段は接近戦。
長ドスを鞘から抜いてリビド・イドに切っ先を向ける
■リビド・イド >
「女のケツぐらい拭いとけ。
配信業自体は否定せんが……」
本題でもないので、適当に流す。
覇伝洲の名前を録音に籠めることが本題だ。
「僕……いや、宗教施設は俺らのシマだだ。
そこに肩入れもなにもない。あいつらも、調書でこってり絞られるだろうな。
生臭坊主も、袖の下を受け取っていれば同様だ。」
こともあろうか、宗教を持ち出して権利を提示した。
少なくとも、この教師は宗教施設群の場を腐すことを明確に否定した。
説得を示す材料は見せない。このものは、理解されぬと認識した。
「いや、戻らん。宗教も神秘も思い入れもないものなぞ、この通りだ。
ついでに言えば、背中の何かも消せんとも。……やりすぎたとは思っているが、加減が効かん。」
次なる一手は撃たぬらしい。
撃てないのかもしれないが、罵声に苛立ちを覚えるばかりだ。
「とにかく、バチが当たったとでも思っておけ。
僕も今からあそこに飛び込んで、お前らとやり合うのは荷が重すぎる。」
少しずつ、辺鄙な宗教施設群に人がたかる。
風紀委員や公安委員、祭祀局。出れるものが到来しつつあるのだろう。
「何にせよ、@多くの神々に気を遣い続けている@;;常世島で神を腐すと罰が当たるぞ。
……お前なりの宗教があるって言うなら、それはすべてではなく、一つの宗教戦争足り得るが。」
流石にこの数を手出しする気はないらしい。
捨て台詞のような言葉と共に、背を向ける。
録音を終えて風紀委員へ追加の情報を提供してから、左手を挙げる。
別れの合図および、背を狙うなとの警告だ。
「僕は責務を果たした。そして大分力を使ってしまった。そういうことにしてくれ。
……投げられた賽を回収するのか放っておくのかは、お前たち次第だからな。」
(最近の若者は……と言うやつか。これが。)
恐らく分かり合えぬものではない。暴力も言葉も意味がない。
故に、@到来した委員@さいきんのわかもの@に任せ、この場を後にするだろう。
ご案内:「宗教施設群/とある葬儀場」からリビド・イドさんが去りました。
■海藤 宗次 >
「生憎、遊び盛りの若者なんでなぁ~」
あ~さっきからごちゃごちゃ喋ってるけどコイツ、録音してるな。
まあええけど、と自分の中で整理する。
声なら変装時の時にいくらかトーンを低くすればバレへんか…
と今後のことまで考え始める。
「俺等のシマ、俺等のシマ言うとりますけど肝心のお前らは誰やねん。名前名乗らんかい、失礼やぞ~」
とりあえず暇だったら暗殺しとくかみたいな軽いノリで物騒な事を考え始める。
その前に名乗ってもらえればお仕事が楽になるんやけど…無理やった
「ちぃ、こないな事…火ノ宮姐さんにネチネチ言われてしまうで~うわ~災難やぁ~」
銃もただではない。それが大量消滅したとなれば上に大目玉だ。
頭を抱えて今から憂鬱な気分を過ごす羽目になる。
そして刺青は…消えてないから多分無事や。まあ、刺青の能力なんぞ滅多に使わへんけど
「じゃあ、斬りあおうかぁ…ってぞろぞろきよるなぁ。しゃらくせえ。…おい、お前ら撤退やで~とりま半壊はさせたから任務完了やろ。」
さて、撤退だ。
俺は半グレ集団が撤退するまでの時間稼ぎ…
まあしんがりなんやけど
■海藤 宗次 >
「やっぱ刀じゃなくて素手で頑張ってみまひょ。」
納刀。
そしてなんと拳を構えて圧倒的多数の風紀委員に対して向けたのだ。
こちらはチャカや手榴弾などの搦手は無し。
勿論能力も実質的に使用が不可だ。
だがその程度のハンデがなんだというのか
こちらは覇伝洲の幹部6番手海藤宗次だ。
6番手といえば状況対応能力の高さと汎用的な戦闘力に加えてしぶとさまで兼ね備える。
「俺、週一で拳法習っとんねん。…全弾躱してからの~体操拳法どかぁぁぁんん!!!」
部下を逃がす殿戦。
風紀委員達は容赦なく光や炎や電気などの能力・魔術に加え銃弾も飛ばす。
だがそれを当たり前のように躱す。
全員が全員、宗次の身体本体に狙いを定めているからだ。
それでは当たらない。
宗次は体をずらしながら接近する。
あまりの横移動に残像すら見えるだろう。ちなみにこれも能力無しの生身での技。
そうして近づけば太極拳のようなゆっくりに見えて実際には三倍速したような矛盾したスピードで懐を取り、発勁で一人を吹っ飛ばし、その後ろにいた人間まで巻き添えをくらわす。
懐に入った宗次。
風紀も接近戦に応戦するが
■海藤 宗次 >
終わったころには気絶した風紀委員が半数。
戦意喪失半数。
「もしもし~こんな所で寝とりますと風邪ひきますよ~」
だがそろそろ頃合いか。
増援に別の部隊も駆け付けた。
部下達も大体は逃げ終わったしそろそろこの辺でお暇だ。
「ほな、また会いまひょ。いや、会いたくないねん。…俺らの仕事の邪魔しないでくれへんかなぁ…」
軽く地面を蹴る。
その頃にはもうすでに接近戦圏どころか射撃圏外まで距離を離してた。
逃げる先は落第街。
顔を見られたのでほとぼりが冷めるまで逃げ込むか
ご案内:「宗教施設群/とある葬儀場」から海藤 宗次さんが去りました。