2026/02/19 のログ
ご案内:「夜の学生通り路地」にカタストロアさんが現れました。
ご案内:「夜の学生通り路地」に風花 優希さんが現れました。
■カタストロア >
苛立っていた。
夜の学生通り。
路地に逃げ込んだリザードマン。
忌々しいことに、今まで勝ちが続いていた風紀委員どもから逃げて。
極低温が弱点となれば、冷凍弾を撃ってくる。
なんとも対応と判断が早いことだ。
「クッ………」
誰も餌食にできず敗走。
明日のニュースが楽しみなことだろう。
異能者たちの街を守ってきた者たちの練度を侮っていた。
だが、これではネズミだ。
■風花 優希 >
それはなんて事はない帰り道の筈だった。
日課である"夜の散歩"の帰路、学生街の路地の一画。
魔導書の少年は一人、そこで目にした。
「──────」
初めは無視しようと思ったのだ。
ただの通行人で、とりとめて興味を向ける必要もないと。
だが、鼻孔を擽る生々しい香り、視線の端にある人ならざる姿に瞳を細めた。
「……よもや、こんな街中にキミみたいなのがいるなんて」
月夜。路地に差し込む青白い光が、蒼き髪を美しく照らす。
紅の瞳が冷血の蜥蜴を射抜いていた。
■カタストロア >
「……何かな?」
声をかけてきた少年を睥睨する。
身長230cmの巨躯からすれば吹けば飛びそうな…
紅玉瞳。
いっそ匂い立つような整った顔立ち。
男子制服を着ていても声を出さなければ性別を見紛いそうだ。
そして蒼い髪……俺と相対するヤツの多くはどこかに蒼を持っている…
「この街では」
スーツの埃を払う。
予備のサングラスをポケットから取り出してマズルに乗せるように掛ける。
「何かから逃げているリザードマンは珍しいのか」
第三の目にはただの人間に映る。
だが……違和感は拭いきれない。
■風花 優希 >
「そりゃね、いっそ堂々としてれば"そういう人なのかな"って思うけど」
この島に於いて、異邦人は決して珍しくはない。
学生生活を送っていれば、一度や二度はその姿を見る事になる。
中でも人から外れた姿となれば自然と目に付く。
だが、"そう"であるなら逃避する理由はない。
自ら否と告げているのだから、つまるところは別のモノ。
見た目通りの怪異、或いはそうした類の異能。
どちらにせよ、不審な存在である事には変わりはない。
「キミはどっちかなのかな?
人なのか、そうでは無いのか……或いは……」
懐に抱えた魔導書を携えて、問答無用で行使するのは探知の魔術。
彼が何者であるのか、如何なコンディションであるのかを探る為の術。
初対面の相手に使うものではないのだが、"違ったら謝罪すればいい"だけなのだ。
「人の脅威なのか」
■カタストロア >
探知すれば知るだろう。
たった今、風紀の特殊弾頭を受けて左手が凍りついたばかりだと。
極端に冷たい左の手とは裏腹に。
心音は高く、拍動は激しく。
それでも生命力に一切の消耗なし。
五つのコアは正常に動いている。
「人の」
大きく牙を剥いて獰猛に破顔する。
「味を知っている側さ……」
拳を握る。
折れた長い爪が軋んだ音を立てる。
「脅威かどうかは自分で判断したらどうだ」
「難しいことは何も言ってはいない」
「別に目玉を食べたいとは主張しないのだから」
右拳を壁に当てる。
穏やかに、コツ……と。
そのまま少年に歩けば。
あまりに硬質な楯鱗が外壁を削り取った。
■風花 優希 >
「そうかい」
視線の先、冷血の存在はその鉤爪を軋ませる。
月夜に照らされた緑の鱗は、人間のモノとは明らかに違う。
「だったら、確かめさせてもらうとするよ」
返す言葉に感情はない。
ただ、目の前の存在を"脅威"だとそう見做して。
右腕を前に、視線を彼へと見定める。
「想い積む 潰れん思ひ 胸軋む」
そうして紡ぐは一つの呪文。
雪行路、ただ雪を揺らせるだけの呪文。
寒空の下に、白い花が舞い降りる。
■カタストロア >
眼の前にひとひらの、白。
雪……ッ!
魔術を使うタイプのッ!!
オレのことを知らないくせに弱点だけは知っているのか?
それとも見抜いた。
今、この場で。
血霞にしてやる!!
白を突っ切る。
音の壁を振り払いながら疾駆。
凶拳を撃ち抜いた。
狙いは心臓。
可愛らしい臓器で路地にアートを描きな!!
■風花 優希 >
端的に言えばその答えは二つ。
彼は元より"特化した魔導書"であるのが一つ。
そして、凍り付いていた左腕からの推測がもう一つ。
つまりは偶然と、その探知力によるもの。
「まぁ、そうなるよね…っ」
半歩、ステップするように後方へ。
同時に並列稼働させた呪文が行使される。
氷柱…文字通りに氷の柱を産み出す、それだけの魔術。
それを迫る拳を阻むように、"舞い降りる雪を触媒に"創り出す。
そして、同時に行使する呪文はもう一つ。
「北颪 逆巻き踊るは 雪揚羽」
舞い降りる白花が、蝶の群れを形作る。
細やかな氷像のそれは、目を眩ませるように蜥蜴へと殺到する。
■カタストロア >
「!!」
氷柱ッ!!
暗雲もなく雪を降らせたかと思えば次はこれほどの氷を即座に創出か!!
阻む氷を砕き、両手で粉々に粉砕する。
次は視界を蝶の群れか…
次から次に妙な手品かましやがって!!
手の甲で蝶を振り払う。
舞い散る雪片、それでも覆い尽くす白の蝶。
となりゃ、見えないと思うよな?
第三の目は熱源を見つける。
雪に氷柱、挙げ句に白い蝶ッ!
見えにくいが、デカい熱くらいは判別るんだよッ!!
手の中で折れた爪を指で弾く。
熱源へ鋭爪の指弾。
人くらいのサイズ、3人程度なら貫通できるぞッ!!
■風花 優希 >
言ってしまえば、彼のそれは防御と錯乱。
目晦ましのそれは、常人相手なら効果があった。
だが──目の前の蜥蜴には第三の瞳がある。
原始的な脊椎生物の特徴を残す、熱源を見通す眼。
人と変わらぬ体温を、それは確かに感知する。
「っ!碧盾──」
故に避けるつもりだったそれを、防がざるを得ない。
相応の魔力を込めてて、紡いだそれは並みの盾よりは硬い。
蜥蜴の爪は、それすらも砕いてしまうだろうが……
雹矢…並行で出力された氷矢の魔術。
砕かれた氷柱を媒介に、それを真正面から放ってやる。
「痛み分け…かっ…」
肌を貫く爪の弾丸。
淡い鮮血と鈍い痛み。
だが、彼はそれを意に介さないかのように地面を蹴る。
■カタストロア >
熱を持った液体が迸るのが見えた。
フェイクでなければ、ヒットか……
直後、来るのは黒だった。
温度が低すぎて黒としか感じられない、矢の形をした死。
「うおお!?」
両腕を防御の形、交差させる。
雹矢はガードの上から両腕を凍結させ、固着してしまう。
ダメだ、相性が悪すぎる!!
冷気をここまで操る魔術師だと……!!
赤い塊が迫ってくる、ヤツか…くそ、凍った瞼が開かん……!!
流れる体液を龍血に変えて闘うか!?
それでもこのレベルの低温を克服はできないッ!
一撃だ……一撃を耐えろ。
このパワーのオレにただ突っ込んでくるほど相手は無策ではない。
生命力で受け切り、相手の策ごと殴り壊すまで。
■風花 優希 >
彼にとっての幸いは、相性が良かったこと。
悉くが氷結の魔術ばかり魔導書故に、そのどれもが有効打となる。
だが同時に、決して油断は出来ない。
爪の弾丸ですら氷の盾を貫き、威力を殺しきれない。
もしも氷柱を容易く砕く一撃を貰えばどうなるか。
最低でも、今の肉体が半壊するのは覚悟するべきだろう。
「宵の闇」
なれば如何とするべきなのか。
その力を封じる何かしらが必要だと。
呪文を紡ぎ、同時に錯乱の為の魔術を並列に行使する。
雪蛍…周囲に浮かぶ氷欠片と雪を、そのまま冷気の玉とする。
こちらへ接近する道を阻む冷気の壁とするのだ。
「しんと広ごる 花吹雪』
そうして後方に下がりながら、詠唱を完遂させる。
中位の魔術…今の彼にとって行使は相応に魔力を使うがその価値はある。
しんしんと降りそそぐ雪が冷気を伴い、その場を凍らせていく。
霜が降る雪国の夜よりも、なお冷たい冷気が周囲の温度を急激に奪っていく。
■カタストロア >
視界が黒く染まった。
第三の目が完全に機能を停止する。
辛うじて動く右手で瞼を片方引きちぎる。
そこにあったのは、白だった。
銀世界。ホワイトアウト───
「血、血が凍る……ッ!!」
そう短く叫ぶと体から力が抜けた。
弛緩しきった巨躯。
再生の途中で止まった瞼、縦に裂けた瞳孔は驚きに見開かれたままだ。
雪の中で凍てついたリザードマン。
暴力で全てを砕いてきた手はひとひらの雪も払わない。
■風花 優希 >
「やった…か?」
腹部から滴る血を凍らせて止血する。
視線の先、凍て付いた蜥蜴はピクリとも動かない。
だが、それが確実に無力化できたかは定かでない。
探知の魔術……念には念を入れて。
長年の怪奇との戦闘により自然と最適化されたシステムがそれを行使する。
確かめた上で、月夜に照らされた少年は構えを取る。
「雪白梓……生憎だが、近付くつもりはないよ」
氷の梓弓と矢筒が現れ、矢を番う。
まだ動けるんだろう?とでも言いたげに。
■カタストロア >
「があぁ!!」
まだ氷雪系の弓矢を構える彼の言葉に。
叫びながら氷を強引に砕いて動き出す。
戦闘不能になったフリで誘い出そうとする。
そんな三下みてーな芝居を打つこともッ!!
見破って当然みてーなツラをされることもッ!!
我慢ならねぇ。
表面の鱗が割れて緑の濃血が流れる。
「低温低温といつまでもブチかましてきやがって」
その血が不自然なまでの紅に。
龍血と変わっていく。
「男前が台無しになっちまっただろうが…」
一拍、遅れて再生する瞼。
瞳が殺意に染まる。
瞬間、跳躍。
足元のコンクリートが砕け、雪が吹き散る。
続き、足場にされた右手上方の石壁が破砕する音と共に。
超スピードで空中から蹴りが迫る。
■風花 優希 >
普段なら思わず苦笑が漏れていただろう。
なにせ、此方はそういう魔導書、そうした存在なのだから。
だが、されたい放題されて癪に障らない者も居ないだろう。
だからこそ、少年はただ瞳を細めて思考を回すだけ。
「──寒空で 杭も通さぬ 濁り水」
紡ぐ呪文と共に、氷の矢を放たんと狙い続ける。
構えと物理的な射出が必要な雪白梓は、その威力は折り紙付き。
だが、その前に蜥蜴は動く。
眼にも止まらぬ速度と、圧倒的な膂力を以って。
故に彼が為すのは、それを阻むためのもの。
冷気の機雷でも、今の蜥蜴は止めきれない。
物理的な力でなければその足を止めれぬだろうと。
氷柱──二度目のそれを紡ぎ、身を護る壁として。。
紡がれた呪文は、その壁をより強固に、鈍く重く変えていく。
小豆の氷菓子のごとく、くすんだ色の壁となりて。
■カタストロア >
──もう飽き飽きだ。
手前ェの術に阻まれるのも。
余裕ヅラぁ拝んだまま攻めあぐねるのも。
「こっちはもう」
強固な氷柱に蹴りがヒビを入れ。
「うんざりしてんだよッ!!」
空中で強靭なる尾が振るわれ、重いそれを砕き散らす。
着地。
周辺の建造物を震わせるほどの咆哮。
拳を振るう。
肘を打ち据える。
尾を振り回す。
柱を砕いた後の氷片すら許さない。
そこにいるなら撹拌して屑肉に変える。
凶暴性の発露。
獣性を見せる暴君。
■風花 優希 >
「ぐっ……!」
彼にとっての誤算はただ一つ。
蜥蜴の単純な膂力と暴力が予測を超えていた事。
だが、たったそれだけが彼にとって何よりも苦しい。
目の前で罅割れる氷柱、砕け舞い散る氷が四散する。
だが、それに対応する余裕はない。
その全身を弾丸のような礫が穿つが"その後"が来る。
ただひたすら拳を奮い、尾を振り回す。
それだけの、ただの力が己を消し飛ばすからだ。
そう予測して──せめてもの"時間稼ぎ"に矢を放ち。
「失せし刻──』
紡ぎかけた呪文を中途で完了させ、"それ"へと備える。
きっと、その腕は、尾は少年の身を穿つのだろう。
暴竜のなが相応しい力の発露を受けるしかない。
「─────」
まさしく屑肉へと粉砕せんとするそれに晒される。
これまでがまるで嘘のように呆気なく。
そう、それはあまりにも、呆気なさすぎた。
■カタストロア >
氷の矢が着弾し、それでも強引に暴れたために
肩口から胸の辺りまで亀裂が入り真紅の血が流れている。
その血が地面で。
たった今、崩れた存在の鮮血と混じり合う。
「く、そ……!!」
最後の最後まで抵抗された。
左肩から血が止まらない。
亀裂が入った際に肉が裂け、コアが一個潰れた感触がある上に
幾度も受けた凍結魔術による低温での生命力減衰もある。
「全然……スッキリも晴れ晴れもしねぇんだよ…」
戦いは終わった。残骸に背を向ける。
■風花 優希 >
砕け散る、その肉はまるで氷屑の如く。
いやに軽い手ごたえと共に砕けて舞う。
事が終わった事を示すように、ばさりと遠くに魔導書が落ちて。
「つもり埋めゆく しんしんと」
蜥蜴がその背を完全に剥けたその刹那に事は起る。
紡ぎきれなかった呪文が、静かにそこから発せられて完了する。
粉砕された筈の肉体が、そこに散った氷片によって再構成されて行く。
それは砕けた筈の弓と矢ごとに、携えた姿で魔導書の近くに現われ。
「なら、清々しくもう一つ、貰っていく」
二射目、それは不意を穿つように放たれる。