設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
その他常世島内の特殊な場所や、シチュエーションなどにご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:10:05:27 更新
ご案内:「Free2 とある日の、とある浜辺」から杉本久遠さんが去りました。
■杉本久遠 >
【エアースイム世界大会 三種目混合 第十六位】
そんな、一時話題に上がって消えるような記録が、杉本久遠の集大成だった。
生涯、久遠はこの記録を更新する事はない。
翌大会にすら、名前が上らないかもしれない、そんな記録が全てだった。
しかし、一つだけ、久遠は確かに世界に名前を刻んだ。
【エアースイム 世界最高速度更新 時速91km】
このささやかな記録は、技術の進歩と共にすぐに塗り替えられるだろう。
けれど、これより三年の間。
杉本久遠は、世界最速のスイマーとして、競技史に名前を残す事となるのだった。
■杉本久遠 >
『満足出来た?』
投げかけられたのはその一言だけ。
それ以上の問いは必要なかった。
「――ああ、思ったよりも清々しい気分だ」
己の全てを賭けて、なりふり構わず世界に挑んだ男は。
空を見上げながら、眩しそうに、しかし心底寂しそうに笑った。
――これは挫折のための物語だ。
■杉本久遠 >
同じだけの時間、同じだけの努力をしたのなら、彼の妹の方が遥かに先を行っただろう。
それこそ彼の憧れた選手たちからも、一目置かれるようなトップレベルの選手にもなれただろう。
しかしそれでも、彼の妹はその道を選ばなかった。
彼の妹は貪欲に頂点を望んだ。
けれど、自分の才覚ではそれは叶わないと知って早々に諦めた。
届かないと知っていて努力出来るほど、彼の妹は我武者羅にはなれなかったのだ。
そんな妹の才能にも及ばない彼に出来たのは、愚直なまでの努力だけだった。
それだけが才能の有無に関わらず許された、自己を高める術だったのだ。
しかし、努力で埋められる溝は限られている。
彼はその溝を埋めきったのだ。
限界まで、努力をしつくして、やり切ったと言っていいだろう。
その上で辿り着いたのが、この場所だった。
■杉本久遠 >
いずれも、彼が歩み続けた成果であり。
いずれもが、彼の歩める限界であった。
憧れには追いつけず。
頂点から見れば『宿敵』のオマケでしかなく。
親しい先輩の強敵にもなれない。
彼は才能という点では、恵まれているとは言えなかった。
確かに体は大きく育ち、筋力もあり、努力も惜しまないと、光るものはあった。
しかし、それだけだった。
■杉本久遠 >
この男は、どこまでも愚直な人間だ。
この男は、諦める事を知らない人間だ。
この男は、全てを尽くして挑む事を恐れない人間だ。
そんな彼を、知人たちはさまざまに評価する。
『まさか一撃返されるなんて思わなかった!
ここまで追いついてくるなんて、あの時は思いもしなかったよ』
昔を懐かしみながら、その成長を喜び。
『さすがは迦具楽くんの肝いり、と言った所だね。
ひやりとさせられる瞬間は確かにあったよ』
圧倒的な高みから、しかし冷静に評価をし。
『すごいなあ杉本君。
まさかあんなに早くなってるなんて!』
親しみを込めつつ、その成果を称賛する。
■杉本久遠 >
――これは挫折のための物語だ。
綺麗に青く澄んだ空、耳に心地よい穏やかな波の音。
日差しで眩しく輝く海面を前に、細やかな粒の砂浜に座っていると、心もゆったりと凪いで行くようだ。
「――いい空、いい海、好い風だ」
冷たいくらいの風は、今は心地よいくらいのものだった。
この男は、静かな風に吹かれるのが好きだ。
特に、全力を尽くした後の、熱を冷ますような風が好きだった。
ご案内:「Free2 とある日の、とある浜辺」に杉本久遠さんが現れました。
ご案内:「常世寄席」から八名亭 島雨さんが去りました。
■八名亭 島雨 >
「しかし、子は親に似る。
意地汚い父親から生まれた意地汚い坊は。
蜜団子の蜜をぜーんぶ舐めた後に。
おい団子屋ー、と笑いながら話して蜜の壺に団子を突っ込んだとさ」
一礼。
「この親とこの息子じゃあ女房も大変でしょうさぁ。
この噺、常世島の話に落とし込んだらどうなっちまうんでしょうね?
最近は物騒物騒やれ物騒。
女と異能には振り回されるなとは言いますが、
そうもいかねぇこの浮世、毎度、えー……馬鹿馬鹿しいおはこびで」
「ありがとうございました」
頭を下げて退場。
■八名亭 島雨 >
「坊はお次、団子屋の前でグズる。
団子を買ってくれ! 餡団子は嫌だ! 蜜団子がいい!」
カァッと呆れた様子で何もない場所で財布を探る動き。
「しょうがねぇ、蜜団子を一つ。
だが意地汚い父親は蜜を舐めてから坊に渡した!」
肩を竦めて白目を剥く。
「お父、蜜のない蜜団子なんて嫌だ!!」
はぁ、と肩を落として。
「おい団子屋、手前ぇケチな商売してんじゃねぇぞ。
ここは天神様の顔に免じてだな……あっ、天女が空ぁ渡ってる!!
団子屋を騙して父親は見事、蜜の壺に団子を浸して坊に渡した」
■八名亭 島雨 >
「お父は噛んだら飴が早くなくなるから言ってるんだと坊は早解き! お見通し!
賢しらに振る舞ってもまぁ子供、飴に上機嫌で上向いて歩く。
父親はおい! ふらふら歩くんじゃねぇと坊の頭をはたいたわけだ」
扇子を軽く振る。
「すると坊が火のついたように泣き出した!
お父、僕…飴を落とした!
なんだと、どこの水たまりに落としたんでい?
さっと水で洗えばまた食えると父親、焦って土さらい。
坊が一言、僕の腹ん中に落とした」
■八名亭 島雨 >
「坊はしれっとこの言葉だ。
お父は河童なんぞ信じてバカみたいだ」
「父親は顔を真っ赤にして、じゃあ伊勢屋の質に入れちまうぞ!と脅す。
坊は涼しい顔でとうとう質草がなくなって子供まで入れる気かい?
せいぜい利上げだけはしないでくれよと親を馬鹿にする始末」
「天神様が近づけば、静かにしてたから何か買ってくれと坊が騒ぐ。
りんごの屋台? りんごは毒だからやめときな。だって一個35円だぜ?」
ああ、そりゃあ毒だよ毒。
神妙な顔で扇子を握り、膝を打つ。
その後に客に向かって
『現代では280円ですぜ』とゲスな顔で囁く。
「飴屋に来れば飴玉だらけ、父親は育ちが悪く一個飴に触っちゃあ指を舐め、
飴屋に叱られる始末。
ようやく選んだ飴を坊にくれるとこれまたエッラそうに、
坊…飴に歯を立てるな、虫歯になるからな…飴は舐めるもんだと講釈を垂れる」
■八名亭 島雨 >
「初天神、1月25日に天神様がお見えになられるってんでこのお題。
終い天神は12月25日、粋だねぇ。
これが参拝だとそうはいかない。
初詣はともかく、クリスマスに気取って最終詣なんて言ってりゃ格好悪くて仕方ねぇや」
「羽織を着て天神様を参ろうとすりゃ嫁の奴が子供を連れていけとうるさくて仕方ない。
そんなもん坊があれ買えこれ買えとせがむに決まってるじゃあないか。
親の前に夫、夫だが親。
二人に言われりゃ立つ瀬がない。
ああ、わかったわかった。連れていくけどなぁ…
おい坊! 出店でおねだりなんぞしてみろ、川に放り込んで河童に食わせるぞ」
■八名亭 島雨 >
「師匠は呆れてこの言葉。
やい島雨、怪談噺だけ磨いて芽が出ずそのまんま幽霊になった奴は大勢いる。
お前が食い物の噺を続けても食い詰めるだけだってね」
呵々と笑って額を扇子で打つ。
「食わせ者になりたいモンですが、人様の食い物になるのは御免ですなぁ」
「では師匠は何を磨いてきたんですかと聞けば人情噺と答えちまう。
師匠は人情が服を着たような噺家にゃなっていませんねぇ」
「楽屋落ちを続けていても、白けるばかり。
本日の噺は初天神でございます」