2015/06/18 のログ
ご案内:「教室」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > (珍しいことにその日蓋盛は教壇に立っていた。
 普段保健室でダラダラと常駐業務をしていたり
 していなかったりすることでおなじみの彼女であるが、
 保健指導の際にはこうして教師っぽいこともする……)

蓋盛 椎月 > (教室に集まる多くの生徒の前でダルそうにしゃべる。
 さっさと済ませて帰りたいのだろう……
 内容は健康診断の大事さについて。)

「――えー、みなさんも知っての通り、
 ここには様々な地から生徒や教師が集まってきます!
 日本! 日本じゃない所! 地球! 異世界! 宇宙!
 宇宙人っていたっけ? まあいいや。
 ともあれそれだけ多様なら、体質、病気、免疫もさまざま……
 もちろん皆さん知っての通り、まずいモノが持ち込まれてはいないか
 入学の際に検診は行われてはいますが……
 それでも万が一! ということもあります。
 今月の健康診断! 死にたくなかったらみなさんちゃんと出てくださいねー!」

(健康診断の日程が配られたプリントが配られる。
 学年やクラスごとに違ったり違わなかったりするようだ)

蓋盛 椎月 > (配り終わったのを確認すると、蓋盛の表情がにわかに真剣なものと変わる)

「はい! それからもう一つ!
 風紀委員会のほうから報告がありました!
 最近みなさん性風紀の乱れが激しいそうですね!
 いたいけな男子生徒を言葉巧みに籠絡してホテルまで連れ去ったという報告もあります!」

(一拍置く)

「いいと思います!」

(よくない)

蓋盛 椎月 > 「どーせ若いうちにしか無茶はできないんだから
 色々やっちゃってください!
 君たちの青春を誰が止められようか!
 しかし! 一つ言っておく!
 ゴムはつけろ!」

(ドン! と教卓に段ボール箱を置く。
 その中には大量のコンドームが詰まっていた)

蓋盛 椎月 > 「さっきも言ったとおりこの学園にはいろんな人がいます!
 粘膜感染する未知の性病のキャリアがいるかもしれません!
 異種族相手に『染色体が違うから大丈夫っしょ~』と生出しするのもダメ!
 愛の奇跡でなんかどうにかなっちゃうかもしれないから!
 このゴムはサービスだ……持っていけ!」

(といってダンボールの中身を配り始める。
 なんとも言えない表情で受け取る生徒たち……)

蓋盛 椎月 > 「えーと……あとは……
 熱中症が心配な季節になりました。
 ちゃんと塩分と水分確保してください!
 それから……
 飽きた!
 以上!
 解散!
 散れ!」

(パンパンと手を叩く。まだ終了のチャイムは鳴っていない)

「キーンコーンカーンコーン」

(口で言い始めた)

蓋盛 椎月 > (ゴムをしまってなんとも言えない顔で散っていく生徒たち。
 そんなこんなしているうちに本物の終業のチャイムが鳴った……)

「あ~疲れたダッル」

(言葉通りにダルそうな表情で煙草に火を付けた。
 まだ教室に生徒は残っているというのに……)

蓋盛 椎月 > (そりゃさ~給料貰えるなら保健指導だってなんだってやるけどさ~
 もうちょっとこういうのは向いてる養護教諭がいるのでは? と思う。
 いや、別に保健指導に限った話ではないが……)

(確かそれなりにいたはずだ。
 自分以外の保健担当を脳裏に思い浮かべる)

(一人はサボリをエクストリームスポーツか何かと勘違いしているような
 サボリ求道者だし……)

(もう一人の真面目そうなのはなんとなく
 今頃嫁さんを助けていそうな気がした)

(……煙を蒸す)

蓋盛 椎月 > (……こんな指導の実体が知れたら
 給料また下がるような気もしなくはないが……
 その時は限られたルールの中で勝利条件を満たしただけとでも主張しよう。
 勝利条件って何?)

(ふと教室を見渡すとゴムに水を入れて遊んでいる生徒がいた。
 いるんだよな~そういうバカ一人は)

蓋盛 椎月 > (だんだんと生徒の数はまばらとなっていく。
 もう少しダラダラしたら自分も保健室に戻るとしよう)

(しかしこんな雑な仕事をしていても給料ちょっと下がるぐらいで住む辺り
 教師というのはやっぱり楽な仕事なんだな~と実感する。
 それとも常世学園が特別なのだろうか?
 教員と名の付く仕事は常世学園がはじめてなので判別はつかない)

蓋盛 椎月 > (実際自分がここに赴いた際も
 簡単な適性検査が行われたぐらいで
 過去については深く洗われることはなかった。
 好都合な話だ。
 人材が足りないのだろう。あるいは様々なタイプの人材を
 広く招き入れたいのかもしれない。
 真意はともかく非常にザルである。
 一応人類の未来がかかった都市なのに大丈夫なんだろうか。
 危険人物入り放題じゃない?
 例えば元テロリストとか。)

蓋盛 椎月 > (ボーっとしてたら煙草が燃え尽きそうになってた。
 携帯灰皿に突っ込んで、教室をふらりと後にする。)

ご案内:「教室」から蓋盛 椎月さんが去りました。
ご案内:「教室」に来島宗仁さんが現れました。
来島宗仁 > さて、何やらいろいろと騒動に巻き込まれているが。
来島宗仁の本職は教師である。
教師ではあるのだが、この男には一つ欠点があった。
座学が大嫌いなのだ。

「……あー、まぁ、こういう事だ。薬草の効能、それによる魔術への影響はこんくらいにしとくか。
興味のある奴は自分で調べな」

彼の基本はフィールドワークなのだ。

来島宗仁 > 「さて、期末考査についてだが――」

が、フィールドワーク好きとは言っても、いつもフィールドワークだけでは授業にならない。
というわけで、こうして教鞭を取る事もある。
もっとも、座学をするのは最低限。詳しい効能は自分で調べろという、大変投げっぱなしな講義なのだが。

来島宗仁 > とはいえ、この男の授業評価はテストではない。
当然だ。問題作るのも面倒だし、薬草の効能なんて知識で知っているだけでは意味がない。
実際に薬草を探し、自らの手で調合してこそ意味がある。

来島はにやりと笑うと、黒板に大きな紙を貼る。
そこには3種の薬と20種類の薬草の絵が描かれていた。

来島宗仁 > 「見ての通り、この3種類の薬はお前らに授業で教えたものだ。
ちゃんとメモは取ってるな?」

うんうんと頷きながら生徒たちを見回す。
数は少ない。まぁ、薬草学の講義なんて聞きに来る人間は、そりゃ少ないに決まってる。

「お前らへの期末の課題は、この3種類の薬の中から1種類を選んで、自分で調合する事だ」

来島宗仁 > 「言っとくが、この薬草類はここらへんじゃ売ってねーぞ。
俺が期末期間中、扱い取りやめてくれって言っといたからな。
自分で探して採取してくる事」

そう、自分で採取して自分で調合して自分で提出する。
それが期末の課題だ。
あからさまに嫌そうな顔をする連中に向かい、言い放つ。

「落第街とかでこっそり買おうなんて思うなよ。
今は薬の売買、厳しいんだからな」

念を押しておく。まぁ風紀委員会にはあらかじめ相談してあるし、大丈夫だろう。

来島宗仁 > キーンコーンカーンコーン

授業終了のベルが鳴る。

「うし、今日はここまで!」

解散を命じ、授業終了。
さて、何人提出できる事やら。

来島宗仁 > 生徒が出て行ったのを見ると、窓際に座り。
タバコに火をつける。

左手の薬指にちらりと目が行く。
光るシルバーのリング。
人知れず、顔がにやける。

「――へへ」

ご案内:「教室」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > 「…鼻の下のびてんぞ、兄貴」

教室の入り口
引き戸に背をもたれ、腕を組んでそちらを眺める少女がいる

来島宗仁 > 「え――ってなんだ、氷架かよ」

あわててタバコを携帯灰皿に捨てる。
一応、校内は禁煙という事になっているから。

「なんだ、もう調子は大丈夫なのか?」

雪城 氷架 > 「こっちのセリフだろ、バカ兄貴」
呆れたような物言いでつかつかと歩いていくる

「ガッコに復帰したなら連絡しろよな!
 ……し、心配しただろ……」
ふいんっ、と目線を外す

子供の頃から顔を知っている兄貴分だ
心配しないわけがない

来島宗仁 > 「おう、わりぃわりぃ」

患者の往診とかでそれどころじゃなくてなぁ、とのんびり言う。
まったく、こいつは変わらない。
昔の、優しい氷架のままだ。

左手で頭をくしゃくしゃと撫でながら

「もう平気だ、心配すんな」

雪城 氷架 > 「……ん」
頭を乱雑に撫でられれば少し顔を赤くして目を伏せる
本当になんともないなら、それは嬉しい限りだった

「平気なのはわかったけどさ…
 括流とか、お母さんも心配してたんだぞ。
 ちゃんと、そっちにも連絡しろよな」

来島宗仁 > 「おう、わかってる。
――話さなきゃならん事も、あるからな」

さいことの事、報告しなきゃいけないし。
氷架をどうするかも、宙に浮いたままだ。
話す事は、いくらでもある。

ご案内:「教室」に来島宗仁さんが現れました。
ご案内:「教室」に来島宗仁さんが現れました。
ご案内:「教室」に来島宗仁さんが現れました。
ご案内:「教室」に来島宗仁さんが現れました。
雪城 氷架 > 「…んじゃ、それだけだよ。
 ほんとに無事で良かった、兄貴」
大事な家族の帰還を嬉しむように、ぽすんとその胸元に顔埋めて、抱きつく

タバコくさい……

けどそれが懐かしくて安心する

来島宗仁 > 「――ん、心配かけたな」

すまんとばかりに、ぽんぽんと背中をなでる。
やれやれ、こいつはこういう所、まだまだガキだな。

「お前も彼氏の一人くらい、はやくつくれよ」

前にいた、あの軽音部はどうだ?
などと軽口をたたき

雪城 氷架 > 「…いいよ、許す。お互い様、だしな…」
そうだ
自分も炎の巨人事件で来島には多くな心配をかけたはずだ
でもそれを責められることもしない
……口喧嘩は絶えないけれど、変えがけのない兄貴なのだ

とん、と離れて

「…じ、自分にカノジョが出来たからって上から見るなよな!」
否応なしに輝くリングが目に入る

「アイツはそんなんじゃないからな!次の授業はじまるからもう行くぞ!!じゃあな!!」

顔を赤くして、走り去るように教室を出て行くのだった

ご案内:「教室」から雪城 氷架さんが去りました。
来島宗仁 > 「――まんざらでもない、か?」

走り去る氷架を見ながらつぶやく。
やれやれ、向こうはまだ時間がかかりそうだ。

だが、妹分の、家族が変わらない姿を見て。
来島宗仁は会心の笑みを浮かべた。

ご案内:「教室」から来島宗仁さんが去りました。
ご案内:「教室」にクラスカさんが現れました。
クラスカ > うーん。くまったくまった。

(乾いた夏風が流れてくる窓際で軽く黄昏て、ふと顔を動かして宙を見上げる)
(視界に映るのは飽きるほど何度も目にし続けた白い天井)
(現実と戦わなきゃ、と頬を叩き気合を注入しても、すぐに決意はしなびて、表情が緩む)

クラスカ > (クラスカから一番近い学習机)
(「この落書きを見て振り向いた時お前らは」と彫刻刀で彫られた心ない悪戯はさておき)
(机の上面にはまだ新しい白色の便箋が数通置かれている)

(そして便箋には、何の用途であるか一発で示す『退職届』の書き文字があった)

クラスカ > (「もう限界だ、俺だって命は惜しい」)
(「危険な仕事は川添や桜井みたいな命知らずに任せておけばいい」)
(「風紀委員の子が落第街だかスラムのケダモノに襲われたんでしょ、付き合ってられないわ」)

(かつて生活委員として働いていた者たちは、口々に好き勝手な事情を言っては、退職届を押し付けて去った)
(多分こいつに渡すのが一番棘がないだろう、的な打算については、黙認する)
(万が一川添などに渡しては、骨の一本や二本折られることを覚悟する必要がある)

一本や二本で済むかな?高い退職金だ。ハハッ。
(肩を竦める。笑えない冗談だ。しかしもう、笑うしかない)
(人間奇妙に作られていて、本当の窮地に陥った時に顔を彩る表情は、決まって何故だか笑顔だった)

ご案内:「教室」に山吹 冠木さんが現れました。
クラスカ > (生活委員会の仕事は至ってシンプルだ)
(ただ「生活の安全を守る」ことに集約される)
(単純ゆえに難しい。街のインフラの整備も、施設の巡回も、異邦人との折衝も)
(通常の学生生活で委員会を務めるより、遥かに大きな危険が伴う)
(そもそも普通の高等学校や大学には、異邦人など存在しないのだが)

(窓際で謎の生徒を演出するのにも飽きたので、椅子に座り、べちゃり、頬を机にへばりつけた)
(顔を横に、視線は教室の外の廊下)

山吹 冠木 > 「こんにちはー……と」
教室の扉に手をかけ、ゆっくりと開けようとする。

この学園に来て、生活委員に所属してから少し。
その仕事内容については軽く把握しこそすれ……
しかし、細かな内容までについてはあまり知らぬまま、
今日まで黙々と作業をこなしてきた。

が。

流石に、この学園は広すぎる。

それに、やることが多岐にわたりすぎる。

どう考えても、自分の今までの常識だけでは分からないことが多すぎる。

そんなわけで、誰か先達に話を聞けないかと、生活委員の先輩を捜しているわけだが……

クラスカ > あ、お疲れ様っす山吹先輩。
(気だるげに頭を机に伸ばしたまま山吹に挨拶する)

(教室を同じにすることの多い一年生の顔と名前は概ね頭に入っている)
(山吹冠木は同じ生活委員会であり、数少ない名前と顔の一致する先輩の一人だった)

(「山吹先輩が生活委員会に所属したのは、僕より後だったかな」)
(そんなことを想いながら)

山吹 冠木 > 「っと、お疲れ様ー」
かけられた言葉に反射的に軽く頭を下げ……
キョロキョロと教室内を見渡してから、何やらぐったりとした様子の声の主に視線を向ける。
下級生の教室に入るのは多少気が引けるが……今回は目的もあるわけだし、そうも言ってられないだろう。

「……どうかしたか?」
周囲の視線を僅かに感じつつ
――制服でなく、作務衣の段階でもうアウトだろうが――
窓際の席に近づいていく。
赤いカーディガンを羽織ったその影は、何処か疲れている様にも見えた

クラスカ > (基本的にクラスカは先輩は敬い、立てる)
(普段ならば絶対に螺子が外れた姿は見せようともしないし、品行方正で真面目な後輩を演じることが今後の学園生活を必ず優位にすると信じている)
(そんな男がこれでもかとぐだっている理由は、机に重ねられた退職届たちのせいだ)

先輩、制服じゃないからか大分目立ってますね。
(山吹に対する教室内の好奇の視線を、目で牽制し)
(流石に近くまで来られれば、大分判断能力も正常な働きを取り戻す)
(ゆるきゃらかと見間違うほどに砕けていた顔の輪郭、体型、全てが戻ると)

珍しいですね先輩。二年生は、あまりこっちに用事がないと思ったんですけど。

山吹 冠木 > 生活委員に所属する際、ある程度挨拶を交わしているが……
しかし、所属した当初は他に覚えることも多く、名前と顔を覚えこそすれ、
そこまで親しく会話をする機会にも恵まれてはいなかった。

(やっぱ他のメンバーの手伝いくらい、しておくべきだったよなー……)

ぐったりとした様子のクラスカに首を傾げつつ、心中でひとりごちる。
こういう時、会話のとっかかりを掴みづらいのは、少々辛いものがある。

「ん……まあ、これが動きやすくてな。
講義の時は流石に制服を着るが、普段の仕事はこっちがやりやすい。
……余り、見ない格好みたいだけどな」

軽く頬をかきながら、困った様な笑みを浮かべる。
多少の奇異な視線を向けられるのは慣れているが……
そこに先輩後輩、学年の違いがあるということも加わると、なんだかむずがゆい。

「ま、ちょっと思うところがあって……ん?」
そこで、机の上に並べられた退職届に気がついた。
「……結構、居なくなったんだな……また大変になりそうだ」
連ねられた名前に、ぼんやりと呟く。
殆ど話すことも無かった名前の主は、どんな人物だったのだろうか、
そんなことをなんとはなく思いながら

クラスカ > (生活委員会は、その業務量故に単独行動が多い)
(業務内容のマニュアルを渡されたら、はい仕事に行け、ですぐに実戦に駆り出される)
(今どき珍しい体当たり育成の反面教師のおかげで仕事内容は把握できたし、あまり悪くもないなと思っている)

(ただしそれは、委員会内での円滑なコミュニケーションの不足を招く結果となった)
(生活委員会に新しく名を連ねた人間の名前と顔を合わせられないことはざらだったし)
(事実、山吹冠木が委員会に入ったことを、クラスカは一週間も知らずにいた)
(誰も何も言ってくれない。皆多忙で、委員会棟がほぼ留守の日も、多々あるからだ)

あまり気にしないで下さい、先輩。
学園の造りに日本的な思想は入ってるみたいですけど、やっぱり先輩みたいな純和風の装いは興味の対象になるんですよ。
みんな馴染めるように制服とか、フォーマルな格好してますからね。
(そう言って笑う。未知の空間に入ってきた先輩の頑なそうな態度を、少しでも解きほぐそうと)

三人、ですね。ただでさえ少ないのに。
(退職届を一枚、また一枚手に持ち、名前を山吹に見せるように表面を示す)
(どれも仲がいい、という訳ではなかったが、顔を合わせれば挨拶して)
(委員会に入った直後に、自販機で奢ってもらったこともある名前もあった)

(そして、ある考えに思い至る)
(もしや山吹も、脱退者たちの仲間入りをしにきたのではないか)
あの、山吹先輩は、生活委員会を続けることは大丈夫なんですか?
(つい、そんな直接的な投げかけをしてしまう)

山吹 冠木 > 「俺にとっての一張羅はこれだからなあ……
普通の制服と比べると少し浮くよなー……まあ、ありがとうな」

田舎暮らしが長かった所為か、受け入れられればある程度は
【そういうもの】で済まされる空気に慣れてしまっている。
……今更ではあるが、多少は改めなければならないだろうか。
クラスカの気遣いに感謝しつつも、広げられた退職届に目を通していく。

……やはり、面識はあまり無い。
同じ委員会のメンバーが居なくなった、と僅かな寂しさを加えて捉えることしか出来なかったが……
自分より長い間この委員を務めているであろう少年は、また違う気持ちがあるのだろうか。

「ん? 大丈夫というか……別に、問題はあると思ってないが。
寧ろ、仕事の内容が把握しきれてないから、いい加減聞いておかないと拙いかな、って思ってな」
学年的には先輩だろうが、生活委員としては自分が後輩だ。
ここは、正直に聞いておくべきだろう。

そして……基本的には、治安の良い場所を中心として活動していた山吹は、
その質問の意図するところを完全には理解できないでいた

クラスカ > いやー似合ってますよその……浴衣?
(残念なことに、「作務衣」というやや日本語の中でも上級の部類のキーワードは脳内の辞書にはページがない)
(和風の装いから山吹の格好を的確に表現するには、浴衣と説明することが精一杯)

民族的というか、エキゾチックというか。
洋風な生活に慣れた人からすると、先輩の服が珍しいんですよきっと。
僕にはあまり似合いそうにないですね、こんな髪と目だから。
(あはは、と軽い笑みを見せ)

そうですか。
(表情に影を落とし、沈黙する)
(学園の「面倒」が起こりそうな区画での仕事回される人間は、生活委員会の中でもごく限られている)
(有事の際の戦闘能力に長けるものか、違う意味で脅威を脅威と思わないもの)
(クラスカは生活委員会の殆どから、後者として認識されていた)
(思慮の浅い、勝手に踊り続けて崩れる愚者、『ピエロ』であると)
(そんな経過もあって、特に委員の経験の短い者に、厄介事のお鉢が回ることは少なかった)

(暗い影はすぐに払拭される。また笑顔になれば、気持ちを切り替えて)
分かりました。不詳このクラスカに日頃の疑問を何でも質問して下さい!
「できるだけ」僕の知識を総動員して満足いく回答をするよう努めますから!

山吹 冠木 > 「あー……さむえ、だな。あまり聞く言葉じゃないしなあ」
浴衣によく似ているが、僅かながら異なる……というか、自分もそうとしか認識していない。名前も、昔から聞いていたから知っており、
そして辛うじて区別ができるのも殆ど似た様なものだ。
だから、そう認識されても仕方がないだろう。

「洋服主体というか、洋風が主流になるしなー……
いや、案外そうでも無いと思うけどな。
服の着こなしなんて、要は場にどう合わせるかだろ」
現状、場にあった着こなしが出来ずに悪目立ちしている人間が口にしていい言葉ではなかった。そして自覚がまだまだ足りていない証拠でもあった。

「……? ああ、悪いな」
僅かに顔にさした陰に小さな疑念を抱きつつ、
その言葉に、ありがたく頼らせてもらうことにする。
そして……持っていた手荷物の中から地図を取り出すと、
それを見やすいように広げて見せた。
「……最初の質問になるんだが、生活委員会の活動できる範囲ってどれくらいになるんだ?
学内でも入って良い場所、そうでない場所は幾つか見たが……」
研究施設群等を筆頭に、機密情報が集まる場所などは情報漏えいを防ぐ為に入れない場合が多い。
そういった施設等にはあまり近づいたことはなく……そして
「……この辺は、どういう扱いになるんだ?」
静かに、地図の一点……島の端、落第街と呼ばれる区画を指さした。

クラスカ > ええ、だから場に合わせるってことを考えたらですよ。
(自分の佇まいが不似合いなものであると言いたげな山吹へ、ぴたりと指を立てる)

文化と人種、世界の境界をコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここは常世の島。
良いも悪いも馴染むも馴染まないもありません。
例えどんな服装であっても、島の一部として、確かに存在しています。
だから、そんなに自分のファッションを貶める必要は、ないと思うんですけどね。
(唇を尖らせて肩をすくめた。先輩へのフォローになっているといいが)

(最近は島内の位置関係を頭に入れて、地図を開くことも減った)
(何故だかこうやって位置関係を再確認していると、駆け出しに戻ったようで、こそばゆかった)
まず、学園校舎の中は全て活動枠内です。
島内に広げて広義で言えば、「生徒が入っていい区画」が生活委員会の仕事場ですね。
大時計塔とかは、生徒はもう誰も立ち入り禁止の規則を守ってませんが、一応ああいうところはスルー対象ですね。
(尻ポケットから取り出したシャープペンで、大時計塔に薄い×をつける)
青垣山とか常世神社は、学園からやや離れてるので、あまり巡回の頻度は高くないですね。

(視線は島の右端へ。治安で言えば、島の中でも最悪に位置する吹き溜まり)
うーん。
(表情が渋くなる)

クラスカ > (説明をして構わないのだろうか)
(見る限り、山吹は常世島の暗黒面についての知識に疎そうだった)
(生活委員会である以上、いずれ知って直面する事実ならば)
(正直な回答をして、理解を深めてもらう他ない)

(眉に皺が寄るも、長い前髪は、そんなクラスカの変化を覆い隠す)
そこはですね、いわゆる『貧民街』です。
歓楽街から続いてるので表面上は歓楽街の裏通り、みたいな扱いされてますけど、事実上のスラムですね。
犯罪と悪の温床です。健全な生徒なら絶対に近づくべきではない闇の国。
ですが!

(声をつい荒げると、何事かと生徒たちの目が集中する)
(そんな様子も気に留めないクラスカの、落第街を示すシャープペンの先が地図を叩き、小気味よい音を立てる。)
ここの巡回も生活委員の仕事の範疇です。家がなくて困っている異邦人が、飢えと寒さを凌いでいるかもしれませんからね。

山吹 冠木 > 「……コソコソしたり落ち着かないでいると、かえって目立ったり、不思議がられる、か」
自分の格好を改めて見直し、そして周囲を見て頷く。
……自分より年下であろう少年からのしっかりした意見に、
自分ももっとシャンとしないとな、と感じる。
今は頼る場面とはいえ、後輩に頼ってばかりもいられないだろう。

「ふむふむ……時計塔偶に人がいたが、そういう状態だったのな。
憩いの場というか、そういう場所になってたのかー……」
地図につけられた印と説明を頭に叩き込みつつ、確認していく。

神社や山には個人的な事情で訪れることが多いが……確かに、人とは余り出会わない。
行くことになっても、迷い人を捜すくらいなのだろうか。

「……なるほどなあ」
落第街について言われた説明に、小さく頷く。
説明を僅かに渋った様子、そしてその後の声の調子から……
多分、説明を躊躇するほど何かがこの場所にはあったか、あるいはあるのだろう。
強力な異能や魔法などが当たり前に存在するこの島のこと、その危険度がどうなるかは推して知るべし、だ。
だが……
「まあ、それも仕事か。行く時は気をつけないとな」
そう応えた。