2016/01/30 のログ
ご案内:「廊下」に黒兎さんが現れました。
黒兎 > 私、黒兎はゆっくりと廊下を歩く。
何の事は無い、ただの暇つぶしだ。
―――否、暇つぶしですらない、
暇を潰せる手段を探して歩いているのだ。

具体的に言えば、面白そうな人間、
あるいは面白そうな場所を探して歩き回っている。

普通の人間ならば、
このような無駄極まりない時間の使い方は出来なかろうが
そこは吸血鬼、時間はいくらでもある。
だから、何か面白い事を探す為に歩きまわる、
それくらいは、別段珍しい事ではないのだ。

黒兎 > 窓の陰から、日の落ちる様子の無い外に目を細める。
陽の光の下を揚揚と歩けるような能力は持ち合わせていない。

せめて学生通りに行ければ、
もう少し色々なモノがあるかもしれないと言うのに。
買い食いをするような店もあれば、買い食いをする学生もいるだろう。
暇を持余して歩き回る学生もいるだろう。迷子、なんていうのも居るかもしれない。

―――然しながら、廊下、
という場所を目的を持って歩いている生徒はこと珍しい。

何処かへ移動しようと思っているか、
そうでなければ、教室ではなく廊下で雑談に興じている者であろう。

私は廊下を歩いては適当な教室を覗き込み、
廊下を歩いては、適当な生徒を観察し、
廊下を歩いては、この人何処に行くんだろうとつけ回し、
廊下を歩いては、暇そうな生徒を見つけて話しかけようとして、
いや然し、忙しかったら申し訳ないし、と踵を返したりしているのである。

容姿によっては不審者としか思えない行動であるが、
私、黒兎は美少女女子高生である、その程度の不審な行動、大目に見てくれるだろう。

ご案内:「廊下」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 貴女が廊下を歩いていけば、より一層不審な人物を目にすることになるだろう。
白衣姿に無精髭、火のついていない煙草を咥えた、えらく顔色の悪い男。
彼の周囲は生徒もあまり寄り付いておらず、一見するに学校関係者には見えない。
だが、彼はこの学園の魔術学教師である。貴方はこの男の顔を、どこかで見たことがあるかもしれない。

「…………………。」

窓際の微妙なスペースに背を凭れて、何やら考え込んでいる様子だ。
だが、貴方が目の前で教室を覗き込んでいれば、流石に目についたようで…

「…探し人か? それとも、迷子になった……わけではないか。」

…静かに、声を掛ける。

黒兎 > なんとも不審な男が目に入る。
一瞬校内に侵入した不審者かと疑うような、えらく顔色の悪い男。
校内は禁煙であるぞ、と、注意しようと思ったが、
どうやら火はついていないらしい。ならば、何故咥えているのだろうか。
………聞くに及べば、煙草というのは疑似的な授乳行為だと云う。

―――つまり、おしゃぶりみたいなものか。

ふむ、と頷き、もう一度視線を向ける。
アレは、確か『凡人学級』……は、揶揄の言葉であったか。
無能力者を好んで教えると噂の先生だったか。

廊下を歩いていた私は、
目についたその先生の様子を観察する事に―――って、こっちに来た、だと!?

その容姿は、近くで見れば益々威圧的に映る。
威圧的に映るだけであって、別に断じて怖いわけではない。
何しろ、私は美少女女子高生吸血鬼なのだから。

「………ご、ご、ご、ごごごご御機嫌よう!!
 本日は晴天であるな!!」

コホン、と小さく咳払いをして、髪の毛を払う。
別段、私をどうにかしようときたわけではないらしい。
で、あるならば、落ち着いて応対すれば良い。

「―――探し人、といえば探し人だ。……です。
 寧ろ、誰か探す人を探している、といった所か……です。」

正直に言えば、敬語は苦手である。
何しろ使う機会が無い。
何となく敬意を示していれば問題無かろう。

獅南蒼二 > 校内禁煙であるから、火をつけることはしなかった。
それだけのことである。精いっぱいの理性を働かせた結果であるかもしれない。
まさかそれを、脳内で“おしゃぶり”と形容されているとは知る由もない。

と、白衣の男としては、別段威圧したつもりは無かった。
一定の距離は保っているし,煙草も…おっと、咥えたままだった。ポケットに戻そう。

「…一体、何を言っているんだ?」

だが、貴女があまりにも動揺した様子だったので、白衣の男は苦笑交じりで答えた。
男は貴女の瞳を見て僅かに目を細め、
それから、そのあまりにたどたどしい敬語に、小さく肩を竦める。

「なに、無理をして敬語など使わなくても良い。
 が、探す人を探している…?
 私の理解力不足か、それともお前の表現力不足か…意味が分からんぞ?」

黒兎 > 「では、失礼ながら遠慮なく。」

私は小さく息をついて、改めて目の前の先生に向きなおる。
どうやら、煙草はしまうらしい。人前では恥ずかしいのだろう。

然し、一体どう説明したものか。
―――何か面白いモノを探していた、とか。
先生という立場の人間に言えば、
そんな暇があるのなら勉強しろと怒られたりしないだろうか。

ふむ、で、あるなら、女子高生らしく答えておくのが筋であろう。

「暇を持余して居たので、暇を潰せそうな相手を見つけて、
 その、ナンパしようとしていたのだ。
 何しろ、私は美少女女子高生だからな。」

腰に手を当てて、ふふんと仰け反る。
と、そこで、先の様子が気にかかった。
気にかかったのなら、聞いてしまっても良かろう。

「……先生こそ、何か考え事をしていたようだが。
 何か悩みでもあるのか?この私で良ければ聞いてやらんこともない。」

話してみよ、というのは、少しばかり踏込みすぎであろう。
大体、このくらいの距離感が大切であると、長年の対人関係で学んだ私は、
謙虚に相手に話したければ話してもいいし、
話したくなければ話さなくてもいいよ、と促す。

出来る吸血鬼なのだ、私は。

獅南蒼二 > 威圧しないようにと煙草をしまったのに、まさかの解釈である。
尤も獅南には読心術の心得などありはしないから、やはり、知る由もないのだが。

「ほぉ、随分と大胆なことだな。
 …まぁ、何だ、自信があるということは、何事においても大抵は良い方向にはたらくものだ。」

苦笑しつつも、その堂々とした偉そうな態度は、嫌いではないらしい。
“女子高生らしい答え”に,男は少しだけ楽しげに笑う。
…そして,男が言葉をつづければ,貴女の心配が杞憂だったと,すぐに分かるだろう。

「で、その“美少女女子高生”のお眼鏡に適う相手は見つかったか?」

…そんな馬鹿なことを言っていたが、貴女に考え事を指摘されれば、
白衣の男は小さく頷いてから、少しだけ、笑みを深めた。
悪い笑みというか、どこか、意地悪な笑みと言うか……

「…そうだな、なら一つ聞いてもらおうか。
 物質界における魔力と物質の親和性に関連して,高位の魔術師が魔力を人体の細胞に蓄積させる際にいかなる物質が魔力と細胞との親和性を助長しているのか,さらにその親和性を人工的に高め,魔力親和性の高い細胞を増加,培養するにはいかなる手法を取ればよいか……。」

このクソ魔術学教師は、さらっと早口で、現在の研究の概要を語る。
一切の説明は無いし、それこそ、この男の授業を取っていなければ、聞いた事も無いような言葉ばかりだろう。

「僭越ながら、ひとつ、御高説賜りたいのだが?」

この男は、どうやら、意地悪な魔術学教師らしい。

黒兎 > 「何、今こうして、先生と居る事が何よりの証明であろう。
 一切合切、そのような相手は見つかってはいない。残念ながらな。」

これだけの美少女、そう釣り合う相手が居るとは思えない。
とはいえ、暇をつぶせそうな相手は見つかったのだ。
ある意味では見つかった、とも言えるだろうか。
然し、硬そうな雰囲気に似合わず随分と軟派らしい。

―――講義内容も随分と硬い内容だったような気がするが。
うーむ、と頭を捻る。案外、こういう人間が女の敵という者になるのだ。
真面目そうに見えて、実は軽い。そんな印象の落差にくらっと来るのだろう。
美少女女子高生な上に、性格まで良好である私もまた、見習いたい技術である。

「―――ふむ、ふむ……ふ、ふむ?」

一応聞いては居たが、完全に意味不明である。
何故人間はこうも専門用語という物に魅せられるのであろうか。
部外者にも伝わるようにもう少し分かり易い言葉を使えば良かろうに。

物質界が、えーっと、親和性で、魔力が、ふむ。……わからん。
私は、誤魔化すようににっこりと笑った。

「大人の男性の悩みの解決の手助けは、
 いくら美少女でも女子高生には荷が重いようだ。
 力になれなくてすまんな。」

出来る事なら、悩みがあるのなら解決の手助けくらいはしたかったのだが、
残念ながら、私にはそれがどう悩みなのかすらわからないという有様である。

ご案内:「廊下」に雪城氷架さんが現れました。
雪城氷架 > 廊下を歩いていると何やら話をしている二人が目についた

一人は、魔術の先生、確か獅南とかいう先生だった筈だ
会話している相手はあまりみない顔な気がする

「(休み時間にまでなんか難しそうな話してるな)」

なんだろう、講義の質問でも受け付けてるのだろうか
だとしたら学生も勤勉なことだし、風貌に似合わず先生も真面目なものだ

とりあえず何度か話したこともあるので、
進行方向にいる以上は、会釈をしておく。ぺこり

黒兎 > 向かいを歩いてくる生徒にから会釈を受け、私も軽く会釈を返す。
そして、改めて先生の側へ向き直ると、ふんと鼻を鳴らす。

「然し、仮にも教職であるならば、
 私にも分かるような言葉で説明するのも義務ではなかろうか。
 そういう教師がいるから、生徒の勉強離れが進むのであろう。」

先に通りかかった生徒、見かけない顔だったが、
授業にはあまり出ていないのだろうか。
―――とどのつまり、こういった教職の被害者の一人である。

獅南蒼二 > 「なるほど、確かにそう言われればそうだ。
 一つ助言をするのなら…
 …そういう手合いを見つけたいなら校舎内よりも、部室棟やら学生街を彷徨った方が効率が良いのではないか?」

実際のところ,この白衣の男は多くの生徒にあまり良い印象を抱かれてはいない。
それは“噂”に拠るところも,外見に拠るところも,授業内容に拠るところもあるのだろう。
だが,彼が“凡人教室”なる教室の生徒たちの信頼を得ているところを見ても…
…貴女の推測は、正しいかも知れない。

そして,完全に冗談のつもりで語った悩みに対して,
あなたが真面目に答えようと頭を捻る様子を見れば…楽しげに、笑う。

「はははは、すまんすまん、冗談だ。真面目に考えなくていい。
 もし答えを言われてしまったら,私は全ての研究をお前に引き継いで引退するよ。」

高飛車な性格、もしくは自信過剰、とでも思っていたのだろう。
だが、真面目に考えた末に、分からないことを分からないと正直に語る姿に、白衣の魔術学教師はその印象を変えたようだ。

「本当のところは,研究が上手く行かんからお前と同じで退屈をしていてな。
 何か暇つぶしになるようなことは無いかと考えていた…

 ……で、私の研究に興味があるのなら,希望通りもう少し噛み砕いて講義するが、聞きたいか?」

獅南蒼二 > 「ん…いつぞやのサボり生徒だな。
 類は友を呼ぶ、といったところか?」

あれ、どうやら真面目そうに見えたのは表面だけのようだ。
新たに現れた生徒に視線を向ければ、白衣の男は肩を竦めて、笑った。

雪城氷架 > そういえば以前この先生に授業の手伝いを頼まれたこともあったっけ、と思いつつ
聞こえてきた黒髪の学生の言葉に内心そのとおりだと思った

そうそう、ちゃんと生徒に理解できるように話すのも教師の力量だ
理解できないと授業は退屈なものになる、よって寝たりサボったりす───

「…最近はそこまでサボってないんで、風評被害だよセンセー」

流石に足を止める
(一部の座学以外は)割と真面目に受けているのだ。自分基準で

黒兎 > 「学生街は何となく苦手でな。
 部室棟は……暇そうに歩き回っていると勧誘がめんどくさいのでな。
 其れは其れで良い暇つぶしにはなるが。今日はそういう気分ではない。」

体験入部の間は、周りに持て囃される。
その気分はそう悪いものでは無く、実際部室棟を歩く事も多い。
―――が、偶々今はこの廊下に居た、というだけである。
学生街に関しては、日の下で歩くのは些か面倒が過ぎる。
日傘を差して歩けば問題ないが、人が多すぎて傘を跳ね飛ばされる事も多い。

「冗談で人に悩みを語るでない。折角、人が心配して聞いているのだ。
 そうしていると、軈て先生の悩みを真面目に聞く人間は減って行こう。
 孤独に成るぞ、そのまま続けていてはな。」

羞恥で顏が熱い。冗談なら冗談と言って欲しい。
私、黒兎は、人の冗談を推し計るのが苦手なのである。

「……ふむ、どうせ退屈していた所であるし、
 この美少女女子高生が先生の講義、聞いてやろう。
 
 ―――ちゃんと分かるように話すのだぞ。
 あと、美少女をそう長く立たせるものではない。
 講義をするというのなら、空き教室なり、先生の私室なり、
 落ち着いて座って聞ける場所に連れて行くがいい。」

獅南蒼二 > 足を止めた生徒の言葉に、僅かに目を細めて…

「ほぉ? 火の無い所に煙は立たない、というのだがな。
 あぁ、そう言えば,授業の手伝いを頼んでそのままになってしまっていた。
 別件の研究でなかなか手が回らなくてな、すまない。」

きっちり覚えてはいたらしい,自分から提案したことであるし,そういって謝罪する。
風評被害、という言葉は、これっぽっちも信用していないようだったが。

雪城氷架 > 「………」

自分で自分のことを美少女と言うとは
自分でさえ思っててもめったに口には出さないというのに、すごい自信だな
なんて思いつつ

「あと類友って言うけどこの子とは会ったこともないし…。
 あ、手伝いに関してはあれから異能の授業はばっちり受けてるから、
 センセーのお手伝いは前よりもしっかり出来ると思うぞ」

言うと少しだけ見せびらかすように指先にゆらゆらっと火を灯す
この学園内では異能を見せるのはよくある行動だろう
少女としても一生懸命頑張った結果を教師に見せるのは吝かではない

黒兎 > 「そうだな、残念ながら初対面であるし、
 言葉を交わした事も無ければ、素性も知らん。
 強いて知っているのは、今見える情報のみ。
 私程ではないにせよそこそこに可愛い顔をしていることくらいだ。」

私はその言葉を肯定して頷く。

「………校内で火を出すな、危ないだろう。
 あと、それを私に近づけるでないぞ。絶対だ。」

私、吸血鬼である黒兎は、火は苦手である、
焼かれても再生するなどという事はないのだ。
私は不死者である、灰は灰に還るのみだ。

「―――それでは行こうか、先生。
 大人数で廊下に留まっていては、他の生徒の通行の邪魔になろう。」

獅南蒼二 > 「…なるほど,まぁ,分からんでもない。
 用意された暇つぶしではなく,何か,未知なるものと出会いたい,とでも言うべきか。」

黒兎の言葉を自分なりに解釈して小さく頷き,それから,冗談を叱責する言葉に苦笑を浮かべる。
生徒に“指導”される日が来るとは思わなかったが,全く正論であり言い返す隙も無い。
顔を赤らめているところを見れば,恥ずかし紛れの言葉なのだろうが…

「…そうだな,不誠実な態度だったことは反省しよう。
 そして、お前が真面目に話を聞こうとしてくれていたことは、ありがたい。
 随分と尊大な態度だったのでな、つい鼻を折りたくなってしまった。」

悪い癖だな。と笑う。
…事実、この白衣の男は全てを魔術学に捧げているが故に,孤独であるのかも知れない。

「その学ぶ意欲は素晴らしいものだ。
 ……だが、まぁ、座って聞くほどの話ではない……階段脇の休憩所で十分だろうが…。」
貴女が思いのほかに乗り気で,移動を促せば…小さく頷く。
「隣の教室は使っていない、そこで構わんか?」

雪城氷架 > 「え、あっ、ごめん」
ぽしゅっと火が消える
このくらいならほぼ完全制御が可能な範囲故についやってしまった
そうか、火が苦手な子もいるだろうなと反省する

「(うわ、そういうことハッキリ言うかね…)」
鼻を折りたかった旨の発言にさすがにちょっと引く

そしてどうやら個人講義にでも入るのだろうか?
手伝いのことに関して少し確認等もしたかったが邪魔をするのは忍びない

こういう、意欲的に学ぼうとする姿勢は見習わないといけないのかな、などと思う
多分、思うだけだけど

獅南蒼二 > 以前とは研究内容も,その目標も大きく変容している。
だが,貴女の異能が非常に強力であり,魔術学にとって乗り越えるべき壁であることに違いは無いだろう。
その証拠に、というわけでもないが、氷架が指先に焔を生じさせれば,男は僅かに目を細めて…頷いた。

「ほぉ…以前に比べても,だいぶ制御が上達したようだな。
 建物ごと吹き飛ばされては敵わんから,私としても助かる。」

横目に火を極端に嫌う黒兎を見て,小さく肩を竦める。
魔術学の精通した獅南であれば,吸血鬼について詳しく知っていても不思議はない。
だが、今はまだ、この黒髪の少女とそれを結びつけるほどの情報量は無かった。

「そうだな…後で連絡させてもらう。学生用のメールアドレスにでもな。
 気が向いたら確認してみてくれ。」

黒兎 > 「ま、言ってしまえばそういう事だな。
 そして現に、未知なる遭遇を果たしている。
 そう考えれば、ここをこうして歩いて居たのも、
 少なくとも今日は無駄にはならなかった、という事だ。

 ―――何、女子高生というものは暇なものだ。
 1日2日無駄になった所で別段気にする事も無いのだがな。」

実際には、美少女女子高生吸血鬼というのは暇、というだけだ。
花の命は短い、命短し恋せよ乙女、恐らく、
普通の女子高生はもう少し忙しそうにしているだろう。

「ふむ、尊大?」

自分の態度を考えるが、どうにもそういった態度に思い当たる節は無い。
悩みを聞く、という行動自体が烏滸がましい、という事だろうか。
………差し出がましい真似だったのだろうか。鼻の頭を折りたくなる位には。
確かに、一学生が人生の先立である先生の悩みを聞くというのは失礼にあたるのかもしれない。
じわ、と目頭が熱くなったのを感じて、慌てて目元を拭う。

「それはすまなかった。
 ……然し、悪気は無かった、許せ。

 ―――ふむ、然し、私は女子高生だ。
 成人男性と比較して体力も無い、ここは私に付き合ってはくれないか。」

この先生、普通に話してはいるが何となく顔色が悪い。
何処かで座ってゆっくり話したほうが良かろう。心配だし。

そんな余計な心配は、今度こそ口には出さないが。

黒兎 > 「いや、気にするな、この学園では異能や魔術を見せるのは、別段珍しい事ではない。」

火が消えたのを確認して、私は安堵の息をついた。

「二人で何かしら話す事があるのなら、話を済ませるといい。
 私は先に教室に行って待っていよう。」

二人が連絡先を交換しているのを横目に、
私は指定された近くの空き教室へと入って行く。

―――どうやら、あの二人は知り合いらしい。
何かしら積もる話もあるだろう。

どうせ暇なのである。
ゆっくりと待たせて貰おう。

雪城氷架 > 「いや、邪魔になるしいいよ。次の講義の移動もしとかないとだしな」

たまたま通りかかったにすぎない
連絡がメールで来るというならそれで十分である

くるりと踵を返して去ろうとして、立ち止まる

「あ、あとあんたなんか顔色悪いぞ。勉強の前に保健室行ったほうがいいんじゃないかな」

そう言葉をかけて、その場から立ち去った

ご案内:「廊下」から雪城氷架さんが去りました。
獅南蒼二 > 未知なる遭遇と、自分で使った言葉ながらに大袈裟なその表現に肩を竦めて笑う。

「まさか,煙草を咥えた教師に当たるとは思わんかっただろう。
 私も面白い生徒に声を掛けたと、そう思うよ。
 ……女子高生が暇、という言葉には、同意しかねるがな。」

相変わらずに楽しげな笑みを浮かべていたが,貴女が目を泳がせて,
それから目元を拭えば…僅かに首を傾げた。
獅南としては軽い冗談か皮肉の一環だったのだろう。
そして、やはりそれは、目の前の美少女女子高生に理解されなかったわけである。

「言っておくが、今のは“皮肉”というやつだ。
 実際にはお前の態度が本当に尊大だとは思っていないし,心配してくれたことを嬉しいと思ったのも事実だ。
 ……と、これも悪い癖だな、すまなかった。」

どうも、調子が狂う。
というのも、第一印象に比べて目の前の少女は,あまりに純粋で真っ直ぐな性格をしているのだ。

「そういうことなら、断る理由は無いな。」

貴女の言葉通りに、白衣の男は頷いてから歩き出し,隣の教室の扉を開ける。
少人数用の研修室だ。テーブルが2つと、椅子が4つ。向き合うような形で並んでいる。

「適当に座るといい。」

心配されているなどと夢にも思わないから,男はホワイトボードの前に立っている。

黒兎 > 「そうかもしれんな、だが、少なくとも私は、
 放課後という時間にこうして廊下を歩き回る程度には暇をしている。
 確かに、校内は禁煙、と注意しようと思ったのだがな。
 火が付いていないのを見て考えを改めたよ。」

皮肉と言われて、再び、いや三度、頬が熱くなるのを感じる。
仮にも教師であるなら、もう少し真っ直ぐに生徒に向かい合ってはどうなのか。
もはや、授業内容の信憑性が疑わしくなるような次元である。

「………もういい、早く講義をはじめるがいい。」

この先生と会話していたら、また恥をかくことになりそうだ。
そう言われるがままに、というべきか、自分から、というべきか。
そのままホワイトボードの前に立ち、私に席につくように促す。
………顔色が悪いからと気を回したというのに、それでは意味がないではないか。
私はノートを開くと自分の机の上に置き、向かいの椅子を隣まで引き寄せた。

「折角の美少女女子高生との個人授業だ。それに、他に聞く者も居ない。
 ホワイトボードで説明せずとも、こっちに座って近くで説明すればいいだろう。
 ペンが無いと言うのなら、私が貸してやるしな。」

こっちに座って説明しろ、と。
私はカンカン、と指先で机を叩く。

獅南蒼二 > 「流石にな,お前たち生徒に副流煙を吸わせる趣味は無い。
 だが…なんだ,口寂しいというか,落ち着かなくてな。」

もしかしたら“おしゃぶり”という形容は適切だったのかもしれない。
貴女が相変わらず頬を赤らめて、講義を急かせば苦笑顔。
マーカーを手にしてホワイトボードに文字を書くつもりだったが、そこを止められてしまう。

「……座って説明か、まぁ、それでも構わんが。」

貴女の心遣いに気付くことはまだできずに、白衣の男は少女の隣に腰を下ろす。
どうも慣れないな、なんて苦笑しつつも……ペンを借りて丸と三角を書き、丸の中には凡人と、三角の中には魔術師と書き込んだ。

「さて、先ほどの話だが…
 この世界には、魔力を持った魔術師の才能がある人間と、
 魔術を使えない、魔力を持たない凡人がいる。」

「見た目も同じだし、脳みそも、内臓も、身体のつくりは完全に同じだ。
 お腹の中に魔力タンクがあるわけでもないし、魔術道具のように魔石が入っているわけでもない。
 ……それなら、この2人は、いったいどこが違うんだろうか?」

どこが違うと思う?と、貴女に問う。

黒兎 > 「……口寂しい、ふむ。」

私が血が飲みたくなる衝動に似ているんだろうか。
依存心ともいうべきか。……やはり、おしゃぶりか。

「それなら、後で講義の礼に飴をやろう。
 煙草を咥えるよりも見た目の印象が可愛らしくなるしな。」

私は頷くと、鞄から飴を幾つか取り出して机の上に置いた。
飴を舐めていれば、喉が渇く感覚。
血を吸いたいという衝動が、少しだけ落ち着くのだ。

「ふむ?」

確かに、先ほどよりも図つきな分大分と分かり易い。
先ほどの話だが、と前置きをしているが、私には無用である。
何しろ、先ほどの話が少しも分かっていないのだ。

「脳みそも、内臓も、身体の作りも全く寸分たがわずに同じ人間というのは、
 そもそもこの世には存在しない。

 大別してしまえば同一でも、僅かばかりの差異は存在する。
 そうでなければ、運動能力に差が出る事も無かろうし、
 私のような理解力の無い者と、先生のような素晴らしい頭脳の持ち主が居る
 ―――というような差が発生する事も無い。

 人間は機械ではないし、量産品でもない。
 魔術道具、あるいは、魔力タンク、その例え自体が間違っていると、私は思う。

 質問に答えるとすれば、そもそも別の人間であるなら全てが全く違う。
 同一であるのはおおよそ、種としての特徴くらいであろう。」

質問の答えにはなっていないかもしれないが、
私が思った事は素直にそれである。人間というものは量産品ではない。
―――どうあれ、差異はあるのだ。

「その積み重なった小さな差が、魔力を持つ人間と、
 そうでない人間を分けているのではなかろうか。」

黒兎 > 「―――あ、いや、あくまで学問的な例え話であるというのなら、私には分からぬ。
 そのような人間は見たことも聞いた事も無い、というだけだ。

 私と先生では、考えている事も、見えている世界も、全く違うのであろう。
 そのような人間が居る事は、私は考えた事も無い。
 
 ………講義の腰を折ってすまなかった、続けてくれ。
 先生には、私とは違った考えがあるのだろう。」

私は慌てて両手を振る、ここは授業の席だ、
苦手な物理学で言うなら「空気抵抗は0とする」だとか、
同じく苦手な数学で言うなら「円周率は3として計算する」だとか、そういった意味合いなのだろう。
………そのレベルでは算数だろうか。

私の狭量極まりない見識で言っても的外れになるのは自明である。
両手で熱くなった頬を抑えると、俯いた。

獅南蒼二 > 「なるほど、確かにお前の言う通りだな…非常に鋭い見解だ。
 理解力が無い、などと自嘲する必要は無い、その直観力は良い武器になる。」

その感覚は忘れない方が良い、謝る必要も無い、と笑った。
魔力親和性についての話は全く理解されていないようだが、
この僅かな差という貴女の考え方は,獅南も頷くところだったからだ。

「お前の言うように、積み重なったわずかな差…個性、とでも言おうか。
 その個性で全てが決まるのだと私も、思っていた。けれど、個性で片付けてしまうのはあまりに乱暴すぎる。」

「確かに、人間は皆、違いをもって生まれてくる。
 けれど、筋肉が全く無い人間はいないし、脳みそが全く働かない人間も居ない。
 ……けれど、魔力が全く無い人間は存在する。」

三角と、丸の両方に、心臓、脳、筋肉、骨、血、と、身体をつくる部品を書き込んでいく。
絵はとっても苦手なので、文字で。

「お前が言った、“その積み重なった小さな差”というのは、具体的にはどこにあるのだろう。
 “魔術師”の魔力はどこに溜まっていて、どうして自由に使えるのだろう。」


「答えは、お前の言う通り……“全て”だ。 全てが同じように見えてある1点において,全く違っていたんだ。
 心臓、筋肉、血、脳、骨、血管、全てに共通するものは何だと思う?」

黒兎 > 「うーむ……。」

心臓、脳、筋肉、骨、血。
全てに共通するものは何だろうか。
―――血、という文字を見ると、
赤い血液が連想されて少し心臓が高鳴る。

然しながら、それとこれとは違う話だ。
血、という文字にだけ視線が行かないようにしながら、私は考える。
共通するものはなんだろうか。
魔力はどこに溜まっていて、どうして自由に使えるのだろう。

「―――それは、魔力も、それらと同じく、その人間の身体の一部、だから?
 いや、身体の全てに、備わっているというか……。
 その人間を作ってるものは全てその人間なのだから―――。」

頭をぐんにょりと傾けながら、自信無さげな声でぽつぽつと呟く。
普段ろくに何かを考えない頭で必死に考えている以上、頭から煙が出そうな心持である。

獅南蒼二 > 悩める生徒を眺めるのは楽しい。
もとい、努力している生徒の姿は美しいものだ。
まさか“血”という文字だけで、目の前の少女が胸を高鳴らせているとは知る由も無い。

「身体の一部か…良い線まで行ったな。
 身体の全てに備わっているというのも正解だ。
 私たちの身体は……ミドリムシなら1つ、人間なら37兆2000億個の細胞でできている。
 違ったのはここなんだ。」

紙に、小さな丸と三角をたくさん書いていく。

「小さな小さな細胞の1つ1つが、魔力を溜めたり使ったりできる“魔力と仲のいい”細胞と、
 それができない“魔力と仲の悪い細胞”に分かれている。それ以外の機能は全く同じだ。」

「だから、“魔力と仲のいい細胞”がたくさんある人は…(棒人間を書いて、小さな三角を沢山周りに書く、横に可愛らしい炎を描いて)…魔術が得意だ。
 逆に、“魔力と仲の悪い細胞”がたくさんあると…(今度は丸をたくさん書いて、ボヤの煙のような絵を描く)…魔術は使えない。」

そして私の研究は……と、周りが小さな丸ばかりで、魔術が使えない方の棒人間の周囲に…小さな三角を書き足していく。

「私の研究は、この“魔力と仲のいい細胞”を増やすにはどうしたらいいかな?ということを調べる研究だ。
 上手く行けば、誰でも魔術が使えるようになる。そうなったら、楽しいとは思わないか?」

黒兎 > 「ふむ……。」

ミドリムシなら1つ、人間なら37兆2000億個の細胞。
この三角形とか丸で人間は出来ているのか。

ならば、吸血鬼である私は一体何で出来ているんだろう。

棒人間とまわりにある丸と三角を見下ろして、少しの間考える。

「つまり、どんな人間でも魔術が使えるようになったり、
 使うのが上手になったりする、という事だな。

 成程、確かにすばらしい研究だと思う。」

私はうんうんと頷く。まわりの技術の進歩は素晴らしい。
私に楽をさせてくれるし、何よりも見ている私を退屈させない。

そうなれば、別段頑張らなくても魔術を覚える事が出来る、という事だ。
―――いや、寧ろ皆が身を守る術を身に着けたら困るだろうか。

「………然し、細胞で使っていると分かっているのなら、
 増やすなんて悠長な事をせずとも、その細胞や部位だけを抜き出して、
 クローン、だとか、キメラだとかを作るとか、
 あるいは移植するとかすればいいのではないか?

 私は詳しくは知らないが、そういった技術はあるのだろう?」

獅南蒼二 > 「それが、そう簡単な話ではないんだ。
 そもそもクローンやキメラを作ってどうするんだ?
 私が魔術を使いたいのに“私のクローン”が魔術を自由に使っても、私は見ていることしかできないじゃないか。」

くくく、と楽しげに笑う。それから、

「移植するのも方法の1つだろうな。
 ただ、体中の細胞を全部移植するとなると……もう、それこそ、ただの別人になってしまう。
 悠長に聞こえるかもしれないが、女子高生は暇なのだろう?
 いつか、もし、この技術が完成したとしたら…きっとそれは、私の功績だ。」

その時は飴を山ほど送ってくれ。なんて、笑って…机の上の飴を、1つ取った。

「さて、今日のところはこの辺にしておこうか。
 つまらん講義をしてしまってすまなかったな。」

ひょい、とそれを頬張って、小さく笑った。

黒兎 > 「ふむ、先生は、魔術を使って、あくまで自分で、
 自分の力で成したい事があるのだな。」

あくまで知識的な欲求とか、人類の発展の為とか、
そういうものではなく、自分が魔術を使うために魔術の研究をする。
何かしら、先生なりに目標があるのだろう。
どういうモノなのかは、私には分からないが。

「そうだな、その時はその功績を称えて飴を山ほど送ってやろう。
 何、女子高生は暇であるし、何より先生よりも若いからな。
 ―――先生が死ぬまで見届ける事くらい、造作もない。」

私も飴を一つ手に取ると、
真似するように頬張った。ミルク味の飴だ。
先に血という文字を見て昂った心が、少しだけ落ち着く。

「つまらないなんてとんでもない。
 実に楽しい時間であったよ。実に興味深い話だった。
 また廊下を歩いて居て会う事があれば聞かせて貰おう。」

私は、ノートを片づけて荷物を纏めると、静かに席を立つ。
日はそろそろ陰って来ている。これくらいならば、外を歩いても大丈夫だろう。

「然し、そんな恐ろしい顔では、折角の面白い授業でも聞く気が失せるぞ。
 次に会う時には、もう少しマシな顔をしている事を願いたいものだな。
 ―――では、ごきげんよう、先生。」

私はにっこりと笑みを作って一礼すると、教室から出て行った。
……散々皮肉を言ってくれた仕返しである。
次に会う時までに、精々健康に気を使うがいい。

ご案内:「廊下」から黒兎さんが去りました。
獅南蒼二 > 「さて、どうだろうな……いや、冗談を言うのは止そう。
 お前の言う通り、私には目標がある。
 ……それが良い目標なのかどうかは、分からんがな。」

苦笑を浮かべつつ、飴玉を舌の上で転がしつつ、貴女が荷物を片付けるのを眺めていた。
相変わらず勘が鋭いな、などと、内心で苦笑しながら。
しかし“顔”について言及されれば、最初は何の冗談かと思った。
だがそれは“顔立ち”の事ではなく表情、ないし顔色のことだと気付く。
聞き流していた、氷架の言葉も相まって、思考のつながりは早かった。

「……そこまで酷い顔をしていたかな。」

自覚が無いのが、最大の問題である。

ご案内:「廊下」から獅南蒼二さんが去りました。