2016/09/16 のログ
東雲七生 > 七生はフェンスに寄り掛かったまま、ずるずるとその場に腰を下ろす。
怪我を負った中でも最も重傷だった利き足が、何だか酷く痛む気がした。
怪我と言えば、一晩で治るだろうと思っていた傷が、どういう訳か未だに残っている。

「……心持の問題、なのかな。」

そっと頬の絆創膏に触れつつ、ひとりごちる。
回復力は、自分の精神に左右されるものなのだろうか。だとしたら、やっぱりそれも異能なのかもしれないな、と考えつつ。

東雲七生 > 「──異能、異能か。」

再び考えは其方へと向く。

そも、彼が戦いの場に出たのは七生が傷つき、窮地に陥ったと思ったからだ。
その意図は七生にも理解できる。知り合いが傷ついた、助けに入るのは、まあ当然のことだろう。
だが、実際のところ七生の奥の手は自身が傷を負った時にこそ真価を発揮するものだ。

「……黙ってたのが、悪かったかな。」

ぽつりと、微風にも掻き消されそうな声が零れる。

東雲七生 > ──もし、
もし彼が自分の異能を把握していれば。

傷付いた自分を助けようなどと考えなかったのではないか。

そうなると、やはり。
彼の負傷は、自分の弱さが招いたのだ。

自らの力を疎み、その行使を避け続けながらも、心の何処かで縋っている。
異能を隠そうとしたことも、異能に縋っていたことも、そのどちらもが今回の慢心の引鉄となり、

結果、友人に傷を負わせてしまった。

「──はは、ホント。

 ……弱弱っちくて嫌になる。」

軽く折った膝に額を付け、顔を伏せる。
頬を伝った水が触れた傷口が、今までのどんな傷よりも酷く痛んだ

ご案内:「屋上」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「屋上」に八百万 頼さんが現れました。
八百万 頼 >  
(真夜中の屋上。
 暗い屋上の真ん中でしゃがみ込み、床に手を触れている。
 自身の能力のお陰で、触れるだけで大きく複雑な教室棟の構造が直接頭の中に入ってくる。
 更に、屋内の至る所にひっそり刻まれているマークを連動させる事で、それらが監視カメラのような役割を果たし、内部の様子まで読み取れる。)

――動きが活発んなっとるな。
喰いあっとる奴もおる。

(先日の妖怪騒ぎの調査を兼ねた後始末にやってきたのだが、どうもそれどころでは無さそうだ。
 屋上に上がってくるまでにいくつか見かけて調べてみたのだが、どうもヒトの負の感情や強い想いが集まって生まれたモノらしい。
 それら一つ一つは大したことは無いのだが、とにかく数が多い。
 学校と言う多感な時期の少年少女が集まる場だし、彼ら自体がそれぞれ特殊なチカラを持っている。
 その結果普通の学校では有り得ないほどの大量のモノが出来ていたらしい。
 そこに先日ちょっかいを掛けた女子生徒の行為。
 半分眠っていたソレらがその行為を引き金として爆発した、と言うのが原因として妥当なところだろう。
 彼女の行為だけが原因とは限らないが、原因の一つである事は確かだ。
 前々から感付いてはいて、近々掃除をしようとは思っていたのだが、まさかちょっかいを掛ける生徒が居るとは思わなかった。
 まだ眠っているようなものだと思って油断していたのが間違いだったか。)

八百万 頼 >  
しかし校舎内だけやったらともかく、屋上と校庭か。
こらちと面倒な事になっとるかもしらんな。

(校舎内の監視を打ち切り、範囲を常世島全土に広げる。
 流石に島内全域となると把握が困難だが、そこは島中の至る所に仕掛けられたマークで補助。
 自身の能力で読み取れる情報から、目的の妖怪――思念群体と呼ぶ事にした――の分布のみを選び取る。)

――あかんな。
やっぱそこら中に散らかっとる。

(屋上と校庭での戦闘を逃れたらしい思念群体が街中で数を増やしているらしい。
 数が多いのはやはりと言うか、スラムや落第街方面。
 研究区や居住区、学園地区にはまだそんなに数は無いが、放置すれば間違いなく増え続ける。
 逆に少ないのは異邦人街か。
 様々な種族が集まっているため、思念群体のエサになる思念がバラバラなのだろう。
 しかしそれは逆に種類が増えるという事になりかねない。
 種の進化に必要なのは多様性だ。
 より厄介なモノが生まれる危険性がある。)

ご案内:「屋上」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >   
「こんな所で何をしているのかしら。
 ――バスターの専門家には見えないけれど。」

 気配を隠さずに足を踏み入れた。
 その上で彼の姿を認めれば、言外に神職・聖職の類には見えないと含みを持たせて訝しんでみせる。
 

八百万 頼 >  
(どこも放置すれば面倒な事になる。
 しかし全ての地区に充分な人員を配置出来る余裕は、風紀にも公安にも無いだろう。)

――こう見えて、ボクの実家ァ陰陽師やっとんねん。

(そこに現れた気配と声。
 立ち上がり、ポケットに手を突っ込んでそちらへ振り向く。
 先日屋上で思念群体を相手に大立ち回りを演じていた女子生徒だ。
 猫のような顔で狐のような笑みを浮かべながら、サラリと嘘を吐く。)

水月エニィ >  
「では、そのように認めましょう。
 ……その代わり、嘘だったら呪ってやるわよ。」

 その言葉に偽りは無いと言わんように睨みを効かせて言い放つ。
 少しの間を置いた後、改めて問い直す。
 
「で、こんな所で何をしているのかしら。」
 

八百万 頼 >  
どうやろなぁ。
ホンマモンの陰陽師かも知れんし、神主かも知れん。
通りすがりのエクソシストか、はたまたゴーストバスターか。
さぁて、正解はどーれだ。

(心底楽しそうに両手を広げて。
 煙に巻くように、楽しむように嘘を吐く。)

そら陰陽師や神主言うたらお祓いやろ。
エクソシストやったら除霊か?
ゴーストバスターやったら、やっぱあれやな。
掃除機でおそーじ。

(言いながらお札や大幣、巨大な十字架に掃除機までも次々と出しては消していく。
 大真面目にからかっている。)

水月エニィ >   
「ふぅん。節操なし。
 嘘吐きなのは理解したけれど。」

 粗雑に一定の道具を取り扱う素振りの眉を顰めて冷たい声を響かせる。
 ……明らかに機嫌が悪い。

「……言う気がないのならどうしようもないわね。
 騒動の主犯者って事にしておいても良いかしら。
 それとも、見下すように私を小馬鹿にして遊んでいるだけかしら?」

 適当な事しか言わないのだろうとあたりを付ければ表情は増々険しく。
 それでも、何かを繕うように会話を続ける。

 

八百万 頼 >   
せや。
ボクは嘘吐きや。
よー分かったな、水月エニィちゃん。

(ヘラヘラと笑いながら彼女の名前を口にする。
 先日の屋上での事と、そこから「情報」を検索して得た名前。
 全登録生徒の名前と顔など、公安に所属していればいくらでも得られるのだから。)

君なぁ、それ聞いてどうするの?
ボク嘘吐き言うたよな?
嘘吐きに尋ねて、まともな答え帰ってくると思ってるん?

(心底呆れたような表情だが、その裏にはやはり楽しそうな表情を見せている。
 馬鹿にしているように見せて、自身の事を読ませないようにしている。)

それとな、こないだの騒動に主犯もクソもないで。
あるんは結果だけや。
島中にアレがばら撒かれたっちゅうな。
――ああ、そう言う意味やったら、主犯の一人はキミやで。

水月エニィ >  
「ふぅん。私も有名になったものね。
 ……貴方が嘘吐きでも、私はそうじゃないわ。
 だからと言って噛み付く訳にも行かないし、人語を解さない化け物のように扱う事も出来ないわ。
 とても悔しいけれど。」

 一方的に名前を呼ばれても動じる素振りはない、
 まともな答えは元より期待していないのか、平然と投げ捨てるように言葉を加える。

「でしょうね。……いえ、それは否定しましょうか。
 少なくとも私が寄せた分は私が救った。……それを否定するのならば、承知しないわよ。
 それらは貴方が言う所の結果に対する侮蔑と知りなさい。」

 明瞭な敵意を見せて否定する。
 少なくとも水月エニィが引き寄せ/齎したものは、彼女の内に沁み込み、彼女に認められている。
 私が寄せたものは取り零したつもりはない。故に嘘偽りと断言しなければならないと言わんばかりに断言した。
  
 

八百万 頼 >  
まぁ、それなりに有名やな。
気に入らんもんや無視するもんには誰彼構わず噛み付くってな。
――あぁ、そやそや。
負けるのが好きで好きでたまらんっちゅうのもあったな。

(大仰な仕草で、煽る。
 彼女が勝ちに拘っているのは知っている。
 極度の負けず嫌いだ、と言うことも。
 その上で、彼女を「負けたがり」と評した。)

救った?
誰を?
この校舎内だけにおったあの群体を街中に解き放って?
ソレを少しでも食い止めようとしたあの風紀委員の邪魔しといて?
――アホいいなや。
自分のわがままで街中に厄介なもん撒き散らす手伝いしといて、言うに事欠いて侮蔑やと。
前からガキや思とったけど、実際に会うて話してみたら思った以上にガキやな。

(雰囲気が変わる。
 細い目を開き、緑の瞳で彼女を射抜く。
 ポケットに手を突っ込んだまま、明確な敵意。)

水月エニィ >   
 水月エニィが干渉し・影響を及ぼしたものは【町中に解放されていない。】
 それをしたとなれば、【別の誰かがやった事他ならない】
 それこそ歴史が重ならない限り、有り得ない話。と成る他ない。

「……ちょっと待って、外にまで行ってるの?
 それはおかしいわよ。」

 動揺と混乱を覚える。
 少なくともこの場には残っていない筈だ。
 断言できるものとして、あの場ではそのようになったはずだ。
 そうしないように努めた故に背負った故に、一因としてこのルートを起点に解放されている事は断じて有り得ない。

 ……故に、明瞭な異常と認識した。

「もう一度聞くわ。本当だと信じる。
 本当に、この屋上から解放されたのね?」
 

八百万 頼 >  
こないな屋上、数も膨大。
加えてアンタがアレを引き寄せたところからこの屋上までの距離。
全部が全部付いて来た言う方が不自然やとは思うけどな。

(片目を閉じる。
 確かに自身の彼女に対する評価は散々ではあるが、意図的な嘘だけは吐かないとも思っている。
 とは言え立場的に疑って掛からねばならない、と言う事もあるし、)

――ま、そうやとしよ。
やとしても、他に散らばったヤツを秋輝クンが払おうとしとんの、止めとるやろ。
あの子が全部払えたかどうかはともかく、ソレを止める言うんは間違いとちゃうんか。

水月エニィ >  
「――いえ、それでも違和感があるわ。」

 少なくとも謂れを覚える程はないし、認識できる限りは残らず寄せたものを覚えた。
 結果が反転するようなことはしていない。

 断言できる辺りは実感があり、何らかの謂れを言及されたようなものは逃していない。

「だからこの場のものは全部引き寄せたし、瀕死の重傷人にやらせることではないわ。
 どういう手段で私たちの立ち回りを検知したから知らないけれど、
 それなら絶対安静の重傷人にさせる訳にはいかないのも、エゴ半分に理解しているわよね。
 ……いえ、それはどうだってよくはない、けど、非難は後で受ける。だから、それよりも。」

 敵意も反骨心も戦意も何もない。
 あるのは、確信を得るような切迫か。
 
「……ねぇ、教えて頂戴。あの場にはいなかった貴方が、
 どのようにしてそれを感知したのかしら。事次第では大問題なの。
 ……出来得る事ならば何でもするわ。だから誠実に教えて頂戴。
 どのようにして貴方がそれらを知り、どのようにして貴方が判断したのか。」

 何か思い当たりそうな節、もしくは似た様な経験があるのだろう。
 明らかに切迫している。
 彼が露骨に露わにした怒気から本心を覚えたのだろう。
 故に、真剣に乞うた。

八百万 頼 >  
――わかった、信じよ。
確かにこの場に居ったやつは、アンタが言うとおりなんやろうな。

(異能で得た情報も万能ではない。
 光景や場面などの情報にはどうしても自身の主観が入る。
 事実と多少食い違う事もあるのだ。)

それでもな、アンタの行動は軽率や。
もしかしたら今回たまたまうまく逃がさんかっただけかも知れんし、もしかしたら万が一逃げたヤツが居る可能性も残っとる。
秋輝クンはアレで自分の限界分かっとる子や。
あの手のヤツは人手多い方がええやろ。
――あの子もあの子で応援呼ぶべきやったとは思うけどな。

(自分の思っていた事と彼女の感じた感覚が食い違っている。
 そして彼女の場合、感覚を間違う事もないだろう。
 しかし、それでも立場上小言を言っておかねばならないのだ。
 それをなぁなぁで済ませてしまうわけにはいかない。)

――それを言うにはちとアンタは信用しきれへん。
ボクの目的の邪魔になる可能性があるからな。
一応、そう言う異能や、とだけ言っとく。

水月エニィ >  
「……そう。
 上書き保存された歴史は無かったのね。安心したわ。」

 脱力してへたりこむ。
 まだまだ違和感はぬぐえないが、一応は彼の事を肯定する。
 あれら全てが嘘ならば是非もなくなるだけであるが、その可能性は考えない。

「変な事を言って悪かったわね。
 とりあえず、残っているのならば残らず掬いに行くわ。
 あの場にはいろんな人が応じていたから、外に出るような事はなかったのものだけど。

 ……ああ、何だか気が抜けちゃったわ。苛立っていた気もするのに。
 もし逆撫でするものがあったら、悪いわね。それでも曲げられないものはあるけれど。」

 ぐったりして零す。
 大分参っているものの、はっきりとした言葉を零す
 
「病めるものが暴走して弱者に暴力をふるう。
 それを見逃せなかったのは悪かったわよ。確かにエゴが主だけれど、
 結果だけで言えばあの子の無茶を止めようとしたことになる。」
 

水月エニィ >  
 「同様に、身勝手且つ軽率とも云えるでしょう。それでも嘘つきの貴方に言われても困るわ。
 ……その言葉が本心からの真実ならば、応える義務が私にある。貴方はどっち?」

 確かに外に漏れ出た時点で罪であるとも云える。
 力が足りずとも、見当が外れようが、【結果】としてはそうなのだ。
 ――それらに罪悪感を覚えない筈もない。

「いえ、そこについてはちょっと違う。あの子は限界を分かった上で無茶をするわ。
 でなければ殺しても貴方に罪が行かないようにしておきましたから、みたいな事は言わないもの。」

 あの彼だって熟達した能力を持っているし、理性も強い。
 ……その上で無茶をする。寄月の事はそう認識している。