2015/06/14 のログ
サリナ > 俯きだしたので首を傾けて様子を見ると、立ち上がって一度離れた。
放置していた紙袋を持って戻ってきてから無言でそれを椚の目の先に差し出す。
菓子パン惣菜パン全部で4つ…一つは食べかけである。

> 頭上に落ちる影。
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら見上げようとして。
ああ、自分は泣いていたのだと思い出し、眼鏡をはずしてごしごしと手の甲でこする。
眼鏡を持った手でくまのストラップを握り、恐る恐るといった体で見上げた。

「……?」
小さく首をかしげる。
少女の行動の意味が良くわからないといった表情だ。

サリナ > 「あなたは食事をしていらっしゃらないようでしたので…もしかしたらどこかで食べてからここに来たのかもしれませんが…それに」
少し考えるかのように間を置いてから言った。

「何かを食べてると落ち着きます……多分」
と、言葉の最後に自信なさげに付け加えた。

> びくびくと見上げて潜めていた眉が、しおっと困ったように下がった。
この少女は、初対面の自分に食料を分けてくれようとしているのだ。

「あ……」
どうしようと自問する。
せっかくの厚意、せっかくの優しさ、せっかくの――……
目の前の少女と、紙袋を交互に見つめて。
そのうちに、顔が熱くなる。
ぽろぽろと涙がこぼれた。
ほんの少し、勇気を出してお礼を言えばいいのに。
さきほど、くまの「まーくん」を拾ってくれたように。

極度の上がり症が嫌になる。
クマを力強く握り締める。
大丈夫。目の前の人は、怖くない。
そんな言葉を胸中で呪文のように繰り返し繰り返し。

「………………ありがとう……ございます」
その声は、絞り出すのに近かった。

サリナ > 「どういたしまして ……相当痛かったみたいですね?」
振り絞られたお礼の言葉。それはしっかりと届いたのか、返事をすると椚の顔に手を伸ばした。

「ほら、眼鏡が汚れてしまいますよ。眼鏡の汚れは人の涙と言うぐらいです…ちょっと失礼」
一言断りを入れてから椚の眼鏡を外すと、ハンカチを取り出して涙を拭ってやる。

> 眼鏡を素直に渡し、ぼんやりと見上げる。
思考カイロがぐるぐる回って、おまけに泣きすぎて疲れるのはよくあることで。
そんな感じの視線を向ける。

同じ女性だからか、なんとなく居辛さは確かにあったが、逃げるという意思は特になくて。
ぺたんと座ったひざの上に、またくまを置く。

サリナ > 「はい、綺麗になりました」
涙を拭い、眼鏡もそのハンカチで綺麗にしてそれを椚の顔にかけた。
手元に置いてあった食べかけのパンを取って食べ始める。

「あなたも、好きなの取ってください。おなかが空いているなら二つ食べてもいいです」

> 「……あり、がとう……ございます……」
呆けたように受け取りながらも、ぺこんと頭を下げる。

が、次の言葉にはっと我に返り、
「あの……っ、お金……」
同じ学生なのだし、手持ちには限りがあるだろう。
地面に置いたままのバッグに手を差し入れ、財布を取り出した。

サリナ > その財布を手で遮り…

「いいえ、結構」
答えつつパンを口に一杯に頬張って一つ食べきった。

「その代わり…何か別の物が欲しいですね。できれば食べ物とか…今度で構いませんよ」

> 「……食べ、物……ですか?」

物々交換ということだろうか。
ならば――……
はふはふと、深呼吸。
さえぎられた財布を握り締めて。

「どんな、物……が、好きですか?」

サリナ > 「そうですね…脂っこい食べ物とかが好きですね。ラーメンとか…しかしこの辺であんまり見かけないものがいいですね」
もう一つパンを取って口に運ぶ。残ったパンは菓子パン二つだけになった。
咀嚼しつつ立ち上がると歩き出して…

「何か考えておいてください」
振り返ってそれだけ言うと屋上の出入り口に向く。

> 脂っこい物……?
ラーメン……?
……食事のお誘い……?
出前?……いや、学園ではとても。
見かけないもの?
え、お店で物色ってこと……?

なんというレベルの高い要求……!
そんなことをぐるぐると。

胸中でおののき、ぎゅっと財布を握り締める。

残されたパンに視線を向け、立ち去ろうとする少女の背中に頭を下げる。
「ありがとうございます。
いつか、必ず……」

ご案内:「屋上」からサリナさんが去りました。
> 扉の奥へ少女の姿が消えた後――
ぷしゅるっと、まるでバルーンが空気が抜けたかのようにへたり込む。

「……まーくん、私、頑張った……よね?」
ひざ上のくまに話かけ、はた、と。

「……あ……」
名前を聞くのを忘れた。

> 「屋上にいれば、いつかまた……会えるかな?」

もう姿の見えなくなった扉の方向へ視線を向け、そう呟く。
また次に会う前に、希望のものを探しておかないと。
そのためには――

地図に視線を向ける。
地理を把握しなくては。

> 地図を広げ、身を乗り出す。
まずは、学園から寮への一直線の行動を見直さなければならないか。

寄り道?
買い食い?

今の自分ではレベルの高いような行動に思える。

> 思わず祈りのポーズ。
お父さん、お母さん、勇気をくださいと。

一宿一飯の恩は返すようにと、一応躾けられている。

> もっと周辺の詳しい地図はないだろうか。
パソコンで調べればいいのだろうが、どうも機械関係は苦手だ。

せっかくなので、いただいたパンを一口はむり。
お腹がすいていたこともあって、あの少女の優しさが沁みる。
また、なんだか泣きたくなった。

> 腕時計を見る。
そろそろ、休み時間が終わる頃だ。

「まーくん、戻ろうか」

いただいたパンが入った紙袋ごとバッグへと詰め込む。
涙をぬぐって、所定の位置へとストラップを戻す。

リン…と。
この場で聞こえるはずのない音が聞こえた。
鈴の音だ。
すぐ間近で。
くまの首に結ばれた、リボンの中央に鎮座する、金色の。

> そんなはずはない。
だって、この鈴は――

> どくんどくんと心臓が脈打つ。
すぐ耳元で聞こえてきそうなほどに。

勢い良くバッグを背負い、地面に敷いていたハンカチを乱暴にパーカーのポケットにしまう。

> 漠然とした不安を、あたりを視認することで収めようとした。
大丈夫、大丈夫。

なぜこんなに不安なんだろう、なぜこんなにも――
うそだといってほしい。

……りりん。

再び転がる小さな音。
すぐ間近に。

「……いやっ」
耳を押さえて、その場を逃げるように駆け出した。

ご案内:「屋上」からさんが去りました。
ご案内:「購買部」に若鷺 智さんが現れました。
若鷺 智 > 時刻はちょうど昼食時。
人々でごった返している購買部に、制服をだらしなく着こなしている少女が顔を出した。

「あー…もうちょい早く来ればよかったかね。
こりゃ品物見るだけでも大変そうだ」

失敗したな、と思いつつ…財布の中身と相談しながら、物色するものを考えていく。

若鷺 智 > 「…まぁ、多少買う余裕はあるか」

財布の中に紙切れは殆どなく、小銭がひしめく形となっているが…購買で買い物する分には困らなさそうだ。
というのが少女…智の判断だった。

「とりあえず、パンでも見てみるかね。ヘルに勧められたモンもあるし」

周囲をキョロキョロ見回しながら、パン売り場と思われる場所へと足を運ぶ…。

若鷺 智 > 「さて、人気のカツサンドとやらは…………見事に売り切れてるっぽいなァ」

屋上で食べたカツサンドの味を思い出しながら、残念そうな声を上げる。
人気でしかも品薄だ…とヘルが言っていたことを思い出す。
やはりもう少し早く来るべきだったか。

「しゃーない。他のパンも見てみよ」

目に付いたパンを手当たり次第手に取り、チェックしていく。

若鷺 智 > 「メロンパンは…あるな。しかもやたら大量に置いてあるし」

首を傾げ、少々迷う素振りを見せながらも…そのうちの一つを手に取って買い物カゴに入れる。
そして購買初参戦にも拘らず、この余剰分をもうちょっとカツサンドに分けてくれ…と切に思うのであった。
やはり『人気』だとか『品薄』だとかいう言葉にはそう思わせる魔力がある。
美味であることも知っているから尚更なのだろう。

「あと勧められたのはなんだったっけ。チーズ……パン……?」

先日聞いたばかりのことをもう忘れてしまったらしい。
眉間に皺を寄せて考えるも、名前が出てこない。

「……まぁ家で焼いたらうまいとかそんな話だった気がするから、いいか」

パン売り場を通り過ぎようとした際に目に付いた焼きそばパンをカゴに入れ、他の売り場へと移動する。

若鷺 智 > 「飲み物は……コーヒーでいいか」

小型の紙パック入りのコーヒーを一本、カゴに入れる。
このタイプはストローも付いていて飲みやすい。
…たまに飲み口がうまく開かずに悲惨なことになったりもするが。

「しっかし…これ、思いっきり目に見える形で財布の中身が減るだろうな…。いくらなんでも貧乏すぎだろ」

先日ヘルが言っていた『対価』を毟り取っておけば良かっただろうか…とさえ考えてしまう。

「あー、やめやめ」

貧乏は心まで貧しくする。
早めにお金を稼ぐ手段を探さないとな…と思いつつ。

「えっと…あれはどこに…」

人ごみをかき分けながら、智的には本日のメインディッシュと称してもいいものが売られているであろう場所へと向かう。

若鷺 智 > そうしてやって来たのはお菓子売り場。
智は一直線にガムやキャンディの置き場へと向かい…そして。

「やった!購買ナイス!バイチュウの新作、置いてあるじゃーん♪」

大喜びで手に取ったのは…すもも味のチューイングキャンディ。
特にこのメーカーのものは智の大好物であり、常世島に来る前もよく堪能していたのだ。

「買える時に買っとけ…ってね」

新作を数本。それ以外にも数種の味を1~2本ずつカゴに放り込み。
買い物カゴを揺らしながら、意気揚々とレジに向かうのであった。

若鷺 智 > 「……高く付いたけど。背に腹はかえられないってやつよ」

世間的に見ればどう考えても無駄遣いの領域なのだが、智はそうは思わないらしい。
かなり軽くなってしまった財布から目を逸らしつつ、色々なものが詰まった袋を満足そうに見つめ。

「これで当分は困んないかな?」

食糧は確実に一食で底を尽きるのだが。
そんなことはどこ吹く風と言わんばかりに購買を出る。

「で、次はどこ行ってみるかねぇ…。
確かここ、カフェとかもあるんだっけ?」

しかし授業すら満足に参加していない智には行き方が分からない。
とりあえず周辺の立地を把握するために購買部周辺をうろついてみる。

若鷺 智 > 「えっと……学園地区の学生街、ねぇ」

長く伸ばした茶髪を指先で梳かしながら、道案内の掲示板を眺めていた…が。

「だー!そもそもどこからが学生街なんだよ!こんなモン見ても分かんねぇっての!」

突如、地団太を踏み始めた。
智は地図の理解がほぼ出来ない上、立地把握も相当に苦手だった。
それこそ、常世島に来る前も自宅周辺の住宅街等で何度も迷子になっていたほどには。

若鷺 智 > 「くそっ…。こういう時、顔見知りがいればそいつに訊くんだけどな…」

自らの理解が追い付かないもどかしさに歯を噛み締める。

「…まぁ、この地に顔見知りなんて一人もいねーけどさ!
いや、今は一人だけいるのか」

とはいえ、周辺にいなければ同じことだ。
ないもの強請りしても仕方がない…と自分に言い聞かせ。

「…手当たり次第移動してみるのも手かねェ?」

先程購入したチューイングキャンディを開け、包みを一つ解いて口内へと放り込む。

「ん……うまい」

しかめっ面になっていた表情が、少しだけ綻んだ。

若鷺 智 > 「んー…。散歩がてら、色々歩き回ってみるかァ」

昔と今は違う。
とにかく周囲の風景を目に収めていけば、位置関係も徐々に把握していくだろう。
そんなお気楽さを胸に秘め、智は購買部周辺を後にする。

…周囲にはすももの甘酸っぱい香りだけが残された。

ご案内:「購買部」から若鷺 智さんが去りました。
ご案内:「教室」にサリナさんが現れました。
サリナ > 放課後、この後に控えている授業もないので教室に残ってノートに鉛筆を走らせている。
よくわからない文字、図面、と思えば誰でもわかる言語で書かれた文字…と、ノートの中身は混沌としていた。

サリナ > 「………」
しばらくすると、カツカツと鉛筆の先がノートに点だけを残していく。その先に続く文字が出てこない。

(ヒートポンプ、電磁波、ラーメン、収斂、酸化炎、指向性、ラーメン…は明日にでも)
思考の混濁、ここ最近学んだ事、今したい事…それら雑念が脳を支配して力が抜けると鉛筆がカラリとノートの上に転がった。

サリナ > ごろり。
机に頭を乗せて窓の外を見る。夕陽が赤く染まっているのが見えた。

「足りない、光が足りない、熱が足りない、方向が定まらない……」
思い悩んでいる事を小声で呟いたあと、手を伸ばして陽の光を遮る。

「太陽はあんなに万遍なく照らした上で熱いのに」
(届かない…)

サリナ > 「小腹が空いてる」
ばっと起き出してポーチの中身を探る。日に2回の間食を入れるのでそろそろ頃合なのを思い出したのだった。

ご案内:「教室」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > そんな教室に近付く足音。
話声も聞こえず、足早なそれは、学生のものではないと、すぐに分かるだろう。
教室内の気配に気づいたのか、扉の前で立ち止まって…

「ん……まだ、誰か残っているのか?」
…白衣の男が、教室をのぞき込んだ。
彼は魔術学の教師だが、貴方は彼をどこまで知っていてもいいし、全く知らなくてもいい。

サリナ > ポーチからカロリーメイト一袋を取り出すとぼそぼそと食べ始めた。

「……」
食べながら、声がしたのに気付いて視線を移す。教室を覗き込む男をサリナは知っていた。
前に講義、実習を受けた…その程度の関係ではあったが…

獅南蒼二 > 「…お前は、サリナ、だったか。」
……普段なら、授業を受けた生徒の名前など、いちいち覚えてはいない。
だが、純血の魔術師で、尚且つ研究の進んでいない未知の魔術体系を確率している人物であったためか、記憶に残っていた。

「居残りというわけではあるまい……熱心に勉強か?」
見ればカロリーメイトを食べている…アスリートか、締め切り間際の学生くらいしか、食べているところを見たことが無い。

サリナ > 自分の名前を呼ばれ、相手の名前を思い出す。確か名前は…

「…獅南先生」
そう呼んでから食事の手を止めた。そのまま続けて…
「そうです、勉強をしていました…そろそろ教室の鍵を閉めますか?そうであれば私は移動しますが」
少し立ち上がってすぐにでも教室を出れる事を示した。

獅南蒼二 > 「ん、いや…そういうことなら急ぐ必要は無い。
 そもそも、私の管理区域ではないからな。」
鍵なんかもっていないよ。と肩を竦めて笑いながら、男は教室へ入ってきた。
サリナが立ち上がれば、座っていていい、と、手をひらひらさせて、

「生徒全員がお前くらい熱心だったらと思うよ……
 …で、今現在の、お前の学習課題は一体何だね?」

サリナ > 「はい」
獅南の手振りを見てそのまま素直に座った。

「今現在は…光や炎の魔術、自然科学、魔法エネルギーの増幅、指向性についてです」
聞かれた事だけをつらつらと答えていく。表情を一切変えず、その視線はまっすぐだった。

獅南蒼二 > 相手が座れば、近くへ歩み寄る。
「……思った以上に混沌としているな。」
そんな風に苦笑を浮かべつつも、見せてみろ、と声を掛けた。

見どころがある、と、そう判断しているのかもしれない。
もしくは、ただの暇つぶしかもしれないが…。

サリナ > 「すみません、ノートを書くのは苦手なので…」
開いたノートを相手の方に差し向けた。
ページをめくってみれば今言った学習課題の事や、電化製品のしくみ、太陽の事…あとは近所の飲食店について書かれていた。
めくっても次のページにはまるっきり違う事がかかれていて、一ページに収まらない混沌を擁していた。

獅南蒼二 > 眩暈がする。それがきっと、素直な感想だっただろう。

だが、魔術学の教師として、興味深い内容も書かれている。
……何より、魔術だけでなく科学分野にも言及しているのが、面白い。

「なるほど…光や熱に指向性を持たせるための工夫か。
 お前の魔術体系と組み合わせれば非常に面白い結果が得られそうだが……それで何をしようというのだ?」
クッキーを焼くわけではあるまい?と、少し茶化しながら、聞いてみる。
その研究に、目的はあるのか、と。