2015/06/16 のログ
■綾瀬音音 > (唇がかすかに動く。それはきっと誰もが祈ること。少女もまた祈りを込めて口にする。あからさまに声に出すには少しだけ恥ずかしくて、陳腐な願い。ゆっくりと歩調を勧めたまま)(幸せでありますように)
■綾瀬音音 > (後はぼんやりと、空を時々見上げながら、寮までの道を歩いて行った)
ご案内:「学生通り」から綾瀬音音さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に森永こあらさんが現れました。
■森永こあら > 黒髪黒眼、日本人然とした二十歳前後の少年。
若干改造した制服や耳の下のコアラのタトゥーは、露骨な不良というほどではないが品行方正とも見えない。
そんな感じの奴が、通り沿いのコンビニの前に立ち、店内で買ったと思しき串に刺さったからあげを持ってパクついていた。
と、誰か他の客が連れて来たのか、傍らの街灯に紐で繋がれている秋田犬と目が合う。
「……なんだよ」
1m強の距離を隔て、犬とこあらが見つめ合っている。
ご案内:「学生通り」にエリナさんが現れました。
■エリナ > 制服をきっちりと着込み姿勢良く歩く手入れされたポニーテールが特徴的な女生徒はいわゆる優等生という奴で心持ち急いで岐路についていた。
授業を終え自習をしていたらいつもよりも遅くなってしまったのだ。
そんな彼女がコンビニの辺りに差し掛かると不思議な光景が眼前に広がっていたのである。
犬と見つめ合う男子生徒が。
ともすれば犬相手にガンを飛ばしている非常に滑稽な絵に見えたのだ。
そんな姿に思わず噴き出してしまう女生徒。
■森永こあら > 「ん゛?」
周囲から聞こえた笑い声に、犬からそちらへと視線を移す。
なかなか眼力の強い秋田犬に気圧されぬようこあらも力を入れていた視線が、そのままの力でエリナを撃つ。
■エリナ > 「ふふっ……ごめんなさい、少々面白かったものですから。」
こあらの視線に全く動じない様子でこあらの傍までやってくる。
そして秋田犬を撫でようとしゃがみ手を伸ばすのだ。
■森永こあら > 目を向けた相手が、育ちよさげな少女、しかも割と――いやかなりかわいい子だったというので、こあらは内心焦った。
慌てて、犬と張り合っていた名残を消そうと目を揉みほぐす。
その最中に、少女の柔らかな声が聞こえる。
(お、ビビられてねえ! よかったぁ~~~)
十分目線が、あと力を入れていた目の周りの筋肉がほぐれた頃に、目を開く。
と、そばに美少女が! しかも犬に手を!
「あっ。あー、気ぃつけた方がいいんじゃねえかな。
そいつ、俺にメンチ切ってきてたし、気が立ってるのか、も」
そういうこあらの立ち位置は、微妙に繋がれた秋田犬からは届かない場所である。
■エリナ > 「あら、そうですの? こんなに大人しくていい子ですのに。」
こあらの忠告と、もふもふ秋田犬を撫でているのは同時である。
犬は先程までの激しい睨み合いはどこへやら、ごろんと寝転がり腹を見せていたのだ。
彼女はとても嬉しそうな表情で犬を撫で続けている。
■森永こあら > 「…………」
リラックスした犬に、こあらは憮然とした表情を浮かべた。
さっきまでは、実際のところは強く見つめ合う程度で、こあらから睨んではいなかったのだが、
今は明確に非難を込めた視線をだらしない姿勢の犬に注ぐ。
「っだよ、犬のくせに可愛い女の子には尻尾振るたぁ、スケベな奴だぜ。
……あ、でもメスかこいつ」
腹を見せているということは、そういうことが分かるということ。
「この! メス犬! 浅ましい子!」
などと罵倒するが、『昼ドラのイヤミな奥様』口調は明らかに冗談だ。
■エリナ > 「ふふっ、ダメですよ、そんな言葉遣いをしては。」
こあらの口調に再び笑い、彼女もこあらに倣い人差し指を立てつつ冗談めいた口調で諌める。
渦中の犬はというとこあらの非難の視線に目もくれず、ぐでーっと脱力してされるがまま。
こあらの事なんて眼中に無いと言わんばかりのふてぶてしい態度であった。
■森永こあら > 「おっとと、失敬」
お嬢様然とした口調でたしなめられると、割と本気で申し訳なくなる。
そういうのが高貴な態度というものの力かもしれない。
(だが、ただのお嬢様ってえ感じじゃねえよなあ。
さっきも全然ビビらなかったし、今の言葉にも穏やかな態度だしよ)
「……なんてのに関係なく、こいつはノンキなもんだぜ」
これだけリラックスしてれば噛みつかれたりはしないだろうと踏み、
こあらもエリナの隣にしゃがんで秋田犬の横腹に手を伸ばす。
そうしながらエリナに話しかけた。
「なあ、君ここの生徒だよな?
まさかその外見で先生だったり?
年齢152歳ですわ、とか言ったりしてよ」
■エリナ > 「どう見えますか?」
制服のスカートをつまんでくるりとその場で一回転し、いたずらっぽくこあらに問題を出してきた。
一方、リラックスというより脱力状態の犬の横腹にこあらの手が触れた瞬間今までとは明らかに違う鋭い視線が彼を貫くであろう。
■森永こあら > 「……うーん」
エリナの問いかけに首をひねる。
冗談めかした問いかけに真剣に頭を使う様子を見せ、やがて一つ頷く。
「先生じゃねーと見た!
だってよー、教授がそんな格好してたら、
習う方は落ち着かねえし、生徒から道ならぬ恋のアタックされて大変だろ。
不老長寿で教員になるくらいの力がありゃ、威厳のある姿に化けたりもできるはず。
だが君はしていない。
なぜか!
若くてカワイイ美少女姿で問題のない、若くてカワイイ女子生徒だから!
でもなんか肝が座ってそうなのは、ここに飛ばされるくらい過去になんか経験してるから!
この名探偵こあらの推理、どうだ! イッデェー―――ッ!?」
決め台詞の直後に悲鳴をあげた。
エリナに注意を奪われていたこあらは、秋田犬の不機嫌さに気づかず無意識に横腹を撫でまわし、
とうとう噛まれてしまったのだった。
「っっっっってえなオイオラァ!」
手を振って犬の口を振りほどき、飛び退る。
その手から十枚ほどの桜の花びらが舞った。
■エリナ > 「えっ……確かに教師ではなく学生ですが……その……は、恥ずかしい……。」
まさかのカワイイだの美少女だの連呼されるとは思っていなかったようで耳まで赤くさせた。
手で顔を隠し凄く恥ずかしがっている。そんな様子もまた可愛らしいと思わせてしまうかもしれない。
「あっ! だ、大丈夫ですか!?」
恥ずかしがっていたせいもあって犬の様子に気付かず噛む事を阻止出来なかった。
慌てて飛び退いたこあらの傍にやってきて手の傷を伺おうするだろう。
■森永こあら > 「ヘヘッ……ビンゴ、だぜ……」
手を抑え、致命傷を受けながら一矢報いた兵士じみた台詞を呻いた。
(この名探偵こあら、褒めまくったのも計算済みよ!
その動揺した姿を見たかった!
あと俺にちょっと好印象持ってほしかったから!)
「……っつー、あー、いてえ、けど、大丈夫じゃねえかな……。
骨とか筋とかはイってねえだろ。
ビョーキとかの方が怖ぇな……」
素直にエリナに傷を見せる。
こあらの右手、手の甲と平の小指側に歯形がついていて、そこから血が滲み始めていた。
傷の周辺にも手にも、犬の唾液のようなものは一切付着していない。
■エリナ > 「……良かった、傷自体は大したものではありませんのね。」
ほっと胸を撫で下ろすエリナはこあらの手を取り治癒魔術を展開させた。
淡い緑色の光に包まれ、手の傷はあっというまに塞がってしまう。
「はい、もう大丈夫ですよ。病気の心配も無いはずです。」
優しい自愛に溢れた笑顔で言うエリナ。
それにしても、と彼女は思った。こあらの手に犬の唾液等が全く付着していないのが気になったのである。
そして、噛まれた直後に舞った花びらも気になる。手品の類ならもっと上手くやるだろうし、かと言って魔術の類であれば魔力を感じるはずだ。
だが結論に至るにはあまりにも情報が無い。とりあえず不思議な事もあるものだ、と考えることにした。
■森永こあら > 「おわっ?」
手を包むように握られたことに少しドキリとするのも一瞬、
ほのかな光は、痛みも傷も拭い去ってくれた。
(女の子が絆創膏貼ってくれる、みたいのは外でもよくあるけどさ。
これってなんか、スゲー! グッ! とくるぜ……へへ)
そんな思考を、そのまま冗談にしようかとちょっと思ったのだが、
見ず知らずの関係なのに善意で傷を癒してくれた今そうするのは少し失礼かな、と考え直す。
ギュッギュッ、と手を動かして、少し照れ臭そうにしつつ礼を言う。
「……すっかり治ったみたいだ。ありがとな。マジでさ。
今のって魔術、だよな? 多分だけど。
能力でも魔術でもどっちでもいいんだけどさ、なんか迷惑になったりしねえ?
ほら、使うと触媒がいるとか反作用があるとかいう人もいるじゃん。大丈夫?」
■エリナ > 「ふふ、大丈夫ですよ。この程度の魔術なら触媒や消耗はありませんから。」
朗らかに笑うエリナ。そしてそのまま振り返り秋田犬に『めっ』と叱っている。
■森永こあら > 「そっか、よかったよ。返す返すサンキューだぜ。
魔術得意なんだな。俺はどうも相性が悪くてよー。
ヘッ、魔法にも嫌われ犬にも嫌われで困ったもんだぜ、誰か好いてくれっつーの」
冗談めかして愚痴ってから、おもむろに道端にしゃがみ込む。
さっき手からこぼれた花びらを拾っているのだ。
そして、手元で何か細かいことをして、小さく舌打ちした。
エリナに向き直ると、花びらのうち二枚ほどを差し出す。
「……あのさ、お世話になったついでにもう一個頼んでいい?
もしそいつが落ち着いて口の中を確認できそうだったら、
この花びらをそいつの口の中に入れてほしいんだ。
『二本くらい歯が欠けているはず』だからさ、その欠けた歯のとこに当てて欲しいわけ」
申し訳なさげにエリナにお願いをする。
「って、急に言ってもなにしたいのか意味わかんねえよな。
俺の≪能力≫は、触ってるもんを花びらにできるんだ。
んで、今咄嗟に、病気になりづらいよう涎を花びらに変えたんだが、
一緒にそいつの歯もやっちゃったっつうわけ。
そのまんまにすんの悪いじゃん、ベタベタ触った俺も、まあ、1ミリくらいは悪いわけでよー。
欠けた場所に触れさせれば元に戻せるから、頼めねえかなぁ」
■エリナ > 「まあ、私はあなたの事好きですよ?」
もちろんお友達的な意味である。
こあらの能力について聞いたエリナはなるほど、と思った。
噛まれた時の花びらに合点がいったのだ。
困っている人(もとい犬)を見捨てることなんて出来るわけが無い、彼女はそういう性格なのだ。
「勿論です! ごめんね、ちょっと大人しくしていてね?」
二つ返事で承諾すると犬の目をじっと見つめ、そっと口に手を伸ばす。
肝心の秋田犬はと言うとトロンとした表情で大人しくされるがまま、エリナはたやすく歯が欠けた場所に花びらを触れさせた。
■森永こあら > 「そりゃ嬉しいな。俺の片想いじゃないってわけだ」
もちろん、お友達的な意味に限らない。
――まあ、本気で恋愛対象として惚れるには、いくらなんでもまだ関係が薄すぎるが。
「気をつけろよ……って、その必要はなさそうだな。
ほんとビッチ」
犬の機嫌を損ねないようごくごく小さい声で毒づいて、
「ん、オッケー」
花びらが触れたのを確認して一言。
瞬間、前触れもなく花弁は欠けた歯の先に同化するように動き、気づけば欠けた歯の先端は元通りとなっている。
秋田犬もとろけた表情を崩そうとはせず、何が起きたか気づいていないようだ。
「もういいぜ。市民のご協力感謝いたします、ってな」
ふざけた敬礼の後、懐からティッシュを取り出して、手ぇ拭きなよ、と渡そうとする。
■エリナ > 「ふふっ、面白いこと仰るのね。」
上品に口に手を当てクスクスと笑った。
そしてこあらの能力を目の当たりにし、驚きつつも安堵の表情で秋田犬を見つめている。
「良かった、これで一安心ですね。」
差し出されたティッシュを受け取り『ありがとう』と礼を言った。
■森永こあら > 「そりゃあもう、一目惚れだからよお。
……っつう割には君の名前も知らねえわ。
今更だがお嬢さん、あなたのお名前なんてーの。
ちなみに俺は森永こあら19歳、ここで学んで二年目の男」
左耳の下の、ファンシーな絵柄のこあらのタトゥーを指すポーズをしつつ自己紹介をする。
「おかげさまで一安心だ。
にしても君、ほんと動物に好かれるんだな? コツでもあんのか?」
■エリナ > 「そうでした、初めてお目にかかります。私エリナ・ハークライトと申します。」
スカートを僅かに持ち上げ優雅にお辞儀をするエリナ。
洗礼されたそれは改めて教育の良さを感じさせることであろう。
「ふふっ、お母様に少しコツを教えて頂いたのです。」
秋田犬と戯れている時の彼女は無邪気そのものである。
■森永こあら > 日常生活でなかなか見ない、上流階級そのもの、といった礼にどぎまぎする。
「……お、おう。よろしく、ハークライト、さん」
しかも姓もなんか血統がよさそうだし、思わず苗字にさん付で固めに呼んだ。
「へえ~、コツなんてあるのかよ。
俺にも出来そうなら教えてくれない?
ほら、不良が動物に好かれてるってさ、人気でそうじゃん、ギャップ萌えっつーの?
いや俺は別に不良じゃあないがよ」
などとねだりつつ、
(お嬢様が犬と素直に戯れてる姿……何のギャップもないがこの魅力には勝てそうにないぜ)
とゆるんだ表情でエリナと犬を見ている。
■エリナ > 「まあ! エリナで構いませんよ、森永様。」
どぎまぎしているこあらを見てクスクスと笑うエリナ。
思う存分、秋田犬を堪能するとそっと離れ立ち上がる。
そしてこあらへと振り向きざまに質問に答えるのだ。
「ごめんなさい、これは企業秘密なんですの。」
■森永こあら > 「ん……そうか。じゃあ、エリナ――」
その後に、さんを付けるか、ちゃんを付けるか、呼び捨てか。
迷った結果、つけるタイミングを逃してなんだかモヤッとした語尾になった。
少女は圧迫感など一切ない柔らかなたたずまいなのに、どうも気圧されている気がする。
それこそ、あの犬のように腹を見せて降参したくなるような心地すら覚える。
気を取り直して口を開く。
「俺のことも、もっとフランクに呼んでくれていいんだぜ。
エリナちゃんとこの礼義がどこまでの砕け方を許すのかわからねえが。
……企業秘密は残念だけど、なんとなく、そのワンコの方の気持ちは分かる気がするよ。
犬だけじゃなくコアラにもそのコツは効くのかもな」
なーんつってな、と笑った。
■エリナ > 「それでは、こあらさんとお呼びしますね。」
にこやかな笑顔のエリナ。
企業秘密と言って隠す事に罪悪感を感じつつも『コツ』の正体を教えてしまえば相手に余計な疑惑を持たせてしまう為、エリナは言えずにいた。
コアラにも効くと聞いた彼女は『ユーカリの葉を用意しておけば良かったですね』とお茶目に返しふと時間を見る。
しまった! つい秋田犬とお喋りにうつつを抜かしていたようですっかり遅くなってしまった。
「いけない、もうこんな時間ですね。 こあらさん申し訳ありませんが、私はこれで失礼致します。」
再び優雅にお辞儀をする。
■森永こあら > 「用意されてたらモサモサ食うぜ。
他に何もしないくらいモサモサ。
ユーカリって毒あるらしいが関係なくモサモサ。
そしたら撫でてくれ」
などとテキトーなことを言っていると、エリナが時間に気付く。
「おっ、そっか。あれこれ付き合わせちゃって悪かったよ。
……ケガ治してくれたの、ほんとありがとな。
そんじゃ、俺の運がよかったらまたな」
丁寧なお辞儀に対して、無造作な会釈と片手を挙げた挨拶を返す。
■エリナ > 「いえ、私も楽しいひとときを過ごさせて頂きました。 御機嫌よう!」
そして急いで家路につくのエリナであった。
ご案内:「学生通り」からエリナさんが去りました。
■森永こあら > エリナをなんとなく満足した気分で見送ってから、ふと足元に目をやる。
秋田犬もエリナの去って行った方を見つめていた。
「……なんだお前、意外と俺と気が合うんじゃねえの?」
なんて呟き、そっと手を伸ばすと、
犬<グルル…
「ああ、ああ、期待してなかったよ、ちっともな」
手を引っ込め、肩をすくめる。
唐揚げ棒の串をコンビニのゴミボックスに放り込む。
老婆がコンビニから出てきて、犬に歩み寄りリードを外しだす。
犬は慣れた調子でじゃれつき、老婆もそれに言葉を返す。
しばしそれを無言で眺めてから、
「ヘッ、ヘッヘッ、エリナちゃんが好いてくれるからな、今は孤独でも構やしねえよ」
肩をすくめ、ゆったりした足取りで男子寮への帰路についた。
ご案内:「学生通り」から森永こあらさんが去りました。
ご案内:「学生通り」に月雲 椿さんが現れました。
■月雲 椿 > ―――夕方時、放課後にも値するその時間は己のほかに幾らか
学生の人影がある事に説得力を持たせていたが、浮き足立つような足取りで
歩く少女に、その姿を怖がる素振りも、気にする素振りも無く。
「………ふふ」
紅色の刀袋の紐を歩くリズムで揺らしながらも、一瞬。
辺りを緩く見渡して邪魔にならぬようこそこそと道の隅へと身体を寄せれば
刀袋と共に抱えていた小さな紙袋を漁り、中から一冊の漫画本を取り出した。
タイトルは「君と僕の話」
今話題の少女漫画であり、書店でも比較的大きく取り上げられる事が増えてきた。
「やっと発売だよ~……!
アミとユキヒトが喧嘩した所で終わっちゃってたから、
もうすっごく気になってたのに、ああ…どうしよ…喫茶店とか入って読んじゃおうかな」
ご案内:「学生通り」に洲崎さんが現れました。
■洲崎 > はぁ……悪いことしちゃったなぁ。
(ポリポリと頭を搔きながら通りを歩く白衣の男が一人)
おろ?
……おぉ、サムライガールじゃん♪
何してるの?
(少女漫画をを持つ少女に近づき、声をかける)
■月雲 椿 > 「嗚呼、でも今月のお小遣いが……」
ぶつぶつと小言を零しながらも目の前の漫画本を見つめ、
近くの喫茶店の看板を不審者宜しくちらちらと盗み見ていた、手前。
掛けられた声には思わず大きく飛びのくように後に下がり、
声を掛けた相手を見やれば呆けた顔で瞬きを何度も、何度も。
「さ、さむらい、がーる……?」
彼が零した言葉を一度繰り返しながら緩く首を傾けながら、
驚きに胸をなでおろすように一度深く呼吸をし。
■洲崎 > あれ、どったのサムライガール?
この前となんか違う感じ?
(馴れ馴れしく近づいてくる優男、新手のナンパにも見える)
んん?
あぁそれ君僕だね♪
最近人気だよねー、本屋さんにもそれ専用のコーナーあるし♪
■月雲 椿 > 「―――へ?え?こ、この間?
あ、も、もしかして学園の人……ですよね」
もしかして、と言葉を零すがこの島に住んでいる殆どの住民が
学園に関係する人物だと思えば語尾が自信無さそうに小さく窄んだ。
緩く首を傾けながらも彼の言う「この前」が思い出せない少女は
愛想笑いを緩く浮かべ。
「そ、そうです、君と僕の話……
ずっと楽しみにしてたので、あの……」
時折視線を泳がせながらも、新手のナンパにも思える相手を
果たしてどう対応するべきかと悩んでいる様子が見て取れるかもしれない。
大きな刀袋を抱えながらも小さく丸くなるように肩を竦め、極度に視線を泳がせる様は、
新手のナンパを誇張させ、傍から見ればある種の脅迫などにも見える、かもしれない。
■洲崎 > え?
まぁ確かに僕先生だけど…変なサムライガール♪
(クスリと笑い少女の顔を見て楽しそうだ)
ハハ、楽しみにしてたなら良かったじゃない♪
続編物とかは続きが出ると嬉しいからねぇ…
うーん…やっぱり変だねサムライガール?
この前の気迫もないし…僕の首筋に熱いキスをしてくれたのは
もしかして遊びだったの!?
(ショックに打ちひしがれるように顔を覆う。)
■月雲 椿 > 「せ、先生……?あ、嗚呼、な、なるほど」
教師だと聞けば一瞬納得するようにして息を吐き、
けれども見覚えが無い事に緩く首を傾ける。
もしかしたら自分の学年と異なる学年を見ているのか、
はたまた自分が失礼にも忘れているのかを緩く思案しながらも。
「そ、そうですよね。友達から借りて、面白くて……
へ、へへ、変、ですか?え?あ、えとでも、あの、
そ、そうですよね、わ、私が先生の事忘れちゃってるのかな……
――――って、わ、わた、わたし!そ、そそそそ、そんな事しませんっ!」
首筋に熱いキス、と言われれば湯気が出るほど肌が赤らみ、
思わず声が大きくなる。
失礼にも忘れているだけかと自分を苛んだのも束の間、
漸く実際に会った事の無い人物なのだと理解をしたのはつい今。
少女が上げた声にすれ違う人がうっとおしげな視線を幾つか投げてくるかもしれない。
■洲崎 > 忘れちゃったなんて…僕悲しい!
ってうわ!
(いきなり大声をあげられたのに驚く。)
うーん、でも君確かに僕の首元にキスしたよ♪
でも…君は覚えてないか……残念♪
あぁ、そう言えば思い違いだったかも?
(そこまで行ってうんうんと悩み始める)
■月雲 椿 > やはり見覚えの無いにも関わらずぽろぽろと零れ出る思い出話に
思わず刀袋をぎゅうと握り締めた。
「わ、私、あの、そ、そんな下品な事を人にしたり、し、しません」
はくはくと唇を動かしながら見知らぬ人に漸く零し、
けれども、思い違いだったかもと悩みだす相手には目を白黒させ、
嘘なのか真なのかも分からないその言葉に思わず肩を竦めた。
まるで弱いものいじめにも見えるかもしれない、少女が酷く怯え肩を竦めながら、
漸く辺りをちらりと見渡せば密やかに視線を投げられている事に漸く気がつく。
声を上げたり、異様に怯えていればそうもなる、だろうか。
■洲崎 > んー…?
(改めて少女を見つめる。じーっと…)
あ゛……
(刀袋を持つ少女…とても似ているが、この子は別人……)
ハハハ、まいったね…
(ゆっくりと流れるような動きで地面に膝を付き)
ごめんなさい!!
(そのまま男は綺麗な土下座をした)
■月雲 椿 > ゆるゆると人の視線が気になり始めた頃、
じぃと見つめられる目線にびく、と身体を震わせ。
小さく震えだす様は小動物にも似ているかもしれない。
あからさまに怯えだす少女の目の前、
少女よりも大きな男性が、目の前で、土下座をした。
思わず瞳を丸める少女とざわつきが広まる周囲。
恥ずかしかったり混乱だったりと、ぐるぐると感情が渦巻く中で
「あ、ああ、あの、や、やめてください、だ、大丈夫ですから、あの」
おろおろと声を零しながら相手の顔を上げさせようと声を掛け、
恥ずかしいやら理解が追いつかないやら混乱するやら土下座やらと
頬赤らめ慌てるように視線を逸らしながらももごもごと言葉濁しつつ。
■洲崎 > あぁそう?
でもごめんねぇ、本当にすまなかったよ♪
(そう言って立ち上がり、衣服に付いた汚れをパンパンと払う)
じゃぁ改めて、僕は洲崎♪
異能開発の非常勤講師みたいな物だよ。
あんまり授業なんかはしたりしないんだけどね、異能や力の使い方
について研究室でアドバイスとかしてるんだ、よろしくね♪
■月雲 椿 > 綺麗な土下座からあっさりと立ち上がった相手に
やはり目を白黒させながら見やり。
名乗りだす相手には首を縦に振るだけ振った。
「は、……あ。
え、あ、は、はい。あの、よ、よろ、よろしく、お願いします」
へこへこと頭を下げながらも流石に周りの視線に耐えられなくなってきたのか。
刀袋をぎゅっと一度強く抱きしめれば。
「あの、あの、ご、ご、ごめ、ごめんなさいっ!」
大きく頭を一度下げ、まるで逃げるようにして走り去るだろう。
散々混乱しパニックになったとは言え、相手の真意も測りかね、
ついでに視線にも耐えかねれば混乱のまま走り去る事になる。
果たして彼の言葉が本物であるのか、はたまたそれまでも緩やかな嘘か。
それを今後知る事になるかどうかは、今だ分からないのだが―――
ご案内:「学生通り」から月雲 椿さんが去りました。
■洲崎 > はは、それじゃぁまたね―♪
(去って行く少女に別れを告げる)
はぁ…僕も今日は帰ろうかな。
(男も歩き出す、今日は何だか調子が悪い…無理が禁物だ。)
ご案内:「学生通り」から洲崎さんが去りました。