2015/07/06 のログ
雪城 涼子 > 「ふふ……それは嬉しいわね。私が言うのも何だけど、あの子可愛いし、根もいい子なんだけれど……あんなでしょ?
 いまいち恋愛とかに流れなくて気にしてたのよねえ……」

しみじみ、と語る外見女子高生。
中身は既にアラフォーに突入するところであるので、歳相応ではある。

「そっかー……で、えっと……んー……」

どうしよう、流石にプライベートだ。どこまで聞いたものかな、と少し思案し始める。でも、これははっきりさせておきたい気がするので、聞こう。

「やっぱり、なにかした、のもひょーかちゃん、でいいのかな?」

霜月 零 > 「ああ、そりゃなんかわかります」

自然と敬語になってしまう。なんだかこう、変な遠慮をしてしまっている感じだ。
氷架は性格もいいのだが……意地を張るところがある。それで、恋愛に現を抜かす、と言う行為をどこかで敬遠していたのかもしれない。

「うーん……取り敢えず、順を追って話した方がいいですかね。
その上で……謝らなきゃならんこともあります」

雪城 涼子 > 「んんー、やっぱり他人行儀ー……っていうか、そっか。
 ひょーかちゃんと恋人さんになったってことは、私の話も聞いたのかな。」

年齢の話とかしてないし、年上と知ればつい一歩引いてしまうのも仕方ないことかもしれない。

「ん、まあ……うん。そりゃ、聞きたいけれど……話せる範囲でいいわよ……って、謝るって……いや、うん。いいわ。続けて。」

順を追って話す、ということだったので、何か言いたそうだったが口をつぐんで先を促す。
まあ、無茶なことをする相手ではないだろうし、トンデモ話が出ることはきっと無い、と信じたい。
氷架のことも信用してるし……だいじょうぶだよね?

霜月 零 > 「まあ、そこは勘弁してください。俺だって緊張してるんです」

困ったように頭を掻く。シチュエーションがシチュエーションなので、やはり緊張気味なのだ。

「で……まあ、きっかけは俺がたまたま、訓練してた氷架を見つけて、声をかけたとこで。その前に面識だけはあったし、炎の巨人事件の事もあったんで、その時点じゃ特に深い感情はなかったっす。
まあ、そこで話してたんすけど……まずここで謝らなきゃなりません。
俺、涼子さんの話をして……それで、氷架のトラウマを、刺激しちまったんです」

頭を下げる。
まず取っ掛かりはそこなのだ。母親の死などと言う、トラウマになっていることが容易に想像できる話。それを安易に振ってしまったのは、結果はどうあれ失敗と言えるだろう。
これは、しっかり詫びておかねば気が済まない。

雪城 涼子 > 「ああ、例の事件にも関わったって話はこの間も聞いたわね。で……」

そして、自分のことを話して、トラウマを刺激した……と。
ああ……そうか。あのことはまだ、あの子の心に刺さっていたのか……
括流の術でも、消しきれていなかった、と……

「……そっか。なるほど、謝るってそういうことね。
 いいのよ、気にしなくて。現に私は"生きている"わけだから、気を緩めちゃうのは仕方ないわ。」

そう、彼は悪くない。悪いというなら、其の話をした自分なのだ。
そろそろ平気かな、なんて思った自分への罰……そういうことだろう。

霜月 零 > 「涼子さんの死のイメージは、まだ氷架の中に根強く残ってます。
状況的に自分が原因なのに、誰も自分を責めない。そう言って、誰より自分で自分を責めてました。
まあ、その話をしたのはもっと後なんすけど……その時、氷架がその、戻しちまって。
そんで……すんません、落ち着かせるためにハグしました」

思えば本当に大胆かつヤバい事をやったと思う。
だが、あの場では最善手として思いついたのはそれだったし、結果として落ち着いてはくれたのだが……。

だが、それでもやはり、本人にも詫びたが、付き合ってもいない女性にいきなりハグをするというのは褒められた行為ではない。
母親としては、何なんだこいつはと思ってもおかしくない行為だ。
それを思うと……やはり申し訳なく感じてしまい、視線も下を向いてしまう。

雪城 涼子 > 「ハグ?ああ、抱きしめたってことね。まあいいんじゃないかしら。
 確かにちょっと大胆だったかもしれないけれど……ひどい状況だったんでしょう?それなら、それくらい仕方ないでしょう」

なんとなく想像はつく。おそらくは、また恐慌状態に陥ったのだろう。
あんなもの見たら、周りだってパニックになるし緊急回避にちょっとしたことをしでかすのもまあ、やむを得ない。それにしても……

「はぁ……あの子は、ホント……育て方間違えたかしら……
 もっと適当でお気楽な子に育てておけばよかったわ」

そういって、おどけてみせる。
この件に関して悪い人間は居ない。強いて言うなら、運が悪いのだ。
まあ……もっと言えば、自分が悪い、ともいえるのだが……そこは口をつぐむ。

霜月 零 > 「ま、実は律儀なトコも氷架の魅力だと思うんで。
寧ろ、そんなだから惚れたっつーか……」

目を逸らしつつ頭を掻く。恥ずかしい事を言っている自覚はあるが、それでも大事なことだ。

「で、まあ服が汚れたんで、その後訓練施設で洗濯して……その時にちょっと、意地の張り合いみたいになっちまって」

そう、意地の張り合い。いじりいじられ、意地を張って張られて。
その果てに……

「その時、ちょっと事故で……付き合ってないのに、キスしました」

すみません。ともう一度頭を下げる。
本人は「自分がやらかした事だから」と言うが、それでもやはり詫びるべきだと思う。

ご案内:「常世公園」に雪城 括流さんが現れました。
雪城 括流 > 樹上の枝にいつの間にか…小さなピンク色の蛇がにょろん、と巻きついていた。
いつごろからいたのだろうか、じーっとベンチで会話する二人の様子に聞き耳を立てているようだ…。

「………。」

事故でキス、というあたりでぴくっと頭部を下方へ少しだけ乗り出す、が。
むう…といった半目の表情でするする…と葉の影に再び身を隠した。

雪城 涼子 > 「……あー……」

なんだか、光景の想像、というか予想というかはできた。
うーん

「うーん、なるほどねえ、そんな状況だったわけね。
 まあ、それは……まあ、やっぱり仕方なかったんじゃないかなあ」

霜月 零 > 「でも、すんません。こっちも相当強気に出たんで……」

引かせてやろう、と強気に出た結果があのキスである。こちらが引いていれば、とは考えなくもない。

「まあ……その後、あのカフェで話して……それで、お互いはっきり意識したんだと思います」

目を逸らしながら。正確には、あそこでお互いに「意識していることを自覚した」のだと思う。
そういう意味では、本当にきっかけになった。

「で、その後夜に合って話して……お互いまあ、好きだっつって。
そんで、付き合う事になりました。
その時に、涼子さんの死を気にしてる、って言ってて……忘れちゃいけないし、忘れる気もない。せめて、もう二度とあんなことにならないように訓練しなきゃって。
一応、俺も一緒に背負ってやるとは言いましたけど……やっぱり、気にしてはいるはずです。ついでに言えば、それを止める気もきっと、ない」

雪城 括流 > むむむ…りょー、そこは仕方ないというところじゃない…と言うツッコミを何とか飲み込む。
相手も謝罪と言う形でしているのだからこう…責めるのはダメだけど反省は受け入れないと、と教師的な悶え方を…枝に巻きついてうねうねと。

お互いに好きと言うところは括流的にはだいぶ省略しているような気がした。
だいぶその間でもすったもんだはあったのだ…。
とはいえ、知らないのならば知らないのだろう、とそこは納得する。

雪城 涼子 > 「あはは、意地の張り合いでしょ?どうせあの子のことだから、結構つまらない意地はったんじゃないかしら。
 んー、まあそうねえ……私がお説教するなら、一歩引いてあげるのが優しさってところだったんじゃないかしらねえ?
 でもまあそこは、大人のやり口、だもの」

若者なら仕方ないわ、と笑う。
言ってしまえば、ちょっと子供らしい意地の張り合いの結果、まあ押し問答でもしたのだろう。そのままバランスを崩して、とかそんな類に違いない。ああ、若いなあ……しかし、一転表情を変える。

「んん……そっか……あの子、忘れてくれないのねえ……」

はぁ、と溜息をつく。訓練をする、のは別に悪いことではないが……
なんとも気の重い話だ。

霜月 零 > 「忘れちゃいけない、って感じの事も言ってましたからね。
そして……俺も、安易に忘れていい事じゃないと思う。
知ったようなことを言う風ですけど……その出来事もまた、氷架の一部だと思うんで」

過去に苦難があって、それが人格やそれからに影響を与えてしまう。
その苦難は忘れたいものかもしれないが……それがあったから、今のその個人があるとも言えるはずだ。
少なくとも、妹はそうやって立ち上がったのだから。

「後はまあ……言う事があれば、アイツですね。烏丸九郎。
アイツに告白された。で、振ってきた、って言ってました」

そう。きっと自分よりもっと早くから氷架に恋していた烏丸より、氷架は自分を選んでくれた。
それは嬉しい反面……烏丸からすれば、苦痛でしかない事態のはずだ。

それを自分が言うべきかは迷ったが……この目の前の女性はよく気付く人だ。少なくとも、カフェでの挙動を見るに、烏丸の想いに関しては気付いている、だろう。
ならば、その一定の結末も……話しておくべき、だと思う。

雪城 涼子 > 「んんー……私としては、忘れておいて欲しいんだけれどね。
 やっぱり無理かあ……」

あはは、と力なく苦笑する。
分かっている。そんなことはよく分かっていた。
だからこそ、あの時の私はなにを捨てても生きるコトを望んだのだ。
結果として、なにも成果はなかったらしい、のは改めて思い知らされたわけだが……

「ああ……九郎くん……そう、か。そうなのね」

そうか……あの時、結局、力にはなれなかったけれど……そうか。
自己解決に向かったんだな……
やれやれ、若者たちはきちんといろんなことに向き合っているのに、自分の情けないことよ。

雪城 括流 > ぷくぅ…とほっぺたを膨らませて二人の会話を見ている。
多分くくるのそんな様子は誰にも見えないが。

(二人のつながりはりょーの死をきっかけに、そして主体にしている…。
零くんにもそれは大きいみたいだ。でもそれは健全ではないよ…。)

やっぱり急に進展した関係と言うことで、括流にはいくつか疑問点が出てきてしまう。
悩ましげなため息をしゅるる…と舌と共に出して。

霜月 零 > 「なんつーか、話がホント一気に進んだんで……そういう意味じゃ、軽く見られそうですけど。
でも、その場の勢いとかじゃなく、それなりに考えて出した結論で……本気ってのは、分かっておいて欲しいです」

今度ばかりは目を逸らさず、しっかりと目を見て口にする。
傍から見れば勢いに流されただけに見えるかもしれない。もしかしたら、本質的にはそれが事実なのかもしれない。
だが……当人達は、本気なのだ。

「今はまだ、お互いをもっと詳しく知って行こうって段階で……そう言う話をしながら、日々過ごしてます。
ただ、そのたびにこう、やっぱり余計好きになっちまうんで……少なくとも俺は、この気持ちが変わる気は、しないです」

雪城 涼子 > 「なるほど、そういうことね。」

ふむ、と考える。この青年のことだから、おそらくはまあ軽い気持ちってわけでもないんだろう。それはよく分かる。

「本来の私は、それこそ発言権どころか、そんな事態を知る機会もなかったはずだからね。とやかくいうことは出来ないわ。
 "死人に口なし"……っていうと、ちょっと違うけれど、まあそんな気分。」

やや力なく肩をすくめて苦笑する。
なんのことはない。これが良縁だろうと悪縁だろうと、全ては自分のせいではないか。
それに口出しをするとすれば、なんとも厚顔無恥な話だろうか。

「まあ、でも……感想、ならいってもいいかしらね。うん。
 そう……気が早いかッて言われれば、そうなんじゃないかしら。
 あなた達が、それをどう思っていようと、ね。
 だから、これからお互いを知っていこうって考えるのは、悪く無いわね。
 其の上で……まあキミは平気だって思ってるみたいだけれど……本当に無理なら、無理って言いなさいね。」

自分が望むのはもう、家族の幸せだけだ。弟分は幸せを手に入れた。
アッチは大丈夫。それなら残るはただ一人、なわけで……

雪城 括流 > りょーは認めるみたいだ。私もそうなるだろうとは思っていた。
無理に関わるよりは成り行きに任せるのが正しいし、手を貸すのは助けを求められてから…それが正解なのだろう。
でもなぜ、こんなに妙に何かがうずくのだろう。

いつの間にか気が抜けて胴体が少し垂れ下がっていた。


……ああ、蛇姿でいないと何かを思い出してしまいそうだ。

霜月 零 > 「何かしんどいっつー事はないっすよ。
現状、寧ろ幸せすぎて困るくらいで」

はは、と笑う。自分には不釣り合いなくらい、氷架は出来た子だ。
そんな子と一緒に歩んでいけている……不満などあろうはずがない。

「ただまあ……何か言うことは出来ない、ってのは無しでお願いします。
俺達に関して、氷架の立場で最も何か言えるのはきっと涼子さんですし、それは実質生きてる死んでるとか関係ないですから。
勿論、駄目って言われたいなんてことはないっす。認めて欲しい、これからも付き合っていきたい。
だけど、自分が死んでるからとか、そう言う理由で涼子さんが口を閉ざすのは……違うと思うんです」

生意気言ってすみません、と頭を下げる。
が、この人は一番「何かを言う」と言う権利を持っていると思う。
だからこそ……不要な遠慮は、しないで欲しいのだ。

雪城 涼子 > 「私が望むのはね、零くん。あの子の幸せだけよ。
 天地がひっくり返ろうが、なにしようが、あの子に幸せがあれば、それでいいの。
 まあだから、キミと氷架ちゃんと、どっち取るッて言われたら、迷わず氷架ちゃんを選ぶわ。そこは、心配しなくてもいいわよ、きっと」

さらり、と口にする。
裏を返せば、幸せにならないと判断すれば……そういうことだろう

「まあ、だから今は様子見、かしらね。若いうちは色々やらかすのも当然といえば当然だし……
 あ、でも本当にやらかしたら、流石に困るわよ?お説教じゃすまないかも」

なんだか意味深なことを口にする。

「あと……括流。盗み聞きはあまり良くないわよ?」
ぽつり、と。

霜月 零 > 「……肝に銘じます」

盲目だ、とも思う。その姿勢は、氷架を逆に苦しめる可能性すらある。
が……一度復讐鬼に身を落とした自分には、その気持ちもわかってしまう。
それを咎める言葉が、見当たらない。

が、ぽつりと出た言葉に目を見張り、警戒態勢に入って周囲に目を配る……本当に警戒する対象かと言うより、不慮の事態への反射行動みたいなものだ。

雪城 括流 > 涼子に指摘されて、しゅるんとさっと小さなピンク色の蛇がベンチの上に落ちてくる。
凄く軽いため受け止めることも出来るだろうし、誰かの頭上に着地するかもしれない。

「…盗み聞きしたいわけじゃなかったけど、りょーと同じことを聞きたかったのと。
出て行ったら話の腰を折りそうだったからね。」

そう答えながら、のばした頭部をめぐらせて。

霜月 零 > 「へ、蛇……?」

軽く混乱。落ちてくるのをそのまま呆けてみてしまう。
が、冷静に考えれば、蛇の化生など珍しくもない。寧ろベタな部類だ。
その類で、また彼女の知り合いなのだろう……と判断して警戒を解く。

「涼子さん、この蛇は……?」

そのまま、一応の確認を取ろうと質問を投げかけた。

雪城 涼子 > 「よっと」

気軽にピンクの蛇を受け止める。大事な家族なのだ。
平気だとはわかっていても、落ちるままにしたくはない。

「聞くだけなら、出てきてもいいのにー。なんだか悪いことしてるみたいじゃない。
 ああ、この子は括流。大事なうちの家族。ここでは先生もやってるから名前くらい聞いたこともあるかもね?」

そういってピンクの蛇を撫でながら、零に紹介する。

「あと……異常だって思うかもしれないけれどね。親なんて、多かれ少なかれ、同じようなことを考えるものよ。
 まあ、程度の差とかはあると思うし例外だってあるだろうけれどね。」

零に苦笑してみせる。

霜月 零 > 「……分かってるなら、余計な事は言いません。
ただ、強いて言わせて貰うなら……一時期の俺みたいにならないでください。
妹の復讐に狂った、俺みたいには」

真剣な顔で言う。まあ、これも余計なお世話かもしれないが……応報羅刹に堕ちて妹を余計心配させた、本末転倒な馬鹿と同じ姿にはなって欲しくないのだ。

「……どうも、霜月零っす」

紹介を聞いて、蛇に挨拶する。
流石にまだちょっと距離感がつかめないが。

雪城 括流 > 「…一応自己紹介するよ、零くん。
くくるせんせいです。事情はひょーかからも聞いているけど…。」

紹介される前に名前を呼ぶ。
じーっと探るような目線。

受け止められてそのまま涼子の手首にちょっとだけ絡みつこうとしつつ。
胴を伸ばして零くんの顔に顔を近づけた。

霜月 零 > 「……」

一瞬反射で顔を引きそうになるが、流石に失礼と踏み堪える。
が、意図が掴めず、じっとくくるの顔を見る事しかできない。

雪城 涼子 > 「あはは、それはむしろ、復讐とか呪殺、なんて考えなくて済むような展開を望むだけねえ。」

くすくす、と意味深な笑いを返してみせる。

「って、あれ。括流には話してたのね……まあ、親には話しづらいか……でもちょっとさみしい……」

氷架から聞いてる、と聞いてちょっと悲しそうにした。

雪城 括流 > 「ルームメイトは知っているんじゃないかな…。
りょーに話しにくそうだったけど、同時にわかってるだろうとも思っていたみたいだ。」
涼子の言葉にそんなフォローを入れて。

そのまま頭部はすいーっとUターン、涼子のほうへ。

「…そういえば、この話題で肝心な部分である、
りょーが死んでるってこと…だいぶ広まってるみたいなんだけど…?」

実際には噂になっていたりするほどではないのだろう。
でも又聞きでも聞いたことのある人物がいるということは、どこまで知られているかはわからない。
じとっと半目でこちらは問い詰めるような…?

雪城 涼子 > じろり、と括流に見られつつ指摘されれば

「ぅ……うん、まあ……その……話さないといけないかなって、ときは、ちょこっとだけ……その、うん。
話してる、けど……そんなたくさんに言ってないよ?せいぜい、二、三人だし……口も堅い子だけ、のはずなんだけど……」

一応、見る目はあるはず、なんだけど……
いや、ちょっと気が緩んでいた面があるのは認めざるをえない、かな……
ちょっと自信なさげに白状する。

霜月 零 > 「お、俺は口外してない、っすよ?」

目の前の雰囲気に少し押されつつ、聞かれていない言い訳をする。
いや実際、誰にも言っていないのだが。

雪城 括流 > 「そう?まあそれは信じるしかないんだけど…。」
涼子の白状にあっさりとそう答える。説教するとかそういうつもりはないようで。

「…ひょーかの零くんに対する反応がね、あの事故直後にそっくりだったんだ。
どきどきさせておいてアクションを起こすという手法も、あんまり褒められたものではないし…。」

医学薬学を司るものとして知ることだが、原始的なほれ薬は…氷架のような状態を人為的に作り出すものだ。
実際に恋愛や心を弄るようなものはほとんどない…だが、単純な効果ならかんたんに作れてしまう。
だから括流は懸念する…それが本当に恋なのかどうか。それを弄ぶ神もいるのだから。

「……ひょーかにも聞いているし、会話を聞いていて人柄は認める。
でも実際には二人はスタートラインに立ったばかりだと思うよ。
そしてりょーの事故のことを二人の繋がりにするなら…それが変わったとき、どうするのかが心配だ。」

言外に、りょー自身もりょーの死を扱うには慎重にね、と言う意味をこめて。
やや淡々とした様子でそうつらつら一方的に述べた。

霜月 零 > 「……スタートラインに立ったばかり、ってのは事実です」

それは肯定する。事実、まだまだ互いを知り合う段階なのだから。

「その上で……一緒に、お互いの事を知って、ゴールを模索していきたい。俺達は、そう思ってます。
それに……こういうと難ですが、事故はきっかけです。
その後、少なくとも俺は、氷架の人柄に惚れたんです。
あの意地も見栄も張るところが。
その癖律儀で、表面に見えるよりよっぽど優しいところが。
過去を顧みて、反省して今努力出来るところが。
だから……事故に関しての解釈が変わっても、俺の気持ちは変わらない。
それは、約束出来ます」

決意を込めた真剣な目で、静かにそう告げる。

事故だけが二人の繋がりと言うわけではない。それだけに留まらないのだと。

雪城 涼子 > 「ん……そこは、うん。私が全面的に悪いと思ってる。
 巡り巡って全部、私が発端なんだろうっていうのが、まあ多分正解なんだろうな」

括流にいわれれば、溜息も苦笑もなく。
ただ、硬い声でそれをいう。

「括流の言い分も、もっともだと思うよ。心配も分かる。
 まあ私としては、長い目で見てあげたいけれどね。
 ただ……正直、私だって冷静な目で見れているかどうかは少し自信がないから。お互いの検討項目かな。」

雪城 括流 > 「零くんが惚れているのは疑いないんだと思うよ。
うん、よく見てる…そのとおりなんだよね、ひょーかは。
本当でなくても、意地や見栄でそう振舞ってしまうことがあるんだ。意識的でないところでも…ね。」

括流から見ればそうなのだろう。
氷架のはじめての恋心が、真実となるか否かはまだわからないと。

「だから私からは…ここからはゆっくり進んで欲しいな。
長い目で見たいけど…若い二人だから、どうしても急いてしまいそうだ。」

ゆっくりとした進みなら括流もこうは言わなかっただろう。
実際にひょーかを焚きつけてしまったところもあるから、なおさらだ。

冷静な様子でそう言い、二人を祝福するような様子…だが、微かに涼子の手首に巻きつく力が強くなる。

霜月 零 > こくん、と頷く。
初動が急速だったのだ、ここからは一旦テンポを落とすべきなのは間違っていないし、そのつもりで付き合ってもいる。

「急がないで、出来る限りゆっくりとやっていきたいと思います。
お互いを本当に深くまで理解した上で、話は進めるべきだと思いますから……」

焦る気持ちがないとは言わない。が、少なくとも理性は、今は歩みの時間だと理解している。
時間をかけて互いを理解し、愛情を再確認して、固定する時期なのだと。

雪城 涼子 > 「まあ、惚れた腫れた、なんていうのは勘違いから始まる、なんてこともあるから難しいわよね。
 うん。Loveなのか、Likeなのか……みたいなのは意外に判断できないからね……ゆっくりと関係を築いて欲しいのは確かだわ」

巻き付く力を感じれば、優しく括流を撫でる。

「まあ、変な"間違い"さえ起こさなければ、自然とのんびりしてくれるとは思うけれど……そうね。若さゆえの過ち、なんていうのには気をつけてね?」

にこやかに、零にいう。

霜月 零 > 「気を付けます……」

気を付けねば。本当に気を付けねば。
自分だって男子である、そう言う事を思ったりはするのだ。だが、それを理性で抑え付けている状態である。

また……もし、氷架から迫られるようなことがあったら、自制出来るか非常に怪しいものがある。これは本当に強く意識しておかないと、マズい。

雪城 括流 > 「そうだね。いっそじゃあしばらく触らないとか…?」

涼子の間違いと言う言葉に乗っかって、いきなり過激な。

「理解も大事だけど、急に出来た関係は急に解けることもあるからね。」

ルームメイトならそんな関係の連続を楽しむんだろうな、というのは理解している。
保健衛生的なところは気をつけて欲しいけど、となぜかどこかへ厭きれた様子。

霜月 零 > 「さ、触らない……」

とても辛そうな顔。流石に、流石にそれはあまりにもあまりではないか。
その未来を想像し、一瞬ふらついてしまう。落ち着け、まるで依存症ではないか。でも否定出来ないのが辛い。

雪城 涼子 > 「うーん、ダメージ受けてるダメージ受けてる」

ふらついたのを見逃さず、冷静に感想を述べる。
いや、しかし……つまり……

「うん? 実は現状、結構ベタベタしてるってこと……?」

ぼそっと、割とアレな疑問を口にした。
ストイック……とまではいかないけれど、もうちょっと初心な感じを予想していたから意外だった。
だからこそ、つい言葉にしてしまったのだが。

霜月 零 > ぎくぅ!!

ぴくっと体が反応してしまう。
キス以上には行っていないが……逆に言えば、手をつなぐとかは普通にしている。キスだって、何回も何回も繰り返ししてしまったほどだ。

「あ、えっと……手を繋いだり、キスしたり、は……」

俯いて顔も真っ赤。消え入るような声で白状する。

雪城 括流 > 「…ひょーかも知識はあると思っていたけど、ずいぶんと飛ばしている…?
経緯よりも現状を問い詰めたほうがよかったかもしれないね。」

じとーっと疑いの視線。
まさかもうあの避妊具を使うところまで言ってないよね…みたいな。

ご案内:「常世公園」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 涼子 > 「あー……ちょっと誤算というか、うん。若いなあ……
 氷架ちゃんもなんだか想像以上に……と思ったけれど、そっか。
 一回転げると意外と転がり落ちるタイプよね、あの子……まさか、こういう方にも活用されると思わなかったけれど…」

うあー、と変な声を上げる。
と、なると……括流の発言も、まさにもっとも、であって

「あのカフェで、あの子は否定してたけれど……まさか、本当は、とかないよね……?」

同じく思わずじとっと零をみつめて問う。

雪城 氷架 > 「……ん?」

はた、と
公園内によく知りすぎる顔が

てくてくと2人と1匹の元へ歩いていく

「お母さんに、零じゃん。括流も、何してんの?」

雰囲気的には何か話していたようだ
……心なしか零がなんかカタいような

霜月 零 > 「な、無い!無い!そこまでっす!」

ここで誤解を受けるわけにはいかない、こちらも必死である。
首をブンブンと横に振って必死に否定する。

霜月 零 > 「ひょ、氷架……」

ここで来てしまった。普段なら会いたくて仕方がない彼女も、現状だと特大の爆弾だ。
どうしよう、と一人おろおろしてしまう。

雪城 括流 > 「…せんせいとしては恋愛で勉学に身が入らなくなるのも困るし、
何かあってひょーかの精神が不安定になるのも困る。くれぐれもほどほどにね…?」

あと括流は二人が毎晩長電話しているのも知っている…。
この二人勉強時間大丈夫かちょっと不安になり、怪訝な表情でそうさらに釘をどすどすと。

「…へびぇ。」

あっ、その張本人がって呆けた様子で口を開ける。毒牙しゃきーん。

雪城 氷架 > 「?」
2人と1匹の様子に怪訝な顔、なんか明らかに様子が変だ
特に零

「……何の話してたんだ?」

雪城 涼子 > 「あの子、そういう行為は頭でっかちで知ってるから困るのよね……」

昔した会話を思い出して、ややため息をつく。
なんというか、知っているから平気、みたいなノリでツッコまれても困るのだ。
いいことばかりでもないんだぞ、とか思う経験者。

「って、あら?」

此処でまさか、本人が来るとはさすがに思わなかった。
前のカフェの時もそうだけれど、間が良いのか悪いのかわからない子よね……

霜月 零 > 「あ、えっと、だな……」

おろおろ。何といったものか……素直に「二人の恋愛関係について」と言うべきなのだろうが、恥ずかしいとかそう言うレベルじゃない。

雪城 氷架 > 「………」

腕を組んでぢー…っと見つめる

「…まさか私達二人のことについて、零に問い詰めてたとか。
 変な釘指してみたりとかそーゆーことしてたわけじゃないよな、括流、お母さん」

じろり

雪城 括流 > 「経緯について協力的に聞いていただけだよ。
最初はりょーと零くんが会話してるだけだったようだけど。」

結果として釘を刺すことにはなったが、そこは黙ってそんなことをさらさらと。

「二人のことについて何かあるの、ひょーか?」
頭部をくるんとかしげて、逆にそう問いかけた。何かやましいことでもあるのだろうかと。

雪城 涼子 > 「そうね、ちょっとした世間話をしてたのよ。
 其のついでに、確かにあなた達の話になったのは否定しないけれど。」

そう、話の入りは世間話だったのは嘘ではない。
そこから自ら告白していったのは零である。
仕組んだ?いいえ、そんなことはありません。

「酷い言われようだわ……可愛い娘にそんな疑いの目で見られるなんて……
 そもそも、変な釘ってどういうことかしら?」

こちらもしれっと問い返す。

霜月 零 > 「(この人(?)ら……)」

強かだ。完全に自分ひとり、手玉に取られた形である。

色々な感情がないまぜになった表情で氷架をただ見つめるしかできない。
半分くらい現実逃避である。

雪城 氷架 > 「零がしどろもどろになってるの見ればわかるよ」
はぁ、と溜息をついて

「あのさ…二人共私の事心配してくれるのは有難いけど、
 そこまで過保護にしてもらわなくってもいいよ、二人にとっては私はまだまだ子供なんだろうけど。
 自分で考えて、自分で判断するからさ……迷ったら、相談くらいするけど」

雪城 括流 > 「迷うくらいなら心配しないけど、りょーが関わっちゃってるからね。
あえてはっきりは言わないから、察して欲しい。
ひょーかはそれでダメージを受けてしまうから…どうしても心配するよ。」

誤魔化すつもりはさほどなく、苦笑して。
どちらにしろ零くんが直接しゃべってしまえばばれるのだ。

「子供でも大人でも…たぶん助けが必要なことだ。
まだ子供だと思っていることは、否定できないけどね。」


「…で、どこまでいったのかって話になってたけど、どうなの、ひょーか。」
もう直球で聞いてみた。蛇だけどすごくいい笑顔をしているような…。

雪城 涼子 > 「んー……実際問い詰めてなんかいないんだけれどなあ……
 自分からお話してくれたわけで。
 まあ、話すのは大分恥ずかしかったりしたみたいねえ」

嘘はいってない。繰り返す。嘘はいっていない。
そこから、芋づる式に引っ張りだしたりしたわけだけれど。

「そりゃまあ、親にとっては子供はいくつになっても子供だもの。
 それに……」

そこから先は、括流のようには言えない。
なにせ、自分のせい、なのだ。だから、そこから先は括流に任せる。

雪城 氷架 > 「お母さんが?何で?」
は?といった感じで首を傾げる

「どこまで、って言うのはどういう意味なんだよ、括流」
少しだけむっとした表情をみせて

霜月 零 > 「あ、あー……」

おろおろ。この場で下手に口ははさめない。もう完全におろおろするだけの置物状態である。

「なんつーか、えっと……すまん」

白状してしまったことに、いたたまれなくなって氷架に頭を下げる。

雪城 括流 > 「気づかないならいいんだけど。
興味本位とか子供を見るような目だけで心配したわけじゃないというのは、信じて欲しいな。」

氷架に事故のことをはっきり言えばまた不安定になるだろう…
説得にはここまでが限界で、話題を打ち切るように。


「ええと、無理に聞いたわけじゃないんだけど…。」
むっとした様子に、かすかにひるむような姿勢を見せる。普段とはちょっと違うような。

「…キスの回数とかしゃべってくれてね。」
回数までは言ってません。

霜月 零 > 「回数までは言ってない!!!」

必死の反論。と言うかなんでこの蛇はナチュラルにそんな嘘をつくのか。
本気で勘弁していただきたい。

雪城 氷架 > 「あのさ…零の性格じゃ問い詰めるって感じじゃなくても、
 私の事心配する二人に聞かれればそりゃ答えるよ」
はぁ、と再び大きな溜息

「括流はアレだろ、私が昔のトラウマがあって、それが根底にあった出会いだからって言いたいんだろ。
 それ関係ないから。
 そんなのなくても、遅かれ早かれ私は零に惹かれてたよ、付き合ってみて、よくわかった」

ふんす、そう言い切るのだった

「それでなんでそんなウソつくんだ括流」
じっとり目

霜月 零 > 「氷架……」

ちょっとうるっと来る。無条件に自分を信じ、そしてきっかけは関係なくどうせ惹かれていたと言ってくれた。
こんなに嬉しい事があろうか。
既に惚れているが、更に惚れ直した気持ちだ。

雪城 涼子 > 「んー」

なるほど、すっかり零くんの性格を見抜いてるなあ。
これは確かに親密、といってもいいのかもしれない。
でも、なんだろう……この、怒りよう、というか拘りよう……

「ふふ、なあに。そんなに運命の相手だったりした?
 それならそれで、喜ばしいことだけれど」

雪城 括流 > 「…そうだった?」

首をくるーんと回して、頭部が逆さに。
一回二回といった様子じゃなかったけどな…なんて思いつつ。

「…ひょーか。
私はその心を否定することはないよ。でもね、早かれはよくない。
そう言う悪戯もできてしまう人を知っているから、なおさらね。」

真剣な様子で、ちゃんと答える。
ただ嘘を追及されるとちょっとひるんで…。

「…ウソついたつもりなんて、その。」

ショックを受けた様子で、しゅるん、と涼子の服の影に隠れた。

雪城 氷架 > 「運命の相手とかそういうのはわかんないけど、
 私は私の思うとおりに素直に道を選ぶよ。
 間違ってるか正しいかなんて結果論だ」

自分の境遇を特別視しているつもりはない
ただ、自分がそうしたいからそうしている
信じたいから信じれるその人と信じていくだけなのだ

「括流から見て、コイツがそんな悪戯できるようなタイプに見えたか…?」
ありえないだろ、と言った感じの表情、続けて……

「じゃあどういうつもりで言ったんだよ、括流。
 単に零を困らせたかっただけとかならもう一緒に寝てやんないぞ」

涼子の影に隠れた括流をじぃ、と見下ろす氷架、こわい

雪城 涼子 > 「そうねえ……回数としては、むしろ、数えられないくらい、ってニュアンスだった気もするけれど……」

このタイミングで爆弾を投げ込む母。

「私も括流も、あなたの気持ちも、零くんの気持ちも、否定したりはしないわ。
 それが間違っているかどうか、なんて私にはわからないしね。
 ただ、人としての節度は持って欲しい、とは思う。」

影に隠れる括流を撫でつつ

霜月 零 > 「あ、あう……」

確かに、あのぼかし方はバレッバレだったかも……いや、回数には言及していない!

「いや、そんな回数には言及してないでしょう!?」

必死に否定する。落ち着け、流されるな霜月零。

雪城 括流 > 「零くんは人柄も実際に会ってみてよさそうだし、そんなタイプには見えないね。
でも当事者ばかりとはいえないし…。」
むしろ括流の経験だと当事者以外がやることのほうが多かった…いややっぱり当事者も多かったかもしれない。
ちょっと遠い目になってしまいつつ。

涼子に撫でられてつやぷに鱗が気持ちよさげにさざめく。


「困らせたかったわけ…じゃ…。あれ…。え…。うん…。」

にょろっと頭だけ出して氷架の言葉を否定しようとしつつも、否定しきれない自身に気づいて戸惑う。
困惑した様子で一言二言、意味の無い言葉を呟いて。

「………しばらく帰らないからいいよ。」

とだけ残して、ベンチのスキマからぴょん、と茂みに飛び込んでいなくなった。
この後しばらく、女子寮の部屋には帰ってこなかったという。

ご案内:「常世公園」から雪城 括流さんが去りました。
雪城 氷架 > 「実際それぐらいしてるよ」
はっきりと言い切ってしまった
「別に、悪いことしてるつもりもない」
はっきりきっぱり、である
「お母さんの言う節度っていうのは、具体的にどういうコトを言うんだ?」
人としての節度、とだけ言われても比較対象が周りにいない

「あ、括流!
 ……どうしたんだあいつ。
 なんか最近ヘンな感じだなぁ……」

うーん、と顎に手を当てて思案

雪城 涼子 > 「ええ、言及してなかったわね。回数としては」

それ以上言わせちゃうのかなあ……なんて思いつつ。
変に否定しても、それはそれで泥沼なのは理解したほうがいい。
この子は、精神修養が必要なのではないだろうか、なんてちょっと考える。

「あ……括流……?」

一瞬、呆然と去りゆく姿を見送る。
普段の彼女ではありえないような動きに、理解が追いつかない。

雪城 涼子 > 「うーん、そうねえ……」

氷架の問いかけに、少し考える。
いやはや、この子のほうが肝は座ってるなあ……ある意味安心ではある。

「まあ、キスとかいちゃいちゃとか、は……別に悪いなんて言わないわ。」

正直、その辺については、その、なんだろう。
こっちに来る前の自分のことを考えたら、人のこと言えないような有り様だったりしてなかっただろうか、とかちょっと思ったりもするからだ。

「まあ、簡単にいえば……そうね。自分で責任の取れる範囲で納めなさいってところかしら。
 具体的に?いった方がいい?」

ちらりと、零の方を見たりしつつ聞く。

霜月 零 > 「……」

氷架を見て、そして自分を戒める。
氷架は堂々と、恥じ入ることはないと言わんばかりに応答している。
が、自分は……恥じ入り動揺し、ボロボロだった。何と情けない事か。

「(メンタル、鍛えねぇとなあ……)」

歯噛みする。氷架に立派に釣り合う彼氏になるためにも、こんな事じゃいけないはずだ。

霜月 零 > 「……え?」

おどっ。そう決意した先からこれだ。
だが……はっきりさせた方がいい、とは思う。
涼子の視線には……本人としては気丈に、小さく頷く。

雪城 氷架 > 「それはわかってるよ。
 自分がまだ未成年だってことも、社会的な責任能力が親におんぶにだっこだってことも知ってる。
 ……そんなこともわからない子と思われてたのか…?」

むぅ、と心外そうな表情で返す

「……なぁ、お母さん。
 括流なんだけど、…この話題になるとなんかヘンなんだよ。
 零と付き合うことになったって言った時も、なんか不安を煽るようなことばっかり言うし…。
 ……私は、括流なら、おめでとうって言ってくれると思ってたんだけどな……」

ピンクの蛇が消えていった茂みを見ながら、そう零す

雪城 涼子 > 「ん、そこはね。信用してても、心配するものなのよ。
 特に……さっきの話じゃないけれど、急ぎ足みたいになってるかなって思うと、ね?
 それに、人間、分かってても踏み外すことなんて案外何処にでも転がってるものでしょう?
 だからまあ、確認するだけはするのよ、こういうのは」

のんびりと、いつもの口調で。諭すという風でもなく、ただ世間話のように答える。
せっかくの一大決心をした零の手前申し訳ないが、まあ具体的に言わなくてもおおよそ掴んでいるのであれば言わなくてもいいかな、とも思う。

「ん……私も、ちょっと必要以上に刺があるかなって感じてはいたけれど……
 心配が先立ちすぎて神経質になっているだけかなって思ったのよね。
 でも、今のは流石に変よね……んー……」

氷架に問われたことを考える。
一瞬、思い当たる、というか思いついたことがあったが……いやしかし、そんなまさか。

「……ないわよねえ」
聞こえないように、呟く。

雪城 氷架 > 「別に急ぎ足ってつもりもないよ。
 単純に、これが二人が歩くスピードってことなんじゃないか?
 そんなのきっといくらでも個人差っていうがあるよ」

はっきりというその姿勢には後ろめたさは微塵もない

「にしても零もちょっと情けないよなぁ、
 刀握ってる時とは別人みたいに見えるぞ」

おどっとしている零の背中をぺふぺふしながら苦笑する

霜月 零 > 「面目ない……」

しょんぼり。どうにもこの手の話は、構え過ぎてしまって軽くいなせない。

「なんつーか……お前は堂々としてるよな、氷架」

ぐぬぬ、と少し悔しそうに。やっぱりこういう事に関しては、氷架の方がまだまだ上手のようだ。

雪城 氷架 > 「だって、私達なにも悪いことしてないだろ」
じっ、と零の目を見てそう答える
そこに恥じるべきところも、悪びれるところもありはしない、といった風体
進展の遅い早いなどは所詮個人差でしかないのだ

雪城 涼子 > 「ふふ、まあラブラブイチャイチャするのは別にいいのよ?
 そこについては、精々リア充爆発しろ、とか言われないようにくらい気をつければ……まあ、言われてもいいのか。
 でもこの島の場合本気で爆破してくる手合がいたりしないわよねえ……」

途中で変な想像に入った。
特殊な島も困ったものである。

「まあさておき。ペースは人それぞれ、はまあ其のとおりなんだけれど。
 だからって、自分のペースですっていきなり孫を紹介されても困るってお話よね。それだけ。」

しょうがないから結局言った。まあ、そんなこと、わかってるだろうことは百も承知なんだけれど。

「そうね。零くんは精神修養がいるかもねえ。剣の腕前にも必要だろうから、ちょっと修行するといいかもね。
 頑張れ、男の子」

がんばれ、がんばれ、である

雪城 氷架 > 「……私達の進展のペースが云々とかじゃなくって、
 お母さんの気が早すぎるよ、それは」
はー、と頭に手をあてて溜息である

霜月 零 > 「押忍、努力します……」

素直に頷く。と言うかちょっとしゅんとする。
だが、本当に氷架関連と言うか恋愛関連と言うかの話になると、メンタルがあっさり揺れる癖はどうにかした方がいい。
常に平常心。それは実際、武の基本にして秘奥だ。
気を付ける必要はあるだろう。

まあ、それにしたって……

「それはまあ、早過ぎます」

あまりに気が急いた心配ではなかろうか。流石に。

雪城 涼子 > 「いやーでもわからないわよー。
 急にメーターが上がって、
 嫌がる零くんをひょーかちゃんが無理やり押し倒して……とか」

何か逆だったりするようなきがするのはきっと気のせいだろう。
……いや、意外にありえるのか?

「まあ、それは冗談。勿論、気が早過ぎるのも重々承知よ。
 でもね。何事も、心配しないとやってられないのよ。
 厄介なものよねえ、親っていうのも。」

やれやれ、と肩をすくめる。

「それにまあ、世の中に出回ってる情報って案外嘘も多いからね。
 過信して、あらー?ってことにならないように言うだけ言っておくっていうのも、割と大事なの。」

雪城 氷架 > 「さて、と…寮部屋の食事当番だしそろそろ帰らなきゃな。
 ごめんな、零。
 うちの家族みんな私のこと心配しまくるんだよ、悪い人とか蛇じゃないから、許してやって」

苦笑してそう言うと踵を返す

「お母さんも零をからかうのはそのへんで。
 面白いのはわかるけどさ」
わかるらしい。

「じゃ、またなー」

軽い足取りで少し駆け足、手をひらひらと振って去っていった

ご案内:「常世公園」から雪城 氷架さんが去りました。
霜月 零 > 「…………」

なんだろう、逆のはずなのに逆じゃない気がする。

「あ、ああ。またな、氷架」

流石に送っていく感じでもなし、この二人(?)が心配して言っていたのはわかる。

……と言うか。芙蓉の事を想定すれば同じくらいの事はしそうな自分が居る。
そういう意味でも気持ちはよくわかってしまう。

「……わかるのか」

ついでに、分かるという言葉にはちょっとしょんぼりするのだが。

雪城 涼子 > 「ん、じゃあね氷架ちゃん。
 ふふ、そうね。あんまり可愛がりすぎて、ひょーかちゃんに怒られちゃうのも嫌だしね?」

ひらひら、と手を振って見送りつつ、くすり、と笑う。

「さて、と。ごめんね、なんだか色々と家族の話になっちゃったけれど……
 ああ、そうそう。お詫び、じゃないけれど。何か聞いておきたいこととかあれば、聞くわよ。
 まあ、今でなくてもいいけれど」

零に向き直って、苦笑しつつも真面目な顔でいう。

霜月 零 > 「聞きたい事、ですか……」

一つ、ある。
が……躊躇われた。それを聞くのは、それこそまだ早計に思えるのだ。

「……今は、特には。何か思いついたら聞くかもしれません」

だから、この場は誤魔化す。もっともっと色々な事が進んだら……今一度、問い掛けてもいいかもしれない。

雪城 涼子 > 「ん、そう? わかったわ。じゃあ、いずれ」

特に深くは追及せず、それだけ答える。

「それじゃあ、私もそろそろ行くわ。聞きたいことは大分聞け……ああ、修行のお話がすっかり流れちゃったわね。
 どう?少しは進捗、あったかしら。自分に自信の持てない剣士さんには、大事な娘はあげられないゾ?」

歩きさろうとして……少し、振り返っていたずらっぽく笑っていう。

霜月 零 > 「あー、そりゃあ、まあ。ぼちぼちってところですかね」

肩を竦める。少なくとも、出来るだけ「才能がない」と言う言葉は使わないようにしている。
それは、自分を限定してしまう言葉だから。

「まあ、それなりに剣術だけなら自信がついてきたところで。それ以外はこれからですよ」

雪城 涼子 > 「ん。よしよし。それならよし。
 と、それじゃ、今度こそまたね。」

満足そうに笑うと、ひらひら、と手を振る。

「ほんとは、敬語とかもなしにしてもらいたいところだけど……まあ、そっちはしかたないわね。
 それじゃ、おやすみなさいねー」

そういって、今度こそ歩き去っていくだろう。

霜月 零 > 「ま、慣れたらって事で」

敬語に関しては、本当に慣れたら何とかである。
今すぐはちょっと無理だ。

「それじゃあ、失礼します。また」

礼をして見送る、自分も男子寮に歩き去って行った。

ご案内:「常世公園」から霜月 零さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から雪城 涼子さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にエルピスさんが現れました。
エルピス > 「はぁ……」

 元気なさそうにベンチに座る少女が一人。
 溜息をついてから、ぼうっと空を仰いだ。

(……試験もあんまり身が入らなかったなぁ……75点は取れると思うけど……)

ご案内:「常世公園」に緋群ハバキさんが現れました。
緋群ハバキ > いつもの如くのパシリ買い出し。
いつもの如くのコンビニ疾走。
その帰り、大量のコンビニ袋を抱えてマフラーをなびかせる少年が常世公園をショートカットコースとして選ぶと、なんだかぼんやりと天を仰ぐアンニュイな少女。

どこかで見た覚えのあるそんな女の子の悩みを聞くのも正義マフラーの担い手の役目である。
そう、決してかわいいからお近づきになりたいなんてやましい考えは……いや、無いではない。ちょびっとだけ。

そんな自分への言い訳を0.5秒で済ませて、長身の少年はエルピスの座るベンチの前へ立つ。

「お嬢さん、何かお悩みですか?」

一世一代のキメ顔であったという。

エルピス > 「……あっ。ええと……」

 ふと声のする方に視線を向けると、
 何処かで、具体的には委員会街で何度か見たことのある顔に気付いた。

「う、うん。悩みごとと言うか、答えの出ない問題と言うか……
 いきなり話すとお兄さんを困らせちゃう類かも。でも……えへへ、心配してくれてありがとう。お兄さん。」

 憂鬱な心にキメ顔――もとい親切心が響いたのだろう。
 嬉しそうに、花が綻ぶような笑顔を見せる。

「でも、はじめまして……だよね? どこかで見たような気もするんだけど……」

緋群ハバキ > ツカミはオッケーである。
この手のナンパ男風の絡みをしても普通に対応してくれる女子が周りに多くて常世島最高だな……!などと内心ガッツポーズをキメつつ。

「いや、まぁ突っ込んだ話題なら力になれないかもだけど。吐き出すだけでも楽になる類いのなら――」

公園の一角が控えめながら華やいだような、そんな笑み。
喩えるならば水場に咲いたアヤメのような笑みに、此方も笑みを返して――

「あ、俺もそんな気がする!
 っていうか絶対どっかで……あー」

視線が向けられるのは、エルピスの腕章。
なんだか一人得心したように頷きながら、多機能ベストの内側から公安委員会所属生徒仕様の生徒手帳を取り出して。

「ご同業、だね。俺は雑用メインの事務方だけどー」

エルピス >  
「う、うん。でも生きてるって何だろうとか言っても困らせちゃうかn――
 ――あっ、やっぱり同業さんだったんだね。委員会街で時々見た記憶があるから、もしかしてと思ったけど……えへへへ。
 ボクも裏方をやることはあるけど……実行に回る事が多いから、同業でもあまり見かけないのも納得かも。」

 くす、くす、と、笑みを浮かべ続ける。
 時折うん、と頷いてみせれば、お団子ヘアを作った上で尚腰まで伸びている長い髪が揺れるだろうか。

「最近、結構事件とか変な組織が多いから大変だよね。
 1つの事件や出来事にも結構な書類が必要なことは多いみたいだし……」

緋群ハバキ > 投げかけられた哲学的な問いかけ。思案顔になるがいきなりの重いテーマにあっどうしよう、本当に重いやつだった!!と脳内はとてもテンパる少年。

「い、生きるとは……生とは……うごご。
 日々明るく楽しく生きられれば概ね満足な俺には難しい疑問であった……。
 うちは書類を右から左へって業務だからねぇ。まだ一年のペーペーだし、パシリだし。」

ベンチに腰掛け控えめに笑う少女は、実働にしては華奢な体躯。へぇ、と感心の声を上げる。
とは言え、見かけ通りとは行かないのがこの時代、この学園であろう。

「ホントにネー。物損報告書だの保険がらみの書類揃えたりだの、こっちも色々てんやわんやだよ。
 ま、鉄火場に出張る皆さんに比べりゃ訳ねーけどさ。キミは……っと、」

未だ名乗っていない事を思い出して、がさがさと手に提げたコンビニ袋を探る。
中から取り出した一本のコーヒーを差し出し、人懐こそうな笑みで。

「俺は一年の緋群ハバキ16歳彼女ナシ。実働多めで大変そうなキミの名前は?」

エルピス >  
「う、うん。ごめんね……」

 やっぱり、と思えばしゅん、と伏し目がちに項垂れる。

「でも、ボクらがちゃんと動けるのも裏方さんがちゃんとしてくれるからだしー……えへへ、お疲れ様。おにいさん。」

 伏し目から上目遣いに、そしてしょげた様子から笑みを浮かべてみせて、労おうと言葉を掛ける。
 
「――あ、ボクはエルピス。2年生の16才でカレ――……え、ええと……いない……かな……」

 彼、の辺りで言葉を詰まらせ、濁す。
 何処か恥じらう様子で、いないと答えながら、コーヒーを受け取った。

緋群ハバキ > 「いいんだ……それもまた青春……」

くるくると変わる表情が可愛らしいな、と思いつつ。
労りの言葉には膝を突いて拝んだ。
本当に突然、膝を突いて。

「女神かな……? ありがとう、ありがとうございます……」

真っ当に言って不審者ムーブ。だがそんな衆目を気にしない動きを当人は気にした風も無く新たな信仰を得た迷える羊の如く拝み続け――

「……あ、二年生。先輩であった……
 や、やっぱ敬語とかの方が良いですかね? パシリに行けと仰るならば今すぐ……!!」

エルピス >  
「あっ、ううん。そんな膝を付いたりしなくても――
 ……そっそれにパシリとかも大丈夫だから、ほら、年齢は同じだし……ふつうに、仲良くしよ? ねっ?」

 膝を付けば笑みから驚きへ、パシって来ると聞けば慌てた表情へ。
 百面相とまでは行かないものの、ころころ変わる。
 小さく首を振って、言葉と動作で大丈夫と答えるだろうか。

「それに、何だかハバキさんの方がしっかりしててお兄さんって感じだし……」
 

緋群ハバキ > 「あっ、はい。そうですね。
 端的に言って俺今かなり不審者でしたからね。ともあれお許しが出た……」

慌てた声と表情、そして所作を見るとすっくと立ち上がって頷く。一応自覚はあったらしい。
180cm超えの長身をベンチの隣へと座らせ、続いた言葉にはどうだろうなぁ、と首を横に振る。

「しっかりしてるっていうのはうちの先輩とか、あとエルピスちゃんみたいな人の事を言うんじゃなかろうか。
 俺は基本落ち着き無いしねぇ。

 ……そいや、実行メインって言ってたけど。出動とかもやっぱ最近多い?」

苦笑いで自己をそう評価しつつ、同業故の話題を振る。
公安という同じ組織であっても、その全体図が大きなものであるが故に別の部署について知らない事は多い。
事務方として、把握しておいた方が良い話でもあった。

エルピス >  
「う、うーん……少し前までははちょっと多かったんだけど、
 最近は比較的減ってきたかも。やっぱり、試験期間だと減るのかな?
 件数自体なのか、試験もあるから処理の都合で実行まで持っていくのが遅れるのもあるからなのかは分からないけど……」

 きょとん、と不思議そうに小首を傾げる。
 さてはて真相は。ともあれ缶コーヒーのプルタブを開けて、中身をゆっくりと飲み干す。

「んく、んく……。
 ……ぁ、コーヒーのお礼を言うのを忘れてたね。
 えっと……ありがとう、ハバキさんっ。」

緋群ハバキ > 成程、と得心した顔で頷く。
「少し前」は公安が一般生徒からの信用を落とす事となった案件が立て続いた時期であろう。事後処理にも相当の手間を掛けたと聞く。
実働班の出番が多かったのも無理からぬ事だろう、と頭の中で結論付けて。

「ちょっと前は色々あったらしいからね……。
 試験期間はなー。島の生活サイクルが学園を中心としてるから、そんなもんなのかなぁ。
 俺が生まれるはるか以前なんかは、本土の方で試験中止を求める学生運動なんかもあったらしいけど、此処じゃそういうのは無い……だろうなぁ」

前世紀の半ばを過ぎた頃の学生による反体制運動を引き合いに出し、冗談めかして笑う。
この島に於いて実際にそういう事になった場合、調査と監視、そして集会の解散を行うのは自分たち公安に当たるのであろうが――

「やーお礼なんていいよ。どうせ先輩がおまけ目当てで大量に買ってるやつだし。
 っていうかエルピスちゃんも同い年なんだからさん付けじゃなくてもいいよ」

エルピス >  
「うん、本当、嫌になっちゃうよ。
 "だからこそ"、最近は色々手を回して、少しでもイメージを挙げられるように公安として見回りをしてたんだけど……」

 大きく溜息を付く。
 幾つか、公安が引き起こした騒動を目の当たりにしたり、
 公安の一派が被害者に向けて容赦の無い【対処】を平然としてのけた光景も見た。

 そのことを思い出せば、とても凹んだ、消沈した声を漏らす。

「あはは、確かにここじゃないかも。
 ――う、うん。じゃあハバキって呼ぶねっ。所で、先輩って?
 さっきから何度か話に出てきてるから、ちょっと気になったんだけど……」

緋群ハバキ > 「事務方はそういうのとは無縁だからなぁ……頭が下がります。
 とは言え、イメージね。流石にああいうのが続くとやり辛いだろうなー。
 内側……っつか、「悪い」風紀なり反学園勢力にゃビビられてなんぼなんだろうけどね」

自身も缶コーヒーを取り出し、一口。
隠然たる影響力を持ち、内外の不正に対する抑止力を持つのが公安委員会の在るべき姿――そう理解するが故に、そんな感想を口にする。

「ああ、つーてもまぁ市民の理解を得るには先ずは地道な活動。だいじ。
 やっぱエルピスちゃんのがしっかりしてるんじゃないですかね!?」

肩を落とす少女に慌て、励ますようなニュアンスの言葉を掛けた。
この娘公安より風紀向けなんじゃないの? と若干思わないでもないが、それ故好感が持てる部分もある。

「ん? ええと、コーヒーのは事務の先輩みんなかな。なんかウチの部署で妙におまけのミニフィギュア集めるのが流行ってて……
 しっかりしてるーってのは、俺の直接の先輩の事なんだけどね。夕霧って人。」

黒髪眼鏡の美人でー、いつも黒コート着ててー、と身振り手振りを交えて説明する様は何故か、主人を自慢する大型犬めいた印象を与える。

エルピス >  
「ビビらせるのはいいけれど、正義のために無実の人に危害を加えたり――実際に罪を犯してまでビビらせたら。
 それは違反組織と何ら変わりがないよ。蛇の道は蛇でも、目には目をでも、
 ルールを守って、守らせるのが公安委員会だもん。それを違えたら、ただの暴力でのさばる違反組織だよ。……必要なことでも。」

 視線を落としたまま、落ち込んではいるものの、強い語気で呟く。
 思う所が、あるのかもしれない。

「あはは、ありがとう。考えがしっかりしてても、ボク、直ぐ落ち込んじゃうし……」

 今度はなかなか調子が戻らない。溜息をついて、コーヒーを飲み干した。

「夕霧さん……うぅん、知らない人かも。
 今度あったら、アイサツしなきゃ。えへへ……ミニフィギュア、かぁ。
 ボクもなにか蒐集してみようかな……」

緋群ハバキ > 静かながら明確な意志を持って語られる言葉。
茶化す気になど、とてもなれない。彼女はきっと、そういう場面を目の当たりにしたのだろう、と予想出来たから。

「――そうだね。
 己が課す正しさに従うからこそ抑止力は正当なものになる。ヤクザじゃないんだ、そうじゃなきゃ司法権を有していい理由にならない。
 ……現実がそうならねーのはままならないよなぁ」

故に頷き、しかし視線を合わせず空を仰ぐ。
現実には秩序を維持する為には非合法な手段であっても執るのが組織というものなのであろう。
或いはそれは大人の論理であるのかも知れないが――現場に於いてその矛盾を突きつけられるのは、この島においてはエルピスやハバキのような「子供」なのだ。
ままならない、という己の言葉を、無糖のコーヒーで飲み下す。

「……あーまぁなんかごめんねヤな事思い出させたみたいで。
 夕霧先輩も事務方だから、なんか書類とか持ってきた時に顔合わせる機会はあるかも。

 おまけ集めって結構ハマるけどさ、場所とんないものをおすすめするよ……
 ウチの部署もみんなが飽き始めた頃には置き場所に困ったミニフィギュアが溢れるのが目に見えている……」

エルピス >  
「それでも。出来る限り、正しくあろうとはしたいもん。いつだって迷うし、いつだって怖いけど。
 ……っていっても、ままならないよねー…………、下手な試験より難しいかも。あははー……」

 重すぎる空気を抱いたのか、軽い調子を作ってみせて息を吐く。
 感情の機微には敏感なのかもしれない。

 ――出来うる限り合法に、正しくあろうと。
 そう思い続ける事は、とっても難しいのかもしれない。

「ううん、余計に答えたのはボクの方だから、ボクの方こそごめんね。
 でも、ハバキが否定しないで聞いてくれたのは、嬉しかった。……とりあえず、この話はやめとこっか。」

 改めて、嬉しそうな笑みを浮かべてみせた。
 無邪気にとは行かないが、それでも喜んでいる事を感じ取れるかもしれない。

「……あー、ちょっと光景が想像できたかも。
 置き場所がなくて引き出しの中まで圧迫しちゃったりして……」

緋群ハバキ > エルピスの言葉は、確かに現実に沿わぬ理想論なのかも知れない。
だが理想を外れた所に正当は無い。故に彼女の言葉も、正しい。

……若干の心苦しさを感じ、笑みに苦いものが混じるのは他者を欺くことを生業にする自らの出自故か。
少年はしかし、そんな彼女の理想と信念に共感し、好意を覚える。

「よっしゃ好感度アップしたっぽい――!!
 あ。はい。そうだね、ちょっとでも心が軽くなったなら幸いかな」

そう返す言葉は明るい。彼女の気遣いに感謝せねばならない、と内心で独りごち。

「俺の予想だとあと2日ぐらいでそんな感じになった先輩たちが俺に押し付け始めると思う……
 捨てるのもアレだし今からどうしようとかなり頭を悩ませてる。時計塔からバラ撒くか……? 風流せいするか……?」

エルピス > 「も、もうっ。そんな不法投棄したら逮捕しちゃうよっ」

 くす、と冗談めかして笑い声を漏らす。
 公安委員が謎のフィギュアバラマキ事件とか、ちょっと面白おかしく感じれば笑ってしまう。

「……本当にしないよね?」
 
 ちょっとわざとらしく、真顔になったりもしつつ。

緋群ハバキ > 「今の仕草かなり逮捕されたさありますね……」

何故か瞠目し、感じ入ったようにそう答える。
なんだか真顔になって正解のような気がするかも知れない。

「い、いやしない。しません。多分。
 もし悪魔の囁きに負けてしまったらその時は……俺を止めてくれよ……」

まるで漫画やアニメでよくある闇堕ち前の仲間キャラのような事を言いながら無駄にシリアスな顔になるのであった。

エルピス > 「も、もうっ。からかわないでよう。
 ――うん。絶対止めるから。公安全員を巻き込んででも。
 フィギュアを、ばらまくの見物しに――じゃなかった、止めに行くから。」

 何故か瞑目されるとちょっと恥ずかしい。照れまじりの声が響く。
 ――無駄に真面目な調子で答えているが、公安皆でばら撒く所を見に行くね、って言っているようなものである。

「……んっ、ボクはそろそろいこっかな。
 えへへ、大分気分も楽になっちゃった。話し相手になってくれてありがとうっ、ハバキっ!」

 声を弾ませ、とても嬉しそうに言葉をこぼす。
 さながら満開の向日葵を彷彿とさせるような笑顔かもしれない。

緋群ハバキ > 「からかうと可愛い女子相手はからかうよね。つまり俺に罪なし。アイアムノットギルティ
 演説の文言考えとかなきゃ……」

ノリ良く返される言葉に笑いを混じらせて、元気の戻った様子にうむ、と頷く。
自身がその一助となれたのであれば、それは幸いな事であった。

「こっちこそ。
 かわいい子のなー! 沈んだ顔はなー!! 正義の味方的に見過ごせなくてなー!!」

雲間から日が差したような、そんな笑み。
こちらまで嬉しくなってしまうような笑顔に、照れ混じりにそんな言葉を返して。

「俺もそろそろ行かねーとまた先輩たちにパシリ失格の烙印を押されてしまうな……
 んじゃまたね、エルピスちゃん。雑用仕事があれば是非俺までお申し付け下さいなっと」

エルピス >  
「もっ、もう……可愛いって言われると恥ずかしいかも……」

 不思議と恥じらいを見せつつ、有無月気味ハバキを見る。
 仕草に合わせて、ふわりと髪が揺れた。

「……あっ、うん。じゃあまたねっ。
 本当は手伝えたら良かったんだけど、ちょっと寄る所があって……」

 踵を返し、地面を蹴る。
 そのまま地面から足を離し――全身の飛行ユニットを起動して、どこかへと飛んでいった。
 一帯に響く駆動音は、彼女から発せられるものだろうか。

「またねっ、ハバキ!
 ボクも正義の味方――まではいかなくても、出来るだけ正しくあろうとがんばってみるからっ!」

ご案内:「常世公園」からエルピスさんが去りました。
緋群ハバキ > 「やーまぁ、俺が頼まれた事だし――」

ベンチを立ってその場を後にしようとした所で、響く機械的な動作音。
思わず見上げれば、単体で飛行し前向きな言葉とともに飛び去りゆくその姿。

「……お、おーぅ。
 サイボーグ……すげぇ、あそこまで精巧なの初めて見た……!」

男の子のロマンな退場にキラキラした目を向けつつ、忍者走りで委員会街へと急ぐのであった。

ご案内:「常世公園」から緋群ハバキさんが去りました。