2015/07/21 のログ
ご案内:「常世公園」に相模原孝也さんが現れました。
■相模原孝也 > 「んー。」
日の落ちた時間帯。自販機そばのベンチに腰掛けて、スマホをいじる人影がひとつ。
「メール、来ないな。」
弱った顔で、首をかしげる。まあ、先方は忙しいのかもしれない。
まあ、来ないのはしょうがない。一つため息を吐いて、ベンチに背中を預けて空を見上げた。
■相模原孝也 > スマホを胸ポケットに突っ込んで、空を見上げて考え事。夏休みの青少年には、考えることがいっぱいだ。
仮入部したロケット研究部のこと。それに関係する自分の異能。明日遊びに行くさきについて。遊びに行くためにどの生活費を切り詰めるか。後最近たまに聞こえる妙な呼び声がどこからくるのか。
「……そういえば宿題もでてたっけ。」
■相模原孝也 > さっぱりわからない魔法学概要論基本。暗記だけで済む地球史に対して、たまに偉人の名前が発音できないからと記号表記されてる異能の歴史。文字の読めない日本語・古文。文字の読めない度が違いすぎる魔法言語・現代文。公式が覚えられない数学。体質的にちゃんと覚えておけと押し付けられた物理学。
頭を抱えた。
「終わる気がしない…!」
思い出すだけで戦慄する。学生たる青少年には、宿題もいっぱいだ。
■相模原孝也 > 「物理だけならいっそロ研の先輩たちに頼むという手も…いやダメだ。
そんなこと頼んだら、喜々として代わりに屋台・レーザーたこ焼きとかやらせにくるかもしれない…!」
ロ研部から夏祭りの出し物として、提案に出ていたレーザーたこ焼き。
どんなシロモノかといえば……オレのレーザーで鉄板を熱してたこ焼きを作るというアイデアだ。
「出力調整がろくにできてないんだから、溶けた鉄でたこ焼きコーティングしかねないって言ったのになんであの先輩たちノリノリなんだ…!」
ああ、物理学ではとても他の人を頼れない…!
ならば一体、どの科目の宿題なら他者を頼れるというのか…!
■相模原孝也 > 魔法系科目……詳しい知り合いなんてそれこそ先生くらいだ。
語学系科目……得意な友人は特に居ない。
理数系科目……むしろ不得意な友人しか居ない。
「いや……まだだ、まだ何か手があるはずだ。そう、この夏休みの間に勉強のデキるやつと仲良くなって宿題を写させてもらうとか…!」
抱えた頭を解き放ち、若干血走った目を見開きながら勢い込んだが、しかし。 すぐに消沈して肩が落ちた
「そんな邪な奴と仲良くなろうなんて、頭のいいやつが思うわけないよな…。」
ご案内:「常世公園」に深雪さんが現れました。
■深雪 > 涼しくなった時間帯、いつも通りに散歩をしていた。
けれど、今日は、少しだけ機嫌が良い。不思議なこと、楽しい事があったから。
いつも通りに公園へと足を踏み入れれば…そこには、先客が居るようだった。
普段なら回れ右、すぐにその場から去るのだが・・・
「あら・・・・・・?」
先客の顔には見覚えがある。前に会ったのも、この公園だった。
何をしているのかは分からないが、今度はこちらから、近付いていこう。
■相模原孝也 > 「……帰って宿題でもするほうが有意義に思えてきた。」
が、だからって宿題をしたいかといえばそうでもない若者らしい怠けごころ。
しかし、全く手付かずで8月末に入れば地獄。せめて明日から頑張ろうか…などと考えていると、ひょっこり、ベンチの隣に乗っかってきたのがいた。
「あれ…お前昨日の。」
驚きに瞬きした視線の先。昨日見かけた黒猫が、ベンチに座って、にゃあ、と細い声で鳴いた。
「う…もしかして見られてたか?」
少々情けなく、まゆを下げながら。喉のあたりをくすぐろうと指をのばしたのだけど。
黒猫はそれを避けて、ひょいとベンチから飛び降り歩いてく。
「あっれ?いや猫って気まぐれって言うし、」
逃げられたのに拍子抜けしながら、黒猫を視線で追いかけていった先に、銀色のきらめきがてにはいり、青少年は二度目のまばたきをした。
■深雪 > 月光にぼんやりと照らされ、揺れる銀の髪。
「・・・あら、見られたくなかったのかしら。」
少女は黒猫に手を差し伸べて、顎を撫でながら…くすくすと、笑っていた。
視線を貴方の方へと向けて、黒猫さんを抱き上げ、静かに歩み寄る。
「この子に人生相談でもしていて?」
首を僅かに傾げて、貴方に問いかける。
少女の脳裏に蘇るのは、昨日の食事のこと・・・悩んでいた少年の姿。
気にしていたわけでは無いが、その後どうなったのか、気にならないといえば嘘になる。
■相模原孝也 > 「うぐ。……まあ、知り合いに見られると少々複雑なくらいには?」
投げかけられた第一声に、一瞬動きが止まった。さすがに、宿題に難儀していたとは言うに言えない。
「さすがに、意思疎通の厳しい猫さんに相談はしませんよ。
まあそれはさておいて、こんばんわ、美雪さん。今日もお月見ですか?」
訪ねておいてから、ちょっと腰を浮かせて、ベンチの端側に移動する。
自分はそこそこ眠気が来てるから長居はできないが、美雪さんが座るなら、座れるように開けたほうがよいだろう。
…抱えられた黒猫さんに、おーい、と手を振ってみたけど、黒猫さんにはそっぽを向かれてしまった。
■深雪 > 「あら、結局、顔を合わせる勇気が無かった…なんて話かしら?」
意地悪な笑みを浮かべたまま歩み寄って、ベンチを開けてくれたなら、そこに腰をおろす。
少女は黒猫さんを抱いたまま、視線を貴方の方へと向けて、
「今日は寄っただけ・・・貴方が居なければ、素通りするつもりだったわ。」
黒猫さんは気持ち良さそうにごろごろとのどを鳴らしている。
そんな黒猫さんに手を振る貴方を見て・・・少女はくすりと笑った。
それから、昨日とは反対に抱き上げた黒猫さんを貴方へと差し出した。
■相模原孝也 > 「そこまでナイーヴな話じゃないですよ。
ちょっと宿題が多すぎて、どこから手を付ければいいかと悩んでただけです。」
微妙に話題の焦点をずらすくらいには、見栄をはりたい青少年。
ベンチに腰を下ろした美雪さんから視線をそらしがちになっていて。
「そうなんですか? それは……ちょっと嬉しいですね。」
言われた内容に、ちらちらとそちらを向いた。
素通りしない程度には、気にかけられているらしい。ちょっと嬉しい。
「ん……昨日とは逆ですね。」
差し出された黒猫さんを、両手で抱き上げ受け取って。膝の上に乗せる。
今度はおとなしくしてる黒猫さんの背を、そっと撫ぜた。
■深雪 > 「宿題? ・・・ふーん、面白くないわね。」
この少女、宿題にはあまり興味が無いようです。
黄金色の瞳は、貴方が視線を逸らしても、貴方の方を真っ直ぐに見つめます。
「・・・・・・で、結局あの後、どうしたの?」
貴方がどんな方法で話題を逸らそうとしても、きっとこの少女はすぐにここに戻ってきてしまうだろう。
「貴方、あんな現れ方をしたのよ・・・当分、忘れられそうに無いわ。」
くすくすと、意地悪な笑みを浮かべて・・・手を少年のほうへ伸ばした。
けれどその手はすっと、黒猫さんの頭へ下され、その頭や頬を撫ぜる。
■相模原孝也 > 「面白くなくても、やらなくちゃいけないですからね。」
それこそ面白くない気分になりそうだけど、だからって凹んでると、またにゃんこに逃げられそうだ。
アハハ、とかるーく笑ってみせて……ごまかせなかったよ…。
「……美人なおねーさんに出会えて、ちょっぴり心も癒えたので。
気分転換に、アイス食べて寝ましたよ。」
ソレくらいで勘弁してください、と白旗宣言。実際、行動自体は事実につき。面白い話もないということもある。
……美人なおねーさんの件で、若干顔が赤くなっていたが。
「同意です。オレもちょっと忘れられそうにないですね。
……猫、かわいいですよね。」
伸ばされた手に、一瞬期待して動きがとまったけれど。
猫のほうを撫でる様子に、ですよねえ、と苦笑い。
黒猫さんが気持ちよさそうにしているのを見れば、自分は撫でる手を離し……急な眠気に、口元を抑えてあくびを隠す。
■深雪 > 宿題のことについてはまるで触れなかった。
ぱっと見た感じでは宿題を溜めるような怠惰なタイプには見えないが・・・もしかしたら、最後までやらない子なのかもしれない。
「あらあら・・・後になってから後悔するかも知れないわよ?」
深い事情までは知らないが、貴方が機会を逃そうとしているのだけは分かる。
けれど、それが貴方の選択なのだとしたら・・・それ以上詮索するつもりは無いし、強要するつもりもない。
いずれにせよ、美人なおねーさんといわれれば、悪い気はしないのか、満足気に微笑んでいた。
そんな可愛らしい少年が欠伸を漏らせば、
「昨日は私、ここで寝ちゃったわ・・・・・・膝枕、使うかしら?」
突然、そんなことを言い出した。
表情はすこし意地悪に笑っているが、その言葉はあまりにも自然で、冗談には聞こえないだろう。
■相模原孝也 > 「そうは言っても、自分から踏み込めないことなんで。機会が回ってくるのを待つばかり、です。
時が癒やすとは限らないけど、時が必要なことって、ありますよねー。
宿題は除きますけど。」
後悔はすでにどうしようもなく、動くにも動けないこともある。本当に、機会があればの後悔につき、ゆるゆると首を横に振ってごまかさざるを得ないのだ。
まあ、宿題は、やる機会を逃すとひどい目にあうので、頑張らないと行けないのだが。
そんな考え事に眠気が合わさった結果、提案された内容に、
「はい。」
頷いて、はい? 目をぱちくりした。ひざまくらってなんだっけ?
……ああ、今オレがにゃんこにしてるようなことだ、多分。
目をぱちぱちさせながら……ふぁ…また、あくびがひとつ。
「ねむ、い。んで…お願いしたいけど、それはそれでもったいないような…?」
あれ、でも膝枕とか恥ずかしかったような…?でも美雪さんの声だと、どうにも冗談に聞こえずに。このままだと眠気と合わさって、こてんと転げてしまいそう。
膝の上では、黒猫さんも気持ちよさそうにあくびをしてた。
ご案内:「常世公園」から相模原孝也さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に相模原孝也さんが現れました。
■深雪 > 貴方の言葉に・・・眠気に負けそうな貴方は気づかないかも知れないが、
少女はどこか、寂しそうな表情を浮かべていた。何か、自分にも思い当たることが、あるかのように。
「………そうね。」
小さくそうとだけ呟いて、黒猫さんを撫でていた手を、貴方へと伸ばす。
頭をぽむ、と撫でるように…そのまま、自分の方へと引き寄せるように。
鋼の精神力で抵抗しなければ、そのまま、膝枕へと誘い込んでしまうだろう。
制服のスカートと、色白できめ細かな肌の境目に、ゆっくりと。
「素直な子は、可愛らしくて好きよ?」
優しく微笑み、意地悪に笑む。その両方が混在しながらも、少女は、貴方の髪を、優しく撫でた。
■相模原孝也 > 「ん…素直なので、あまえて、ねます…。」
あくびのせいか、ふぅっと眠気が襲ってきた。
一瞬視界がたわんだ中、柔らかい手が、引き寄せる動きに、ふっと何かを思い出し、それも眠気に沈んでいく。
「ぁ……ねこ…。」
膝の上に載せたままだった黒猫さん。落ちないように抱きかかえたのが限界だった。
眠気にも、優しげな声にも抗することはかなわずに、黒猫さんと一緒にベンチで横になり、青少年の頭は少女の膝の上。
「ん……おやすみ、なさ…い……。」
髪を撫でる手に寝かしつけられて、小さく身動ぎしてから、静かな寝息を立て始める。
少女の膝の上で眠りに落ちた青少年は、翌朝目が覚めた時に、またひとつ羞恥の記憶をもつことになるかもしれないが。
その寝顔は安心しきった、どうにも幸せそうなものだった。
ご案内:「常世公園」から相模原孝也さんが去りました。
■深雪 > 少女は、昨日、黒猫を膝の上に優しく抱きかかえたように、
今日は少年を、膝の上で優しく撫でていた。
「無防備なものね・・・。」
くすりと笑って、少女は少年の寝顔を覗き込む。
その幸せそうな寝顔を見れば、少女もまた、満足気に微笑んだ。
やがて少女も、少年を抱くようにして眠りに落ちるだろう。
くたっと少女が前屈みになれば、少年は、柔らかな膝と、それからもう一つ、柔らかいものに包まれる。
やがて朝が来るまで、少年が目覚めるまで…少女もまた、目を覚ますことは無いだろう。
ご案内:「常世公園」から深雪さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 夜の常世公園の片隅、ベンチに少女が座っている。白と朱色の巫女装束に身を包む少女の名はサヤ。
しばらく入院していたが、本日昼頃にめでたく退院し、家に向かっていたはずだった。
そう、はずだった。
「ふぅ……。」すっかり鈍って疲れやすくなってしまった体と、相変わらず方向音痴な自分にため息をつく。
居住区に向かっていたはずなのに、気付けば学生街の公園に居る。どこかで戻ってきてしまったようだ。
■サヤ > 「石蒜?ねぇ。」傍らの刀、そこに封じられた存在である石蒜に声をかける。彼女は方向音痴ではないはずなので、道がわかるかもしれない。
「石蒜?」返事はない、寝ているらしい。
「……ふぅ。」ため息をもう1つ。
もうすっかり夜になってしまった、足は痛いし、もしかするとこのまま野宿しなくてはならなくなるかもしれない。普段なら全然平気だが、今は退院したての身だ、出来れば避けたい。
ご案内:「常世公園」にサイエルさんが現れました。
■サイエル > 「……やれやれ」
木の後ろ。そこで静かに煙草をくもらせる。
先日の入院患者のひとり。もう一人の重傷者はどうやら、任せてよいらしい。
どっちが看るのが必要かといえば、屋外にいるこっちが間違いなく必要だった。
「身体が弱っているときに女性がこんな場所で。ふらふらしてるのはよくないですよ」
姿は出さず、そこから声を出すだけで。投げかけるように
■サヤ > 「えっ?」声をかけられ、周囲を見回す。姿は見えない。
「あ、えと……私も早く家で休みたいのですが、道に迷ってしまって……。」バツが悪そうに、首をすくめて答える。
姿を現さないことに、少し警戒。強めに刀を握る、袋から出さなくても打撃武器にはなるだろう。
■サイエル > 「”退院”したてなら、あんまり遠出しないようお勧めしますが
--方向音痴ですか? 巫女服だから神社が家かと思いましたよ」
ふーっと、どこかの木の後ろから煙が出る。
そこにいるのはわかるだろう。
「あぁ、そんなに警戒しないで。タバコ吸ったら顔出すから
さすがに病人にふくりゅうえん、吸わせるわけにゃいかない から」
そうだけ告げて、穏やかに。
「学校の保険医ですよ。急に困った”声”がしたので仕事をしにね」
だから気を抜いて。リラックスリラックス。
なんて付け足して。
ご案内:「常世公園」に嶋野陽子さんが現れました。
■サヤ > 「そ、そうです。生まれつき方向音痴で……。あの、えと、この服は良く似ているけど巫女の方の服じゃなくて……道着でして、ええと……。」知らない人と話すのはいつも苦手だ、どこまで喋ればいいのかわからなくなる。
「あ、うぅ、すみません……つい……」保険医の方が親切に声をかけてくれたのに、警戒してしまった、申し訳ない気分になる。
■サイエル > 「いえいえ、構いませんよ。一応、要観察なので
男に声かけられたら警戒しますよねぇ……えぇ普通」
――ナンパじゃないのであんしんしてくださいねぇっ
なんて、足の裏で煙草をこすり、携帯灰皿に入れて出てきたのは
白衣姿、よれたシャツ。無精ひげを生やしたおっさんだった。
お世辞にも、二枚目とはいえない。
「あぁ、無理に話すことはないですよ。ゆっくりね
簡潔に。難しいことは大丈夫ですよ。隊長が最優先
話ししたいことだけしゃべってくださいね」
ゆっくりとした口調だ。
巫女服――ではなく、道着を身にまとった女性の
”心臓”の音に合わせて話す。
呼吸音。しゃべりやすい間。穏やかな声
それに、どことなく頼りなさげな容姿。
それらが、目の前の女性が女性であるようふるまうように諭す。
「おうち、どこだか分ります? 倒れたら大変ですからね。誰かに送らせましょうか」
■嶋野陽子 > 図書館から戻って、自室で夕食を
摂った陽子は、図書館で半日動かなかった埋め合わせ
に常世公園までジョギング中、タバコの香りのする方
向に視線を向けると、サヤに近付くサイエル先生の姿
を認める。
サヤ(無論陽子はまだ名前を知らない)が困っている
様子なので、歩みを緩めて二人の方に近付くと、
「サイエル先生、保健課一年生の 嶋野陽子です。
何かお手伝いは必要ですか?」とサイエル先生に
声をかける。
■サヤ > 「はい、えと、ええと……。」右手で刀を抱きしめ、左手をぐっぱーしながら、深呼吸。落ち着いて、今伝える必要のある情報をまとめる。
「ええと、きょ、居住区の、女生徒用の寮に行きたいのですが、迷ってしまって……。ええと、畝傍という方の部屋に、今日からご厄介になる、予定です。」
そして現れた、身長は自分の2倍近く、体重は自分の5、6倍はあろうかという女性の体格に驚く。
「あ、あ、えと。さ、サヤと申します。」瞬きをしながら、なんとか名前を名乗る。
■サイエル > 「んお、ちょうどいいとこに……」
名乗ってくれた。よいことだ。
顔を覚えていないなんてことはばれない。
仕方ないんだ、サボりが生きがいなのだから出勤なんてそうそうしないし。
保健課とかの集まりはほかの先生の役。
そうそう。
「チョーっと待ってな。少しお話して経過だけ纏めるから
軽く」
――それで経過を引き継ぎすれば手があく。
てか身長でかいなこの子。
うんうん、若いっていいね・
「OK、じゃあそこの保健課の子に案内してもらってね
お、いいね。そのまま深呼吸してて
いろいろ記録とるから」
ぱぱっとメモしていく。ドイツ語だ。
「おっさんと二人っきりなんていやだろー、すぐ帰るからね」
あっはっはと笑いながら、ひげをなでる
■嶋野陽子 > (サヤ・・・さん。かなり驚いているようね。まあ、
夜の公園で、私の体格を見たら、無理もないわね)
彼女の目的地が、自分の住んでいる常世女子寮だと
聞いたので、サイエル先生が一通り終わるのを待って、
「先生、そこは私が住んでいる寮ですので、一緒に
お連れして、畝傍先輩に引き合わせます。もし不在
ならば、ロビーか私の部屋で待ってもらっても良い
ですし」と伝える。
ここでサヤさんの方に向き直り、サヤさんを怖がら
せないようにしゃがみこむと、
「私もその寮に住んでいるので、一緒に行きま
しょう。体調が優れないのなら、寮までおぶって行き
ますよ。いいトレーニングになりますので」
と、優しく告げる。
■サヤ > 「あ、は、はい。すぅー……はぁー……」落ち着くためにやっていたのだが、続けろと言われれば素直に続ける。
「あ、いえそんなことは……。」思春期によくある成人男性への嫌悪感などは特に無かった、むしろ年上は敬うべきと教えられていたので、自分には無い感覚の同意を求められて、困ったように頭をかく。
目の前でしゃがみこまれれば、少し威圧感を覚えつつも、相手の親切な態度にそれを出さないようにしながら。申し出には、一瞬反射的に断ろうと考えるが。
実際今自分は足が痛いし、寮までどれぐらいの距離かもわからない、無理して歩いたら余計迷惑になる。と考えなおし。
「ええと、それじゃ…すみませんが、お願いして、よろしいですか?」少々、遠慮がちに申し出を受け入れる。
■サイエル > 「ん、OKOK。ありがとう」
脈拍数など健康面で”現代医学”における部分では問題なさそうだ。
魔術方面やメンタル的なのはさすがにわからない。
それは精密な検査がしてくれるはず。
「そう? あっはっは、よい子だねぇ。うんうん」
なんて頷いて、白衣のぽっけに手を突っ込む。
「んじゃよろしく頼むよ。まぁなにか体調が悪くなったら
言って。最終手段ではあるが、呼ばれてかつ、都合がよくてかつ、さぼってなかったら、駆けつけるから」
じゃあねっと手をひらひらさせて、煙草をくわえながら去っていく
ご案内:「常世公園」からサイエルさんが去りました。
■嶋野陽子 > ここから寮までは10km以上ある。
行きは走ったから大したことない時間で来れたが、
サヤをおぶったままで時速30kmは出せない。帰りは
最寄り駅から鉄道で帰ることにする陽子。
ジョギングでも財布は必ず持ち歩いているので、
切符は買える。
診察を終えたサイエル先生が立ち去るので、
「先生、お疲れさまでした。」と言うと一礼して見送る。
そして、サヤさんに背を向けてしゃがむと、
「歩いていくには遠いので、鉄道に乗って寮に向かお
うと思いますが、サヤさんは鉄道はご存知ですか?」
サヤさんが異界人である可能性に思い至り、鉄道を
使う許可を求める陽子。もしだめなら、早足で歩いて
一時間強かけて女子寮に向かうつもりだ。
■サヤ > 「あ、ありがとうございました。」やけに前提条件の多い救助に首をひねりながらも、歩み去る相手に頭をさげる。
刀袋を背負ってから「では、失礼します。」とおぶさる。
「てつどう、ええとあの走る金属の箱ですよね、でんしゃとも呼ぶあれ。大丈夫です、使ったことあります。」以前は異邦人街から通っていたので、かなり苦労しつつも使い方はなんとか覚えていた。
仕組みはさっぱり理解していないので、異邦人街と学園を往復する以外の使い道は知らないが。
■嶋野陽子 > サヤを背負うので、
汗腺からはリラクゼーション効果のあるアロマを出す
事にしてから、サヤを背負ってゆっくりと立ち上がる。
「ここから駅まで10分。駅から寮の最寄り駅までは
待ち時間を含めて15分。そして最寄り駅から寮まで
5分ですので、30分で寮まで着きますよ」
と、歩き始めながらサヤに説明する陽子。
(神宮司くんをおぶったら、こんな感じかな)
などと考えながら、陽子は
「お疲れならば、お休みになってもよろしいですし、
寮の事で質問があれば、遠慮なく聞いて下さい。」
とサヤに伝える。
その間も歩き続けているが、サヤを揺らさないように
気を付けながらの歩みだ。
■サヤ > 背負われると、その体を覆う筋肉に改めて驚かされる。
サヤも武人の端くれとして、鍛えぬいた体というものに憧れを持っている。
それでも今サヤが細めの体格をしているのは、サヤの流派が筋力を重視していないことと、師匠から『鍛えすぎると嫁の貰い手がなくなる』とあまり鍛えることを止められたためである。
自分では手に入れられなかった体にぴったり寄り添っていることと、アロマの効果も合わさって、満ち足りた顔で鼻から深呼吸している、ちょっとアブない感じだ。
「あ、あ、はい」いけない、匂いを嗅いでいて話を聞き逃すところだった。
「30分、30分ですね、わかりました。結構、かかりますね。」その間、この人と一緒か、もうすこしかかってもいいのに。
「えと、寮は……今日が行くの初めてなので、全く何もわかってなくて……ええと、まだ思いつかないので、ついてから質問します、はい。スー、ハー」質問がないのは本当だが、頑張ればおもいついたかもしれない、それを放棄したのは、ひどく安らぐ香りがするからで、それを嗅ぐのに集中したい思いがあった。
■嶋野陽子 > 背中に背負ったサヤさんが、アロマを
気に入ったのかスーハーと鼻息を立てて吸い込んでいる
感触が伝わる。いささかこそばゆいが、陽子が気付いた
のはそれだけでない。
(この人、鍛えてる!)
サヤの身体は細いが、引き締まった細さだ。例える
ならば、細身の日本刀のような。
アロマに集中しているサヤを邪魔しないように、
(ステラ、寮の畝傍先輩の部屋番号、判るかな?あと
もし連絡先が判ったら、あと20分で、サヤさんを寮
に連れて帰ると、保健課からのメールで知らせてもら
えないかしら?)と、ステラに連絡と状況確認を頼む
陽子。
駅に着くと、丁度ガラガラの電車が来たので、少し
背を丸めて車椅子コーナーに立つ陽子。
背中のサヤは寝た訳ではなく、陽子のアロマをかぎ
ながら、ゆっくりと陽子の背中から肩にかけての筋肉
を撫でている。おこん先生に保健室で触られた時のよ
うな、こそばゆい感覚が陽子に伝わる。
サヤさんを安心させるのが最優先なので、列車を降
りてからは、少しペースを落として歩き、寮の入り口
が見えた所で、
「サヤさん、もうすぐ寮に着きますよ」
と声をかける。
■サヤ > いいなぁー、いいなぁー。私もこれぐらい鍛えたい。
サヤはそう心のなかで繰り返していた、それに何故かとても安らぐ匂いがする。体臭とは思えないので、何か使っているのだろうか。
知らず知らずのうちに手が伸び、相手の筋肉を撫でていた。
そして声をかけられれば、半ば放心していたところから引き戻される。
「え、あれ、もうですか?」時間を忘れていたようだ。
もっと背負われていたかったが、仕方ない。
「えと、じゃあ、そろそろ降ろしていただいて。」あまり背負われているのも悪い、と考え十分休息は取ったし、この距離なら歩けると踏んで降りようとする。
降ろしてもらえれば、少し右足を引きずり気味ながらも、寮まで歩いて行くことだろう。
ご案内:「常世公園」からサヤさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > この時期でも、公園の中は。
日が落ちると涼しげな風が吹く。
そのせいもあり、ひどく遅い時間帯のようなイメージがあるが、実際のところ学校帰り、夕ご飯を食べゆったりしている。
その程度の時間だ。
そんな時間の……常世公園。
この公園は大きめであり、その一角にはテニスコートが存在する。
さらに、その一面に……いつもの格好をして、頭にフードを被った少年が。
ラケットを持ち。
――そう、まるでいまからテニスでもしようかの如く、そこにいた。
■渡辺慧 > パン、と1,2度。
左手でテニスボールをバウンドさせる。
シ、と猫のように笑うと。
大きく、そのテニスボールを浮かせると……鋭く、サーブを放った。
強力なサーブ――サービスエリアのギリギリを攻めるかのようなコースを描く――ともいえるそれを待ち受けるレシーバーは。
――当然のごとく誰もいなかった。
■渡辺慧 > 通常。――というかむしろ、普通のテニスをする場合。
最低でも2人。
2人でやらないと、そも、成り立たない。
一人でテニスとは、壁打ちぐらいの物だろう。
だから、それは必然。
必然のものとして、そのテニスボールはバックネットを揺らす音を立てる。
――その時。
■渡辺慧 > 「――――――せ、っイッ」
軽やかに、ラケットがそれを打つ音がした。
そこにみえるは、両足の体勢を崩しながらも、フォアハンドでラケットを振りぬいた姿。
――要するに、だ。
今起こったことを単純に説明すると。
サーブを放った少年は、そのまま。
前のめりに倒れこむかのように。
その勢いで、前方に――全力で走った。
非常にばかげているし、ボールのスピードに追い付くなど。
それは、馬鹿の所業ではあるが。
普通ならば、不可能ではあるが。
――それを覆せる異能を少年は持ち合わせていたのだ。
急加速。いつもより、そう。
こんなことでいつもより強めに発動したそれは、急激な加速を少年に促す。
地を駆け、ネットを軽快に飛びこし、全力で走りこみ――。
――その、本来はあり得ない、ボールの軌道上に潜り込んだ。
左手、両足を使い、急激にブレーキをかけながら。
体勢を崩しながら、打ち返す―――――。
ご案内:「常世公園」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■渡辺慧 > だが――。
「しまっ……!」
そう甘くはないのだ。
体勢を崩しながら返すそれは。
当然、体勢を崩したなりの軌道。
ロブ……いや、それでは言い方が甘い。
それは、相手にとって。
隙を見せた、得物のような、甘すぎる球。
――それを見逃す少年ではない。
体勢をすぐさま立て直し。
その隙を見せた得物を狩るかのごとく。
先程のような猛スピードで、駆けた――!
■渡辺慧 > まるで獣のように。
得物を追う獣のようにひたすらテニスコート上を駆け。
ネットを飛び越える。
体勢を低く、低く、ぐっと低く。
そのままの勢いで、バックネットの間にある、支柱を蹴りつけ、反転。
少しだけ飛び上がるかのように……ラケットを構え――。
もう、終わりにするかのごとくの強力なスマッシュを……。
自らの相手に放ったのだ。
■谷蜂 檻葉 > 数日前から、新しく日課に入れたジョギング。
今まで行けていなかった新しい場所まで、足を運んでいた。
常世神社、異邦人街、農業地区など。
遠く縁のないまで時に走ったその帰り。
「………何あれ。」
自販機で買って、直ぐに飲み干した缶ジュースを取り落とす。
テニスコートにいる人影。
スポットライトのように照らされたその誰かがラケットを振りかぶり、打つ。
そしてラケットがボールを打つ、パンと言う音と同時に人影も『消えた』。
―――そう思った。
いや、間違いなく自分の視界から消えていた。
しかし、それは正しい表現ではなかった。
全く同じ人間が反対側のコートでラケットを振るっていた。
そしてまた、消えて……僅かな残像を残して手前に再び現れ、打つ。 消えて、打つ。
男は『一人テニス』をしているのだ。
その実に馬鹿馬鹿しい驚異的な事実に気づいたのはその最後の瞬間だった。
「――――アウトっ!
ポイント、ケイ・ワタナベ! …………で、なにしてんの?」
金網の外から、自然と声をかけていた。
■渡辺慧 > 終った。
その場にいる誰もが、終わった。
そう感じた。
だけども、ただ一人。
そう、ただ一人、その彼だけは諦めてなどいなかった。
片膝立ちの要領でその場に着地。
まるで、銃弾が発射されるかのごとくの勢いで、駆けだした。
それを。劣勢を覆すかのごとくの勢いでただひたすらに。
速く。――もっと速く――!
そして、ネットを飛び越え……ようとした時に聞こえた声にふと。
「え?」
ガッ。
足がネットに引っかかり。
浮遊感。まるでそれはどこぞのヒーローかのように両手を前に伸ばして、勢いで浮遊する。
しかしながら。――人類は、空を飛ぶように出来ていない。
わずかばかりの浮遊感は、すぐさま墜落へと向かい。
――ズシャァァァァアァァァアアッ
とでも猛烈な音が出そうな勢いで顔面からテニスコートを滑ったその少年の姿は。
そう、一言で説明してしまうなら。
“馬鹿だ。”
■谷蜂 檻葉 > 「~~っ、ああもう!ほんとに何してるのっ!」
自分のせいだ。 2テンポ遅れてそう気づいた顔から血の気が引く。
そこからは速かった。
ガシャン、と金網から数歩離れて助走をつけられる距離を取り
「 『上に跳ね上げて、着地よろしく』!! 」
1歩、2歩、3歩目で巨大なトンカチで地面を撃ったような音が響いて、檻葉が金網を一気に”飛び越す”
そのままエンドラインの上に一瞬の浮遊を挟んで着地すると、
コートを回りこむように見事に漫画的ずっこけをキメた少年の元へ駆け寄った。
「がっ、顔面から綺麗にいったけど大丈夫!?」
手持ちに、なにか医療道具の一つでもなかっただろうか……。
■渡辺慧 > 駆け寄ってきた少女。
それに気づいているのか、いないのか。
その見事なずっこけた姿勢のまま、なにか。
何かを、何かをつぶやく。
「……………………ふぃ」
「15-0……………」
その姿から、多分。
こいつ心配する必要ないんじゃないか。
と思わせるのは、十分な呟きであろうことは。
なんとなくにも、わかる。
「…………ひたい」
のそのそと、ぴくぴくと、その上体を起こし乍ら。
赤くなった、鼻頭をさすりながら。
――少しだけすりむいている様子から。
大事はないことは、見て取れるだろうが。