2015/08/17 のログ
上那賀 千絵 > 「そうか・・・?静歌が言うのならば、そうなのかも知れないな」

確信は無いのだが、
自分でいうよりも彼女の言葉の方が信用できる、
そんな気が直感で思えた。
人との、否、彼女との会話を楽しんでいることに気が付いていないことも・・・。

「・・・」

彼女が歌い終わるまで、
しっかりと言葉を、
歌声を聴き取り心で捉える。
歌い終われば彼女の一礼までしっかり見つめて・・・

「・・・」

言葉を発することは無いが、
無言でそのまま優しい拍手を送る。

「堂々としているといいさ、私しかいないのだから」

照れるという感情は分からない、が、
彼女の仕草を見れば恐らくはもどかしい、恥かしい
といった感情に似た物なのだろうと察しが付いた。

「あぁ、きっと・・・静歌なら・・・」

始まった彼女の歌声、
其の歌声、其の詩は、
まるで自分を映し出すかの様。
其の詩に惹かれ聴き入り耳を澄ます。
最後の方に映し出された其の感情は、
私の心に近い物すら見えた・・。

「・・・」

彼女の歌声が終われば、
眼をそっと開き、
彼女をその淡い水色の双眸で見つめる。
そして、ゆっくりと口を開いて・・・

「私は・・・、私は、解放されると思うか・・・?」

眼を細めて彼女に問いかける・・・。
感情は見えないものの、
視線で訴える心は真剣と伝えて・・・。

四十万 静歌 > 「そうですよ、
 きっと。」

そう、笑って、
堂々としているといいとの言葉に、

「――ありがとうございます、
 って、ありがとうございますっていってばかりですね。」

ムムム、とちょっと唸って、うん、と一つ頷き歌い始める。
私なら、なんだろうかと気になることはあるが、
今は歌に集中しよう。

――集中して、歌う。

瞳を閉じて、情景を思い浮かべながら。

不思議と情景が浮かぶようで、
熱が篭ったような気がする。

そして、歌い上げて、
一礼。
そして、解放されるかといわれて、
何のことだか分からないけれど……
顎に人差し指をあてて少し考えた後
微笑みながら眼を覗き込み――

「解放なんて、いつでもされると想いますよ。
 解放されたいと願った時に……
 ちゃんと、手を伸ばせば。
 きっと。」

少なくとも孤独からはというように、
そっと手を伸ばすだろう。

上那賀 千絵 > 「恐らくそれが君のいいところなのだろうな。」

心温まるような仕草と声、
生命を感じるような素振り・・・。

「そうか・・・、
それが静歌の意見・・・。
開放なんていつでもされてる、
・・・私は人と関わるのをおそれているのだな、きっと・・・。」

差し出された彼女の手を見つめる、
きっと此の手をつかんでしまえば、
私は孤独という今から解放されるのだろう・・・、
然し、この血塗られた手で彼女の穢れない手を取っていいものだろうか・・・、と気がひけてしまう・・・。
だから・・・。

「・・・私の、私の手は、穢れている。
君の手を汚すことはできない・・・。」

手を取ることができなかった。
今にも動いてしまいそうな右手を左手で押さた、
決して嫌いなわけではないのに・・・。
一度開いた掌をギュっと握り締めてその場に立ち尽くした・・・。

彼女の心遣いを無碍にしてしまい、心が痛む・・・。

四十万 静歌 > 「いいところならなおさなくてもいいのかな。」

なんてちょっぴり真剣に考えて。
ま、いいか、と気を取り直し、

「――誰だって、人と関わるのは怖いですよ。
 私だって……
 ――いろんな人と出会えて、触れ合えて、
 それで――」

うん。と一つ頷いて。

「人との関わりの暖かさや大切さをしったから、
 かもしれませんね。」

私もきっと、いつの間にか解放されていたのだろう。
いろんなことから。
まだ、解放されていないこともあるが……
それは、今は関係のない話――

「……」

だから、手が穢れている等という彼女の手を。
そっと、手を伸ばして掴もうとするだろう。

「――綺麗な、手だとおもいますよ。」

つかめようとつかめまいと、言葉をつむぐ。
穢れてなんていない、
もし穢れていると感じて、
本当に穢れていたとしても――

「――穢れている、と感じているなら、
 悔いている証です。
 何を抱えているかは分かりませんけど……」

そして、上目遣いになって、真っ直ぐ見つめていうのだ。

「――気にする事はない、と思います。」

と。

上那賀 千絵 > 「君も・・・?そうなのか、私だけかと・・・。」

以外だった、人懐っこい彼女でもそうなのかと、
予想に反した答えに驚きは隠せずにいた・・・。

そして、彼女の手が此方の手へと近づき・・・。
不意を撃たれて引けずに其のまま。
そっと彼女の手が此方の手に触れ掴まった・・・。
其の瞬間、とくん、と鼓動がなるのが分かった。
常に平常心、安定した脈拍だったのに、今一瞬だけ違ったのが
よく分かる・・・。

「━━そんなことは無い・・・。きれいなんかは・・・。」

彼女の手のぬくもりが此方の冷えた手に伝わる・・・。
なんて暖かい手だろうか。
心の氷も溶かされていくようでじんわりと馴染んでいく。

「何故だろうな・・・、静歌といると、私は安心する・・・。」

ほ、っと一息ついて、
ほんとに微量、微かに弱弱しく微笑みを見せた。
変化が無さすぎて気づかないかもしれないが・・・。

「いつか、私のかかえていることを話す・・・、
そして、君が言うのならば、気にしないでもいいのかも、知れないな・・・。」

彼女にしか見せないこの薄っすらとした微笑み、
直ぐに平常心の無機質な表情に戻ってしまうのだが・・・、
十分な進歩ともいえるだろう・・。

「私は、君のことが好きなんだと思う。これからもよろしく頼む・・・。」

誤解を招きそうな言葉、
勿論友達として、という意味なのだろうが、言葉が旨くない為か言葉足らずな発言となってしまった・・・。

「それに、君がもし、困っていたら私を呼ぶといい。
必ず駆けつける。」

と、・・・。

四十万 静歌 > ぎゅっと、両手で手を握り、
――手が暖かさを伝えるだろう。

「――寂しさを抱えない人なんていませんよ。
 そして、綺麗じゃないなんてこともありませんよ。
 ――例え汚れても、綺麗にすることは、
 きっと出来るんです。」

じっと真剣な眼で眼を覗き込むだろう。

「私で安心してくれるなら嬉しいですし、
 いつだって話してくれて構いません。
 ――もちろん、隠したままでも構いませんけどね。」

なんて、クスリとウィンクして笑う。
いや、だって私だって隠し事の一つや二つあるんですし。
と。
そして、好きの言葉になんか照れくさくなって、
真っ赤になって答えるのだ。

「私も、千絵さんの事、好きですよ。」

と。
もちろん、友達としてなのだが、やはり此方も言葉足らずである。

「――私も何かありましたら、
 いってくれたら力になれることがあればなりますよ。」

あんまり力になれることないんですけどね。
なんて、笑って――

「ありがとうございます。」

駆けつけてくれるとの言葉にただ、ただ感謝の言葉を。

上那賀 千絵 > 「━━有難う、そうだったのだな・・・。
私は何処か安心して逃げていたのだと思う。
━━よごれている自分を見せないようにと。
然し、君にいわれて少し変われた気がする。
きれいにすることはできるのだな。」

見つめられる瞳、此方も言葉を返しつつ見つめ返す。

「分かった、何れ時が来たときに君に話すよ。
・・・私は、君のことも知りたいと思うけれど・・・。
もし、何かあるのなら、私も巻き込んでくれ。」

必ず、といわないばかりに深く頷く。
そして、彼女が真っ赤になってるのをみて、何故?と
疑問を抱き首を小さく傾げる・・・。
然し、其の答えは直ぐに分かった・・・。

「あ、あぁ・・・。」

好き、
此の言葉の所為だろう。
きっと、彼女も同じ感情で答えたとおもわれるが、
体の奥底が熱くなるのを感じた。
なんとももどかしい気持ちなのだろう、
はじめての感情で心は揺らいだ。

「もし、私が道を見失いそうになったときは、宜しく頼む。」

深く握られた両手を此方も握り返す、
何故だろう・・・、
心拍数が平常を保てない、
トク・・・、トク・・・、と鳴る心臓の音、
緊張感でもなく、気持ちのいい鼓動。
心なしか体も暖かく顔も若干熱い。
・・・風邪か?
否、風邪は性質上ひかないはずなのに・・・、
万一を考えてあわてたように彼女へと言葉を送る。

「す、すまない、私はどうやら風邪・・・、かもしれない。
君にうつすわけには行かない・・・、
また・・・、また会おう。必ず。」

握った手をそっと優しく離す
最後、少しだけの、精一杯の笑顔で今日の別れを告げる言葉とともに、振り返りその場を慌てて去っていった。

四十万 静歌 > 「逃げる気持ちは分かりますね。
 私も逃げてばっかりですから。」

なんて、少し苦笑して、

「綺麗にする事はできますし、
 私だって、よごれている部分はありますからね。」

完全な綺麗な人なんていないのだと、
じっと見つめ、

「――なら、私もいつか、自分の事をはなせるよう、
 これから仲良くしていきたいです。」

と微笑むだろう。
そして、握り返された手がとても――
心地よくて、
心が伝わるようで……
より、顔が真っ赤になっていく。

「私の方こそ、よろしくお願いします。」

なんて、ちょっと俯いて答える。
なんていうか正視できないのだ。

「あ、は、はい!
 お大事に、
 その、はい、また会いましょう!」

去るその背中に、私は女子寮に住んでいますからと、
手を振って見送るだろう

ご案内:「常世公園」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > ──キィ、キィとベンチ代わりに腰を下ろしたブランコが軋む。

今しがたメールを送り終えた端末をしまって、空を見上げた。
まだ夕暮には遠い、夏の午後の空。

「……さーて、どうしたもんかなー。」

誰に言うでもなく、独り呟く。

ご案内:「常世公園」にトトさんが現れました。
東雲七生 > ──あの日から

考えても考えても、正しいと思える答えは見つからず。
それどころか自分の秘めておきたい心うちと向き合う羽目になって、
その結果として今日を迎えることになったのだが。


もうすぐ、一つの決着をつけなければならない。
それは別に決着だなんて大袈裟なものではないけれど、
何となく──決着、だと思う。
いわゆる一つの分岐点、とかそんなものだ。


きっとこの先、こういう事は何度か訪れるのだろう。

(──そうかあ?)

ちょっと半信半疑だ。

トト > 「――― あぁ、又、僕のほうが遅かったみたいだね。」
今回は、少し早めに来たのにな、 そんな声が後方から聞こえて来て
振り向けば、少し不満げに唇を尖らせたトトの姿が

「や、七生…  待ったかな?今日も、暑いね。」
両手に緑色のラベルが貼ってあるペットボトルを持って、何時も通りの足取りで、七生に近づいてくる
これ、お土産だよ、もう飲んだ?と持っていたペットボトルの片方を七生に差し出しながら

ちなみに、カロリーオフの炭酸飲料らしい

東雲七生 > 「── トト。」

背後からした声に、ブランコから立ち上がり振り返る。
そこにはいつも通り、見慣れた友人の姿があって。
いつもの様に炭酸飲料を差し出してきて。

「……いや、俺も今さっき来たとこ。 そうだな、暑いな。」

サンキュ、とペットボトルを受け取ってそのキャップを外す。
今まで何度か繰り返された一連の行動。
それすらも今日は何だか特別な様に感じてしまう。

喉を流れる炭酸飲料に、少しだけ目を細めた。

トト > 「ブランコか、僕も一度、遊んでみたよ、あんまり、うまくいかなかったけれど。」
ごくごくと、自分の分のジュースを一気に飲み下して、ぷはー、と、これ又何時ものように息を吐く

「外気温の高さは見てるだけでも伝わってくるぐらいだものね、熱中症には気をつけなよ?」
そういってくすくすと笑う、そんなトト自身は汗をかいている様子はないが… それも、多分種族柄なのだろう
七生が使っていたブランコを、手でゆらゆらと適当に揺らしながら、横目で、ちら、ちらと七生を見ている

「それで、その… えーと……… ああ、そうだ、この前路地裏で迦具楽にあったことは話したっけ…?」
口から出るのは、今とはなんの関係もない話で………タメといい、わかりやすいくらいに、歯切れが悪い

東雲七生 > 「── トト。」

もう一度、改めてその名前を呼ぶ。
緊張してるのだろう。まだまだ短い付き合いだけど、手に取る様にわかる。
隠し事の出来ない性分だから──お互い。

手のひらに滲んだ汗をそっとズボンで拭って、大きく息を吐いた。
このまま他愛無い世間話に花を咲かせるのも、それもそれで魅力的ではあるのだけど。

──停滞し続けては居られない。それも、きっと、お互いの性分。

「それは後で聞くよ。
 
 というか、分かってんだろ?俺、メールにもちゃんと書いたよな?
 こないだの……答えを、言おうと、思ってさ。」

自分の心臓の鼓動が嫌に大きく聞こえる。
走った訳でもないのに、やたらと速く、煩い。

トト > 「っっっ………! う、ん…  うん、知ってるよ…。」
問われると、観念したかのように、頷いて、七生と向き合う、その瞳は、わずかだが不安げに揺れていて

「待っていたよ、七生、君の答えを… 。」
ぶるぶるっ、と首を振って、もう一度見つめ直す、瞳の揺れが少し収まって

「大丈夫、どんな選択でも、僕は受け入れられるから……… だから、言ってくれ、七生。」
きゅ、と手を握り締めて、彼の言葉を待つ、自分が【こくはく】した時は、もっとずっと、軽かっただろうに
自分で、そんな自分の姿が、少し不思議に思えて、少しだけ、今は笑えていると思う

東雲七生 > 少しだけ高いその瞳を見て、苦笑を浮かべる。

「ズルいよな、トトさ。
 『僕は、君を振り向かせるために、努力してもいいんだろうか』だなんてさ。
 
 もっと他に、あったろ。」

ありふれた愛を告げる言葉なんて。
それらのどれかなら、もっと楽《酷》に応えられたろうに。
七生自身に変化を求めるなら、幾らでも拒絶できただろうに。

「──俺さ。

 好きな先輩、居たんだ。
 つっても、その先輩にはもう彼氏がいてさ。
 俺が先輩の事好きなのに気付いたのは、もっとずっと後でさ。

 ──それでまあ、告白もしないでフラれたみたいなもんなんだけど。
 その時に思い知ったわけよ、ああ、俺にはまだ早いんだなって。」

核心を伝える前に。言わなきゃならない事。
自分の内で消えるのを待とうと思っていた過去。
これを言っておかないと、言葉が続けられない。

──何度考えても、避けられないから。

少しだけ胃が絞められる様な感覚に、僅かに眉が顰められる。

トト > 「う、だって、それは… 僕は、僕が、そう思ったから。」
あの時の二人の関係は、明確に友達であって、それは、覆しようもないことで
なら、あれ以外の選択肢は無いに等しかった、まず、スタート地点に立てるかの話なのだから

「……… 七生、それは。」
言葉が、うまく出ないのが、とても苦しいということを、今、自分は身を持って学習している、それは、尊い事だ

「………。」
だから、ただじっと聴くことにする、この言葉も、七生が自分のために、話そうと決意してくれた事だから
なら、自分に出来ることは、間違えず、最後まで言葉を受け入れることだけだ
不安を唇を小さく噛んで押し殺し、彼の目を真っ直ぐに見続ける

東雲七生 > ──俺には、まだ早い。

そう思い知らされた矢先に告白を受けて。
内側で感情同士が反発しあって。
頭の中でごちゃごちゃになった末の、──答えは

「もし、お前がさ。
 “俺に”『恋人になってくれ』って言ってたなら。
 
 多分、俺は断わってた。とてもじゃないけど、俺なんかがそんな、って。
 ──まあそれは建前で、また誰かを好きになるのが怖かったから、逃げたと思う。」

──また失うのが怖かったから。

しかし。
その逃げ道すら簡単に断つ様な。

誰かに強要なんかしたくないから逃げたかったのに

「努力しても良いのか、なんてさ──
 そんなの、ダメだって言えるわけねえじゃん。」

やっぱズルいよ、と。

逃げ場を失って、向き合わされて
少しだけ困った様に、七生は微笑んだ。

トト > 「………!」
その微笑みに、びくっ、と体が震えて、 言葉が、動き出す

「じゃあ、じゃあ… いいんだね?僕は、努力しても、この気持ちを、別の【何か】に変えなくても。」
一歩、七生に近づいて

「言ってから、【織ってから】、気づいたんだ、僕は、もし断られたら、本当に何も変わらないのかな、って。」
少し、手が震えて、二歩、近づいて

「知れた事は嬉しかったけど、だから… だから、僕は、怖かった、うん、怖いって事を、知ったんだ。」
三歩近づく、彼をしっかりと見据えて

「ありがとう、七生、僕は…  とっても、嬉しいよ。」
だから、精一杯のお礼と一緒に、向日葵のように笑って見せた

目尻から、ぽたり、と一粒だけ液体がこぼれて、地面に着く前に土くれに還って行った

東雲七生 > 「ちょ、ちょっ、ちょっとタンマ!

 何も泣く事は無いだろ……?
 それに、まだ話は終わってないっつの。」

──むしろ、ここからが本番。

「──でも。でもだぜ。
 やっぱり俺には、まだ早いと思うんだ。

 だから、お前の彼氏には──なれない。
 だけど、お前に諦めろとも言えない。」

──そもそも、そんな権利はまだ無いわけで。
両性で、人間では無くて、頭にバカがつくほど素直な、“トト”をどうこう言えるほど偉くも無くて。

「お前が、俺を変えようとするなら、俺はそれを受けて立つ。
 たぶん、そう簡単には屈したりしないと思うけど。な。

 ──お前は、それでも、“ありがとう”って、言えるか?」

努力しようとすることは拒絶しない。
しかし同時に必ず望んだ結末を与えることも、保証しない。

──ある意味では、きっと真正面から断るよりも残酷だろうと、流石にニブい七生でも分かる。

トト > 「………?  … あれ、それって、そういう話だったの?」
ぽかん、とした顔をしてから、目をこしこしと拭いて

「だったら、結局スタート地点は同じじゃないか… いいよ、うん、いいや、だからこそ、だよ。」
首を左右に振る、何時もの、いや、ちょっとだけ悪戯っぽく笑ってみせて

「僕は僕だ、君は君だ、僕は、君に恋してる、君は、僕に恋してない… なら、之は僕の片思いだ。」
なら、と、こちらも宣言するように、胸を張って(無いけど)

「僕は、それを君が許す限り、努力しよう、友として、そしてそれ以上になるために、僕は君に恋をするよ
と、いうか、すぐに恋人、というのも正直困っちゃうよ、だって、友達としてやってない事だって一杯あるんだもの。」
くすくす、と笑いながら

「だから、もっと、一杯君を教えて?僕のことも、嫌でも教えてあげるから、うん、だから、もう一度言おう
ありがとう七生、僕に機会をくれて、僕の恋を認めてくれて、人ではない僕だけど、一つの存在として
全力で、君を落としてみせるよ!」
びしっ、と七生を指さす… どうやら、すっかり元の調子を取り戻したらしい

東雲七生 > 「そんな事言われてもな……!」

これでも精一杯考えたんだ。
お互いに傷つかないで済む答えを。

そう言いたいのをギリギリ踏み止まって。
いつもの調子に戻ったトトを見て、自然と緩む頬をそのままに笑みを浮かべる。

「ああ、トトはトトだからな。
 俺はトトの自由を尊重するぜ、お前がどう思おうと、何をしようと、それを受け入れる。
 
 お前が、お前らしく、お前のままで俺を落した時は、


 その時は、素直に降伏するよ。」

好きな相手に素直に好きだと言えたトトが、とても眩しくて、羨ましかった。
それと同時に、何だかとても悔しかったから。
……少しだけ、意地悪をしたくなったんだ。

「正々堂々、勝負だな。」

ここで一つの決着がつき、
新たな火蓋が切って落とされた。
──それは、あまりにも小さく、大きな、いわば戦争のようなもの。

トト > 「あはは、ごめんね… でも嘘は言ってないよ、僕のために、そこまでしっかり考えてくれたんだもん
好きな人が、自分のために悩んでくれるって、とても嬉しくて、ちょっと申し訳ない事だったんだね。」
あはは、と楽しげに笑って

「うん、分かった、水泳の時みたいに、今度も僕が勝ってみせるからね!
だから、絶対に七生も、七生自身に嘘だけはつかないで、正々堂々と最後まで勝負だよ!」
ぐっ、と拳を握り締める、確かに点った小さな火、それを、大きくする事が許されるなら
後は、突っ走るだけだ

「勝負になった以上、七生にも、他に七生を好きな人ができても、絶対誰にも、僕は負けないんだからね?」

東雲七生 > 「お前はいっつもそうなんだからよー……」

少し不満げに、口を尖らせる。
しかしそれもすぐに笑顔の中に消えて

「流石に何度も負けてらんねえさ。
 まあ、お互い悔いが無い様にはしたいよな。

 つーかまあ、何か俺のトラウマに付き合わせるみたいで申し訳なさからのスタートなんだけど俺は。」

もし、あの人への恋心を自覚する前だったら。
そんな事も散々考えたけど。──だけど、きっとこれで良いのだろう。

トト > 「なら、それだって【僕らしさ】だろう?」
くすくすと笑って

「だから気にしないでよ… 好きな人がいたってことは、僕にとってもわかりやすい目標があるって事なんだし
その人以上に、僕を好きになってもらえばいいんだろう?」
簡単なことだとでも言うように

「それを言ったら、僕だってゴーレムで両性で、忘れてることも一杯なんだ、種族とか色々違うだろう?
ほら、だから、お互い様さ、うん、むしろちょうどいいぐらいだ。」
ごくごく、と残った炭酸を飲み干す、ぷはーっ!と、今度は勢いよく息を吐いた… うん、楽しそうである

東雲七生 > 「それはそうだけどさ……!」

ぐぬぬ、そう言い返されては返す言葉が無い。
ただ、だからと言って不愉快だと言うわけでも無いのも事実。

「まあ、そうなる……よなあ。
 誰よりも、……か。

 自分で言っといてアレだけど、
 実はかなり酷な条件突き付けたんじゃねえの俺……。」

あまりにも楽しそうにしているトトを見てそんな事を思う。
けど、決めたものをすぐ撤回するのも不誠実だろう。
今目の前にある笑顔が曇らない限りは、間違いじゃないんだと思いたい。

再び呷った炭酸はちょっとだけ甘いような苦いような、複雑な味がした。

トト > 実際、簡単な事とは思っていない
付き合いの長さはもちろん、恋敵になりそうな人だって、覚えがないわけじゃないのだ
だが、しかしである、それが何だというのか

「どうあれ、僕の目的はかわりないよ【あなたの一番になりたい】、ってね… あー
でも、流石に何回も言ってると恥ずかしくなってくるかな、うん、ちょっと自重しよう。」
頬少し赤らめつつ、にこーってしてみたりして

まぁ結局の所、しばらくは変わったけれど変わっていない日々が続くような気もしなくもない

東雲七生 > 「あ、流石にトトでも恥ずかしいんだそれ……。」

聞いてる方としてはかなり前から恥ずかしいと言うか、こそばゆい気持ちになっていたのだが。
それを伝えて落ち込ませるのも悪いと思ったので、黙っていたのだ。
言う方も恥ずかしいのだと知っていれば、もっと早く伝えたのに、と少し申し訳なく思いながら、

「それじゃ、えっと、呼び出した件は、これでおわり。
 あんまり引っ張るもんでもないだろうしさ。

 ……それで、ええと、なんだっけ?
 路地裏で迦具楽に会ったって?」

ここからはいつも通りだけど、いつも通りじゃない日々。
いつか次の決着がつく日まで、それまではお互い徹底抗戦の姿勢を崩さないことだろう。

トト > 「恥ずかしいけど、それ以上に君に伝えたかっただけだよ、自覚してから、もっとこそばゆくなったけど。」
でも伝えると、なんだかちょっと、ぽかぽかするんだ、と笑って

「うんうん、ほら、落第街だっけ?そこの路地裏だよ、アーウィングって人と話してたんだ
あそこはこっちとはまた大分雰囲気が違うよね、ちょっと危ない場所らしいけど。」
こくこく、と頷きながら七生に答えて
もし、トトが負けを認めるなら… それは多分、七生が、ほかの誰か、自分以外の誰かと結ばれたら、なのだろう

東雲七生 > 「……ホント、容赦なく来るなあ。」

一発一発が大きいんだよ、とぐらつく頭を正常に保とうと息を吐く。
きっとこれから毎回顔を合せるたびに強烈なアピールが来るのかと思うと、それはそれで少し背筋が冷えるのだが。
それもまた、自分が決めた事、なので。

「落第街って……あいつまだそんなとこに。
 ていうかトトも行くなよそんなとこ!危ないんだって分かってるだろ!」

呆れた、と言わんばかりに肩を竦める。
やっぱり誰かが傍にいないと危なっかしいな、とは思うが。

トト > 「いやぁ、一通りこの島は回っておきたくてさ、うん、七生がそう言うなら、理由がなければもういかないよ
元々行く理由もないけどさ。」
まぁ、そのときは運良くある目的を果たせたのだけど

「… そういえば、迦具楽も何か、ちょっと悩んでるというか、少しだけ変な感じだった気が。」
するなぁ、よくわかんないけど、と思い出してみたり

「僕が、七生に告白的な事をした、って伝えただけなんだけどね… 関係ないかな?」
迦具楽は僕と迦具楽の好きは違う、って言ってたし、と呟いて

東雲七生 > 「気持ちは分からなくもないけどさあ!
 ……あんまり心配かけんなよなぁ。」

居なくなられたら、嫌だ。
聞こえるか聞こえないかくらいの声量でそう呟き、すぐに溜息で掻き消す。

「迦具楽が?
 ……んん、そっか。今度見かけたらそれとなく聞いてみるか。」

世界一アテにならない「それとなく」だが、本人にそのつもりはない。
その時と今日までの間に一度会って話はしていたが、あまり普段と違うようには見えなかった、気がする。
しかしそれは知らなかったからそう見えただけで、今度会った時は細かなところも見逃さない様にしよう、と心に決める。

トト > 「えへへ… ごめんね。」
ぺろ、と舌を出してくすぐったそうに笑って

「うんうん、それがいいよ、よくわかんないけど。」
特段似た者同士という訳ではないふたりだが
この時点でのアテにならなさだけは、似ていたような気がする

「さて、七生、そろそろお腹がすいてくる時間じゃないかな?
何処かで、一緒に食べて帰ろうよ、せっかく出しさ!」
にーっと

東雲七生 > 「分かれば良いんだよ、分かれば。」

ふんす、と鼻を鳴らしてから、にっ、と笑う。
自分がこういう風に言って、トトが行かないと言えば、
そうしたら間違いなくもう行かないのだろう。
何故だかそういう確信はあった。

「お、飯か。確かにちょっと小腹がすいたな。
 良いぜ、今日はどこ行く?
 ……こないだは俺の好きなとこ行ったから、今度はトトが食いたいものが良いな。」

笑顔に応じるように頷いて。
ここから近い店は何処だろう、と頭の中に地図を広げた。

トト > 「まぁ、どうしても行かなきゃいけないときは…  謝っておくよ。」
ないとは思うけどさ、と肩を竦めてみせて

「ふむ、僕のおすすめか、なら―― 今日はカレーがいいな!
ナンってほかほかで美味しいよね。」
おっきくて食べづらいのも面白いんだよね、といいながらくるん、と回ってワンピースをはためかせ

「さ、じゃあ行こうよ七生!想像したら僕もお腹がなりそうさ。」
と、彼の手を掴んで引っ張っていこうとしたりして

東雲七生 > 「カレーにナンかあ。
 カレーは良く食うけど、ナンはそれほどでもないな。」

カレーと言えばカレーライスである。少なくとも七生の中では。
ナンの存在は知ってはいるものの、味も食べ方もさっぱりだ。
ワンピース姿のトトに手を引かれれば、少し慌てた様子で

「お、おう。 そんなに焦んなよ。」

引っ張られるままに後を追って、そのうち並んで歩いて行くのだろう。

トト > 「うんうん、あ、でもこの服だと汚れると目立つよね… まぁいっか。」
今度はもっと、別の服も七生に見てもらおっと、とか呟きながら、一緒に並んで歩いて

「焦ってなんかいないよ、っと、あはは、でも、七生のそういう顔は、嫌いじゃないよ?」
とか楽しげにからかってみたりしながら、公園を去るのだった

ご案内:「常世公園」からトトさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に鈴成静佳さんが現れました。
鈴成静佳 > (夏休みも明け、制服姿に戻った静佳。ここ一週間は、今学期の履修科目を決定する時期だ)
(前学期は理系文系混交して適当に取得していたが、どうやら理系のほうが肌にあってると見て、いくつか教室を覗いてみた)
(果たしてその選択は合っているかどうか……)

(そして、今は放課後、夕方。陽も傾き始め、汗ばむものの幾分か過ごしやすくなってはいる)
……ふぅ……あっついッスね……。
(とはいえ未だ夏は真っ盛り。もう少し夏休みが長ければ、と静佳は口を尖らせる)
(日陰のベンチに腰を下ろし、公園の風景を眺めている。タイムセールが始まるまで、ヒマを持て余しているようだ)

…………。
(公園の遊具や砂場で遊ぶ、薄着の子どもたち。何人かは親同伴で、噴水の周りにたむろしている)

鈴成静佳 > 子供………。
(ぽつりと、呟く。何の変哲もない、夏の夕刻の公園の風景。しかし……)

……あの子達は、どうなんスかね。

(ここは常世島である。異能者、異邦人、そして無能力者さえも交じり合って集う島)
(変容後の世界のモデルケースとして創設された、試作品の社会。それが秘めたる可能性は、不安定さと表裏一体だ)

(……そうすると、いまこの公園に集っている子供たちも皆、異能者なのだろうか?)
(そうとは限らないであろう。異能者たちの間にできた子供かもしれないし、単に「モデルケース」の一要素として招聘された家族連れかもしれない)
(あるいは、異邦人たちや彼らと人間との間の子供か。もしかすると、物心つく間もなく「転移」してしまった異邦人だったり)
(いくつもの可能性が浮かぶし、きっとどれもありうる話なのだろう)

ご案内:「常世公園」に薬師寺 瀬織さんが現れました。
鈴成静佳 > ………異能、ねぇ。

(……そして、この常世公園に集う子供たちがどのような経緯でこの島に来た/居るのかにせよ、彼らの中に異能者がいる可能性は高い)
(それが常世島の外よりも確率的に高いのかどうかは知らないが。いや、異邦人が多く暮らす島だ、相対的に異能者も多くなるのかもしれない)

……………。

(火傷の古傷が刻まれた左手を開き、じっと見る。その表面は常にかすかに振動を続けているが、触らなければ分からない程度)
(そして、ほんの少し「念じる」だけで、振動は目に見えるようになり、聞こえるようになり、ベンチに触れれば全体を軋ませるほどになる)

(静佳は本土の田舎町で、凡人に囲まれて育った。そしてある日雷に打たれて生死の境を彷徨い、異能に目覚めた)
(異能のことで、周りの子供や、あるときは大人にまでからかわれたり、理不尽な扱いを受けたこともあった)
(それと同じくらい、いやそれ以上に楽しい思い出もいっぱいあるが)

薬師寺 瀬織 > 紺色の髪をなびかせ夕刻の公園を歩く、銀色の腕の少女。
夏季休暇も開けたので、普段のように制服を身に纏っている。
特に目的もないまましばし公園の中を歩いてゆくと、瀬織の視界に入ったベンチには、見覚えのある黒髪の少女の姿。その左手の震えが、瀬織の距離からもわずかに窺えた。
歩む速度を落とさないまま近づいていくと、
「……鈴成さん、どうしたのかしら。何か考え事をしていたようだけれど」
そう、声をかけてみる。

鈴成静佳 > お? おお、瀬織ちゃん。お久しぶり。元気してた?
(義手の少女の姿に、静佳は顔を上げ、ニッコリと微笑みながら挨拶)

……んー、うん。考え事してた。最近けっこう考えさせられること多くてさー。
(視線を水平に戻し、再び公園の全景を見渡す。平和だ。今この瞬間は少なくとも。でも少し前には、ここで……)
…なんか最近、この島の治安、悪いっていう話だからさ。発砲事件があったり、風紀委員が襲撃されたり。
怖いといえば怖いけど……それよりも、なんで「そうなっちゃう」のかな、って考えるとね。

(漠然とした悩みを口に出す。それほど聡明でない静佳では、このへんの「原因」に至るところを考えると、頭が混乱し始める)
……異能って、何なのかな、ってさ。フフッ、なんか変な悩みッスよね。

薬師寺 瀬織 > 「ええ、久しぶり。私は……そうね。否定はしないわ」
黒髪の少女――静佳の顔をしっかりと見つめ、立ったまま返答する。
肉体的にはともかく、精神面で見ると、瀬織は前学期の終わりがけから周囲に対して劣等感を抱き始めており、ひとくちに元気とは言い難い状況であった。
しかし、それを今の時点では眼前の彼女に対してはっきりと口にしない。
「……そうね。最近きな臭い事件が増えているというのは、私も噂程度には聞いているのだけれど」
瀬織は連日起こっている事件にはまったく関与していない。
しかし、保健課の情報網を通じて噂を耳にしないこともないわけではなかった。
「異能……」
自らの銀色の右腕を胸の前まで上げると、一旦そこに視線を移し、瀬織はしばし思案する。
水中で自身の肉体的な傷を癒す事の出来る異能――『水妖の加護』<ブレスオブウンディーネ>をもってしても、元に戻ることのなかった右腕であった。

鈴成静佳 > (静佳とて、それら事件には直接・間接ともに関与してはいない。とある情報筋やうわさ話から断片的に知るのみ)
(……とはいえ、それを他人ごとと捉えられないのは、生粋の保健委員としての性分か)

そう、異能。アタシの異能はこうやって手を震えさせるだけの能力。
瀬織ちゃんも異能があるんだよね。たしか……薬を作り出すんだっけ。
(目の前に立つ少女を見上げ……彼女が見つめる、自らの義手を静佳も凝視する。気にはなっていたが詳しくは聞けなかった、瀬織さんの右腕)

……授業では。「初級異能学」ではこう言ってたね。
異能は数十年前の「世界変容」をきっかけとして、人間の脳があれやこれやして、多く発現するようになったって。
(おそらくこの辺は常世島では常識レベルなのであろうか)
アタシはこういうほとんど無害な能力だし、瀬織ちゃんに至っては人のためになる能力だけどさ。

……もし、何かが変わってて。もし、アタシが危なっかしい異能を身につけていたら。
人生は、どうなってたのかなって、ふと思っちゃってね。
(視線を落とす。瀬織さんの作る影は長い……親に手を引かれ、家路へとつく子供たちの姿もちらほら)

薬師寺 瀬織 > 「そう。それが私の――第一の異能。最初に発現したのは、それよ」
静佳の口から、薬を作り出す異能――『天使の薬瓶』<ポーションメイカー>について触れられれば、そう伝えつつ。
「だけど、後からもう一つの異能が発現していることがわかったの。それは、水の中で自分の体の傷を癒す力。――でもね」
彼女はまだ知らないであろう、自身のもう一つの力について説明した後。
「その力を以てしても、この右腕は元には戻らなかったわ」
俯き、一段と低い声で、そう告げる。その、しばし後。
「……ごめんなさいね、こんな話をして。それで、話の続きだけれど」
やや強引に、話の流れを戻さんとする。
「もし鈴成さんが、危険な異能を身につけていたら……かしら。やっぱり、何かしら今とは違っていたと思うのだけれど。私だって、今のこの異能とは違うものが発現していたら、違う道を選んでいたかもしれないわ」
そう。こんな異能でなければ、ね――と、付け加える。