2016/08/24 のログ
ご案内:「常世公園」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
夜の公園を通りがかり、中に目を向ける。
なんかメイドが居る。
うちのメイドが帰ったばかりなんだよな、と思いつつ見ていると。
(……なんで妖刀……?)
職業柄、見てわかる。
霊刀も妖刀も似たようなものだ、纏う気が違うだけ。
腰に下げた刀と、性質は近かった。
一応寄ってみる。
意識があるのかどうかわからないが、正面で立ち止まってみた。
■影打 鈍 > (完全に気を抜いているが、近付く気配はわかる。
彼が正面に立っても気が付いていないようにぼけーっと夜空を見上げていたのだが、)
――何か用か。
私は今ぼんやりすることで忙しいんだ。
(夜空を見上げたまま声を出す。
そこで初めてちょっとだけ身体をずらして尻をかく。
彼は知らないだろうが、ここ数十分で初めての動きである。)
■寄月 秋輝 >
あ、生きてた。
「用というほどではないですが。
刀が人の姿で呆けている様子は珍しいなと思ったもので」
それが確認出来たら別に問題ない。
とはいえ、刀の『持ち主』がここに居ないらしい。
はぐれということはないだろうが、少し見ておこう。
ということで、ベンチの隣に腰かける。
刀の帯を解き、抱くようにして座った。
■影打 鈍 > (隣に座られれば流石にずり落ちそうな座り方はやめた。
身体を起こし、ベンチの上で片脚で胡坐をかくような座り方だ。
行儀が悪い。)
わかるのか。
中々出来る奴みたいだな。
(視線を彼の刀に落とす。
なにやら面白い気配のするその刀を見て、面白そうだと小さくニヤリ。)
して、珍しい刀と話をしようと言う珍しい人間は、どのような珍しい話をしてくれる?
■寄月 秋輝 >
「職業柄……というより、剣士として、ですかね」
視線を感じて、抱いている刀を少しだけ掲げて見せる。
鞘に収まっているからか、漏れる気は大人しい。
「別段珍しい話などは……
何か聞きたいことでもありますか?」
相手が呆けているならば、隣でただじっと待ってみようかと思っていた。
しかし、何かを求めるならば与えてやりたくもなる。
■影打 鈍 > そうさな、とりあえずは職業と言うのが気になるかな。
(彼は職業柄、と口にした。
剣士として気になると言っていたが、そう口にしたのならその立場でも気になるところはあると言うことだ。
好奇心からそれが気になり、尋ねてみる。)
■寄月 秋輝 >
「一応、現在はただの学生ですよ。
嘱託扱いですが、風紀委員もしています」
とりあえず聞かれたことに答える。
しかし回答とするには、求められている言葉が不十分な気がして、一拍置いてからもう一度口を開く。
「こちらに来る前、元は軍人のような立場でした。
退魔術の扱える、魔法剣士……といったところですね。
その経験をこちらに持ち込んでいるというところです」
そう追加して答えた。
■影打 鈍 > 風紀委員。
割とそこらじゅうにいるもんだなぁ。
嘱託、と言う事は正式な所属ではないのか?
(割と特別なものだと思っていたが、意外とその辺の学生がしているものらしい。
よくよく考えればここは学園都市だ、案外そのようなものなのだろう。)
異邦人か。
となると私の先輩と言うことになるのかな。
軍人であれば腕も立つだろう。
タイミングが違えば汝に契約を迫っていたかも知れん。
(異邦人にしてはこちらの世界に馴染んでいるように見える。
であればこちらに来て長いのだろう。
そう言う意味での先輩だ。
もし今フリーであったなら、きっと斬り合いを吹っかけて担い手に選んでいた可能性もある。
ちょうど今の主のように。
行儀悪い座り方のまま、品定めするようにじろじろと。)
■寄月 秋輝 >
「人数はそれなりに多いものですよ。
正式な所属をしたら、しがらみが多いもので。
戦力だけ期待してもらう、ということで契約しています」
それ以上に、自分には貫く正義がない。
とはいえそこまでは語らず。
「先輩なんて大それたものではないですよ。
少し僕の方が早くに、こちらに来たというだけのことで。
……それと、こんな愛刀を持つ僕に契約を迫るなんて、なかなか出来ないと思いますよ?」
初めてメイド(?)の女性(?)に目を向ける。
そして刀の鯉口を切り、刀身を少しだけ見せた。
無数の物だけでなく、人も魔も霊も切ってきた、この世の物ならざる金属で鍛えられた刀。
魔力も神性も帯びたそれは、銀色に輝いている。
相応の『目』を持っていれば、まるで腕の延長のように刀と腕の魔力が繋がっているように見えるだろうか。
■影打 鈍 > なるほどな。
――ちなみに、給金などは出るのか?
(気になったのはそこである。
しがらみが少ない方が良いと言うのは自身も同じだ。
ならば給料が貰えるのであれば、自身も彼と似たような立場になる事を考えてみようと思ったのだ。)
何事も早くした奴の方が偉いんだよ。
まして私は人で無いからな、そう言う意味でも先輩だろうよ。
――あぁ、それなら我が主も似たようなものだ。
どちらにせよ主の居る身だ、浮気は出来んよ。
(言って彼の刀の刀身を見る。
魔力も神性も感じる、主の刀と似たようなもの。
彼の魔力の流れがそのまま刀に流れているそれを見て、眼を細めた。)
■寄月 秋輝 >
「いきなり突っ込んできますね。
……一応ちゃんと出ますよ。
ただ戦闘は一部の話で、書類業務から通常警邏までありますし、
戦闘の可能性のある区域へ出向くにはルール等もありますから、自由ではありませんよ」
というか、自分も戦闘メインだと思って入ったところがある。
それで肩透かしをくらったものだ。
「もう他の刀に命を預けられる自信がないですからね。
あなたはあなたの主人と共に生きることだけを考えたほうがいいです」
パチン、と刀を納める。
浮気はしない、という言葉から、相当に今の主人が気に入っているのだろうと感じた。
神器ともなると、強い人間を選びたがることもあるものだ。
より強い人間に握られた武器が、あっさりと主人を鞍替えした様子を見たことがある。
■影打 鈍 > ――なにやら面倒そうだな。
組織に属するというのはどこでも同じか。
(思ってたのと違う、と言うように肩を落とす。
職を探すというのは中々に大変らしい。)
言うてくれるな。
私では力が足りんと聞こえるぞ?
(勿論そんなことではないのは分かっている。
要は信頼関係だろう。
得物と長く付き合えば、それだけ使いやすいし信頼も生まれる。
人と人でも人と刀でも同じだ。
言葉とは逆に、そう言う顔で意地悪な事を。)
■寄月 秋輝 >
「そういうものですよ。
個人の都合で、得意な事だけをして給金がもらえる仕事ではありませんね……」
ふぅ、と小さくため息をつく。
自分もそうしてだるい思いを今でもしているものだ。
ただの戦闘員時代が懐かしい。
「そう聞こえますか?
しかしどちらかというと、単純に振るうなら『あなた』のほうが良かったかもしれませんね」
目を細めて呟いた。
軽口のようなセリフに対して、その本音。
人斬りとしての正直な言葉だ。
■影打 鈍 > なんかないかの、仕事。
人をもてなす以外の仕事で。
(嘱託とは言え風紀委員なら何らかのコネはあるだろうと考えての言葉。
切羽詰っているわけではないが、早いところ仕事を決めたいところである。)
――冗談だよ。
だが私の担い手は大変だぞ。
こうして勝手に出かけるし、主の居らんところでいらん風評被害を撒き散らすし。
勝手にこんな格好になったりもするからな。
手間の掛からんそちらの刀で我慢しておけ。
(けらけらと楽しそうに笑う。
勿論彼に振るわれればもっと違う性格になっていただろう。
しかし明確に今の主の元を去るつもりは無いという意思表示だ。)
■寄月 秋輝 >
「肉屋で肉でも切って生活してみたらどうですか。
残念ですが、僕から仕事を勧められるものは……」
ひらりと手を振る。
仕事探しとは難儀なものだ、と自分でも思う。
「理解していますよ。
先ほど申した通り、僕も他の刀に命を預けるつもりはありませんから。
……母の形見ですからね」
もう一度、かざして見せる。
表情は変わらない。
彼女が欲しくないわけではなく、本気で他の刀と共に戦うつもりはない。
ただただ、それだけだ。
■影打 鈍 > ――、汝、頭良いな。
(そんな考えは無かった、と言う顔。
指パッチンの動きをするが、ならなかった。)
母の形見か。
ならば私の入り込む余地は元からないということだな。
(元から入り込むつもりも無いが。
足を組み、ベンチの背もたれに身体と腕を預け、再び夜空を見上げた。)
――星が綺麗だな。
灯りが少なければ、もう少し綺麗に見えるのだが。
■寄月 秋輝 >
「何も切るのは人に限りませんからね。
骨や筋を読んで肉を切るのはお手の物でしょう?」
とりあえず言ってみたところ、どうやら納得したらしい。
思いつきでも発言してみるものだ。
「見てみますか、星」
さっと手を振るう。
街灯の光が二人までは届かなくなり、真っ暗な空だけが映る。
きゅ、と手を握りこむ。
星の光が、ほんの少しだけ強く光る。
六等星以下の星すら見えるほどに美しく、強く。
■影打 鈍 > そうか、そう言われればそうだな。
どうせならそのまま料理人でも目指してみるか。
(軽口と共に笑う。
とりあえず明日肉屋を回ってみよう。)
見るって汝、灯りがあるから――おお?
(灯りがあるから見えない、と続けようとしたら暗くなった。
キョロキョロとあたりを見回していたら、また明るくなる。
街灯ではなく、空が。
見上げれば、今までに見たことのないような満天の星空が広がっていた。)
おー……。
器用な事をするな、汝は。
■寄月 秋輝 >
「いいんじゃないですか?
応援しますよ」
気に入ってもらえたなら幸いだ。
働き始めたら、そこに買い物に行ってもいいかもしれない。
「光を操作出来るのが僕の異能です。
強弱はもちろん、光を見る能力も。
……空の美しさを一番知っているのは僕だと自負しています」
見えないはずの星まで見える。
天体望遠鏡が必要なレベルの星まで。
影になって見えないはずの月の欠けた部分まで。
全てが、見えるだろう。
■影打 鈍 > ありがたい。
ついでに店員を募集している肉屋か料理店でも紹介してくれるとありがたいのだがな。
(刀であるため恥も外聞も無い。
聞くだけ聞いて情報が得られれば良し、得られなくても現状と何も変わらないのだ。)
またえらく使い勝手のいい力だな。
使い方によっては悪さし放題ではないか。
――まぁ、このような使い方をするならば、心配はなかろうがな。
(光を操作出来るというなら、自身の姿を隠すことも可能なはずだ。
とは言え仮にも風紀委員に所属している身で、そんなことをするとも思えないが。
なによりこの星空がそれを物語っている。)
■寄月 秋輝 >
「それも申しました、残念ですが……
さすがにそこまではご自身で探すべきでしょう。
……と思ったけど、たまに行く店でアルバイト募集してたような」
とりあえず渡せる情報は渡しておく。
職が今も来年もある自分には関係のないことだ。
「やろうと思えば、光の届く範囲の全ては全て見えますね。
ただまぁ、悪さには興味が無いですから」
聞かれなかったから言わないが、ほとんどの移動は偏光迷彩を纏って行っている。
更衣室の中だろうが、風呂場の奥だろうが、ある程度の距離からならいくらでも覗ける。
とはいえ、そんなことは発想すらもしたことはない男だ。
女性に狼藉を働くなら、もっと直接誘うし。
■影打 鈍 > む、ならば仕方ないな――ってまじかい。
どこだ、教えてくれ。
(がば、と身体を起こす。
正直期待はしていなかったが、思わぬ情報が転がり込んできた。)
なんだい汝もスケベかい。
男子はみなスケベだなぁ……。
(光が届けば全て見える、と言う言葉をそう言う風に介錯。
半分冗談ではあるが、半分はきっとそうに違いないと思っている。
だって男ってそう言うモノだし。)
■寄月 秋輝 >
「商店街の、居住区との境目近くにある店ですね。
パン屋の向かいですが……」
指をかざし、少女の目の前に光の筋を紡いでいく。
簡単な地図を書いて、ココ とメモを書いて示した。
通じるかどうかは怪しい。
「男はそんなものですね。
僕は覗くくらいなら、普通に誘いますけれど」
だから覗いたことも無い、と呟く。
スケベの度合いはもちろん、度量もただのスケベとは違った。
■影打 鈍 > ふむ。
家からはちと遠いが、まぁ働けるだけよしとしよう。
その店の名前を聞いておきたいのだが。
(地図は頭に入っているので、なんとなく通じた。
店の名前を聞いておけば確実だろう。
自宅は異邦人街近くだから、多少距離はある。
とは言え交通機関も揃っているのだから通えない訳ではないだろう。)
――汝はアレだな。
主と比べて器がデカイな。
英雄の器だな。
(同じ部屋に住むことになって十日ほど経つのに手も出してこない主とはえらい違いだ。
色を好んでいる事を堂々と口にする辺り、英雄らしさがにじみ出ているように感じた。)
■寄月 秋輝 >
「店名は肉屋の……テマシミート?」
うろ覚えで呟く。
店名まで見ていなかった。
店の場所は商店街でも居住区に近いのだが、異邦人街に近いとなると少々遠くなるかもしれない。
「まぁ、世界を救った英雄……に、なってしまっていたようですからね。
でもそれはあまり関係ないかと思いますが」
英雄、の名はどうにも疲れる。
最近それを考えさせられているところだ。
■影打 鈍 > テマシミート、な。
まぁ探せば出てくるだろ。
(うろ覚えのようだが問題はない。
検索して出てこなければ、商店街あたりをうろついて探せば良いのだ。)
マジで英雄かい。
英雄色を好むと言うだろ。
少なくとも器はデカイと思うぞ、私は。
今度主に爪の垢でも食わせてやってくれ。
(煎じるどころか生で食わせろと言う。
そのぐらい積極性を持った方が良いと思うぐらいなのだ。)
■寄月 秋輝 >
「そこそこ大きな店ですから、まぁ見つかると思いますよ」
結構曖昧である。
ただ何度か行ったこともある店だ、おそらくは大丈夫だろう。
「……英雄色を好む、そんな言葉もありましたね。
けどこんな英雄の爪の垢なんて、与えない方がいいですよ。
僕は男らしい英雄だとしても、誰かを守れる英雄などではないですから」
目を逸らす。
こんな人間が他にも増えるなどと、考えたくも無い。
■影打 鈍 > うむ、わかった。
礼を言う。
(ポケットから出したメモ帳に地図と名前をメモし、頭を下げる。
コレで金が稼げそうだ。)
――ふむ。
なにやら詳しくは知らんが、後悔しているらしいな。
やめとけやめとけ、後悔など何も生まんぞ。
(自身は刀であるから後悔などはした事がないしよくわからない。
しかしその行為は生産性のあるものでないと言うことは知っている。
なので手をヒラヒラと振ってそう口にする。)
■寄月 秋輝 >
「気にしないでください。
頑張って働いてくださいね」
再びひらりと手を振る。
あとは彼女次第なのだ。
「それが出来ればいいんですけれどね。
後悔以上に、英雄の価値について考えてしまうんですよ」
ため息交じりに呟く。
自分でも理解していても、こればかりはどうしようもない。
自分の人生、戦った理由そのものに対する迷いだ。
■影打 鈍 > おうとも。
(短く答える。
そうしてベンチから腰を上げた。)
英雄の価値な。
そう言うのは英雄と呼ばれたものが考えてもわからんものでないか。
英雄と呼ぶのは自身ではなく他人なのだからな。
(自身は英雄と呼ばれたことは無いが、以前の担い手にそう言うものが居なかったわけではない。
勿論この考えも自身の考えだし、彼がそう考えるかどうかもまた別の話だ。)
さて、私は帰ることにするよ。
汝は強そうだからな、今度私か主と手合わせしてくれ。
(そう言い、手を振って歩き出す。
が、公園の出入り口に差し掛かったところで走って戻ってきて、)
――忘れてた。
良ければ連絡先を教えてもらえんか。
(スマホを取り出して。
出会った人の連絡先を集めるのがなんとなくのマイブームである。)
■寄月 秋輝 >
「だからこそ、ですよ。
他人が英雄と呼ぶ我が身に、それほどの価値があるのかという話です」
そう呟いて、もう一つため息。
相当に根深い悩みだ。
「ええ、まぁ手合せくらいならいずれ……
連絡先は……」
忙しい女性だ、と思いながら携帯端末を取り出す。
ぱたぱたと操作して連絡先を表示した。
「……ここに連絡してもらえれば、手合せなら。
気を付けてお帰りくださいね」
相手が刀であろうとも、変わらず気を付けろと告げる。
誰に対しても変わらぬ態度。
男も女も、人も魔も刀も機械も変わらぬ。
■影打 鈍 > 価値など見るものによって変わるさ。
先の汝は私には英雄どころか、救世の神に見えたぞ。
(なんせ資金難と言う将来の大問題を解決に導いてくれたのだ。
道具である自身からすれば、何かの価値など不変のものではない。)
うむ、了解した。
汝も気をつけて帰れよ。
風紀委員とは言え襲われぬとも限らぬ。
――アー、破壊神の風紀委員にケンカを売ったものまで居るぐらいだ。
何もないとは、うん、限らん。
(連絡先を交換し、彼にも気を付けろとの言葉を返す。
そのあとこの間自身がやらかした事を思い出し、誤魔化すように頷いたり余所見をしたり。)
それでは、今度こそさらばだ。
また会おうぞ。
(そうして今度こそ公園を後にする。
自身の得た店員募集の店の情報を、早く主に届けてやらねば。)
ご案内:「常世公園」から影打 鈍さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ >
ずず。
ずず。
ずー。
公園に漂うチープな豚骨醤油の香り。
その匂いの先には水月エニィがカップラーメンを啜っている。
目を引く類のデザインの制服にカップラーメン。
組み合わせとしてはやや異色だ。
「意外とイケるわね、これ。」
■水月エニィ >
コンビニエンスストアにポットが置いてあった。
コンビニの一角にカップラーメンが積まれていた。
今日のご飯はこれにしよう。
気まぐれの結果としてのカップラーメン。
「これもラーメンよね。」
ある程度たいらげればカップを横に置いてペットボトルのお茶を飲む。
口の中のスープを流し込む様に飲んで一息。
■水月エニィ > 「……。」
閑話休題。
スマートフォンの類を取り出して弄り始める。
起動したものはレトロな麻雀ゲーム。
何でも、20世紀のレトロゲームを復刻して無料アプリとして公開しているものらしい。
起動して、CPU相手に対局を始める。
麻雀の知識は初心者程度のものしかないものの、何処までできるやら。
そう思っていたのだが――
■水月エニィ >
「はぁっ!?」
CPUによる開幕天和。
理不尽な仕打ちを覚えればついつい声を荒げてしまう。
■水月エニィ > 「いつもの事だけど、理不尽ね。」
チョイスそのものが悪かった。
理不尽な仕様のゲームを選んでしまっている点もあるのだが、本人は気付かず。
当たり前の様な自分の運命に溜息を付き、アプリケーションを削除した。
■水月エニィ > 「……あ。」
カップラーメンを放ってしまっていた。
大分伸びてしまった麺をする。
ずるずるずるずる。
(何とも言えないわね。これもラーメンなのでしょうけれど……)
■水月エニィ > 「……」
伸びた麺を割りばしでつまむ。
上手く言葉にはできないが、何かを重ねてしまったような気がする。
気を振り払うようにもさもさと食べ進める。
どうあってもラーメンはラーメンだ。
ご案内:「常世公園」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > ラーメンの匂いがする…。
豚骨醤油ラーメンの匂いがする。
無意識のうちに近づけば見たことのある少女。
いつだったっけ?確か…
「…君はこの間ゴミ箱に投げ捨てられてた子じゃあないか!!
いやあ、あの時は災難だったね!あれから元気でやってる!?」
明らかに伸びてしまっているラーメンをすする名前も知らない少女に話しかけた。
いや、伸びてしまって上手くすすれていない感じもある。
■水月エニィ >
「……あまり大声でそう言われると、ちょっと困るのだけど。」
ラーメンを脇に置き、片手で頭を抱える。
アイデアが回ればよくないものをイメージ出来かねない。
そう思うが故に苦言を呈してみせたのだろう。
「一応、元気よ。」
最近は災難に見舞われる事も減った。0ではないが。
また、随分と性格もふやけたような気がする。
■真乃 真 > 「ごめん、ごめん!今度からはもう少し声を小さくして言うようにするよ!」
声の大きさの問題であるならば普通はこれで解決するだろう。
だが、この男のもう少し小さくが普通の人の大きめの声とどれほどの変わりがあるのだろうか?
「そうか!元気なのか!それは良い!
元気だったら大抵のことは何とかなるからね!」
身体さえ丈夫なら殆んどのことは何とかなる!
あまりに理不尽なことは何とかならないかもしれないけれど
そんな事そうそう起こり得ないだろう。
■水月エニィ >
「水月エニィ。」
隠すものでもないし、今は妙な呼ばれ方を好む必要もない。
その様な意図のもとに名乗ってみせ。
「ええ、だと良いわね。
少なくとも何ともならないと思ったらどうしようもないもの。」
伸びきったラーメンをまとめて頬張る。
一瞬だけハムスターの様に頬が膨らんだ後、音を立て図に咀嚼すして飲み込む。
■真乃 真 > 「そうか、水月エニイか僕は真乃真だ!
よろしく、水月さん!」
無駄にカッコいいポーズを取ってこちらも名を名乗る。
首に巻いた異様に長いタオルが風もないのに無駄にはためいている。
「ああ、どうしようもないね。
何ともならないと諦めたらそれはそこで終わりだからね!」
漂う匂いは確かにラーメンだし食べているのも確かにラーメンなのに…。
あの麺の感じはきっとスープはもう残っていないだろう…。