2016/10/09 のログ
ご案内:「常世公園」に学園七不思議―【ヘルメットさん】さんが現れました。
■学園七不思議―【ヘルメットさん】 > 夜である。
じんわりと残る蒸し暑さが肌に纏わりつくも、秋らしい涼風を感じる、そんな夜である。
公園の草むらからは虫の声が時折響くが、それ以外の生き物の気配は特に感じない。
そんな静かな夜に―ヘルメットさんである。
「んっふっふっふ…前回は邪魔が入ったけども!こうして日が沈んだあとであればそうそう人も通るまい!
日が昇るまで時間はたっぷり…って実際日が昇ると明日の授業に差し障るしまぁ…2,3時間ぐらい?
とにかくそれなりの時間はある!」
腕にはめた可愛らしい腕時計を確認して一人頷く。
これだけの時間があればまぁ何とかなるだろうという雑な見立てではあるが、
そもそも全く一目につかないところとなるとそれこそ転移荒野や青垣山になる。
「…あの辺は私の身が危ないから却下。というわけで公園に降り立ったヘルメットさんであった」
説明は以上である。
さて、今日のヘルメットさんの悪行は―
■学園七不思議―【ヘルメットさん】 >
「っじゃーん。さてさて、取り出したるはこの一枚の紙!
何の変哲もないこのA4の紙にぃー。さらさらーっとなー」
鞄の中からよくあるただのコピー用紙を取り出せば、胸ポケットに忍ばせていたペンを持ち、何事か書き始める
「ぺーんーきー…ぬーりーたーて、っと」
『ペンキ塗りたて』である。
よくある注意喚起の張り紙なのだが、別にこの公園に最近ペンキを塗り直したものなどない。
だというのに、ヘルメットさんはその張り紙を用意した。つまり―
「この公園内のぜーんぶの遊具にこれ貼り付ける作戦!
ふっふっふ…せっかく公園に来たのに何も出来ずにすごすごと帰ることになるこどもたちの顔が目に浮かぶね」
つまりは嘘の張り紙で皆を困らせてやろうという魂胆らしい
■学園七不思議―【ヘルメットさん】 >
ニセの張り紙を用意すること10数枚。
それら全てに「ヘルメットさん参上!」との文字を付け加えて完成とする。
張り紙の束を手に、ぐるりと公園を見渡して―
「よーっし、作戦開始!見てろよリア充どもめ!
イチャつきに公園に来てベンチに座れず帰る虚しさを味わうがいい!」
ふはは、と高笑いしながら行動開始。
実に手際よく公園内のベンチや遊具に張り紙を張り付けていく。
今回の悪戯をチョイスした理由の一つに個人的なカップルへの私怨が含まれていることは言うまでもない。
ヘルメットさんの学生生活は灰色なのである。
■学園七不思議―【ヘルメットさん】 > ただでさえ存在感の薄いヘルメットさんである。
こうして認知してもらおうと行動しなければ誰も知らない程度には影が薄い。
行動したところで現状大して認知されていないのであはあるが。
そのうちに公園内の遊具に張り終えたのち、手元には作りすぎたチラシがあまってしまった。
「……どうしよう、これ」
どうしようもない。
結局、その辺の通りの電柱に張り付けるというよくわからない方法で消費することにしたヘルメットさん。
その姿を見回り中の風紀に見つかり、必死の思いで逃げかえることになったそうな。
戦えヘルメットさん。
立派な都市伝説になるその日まで。
彼女の戦いはまだまだ続く。
続くったら続く。
ご案内:「常世公園」から学園七不思議―【ヘルメットさん】さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に大河さんが現れました。
■大河 > ため息をつきながら、陽の昇り始めた公園に一人の男がやってくる。
手にはコンビニで買ってきた、パンとお茶の入った袋。
「くそ、仕事した筈なのに金が入るどころか無くなるってどういうことだよ…。
ボランティアじゃねえんだぞこっちは。」
毒づきながら適当に座る椅子を探して回る。
ようやくそれらしいベンチを見つけ、さあ座ろうとした時、目に入る「ペンキ塗りたて」の文字
「…」
若干不機嫌になりながらも、次に座れそうな椅子を探し始める。
■大河 > そして見つけた次のベンチ、鼻でため息をつきながら座ろうとするも
それを遮るように、再びベンチに貼られてる「ペンキ塗りたて」と書かれた紙。
それが視界に入った瞬間、反射的に男はベンチに蹴りを入れる。
「ふざけてんのか…!こちとら労働の後だぞ、いらつかせんじゃねえ!」
蹴った靴がベンチに張り付かない時点で、それが噓であると容易に見抜けそうではあるが
仕事の直後の疲労と、怒りでそれには気づかない。
■大河 > 「はあ…」
ため息をつきながら、ならばと遊具の方へ歩き始める。
目の前にはアヒルの形をした公園の遊具、雨風に晒されたそれは若干色あせ
更に錆のせいでどことなく不気味な印象を与える。
「これなら流石に」
そして三度目に入る「ペンキ塗りたて」。
「ふっざけんなあああああ!!!」
蹴った、それも異能まで使って。
超常の力でもって蹴られた遊具は、その根元がへし折れるだけでなく
放物線を描いて豪快に吹っ飛んでいく。
■大河 > そもそも少し冷静になればペンキを塗ったのなら錆が浮き出ているのがおかしい事に気づくが、最早そんな簡単な事に
気づけないほど、頭に血が上りきっている。
そしてあちこちに貼られている「ペンキ塗りたて」。
後は言うまでもない、怒り狂った男が
ベンチを蹴り倒すわ遊具を殴ってへこませるわの大暴れを起こし
憩いの場の公園は怪獣でも暴れまわったかの様な有様に。
「はあ、はあ…ん?」
ひとしきり暴れて若干落ち着いた男が、紙に書かれた「ヘルメットさん参上」の部分にようやく気づく。
「…そうか、ヘルメットだかテルミットだかしらねえが、要はそいつがこんな愉快な真似してくれたわけだ。」
顔が、凶悪に歪む。
「覚エトケヨ…」
誰にともなく呟くと、暴れたときに潰したのか、悲惨な姿になったお茶のペットボトルとパンを置いたまま
去っていった。
ご案内:「常世公園」から大河さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
「……ふー……」
夜の公園で大きなため息を一つ。
ベンチに腰掛け、疲れた表情で空を見上げた。
「……気を付けて」
たった今、小さな悪意の塊、妖怪になる寸前のものをあるべきところへ導いた。
連日の地獄の訓練に、巫術霊術の研究と訓練、さらにこうして時折見つける霊や悪意の浄化。
正直、肉体的、精神的に疲労が募ってボロボロである。
■寄月 秋輝 >
佐伯貴子からも、休息を取れと言われて久しい。
確かに合間に息抜きのお茶の時間こそ取ったが、実際の休息……つまるところ睡眠は、大幅に目減りした。
凝り固まった肩をぐるぐる回して、少しでも体を回復させる。
だが、くらりとめまいがする。
さすがにオーバーワークが過ぎる。
「……そろそろ……限界だろうか……」
全部自分でやるには限度がある。
いや、それすらも傲慢だ、実際には目の届かないどこかで、誰かが人を捉え、霊を祓っているだろう。
それは理解している。理解しているのだが。
「……違うんだよなぁ……」
そういう問題ではない。
自分が動かないと、ただただ不安なだけだ。
■寄月 秋輝 >
どうにも部下というか、他人の使い方が下手だ。
自分にできることは、自分でとにかくやってしまおうと考えてしまう。
それではいけないのはわかっているが、どうにも体が勝手に動く。
「……倒れる期間で、その辺りの帳尻を取ってたんだな……」
今回は入院という形で、不完全な休養になってしまった。
それも響いている気がする。
「しばらくは本気で体を休めるか……
……適度な訓練だけにして」
そう決めて、とりあえず帰って休もうというつもりで立ち上がり、またフラつく。
思った以上に疲労がたまっていた。
■寄月 秋輝 >
「……ダメだな。
これ以上やってたら、実戦で倒れてた」
危ないところだったが、この段階で気付けたのならまだ遅くはない。
帰ったら入浴して、ゆっくり眠ることとしよう。
休息も仕事のうちだとは言われたものだが、なかなか実践出来ない。
今回は倒れる前に気付けただけよしとする。
ご案内:「常世公園」に柴木 香さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から柴木 香さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に羽切 東華さんが現れました。
■羽切 東華 > 「うーん……結構どころかかなり奥が深そうだなぁ魔術って…」
夜の常世公園。街灯に照らされるベンチの下に腰掛けつつ、図書館から借りてきた書物を読む少年。
左腰に提げた黒刀は今は邪魔になるので脇に立て掛けており、真剣に手元の書物の中身を読んでいて。
「…やっぱりまず適性が分からないと駄目かなぁ。それさえ分かれば取っ掛かりにはなる筈なんだけど」
呟きながら、黒い革手袋をした右手でページをゆっくりと捲る。異能学は予習復習欠かしていないが、魔術学方面はやや疎かだった。
とはいえ、編入の際に行った検査で潜在魔力は高いという評価は受けている。なら有効活用したい。
「つまり、学べば使えるには使える筈なんだよなぁ…」
剣術メインに異能を織り交ぜる戦いが少年の基本だが、そこに魔術も加われば戦術の幅が広がる。
と、なれば矢張りそろそろ本腰入れて魔術を学んでみるのも悪くないだろう。
…が、自分がどの方面や属性に適性が高いのかが正直分からないのだ。祖母にも聞いたが魔術は専門外らしい。
■羽切 東華 > 「……いや、待てよ?この右手って魔術的な何かに応用できないいかな?」
唐突に思いついたのか、そんな事を呟いて本を捲るページを止めて。黒い革手袋をした右手を眺める。
「…うーん、こう集中したら何となく闇属性的な魔術とかがドカンと…」
周囲に人影や気配が無いのを確認してから、半分程度革手袋をズラして真っ黒な右手を晒し。
集中、集中……ん?何か手応えを感じ――ゴンッッ!!
「ごふぁっ!?」
右手が勝手に動いてアッパーカットをかましてきた。違う、そうじゃない。
…と、いうか明らかに意志を持ってるなコイツ…!再び革手袋を嵌め直して顎を摩る。
…さすがというか地味に利いた。一瞬だが脳震盪を起こしたくらいだ。
「よし、右手がご立腹だからこの線は諦めよう。むしろ、暴走なんてしたら洒落にならないし」
と、いう訳で大人しく読書を再開する事にする。何事も近道なんて無いものだししょうがない。
ただ、右手が完全にこの状態で馴染んでしまってるので、闇属性は案外と適性がありそうな気はしたが。
ご案内:「常世公園」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ > アッパーカットをするかしないかの辺りで足を踏み入れ、視認する。
断片的だった故に欲は分からないが――困惑気味に近寄り。
「……ええと、こんばんわ、羽切さん。」
様子を伺いつつ声を掛ける。
今は読書に興じている、のだろうか。
■羽切 東華 > 「…ハッ!?(やっばいもしかして見られてた!?)」
思わず内心で冷や汗を流しつつも、若干引きつった様な笑顔を何とか作り出して。
「み、水月さんこんばんわ。少し久しぶり、かな?」
と、何事も無かったかのように挨拶をしておきたい。いや、何か困惑そうな表情と空気を感じる。
(うん、無理も無いけどね…!やっぱり迂闊にやるのは何事も良くないね)
と、自戒をしながら。彼女から見ればこの少年は相変らずだろうか?
以前との違いがあるとすれば、右手だけに何故か黒い革手袋を嵌めている事くらいか。
■水月エニィ >
「始めて会った時のような反応ね。
何か一人遊びでもしていたのかしら。」
ひきつった顔を見れば、懐かしむようにからかう。
ベンチには座らず、ベンチの背に腰を預けた。
「ええ、久しぶり。調子はどう?
私は精々一勝したぐらいだけど――あら、オシャレな手袋ね。」
黒手袋が視界に入る。
以前見たコートに合わせたものかとも、オシャレとも取れる。
そう思えば、水月エニィは何気はなしに伺った。
■羽切 東華 > 「一人遊びする趣味は無いんだけど…と、いうかそれなら鍛錬でもしてるよ俺は」
毎日剣術の鍛錬や瞑想はこれでも欠かしていない。ベンチには腰掛けず、その背に腰を下ろす彼女に視線を向け。
「調子はぼちぼちかな――って、え?勝ったって…それ、水月さん的には快挙じゃないのか?」
詳細は未だによく分かっていないが、彼女は勝てない、という命題に等しい何かがあった筈だ。
それを乗り越えた、とあらば不条理を自力で打ち破った事になる。
手袋に付いては、少し考えて嘘で誤魔化すか正直に言うか悩む。
今の所、右手の事情を知ってるのは同居する相方と友人のクリエイターな力を持つ少年の二人だけだ。
が、彼女も友人の一人だし、ちょくちょく話もしているし、相棒もかなり世話になっている。
…少し、溜息を零してから右手をゆるりと持ち上げてみせて。
「ん、まぁちょっと呪われてるというか汚染されてるというか。
以前学園であった”妖怪もどき”の大量発生。アレを退治するのを相棒としてたんだけどね。
その時に最後に倒したのから散り際に右手を汚染されたみたいな感じ」
と、簡潔に事情を話す。あの時は場所は違えど彼女も居たからすぐに思い当たる筈だ。
■水月エニィ > 「仮みたいなものだけど、まぁ快挙ね。
お膳立てして貰ったようなものとは言え少しは変わった気がするけれど、
やっぱり十全にコントロール出来てる気はしないわ。」
目頭を押さえて溜め息。……少しだけ表情が緩んでいた。
胸を張れないものはあるが、悪い気はしていないのだろう。
「ああ、あの……。私もその場に居合わせたし、何体か受け容れたけれど、
どうにも取り逃してしまったみたい。そのつもりはなかったけれど、恩人には対立して喧嘩を売る羽目になったし、
妙なお兄さんには主犯だr……って。」
汚染された、と、耳にする。
散り際の道連れを妙な具合に喰らってしまったのだろうか。話を聞く限りそう聞こえる。
「……って、一大事じゃない。それ。誰かには診せたの?」
■羽切 東華 > 「けど、取っ掛かりにはなったんじゃない?お膳立てでも何でも、打ち破った事実は事実なんだしさ。」
それに彼女の力?は、完全にコントロール出来る類ではない気がした。
あくまで少年の勘でしかなく、実際にはもしかしたら十全に使いこなせる時が来るかもしれないが。
それに、彼女の様子を見れば多少なりとも楽にはなっているように感じた。
少なくとも、前よりも変に思い詰めたようなものは感じ取れない。
「うん、水月さん屋上にいたよね?気配で分かったけど。俺と鈍はグラウンドで戦ってたし。何か校内にも拡散してたみたいだけど…」
と、あの夜を思い出して苦笑い。そして、彼女の言葉には笑って。
「鈍から効いたんだけど、寄月秋輝…って人は知ってる?俺はもう面識あるんだけど、その人が浄化術の鍛錬?中らしくて実験台込みだけど浄化して貰えって。
ただ、もうかなり時間が経過してるからねぇ。多分浄化すると俺の右手首から先も無くなる」
と、右手首をプラプラと振ってみせる。今、革手袋で覆っている部分ごと元の肉体が消滅するという意味合いだ。
「まぁ、でも俺の血筋か体質なのかこれ以上汚染は進行してないみたい。代わりに右手は触覚を失って触っても何にも感じないんだけどね」
と、苦笑いを浮かべているが緊張感や焦りが見えない。こういう少年だからしょうがない。感性が感覚が一部アレなのだ。
■水月エニィ > 「そうね。そう言ってくれると嬉しいわ。ありがとう。」
あっさりと言葉を受け入れ、柔らかく微笑んでみせた。
……察せる通り、思いつめたものはなくなっている。
「荷が重いと思って分割したのよ。
親和性があったから半分ぐらいは持って行けたけど、もうちょっと上手くやれたかしらね……。
……あの妖怪もどき?思念の残滓?それには思う所はあるけれど、今は置いておきましょう。」
寄月秋輝。
その名前が聞けば眉間に皺が寄る。大分厳しいものを考える表情だ。
「あぁ……あの人の浄化術なら、浄化するだけのパワーはあるでしょうね。
恩人兼対立したのもその人だもの。勝たせて貰ったのも。ま、これは置いておきましょう。
……それが本当なら確かに相当混ざりこんでいるでしょうから、力技では引き剥がせないでしょうね。」
これ以上の進行がない、触覚がない。
平然の言ってのける彼を見れば、その自然さは不安に思う。
目じりを下げ、再び眉間に皺が寄る。困った顔だ。
「貴方がそのままいいなら、良いのかもしれないけれど……。」
あの手の元と私は近しい。私の素養で何か出来るだろうか。
いや、聞くに大分時間が経っている。リスクはあるかもしれない。
申し出るのもお節介かもしれないし、現状を受け入れて居る様に見える。
……言い淀むものが頭の中に渦巻けば、色々と悩みながら心配していそうな顔をする。
■羽切 東華 > 「うん、少なくとも以前の水月さんにあった張り詰めた雰囲気は薄れてるし…いい事だね」
どういたしまして、と笑いながらその微笑を眺める。険が取れた笑顔はいいものである。
「ああ、分割したのか…確かに、俺と鈍が斬ったのは単体だと力はそんな無かったぽいけど」
だが油断は禁物だ。最後の最後に右手を置き土産の如く汚染された当人がここに居る。
まぁ、あの夜の事はあまり愉快な話では無いし、置いておくという言葉に異議は無い。
「あー寄月先輩なのか、水月さんが勝たせて貰った人って。
あの先輩凄い強いだろうし、かなり修羅場潜ってるだろうしね…。
ただ、あの人もなんだかんだあれこれ抱え込みそうな人に見えたけど」
とはいえ、じっくり話した事が無いので彼の先輩の人となりはまだ完全には分からないが。
実際、力技や浄化術を行使してもこのままだと右手首から先が丸ごと昇天してしまう。
それだけ汚染されきっている、というかほぼ右手と同化しているようなものだ。
「むしろ、今の俺はそろそろ魔術を本格的に覚えようかと思ってて、そっちの方が問題というか」
と、今読んでいた本を掲げてみせる。初歩的な魔術理論の書物だ。図書館で借りてきた一冊である。
彼女の心配が考えは露知らず。この少年の相棒たる半人半刀の少女も呆れていたが。
人の体は気遣うくせに、自分の事となると度外視したり達観し過ぎているのだ。
割り切りが異常に早い、とでも言うべきか。あまり執着や頓着が無い。
「――ま、自業自得だしね。水月さん心配してくれてるのは有り難いし申し訳ないけど…。
そっちに影響が万が一あったら俺が嫌だから気にしないで」
と、笑顔でやんわりとそう言っておく。こちらの事より自分や他の人を優先してほしい、と言いたげで。
■水月エニィ >
「寄月さんなら、めっちゃ抱え込んでいるわよ。
勝ち続けるとああなるのかしらね。私を立ち上がらせようとするぐらいだもの。」
大きく溜息。
いずれにせよ、やんわりと遠慮を受けた事や魔術に関することを聞けば頷いた。
悩んでいないのならばと、張りつめた不安を解く。
「……そう。大きな問題にはしていないのね。
ならそうしましょう。それに、案外助けになってくれるかもしれないわよ。」
ちらりと見えた一人遊びがそういうことであるのならば、
幾度か垣間見た彼の危うさを思い返しながら、気を抜いた調子に言って見せる。
「もっとも、寄月さんの言葉を借りれば害するだけの混沌だそうだけれど……
確かに、気を払わければそうなるでしょうね。彼は放っておくことも良しとしないみたい。」
思想的には対立はするが危険性を説明するには適している。私情を抑えて告げる。
少しだけ寄月に言及してから話題を切り上げた。
「で、魔術を学んでいるのね。剣に飽きたってわけじゃなさそうだけれど、意欲的じゃない。
私の知識は霊に偏っているから専門外だけど……素直に初心者用の講義を受講して見て貰ったり、学ぶのが良いと思うわ。
研究施設の門戸を叩いたり、優秀なマジックユーザーを探す手もあるわね……」
■羽切 東華 > 「――まぁ、でも人それぞれ立場や事情、過去があるからね。
何かを抱え込んでいる人もそりゃ居るでしょうし…俺は負け続けてきた側だからそこは分からないけど。」
この場合、ここの住人や生徒、教師にではなく肉親に毎度ズタボロにされたという意味の負けだが。
と、いうより一度も師匠である祖母に一撃を食らわせた事が無い。
掠めたかどうかがせいぜいだ。身内に化物が居るのも少年が一部壊れている要因かもしれないが。
「と、いうか明確に意志があるのは確かだね。さっき右手を魔術に応用できないか集中してみたらアッパーカット食らったし。
勝手に右手が動いた感じだったから、俺自身には敵対意識があるか八つ当たりなんだろうね。これ以上汚染出来ない云々で。」
と、苦笑いしてみせるが、普通そこは笑う所ではないだろう、多分。
割と常識人の皮を被った異常者的な側面があるのだが、こういう所が顕著に出ている。
「…寄月先輩、まさか自分で全部処理しよう…とは流石に思っていないと思うけど…。
ああ、うん害されてるのは今更だしね。混沌どころか同化しちゃってるし」
それはもう既に承知済み。むしろそれを通り越した段階なので今更だ。
気を配ることは忘れないが、右手がこうなった事はもう割り切っているし。
「いや、補助的な面でね?あと戦術のバリエーションを増やしたいというか。
あくまでメインは剣術で、ちょくちょく異能を織り交ぜるのが俺の戦い方だけど。
魔術も使えたら幅が広がるのは確かだし。編入時の検査で魔力が高いとはお墨付き貰ってるしね」
と、いうより彼女は霊的な術式の専門なのだろうか?彼女に教えて貰う、というは流石に無理そうかもしれない。
「まぁ、暫くは学園の授業とか独学で何とかするよ。そもそもどの属性とか分野の魔術に適性があるか分かってないしね自分自身」
肩を竦めて見せる。そう、魔力が高いというだけで具体的な適性が不明なのだ。