2015/07/27 のログ
■サリナ > 「今の魔術が少しでもあなたの心に感動を齎せたのだったら私も幸せです。
…でもですね、それは先程のあなたの手品もですよ。
私、ちょっと表情硬いのでそういうのわからないかもしれませんが…見てて不思議だなと感じましたし、
魔術もなしにああいう事ができるのが、魔術師と自負する私でも驚きましたので…その
……あなたもすごい、です」
慎重に言葉を選びながらそれを言った。
気恥ずかしくなったから応酬に褒めた…という側面も勿論あったのだが、今言った事は確かに私が感じた事でもあった。
照れ隠しに原稿にペンを走らせる。
…今の私は、ちょっとだけ笑っているかもしれない。
■四十万 静歌 > 「――」
きょとんとした顔をして首をかしげた後、
少し笑ってる様子をみて、
ようやく実感がもてたのだろう。
「――ありがとう、ございます。
私の手品で喜んでいただけたら――
とっても嬉しいですよ。」
なんて晴れやかに笑う。
「――もっともっと、私も精進して、
驚かせれるよう頑張れますね。
なんて。」
真っ赤になって頬をかきながら――
「――こういうのをお互いにとって素敵な出会いなんていうのでしょうか?」
なんていうだろう。
■サリナ > 「そうですね…私も素敵な出会いだと思います。まるで運命の出会いです……っていうのは流石に言いすぎですかね」
なるべく顔を合わせないよう勤めていたが、ちらりと目を向けると、なんだか四十万さんの顔がとても赤い。
「…あの、顔がすごい赤いですよ?大丈夫ですか?何か冷たいものでも飲んだ方が……」
おかしい、冷房は効いているはずなのに……彼女にはまだ暑いぐらいなんだろうか?流石に見過ごせない程で心配になった。
■四十万 静歌 > 「あ、いえ、その大丈夫です。
なんていうか、なんていうかですね……」
照れくさそうに頬をかいて笑って――
「照れ症なものでして、
こう、なんていうか、
褒められたりすると直ぐに顔に出てしまうんですよ。」
と、あはは、と笑って。
「運命の出会い――
……だったら面白いかもしれませんね。
そんな素敵な出会いは歓迎ですし。」
ね?と微笑みかけるだろう
■サリナ > なるほど照れ症なのか、それなら安心した。
まるで酒場で呑みまくって酔っ払った人のようで私は驚愕していたが…
もしや興奮すると脳内にアルコール物質が分泌されるのでは…?と思ったぐらいだったが。
冗談でも今しがた会ったばかりの彼女には言えまい…
彼女の笑みに頷いて答えた…その時、丁度店員が横切ったので、
すみませんと声をかけて、アイスティーを二つ追加で注文する。
二つ頼んだのは、もう一つは彼女の分だからだ。
「そうですね。歓迎したい所なのでここは乾杯と行きましょう」
■四十万 静歌 > 「はいっ!」
乾杯しましょうと喜んで頷いて、
やってきたアイスティーが来ると、
「それでは、サリナさんとの素敵な出会いに――
これからも仲良くなれますよう――
乾杯。」
なんて此方はいいながら乾杯をしようとするだろう。
■サリナ > これからも仲良く…か、確かにこれっきりの出会いとするのは惜しいかもしれない。
目の前の彼女、四十万さんはとても表情豊かな人で、見てるだけで楽しい感じだ。
きっと、次に会う時もこんな感じなのかな、と密かに思っていた。
「…乾杯」
カランと、音を立てて杯を交わした。
その後も色々な事を話しつつ、原稿を進める。そこそこ時間が経過すれば、別れの時がやってきた。
帰る間際にまた会おうと、互いに言い合って別れたのだった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」からサリナさんが去りました。
■四十万 静歌 > それでは、また、と手を振って、
約束を交わしこちらも帰る。
本当に素敵な出会いだったと思う。
――今日という日の思い出を心に刻みながら、
こちらも帰るだろう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に朽木 次善さんが現れました。
■朽木 次善 > あんまり難しいことばかりを考えていても疲れる。
だから、たまには何も考えずに遊んでみたらどうか。
保健課・鈴成静佳の助言である。
カフェテラスの外席。
スコーンを目の前にして、眉間にシワを寄せていた。
遊び方について、難しく考えながら。
■朽木 次善 > 主だって、特にこの島に来てからはそういったことには無頓着だった。
日本本島よりも『そこに暮らす人達がアトラクション』である以上、
それに触れる毎日がもはやエンターテイメントであり、
何よりただの人間としてその『種族の海』であり『異能の坩堝』である常世島で、
そんなことを考えている余裕がなかったとも言える。
この島に来てから今日まで、一日足りとも生活委員会でなかったことはなかったし、
自分のパーソナリティはそういう環境の上に根ざすものだと思っていたから、
尚更自分の趣味や娯楽に関しては疎かったとも言える。
……何より、性差が交じる交友は、自分は我が多く乗る。
公平な目で相手を見れなくなることが、どうにも心を不安定にする。
きっとそういうのが上手い人間こそが、人付き合いが本当に上手な人間であるのだろうとも思うが。
■朽木 次善 > 相手について考慮に入れないといけない項目が多ければ多い程、
口にすべき言葉やすべきではない言葉は多くなる。
ある程度自分の心象がマイナスから開始することを自覚しているので、
そこについては逆に気を使わずいるつもりだったが、
一度気にしてしまえばもう気になって仕方がなくなるのも自分という人間だ。
出来るだけ考慮の外側にあってほしいと思うのは、
単純にそうしなければ自分の言葉の正当性を自分に証明出来ないからであり、
何より……円滑に言葉が出てこなくなるからである。
「……って、いうのは。言い訳かもしれないですね」
一人、背もたれに背中を預けて独りごちた。
往く人は、誰も彼に気も留めない。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に蓋盛 椎月さんが現れました。
■蓋盛 椎月 > いるさっ、ここにひとりな!
などと叫んだわけでもないが、夏の屋外でも気にせず白衣を纏う養護教諭が通りすがった。
朽木の姿を外席に認めると、ニヤと笑ってまっすぐに近づいて、向かいの席に座った。
他にもいくらでも空いている席などあるだろうにお構いなしだ。
「よう、悩める青少年。
どうした、今度は梅干し味のスコーンでも注文しちゃったかい?」
愉快そうに言葉をかける。
明らかに距離感というものに気を使っているように見えない立ち振舞であった。
■朽木 次善 > ――目の前に、性差が白衣を着てやってきた。
周囲の席を見やると、その視線が泳ぐ様すら楽しいのか
ニヤニヤと笑ってこっちを見てくる蓋盛教諭に、蛇に見つめられた蛙のような心境になる。
分かっててやってることが、分かってない自分にも分かるという。
「いや、流石にスコーンにまで入ってきたら、
もはやこの島の大きな何かが俺を排除しに来たんじゃないかと疑いますけど……」
スコーンを避けて、とりあえず歓迎はしていますというポーズを見せる。
「……お暇なんですか、蓋盛先生」
■蓋盛 椎月 > 「梅干しを引き寄せる異能とかに目覚めてたりしてね!
異能ってどう役に立てていいのかわからないのがあるからさ~
それともなんか排除される心当たりでもある?」
チェシャ猫のように笑ってふざけた口調でそう言う。
「あ、わかる? めっちゃ暇で、からかい相手……
じゃなくて、仕事を探してたんだよ。
ほら、養護教諭って生徒の心身の健康を守るのが仕事だし?
うろついてたら苦悩に満ちた様子の少年がいたからさ。
これはぜひ話し相手になってやらないと、と思って……」
べらべらとまくし立てる。
養護教諭がそんなにヒマを持て余す職業なのかは謎である。
■朽木 次善 > 「辞めてくださいよ怖いじゃないすか……。
一人一つの異能だけじゃない例もあるんで、
全く違う異能として目覚めたらと思うと、
いくらでも情報出すのでいち早く誰よりも研究進めてほしいと思いますよそれ」
水を一口、口に含む。
「俺が排除されたら、この島から人は一人も居なくなるんじゃないですかね……。
排除されるとしても最後の一人ですよ俺は。
苦悩、まあ……そうですね……。
ちょっと友人に……もう少し楽に生きたらどうかとか、
もっと女の子と遊んだらどうかとか、勝手なこと言われて。
それについて悩んでたっていうか……そんな感じです」
何故か、いつもよりも喉が乾く。
養護教諭にこんな相談をしてもいいのかという点についても悩ましい。
■蓋盛 椎月 > 「そうねー異能発現メカニズムの解明は人類がなんかするべき最優先の課題よね。
なんかあたしが生きている間には無理な気もするけど」
話の合間に注文していたアイスカフェオレが蓋盛の前に届く。
「それは、自分が普通や平均だからそう思うってこと?
いやーわからないよーそれって主観に過ぎないからねー。
どんだけ慎ましく暮らしているつもりでも天運によっちゃどうなることか」
ストローで氷を鳴らしながらもっともらしいことを言うが、
その声の響きは真面目とは程遠い。
「ラクに、かあ。結構難しいよね、それ。
女の子に興味がない、ってわけじゃあないだろうけど。
そればっかりが楽しい生き方、ってわけでもないだろうしね。
……どう楽しんだらいいか、わからない感じ?」
■朽木 次善 > 「……初回の発動で、命を落とす人もいるとか聞くと。
やっぱり未然に防げないかなと思うのもありますね、実際……」
異能自体が外的なエフェクトで自己を傷つけるというのも勿論あるだろうし、
それ以上に今までなかった力に目覚めることで、
それまで『居た世界』が崩れるという意味もある。
「……天運、すか。
それは、なんかめぐり合わせとか、そういうのも含まれているんだとしたら、
あんまり大きなこと言えなくて怖いです、ね……。
ああ、えっと、蓋盛先生とか、なんか相談しやすい人に恵まれてて、
自分運ないとか言うのもアレかなという、世辞みたいな、世辞ではない、何かです」
触れるべきことと触れないほうがいいことの間でフラつき、
どういうバランスで発言すればいいのかあやふやになったので、あやふやな発言が出た。
「いや、楽しいのは、楽しいんですけどね。毎日キツいとは思ってないですけど。
なんか、楽しさが外に伝わりにくいのか……人相のせいもあるかもしれないですけど。
蓋盛先生とか、良く悩みがなくて幸せそうとか勝手なこと言われません?」
実際自分も、勝手にそう思っている人間の一人なので、素直に尋ねる。
もしそれが分かるなら、自分が言われている「ラクに」ということにも少し理解が得られるかもと思いながら。
■蓋盛 椎月 > 『世辞みたいな世辞ではない何か』に機嫌良さそうに肩を揺らした。
「あっはは、照れるねえ。
あたしは人の話聞いたり相談乗ったりするのが好きだからさ。
……あんまり話聞くの上手じゃないんだけどね。お喋りすぎて」
続く言葉に、んん~、と軽く唸って首を傾げる。
「あー、そういう感じか。なるほどね。
無理に楽しそうな様子を見せる必要もないと思うけどねえ……
笑顔の練習でもしてみる? だいたい笑っときゃごまかせるよ人間なんて」
カフェオレを、ズ、と啜る。
「はは、よく言われる、言われる」
何が楽しいのか、ぺちぺち、と手を叩く。肯定も否定もせず。
「いやああたしは仕事が仕事ってのもあるけどね。
養護教諭が不景気なツラ見せてたら、誰も保健室に入りたがらないでしょ」
■朽木 次善 > 「ああ、それは、なんとなく分かります。
視点が違うと、見えてくる物もあったりして……。
案外簡単に解決したりするのは、相談受けた側としても楽しいですしね……」
その裏側として、解けなかった場合相談した相手にも問題を共有させるのだということを
誰よりも知っているがゆえに、簡単に相談が出来ずにいる。
特に、きっとそういう話に慣れている人の方が、抱えているものは多いだろうとも思った。
「笑顔……苦手な分野ですね……。
下手くそに笑って、現場で良く舐めてんのかって怒られましたよ。
……顔の造りの問題じゃないかなとかも、ちょっと思いますし」
水を、一口含んだ。
「先生、一個相談に乗ってもらっていいですか。
抽象的な話になるんですけど……。上手く伝わらなかったらすいません。
……例えば。俺達は物を食べるのが普通じゃないですか、スコーンやカフェオレを食べて生きてる。
でも、そういうのが必要ない相手に……物を食べるっていうことを。
説明して……理解してもらって……もっと言うなら尊重してもらうことって出来ると思いますか……?」
■蓋盛 椎月 > 「ふむ」
白衣のポケットにある煙草の箱に手をかけ、
……カフェテラスの壁にあった禁煙マークを目にして、戻す。
表情を消して、しばらく、黙考し。
「穴居人にスクラブルを教えるぐらいには困難な話だな。
『社会通念を持たない相手にどうそれを教えるか』って話、だよね。
……それが物心ついて間もない幼子とかならまあ簡単だ。
しかしきみが相手にしようとしているのは、
おそらく、野生の獣か、社会不適合者のいずれかだ。違うかね」
「社会通念は、基本的に守ったほうがいろいろと得だ。
あえてそれを守らない、ということは、なにかしらの守らない理由、があるわけ。
獣でなければ、独自の強固な正義を築いている、ということである」
「不可能ではない、と思う。
だが、きみのやろうとしていることが社会的に正しいかどうかはさておいて、
その相手にとっては著しく暴力的で破壊的な行いといえるね」
■朽木 次善 > 「ああ、そう、それです」
わかりやすく言い直してくれた蓋盛に、やはり話を聞き慣れているという感想が出た。
こちらが言語化出来ないものの無駄を削ぎ落としてを単純化するのは、話し上手の証拠だ。
「んぐ……。
そ、そうですね。
……例えば異能を持たない人に、異能者の存在を認めてもらうためには。
もしくは、異能を持たない人が「出来ない」ことを……。
異能者に理解してもらうにはどうすればいいのかっていうのは……ずっと悩んでて」
半分が嘘で、半分が真実の言葉を紡いだ。
もちろん、悩みはフェニーチェの『脚本家』についての悩みが主だったものだ。
罪の概念のない者に罪を理解させる方法。それを模索していた。
「……暴力的で、破壊的な行い、ですか」
それは、薄々気づいてはいた。
彼女に対して、優しいと言われた時に自分が否定した理由でもあった。
自分のこの行為は、正しさをさておくとしたら、酷く残酷な行為であるだろうから。
「……相互の理解のためには、互いに傷を負う必要があって。
その傷を、互いに治せる程度まで見極めて分け合うのが……理解だと、ヨキ先生は言っていました。
俺はだから……その暴力的で破壊的な行いで、もしかしたら、相手を必要以上に傷つけるか。
中途半端に傷つけるかもしれないことが、少し怖いとは、思います……」
スコーンから、顔を上げる。
「社会的通念からではなく、蓋盛先生から見ても、それは行わない方がいい行為だと思いますか……?」
■蓋盛 椎月 > 行わないほうがいいか? と訊かれれば、首を横に振り。
「いや、そうとは言い切れないな。
たとえば人里を荒らす熊がいたとしてさ、
そいつが人里を荒らすことをやめないなら、射殺して処分するしかない。
熊は山に戻っていただいたほうが、人にとっても、熊にとってもいいでしょ」
「あくまできみと『そいつ』との問題は個人間のものだ。
それを正しいとか正しくないとか、部外者のあたしじゃ判断はできないな」
思い出したように、薄い微笑みを作る。
「……心配しているのは、むしろきみのほうだよ」
「ヨキ先生のおっしゃるとおり、相互理解は生半可には行かないわけよ。
きみは『そいつ』を傷つけることばかりを心配してるようだが
きみが傷つくことに関してはどうなんだい。
一方的に、自分の世界観を、暴力的に書き換えられる……
そういう可能性だってある。それは恐ろしくないのか?」
ふう、と息を吐き、一度言葉を区切る。
「ちょっと話は変わるけどさ。
斬っても刺しても燃やしても倒せない、不死の《怪物》を……
殺すためには、どんな手段を使えばいいと思う?」
■朽木 次善 > 「……そう、ですね……。
痛みを伴うっていうのは、俺も、良く分かります……」
熊を射殺するにせよ。その射殺には痛みが伴う。
撃つ方も撃たれる方も、だ。だからこそ、それには慎重になるべきだと、自分も思う。
確かに。これは、当事者間の問題だ。
何より、社会通念を差し置いて自分の意思を通そうとしている我儘なのだから、
その問題を他者に波及させるわけにもいかない。
特に、こうやって親身に相談に乗ってくれる教諭なんかを安易に巻き込んでいい問題ではない……。
「俺、すか」
それは、意外な言葉ではなかったが、少しだけ意識の外側にある言葉だった。
確かに、それは他者から見たら当然の心象であり、慮りであることは理解出来ていたが。
「俺は……まあ、そう、ですね。
客観的に見たら……生活委員っていう建前で、そういうのに好き好んで首を突っ込んだ方なので。
……自業自得なのかもしれない、です」
それで、蓋盛が納得するとも、到底思えないが。
「斬っても、刺しても、燃やしても……ですか。
不死の、<<怪物>>……。殺す方法……。
む、難しいすね。死なないんじゃ、何をしてもどうしようもないんじゃないかって、思えて……。
これって、意地悪問題か何か、ですか……? あ、いえ、蓋盛先生が意地悪とかそういうのじゃなくて、ですね。
謎かけ、みたいな……」
蓋盛の唐突な問いに、混乱したように首を捻る。
■蓋盛 椎月 > 「意地悪か……まあ、そうかもしれない。
いちおう、あたしなりの解答は用意してあるけど」
苦笑い。どこか呆れたように、
「きみはさぁ。
『夢見がちな若者』って言葉で表現するには、現実が見えている。
その上で、自分のやりたいことに忠実である……
あたしは、そう評価している」
「自分が冒しているリスクを理解していて。
なおもその個人のためにそれをしよう、と言う。
そこには、過剰な愛着か――あるいは、憎しみがある」
アイスカフェオレを一気にストローで吸う。
透明な容器の中身は、氷だけになった。
顔を上げた朽木に、輝きの褪せた茶の瞳で、まっすぐな視線を合わせる。
「さっきの謎掛けの答えはね。
……“愛する”ことだよ。
愛は、不死者を殺す、唯一の毒だ」
「命を持たない相手を、傷つけるにはね、
まず、命を与えなくてはならないんだ」
「……きみがしたいのは、ひょっとしたらそういうことじゃないかと思って。
勘違いだったら、すまないね」
■朽木 次善 > 「……"愛する"……ですか?」
それは、心の底から意外な回答であり、解答だった。
不死者を殺すのが、愛であり、それが唯一の毒になる。
あまりにも自分の認識の中にはなく、それをどうにか頭で理解しようと首を捻る。
命を持たない相手を傷つけるためには、命を与える。
認識を持たない相手に自覚を与えるには、認識を与える。
「じゃあ、俺の、やることって。
『傷つけるため』に、『愛さないといけない』っていうことに、なるんですかね。
それが……俺が、現実を見てるっていう、ことになるんです、かね」
自分のやっている行為が、社会的通念と相反するものであることは自覚があった。
だが、良く考えれば、じゃあその社会的通念に逆らってでも、
彼女――『脚本家』に伝えたい、知ってもらいたいことがあるということなのかもしれない。
それを、蓋盛は過剰な愛着と表現した。
それはなんとなく、自分の本質を突いているような気さえした。
「俺に。
不死者を、愛せます、かね……」
命ある者ですら、愛せるかどうか微妙だというのに。
親身になり、共に傷つきながら、それを理解しようとしろという、彼女の激励のようにも思えた。
……勝手に。