2015/09/21 のログ
『プリースト』 > 乱子が毒を生成している事など、もちろんまだ気付かない。
というか、今『プリースト』は杭に刺されて血を流しながら倒れているのだ。
要するに、流布堂乱子の『しゃがんでくださいね』という言葉も聞いてない。

マティアスに襲いかかろうとしていた暴徒の一部がヴァルトラウテの接近してくる姿に気づく。
無防備な女だ。簡単に始末できるはず。
武器は所持していないが、補助魔術で強化された暴徒達。
四人程が一斉にヴァルトラウテに襲いかからんとしていた。
殴ったり蹴ったりと、その攻撃は単純。
その攻撃はなぜか、ヴァルトラウテに当らない。
暴徒四人は首を傾げてみたりで、不思議そうにしていた。

ヴァルトウラテの加勢により、実際にマティアスに襲い掛かれた暴徒は数名にまで減っていた。
マティアスの杭が暴徒一人の手首に刺さった。
そして失血で倒れる。
続く暴徒も同じようにしてばたばた倒れていく。
所詮、雑魚は雑魚。
暴徒達は『プリースト』の補助魔術で強化されただけの雑魚。
やがてマティアスに向かった数名の暴徒は全滅したのだった。

三人の一般客は、東雲七生に蹴り落とされた。
だが彼等はか弱い一般人なのだ。
ちょっとした事で、怪我をしてしまう事はまのがれない。
念力によりある程度高速で突撃した一般市民が軽くだが蹴り飛ばされ、ソファーや床に激突してしまったのだ。
当然、その三人は瀕死の重傷を負う。

その時、麻痺毒が念動力者を襲う。
念動力者は動かなくなり、その場でばたりと倒れてしまった。
同じようにして、ヴァルトウラテに殴りかかっていた数名の暴徒も麻痺毒の効力を受ける。
そして次々と動かなくなり、倒れていく。

そんな時、なんと『プリースト』が立ち上がったのだ。
「キーシッシッシ!
 この程度では、私は死にませんよぉ」
なんと、腹部の傷がみるみる内に回復していく。
『プリースト』による回復魔術だ。
「ついでに、その厄介な麻痺毒も消してあげますねぇ」
さらに『プリースト』は回復魔術を使用。

「(短めの詠唱中)」

念動力者やヴァルトラウテを襲っていた数名の麻痺もどんどんひいていき、立ち上がる。
そして体が動かせるまでになった。

流布堂 乱子 > やがて回る矛先から音が消える。
その回転の軸は頭上に伸ばした手の先から、乱子の頭頂部てっぺんほどまで降ろされ、
静かに、しかし速やかにその先端から色のないガスが散らされていき、
ファミレスの中を二層に分断する。

地上から160cm以上を覆う麻痺毒の世界と。それ以下の世界に。
「善良な市民の皆さんはそのまま立ち上がられませんように。
善良でない方々は……床に寝ておられるのがよろしいかと」
ふるり、と毒を吐き出し終えた鉾を下ろすと、ブーツを鳴らして歩こうとしてふらついた。
ゆらゆらとした歩みは、やがて赤毛の少年のところに辿り着く。

「……存じ上げませんでしたけれど、もしかして善良でない市民でしたでしょうか?」
ポーチから手早く、事前に生成してある解毒剤の瓶を取り出して。
七生の口を開けさせてから、液体を垂らした。
嚥下する必要もなく喉の奥へ、液体が落ちていく。

……その後ろで回復魔術が使われているのだけれど、
乱子の知覚能力は減衰気味なのでまわりの雑音に紛れて判別がつかない。
ただ一つだけ確かなのは、店外のプリーストは立てるかもしれないけれども、
麻痺毒は見えないけれどもきっちりとファミレスの中に残留していることだ。

ヴァルトラウテ > ……作法を叩きなおしてあげましょう

(ヴァルトラウテには毒の効果はない。
そもそも、その気なら呼吸を止めることも可能である
人工皮膜に関しても人間のそれとは耐久性などが違う

麻痺毒が引くならどちらにせよ問題はないし、どうしてもというなら剣圧で散らすまで

もっとも、そこまでする必要もないのかもしれないが
此処は食事の場であり毒を撒くなど言語道断である

念動力の効かぬ様に驚く念動力者を正面から打ち据えて気絶させる
周囲の暴徒も同様に

念動同士であれば力もさることながら、その受け流し方によっても大分違う
念動は力であるゆえに力学である
そもそもパワーで負けるような相手でもなかったが、応用範囲が狭い上に対応力の弱い念動など相手にならない)

……あとはそこの女性ですか?

(どうも、毒を撒いたのはそこのようだ。乱子のほうに向き直る
攻撃をしながら自ら治療しているのがよくわからないが、食事の場において問題のある無差別攻撃を仕掛けたのは確かである

申し開きがないのであれば、低い体勢から叩きに行くことになるが……さて)

マティアス > (……これなら生け捕りなんて考えずに、さっさと殺したほうが良かったですねぇ)

とりあえずぶち抜けば無力化するだろうと思ったが、甘かったか。
この様子なら徹底的に擂り潰さないと死ななさそうだ、容赦は必要ない。

色々吸いとれたお陰で魔力は充分、これなら好きにやれそうだ。
肥大化した流体が地面に伸び、プリーストを囲むように術式を形成。
綴るのは火の魔術、プリーストの体内に残るマティアスの細胞を起点として、プリーストを燃やす魔術。

 _____焼死しろ
『火素/炎上/起点/細胞』

詠唱がプリーストの体内に響き、人工的な人体発火現象が起きるはず。
炎はプリーストの喉を重点的に狙う、厄介な詠唱を潰すために。
すぐに倒れないのなら、素早く赤い術式が変形しプリーストを切り刻むつもりだ。

東雲七生 > 「んな事言ってられる状況かよっ!?」

テーブルの下に横たえた状態で解毒を施され、
開口一番そんな事を吠える。
さっき飛んできた一般客はどうしたろう、と視線を巡らせれば。
……まあファミレスのソファに激突して死ぬ奴は豆腐の角に頭打って死ぬ奴の次くらいに居ないだろうから放っておくとして。
床やテーブルの上で苦悶のうめきを上げる面々を見遣り。

「ルフス、あっちの人らの救護を!」

念力による勢いを蹴りで相殺狙ったとはいえ。
そこまで精密な加減は流石の七生でも難しかったようだ。
手足に力が戻り次第すぐにでも飛び起きてプリーストの捕縛を試みそうな気配がひしひしとしている。

『プリースト』 > 『プリースト』が回復魔術を使ったとは言え、麻痺は完全に消しされていないのだけは事実だ。
念動力者も残り数名の暴徒も動けはしているが、鈍くなっている。
外にいる『プリースト』だけは、あまり影響は受けていない。
「このままではまずいですねぇ。
 邪神様ぁ、この『プリースト』をお助けください。
 キーシッシッシ!」

立ち上がった念動力者や数名の暴徒だが、これもまたあっけない。
ヴァルトラウテの正面からの攻撃に対処できず、気絶させられてしまった。
これで暴徒の集団は元凶の『プリースト』を除けば全員始末した事になる。

「せっかく新たに洗脳したというのに、またまたやられちゃいましたぁ。
 またもや私一人になって、ピンチという事ですねぇ」

マティアスが術式を形成する。
それは火属性の魔術。『プリースト』を燃やす魔術。
『プリースト』から炎が溢れです。
「こ、これはなんですかぁ?
 キーシッシッシ」
そんな状況でも不気味に笑うのが『プリースト』だった。
やがて喉もやかれて声すら発する事ができなくなる。
当然、詠唱を唱える事もできない。
そのまま『プリースト』は炎に焼かれていき、灰へと変わっていく。
そして静かに死にゆくのであった。

流布堂 乱子 > そこの女性、と声を掛けられて。
おぼつかない足で立ち上がろうとして、
慌てて近くのテーブルに手を着いたところでガラス片が思い切り刺さった。

酷く渋い表情に成ったのは、痛みも然ることながら、
飛び散った血液が酸の力でテーブルに細かく穴を開けたからだ。
どうも取り回しが上手くできていない。

「そこの女性、ですけれど。
風紀委員会ですから、ともかくも暴力行為を停止させるのが一応、職務ですので。
本当は貴方のことも止めないといけないのですけれど」
足元から響いた叫びにもう一度呻く。頭を抑えて首を振る。
痛みを払う意味と、否定の意味で。

「救援は呼んであります。解毒自体は今の通りにまた解毒剤を撒けば済みますので救援の障害にはなりません。
……今は、他にやることがある。そうでしょう」
胡乱な目つきが店外を指向する。

……ようやく思い出した。
「あれは、七英霊とやらですよね。
交戦記録を読んであります」
ゆっくりと、マティアスによって焼かれたプリーストの方へと店の外へ出て行く。
「確か、普通には死なないとか、書いてありました」

マティアス > なんとかプリーストを撃破した。
しかし奴の余裕を崩さない態度からして、何か隠し玉でも持っているのだろう。
炎が消え去り、赤色がヒトガタを形成する。
常世学園の制服を纏ったマティアスが、外に出てきたルフスを見やる。

「こっちはなんとか終わりましたよ、っと」

そう軽い調子で答えるが__これで終わり、とはならないらしい。

「うえー、これだけやっても死んでなさそうとは」

灰を手に取りながら、嫌そうな顔。

ヴァルトラウテ > なるほど……そうでしたか
店を台無しにしかねない無差別攻撃でしたので、食事の場を荒らす不心得者かと

(流布堂の話を聞けば、そのへんは素直である
であれば、店内より表を重視すべきだろう
もっとも、そちらも一応の決着はついたようだが)

……ふう

(それはさておき、ファミレスを失ったことは寂しい
日本のフードチェーンはすごいと聞いていたのに

嘆息しつつ表に出ると、プリーストたちの様子を遠巻きに見物に入る)

『プリースト』 > 灰となった『プリースト』。
だがその灰が再び集まっていく。
そしてその集まった灰は、元の『プリースト』へと戻っていった。
『プリースト』は邪神様の御加護により、復活を遂げたのだ。
喉なども元通りの完全回復である。
邪神様の御加護を受けている『プリースト』の魂のストックは三つある。
つまり、二度までは死んでも復活するというわけだ。
「よくも……この『プリースト』を“一度”殺してくれましたねぇ。
 ただではすましませんよぉ。
 ……よ言いたいところですがぁ、私がピンチである事は変わりありませんかぁ。
 仕方がないですねぇ……。
 か弱い私は直接戦闘が苦手なのですけどねぇ」

『プリースト』は素早く詠唱を唱え始める。

「(素早い詠唱中)」

すると、『プリースト』の体が紫色に光る。
補助魔術により『プリースト』自身が強化されたのだ。
『プリースト』は聖属性を帯びたナイフを取り出した。

「あなたは、私の命を“一つ”奪ったのですからぁ。
 あなたの命も“一つ”刈らせてもらいますねぇ」
音速にも匹敵する速度で、『プリースト』はマティアスに接近する。
そして、マティアスの心臓にナイフが突き刺さろうとしていた。

流布堂 乱子 > ポタポタと強酸の血液を垂らすわけにもいかず、
片手で新たなポーチを開き、ジェルの詰まったパックを右手に叩きつけて開封し、血液を凝固させる。

「お疲れ様です。……もうちょっとだけ続くみたいですけれど。」
その右手を上げて、応えながら。
「無抵抗なのは確かですから、灰を分割して瓶詰めするとかで何とか成るんでしょうか。吸血鬼退治みたいですけれど」
未だに止まらない頭痛のままでは真っ当な案も思いつきはしない。

いかにも魔術の得意そうなマティアスを、
立場上はそのまま帰すにもいかないヴァルトラウテを、
巻き込まれた?らしい七生を、
珍しく助けを求める目で眺めた後に。

今一度視点を戻して、灰が蠢くのを見た時点で、鉾を再び体のうちから取り出した。
相手がナイフを出した時点でその行動は決まったようなもの。
「よい、しょ、っと…すみません、横から失礼します」
元の形状より短くなったとはいえ1.5m程は有る鉾は、マティアスの後ろから左手を伸ばしてただ突き出しているだけでも、その突撃を迎撃するに余りある。
たとえ回避しようにも、その接近の範囲は大きく制限されるだろう。

東雲七生 > 軽く手を握って、開く──動く。
軽く膝を曲げて、伸ばす──こっちも動く。

まだ少し頭で思ってから四肢が動くまでに若干のラグがあるが、それは気にする程度ではない。
床に散らばる皿の破片やナイフ、フォークの中から一本だけ護身用としてフォークを手に取って。

「……今のうちに一般客の誘導しとこ……。」

溜息混じりに呟くと、身を屈めて普通の、か弱いらしい客の下へと向かう。
仮にも常世島の住人であるなら、異能なり魔術なり扱えて然るべきだと思うのだけど、と細やかな疑問を胸に秘めて。

マティアス > 「ッと!」

灰が集まり人型を形成していくのを見て、即座に意識を戦闘時に切り替える。
そして、死んだはずのプリーストが復活した。
妙にあっさり死んだと思ったが、これなら納得だ。

「吸血鬼退治なんて柄じゃないんですけどねぇ……!」

プリーストは明らかにこちらに敵意を向けている、さっき殺したのを根に持っているのだろう。
奴が取り出したナイフは聖なる力を纏っているようだ。
持ち主がアレで聖なる力とか酷いジョークだが、そのナイフが向けられる相手が自分なのは笑えない。

「そういうの良いんで……とりあえずもう一回死んでくれませんかねぇ!」

そう言い終わるや否や、プリーストは高速で動き出す。
しかし流布堂が鉾を後ろから突き出してくれているおかげで、動きは遠回りになるだろう。
これなら位置の予測からの迎撃も可能だ、彼女には感謝しておこう。

プリーストの動きを予測し__丁度首が通る地点に赤色の刃を伸ばす。
あれほどのスピードで動いているのだ、急回避は難しいはず。

『プリースト』 > 『プリースト』は、マティアスに突撃する!
音速という事で、かなり素早い動きだ。
周囲に風が伝わる事だろう。
だがその時、マティアスの後方よりのびる鉾が『プリースト』を迎撃せんと迫ろうとしていた。
「くっ……」
『プリースト』は額から汗を滲ませながら、苦い顔で、その鉾を回避する。
だがそのせいで、接近の範囲は大幅に制限されてしまう。
まず直線距離では狙えず、動きは遠回りになる。
心臓を刺せなくなってしまったのだ。
余計な事をしてくれますねぇ。

だが、せめてマティアスに傷を負わせようと、今度は右腕を狙おうとしていた。
しかし、マティアスはそれに対処してきた。
『プリースト』の首に赤色の刃を伸ばしてきたのだ。
元々『プリースト』は軟弱だ。
今は自身の強化魔術により強化されているに過ぎない。
マティアスの動きを読む事はできず、赤き刃は『プリースト』の首を切断した。

「そ、そんな……」

首が地面に落ちると同時に、体も同じように横たわった。
またもや完全に死亡している。
『プリースト』、本日二度目の死。
もちろん、邪神様の御加護により二度は復活できるので、後一度だけ蘇る事になる。
しかし、次に蘇った時、『プリースト』の命のストックはたった一つになる。

東雲七生 > 「はーい、まあ後日支払いに来てくれると店の人たちも喜ぶんじゃないかな。
 多分暫く修復作業の日々が続くと思うけど。まあその見舞金として今回の代金を支払うってのもアリだと思う。」

まあどさくさで食い逃げしても詮無しだと思うけど、と騒動の鎮まった店内で。
一般客を店員と手分けして誘導し、安全な裏口から退避させる。
表のドンパチは流石に必要以上に近づく輩もいないだろう、と考えて。
居たとしても、まあ風紀委員が何とかしてくれるはずだ。しろ。

内心で毒撒き犯への呪詛を並べながらも店内から客を追い出した後は。
哀れにも巻き込まれて人間砲弾とされた三人の応急救護……は素人なので下手に手を出さず見守る。
息があるなら、その生命に危険は無いだろう。この都市の医療設備は並外れているのだから。

流布堂 乱子 > 「……度々お疲れ様です。」
マティアスに声を掛けてから鉾を引き戻して体の内へしまうと、再び苦い表情に。
もしかすると生き返るのには回数制限が有るのかもしれないけれども、それは此方にはわからない。
かといって死体にし続けるのもあまり現実的でもない。
「あまり、こういった魔術的な問題には詳しくないので…
なにか手があればよいのですけれど。」

再び、遠巻きに見ているヴァルトラウテに視線を寄越す。
「申し訳ないのですけれども、この女性がまた蘇ったら"制止"して頂けませんか。
先程申し上げたようにレストラン内の毒を解毒する必要があるのですけれど、このままでは手が離せませんので。」
暫し考えてから、少しだけ収まった頭痛の導きに従って対価を提案する。
「……後ほどお食事をご馳走しますので。」

ヴァルトラウテ > (風紀とあれば、父様の言いつけ通り事を構える必要はない
見れば、首謀者はやり込められているようである
その腕の差を見て取って、見に回る
どういう結果にせよ、そうそうに結果が出るだろう)

……ファミレスとやら
楽しみにしていた一つなのですが

(毒が撒かれ、窓は壊れ、テーブルはひっくり返り、酷い有様である
ほんとうに大丈夫なのだろうか)

マティアス > (……やっぱ動きが素人臭い、これなら冷静に対象すれば倒せる相手ですね)

薄々感じていたが、やはり相手は直接戦闘に関しては素人らしい。
数を集めて補助を飛ばしたりはするが、肉薄されると弱い。
どうやら色々準備して盛らなければ戦えないようだ、ある意味魔術師らしい戦い方だ。

「さてと……追撃の準備、しますか」

プリーストの死体に近寄り、直ぐに首を飛ばせるように腕を刃に変える。

『プリースト』 >  
 
──いつからその場でしか蘇る事ができない錯覚していた?

いや、一度目は確かに、その場で死体から復活するのみだ。
だが二度目の復活が、最も厄介なものとなる。
『プリースト』の死体は、光とともに消滅していく。

──キーシッシッシ!
  もう魂のストックはありませんからねぇ。
  この方々と戦うのは避ける事にしましょうかぁ。

『プリースト』が次に現れた場所は、東雲七生が裏口から逃がした客や店員が集まっているど真ん中である。
「せっかくですのでぇ、あなた方には死んでもらう事にしますねぇ。
 惨たらしく、残虐に殺せないのだけは残念ですけどねぇ。
 生きては返しませんよぉ。
 キーシッシッシッシ」
『プリースト』は詠唱を始める。
その詠唱は明らかに、特大魔術のものだった。

「(特大魔術の詠唱)」

『プリースト』は最後のあがきをしようというのだ。
『プリースト』の体が光の球体で包まれる。
するとその球体から、三百六十度全方向に聖属性を帯びた光線が次々と発射されていく。
周囲にいる客や店員はもちろんの事、ファミレスにいるマティアス、東雲七生、流布堂乱子、ヴァルトラウテにもその光線はとどく程の広範囲。
このままではファミレスは粉々になり、客や店員達も悲惨な目にあるかもしれない。
それどころか、周囲の建物や住民まで巻き込もうとしていた。

これが『プリースト』の最後の抵抗だった。
「キーシッシッシ!!
 みんな、死んでしまえばいいんですよねぇ!!」


ちなみに、英霊には霊化という特殊能力がある。
霊化すれば触れる事も見る事も感じる事もできなくなる。
だが一度霊化を解除すると、クールタイムを挟まなければ再使用できない。
そのクールタイムがもうすぐ終わりを告げようとしていた。

東雲七生 > 「ふ ざ け ん な」

突如現れ詠唱を始めたプリーストの姿に。
気だるげに店員たちの姿を眺めていた七生の額に青筋が浮かぶ。

手に持っているのは護身用のフォーク一本。
こんなもので今まさに自爆しようとする相手に対して効果的な対応が出来るのだろうか。

───出来る。

「てめぇ!! 一人で!!!」

握りしめたフォークを、おもむろに、思い切り。
  ・・・・・
──自分の首筋に突き立てて

「勝手に、おっ死ねぇぇぇぇぇ!!!!」

引き抜いたフォークが開けた4つの穴。
七生の血管を破ったそれらから止め処なく溢れ出す少年の髪と同色の液体。

“それ”は恰も自律して意志を持つように、蠢き、膨張し、増幅し、逆巻いて。

立ちどころに光の球体と化したプリーストを上塗りする様に囲む球体へと姿を変える。

「──自傷・自爆で、俺の上に来れると思うなよ!」

流布堂 乱子 > 光とともに消滅していく死体。
"一度"殺された。
"一つ"命を奪われた。
そう言っていたこの英霊が。
まさか此処で"終わってしまう"訳がない。

耳を澄まして目を凝らす。
"霊化"と呼ばれる特殊能力はこんな無駄な光を残しはしないと聞いている。
だから、『プリースト』はまだこの場にいる。
少なくとも追跡を振り切るために、まだ一手何かを仕掛けてくる――

裏口から、声が響いた。
一つは詠唱の声。
もう一つは、よく聞いたことのある少年の声。
「――――ッ!?」
振り返ったところで、彼我の距離は遠い。
翼のない毒龍にはどうしようもないほどに。
それでも、地を蹴って駈け出した。

マティアス > 「ッたく! ホント嫌らしい戦い方しますね貴方!」

プリーストの死体が消え去り__向こう側から聞こえた嫌な笑い声に、反射的に駆け出す。

『解析を実行__/解析、解析/変換し、無力化する!』

窓を飛び越え、店内を駆け、プリーストの元に最短距離で急行する。
そのまま手を外し、赤色の球体となったそれを投げつける。
ソレは血の球体をすり抜け、光る球体へと確かに届いた。

「奴の魔術を変換します__時間を稼いでください!」

赤色に込めた術式は『解析→変換→無力化』、術式を解析し、解析結果を元に術式を霧散させ無力化するもの。
しかし無力化には時間がかかる上、優れた術者には気づかれるかもしれない、それまで耐えられるかどうか__

ヴァルトラウテ > (ヴァルトラウテには人でいう油断、みたいなものはない
基本的に平時と戦闘時の区別がない

ゆえに……その魔術に対して踏み込むと、抜きざまにその光を「切る」
ファミレスを守る、という意識があるので、自身とファミレスに関して向かうものであれば可能な限り剣圧で斬って落とす
刀が特別なのか異能なのかは分からないが、なんにせよ魔術を斬って落とすというのは異様であり、
普通の行為ではないように思える

だがやはり、大勢は変わらない
ならばこれ以上は自身が動く場ではないと判断する)

……コレ以上、食事の場を汚さないでください

『プリースト』 > 『プリースト』のこの魔術は、魔力こそ多く使うが、自爆とはまた別のものである。
最も、魔力がほぼ枯渇するので、ある意味自爆という表現は正しいだろうか。
だからこその、最後のあがきだ。

東雲七生は、自分の首筋を刺す。
「自傷行為ですかぁ?
 私一人では逝きませんよぉ。
 よくもこの『プリースト』を二度も殺してくれたなあああああ!
 この場にいる人達全員死ねばいいんだよおおおおおお!
 くたばれええええ、このくそやろおおおおどもおおおおおお!!」
『プリースト』の表情が目まぐるしくかわり、冷静だったものが過激なものへと変貌を遂げる。
その口調も変化した。
これが『プリースト』の本性と言わんばかりだった。

七生から噴き出たのは紅き液体……つまり血。
それは『プリースト』の囲む球体へと姿を変えた。
だが、『プリースト』を覆う血の球体はある程度光線を防いだものの、まだ完全には収まっていない模様。
このままでは容赦なく、一般人や建物を貫く!

流布堂乱子は『プリースト』の詠唱中に駆け付ける事に間に合う事だろう。

マティアスは最短距離で急行。
赤色の球体が七生の血をすり抜けて、『プリースト』を囲う光の球体にとどいた。
だがこれはそこらにあるちっぽけな魔術ではない。
実質的に『プリースト』最大級の規模を誇る特大魔術。
当然ながら、術式を解析するのは容易ではないし、『プリースト』は解析されている事に気付けない程の術者ではない。

それぞれの抵抗により光線の勢いはかなり低下していると言える。
だが着実に、広範囲に渡る複数の光線の第一射が発射された。
しかし、二射目を発射するのには時間がかかるか、あるいは不可能かもしれないといった状況。

ヴァルトラウテは『プリースト』を包む光を切ろうとする。
だが、妨害するのは七生の血であった。

ヴァルトラウテ > (ヴァルトラウテが切るのは漏れだした分だけである
故に根本的解決には至らない、あくまでもフォロー
主に対処するのは中心にいる人達になるだろう)

……こちらはなんとかします
そちらは任せます

東雲七生 > 「てめえ、一人だって……言ってんだろ!!」

血液操作。
七生の持つ唯一の特殊能力。
自分の体外に出た血液を操作し、変成させられる、それだけの能力。
代償は自身の負傷と失血。零れた血液を体内に戻すことは出来ない。

──たったそれだけの、とても不便で、この上なく便利な異能。

「──この期に及んで何てザマだよ。
 少し自分の姿を見てみたらどうだ。ひっどい顔してるぜ。

 ……あ?鏡が無い?

 しゃあねえなあ。」

軽口を叩きながらも、その首筋からは体液が溢れ出で、
プリーストを囲う球体の一部と成っていく。

──変成後の強度はその血液量が多ければ多いほどより強固に。

漏れ出た光が七生の顔の頬を掠めて背後の壁に突き刺さる。
溜息を一つ零して、“普通”と変わらない黒い双眸でその球体を一瞥。
それを合図に、球体となった血液はその動きを停める。

球体の内側は一部の隙も無く、鏡面へと変成した。

──乱射される光を 全て 球の内側へと向ける為に。

マティアス > (やはり簡単には崩せませんかッ……)

術式の一端に触れただけでも判る複雑さと膨大な量、これを解析するのは一筋縄ではいかない。
時間を掛ければ間違いなく気づかれる、それではあの球体を潰せない。

(__腹を括るしか無いようですね)

全てを救うには__覚悟を決めるしかない。

「風紀委員さん! ”この体”を何がなんでも死守してくださいッ!」

後からやって来た流布堂にそう叫び、腕を変形させる。
変形し伸びた腕は血の球体に接続し__内部の細胞と接続し、術式を変形。
魔力を奪う、吸血鬼の術式へとアップデートされる。
そしてプリーストから魔力を吸う準備を終えると__マティアスは力なく倒れる。

奴の聖なる力を帯びた魔力を吸うのだ、毒を飲むのと同じようなことだ。
このままでは魂に影響が出るので、近場に撒いた”残機”へと魂を移したのだ。
魔力を吸うこと自体は裏口に置いた肉体が自動で行うので、あとはこれさえ守ってくれればなんとかなる。
術式という機械から魔力というエンジンを横取りする行為、果たしてうまく行くか。

流布堂 乱子 > ファミレスの屋根を乗り越えて、裏手へと回ろうとしたところで乱子に光が突き刺さる。
とっさにつきだしたのは右手。既に開いていた穴の直径が広がり、
再び血液がこぼれ落ちる。

「……本当は、任されるのは私一人でなければいけないはずですからね」
後ろから届いた声で、右手の痛みなんて気にしている暇はない。

血液は力を持つ。
異能においても、魔術においてもそれは同じこと。
「使い慣れない能力でも、これだけ手本を見せてもらえば少しは賢く扱えます……ッ」
右手から流れ落ちる血液の勢いが増していく。
ジャケットを脱ぎ、ブラウスをまくって露わにした右腕に呪毒を持つ血液がおぞましい陣を描いていく。

「体って……そういうことですか!?」
腕をつなげたままマティアスが倒れる。
見たままで言えば、多分精神をあの球体の内側に飛ばしたように見える。
自衛手段を失った肉体まで、ファミレスの屋根から高く一飛び。
左手でその体を抱えて。

「……悪いんですけど、これを使うのも初めてですし、
そのうえこんな想定外の使い方をするのも初めてですからね。
悪く思わないでください」
輝かしい物、喜ばしい物、生きとし生けるもの全てへの呪い。それをとどめて防御に使うなんてことが果たして可能なのかどうか。
太陽へ手をかざすようにして、右手の呪殺陣をプリーストに向けた。

『プリースト』 > ヴァルトラウテは次々と光線を斬っていく。
民衆達はその間に逃げていく。
だが第一射目のみとは言え、光線の数はかなり多い。
それも三百六十度、全方向に発射されている。
周囲にはまだ、逃げ惑う民衆がいる。
さて、ヴァルトラウテはどうする……。

「うっせんだよおおおおお!
 私は邪神様に従いし『プリースト』おおぉ!
 邪神様が味方なんだ!
 てめぇらなんざ、粉砕できるんだよおおおお!
 私の顔なんぞ、今や知った事かあああ!」
もはやこれまでの冷静さが嘘みたいに叫ぶ。
追いこまれて、自棄になっているとも言える。
冷静さなど、今の『プリースト』にはなかった。

『プリースト』の光の球体を覆う血はさらに量を増やし、増強されていく。
東雲七生が首筋から、血を増量させたのだ。
そして球体の内部は鏡となった。そのため、球体の光は一斉に『プリースト』を襲う。
「うがあああああっ!
 目があああぁぁっ!! 目がああああぁぁぁっ!!
 うああああああああっ!」
『プリースト』はあまりの眩しさに目を抑える。

その鏡で『プリースト』の目は潰せた。
もはや失明は必須と言える。
それでも、光線は止まろうとしない。
反射できたのは『光』で、球体から出る『光線』ではなかった。
勢いこそ、さらに弱まったが、光線は七生の血を少しずつ突きぬけて表に出る。
もちろん尽き抜けられない光線もあり、それらは七生の血の中で消滅する。
だが表に出た光線も以前多い。

マティアスが『プリースト』の魔力を吸い始める。
「ぐおおおおおっ!」
魔力は少しずつ『プリースト』から出ていく。
それにより、さらに光線の量や威力が弱まっていく。
それにより光の球体も、少し小さくなった。

流布堂乱子の呪殺陣が『プリースト』へと向けられる。
呪殺陣が発動しようとしていた。

ヴァルトラウテ > (全方向で被害を出さない、というのであれば落とすしかない
別にファミレス以外は見捨てても構わないのだが、此処は風紀の目の前である
それにこちらはなんとかする、といった手前、導き手としてはするべきである

空間を捻じ曲げ、ひとつところに居ながらにして複数箇所に刃をどどかせる変形の鶴翼の型を用いて
漏れでた光のすべてを斬って落とす)

仕方ありません……鶴翼の外法、さざれ雪
言った以上、することはします。
ヴァルにはそれができるはずですから

(自身を信じて疑わない、よいことでもあり、盲目でもある)

東雲七生 > 「……んむ。」

鏡面への変成が済んだ所で傷口を手で押さえる。
毛先から殆ど黒色へと変色してしまった髪を気にする余裕も無く、息も荒く視線も定まらない。
少し血を出し過ぎたか、と内心で舌打ちするも出してしまった血液は戻せないのだ。

「……せめて、光線だけでも何とか……しないと……。」

もはや自分のもとに飛んでくる光線を避けるので精一杯である。
時間稼ぎとしてはそれなりに機能は出来た筈、とあとは他に任せて倒れてしまいたいところを意地だけで立っている状態だ。

「……つまり、誰かあれ早いとこ何とかしてくれ。」

汗の浮かぶ蒼白な顔で、絞り出す様に呟いた傍から、光線は斬り落とされていく。
となると残るところはプリースト本体のみと言ったところか。

マティアス > マティアスの肉体は順調に魔力を吸い上げているが、やはり魔力が馴染まない。
精錬する前の無色の魔力なら完全に吸収しきれるが、こうして精錬された魔力を吸収するのは文字通り骨が折れる。

屍のような肉体に、赤いヒビが走る。
そのヒビに呼応するように__魔力の吸収スピードを増していく。

流布堂 乱子 > 「……っ!
任せて、いいんでしたよね……!」
プリーストの極大呪文の暴威を、ありとあらゆる方向へ向かう殺意を、
『邪神』とやらへの信仰の成果を、

呪殺陣が喰らっていく。
右手に描かれた陣が、おぞましくその描線を伸ばして光を絡めとっては消滅させる。
呪いと光の対消滅。そのたびに新たな血液が呪力を補充する。
幾つもの首を持つ龍のように呪いが光を喰らいつづけるけれども、
元は攻性の陣。長期間保たせられるものではないし、複数に向けるのも専門外だ。
どうしようもなくギリギリの範囲でマティアスを光条から守りながら、

「……どうしました男の子。
血液に関しては達人、なんじゃないんですか」
同じように青い顔をしているくせに、比べるようもないほどみみっちい範囲しか守れていない少女は、
それでも七生に軽口を叩いた。

『プリースト』 > 全方位攻撃。
広範囲に渡る複数の光線。
当然、多くの建物や人々が巻き込まれる。

だが、ヴァルトラウテは動かずして周囲の光線を斬っていく。
空間を捻じ曲げているのだ。
客や建物にとどく前に、光線は斬り伏せられていく。

そして、流布堂乱子もまた、右手に描かれた陣が、描線を伸ばして、光線を消滅させていく。
光線は跡かたもなく消滅していき、第一射目は終わりを告げる

元々、東雲七生やマティアスの妨害により光線の数も威力もかなり減少しているのだ。
第一射目の光線は、ヴァルと乱子の成果で、あまり周囲に被害を出さずに食い止める事ができた。

マティアスにより魔力を吸われた『プリースト』は、その場で倒れてしまう。
もうほとんどの魔力が枯渇して、光の球体も消滅した。
「ぐわあああああああっ!!」
さて、そうなると『プリースト』を囲んでいた七生の血はどうなるだろうか。

東雲七生 > 「ンの……こっちは肉体は完全に普通の人間だっつのに!」

軽口を叩く乱子に対し、舌打ちを隠しもせず。
大きく息を吐くと、最後のひと踏ん張りと自分で銘打って気合を入れ直す。

意識は球体の維持。そして中の把握に集中させていたが。
プリーストが倒れた気配を察し。

「ンのぉぉぉおおおおがッ!!」

再び傷口から糸の様に血液を伸ばし、球体に接続。
ブレそうになる意識を保つため、空いてる手で一発、自分の頬を叩いて。

──圧縮。

全集中力を動員して球体の圧縮を試みる。
七生の体内から抜け出た量を、さらに下回る大きさまで。
圧して、縮めて、潰して、封じ込める。

中からの抵抗が無いのなら、その球体はビー玉サイズまで圧縮されて。
床に落ちると同時に、七生の意識も途絶えるだろう。

流布堂 乱子 > 光が止む。
肌に感じていた魔力が、萎んで行くのを感じる。

「さすが……やるじゃない、です、か…」
最後まで球体を維持し続けた七生の姿を見届けて。
その最後の一仕事までは見ることが出来ずに。

流布堂乱子もまた、一足先に貧血で意識を失った。
しばらくすれば意識を取り戻して陣を消し、
店内の麻痺毒を解毒して完全にただの空気に戻すのだろうけれど、

ともかく今は。任せられたことを一つ成し遂げて。
くたりと、左手で抱えている店員姿の少年の上に倒れこんだ。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から流布堂 乱子さんが去りました。
ヴァルトラウテ > ……終わりましたか、お疲れ様です
ファミレス、酷いことになってしまいましたね

(興味はあくまでもファミレスである
そもそもこの地域はこういうことが起こらない場所なのではないだろうか
そういうことを含め、よろしくないことが起きているのかな、とは思う

基本的には関係がないことなのだが、いちおう注意事項として捉えておくべきかもしれない)

『プリースト』 > 目が潰され、魔力枯渇し、もはや今の『プリースト』に抵抗する力などない。
「おのれええええええええ!!
 ちくしょおおおおおおおおお!!!」
そのまま、東雲七生の血により『プリースト』は圧縮されていく。
抗う事などできない。
命のストックも、もうない。
後は、静かに成仏していくのみである。

「ああぁ~。
 邪神様ぁ。
 私、私……死んでしまうのですねぇ……。
 お助けください、邪神様ぁ。
 邪神様ぁ、こうい時に助けてくれるのが邪神様ですよねぇ?
 私はまだ殺戮し足りません。
 あなたの導き通り、私はこれまでやってきました。
 だからぁ、助けてください、邪神様ぁ!!」
しかし、邪神様には『プリースト』の声がとどかなかった。

「ああ、邪神様ぁ。
 邪神様、バンザーイ!!!!」

血の球体がビー玉サイズにまで圧縮されたというのなら、『プリースト』もまた、同じように圧縮したという事である。
つまり、そんな状態での生存はありえない。

まもなく『プリースト』は成仏する。
しかし、ビー球サイズに圧縮されてしまった『プリースト』が帰らぬ人となった事を確かめるぐらいの時間はある。

マティアス > 「……おわりました?」

プリーストが倒れ、止めを刺され。
静寂な裏口に突如聞こえた、舌ったらずな声。
そこにはマティアスを縮めたような姿の幼児がいた。
”こちら”に残した肉体の反応からプリーストの撃破を察知し、最初に店内にぶちまけた細胞を元に新たなガワを構成したのだ。
さすがに量が足りなかったので片腕が欠損しているが、動きに支障はない。
東雲とルフスが気絶しているが、生きているようなので問題無しだ。

「ついでにみせのなかもみましたけど、みんないきてましたよー」

みんなけがだらけでしたけど、とも付け足すが。
さっきまで使っていたガワに触れ、様子を見る。

「やっぱなかみズタズタになってますね……まあまりょくはちゃんとほぞんできてるしいいか」

使い物にならない程度にはズタズタに壊れているが、一応魔力はちゃんと内側に留めきれているようだ。

そんなこんなしているうちに、外から風紀委員と保健委員が使う車の特徴的なサイレンが聞こえてきた。
車が到着すれば、「おそいですよー」なんて言いながら車に乗り、ファミレス跡を去るだろう。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からマティアスさんが去りました。
東雲七生 > プリーストが果たして本当に成仏したのか。
そんな事を確認するだけの余力は七生には無く。

ただ、確認するまでもないという確固たる自信のみがそこにあった。
血色のビー玉はただただその場に在り、気を失った黒髪の少年が次に目を覚ますのは。

──きっと、病院のベッドの上だろう。

その頃には髪も瞳も、また元の紅に戻っているはずだ。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から東雲七生さんが去りました。
ヴァルトラウテ > ……必要なことは出来たようですね、それは僥倖です
(無事だと聞けば優しい笑み。だがそれは誰かに向けたものではなく、己への賞賛

……そして。

中心にいたものが倒れ伏し、また力を失い、誰も気に留めないままであればそれは
貰ってもいいはずだ

そのビー玉をそっと手の内に、空間でくるんで仕舞う
先ほどの様子を考えれば、念のため直接触れないほうがいいだろう
父様のところに持って帰れば、喜んでくれるかもしれない)

……さて、では私も
次はファミレスに入れるといいのですが

(そして、少女もその場を後にした
プリーストだったものはそのまま行方知れずである)

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からヴァルトラウテさんが去りました。
『プリースト』 > ちなみに──
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
邪神様は実在する……。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から『プリースト』さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に白鷲奈倉さんが現れました。
白鷲奈倉 > 学生街で戦闘があったと昨晩委員会街で風紀委員が対処にあたる、なんて話を聞いていた。
あくまで公安委員の彼は大して関係自体はなかった、と思われるものの。
雑務が中心の彼は後処理を手伝うようにと駆り出されていた。

「……、いやー、ここのパフェ。
 中々好きなんスけど難儀なもんスよねー。いやはや」

困ったように眉を下げながら大荒れだったであろう店内をゆっくりと進む。
内装は咄嗟に収集の掛けられた風紀委員と生活委員が復旧作業に当たっていた様子で、
そこまで大して酷い惨状という訳ではなかった。
自分の異能を有効活用しようと生活委員に属する人間がいる、というのも小耳に挟んでいた。

「いやー、それにしても学生でここまで復旧できるって中々。
 憧れるッスよねー。異能で災害救助、みたいなもんスよね、コレ」

度重なる襲撃で慣れた様子の風紀委員の少女が的確に指示を出していく。
この調子であればもう今日の晩には営業を再開できることであろう。

白鷲奈倉 > 「あ、スイマセン店員さん。
 えーっと、この度はご愁傷さまです、と申しますか。
 無事でよかったス。で、俺公安委員会の白鷺奈倉ってんスけど、えーと」

左手に巻いた公安委員会所属であることを示す腕章をちょいちょいと引っ張る。
軽薄な笑顔を浮かべながら頭を小さく下げる。

「あの、昨日の戦闘で異能や魔術が関わった、って報告が上がっていて。
 それで上から監視カメラの映像を借りてこい、って言われたんスよね。
 ほら、あれッスよ。危険な異能を持つ生徒の監視、だとか事前に異能犯罪を防ぐ、とか。
 いやいや、そんなに大した話じゃないんスよ。ただ、犯罪って未然に防がないといけないッスし」

慌ただしく両手を広げて大振りなジェスチャー。
怪訝そうな顔で少年を見遣る店員の少女の目はどこか鋭いものがある。
困ったようにたはは、と笑いながらまた言葉を紡ぐ。

「えっと。戦闘目的で異能使うのって実習除いて禁止なんスよ。
 校則。聞いたことないッスかね。あ、ない。ハイ。スイマセン。
 一応ダメって言われてるみたいで、その禁止事項に抵触してしまった生徒の監視に必要、でして」

言葉が下手な自分を恨みながらも、半笑いのような表情を浮かべて笑う。
笑ってはいそうですか、と大人しく渡してもらえればいいのだろうがこの場において彼は軽薄すぎた。
そういう性格だったのだが如何せんこのシリアスな場にそぐわなかった。

白鷲奈倉 > 「あ、いいんスか。スイマセン。
 一応USB持ってきてるんでこれにコピーしてもらえたら助かるッス。
 ところで店員さんて彼氏───なんでもないス、よろしくお願いするッスよ」

はあ、と吐き出す溜息と共にボックス席に座る。
割と大規模な戦闘だったのかな、と思いつつちらちらと辺りを見回す。
復旧作業に従事しているのは主に生活委員の面々と風紀委員の面々。
中にちらほらと知った顔があるのを見れば座っている彼に冷たい視線が刺さる。
ぐるりと首を元の位置に戻す。

(見てないからわかんないスけど。なあんでこんなことするんスかねえ……。
 安全っていうのは信頼してもらわないといけない訳、だと思うんスけど)

そんな胸中での独り言は口には出さない。
ただへらへらとした昼行燈のような表情を浮かべて店員が戻るのを待つ。
手に取ったメニューは秋物に変わっていた。
以前来たのは何時だっただろうか。湯気の上がる鍋物の紹介だった。

白鷲奈倉 > 「……あ、ハイ。白鷺ス」

自分の座った席の真後ろから声が掛けられる。
武骨なスキンヘッドのおっさんだった。胸元にはマネージャーの文字。
身長160cm台後半の彼に対して遥かに上から振る声。
明らかにお前それヤクザじゃねーの、と言っても問題なさそうな姿にびくりと身体を震わせる。
小動物を彷彿とさせるそれにマネージャーは笑った。

「あ、えっと、確かに受け取ったッスよ。
 店長さんにもよろしくお伝えくださいッス。
 今後は出来るだけこういうのを俺らのほうで未然に防げるようにしたいんスけど、ええ。
 どうにも公安は事前と事後にしか動けなくて。ていうか俺は動けないんスよね。スイマセン。
 風紀委員さんのほうも頑張ってくれてると思うんで、次はない……ッス。多分スけど。
 それじゃあ失礼する、ス。スイマセン」

ぺこりと小さく頭を下げた。
受け取ったUSBを大事そうに鞄の中に仕舞いこんで、ゆっくりと立ち上がる。
身長を盛るためのシークレットブーツが実に重い音を鳴らした。
店の中も何事もなかったかのように復旧は進む。思った以上に速く片付きそうだ。

「じゃ」

委員会所属生徒たちの奮闘は、今日も続く。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から白鷲奈倉さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > 先日、学校を終えてさてバイトだと列車に乗ったところ、店長からメールが入りバイトが休みになった

何やら慌てているようだったので首を傾げつつも連絡内容に従ったのだが

「…どこのどいつだ、こんなところで暴れたの…」

がっくりと肩を落とす
営業できない、というほどではないものの、レストランの一角は封鎖されている

そりゃあお客さんからも文句なりなんだりが出るわけである

雪城 氷架 > 当然客足も悪く、仕事が少ない
バックヤードに引っ込んでいても余計にやることがないので、
とりあえず定期的にテーブルを拭き掃除したり、普段は煩雑時には絶対的ない床の掃き掃除をしたりする

「…最近は平和になったもんだと思ってたんだけどな」

落第街はともかく、学生街や居住区なんかでの事件は減ったものだった
自分も巻き込まれた炎の巨人事件なんかがあった頃は至る所で事件が頻発していたものだけど

また、なにか大きなことが起きるのかなと不安になる

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に流布堂 乱子さんが現れました。
雪城 氷架 > 「てんちょー、今日これお客さん来んの?」

溜息をつきつつ、突っ立てた箒の絵に手を乗せてそこに顎を置く怠惰のポーズ

誰もお客がいないだけあってフロアからよく声が通る
まぁまぁそう言わずに、と苦笑しながら応える店長の姿が見える

部下の手前とはいえよく笑えるものである
本当は一番泣きたいだろうに

これがサービス業の精神力ということか

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > ふぁ、とあくびをしつつ、珍しくファミレスに顔を出す。
昨日ここで騒動があったと聞いた。ので、今日は空いてるだろうから今日は料理サボるかな……なんていう、変に打算的な理由である。

「ま、悪くはないしな、ここも」

外の下手なレストランよりは美味いのだ。ファミレスでこのクオリティは奇蹟なのでは……と思うレベルである。

流布堂 乱子 > 「……こうもお客が居らっしゃらないのでは、労働奉仕の甲斐もない、という気分になりますけれど」
遅番のシフトに組み込まれていた臨時要員であり、
それなりに働けるのか、フロアとキッチンの休憩時間を回して各パートに自然と入り込んでいる、茶髪の少女の姿をした生物。

今はフロアで時たま天井を見つめている。
制止のためとはいえレストランで薬物を使った反省として、昼の修繕作業から引き続き店の手伝いに回されている以上、
天井のくぼみにまだガスが残っていました、となれば明日もあさっても顔を出すハメになるからだ。
その辺の事情はとっくにスタッフ中に知られていて、反応はそれぞれ異なる。
責めるものも居れば、暇になったことを喜ぶものも居るだろうし。
どうせ一日しか居ないならとほうっておくものも居るわけで。

「いらっしゃいませ」
と、あくびをしながら訪れた青年に向かって静かに頭を下げた。
特に一番近くに居るわけでもないが、フロアで手が空いていれば声を出す。これ鉄則である。

雪城 氷架 > 「っと、あ」
入店を知らせるベルが鳴れば慌てて箒をレジの裏側にシュート

営業スマイルモード起動

「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」

ばっちりした営業スマイルは今日も決まっているはずだ
……でも何か知ってる顔だった

霜月 零 > 「どーも、大変だったみたいだな」

一人飯となれば多少なりとも寂しいというかむなしさもあるもので、声を掛けられればついでにに世間話の一つでも振ってみる。
そんなことをしつつ、ちらっともう一つ飛んできた声に反応……あれ?

「……そういや、ここでバイトしてたっけか」

恋人だった。

雪城 氷架 > 「うおっ」
まさかの彼氏の来店に営業スマイルモードが揺らぐ
まだまだ修行が足りない

「あ、う、うん」
単純に制服の可愛さだけで選んだバイト先ではあったものの、なかなか続いているようで

「零こそ、珍しいんじゃないか…?」

空いてる席…といっても他にお客はいない。適当な席へと案内をする
本来なら知り合いだからといって営業姿勢を崩してはいけないのだが、
今は他にお客さんもいないしまぁいいだろう…というところである

流布堂 乱子 > 「それなりに。……とはいえ、起こった自体から考えれば被害は少ない方です。
居合わせた方々の勇敢な行動に感謝ですね」

労いの声にはそう答えて。
もう一度頭を下げて、氷架をちらりと横目で見てからそのままキッチンに引っ込んでいく。

店長の肩を叩く。
あの態度の変化はどういうことなんです?
ああそういう?
へぇ……はぁ……なるほど……
ふーん……ほほぅ……

段々とキッチンに居た数少ないスタッフたちが、
この物を知らない新人にどれだけ面白いネタが飛び込んできたかを解説し始める。
飢えた獣の前に、料理されるために飛び込んできたのは、一体どちらなのかを…

霜月 零 > 「ま、たまにはな……って、ほらほら顔、崩れてんぞ?」

少し意地悪く笑いながらイジってやる。たまにはこうやって主導権を握らねば、ヘタレの汚名は返上できない。
何か致命的に間違えてる気もするが。
とは言いつつ、制服姿の氷架は普段と違ってまた可愛い。ちょっと得したなー、とか思いつつ、もう一人の店員に対応する。

「へぇ、何があったんだ?なんか一悶着あった、くらいの情報しか聞いてねぇんだ」

ぶっちゃけそこまで興味がなかった、ともいう。興味を持つべきは妹の芙蓉であり、自分は一般学生だからだ。
とはいえ、単なる野次馬根性として、何があったか少し気になる、と言うのもある。
と言うか……こんな状態になって少ない方って、何があったんだ本当に。にわかに興味がわいてきてしまった。

雪城 氷架 > 「う」
私的されて慌てる氷架
しかしこう、彼氏の前だと営業スマイルをうまく作れない
仕方なし、練度が足りないのだ

「店で暴れたはた迷惑な異能者がいたみたいだ。
 詳しいトコは知らないけど」

ほんと迷惑なやつだよな、とぼやきつつ零のテーブルにおしぼりとコップ、ウォーターサーバーを置いてメニューを出す

「ご注文がお決まりになりましたらまたお呼びください」

にっこり営業スマイル、ちょっと固め

流布堂 乱子 > (どうします?意外と食いついてきてますよあの彼氏さん)
『此処は煽るべきよ、煽っていくべきだわ』
(いや、煽ると言われましても…あんな初々しいカップルにそのような残虐非道行為は…)
『アレでもう一月よ、此処で見るのは初めてだけどそんなことは関係ない』
(恨み骨髄すぎる…)
ひそひそと密談を交わすキッチン。

「いえ、ちょっとその……お客様が少し興奮されまして」
有り難いことにキッチンからでも声が届く。
今しばらくはここに籠城すべきという判断を固く決意して、
『ほれ行け!なう!』
『季節のおすすめデザートとかオススメしてこいって!』
『月見メニューもあるぞ!』
ガヤガヤと騒ぎ立てるキッチン勢に押し出されそうになるのを堪えている。

……というか。
町中に突然現れて『できるだけ残虐に人を殺そうとしていた』異能者の話なんか、
たとえ水際で食い止められたとしても話を広めるべきではない、と上からは伝えられている。

霜月 零 > 「物騒な話だな……つーか、使いどころってもんを弁えろって話だよな」

二人に対し、溜め息交じりに応える。
常日頃から帯刀している物騒極まる青年の言うセリフではないかもしれないが、零は零で抜くべき場面はそれなりに考えているのだ。
たまにこう、勢いで抜いてしまう事もあるが。あるが。

「おいおい、そんな無理な笑顔すんなよ。俺はいつも通りでいいって」

苦笑。氷架はどうにも作り笑いが下手なようだ。こんなことで大丈夫だろうか、とちょっと不安になる。
……もう一人は、何故出てこないのだろう?

雪城 氷架 > 「な、なかなか難しいんだぞ…」
特に、知人の前で自然な笑顔というのは。
見慣れられているだけにちょっとした違いを見ぬかれてしまい、
無理した笑顔に見えてしまうのだ

とりあえずメニューも出したし、注文待ちということで一旦キッチンのほうへ引っ込……もうとしたら
なんだかキッチンから妙なオーラを感じる。
持ち帰る注文もないしレジの釣り銭整理でもしておこう

流布堂 乱子 > 『いつもどおりの笑顔ですって……
氷架ちゃんのとろけるような笑顔があるから当店自慢のチーズインハンバーグはご所望でないらしいですわよ?』
『あの………………アレ(無理な笑い)が……いいんだ………………』
(しゃべるんですかこの人)
『ああ、もうこの時点で日頃の二倍は話してるね』
湧き上がるキッチン。ご注文が入らないかぎりは調理スタッフとてただの人の子、
知り合いのカップル事情に興味津々の学生達にすぎない。

「真っ当に社会が回る限り使う必要のない異能、なんてのも有るわけですからね。」
いまこうして、騒いでいる限りにおいては。
この店内の誰も異能なんて必要としていないのではなかろうか。
『憎しみで人が殺せたら……ッ』
……多分。

霜月 零 > 「はは、それもそうか」

言いながら、メニューを見る。
どれにしようか……店の腕を見るならオムレツなどがいいが、そんなことを考えず雑に選びたい。
当店自慢、チーズインハンバーグ……ああ、チーズを挟んだハンバーグか。
普段はクドくなりがちなのであまりやらないが、一度食べてみるのもいいかもしれない。
よし、これで行くか……と考えつつ呼び出しボタンぽちっ。


――……キッチンの方から変な気配を感じるのはなんでだろう。なんでだろう。

雪城 氷架 > 呼び出しベルを確認するとレジでの作業を切り上げて、伝票の束を片手に零のテーブルへと向かう

「ご注文、お伺いします」

ちなみにこの氷架
敬語とか謙譲語とかが死ぬほど苦手だったのだが、
それはバイトでの練習の成果とも言えるだろう
口をつくようにして自然に受け答えができるようになれば一人前である
もちろんスマイルに関しても

流布堂 乱子 > 『オーダー入るみたいです』
『よぉし、いいぞ…ここからは俺達のプレゼントコーナーだ…』
『年頃の男の子にはいいとこ見せる機会を上げないとね』
加速する不穏な空気。コックコートの面々が各々の立ち位置へと散っていく。
……まだオーダーは届いていない。

(……その、まさか料理を追加した上で代金を請求するとか)
『まさか!プレゼントだって言ったろう?
…ちょっと量が多くたって、彼女の前では……退けねえ。それが男さ』
(勝手に調理をはじめて何言ってるんだろうこの人達…)

キッチンからは既に慌ただしい様子が伝わってきている。

霜月 零 > 「ん、このチーズインハンバーグ、店自慢なんだろ?これ頼むわ。後ドリンクバイキング」

ぱぱ、と注文してしまう。
うーんこの彼女、丁寧語が実に似合わない。さくっ、さぱっと言いきってくれる方がなんとなくしっくりくるのは、そういう彼女をふれあってばかりだからだろうか。
……キッチンから既に調理っぽい音が聞こえるのは気のせいだと思おう。いや、他に人、いないよな……?

流布堂 乱子 > たまたま、店内には他の客の姿はない。
……もしかするとまかない飯なのかもしれない。夕飯どきだもの。

キッチンからは香ばしい匂いが漂ってきている。
当店ではセントラルキッチンなどという輸送力に恵まれた地域だけが享受できる仕組みは利用しておりませぬ…!

雪城 氷架 > 「チーズインハンバーグにドリンクバー、以上でよろしいでしょうか」
注文を復唱し、伝票へと書き込む

「では少々お待ち下さい」
スマイルスマイル
よし、やりきった

一礼して厨房へ移動して
「オーダーお願いしまーす」

そう言ってかたりと注文を書き込んだ伝票をクリップに挟む
ドリンクバー用のロンググラスを手に、再び零を席へと戻る

……なんかすでに調理がはじまっていたような…まかないだろうか

霜月 零 > ロンググラスを受け取りつつ、ぼそぼそと声をかけてみる。

「なぁ、なんかもう既に作り始めてないか?客、いないよな……?」

なんだろうか、と首をかしげる。流石に自分がチーズインハンバーグを注文するとはわからないはずだし、なんだか違うものを作ってる気もする。
なんだか嫌な予感を感じつつ、確認せずにはいられなかった。

雪城 氷架 > 「まかないじゃないかな…」
小声でそう返しつつ

「こちらドリンクバーのメニューになりまーす」
ペラッとしたメニューをテーブルに置く

しかしきょうのキッチンは妙な雰囲気だ
昨日あった事件のせいだろうか

流布堂 乱子 > 『『『『『『『オーダー入りました!』』』』』』』
復唱の声とともに料理が"出来上がる"。
何もかも間違った手順の最後に居るのは流布堂乱子。

『大丈夫?ちゃんと持てる?……と言うか鉄板熱くないの?』
「全く熱くないです。むしろ指二本ずつでプレートを持つにはこうでもしないと安定しませんので」
『はい、尻尾上げてー。渡したよー』
尻尾に巻かれた白のリボンはホコリひとつ付いていない。
配膳に利用する時に見栄えのいいようにとの配慮だが、まさか一人を相手にここまで使うことになるとは。
両手に4つ。尻尾に一つ。

ちょっとしたカンフー映画でもそこまではしない配膳体勢で、
体軸をぶらさずに平然と乱子は歩く。
「……お待たせ致しました。こちら、あちらの厨房の皆様からで」
テーブルの上に、掴まれていたプレートが置かれていく。
片手で二つ、
「旬の松茸づくしセット、松茸の土瓶蒸しと松茸のおひたし、松茸のお吸い物と松茸フライが載っております」
もう片手がテーブルの上にコンロと炭火焼きセットを載せる。
「此方松茸の炭火焼きセットです、松茸ご飯と一緒にご賞味くださいませ。」
最後に尻尾から手で受け取って、
「……最後に、こちら秋の味覚の栗づくしパフェと成っております。」

半歩下がって、深く頭を下げてから、
「ご注文のチーズインハンバーグ&ライスパンスープセットはもう少々お待ちくださいませ。」
歓声に沸くキッチンに戻っていった。

片手を掲げる乱子。キッチンでなんか鍋とか打ち鳴らす音が聞こえた。

霜月 零 > 「まかないか、そうだよな、多分……」

だというのに嫌な予感がするのはなんでだろう。
なんでだろう、なんでだろう……不安に駆られつつ、メニューに目を通す。
まあ、適当にウーロン茶でいいかな……なんてことを考えつつ、料理を待つことにした。
……と、え、なんか来た。

「あ、えっと、頼んでな、い……?」

厨房の皆様から、と言われても、出される理由がわからないしこんなに食べるのはちとしんどい。
困惑していると、なんか戻って行ってしまった。え、え、どうしろと?食うの?食べるのこれ?俺が?一人で?

雪城 氷架 > 「……!?」

一体何が起こっているのだろうか
どう考えても安いメニューじゃないっていうか
厨房からサービスって一体どういうことだ

「…あの、お客様が困惑してますけど」

厨房を覗き込んで声をかけてみる

流布堂 乱子 > 覗き込んだ厨房の入り口には、まだ先ほど配膳を行った乱子が立っていた。
声に反応してくるりと回頭すると、

「……配膳の手は足りていますから、接客に戻られて大丈夫ですよ。」
答えになってすらいなかった。
「……他のお客様が来た場合も私が向かいますから、接客に戻られて大丈夫ですよ」
言われたことをそのまましゃべるかのような平坦な口調。
厨房の奥では多分、チーズinハンバーグの調理がちゃんと行われている。

雪城 氷架 > 「いやそうじゃなくって!
 あんなこの店屈指の高級メニューをサービスってどういう、
 っていうかなんで!?」

というか支払いは一体どうするのだろうか

霜月 零 > 「…………………」

沈黙。え、これ食べていいの?寧ろ食べなくちゃだめなの?
珍しく、と言うわけでもないが、きょとん、とした顔をして目をうろうろと泳がせている。
まるで迷子になった子供のようなありさまだ。

「……ウーロン茶ウーロン茶」

現実逃避。ウーロン茶を取りに行く剣士がそこにいた。

流布堂 乱子 > 『彼氏の………(ところに行ってやりな、一緒に食べたっていいんだぜ、あれは)その分だ………』
『なぁに、この客足じゃ傷んじまうばかりだからさ。構いやしないって』
『氷架ちゃん……式には呼んでね。ブーケは絶対に貰うから』

乱子の後ろから好き勝手にしゃべるキッチンの面々。
ついでとばかりに乱子の手にチーズinハンバーグwithライス&パンfeaturingコーンスープの載ったお盆が手渡され、
乱子はそれを氷架に手渡した。
「……遅くなりました。オーダー分のハンバーグです。
どうぞ持って行ってください。
店の業務の方は此方に任せてもらって大丈夫ですから。」

兎にも角にも、厨房の方は悪気がある様子ではない。
この新人を除けばそれなりに付き合いがあるのだからわかるだろう。
『『『(わかってほしい)』』』

雪城 氷架 > 「……はぁ」
ハンバーグの大皿を受け取り、溜息
いやほんとバイト先である
だけどそこまで気を使われると…と考えのも無粋なのか
遠慮は時に無遠慮よりも相手を傷つける

「あ、ありがとう…ございます。ありがたく…」
少しだけ頬を赤く染めて俯き気味にそう言うと、厨房を後にする


「こちらご注文のチーズinハンバーグとセットメニューになります」

と、零のテーブルに丁寧にお皿を置き
そのまま対面の席へと腰掛けた。

「なんか私らのこと知ってる厨房の人が気効かせてくれたんだってさ。
 もう作っちゃったもんは仕方ないし、ありがたくいただこ」
そう言いつつ、自然な笑みをむける

霜月 零 > 「お、おう、これどうしたもんか……」

と、セットメニューを届けに来た氷架に相談しようとしたら、何やら座り始めた。
話を聞くと納得……なるほど、気を利かせてもらったのか。
立ち上がり、厨房に向かって一礼する。
その粋な計らいには応えなくては。それに、二人での食事は望むところだ。
ところで……

「じゃ、いただくか。
……足りるか?」

ちょっと意地悪く聞いてやる。彼女がかなりの健啖家なのは知っている、これ全てでも足りないかもしれない。

雪城 氷架 > 本当ならば業務中に制服でお客用のテーブルについて食事など許されない
ただただ、今日は他にお客もおらず、他のスタッフが味方をしてくれているから
そういう特別な状況だからできることでもある

「うん、いただこ。
 ………サラッと人を大食いキャラみたいに言うなよな」

ジト目
いや実際のところはそれも異能なのではというレベルで食べるのだけど

霜月 零 > 「いや、だってな?」

苦笑しつつ。だって本当によく食べるし。まあ、料理の腕の振るい甲斐があるという意味では好ましいのだけど。
言いながら、とりあえずハンバーグに手を付ける。ふむ、よく火が通っていておいしい。

「で……ちなみに、これいくら?」

無粋だとは思うけど。聞かずにはいられなかった、あまりに高いものをいただくのは色々と気が引ける。

雪城 氷架 > 「ハンバーグは1200円」
セットメニュー込み、このボリュームならまぁ…良心的といえるだろう、が

もくもくと食べ始めたが秋の味覚フルコースについては言及しない

流布堂 乱子 > 『oh……あの微笑みが……ナルホドあの態度が……』
『でもボクとしてはさっきの『ありがとうございます』が良かったと思う。更衣室連れ込みたい』
『女子更衣室って怖ッ……』

一仕事終えたキッチンは相変わらずガヤガヤしている。
もうすっかり観戦モード。
部活動経験の長いスタッフたちの間に連綿と受け継がれた技術は、
たとえ客席を注視していてもそれとは気づかせない。
(……横にずらっと並んで、みんな食い入る様に見てる感じなのですけれど。)

「お支払いの方は構いません。企みのほどは聞かせていただきましたけれど……
そんなに上手くいくものでしょうか?」
視線を、バックヤードからキッチンにやってきた店長へと向ける。
あいまいに首を振る様子を見れば、此方もため息をついて、客席のふたりの様子をうかがった。

【たまたまスタッフの彼氏が訪れたので、
他のスタッフ一同で高級メニューをお出しして二人の時間を作った。】
如何にも学園で流行りそうな噂は、果たしてこの店が被った風評を覆してくれるのだろうか。
また、噂は順調に素早く広まってくれるのだろうか。あの二人、周囲に漏らしそうにないような…
『大丈夫。松茸食いたいって言うやつを絶対に彼氏にする』
「……でしたら安心ですね。次回については私、居ませんでしょうけれど」
多分発案に関わっていたのだろうスタッフの一人の士気は高い。

「さて、と…それじゃもう少し頑張りましょうか。」
やるといった手前は、例え満席になろうとも
あのテーブルからドリンクバー以外の用事で氷架を立たせるつもりはない。
たとえ事件が有ろうと。
店が破壊されようと。
キッチンスタッフは、ここで働くことが学園生活の替えようがない部分で、
皆それを全力で楽しんでいる。
一日くらいは、それに加わって見るのも悪く無いと乱子は思っていた。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から流布堂 乱子さんが去りました。
霜月 零 > 「いや、気になるのはフルコースの方でな……?」

言いつつももさもさと食べていく。あ、おいしい。味付けも非常にいい。クオリティ高いなこれ。
これほどのクオリティはちょっとお目にかかれないレベル。本当にいただいていいのだろうか。だが、過剰な遠慮は無粋だろうか。
ちら、と氷架の方を見やる。

雪城 氷架 > 「…ま、支払いは気にしなくていいってさ」
炙った松茸を口に運ぶ
このなんとも言えない風味

店が暇だったとはいえ、スタッフ1名とのその彼氏のためにここまでしてくれる。
アルバイトとはいえ、ちゃんとした仲間なのだということを再認識させられてしまった

「零も唸らせるぐらいかな?
 此処にいるとまかないのレベルも高いから舌が肥えちゃうよ」

霜月 零 > 「まあ、素直に受け取っとくべきだよな」

松茸が美味い。これは品質自体もなかなかの使ってるな……?
うん、うん、と頷きながら口に運んでいく。

「こりゃあ見事なもんだぜ、ちょっと驚いた。
……いいとこで働いてんだな、氷架」

にこ、と優しい笑みを浮かべる。
いい料理を出す、いいメンバーのいる店。
こんな店はそうそうない、多少のことがあっても安心できる。
後、ちょっと通う回数増やそう、なんて考えつつ、笑顔でぱくぱくと口に運んでいく。

雪城 氷架 > 「最初は制服がカワイイからってだけで選んだバイト先だけど、
 なんやかんやでうまくやれてるよ」

勿論生まれて初めてのアルバイトということで色々苦労もあるのだが
今のところは達成感や楽しさといった良い要素が勝っている
割と理想的な初体験だと言えるだろう

「私もうすぐあがりだけど、零もゆっくりしてくなら一緒に帰ろうか」

味の良さも手伝い、二人ということも在り
何より氷架が食べているということもあってテーブルの上のお皿はスピーディに綺麗になっていく

霜月 零 > 「はは、理由がらしいっつーかなんつーか」

くつくつと笑う。制服が可愛い、か。確かに可愛らしいが、他の条件よりそれで選ぶっていうのが、良くも悪くも思い切りがいいというか。
それでもいいバイト先として楽しくやれているのなら、本当に喜ばしい事だろう。この子は結構運もいいようだ。

「ん、そんなら一緒に帰るか。久々に部屋に来るか?なんてな」

気分が乗ってそんなことを口にする。
ご飯が美味しい、対面には可愛い彼女。こんな状態では気分も高揚してしまって当然だろう。

雪城 氷架 > 「まーたやらしいこと考えてるな、すけべ」
にやにや顔で見つめてやろう

さて、食器も綺麗になったところで、立ち上がる
カチャカチャと手慣れた様子でお皿を重ねていき───

「女子寮厳しいからあんまり頻繁には泊まれないんだからー?
 …と、それじゃ色々済ませてくるから、のんびりしててくれればいいよ」

そう言ってうまくバランスをとりつつお皿を厨房へと運ぶ
厨房はまた賑やかになることだろうが、上手いこと躱し々し終業の支度をするのだろう

そしたら彼氏と共に語らいながら帰路を歩く時間
常世の学園生活は平和ばかりとは言えないものの、幸福を感じる時間も場所もちゃんとあるものだ───

霜月 零 > 「はは、冗談だよ」

苦笑しつつ、ちょっと残念そうにする。顔には出さないが。

「そんじゃ、のんびり待たせてもらうよ。悪いな」

言いながらのんびり待って、そのまま合流して、帰っていく。
色々あるところだが、間違いなくこの瞬間は、幸福だ……。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から霜月 零さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から雪城 氷架さんが去りました。