2015/07/07 のログ
枢木 柩 > 「ふむ、そういえばそうか、皆ここ以外の何処かに住んでいたんだな。」

狐がしゃべる。シュールである。あまり細かく聞くのもなんだな、と思い直し

「…んーと、しじまは…この島に来る前、幸せだったか?」

青と金の瞳で見つめて。

四十万 静歌 > 「――そうですね。」

思い返す。

「私の事を知って、
 私の為に力になってくれた皆がいる。
 それだけで――幸せだったとおもいます。」

それ以上望む事はない、とも。

「こっちに来てからも幸せですけどね。」

枢木 柩 > 「ん、そっか。それは…何よりだ。」

ふふ、と目を細める。

「じゃあ、しじまは何か、やりたいことがあってここに来たんだな。」

いいな、人間は、やっぱり、と。眩しいような、少し遠い目をして。

四十万 静歌 > 「……いえ、実はやりたい事はないですよ。」

首を、ふる。

「だから、探しに来たんでしょうね。
 だから――焦がれたんでしょうね。
 普通とは違うここには何かあるのかもしれない。と。」

少し寂しげな様子は、心の空虚さの現われかもしれない。

枢木 柩 > 「…それでも、何かを求めてることに変わりはないさ。」

柩にとって、いや、多くの動物にとって、
毎日を生きるうちに死ぬことが当たり前だ。

でも人間はそうじゃない。
生きるだけでなく、何かを求め、為そうとする。

それだけで、もう十分すごいじゃないか。

やはり眩しそうに、枢木は語る。

「まだ、現状に満足してないのでしょう?手品よりすごい非日常を探しに来たってわけだ。」

尻尾を揺らして。

「私は人間じゃあ無いから、人間みたいにうまく人間を助けられないかもしれないが。」

――うまく伝えられないかもしれないが。それでも助けたい。

「ううん、なんて言えばいいんだ…。少なくとも私は、手品は普通とは違う何かだったし、凄いと思った。たのしかったぞ。」

「だから、ええと、私も非日常を探す手助け…そう、手助けがしたい。別に連れて行けとかそういうわけじゃないんだ。」

――ううん、これはわがままだ。

「私も、人間みたいに…。人間と助けあって、私はこういう生き方をしたんだって、そう言って死にたいんだ。」

枢木 柩 > 「…だから、私に見せてくれよ、四十万静歌はこうやって生きたって。

ううーっ、要するに、ええと、やりたいこと、見つけて、やろう!」

要約するとこれだけである。

「そしてぜひ、そのうち!私はどうせ長生きするし!語って聞かせてくれ!」

四十万 静歌 > 「……」

静かに目を閉じて聞く。

「――いいえ、
 私よりも柩さんの方が凄いですよ。」

静かに、笑う。

「ええ、凄いです。
 私の事こんなにも褒めてくれて、
 私の事をこんなにも励ましてくれて――」

本当に、凄い。
人間みたいにだなんていうけれども――

「柩さんの方が、きっと私より――
 人間、なんだと思いますよ。
 だって、私以上に確固たる何かを求めて、
 こうして必死で掴もうとして、
 その上で他の人にも手を差し伸べる――」

そう、と一つ頷いて。

四十万 静歌 > 「――隠し事ばかり、
 何も見出せない私とは違う。」

こうやっていきた。
私にしか出来ない事。
確かにあるのかもしれない。でも――

「――私は」

そう。私は。

「“私は私を許せない。”」

静かに。
一切の違和感を感じさせずに、そういいきった。

枢木 柩 > 「しじまが、自分を許せない…?」

小首を傾げてその目を見据え、おうむがえし。

「で、でも、隠し事なんて誰にでもあるじゃないか、まだ人生これからだし、いろいろ見つけていけばいい。」

許せない理由がそこにあると考えて、気にすること無いぞ、と

四十万 静歌 > 「ええ。分かっているんです。
 分かっているんですよ。
 ――でも、許せないんです。
 私が隠している事は、ほんの些細な事です。
 それこそ、言ってしまえばいい些細な事。
 でも……」

首を振る

「――それで、
 何か大きく運命が悪い方向へと変わるかもしれない。
 それでも、聞く気はありますか?」

なんて、儚く笑っていうだろう。
嘘、かもしれないし、本当かもしれない。

枢木 柩 > その表情を見つめ、コクリと頷く。

嘘だろうが本当だろうが関係はない。

四十万は友達だ。

許せない、なんて言ってないで、元気に笑っていて欲しい。

「…私はどこまで行っても人間じゃないからな、へっちゃらだよ。」

人…四十万の運命も、人間にはどうすることも出来ないかもしれないが、私が『人』の外側から変えてやろうじゃないか。

なんて強がって言ってみたりもする。

四十万 静歌 > 「凄いですね。
 まぁ、本当に些細な話なんですよ?
 ――」

静かに耳元で何事かを囁く。

内容は聞き取る事は出来ないだろう。

囁かれた本人以外へは。

枢木 柩 > ――尻尾を揺らし、耳を吐息に揺らしながらそれを聞く。
四十万 静歌 > 「――まぁ、それだけの話なんですよ。」

淡く、微笑むだろう。

枢木 柩 > 「…ん。話してくれてありがとう。」

ぱた。と尻尾を一度揺らして。

「やっぱり狐には関係のないことだったな、相変わらず、四十万は友達だし、私は四十万の味方だよ。」

まっすぐ見つめて――微笑むことは狐なので難しいが――ほんとだぞ、と念押し。

四十万 静歌 > 「――ありがとうございます。
 まぁ、些細な話。
 でもありますから。」

でも、内緒ですよ、
と人差し指を口の前までもってきてウィンク。

枢木 柩 > 「うん。内緒な。

…前々から言おうと思ってたけど、四十万ウインク上手いよな。」

可愛いぞ、それ、と、口をうあーっと大きく開けつつ。

四十万 静歌 > 「そうですか?
 あ、でも、顔の動きとか手品で使う事があるので、
 そのせいで鍛えられてるのかもしれませんね。」

等と一つ頷いてかわいいといわれてボンっと真っ赤になった。

「か、カワイクナイデスヨ。」

枢木 柩 > 「なるほどなぁ、努力の賜物か。

……顔色まで自由自在とは流石だな?」

くくく、と体を震わせ

四十万 静歌 > 「そうなんです、顔色も自由自在、
 なんてそんな事ありますか!
 そんなに自由自在ならポーカーフェイスで、
 かっこいい自分になりたいですよ!」

もう、もう、とぽかぽかと叩くふりを。

枢木 柩 > 「しじまはかわいいなぁ、ふははー。」

軽く触れればもふ、もふ、と。

「かっこ良くなるには…十年かな…。」

尻尾を揺らし、悪戯ぽく見つめる。

四十万 静歌 > 「とおい、とおいですー!
 もー!」

しくしくとしようとするけど、もふもふが気持ち良い。

「うう。かっこよくなりたいです。
 ほんと。」

なんか憧れるんですよね。と。

枢木 柩 > 「ううん、人間のかっこいいは意味が広いからな…見た目か、言動か、生き様か…とか。どれかクリアすればいいんじゃないか?手品でかっこ良く整形するか?」

もふられつつ耳を揺らす。どうやら手品は万能扱いらしい。

四十万 静歌 > 「言動とか生き様で示したいですね。
 見た目に関しては――
 今のままで良いですよ。」

やはり、目立ちたくないという気持ちが強いのだろう。
まぁ、柩さんには既に素顔がみられてるわけだが。

枢木 柩 > 「ふむ、割と美人だしいけるとおもうんだけどなぁ、そかそか」

言動、生き様はこれから楽しみだな、と尻尾をふる。

「…私はあれだな…かっこいいとかいう以前の問題かもしれんな…」

四十万 静歌 > 「普通ですよ、普通。
 人の時はかっこよくて、
 狐の時は凄く可愛いなんて最強じゃないですか。」

真っ赤になって美人を否定しつつ
何いってるんですか?みたいな感じに首をかしげた

枢木 柩 > 「やっぱ可愛い系だなぁ…い、いや私は全然だから。論外、論外だ。狐の中でも変なやつだったし、人間の時も変に目立つし。」

首をぶんぶん振って否定。

「男子生徒が、女の適正身長は150くらいって言ってたし。愛想がいいほうがいいって言ってたし。…恵まれた体型が望ましいとも言ってたし。」

…コゼット先生みたいに。とつぶやく。自分で言ってて貧相さが悲しくなって来たようだ。

四十万 静歌 > 「えっと、変に目立つのは、
 すらっとしててカッコいいとか、
 耳や尻尾さわりたいって思われてるだけだとおもいますよ」

おずおずと。

「なんていうか、その、人によって理想も違いますし。」

なお、そんな事をいってる彼女は……いや、よそう。

枢木 柩 > 「…女生徒にはよく言われる。お世辞だと思ってた。」

ちょっと顔を上げる。

「そ、そうなのか…男子生徒の集団があほなだけ…?」

四十万 静歌 > 「お世辞じゃないですよ」

ぱたぱたと手を振って否定のジェスチャー。

「なんていうか、
 そうですね。
 アホっていうか単純な所ありますよね。
 いえ、だからかっこよくもあるんですけどね。
 男の人って。」

なんて、笑うだろう

枢木 柩 > 「そっか…ちょっと元気でるな…。」

「行動力はあるよな。」

くくく、と笑って

「さて、そろそろいい時間だな、お互い寝ないと…明日も学校だし。」

四十万 静歌 > 「そうですね。
 おやすみなさい柩さん。
 良い夜を。」

にっこり笑って、一礼して。

「――本当に、本当にありがとうございました。」

枢木 柩 > 「うん、おやすみ、四十万。」

こん、と一声鳴いて

「ふふ、また明日な?」

そう言って踵を返し、自室へ。

四十万 静歌 > 「はい。」

にっこり笑って
また明日、どこかではあえるだろう、
と静かにこちらも自分の部屋にかえるのだった。

ご案内:「ロビー」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「ロビー」から枢木 柩さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「そういえば今日は七夕かー……」

ロビーに朝方にはない笹を見つけて、立ち止まる。
管理人に類する人が置いたのか、それとも酔狂な寮の住人の誰かが置いたのか。

何はともあれ笹と、短冊のつもりらしい小さな紙が出入口に近しい場所に飾られていた。

谷蜂 檻葉 > 天気はさほど良くはないが、
旧来の”空”よりは遥かに透き通った夜天には、天の川が映し出されているだろうか。


「………。」


短冊を手にとると談話用のソファに戻り、胸元のペンを手に何を書こうか思案する。

視線を笹に移すと、少ないが確かに短冊が掛かっている。

谷蜂 檻葉 > 「テストの点数……は、ちょっと俗っぽすぎるしなぁ……。」

そういえば。
占星術の類は学ばなかったが七夕の短冊の願い事は今も有用とされるのだろうか。

「彼氏……うーん……」

ふと思いついた願い事を悩む前に書いてしまえとキャップを取るが、
あやかろうにも、遠距離恋愛の二人をあやかってもあまりよい結果にはならなそうだし。

と、やはり書き損じる。

谷蜂 檻葉 > 人のを見て書くのもどうかと思うし。
しかし、それにしても思いつかない。


「………うーん………。」


悩み無きことが悩みだと、全世界の不幸な人々を敵に回すような事を考えながら
ぼんやりとペンを回しながらソファで寛ぐ。

ご案内:「ロビー」に惨月 白露さんが現れました。
惨月 白露 > ソファーで悩む彼女の肩をとんとんと叩く。
そのまま手を肩に置くと、人差し指を立てた。
引っかかるとほっぺたがぷにっとなるアレである。

谷蜂 檻葉 > 「? ―――むぇ」

ぷにぃ。 と、けっこうがっつり頬肉に指が突き刺さる。
暫くその状態で白露と視線を合わせ、指をつかもうと手を伸ばす。

「……してやられた……こんばんわ」

数度顔を合わせた程度だが、名前と顔は知っている。
いたずらっ子とは、知らなかったが。

惨月 白露 > 指を掴まれてしまったのを困ったように笑いながら見る。

「―――こんばんは、檻葉ちゃん。
 ……何?この後、この指、折られちゃったりするのかな?」

何度か顔を合わせた彼女の名前を呼びつつ、
くすくすと笑って冗談を投げかける。

谷蜂 檻葉 > 「悪戯の代価くらいは払って貰おうかしら、白露さん?」
掴んだ指を少し引いて、もう片手の指で手の甲を つぅっ となぞる。

……指の通過点が、無性に。地味に。痒くなってくる……。


異能――かゆみ成分を僅かばかりに塗って気晴らしをすると手を離してソファの肩口に頭をのせ、仰ぎ見るようにして白露に尋ねる。

「そういえば、アレ。誰が持ってきたか知ってる?」

指差すのは出入口の笹と短冊。

惨月 白露 > 「いやーん、檻葉ちゃんのいじわるー❤」
笑顔で手の甲をカリカリと爪の先で掻きながら、
指差された笹と短冊に視線を移す。

「……いや、知らないなー。
 まぁ、女の子は七夕とか好きだし、
 寮の誰かが持ってきたんじゃない?」

ソファーを回り込むように移動すると、彼女の横に座り、
机の上に置かれた短冊に視線を落とした。

「―――で、その笹に飾る短冊に何を書こうか悩んでるってわけね。」

谷蜂 檻葉 > 戯ける白露に肩をすくめて呆れを返す。


「全くもう。でも、そっかぁ。白露さんも知らないかー……笹なんて何処から持ってきたのかしらね」


白露の座りやすいように少し腰を落ち着き直して、改めて短冊に向き合う。

「ん、そうそう。 テストの結果をー、っていうのもアレだし。彼氏をー、とか考えたけどお願いする相手からして悲恋だし。 どうしよっかな。って」

惨月 白露 > 「植物園とかから盗んで来たとか?」

自身のほっぺたに指を当てて適当に答えつつ、
『「白露さん」じゃなくて「シロちゃん」って呼んでーって言ったじゃない』と笑う。

「んー。」

自分自身も短冊を一枚手に取ると、くるりとペンを回した。
『檻葉ちゃんの願い事が叶いませんように』とかくと、彼女に見せる。

「―――ほら、これで何を書いても安心。」

谷蜂 檻葉 > 「いやいや……流石にないでしょそれは……」

ここの住人たちなら誰ぞやりかねない、という事は考えないようにして。

シロちゃん呼びには『コッチのほうが好きなのよ、響きが。』と、自分の意志を通すことを主張した。

やっぱり世界平和とか無難な方が……と考えていると、横から差し出された短冊に視界を取られ

「―――ちょっ!そ、それは安心じゃなくて無意味っていうのよ!! っていうかそれ色々不吉だからやめてよねっ!!」

渡しなさいっ、と素早く手を伸ばす。

惨月 白露 > 「そう?ここに住んでる人ならやりかねないと思うけど。」

彼女の心を見透かすように瞳を細めてくすくすと笑いつつ
『なら仕方ないかー。』と返す。

「だってさ―――。」

彼女の伸ばされた手、その手首を掴むと、ぐいと引き寄せる。

「檻葉ちゃんが言った『テストの結果がよくなるように』とか、
 『恋人が欲しい』とか、どっちも私が叶えてあげれるし。」

口元に笑みを浮かべ、彼女に顔を寄せて囁く。
灰色の瞳が、彼女の瞳を覗き込んだ。

谷蜂 檻葉 > 「貴女も”やりかねない”の一人なんだからね」といった意味を含めたジト目で睨むが、檻葉のメンチビーム係数は微々たるものである。


ぐい、と引き寄せられる感覚に反射的に体を引く。
結果的に、少しのけぞるような姿勢で、白露の上目遣いが視線に絡む。

「………それは、どういう意味かしら。」

挑発的な視線で、返す。

惨月 白露 > 仰け反って体勢が崩れている彼女をそのままぐいとソファーに押し倒す。

「勉強なら私が教えてあげるし、恋人なら私がなってあげるって事。」

微笑を浮かべながら、彼女を見た。

谷蜂 檻葉 > とさり。 と、軽い音と共に押し倒される。

「生憎、この学校も2年目だし―――女と女じゃ非生産的だと思わない?」


悪戯も大概にしなさいよ。という視線。

―――その裏、”もう一歩”で彼女は何かを「やる」つもりだ。

惨月 白露 > はっと我にかえったように頭を振ると、
若干慌てたように瞳を伏せて、彼女から身を離す。

「冗談だよ、檻葉ちゃん。そんな本気にしないでよ。」

彼女の鼻をつんとつついて、
ふふっと笑ってソファーに座り直すと、
白露の頭上にある耳がぴょこんと揺れる。

「私が特別鼻がきくからかな。檻葉ちゃん、
 なんとなーく甘い匂いっていうか、
 そういう事がしたくなる感じの匂いがするんだよね。
 『恋人になってあげないと』って気がする感じの匂い。」

開いた窓から、笹を揺らして、
彼女のほうに向けて風が吹き抜けている。

「―――何か、変な事でもしてない?
 『自分の願いを叶えようとする異能』を使ってるとかさ。」

谷蜂 檻葉 > 「……本気にさせないように、相手を選びなさいよ」

行き遅れ候補生にそういうのはやめておきなさい。と、肩の調子をみながら起き上がる。


「甘い匂い……?」

それは、もう遥か昔の話。
白露がソレを理解しての事かは重要ではない。

『檻葉ちゃんって、なんだか甘い香りがするね!』

もう顔も思い出せない”ダレカ”。  ―――頭が痛い

声も思い出せない”ダレカ”。 ―――あたまがいたい

忘れようとして、忘れた ”ダレカ” ―――アタマガイタイ



「―――何か、変なことでもしてない?
 『自分の願いを叶えようとする異能』を使ってるとかさ。」


瞬間、視界に”ダレカ”が居た。

谷蜂 檻葉 > 「―――気のせい、じゃないかしら。 そんな異能があれば、素敵だと思うけれどね。」

声は、震えてないだろうか。
わずかにこみ上げた吐き気を抑えて、笑い飛ばした。

惨月 白露 > 「まぁ、気のせいならいいけど。」
彼女が言うままに、
望むままに『気のせい』という事にして、頬を掻く。

「大丈夫?……なんか顔色悪いみたいだけど。
 何か飲み物でも買ってこようか?」

心配そうにその顔を覗き込みながら、彼女に問いかける。

谷蜂 檻葉 > 「あ、ありがと……水が欲しいな。」

瞼の裏に張り付いた忘却の残滓を振り払うように頭を振る。

「その。 本当にするのかしら、甘い匂い。」

言いながら、短冊にペンを走らせていく。

惨月 白露 > 水と、自分の分の飲み物を自動販売機で買って戻ってくると、
彼女の前に水を置いて、すんすんと鼻をならした。

「……どうだろう、なんか知らないけどわからなくなったな。
 ―――やっぱり、何か心当たりでもあるの?」

そう言って首を傾げつつ、
ペンを走らせているのを見ると、くすっと笑う。

「願い事、決まったの?」

谷蜂 檻葉 > 「小さい時、同じようなこと言われたなー……ってね。」

ありがとね。と、懐から100円を出して机の上に置く。

明らかに別の理由が―――隠した「本当の心当たり」ではなさそうだが、彼女は言うつもりはないらしい。


「うん、これにする。」

キュ。と書き終えた短冊には 『今日と変わらないような日々が続きますように』と。

走り書きで少し崩れた、丸文字気味の一文。
これもまたありきたりな一文だったが、その筆跡は少し強く、彼女の意志が感じられた。

惨月 白露 >  
「……ふーん、まぁ、色々事情があるんだろうし、
 あんまり深くは聞かないけどさ。」

彼女のその内心を察してか察さずか、瞳を伏せてさらっと流し、
100円は『別にいいよ』と受け取らず、自分の飲み物に口をつける。

「あはは、ありきたりだけど、確かにいい願い事かもね。」

『賛成1票ー。』と言いながら自分の短冊に「右に同じ」と書く。
さっき書いた短冊は、飲み物を買いに行った時に捨てたらしい。

谷蜂 檻葉 > 「右に同じって、誰か別の人に右に割り込まれたらどうするつもりよ。」

ここまで話して解ったが、それもまたよしとするタイプ―――猫のように笑う彼と同類だと理解はしていたが一応ツッコむ。


「ま、”叶いませんように”よりか断然いいけどさ…… ええと、紐は置いてあるかな」

100円を回収すると立ち上がり、
笹の下の鉢植えにかけられるようにして置いてあった紐を見つけると、手際よく結びつけていく。

惨月 白露 > 「ぴったり横につけておけば平気平気。
 同じ願い事が多いほうが檻葉ちゃんの願い事が叶う確率があがるでしょ?」

そう言って笑いながら、
彼女の短冊の左にぴったりとつけて短冊を結びつける。

「これでよし。」

パンパンと手をはたくと、頷いて立ち上がった。

「ま、甘い匂いが気のせいだったのかどうだったのかはさておき、
 ああいう時にあんまり挑発的だと、本物の狼に食べられちゃうよ?」

そう言って悪戯っぽく笑うと、自分の飲み物をさらに一口煽る。

谷蜂 檻葉 > 「………。」

言葉にはしなかったが、少し照れくさそうに笑った。


「狼ねぇ。 今時の赤頭巾ちゃんは銃の一つでも持ってるものよ。
 ―――狼役ならもうちょっとしっかりと罠を張るべきね。」

そう言って、同じような表情で水を飲み下す。

惨月 白露 >  
「なかなか狼さんには生き辛い世の中になったーって事で。
 そりゃー、絶滅もするよねー。」

くすっと笑って肩を竦めると、
飲み終えたペットボトルをゴミ箱に捨てる。

「―――それじゃ、おやすみ。檻葉ちゃん。」

『良い夜をね。』と言いながらひらひらと手を振ると、
ゆっくりとロビーから出ていった。

ご案内:「ロビー」から惨月 白露さんが去りました。
谷蜂 檻葉 > 「お休みなさい。白露さん。」

手を振り返して、短冊を眺める。


「……もう、戻りたくはないからね。」

谷蜂 檻葉 > 小さく呟いて、自室へ戻っていった……。
ご案内:「ロビー」から谷蜂 檻葉さんが去りました。