2015/08/01 のログ
ご案内:「部屋」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 「…………。」
ゴロンと部屋のソファに寝転んで携帯を眺める。
このしばらく、ほぼ毎日のように彼女は何かにとりつかれたかのように同じニュースの一節を見ていた。
禁書庫の一斉整備の際に母親から転送された一通のメールマガジン。
それは自分の街が、その閉鎖性によって「復活の日」以降でも混乱をごく僅かなものとして
旧時代的な様子から変わらかった街が変化を迎えようとしているその一歩。
そこに書かれていた、表だけではないほの暗い面についても書き記した『山火事』の記事。
きっと母はそれを見つけて私に教えてくれたのだろう。
そして、私に対する感情が明にせよ暗にせよ「一度帰って来いという」メッセージなのだろう。
『いつか、いつかまたきっと此処で会えるわ――――』
■谷蜂 檻葉 > 「…………んぅ。」
もそ、と動いてタオルケットで体を包む。
嫌だ、とは言わないけれど。
まだ少しこの島に居たかった。
……違う。
戻るのは”嫌だ”。この島で、今のままで居たい。
だって、そう思っていても、それでも一度戻れば、また―――――
「んんー………。」
暑さで思考がまとまらない。
冷房は付けているけれど、そういったものとは違う熱を感じてタオルケットを闇雲に放った。
『タニャ…タニあチ…んん、タニハ…タニハチ?
……んもう!言いづらいわ!タニア。タニアって呼ぶわね!決定よ!』
■谷蜂 檻葉 > 携帯の画面を消して枕元に置いて、部屋の小さな本棚に仕舞った『Fairy Ring』に視線を向ける。
この島の噂に惹かれて、そのままに手に取った魔導書。
いや、契約書。なのかもしれない。
私は、自らの異能に気づかないままあの日を迎えた。
そこで起きた出会いは平穏の皮を剥ぎ取り、別れの悲劇をまざまざと見せつけれど……。
……確かに必要なことだったと、今では判る。
そして解るからこそ。
彼女に謝らなくてはいけない。だから、私は会わなくてはいけない。
「……ターニャ……」
■谷蜂 檻葉 > 溌剌とした彼女の、最後に見た笑顔の中に涙を湛えたあの表情が忘れられない。
何を思って笑みを浮かべてくれたのか。
何を想って涙を浮かべていたのか。
出会ったあの日のように、楽しそうな笑顔だった。
怒ったあの日のように、哀しそうな涙だった。
彼女の言葉を胸に、差し伸べてくれた手を掴まなかった。
それの選択の正しさを理解していても、未だにその先のIFを思い浮かべてしまう。
私の、最初の、「本当の友達」。
『約束よ、きっと此処で――――
ううん。タニアの元になら、いつだって行ける。
タニアが私を覚えてくれている限り、私と友達になったタニアなら絶対―――』
■谷蜂 檻葉 > 「……会いたいよ……ターニャ……!」
暑い夏の、夜の夢。
崩れた星の軌跡が結ぶ奇跡の残光。
「『「『――――なら、一緒に、遊べるわ♪』」』」
一人部屋に、もう一人の声が響いた。
■谷蜂 檻葉 > ……やがて、女子寮からキラキラと光る何かが飛び立っていくのを数名の生徒が確認した。
そして、この日から女子寮で『谷蜂檻葉』という少女が見かけられなくなった。
ご案内:「部屋」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「部屋」に六連星 葵さんが現れました。
■六連星 葵 >
[〉六連星 葵は人間のような生態をしたアンドロイドである。
[〉人間とは構成成分は異なるものの、食事をし、老廃物を排出し―つまり汗を流したりする-、成長を続けながら、人間同様のライフサイクルを営んでいる。
[〉その彼女にとって人間と珍しく異なるのが温度管理である。
[〉人間とは違い外気温に大きく左右されることが少ない。
[〉機械としての特性である。それはつまり夏場においても熱中症などにかからないということであり、脱水症状と無縁ということである。
「あづぅい……」
[〉そういう体だから基本的になんらかの障害になることはない。
[〉たとえ火災の中であっても皮膚の溶解を気にしなければ摂氏数百度までは――
「暑い暑い暑い暑い暑いーーーッ! もうなんでクーラーが壊れるんだよ、よりにもよって夜に!!」
[〉呻いた。そう、例えいかほど体が頑強に作られていても、彼女は人間として行動すべくして作られた。
[〉それは即ち、人間に則した外気温へのストレスを体から与えられるということだ。噛み砕いて言えば「耐えれても暑いものは暑い」のだ。
[〉彼女は扇風機の前でうなだれながらうちわを仰いでいる。
[〉上着のみに短パンひとつ。かなりだらけた格好の自覚はある。
[〉今日は友人を招いていたから、どうしようという悩みも頭を過っていた。
「ううん。エルピスって暑いのどうなんだろ。やっぱ気にするよね……」
[〉だらりとしながら友人に心から詫びる。この暑い部屋の中で過ごさないといけないと思うと申し訳なかったのだ。
ご案内:「部屋」にエルピスさんが現れました。
ご案内:「部屋」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > (枢木先輩には、会った時に渡せば
良い話だけど、六連星さんには早く報告して、どう
するか決めてもらわないと)
保健課大聖堂で起きたことを報告しようと、六連星
さんの部屋の前に立つと、インターホンを押す陽子。
■エルピス >
(そう言えば葵の家って女子寮だった……!)
葵に部屋に誘われて二つ返事で遊びに行くと答え、たどり着いてからようやっと気付いたのが先程の出来事。
……そして入れてしまった。
それはそれとして。
(どうしようかな)
部屋の外、階下入り口のインターホン前。
やはり男子寮よりも設備や警備が厳重だな、と思いながらも呼び出し……
「あれ、通話中だ。部屋の前の方のインターホンが動いているのかな。」
■六連星 葵 >
「はいー! 今でまーす!」
[〉部屋のいたるところに折りたたまれたバスタオルと氷付けにされた2リットルペットボトルがある。
[〉せめて涼めるようにと追いていたものだが、あまり効果はなさそうだと葵は困惑した。確かになんとなく涼しいのだが。
[〉私室を抜けるとダイニングとキッチンがある。
[〉そこから左側にあるドアをあけ、右に折れれば玄関だ。
[〉駆け足で走り、電気をつけて解錠する
「はーい、お待ちして……あれ、陽子さん?」
[〉待合ではない顔、というより胸元が出迎えた。
[〉驚きながら葵は見上げて陽子の顔に視線を向けた。
■嶋野陽子 > 『あれ、陽子さん?』という六連星さんの
声で、誰か他の待ち人がいると気付いた陽子は、手短
に用件を説明する。
先日頂いたサンプルを元に、治癒薬の合成に成功した
が、完成には魔力または聖なる力が必要となり、保健
課大聖堂に依頼したところ、充填は出来たが、完成品
は本人以外には危険で渡せないと言われたことを、
かいつまんで報告する陽子。
「一緒に大聖堂まで取りに行きますか?それともこの
薬は諦めますか?」と尋ねる陽子。
■エルピス > 「んー……。」
誰かお友達でも来てるのかな。と思えばその場でスマートフォンを取り出してメールをぽちぽち。
登録してあった葵のメールアドレスに【誰か来てる?】と打ち込んで送信しておく。
返事があるまで、邪魔にならない所で待機してよう。
■六連星 葵 >
[〉そういえば医療用に自分の輸血用の血液(エーテルブラッド)を渡していたことを思い出す。
[〉とりあえず問われたことに対して、ううんと葵は思案した。
「大聖堂に行くのはいいよ。ただちょっと今日は友達と待ち合わせしてたんだ。ごめんねー。いつか時間が都合がいい日があれば、その日でいいかな?」
[〉と、問いを投げた所で彼女は視線を左上に向けた。
[〉彼女の目の前にパソコンのウィンドウのような半透明なものが表示され、メールが表示された。
「あっ、きてるみたいだね。ちょっと待ってね」
[〉玄関の近くにあるパネルをぱちぱちと打ち込む。
[〉画面の前には待ちぼうけをしている小さな姿が見えた。
「エルピス聞こえる? ちょっと玄関前で話してるから先にはいってきてて、今開けるから!}
[〉反応をまち、動きがあればドアの開閉を許可するだろう。
■嶋野陽子 > 別な日で良いかとの問いには、
「六連星さんの都合の良いときで構いませんよ。メール
で連絡するなり、寮の郵便受けにメモ入れてくれるな
りすれば、その都合に合わせます。お邪魔しました」
と言うと、一礼して踵を返す陽子。
ご案内:「部屋」から嶋野陽子さんが去りました。
■六連星 葵 >
「うんー。都合つく日にメールをしておくよ。
僕の方こそ自分にしか使えないもののためにここまでさせちゃうなんて、なんだか申し訳ないくらいだよ。
今度何か奢らせてね、陽子さん!」
[〉本当のところは誘い込みたいところだが、ここ数日エルピスの様子が少しおかしいのが気がかりだった。
[〉名残惜しいのだが、今はエルピスのことを先に処理するのが懸命だろう、と葵は考え、そう言葉を投げて見送ったのだった。
■エルピス > 了解の返事を打ち込み、改めてインターホンを押して少し待てば階下の扉が開く。
そのまま進んで、葵の部屋の前へ進んだ。
「えっと、ここだよね……。」
■六連星 葵 >
[〉部屋の前まで歩いてくれば、扉に手をかけ、開けたまま保持している葵の姿が見える。
[〉エルピスの姿を見ると手を振る。
「いらっしゃーい。待ってたよー」
[〉笑みを浮かべながら早くおいでと手招きをするだろうか。
■エルピス > 「あ、葵。えへへ、招いてくれてありがとね。」
無防備ににっぱりと笑ってみせてから、招かれるままに中へ。
冷房が効いていなければそれなりに暑いのだろうか。
が、それに言及する素振りも気にする素振りもなく、てこてこと足を踏み入れる。
■六連星 葵 >
「ごめんね。冷房がこんな日に限って壊れててさ」
[〉思い出したように内輪で衣類の首もとをひっぱり、パタパタと仰ぐ。
[〉背中が汗で湿っているのがなんとなく伺える。
「アイスあるよ。食べるー?」
[〉リビングへと案内するとキッチンにある冷蔵に足を向け、開けるとそこからソーダ味の棒アイスをエルピスに突き出した。
(※まどりはこのような感じです:https://pbs.twimg.com/media/CKpAg_FUMAAQ5ui.jpg)
■エルピス >
「あっ、ううん。ボクは暑さ寒さは感じないから大丈夫だよ。葵は暑いの、感じるんだね。」
服をはたつかせる仕草を見れば、軽い笑みを浮かべた。
案内されたリビングにちょこんと座り、棒アイスを受け取る。
「うん。貰っちゃおうかな。えへへ、ありがとね、葵。」
にぱっと笑て、ソーダ味の棒アイスを両手で持つ。
軽く歯を立てながら咥えて、差し出され受け取ったソーダ味の棒を味わう様に舌を這わせる。
「あむっ、んっ、ん……」
れろりとなめれば、甘い液が舌に付着し、口の中へと広がる。
甘い液体を舐め取り口に含めば、舌と歯を這わせて喉へと通し、ごくんとそれを飲み込んだ。
「んっ……甘くて美味しいね、えへへ。」
■六連星 葵 >
「あー、エルピスには体感センサーないんだ。ちょっと羨ましいな。いらないって言うと母さんがどんな顔するか分からないから、大きな声では言わないけど」
[〉扇風機を真ん中において椅子に腰掛けた。扇風機の目の前に凍ったペットボトルを置くと、ひんやりと涼しい風が吹いた。
[〉なるほど、この方がいいのかと葵は突然得心した。
「おいしそーに食べるねー。そんなに早く食べたら、頭キンキンしない?」
[〉葵は表面をついばみながら溶けてくると歯で端を削るように噛み砕いて、少量を口の中に含むと舌の上で溶かし、飲み込んだ。
[〉んー。と冷たさに暑さを抑えられる満足感ににへりと顔を綻ばせる。
「この季節はやっぱりこれだもんねー」