2015/06/21 のログ
ご案内:「浜辺」に霜月 芙蓉さんが現れました。
ご案内:「浜辺」から霜月 芙蓉さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に相楽 満さんが現れました。
ご案内:「浜辺」に霜月 芙蓉さんが現れました。
相楽 満 > 芙蓉を背負ったまま、かなりのスピードでここまで駆け抜けてきた。
砂浜にたどり着いたら、ゆっくり下ろす

「到着ーっと!
 大丈夫だったか、芙蓉?」

霜月 芙蓉 > 「こ、こ、怖かったぁ……」

ぎゅう、と全力でしがみ付いていたが……万が一にも振り落とされないように必死だった。

「す、少しは加減してよぉ……」

相楽 満 > 「あれ、結構加減したんだけどなー。
 絶対落とさねーように注意はしてたし……
 ごめんごめん、無茶しちまったな」

ちょっと慌てた様子で謝る。
日の沈みつつある浜辺はとてもよい景色だろう。

霜月 芙蓉 > 「しがみ付いてる分には体感速度倍くらいだよ~……」

適当なことを言いつつ、浜辺を眺める。

「……綺麗だね、ここ」

相楽 満 > 「うん、俺も日が沈む前に来たのは初めてだな。
 いい場所だなー……もうじき海水浴の季節だし。
 芙蓉は友達と泳ぎに来るとかしない?」

にへ、と笑顔を浮かべてそんな話を。
遠まわしに誘っている様子ではなく、ただ尋ねているだけのようだ。
砂浜の上でさくさくと足を下ろしては上げて楽しんでいる。

霜月 芙蓉 > 「んー、それまでに退院出来たら、してみたいけどねー……」

退院出来るのはいつになるのやら……未だ、見通しは立っていない。

「でもまあ、今日は予行演習、って感じかな!」

それでも暗くならず、にかっと笑って答えた。

相楽 満 > 「メンタルはどうしようもないしなー。
 ま、とりあえず楽しいことだけして気を紛らわそうぜ」

さくさくと砂浜をゆっくり走りだし、軽く手招きをした。
さっきまでの速度はどこへやら、とてもゆっくり。

霜月 芙蓉 > 「うん……。ま、立ち直ってみせるよ」

言いながら、とててっと近寄っていく。とても楽しそうに。

相楽 満 > 「……霜月、アレだよな。
 トラウマになってて戦えないんだよな?」

とことことゆっくり走りながら、顔を向けずに尋ねる。

「……どっかで自信を取り戻せるようなことでもあればいいんだけど。
 いっそちょっと実戦形式で訓練したほうがいいのかもしれないな」

霜月 芙蓉 > 「トラウマって言うか……」

自分の手を見つめる。この心の傷を形容する言葉を探して……でも、やはりそれは

「いや、トラウマだね。構えると、アイツの顔が浮かぶんだ。
それで、怖くなっちゃう。心が屈しちゃう。
だから……そもそも、実戦形式の訓練さえも、出来ないんだ」

寂しそうに、悲しそうに口にする。

絶対の自信と誇りを以て携えた弓。

それが打ち砕かれてしまった以上……霜月芙蓉が手に取る武器は、何もない。

相楽 満 > 「……参ったなー。
 俺が付き合ってなんとかなるんなら、なんだってするつもりだったけど」

むーん、と腕を組んで悩みながら走り続ける。
自分が力になれそうになくて、悩んでいる。

「でもさ、あの時言ったじゃん。
 心まではアイツに負けたくないって。
 その気持ちがあれば、そのうちなんとかなると思うぜ。
 最後の最後には、霜月が勝つと思ってるよ」

振り向いて笑顔を見せる。
話し始めてしばらく経っただけの相手だが、その強い心はよくわかっているつもりだから。

霜月 芙蓉 > 「ごめんね、相楽君。
……でも、ありがと。
その言葉で、私も頑張れるよ。信じてくれるなら、それが力になってくれるから」

その笑顔に、笑顔を返す。

情けない事に、ここまでして貰っておきながら、未だ自分はトラウマを克服できていない。

もうだめだ、と思われてもおかしくはないというのに。そんな自分でも、まだ信じてくれる人がいる。

なら、出来ませんじゃすまされない。

自分に出来る報恩はただ一つ。一刻も早く、トラウマを克服する事。

一刻も早く……その期待に、応える事だから。

相楽 満 > 「うん、大丈夫。
 だって、俺が見てきた芙蓉って女の子はホントに強いんだもんよ」

笑顔を見て安心したのか、少し速度を落として並走し始めた。
彼の本音だろう、断言しきった。

「やっぱ体動かしてよかったな。
 ちょっと顔色よくなったんじゃない?」

とことこ走りながら、そう囁く。
嬉しそうに笑いながら。

霜月 芙蓉 > 「もー、そういう事言われると恥ずかしいじゃーん」

恥ずかしそうに。でも、嬉しそうに笑う。

そのまま二人でゆっくりと走っていく。

「うん、なんだか気分がすっきりしたかも。
やっぱり、たまには運動しないとダメだよね」

最近ずっとベッドの上だったもーん、と笑う。

相楽 満 > 「特に霜月みたいな子は体動かさないとな。
 勉強もしてて疲れたっしょ」

にへら、と笑って。

「……俺も、こんなのんびりランニングなんて久しぶりだなー。
 いっつもさ、限界まで追い込むクセついちゃってさ……」

とことこ走っている。
たしかに楽しそうに。

霜月 芙蓉 > 「もー、ハードすぎるトレーニングは逆効果なんだよ?
ただでさえ病気なんだからさ……無理しちゃダメ」

少し咎めるように言いながら、とことこと走っている。

「もう一度だけ言うけど、私、待ってるんだからね?
相楽君が、病気治してくれるの待ってるんだから。
だからさ、しっかり治してよ?」

相楽 満 > 「わかってるわかってる。
 けどさ、俺の病気、筋力がどんどん落ちてく病気なんだよな。
 今手を抜いたら明日が無いかもしれないって思うと、つい」

苦笑して返す。

「うん、わかってる。
 絶対治して、自分の体と病気にコンプレックスがなくなったら、すぐに霜月に会いにくるから」

以前は『待つな』と言ったのに、もうその言葉を否定はしない。
少しずつ、彼の中でも変わってきているのだろう。

霜月 芙蓉 > 「衰えるとダメになりそうで怖い、かぁ……」

なんとなく気持ちはわかるかもしれない。それよりも、よほどハードなのだろうけれど。

「うん、待ってるよ。あんまり女の子を待たせちゃいけないんだから、なるたけ急いでね?」

笑いながら紡ぐ。冗談めかして、でもそれを願うように。

相楽 満 > 「任せろって。
 俺も時間がどれだけあるかわかんないんだし、急がないとな」

へらへらと笑って答え、走り続ける。

長時間走ったわけではないが、砂浜の不安定な足場。
体力を余計に奪われる。
それなりに体力に自信のある満の顔にも少し汗が浮かんできている。

霜月 芙蓉 > 「ん。じゃあ、私はその時に胸を張ってお迎えできるように、頑張っておくね」

えへへ、と笑いながら走り続ける。

芙蓉の額にも汗が浮かび、少し息が上がってきている。流石に、体が鈍っていたようだ。

「ちょ、ちょっとそろそろ、キツいかも~……」

相楽 満 > 「ふぅ……砂浜ランニング効くなー。
 ちょっと休憩しようか」

汗こそかいているが、息は上がっていない。
持ってきたペットボトルを取り出し、差し出す。

「スポーツドリンク。
 ちょっとずつ飲めよー?」

霜月 芙蓉 > 「ん、ありがと」

ドリンクを受け取って、少しずつ飲んでいく。一気に飲んじゃいそうになるが、我慢我慢。

「……なんかさ。今までもトレーニングとかは結構してたし、弓なんかは結構好きだったんだけどね?」

少しずつ飲みながら、少しずつ話していく。

「まあ、やっぱりトレーニングってしんどいじゃん。だから、細かく目標決めて、それクリアしてー……って感じから、スタートだったんだ」

「でも、なんだろ……今日のはさ、そうじゃなかったの。
純粋に……楽しかった」

「時間とか、目標とか、気にならなくてさ。なんでだろ?
……相楽君と、一緒にやったからかな?」

そう言って、にへ、と笑った。

相楽 満 > 「そうだなー、一緒にやったからかな。
 それにこれはトレーニングじゃなくて、気分転換だし」

笑いながら答える。
一緒にしたから、というところに重きを置いていたようには感じられない。
しかし、少し考え込む。

「……うん、でも俺もそうかも。
 普段は必死で、生きたくて後悔したくなくてトレーニングしてるけどさ。
 霜月と一緒にやってたら、確かにそんな追い込まれた感じしなかったかも」

呟く。
そしておもむろにズボンからハンカチを取り出し、芙蓉の額に浮かんだ汗をぬぐう。

霜月 芙蓉 > 「ん、でしょー?誰かと一緒にやるのって、思ったより楽しいんだね!」

笑いながら言うが、額を拭われたら顔を赤くして

「って、ちょっと!うう、恥ずかしい……」

汗を拭われるって、なんだか思ったより恥ずかしかったようだ。

相楽 満 > 「……霜月さ、早いとこ退院して、誰でもいいから一緒に運動でもしてたほうがいいんじゃないかな。
 もちろん俺だって手伝うからさ。
 ……体動かして笑ってる方が、ずっといきいきしてる気がするよ」

ふ、と柔らかい笑顔を浮かべた。

「汗かきっぱなしじゃ気持ち悪いだろ?
 それにあんまり汗のにおいさせてると帰ったときバレ……」

しまった、と真顔になる。

「……汗かいて戻ったら怪しいよな。
 どうする?」

霜月 芙蓉 > 「あ、あー……」

そう言えばそうだ。なんで汗をかいてるんだ、って話になる。

「……寝汗?」

出した提案は、かなり苦しい言い訳だった。

相楽 満 > 「……寝汗……」

思わず復唱し、すごい顔になる。

「……訓練場とかのシャワー室を……
 いや、それじゃ浜辺に来た意味がないし……
 寮の俺の部屋……に、女の子入れるわけにいかないし……」

本気で考え始めた。
連れ出した手前、自分でなんとかしなければいけないと思っているようだ。

霜月 芙蓉 > 「うーん……まあ、手はあるんだけどね」

困ったように笑って立ち上がり、左手を海の方に突き出す。

相楽 満 > 「……まさか、飛び込むつもり?」

思わず顔を見る。
正気か、というような感じ。

霜月 芙蓉 > 「あはは、まさか」

言って、そのまま左手の親指、人差し指、中指で形を作る。

親指を上に、中指を下に、人差し指を前に突き出し、そして三本の指で出来た弧に魔力を張る。

「霜月流五行弓術…奥手、三指弓」

相楽 満 > 「お……おぉ!?」

目が輝く。
興味深そうにじっと芙蓉の姿を見ている。
何が起きるのか、何を起こすのか。

霜月 芙蓉 > 魔力の弓に弦を張り、そして小さな矢を生み出して番える。

それを引き絞り……

「…………!!」

瞬間、体が震え、その場に膝をついてしまう。

全身からは冷や汗が噴き出しており、顔色も一気に悪くなった。

「う、うう……!」

相楽 満 > 「……って!?」

膝をついてしまった芙蓉に寄り添うようにしゃがみ、胸の下と背中に手を当てる。
やさしく背中をさすり、小さく息を吐き出す。

「……それが霜月の技で……あいつに通じなかった……?」

霜月 芙蓉 > 「うん……最後に虞淵に使って、それでだめだったのがこの三指弓。
これ、やっちゃうとまだ、冷や汗出ちゃうからさ……これで、言い訳出来る、よね?」

小さく笑う。だが体は小刻みに震えており、顔も真っ青になってしまっている。

相楽 満 > 「……なーんか、そうじゃないんだよなぁ」

ぽふんと、少し強めに抱きしめる。
愛しい女性を抱くような、可愛い妹を抱くような。
強く触れればわかる、病に侵されながらも限界まで鍛えぬいた体。
その肉体で、ただ包み込むように抱きしめる。

「……そんなんで騙してどうするんだよ。
 俺が全部知ってるじゃん。
 霜月が無茶したこと」

霜月 芙蓉 > 「あ、う……」

抱きしめられると、青かった顔が今度は赤く。

震えも止まり、目を白黒させたままおとなしく抱かれている。

「で、でもこれって、病院の人を誤魔化すためだし……」

おろおろ。こんなにしっかり男の子に抱きしめられたのは、初めてだ。

相楽 満 > 「……俺はさ、霜月のリフレッシュのために来たんだよ。
 なのにそんな気持ちになってどうするんだよ。
 ……なんでそんなことまでするんだよ」

咎めているような、悲しんでいるような。
そんな声音が響く。
抱きしめたまま、話そうとしない。

霜月 芙蓉 > その通りだ。リフレッシュのために連れてきてもらって、結果自分でトラウマを想起していたのでは、何がしたいのかわからない。
本末転倒もいいところである。

「……ごめん」

少し落ち込んだ風に返事をする。独り善がりで、わざわざ自分のために頑張ってくれた人を悲しませてしまった。

それが悲しくて、申し訳なかった。

相楽 満 > 「…………」

ゆっくり、芙蓉の体を抱き起こす。
そして右腕を伸ばし。
親指を上に、人差し指を前に、中指を下に配置するように伸ばした。

「霜月、もう一回。
 俺、今の見てみたい。
 左手、見せてくれ」

本気の声音で囁く。
左手を伸ばせば、満の右手の指と重ねることができるだろう。

霜月 芙蓉 > 「え……?」

戸惑ったまま、だがその本気に圧され、構える。
ちょうど、満の右手と重なるように。

「で、でもまだ、私……」

相楽 満 > 「……一人で勝てないんなら、二人でやればいい。
 俺はあいつと少しだけど戦って、負けなかった。
 だから俺が勝てる未来、教えるから」

少し手のサイズは違うが、指を曲げてしっかり重ねる。
まるでダンスでも踊ろうとするように、左腕は芙蓉の背中に添えられたまま。

霜月 芙蓉 > それを聞いてまた顔を赤くし……誤魔化すように笑う。

「なにそれ、相手にされなかったってだけだったんじゃないの?」

言いながら、構える。指で出来た弧に魔力を張り弓を作る。

相楽 満 > 「ホントだよ。
 一発殴って、二発目はよけられて……
 けど三発目は、返された。
 でも俺はその力も全部受け流した。
 ……負けなかったんだよ、霜月」

にこっと笑い、語る。
彼の指には何の力も灯らない。
ただただ、芙蓉の指を支えるだけ。

霜月 芙蓉 > 「あはは、あしらわれただけじゃん。
……でも、負けもしなかったんだね」

言いながら、弓に弦を張る。

矢を生み出し、番える。

そして、引き絞る……が、即座にフラッシュバックする記憶。

凶暴な顔、射抜いたのに効果のなかった一撃、その後意識を落とされてから……

絶望の記憶が脳裏を駆け巡り、体が震え、力が抜けそうになる。

「ひっ……」

声も震え、構えを維持するので精いっぱい、と言ったところだ。

相楽 満 > 「……俺はここにいるよ?」

囁く。
その声には力が宿っているような気さえする。
心の底から奮い立たせるような、強い力が。

「言ったろ、二人でなら勝てるって。
 霜月も俺におまじないしてくれただろ?
 ……俺も、今度は霜月がひどい目にあわされないように戦うから。
 ……今度は、守るから……」

指先を重ねたまま、囁き続ける。

わずかに、指先に魔力が灯る。

芙蓉の指先の力を、まるで支えるように。

霜月 芙蓉 > 「……うん。大丈夫、私は大丈夫……!」

目に光が戻る。

本当に近くで、支えてくれる人がいる。

倒れそうな私を支えて、勇気をくれる人がいる。

そんな人がいてくれるというのに。そんな人が支えていてくれているのに。

過去の幻影如きに、負けてなんかいられない……!


「……!!」

集中。段々と周囲から邪魔なものが消えていく。

ただ番え ただ引き絞り ただ放つ ただそれだけで ただ的を射る。

霜月流に伝わる弓の極意。それを体現するための、無心の極地。

だが……ぬくもりがある。支えてくれている手を、力を、確かに感じる。

……今この時。霜月芙蓉のコンディションは最高になった。

「い、っけぇ!」

矢を放つ。

放たれた矢は、幻影の虞淵を貫き……海の向こうへと消えていった。

相楽 満 > ぞくり、体が震える。
にぃ、と口が笑みの形に吊り上がる。
腕の中の少女が、心を取り戻した。
それを感じた。いや。
『確信』した。

「………………」

言葉を、発せない。
海の果てまで抜けていった矢を、ただ見ていることしかできない。
けれど、これまでで一番すごい力を見た。
そうとしか思えない。
それがたまらなく、精神を高揚させた。

霜月 芙蓉 > 「でき、た……」

茫然として、自分の射った先を見つめている。

事が為った事を信じられないかのように。

だが、実感が胸に溢れるとともに、そのまま満に向き直る。

「出来た……私、やったよ!やれたよ!
相楽君のおかげで……ありがとう!」

相楽 満 > 「……うん、やれた。
 よかったな……」

にま、と笑った。
が、緊張していたのは満もだったようだ。
芙蓉の背中に触れる手は驚くほど熱く、触れ合う指先には汗が浮かんでいる。

「……ちょっと無理しちゃったかなーって、ビビってたけど……
 霜月が立ち直れてよかった……
 これでもっと落ち込ませたら、って……ちょっと考えてて……」

汗の浮かんだ笑顔でそれを白状する。
これだけの短い時間、寄り添っていただけでずいぶんと疲労してしまったようだ。

霜月 芙蓉 > 「あはは……ホント、無理矢理なんだから」

困ったように、でも満面の笑みを浮かべる。

「ごめんね、ありがとう。
私は……もう、大丈夫だよ」

そう言って、スカートのポケットからハンカチを取り出し、今度は満の顔を拭く。

相楽 満 > 「……よかった。よかった。
 よかった、霜月……」

にっこり笑い、おとなしく額を拭われる。

「……うん、よかった」

ただ、そうとしか言えない。
同時に、ただ一つの本心だ。

「……風紀委員、霜月芙蓉の復活、だね」

霜月 芙蓉 > 「うん……うん……!
もう大丈夫。まだ、スタートラインに戻っただけだけど……立派に、風紀としてやっていけるよ!」

優しく顔を拭きながら笑いかける。

「それもこれも、相楽君のおかげだよ。本当に、ありがとう」

相楽 満 > 「んー……ちょっと荒療治だったけど。
 あ、でも……」

す、と笑顔が消える。

「……霜月、路地裏もそうだけど……
 危ないとこ行くことになったら、今度から俺も呼んでほしいな。
 今度こそ……怪我してほしくないからさ」

なんと自分勝手な言葉だろうか。
自分は危険に踏み込むと言い切ったのに、目の前の同級生にはこんなことを言う。
自分の浅ましさが、心の狭さが少しイヤになった。

霜月 芙蓉 > 「あはは、流石にお仕事で行く時は保証できないよ?
でも、出来るだけ声をかけるね」

勝手な言葉だとは思う。

それでも自分は一人で行くんだろう、とも思う。

だけど、それよりも純粋に、自分を案じてくれることが嬉しかった。

相楽 満 > 「……本当かなぁ……
 うん、でも信じてる。
 ……もう二度と、あんな衝撃を感じたくないから」

笑顔が、少し暗い。
今になって、この少女を守れなかったことが辛いのだろうか。

「……さて、そろそろ帰ろう。
 病室に戻ったら、かばんにタオルがあるから、それを濡らして持ってくるよ。
 体を拭けばなんとかバレないだろうし」

霜月 芙蓉 > 「うん、色々ごめんね。
……ほら、笑ってよ。せっかくいいことがあったんだから、さ」

笑顔で話しかける。

暗い顔ではなく、笑顔を見せてほしい。せっかくなのだから笑って欲しい、と。

相楽 満 > 「んー……
 わかった、ごめん」

にへ、と笑った。
切り替えが早い、いつも通りの笑顔だ。

「……よーっし、切り替え!
 さっさと帰るか!
 ……またおんぶ?」

霜月 芙蓉 > 「ん、やっぱり相楽君は、笑顔の方が似合うよ」

同じくにへ、と笑う。

「もう、流石に歩いて帰るよ。おんぶは恥ずかしいってば!」

相楽 満 > 「抜け出したのバレるし、結構距離あるぞ?」

何せ学園地区からこの浜辺だ。
電車で走るような距離を、この男は背負ったまま走ってきた。

「嫌ならもうお姫様抱っこしかないな……」

わきわき、手を動かしながら迫ってくる!

霜月 芙蓉 > 「あ、あう……」

じり、とあとじさる。こうなったら……腹を括るしかあるまい。

「じゃ、じゃあおんぶで!そっちでお願いします!」

相楽 満 > 「……よっしゃ!」

背中を向け、腰を落とす。
ほんの少し汗で湿っているかもしれないが。

霜月 芙蓉 > 「うー、浜辺は安直だったかなぁ……」

ぶつくさ言いながらも、素直におぶさる。

……ぎゅ、と、少しだけ強く抱き付いた。

相楽 満 > 「距離はぶっちゃけ頭になかったなー」

けらけら笑い、しっかり太ももに手を回して支え。
再び、車で走るような恐ろしい速度で、病院へと向かって駆け出した。

ご案内:「浜辺」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から霜月 芙蓉さんが去りました。
ご案内:「浜辺」にテリメーラさんが現れました。
テリメーラ > 朝の浜辺。
最近は暑くなってきたが、この時間は心地よい風が吹いている。
ランニングに勤しむ人々を横目に、浜辺に座りこむ。

まぶしい朝日に向け、ふぁーっと欠伸をしつつ、今日は何をしようかな、と考えるのだ。

テリメーラ > この間途中で終えてしまったままの携帯捜索でもいいし、
お友達を探して話しかけるのもいいし、
はたまた女子寮に忍び込んでお風呂を拝借するのもいいし。
今日も楽しい一日になるといいな、と思い、笑みが零れる。

今日はもうご飯も食べたし、最近は寝てるばっかりだったし、後はやることさえ決まればいいのだ。

テリメーラ > そう、決まらないのだ。

ホントにやらなければいけないであろうはずの携帯を探すのはいくら探しても見つからないのですごく気乗りしない。
かといって、こんな心境で他のコトをしても楽しくないよーな気がする。

応えは決まってるはずなのだが、むむむ、と悩み始める。

テリメーラ > 「うー!!」
と声をあげて、浜辺にごろーんと転がる。

このまま一人考えてても頭がぱんくしてしまいそうだ。
さっさとやらなくてはならないことをすれば良いのだけれど、また何時間も歩き回って結局見つからないっきり、というのはすごく嫌だ。
そしてそれを考えると、どうも体が言うことを聞いてくれない。

そのまま浜辺でごろごろと転がっている。

テリメーラ > 数分後、やる気の無さと格闘した結果、出た答えは二度寝だった。
浜辺にごろりと転がったまま、クッションを抱いて眠っている。

浜辺を行くランナー達はどうすることもできず、ただただ避けて通っていく。そんなことを微塵も気にすることなく、悩んだ顔のまま、すやすやと眠ってしまった。

テリメーラ > そして、そのままお昼頃までがっつりと眠ってしまった。
ご案内:「浜辺」からテリメーラさんが去りました。
ご案内:「浜辺」に遠峯生有子さんが現れました。
遠峯生有子 >  寮を出て、住宅街を歩き、鎮守の森の脇を経て、海までお散歩。
「昼間はお天気あやしかったけど、夜は大丈夫みたいでよかったぁ。」
 砂浜に入ってさくさく歩く。

遠峯生有子 >  曇天で、波は黒い。
 しかし風もなく、海は穏やかだ。

 そして沖合いに、何かの灯り。
 何の船だろうか。
「イカ釣り…じゃないよね。
 タンカーとかかな。豪華客船だったりして。」
 正直、そのどれでも区別が付かない。

遠峯生有子 > 「でもやっぱり、海、暗いよねぇ。」
 波の音を聞きながら、暗記教科に取り組めるかと思ったのだが、
「ちょっと無理。」
 懐中電灯をくるくる回し、肩掛けの鞄をぱんぱんっと叩いてみるが、
 今日のところは単なる荷物だ。

遠峯生有子 > 「まあ、しょうがないなー。
 気分転換だけでも意味はあるよね。
 あのまま部屋でやってたら、ちょっと寝ちゃいそうだったし。」
 砂浜に座り込む。
 懐中電灯を消す。