2016/06/27 のログ
耳かき屋、楢狗香 > 梵天をお客さんの耳からそっと引き抜く。
これで概ね、施術は終わりだ。氷茶も程よく染み出ている。

とんとん、と耳介を叩いて。ふっと微笑んで、顔の向きを元に戻す。
縁側に向けられなおしたその顔には可愛い寝顔が浮かべられているのだろう。

「さて。
お客さんのお知り合いでありんしょうか。」

膝の上の柴木くんを起こさない程度の声で、そう尋ねかける。

違い棚の壷が、ごとっと不穏な音を立てた。

柴木 香 > 「――、……」

気持ちよさそうに漏れていた声も途切れ、揺れていた尻尾もぽふ、と止まる。
微かな寝息以外はまるで死んだように、身を預けて。
気持ちいいのか、それでも時折身体が震える。

くるりと再び姿勢を変えられれば、すやすやと寝息を立てて、幸せそうな顔。

水月エニィ >  
 左手で顔を隠す。 
 大きく息を吸って、吐く。
 手を外して所作と意識に平静を取り戻し、見据える。音は聞く。

「そんな所。――お友達だと、思いたいわね。
 施術中の所が見えちゃったから。」

耳かき屋、楢狗香 > 「友人だというなら気になさられるのは当然にありんす。
屋号として望むならまた今度、客としていらしゃあせ。」

気にすることなどどこにもない、というように。
にこやかな様子 そう、雰囲気まとって、そう言い返す。りらっくす。りらっくす。ええ、彼女は信用できます。義務です。

膝の上の少年に視線を移す。

「では…このように、心地よく眠っているでありんす。
起こすには忍びなく…本来ならばゆっくり眠ってもらうのでありんすが。
…せっかくにありんすから、あとはお任せしてもよろしやしょうか。」

どういう意味なのだろう。
一方的にそう言って。

経緯は分からないが、二人はいつの間にか大八車の上で少年を少女が膝枕した様子で気付く、かもしれない。
傍らには氷茶と冷茶の載ったお盆があるだろう。

そして、柴木くんにはよく寝た感覚だけがきっと残っている。みみかきやはどこにもない。看板は傍らに残っている。

ご案内:「奇妙な木造家屋」から耳かき屋、楢狗香さんが去りました。
水月エニィ >  
「……その用意はあったのだけれど。
 覚悟もなしに足を踏み入れないわよ。」

 指に挟んだ紙幣を少しだけみせて、仕舞う。

「本来ならば――?
 ――それは構わないけれど、って。」

 いつの間にかに状況が変わっている。
 気付けば彼――柴木クンの事を膝の上において抱いていた。
 しかもこの座り心地には覚えがある。

「……まぁいいわ。」

 未知の不可思議には慣れている。
 害意が無い分、既知の不条理より断然良い。
 好意は真であっても偽であっても素直に受け取るのが信条だ。
 
「本当、心地よさそうに寝ちゃって。
 貴方にとって信頼のおけるお店なんでしょうけれど――
 ――良く分からないけれど、羨ましいわね。」

柴木 香 > そんな様子は知ってか知らずか――
寝息を立てる、その体がわずかに身じろぎして――

「ん――ぅ?ぁ――ふ――」

耳がぴくぴく、大きく一つ欠伸をしながら、目を覚ます。
見える光景は――寝付く前と大きく違う。

「……わふ?」

きょとん、とした。

水月エニィ >  
「おはよう。柴木クン」

 何気はなしに髪をなでつつ、
 寝ぼけ気味の柴木へと声を掛けた。
 気を張った名残か表情は少しだけ堅いものの、咎めるものはない。 

柴木 香 > 「わふ――?あれ?エニィ……さん?」

聞こえた声に、ぴくりと耳が動いた。
けれどそれだけ。起き上がるのは、気持ちいいし、いいやと。

結果として表情は見ずに、済んだ。
起きる前との変化もあんまり気にしていない様子で、しっぽが、ぱた、ぱた、と上機嫌に揺れている。

水月エニィ >  
 この不可思議な状況と理由を話すべきか、
 カバーストーリーを用意するべきか、少し、思案して。

「柴木クンが御店に入っているのが見えちゃって、ちょっと覗いたら店主の人と会っちゃったの。
 ――で、後は宜しく、だって。」

 ざっくりと無難な所だけを話す事にしました。
  

柴木 香 > 「わふ、なるほどー……」

なぜか、それだけで納得した様子。
尻尾が揺れるのは止まる様子もない。

「あ――。
 変なお店じゃなくて、ふつーのみみかきやさんですよ?」

思い出したように、若干言い訳っぽいかもしれない。
犬の耳は自分では掃除しづらい、出来ても綺麗にはならないのです、と。

水月エニィ > 「私は普通のみみかきやさんって思えなかったけど…
 ……そういう事にしておく。柴木クンの気持ちを止めるものはないわ。」

 何せ、一瞬にしてロケーションを変えたのだ。
 たとえどのようなものであったとしても、普通ではない事ぐらいは分かる。
 たとえどのように言ったとしても、彼に普通でないからどうしろとは言えることでないとも思う。
 とりあえず髪の毛は梳かすように撫でる。

「そもそも、私が言っても説得力がないわね。
 ……頭は起きてる? このままこうして居てもいいし、離れても構わないわよ。」

柴木 香 > 「ん、ぅ?そーです?」

若干、首を傾げるような動作。
とはいえ声音に籠る感情は、なんとなくでも察せてしまった。
あんまりいうとまた怒られる気がする。

「ん、大丈夫です、起きてます。
 けど、もうちょっとこーしてたいです。」

今度は頷くような様子――すり寄って甘えるような感じになるかもしれない。
普段からくるくると動き回る性質故、ではあるけれど。

水月エニィ >  
「そう言う事にしておいて頂戴。
 単なるs―――ん、そうしましょうか。」

 言いかけたものをを止めてくすりと笑う。
 もう少しの間はすり寄ってくる膝の彼に身を寄せるようにして、
 ゆっくりとした時間を過ごしていたでしょうか――
 
 

ご案内:「奇妙な木造家屋」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「奇妙な木造家屋」から柴木 香さんが去りました。