2017/04/21 のログ
東雲七生 > 「よっし、そろそろ帰るかな。」

もうすっかり日も落ちて、周囲が薄暗くなり始めた頃。
七生はようやくベンチから腰を上げた。
長い事考え事をしていた所為か、少しばかり頭が重く、だいぶお腹も減っている。

「とりあえず、初見で先輩に見られないのは置いとくとして。
 もうちょい積極的に声掛けたいよな……新しい知り合い、どんどん増やしたいし。」

その為には如何したら良いかをずーっと考えていた訳だが、終ぞ妙案は思いつかなかった。
こればかりは手探りでやっていくほか無いな、と割り切ったのがベンチを離れる直後。
少しだけさっぱりした心で、七生は異邦人街の歩き慣れた道を、家へと向けて歩いて行くのだった。

ご案内:「異邦人街」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「商店街」に竹林はんもさんが現れました。
竹林はんも >  
やっと買えました。

「~♪」

法律が存在する以上、一人暮らしではなかなか手に入らないものだとは思っていましたが、流石は異邦人街と言ったところでしょうか。
こんな見た目の私にも売ってくれましたよ、ワイン。
爽やかな香りと、淡い臙脂色の美しいライトボディ。
一口含むだけで分かるジューシーな果実の甘みを、きりりとしたタンニンの苦味が引き締める逸品です。

グラスの都合、ラッパ飲みになりますけど。

上機嫌を隠さず、通りに添って並べてあるベンチに座り、夜風に顔を洗われながら、久しぶりのお酒を楽しんでおります。

竹林はんも >  
内地育ちなのでまだバリバリの異世界人さんには会ったことがありませんが、通りを眺めているだけでも面白いですね。
いえ、面白いというのは表現が悪いでしょうか。興味深いと言い直しましょう。
私みたいな見た目の大人も山ほど居るのでしょう。それがザルな酒屋さんを産んでくれたんですね。
私は見た目より歳は上であれど、ばっちり未成年ですけどね。
買い込みたいですが、寮にお酒は置けないので、つまり。

「大人の協力者が要りますね~」

とはいえ、普段接する大半の大人は教師ですからね……。
うーん。ぐび。

ご案内:「商店街」にイチゴウさんが現れました。
竹林はんも >  
この区画はあんまり学生さんは居ないのでしょうか。
ううん、絶対数として、そんなことはないんでしょうけど。
学籍だけ取って、あんまり授業には行かないで、普通にここで暮らしている人もそれなりに居そうな――そんな人をたまに見かけますね。
図書館で生徒会の会報なんかを読んでみたら、そういう人たちの処遇に困っている節は感じましたけども。
そういえば保護者の意向でなんとなくといえばなんとなく入学したものの。これ、卒業したらどこへ行くんでしょうね?
んん? ……これに関しては異邦人だの地球人だのに関わらず、モラトリアムに生きる全ての人が考える問題な気がしてきました。

「将来……将来かぁ」

あんまり考えたことがなかったですねぇ。

イチゴウ > 金属音を響かせながら通りを歩く
変わった形の四足ロボット。
今日も面倒くさいストリートのパトロールを
行っていた。

「おいこらそこ。ポイ捨てするな。」

白いロボットは通りすがりの生徒を
見上げると共に前右足で指さして声をかける
何だ?その目つきは。ぶっ飛ばすぞ。
全く最近は緑化キャンペーンだとか
何かでポイ捨てすら注意せにゃならんので
心底ダルイ。

そんなこんなで通りを歩いていると
ふと横のベンチが視界に入る。
そこでは少女が座って
酒のようなものを飲んでるのだが・・・

「・・・あれは酒が飲める歳か?」

そう息を吐くように呟くと
白いロボットはまっすぐな通りを逸れて
ゆっくりと少女が座るベンチに近づき

「おいキミ。一体何を飲んでるんだ?」

少女を見上げて声をかける。
文面自体は質問だが
口調は明らかに注意するようなものである。

竹林はんも >  
花の十六歳が悩むことでもないですよね! 何をしたいかなんて生きていれば出会えるものじゃないですか、きっと!
うーん。この瓶だってもう少しジュースっぽいデザインになれば手を出しやすい気もしますけど……。
もちろん、あえて見るからにお酒だと分かるデザインにしているんでしょうけど。
買うのはともかく、こんなもの飲んでいるのが見つかりでもしたら……。

「ふぇっ」

魂が抜けるかと思いました。正直に言ってはちゃめちゃに油断していましたからね。
うん、よく考えなくても、こんなことしているのを風紀委員の人が見かけたら声をかけるに決まっていますね。場の雰囲気に流されすぎていました。
案の定声をかけられてしまいました……が。
声の主を見るや、驚きは別の種類のものに変わりました。

「すごい、ロボットって言うんでしょうか……初めて見ました」

初手で話が逸れたついでに、さっきの質問もなかったことになりませんか。

イチゴウ > 「ん?ご名答、ボクはロボットさ。
しかも人間みたいに考えて喋れるんだ。すごいだろ?
・・・んで何を飲んでいたんだ?
まさかお酒とか言うんじゃないだろうねえ。」

抜けたような声を出したこの少女に対して
そんな言葉を返す。そして残念ながら
質問はなかった事にはならないようだ。

しかしまあこの少女・・・
外見から察するに噂に聞くエルフだろうか?
このロボット、異能者や魔術師とかは
腐るほど見てきているが
意外とこういった純粋にファンタジーチックなものは
話に聞くだけで馴染みが無かったりする。

竹林はんも >  
ロボットはロボットみたいですけど、やっぱりロボットだからこそきっちりしているみたいですね。残念。
残念も何も私が悪いことをしているんですけど。

「知っています、人工知能とそれに類似した概念ですよね。
 あなたさまは見た目がばっちりロボットっぽいので分かりますけど、人間みたいに考えて喋れる、人間のような見た目のロボットは、やはり人権みたいなものが存在するんでしょうか……?」

人工知能の人権問題は、小説や映画でよく取り上げられている気はします。
創作上では作者の哲学が反映されますけど、実際に面と向かってみると、自分だけで答えを出すにはかなり重たいテーマな感じですよね。
と、単純に気になったので口に出してしまいましたが、別にこれ以上話をこじらせて煙に巻こうというつもりじゃないですよ。
ないですが、どう答えるのが確実なんでしょうか。
んんッ……お酒を没収されるのは嫌ですね。嫌というか、お金払ってますからね!

「うーん、何に見えますか?」

いや、お酒にしか見えませんねこれは。変な質問をしてしまいました。

「はい、とっても美味しいワインですよ」

正直に答えてしまいましょう。

イチゴウ > 「ん?キミ・・・外見に似合わず
中々面白い事を言うじゃあないか。」

イチゴウはベンチに座る幼げな少女が
話した内容に対して面白そうに
その顔をうなずかせる。

「いくら人間のような思考を手に入れた所で
ロボットはロボットさ。人間達にとっては
ただの”道具”でしかない。でもボクは
別にそう考える人間をこれっぽっちも
恨んでいないよ。だってロボットが道具なのは
当たり前だし彼らがいなくちゃあボクはこの世にはいないんだからね。」

そんな事を話すイチゴウは
まるで自分の事を再確認するようであった。
またその口調はどこか人間くささは
感じさせるものであっただろう。

「それとーーそれはワインなのか。
もしかしてキミ・・・外見がそうなだけで
実年齢はもっと上だったりするか?」

こんな話を切り出すヤツがこの少女の外見通りの
年齢だとは到底思えない。
一応確認の意を含めて少女に対して質問する。