2015/06/29 のログ
■日乃杜 梢 > ―いきなりの凶行、と見られてもおかしくはなかっただろう。
散らばるのがコインの煌めきでなく、赤い飛沫や人肉の切れ端であったなら、どうなっていたことか。
「椿様!? 少しは加減を―」
制止の言葉を投げかけるも、心の一方では、あれが椿の――鬼道の家の本性なのか、と納得する自分もいた。
荒々しいながらも、流麗であり、目を奪われる――これが、鬼を斬り、黄泉の道へと誘うものの剣―!!
悲鳴が聞こえたのもつかの間、天上から降り注ぐ光の洪水。
目元をかばいながら振り仰げば、こちらを見下せるガラス張りの上階で、一人の巨漢が葉巻を咥えたまま、親指を立てて哂っていた。
(見世物にすることで、恐怖が伝染するのを押さえる、ということですか
悔しいですが、今は従うしかないですね…!)
ホルダーを開き、札をひっつかむ。
百の目を持つ巨人はその背丈を伸ばし、今や居並ぶスロットの五倍はあろうかという巨躯になりつつある。
それと切り結ぶ椿の問いに、微笑を返した。
「炎帝朱雀、狙い過たず怨敵を焼き滅ぼせ―」
宙に浮いた符が、轟、と燃える。
その炎は瞬く間に、腕の長さ程の火矢へと変わった。
梢が両腕を構えれば、矢の群れはぐぐ、とその身を後ろへと引く。
右で見えぬ弦を引き、左はやはり見えぬ弓を携え―
「朱雀七宿、星官は弧矢―日乃杜の一矢、通します!」
それを、解き放った。
引き絞られた矢羽が、四方を奔り、その身をさらに分け、椿の背後から百目へと、その目を為す虫のことごとくを、啄むために迫る。
■鬼道椿 > 百目の胸を炎の矢が貫いた
貫通したその矢の先にはひときわ大きいコイン―小さなコインたちを操る本体―が炎に包まれて消滅した
火花を散らしながら百目の体が崩れ落ちていく
「やっぱり術使いってのは怖いな、っと」
二人を押しつぶすように倒れ込んできたコインの雪崩を日乃杜を抱きかかえて跳躍し躱す
中央のステージに降り立つと同時に静まり返っていた客たちの喝采がホールを覆い尽くしチップが飛び交った
『みなッさーーーん!!!いかがでしたでしょうかぁ!!今宵の余興はぁ!!!』
『これからも天国の門をご贔屓にーーー!!!』
ターザンのように見事なワイヤーアクションでオーナーがステージへと降り立った
場慣れしているのかオーナーは客たちの喝采を浴びながら悠然と椿と日乃杜を抱き寄せる
その際に豊満な胸と肉質的な尻を鷲掴みにして
『見事だ、毎週やってもらいたいぐらいだよ、どうだいお嬢ちゃん達・・・ウチの店で働く気はないかい?』
『ン?ン~~~??』
どさくさに紛れて日乃杜にキスしようと詰め寄ったオーナーの鼻っ柱に椿の拳が炸裂した!
「ケガレは、祓ったな?」
なぁ?とすっきりした表情で日乃杜を見た
■日乃杜 梢 > 「え、それ椿様がおっしゃいます…?」
自分からしてみれば、一瞬のうちに切り刻むその剣の技の冴えこそ恐ろしいのだが。
…まあ、同格ということでいいのだろう。
横抱きにかっさらわれる浮遊感とともに、そんなことを思う。
そうして立ち上がらされれば、サーカスめいた曲芸で下り立つオーナーが、すぐ側に。
胸に指が食い込む感覚に、
「ひあっ…!?」
と情けない声が漏れる。思わず胸元を腕で庇いながら距離を取ろうとすれば、鈍い音が木霊した。
見れば、晴れ晴れとした表情を浮かべて同意を求める黒髪の相方と、その拳を顔面に受けて陥没した巨漢。
しばらくぽかんと呆気にとられていたが、すぐに噴き出した。
「あは、あはは…! いえ、まだ足りません…ねっ!」
梢にしては――この少女にしては本当に珍しく、屈託ない笑顔を浮かべ。
そのまま少女は右腕を振りかぶり――肉を打つ音が、もう一つ響き渡るのだった。
■鬼道椿 > これにて『天国の門』の妖魔騒動は解決したのであった…
しかし二人はこの後しばらく悩まされることになる
顔は映っていなかったがきわどいバニースーツで戦う写真がネットにアップロードされたのだ…
ご案内:「カジノ『天国の門』」から鬼道椿さんが去りました。
ご案内:「カジノ『天国の門』」から日乃杜 梢さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に立花 響さんが現れました。
■立花 響 > 深夜に関わらず人通りも多いとある歓楽街の大通り。
その大通りに備えてあるベンチに座って何か心の準備をするように
深呼吸をしたと思えば立ち上がりケースよりヴァイオリンを取り出し構える。
奏者は語らない。ただ語らないなりに奏でる。
不夜城に似合う音を人混みと風に乗せて、一人でも多く自分の音を聞いて欲しい。
それが歌手もとい、音楽家の仕事というものだろう
ご案内:「歓楽街」にロウゲートさんが現れました。
■立花 響 > まだ自分は満月ではない。
歌を失った私は満ちかけていた月が突然欠け始め新月になったようなものである
「私は、また三日月になります。」
ここにいない誰かにはっきりと告げるように喋る
通りがかりの人には全く意味の分からない一言だろう。
そんな響は三日月のような弦をヴァイオリンの弦に当て、音を整え始める。
所謂チューニングではあるが、音を整える事は大事である
そして、歓楽街に似合うような軽いリズムの曲が人混みに紛れながらも流れ始める
■ロウゲート > トトト……と小走りにどこかから走ってくる小さな影が一つ
どこからか飛ぶように逃げてきたみたいに走り
ようやく安心したように歩調を緩くしていく
ふと気付いたら割と人の多い所に来てしまった
猫の歩くような所じゃないな…
フラフラと覚束ない足取りで歩く
黒猫が目の前を過ぎると不幸になる
なんていう諺が日本にはあったかもしれない
そんな考えをいちいち気にして猫なんてやってられないのだが
とにかく、その時フラフラと、音に誘い出されたかのように響の前を横切った
ああ、コイツはこの前の…名前が思い出せないな…
「にゃー」
挨拶代わりに猫の声帯で鳴く
猫が挨拶なんて変か?でもまあ、メシを貰ったのだから会ったら挨拶ぐらいはしても良いだろう
■立花 響 > その軽快なリズムと音色は崩れる事なく、確実に通りかかる人に届けていく。
ただその演奏者は気にされる事なく、歓楽街の騒がしさにもみ消されていく
それでいい。ただ、聞いてもらえるだけで、演奏するだけで怒られないのならば私はそれでいい。
響はそう心の中で聞いてもらえるという喜びを感じながら演奏を続ける。
やはり音楽というものは人の気持ちを豊かにするものなのだ
そんなひょんな時に通りかかった猫を見るといつか常世公園で出会った猫であることを思い出す
ただ、あの時女子寮に連れて帰った猫とは全く違う。
あの猫は確か、三毛猫だったはず。
そんな事を思い出しながら響は一旦演奏をやめてベンチに座り、
ベンチの隣に空いているよ?とばかりに手招きをする。
■ロウゲート > 以前も確か音を奏でていた気がするな
この女は多分、音か何かに関係した能力でもあるのか
それとも、単純に音大でも目指しているのか
そんな所だろう
音楽には魂(ブルース)が宿ると
知り合いのトランペット吹きに絡まれた事がある
音楽に造詣は深い訳ではないが…
吹きたいから吹いているんだ、という
気持ちの乗った感じがするのはわかる
耳をピコピコと動かし、腰を下ろして耳を傾けていると
ふとベンチに誘われた
挨拶したとは言え、あまり人の多い場所に長いするつもりはないのだが…
まあ良い、どうせいつ体が元に戻るともわからない気ままな野良生活だ
ピョコ、と跳ねてベンチに飛び乗ると
腰を落ち着けた
「にゃー」
ベンチに座ると、勝手に喉が鳴る、猫の習性だ
■立花 響 > ベンチの隣に猫とはいえど誰かがいるのはどこか落ち着く気分になる。
こんな人混みの中で一人ぼっちではなく、二人、いや正確には一人と一匹。
人前で歌い慣れている響でもあまり来るつもりのない歓楽街で一人ぼっちというのはやはり不安だったのだろう、そんな思いを乗せて口を開く
「猫さん。猫さん。
この島はね。事ある事に人が争ってるの。
その中には私の知り合いじゃない人もいれば親しい人もいる。
争いもすれば人は傷つくし、下手したら死んでる人がいるかもしれない」
ここまで言うと響はため息をついて俯く。
「知り合った人が、急に会えなくなるのってとても不安になるよね。
連絡先を知っていれば、問題無いんだろうけど…」
大丈夫かな、ロウゲートさん、と呟きながら首を振って立ち上がる
「ごめんね。猫さんにこんな話しても分からないよね!
さ、続きの演奏行こっか!」
ふと巡ってきた不安な感情を振り払うように再び歓楽街に似合うような軽快なリズムで演奏し始める
■ロウゲート > かくり、と猫の首が傾ぐ
何か喋りかける事でもあるのか?と
人は人に愚痴を零すのは往々にして気を許した人間にだけだ
だが猫であれば違うらしく、たまに聞いても居ない
心の底を吐露してくる人間は居る、というのは最近わかった事だ
「にゃー」
適当に、聞いているのか聞いていないのか
そんな返事だ、猫に相槌を打つ機能は無い
だが、そうだな、知り合いでも消えたのか
落第街では金より命の方が軽い
ただでさえ握ったナイフより大きな力を、未成年が持ち寄り、集まっているのだ
その上に存在する社会など、砂上の楼閣だろう、法律は頼りにならない
ルールとして厳然と存在するだけだ
「にゃ?」
ろう?今ロウゲートと言ったのか?ピク、と耳を動かす
この女は俺の顔を覚えていたのか
ヒトであった頃にこの女にロクな事をした記憶は無いのだが
恨まれているという口ぶりでもない
「にゃん」
おい、女、演奏はいいから
「に゙ゃー」
聞かせろ、俺をどこまで覚えてるんだ
気になって仕方ないと、その演奏する背中を追いかけ
前足の肉球でてしてしとその足にもたれ掛ろうとするだろう
クソ、こんな沢山ヒトが居る前で喋る訳にもいかんし、猫の体が凄くわずらわしいぞ
■立花 響 > 軽快なリズムに合わせて身体を動かして全身で表現…している所に猫が足に絡みついてくる
その突然の出来事には演奏も中断せざるを得ない。
勿論リズムに乗って猫を踏み潰すなんてすれば寝起きの悪いことこの上ない
「え、と、と、どうしたの?
お腹空いているの?鞄は…煮干しは持ってきてないし…」
この猫がかまって欲しそうにしているという事はお腹が空いているか、はたまた何か意味でもあるのか
一先ず響は元のベンチに座り、猫の様子を伺う
さっき話した事で猫が反応しそうなこと…
「…もしかして、君の飼い主さん、ロウゲートさん、だったり?」
もしそうならばロウゲートに関する手がかりになる。
そんな希望的観測に乗っかりながらも早押しクイズ番組の如く猫の方を指さしてそれらしい答えを言ってみる
■ロウゲート > ああ、そうだ、演奏などはどうでもいい
俺の事は覚えているのか、それは気になるな
正直あの後は自分の事で手一杯で、後始末などはしなかった
身元が割れたら、自分の手回しだけでもみ消すのは難しい
特に猫となった今では…
「にゃー」
煮干しなどいら…いや、野生だからな、食えるものはなんでも美味い
だがそうじゃなくてだな…
もどかしげに口を開いては閉じながら、その足に肉球を当てる
ベンチに座ったなら、目の前でちょんと座ろう
「にゃー」
なんか微妙に違うな…期待した反応じゃないぞ…
でもそうだな、ここで鳴いておけば、勝手に肯定と解釈してくれるだろう
首を縦に振るのは流石に不自然だろうしな
■立花 響 > にゃー、というのはきっと肯定なのだろう。
違うのならそれなりに拒否の反応を起こしてくれるだろうし…とりあえず一つ質問をぶつけてみるべきか。
但しその質問というのは中々に難しい。
ヴァイオリンを響の隣にヴァイオリンを置いて暫し考えこむ
今ご主人はどこにいるのか、というにも人間の私が見つける事が出来なかったし、そもそもそういう人を見かけたという話は聞いてない。
もっと単純。単純に。
その考えをまとめこむと響は口を開く
「ロウゲートさんは、生きてますか?」
その質問は至ってシンプル。
但し響にとってそれは大事な事であるし、生きているか生きていないかの判断は猫でも分かるだろう。
ただ、ロウゲートの飼い猫なら何故こんな所にいるのか、というのも少し気になりもする
■ロウゲート > なんかよく考えたらマトモな人間の前でこんなにゃーにゃー鳴いたのは初めてかもしれない
なんだか自分を俯瞰すると悲しくなりそうだが、気にしたら負けだな…
生きてるか、だって?
そんな事を聞いてどうするというのか…
この人間にとって俺は何だ、使い捨てようとした記憶しかない
ごめんなさいと、どこか彼方へ謝罪しながら、魘されていた姿しか
そもそも、自分は今生きていると言っていいのだろうか
半死半生と言った感じだ、魔素を集めれば体は勝手に戻るが
今は意識だけがこの猫の中にある
いや、自分が今誰かとか哲学的な考えをしてる場合じゃないな…
「にゃん」
とりあえず、耳をピクと動かして自分には鳴く事しかできない、どちらかというと肯定というつもりで鳴いたが
肯定とも、否定とも、相手は勝手に取ってくれるだろう
ちなみに飼い猫と言う割には、その体は野生の生活が長かった為か
割と汚れているし、羽織っているマントも、少しボロボロだ
まあ何が目的なのかはわからんが…心配せんでも、戻ったらお礼参りをしに行ってやる
安心しろ、と、その目を、猫の金色の瞳でじっと見つめた
■立花 響 > 目の前の猫のなんとも言えない返事にどこか安心したような笑みを浮かべる
先程の猫の鳴き声よりはどこか中途半端なものであったが、
猫にはどこか落ち込んでいる様子が無いのを見て生きていると判断したようだ
「そうですか…生きてますか、良かった…
あの人、ちゃんとしっかりご飯食べていますか?働き過ぎて倒れてたりしてませんか?」
どこか母親が息子にぶつけるような心配事を猫にぶつける。
こんなことを猫に聞いたところで何もならない事はわかっている。
ただこの安心した思いを何か形にしたかったのかもしれない
「…お金が無いなら、頼ってくれれば多少はお助け出来ますから、いつでも、私を頼ってください、
って頑張って伝えてください」
その金色の瞳を優しい笑みを浮かべてジッと見つめる。
響にとってロウゲートは知り合いだが、困っていて助けたいという一心で探しているに過ぎない。
ただそれが本人が拒むというのならもう手を差し伸べるようなことはしない
■ロウゲート > やっぱり、少し警戒するというのが正しいだろう
自分の顔を覚えられる理由が後ろ暗いものしかない
そんな生き方をしていれば当然だ、何を考えているのか、歩み寄る事でどこに利益が出るのか
それがわからないのは恐ろしい事だ、この女はどこに利益を見出そうとしているのか
だから、一度会っただけの人間にそこまで情を見出せる人間というのも
また見た事は無かったのだ
この女は何だろうな…頭が、花畑なのだろうか
そういえばあの時も、何の疑いもしていなかった気がする
悪感情というものを向けられた記憶が無い、連れの女はあんなに剥き出しにしていたというのに
「いや、確かに金は無いが……」
あ
思わず口を開いてしまった、他所を向いて知らぬ顔をした
■立花 響 > 「ですよね、やっぱりお金無いですから少しでもまともな暮らしが出来るように………」
止まる。響の脳が止まる。
現実であるまじき自体が今、耳を通して脳で理解しようとした時に止まった
正しければ今、目の前にいるロウゲートの飼い猫は…
「しゃ、喋った…?
い、今喋りました、よね?」
金色の瞳が輝く猫に対して驚きを隠せず、目の前にいる猫を指さしている。
その指もあまりの事態に指が震えている。
それを確認して震えを止めようとするが全く止まらない
「と、ととと、お話出来る猫さん、ということでよろしいです、よね?」
一先ず質問。こうなれば1つずつ謎を解いていくしかない
■ロウゲート > 「にゃ…にゃー…」
鳴く、少し苦しい
猫の声帯でヒトの言葉を喋る事は出来ない
今の状態で人語を喋るには魔力を消費する必要がある
だけど、それでもうっかりというものはあるのだ、ヒトだから。
「にゃーん…」
聞き間違いとかそういう路線を期待したが、ダメだった
完全にロックされてしまった
「あ、ああ…そうだ…そうだにゃ…あの…使い魔とかそんな感じの…そう、
猫から作られた使い魔、だ…にゃ…
よく見破ったにゃ、人間…」
苦しい言い訳だった。
なんというか、死にたくなってくるな…
などと思いながら、演技をするのだった
■立花 響 > 「なるほど……というと、ロウゲートさんって魔術師の方だったんですね。
流石の私でも使い魔という物は分かってますよ」
喋る猫。
ただその猫は使い魔だったらしく、色んな物が崩れたような気もする
…でも煮干し食べるのかなぁ、とか心の中で呟きつつ
「そっか。使い魔さんなら寮に持って帰る訳にはいかないですね
使い魔を使役するぐらいなら割と元気そうですから…大丈夫そうですね。良かった…」
ロウゲートが特に大事もなく無事でいるようで胸を撫で下ろす思いである。
ただ猫であることが無事であるかは定かではないし、
勿論目の前にいる猫がロウゲートという事には気付く訳もない
■ロウゲート > 「その段階まで記憶が無かったのか…にゃ…」
思わず口を開いたのは迂闊だったかもしれない
ほだされたのだろうか、そんな感傷が自分にあるとは思えないが…
「寮…寮というと…あの生徒が軒並みブチ込まれている…
中流層の生徒の集団住処か…にゃ…」
寮。寮というのは聞いた事がある、一般科ではない生徒が主に利用していると聞くから
魔術を使える生徒も何人かいる筈だ、友好的な奴とコンタクトできれば
魔力回収の効率が上がるかもしれない…住処なら油断しているだろうしな
「いや…主人とはコンタクトが取れなくて…野良生活だ…だにゃ…
生きてる、とは…思うけど…そう…俺…僕はパンを拾って過ごす生活だにゃ…」
喋りづらそうに口を開く、いくら猫だからって、この語尾は失敗だったな…恥しか沸いてこないぞ
■立花 響 > 「…記憶?
そういえばあの時葡萄の味が残っていたような…いや気のせいかもしれないけども
でもあの出来事は夢って言ってたし……あれ?」
不意に悪寒が響の身体を襲う。
まるで本能が思い出すな、と言わんばかりに拒否しているのだろうか、
やや顔色を悪くしながらも使い魔の方へ向き直る
「まぁ、そういう所ですね
ブチ込まれてるって言い方もすごいですけど…とりあえず人は多いですよあそこ」
自分の体調不良かも良く分からないが、出来るだけ気取られないようにせめて笑顔で応対する
「やっぱり煮干し食べないんだ…
あ、いや、一応食いつないではいるんですね。
ただ、私の所は見つかると怒られる場合がありますから部屋に閉じ込めちゃう感じになると思うんですよ」
それでもいいなら、と言ったところだろう。
それでもついてくるなら響がどうにかバレずに部屋で過ごせる環境は整えるつもりである
■ロウゲート > 「思い出さなくても良いんじゃないか…にゃ
葡萄の味は思い出にでもするといい、あそこには近寄ったら駄目って教訓にでも…だにゃ…」
「ヒトが壁一枚隔てた場所に居を構える心はよくわからない…にゃ
でも、今はその人の居る場所に行きたいのだ、この体では…」
思ったより猫の体は身軽ではない
元人間なのだから、使いこなすにも限度があるというもの
下手に学校に行けば捕まってしまう、丁度良い場所かもしれないぞ、寮。
「閉じ込め?ああ、大丈夫大丈夫…にゃ…
以前も名も知らぬチョロ…じゃない、優しい青年に寝床を分けて貰った
それと一緒だ、贅沢は言わない…にゃ」
そんなもの、いざとなったらダクトからでも抜ければ良いしな…良いぞ
これは今日明日には戻れるかもしれないな、と内心でほくそ笑む
何より、外で寝るのは結構ストレスなのだ
■立花 響 > 「あの頃の私は…落第街ってものを知りませんでしたから。
あの時何かを失う事が無くて本当に良かったと思ってます」
記憶が無いからこそ平和ボケしたようなそんな一言
あの時栞がいなければ響も今頃こんな所で曲を弾いていたりはしていなかっただろう
「人が多いですけどその分寂しさもないですし、
何より安いっていうのが一番大きいと思いますよ?」
住み心地は第一だろう、恐らくその次に値段だろうから大凡それで寮に入っている人も多いだろう
「まぁ、それでしたら…行きます?私の部屋へ
猫…というより使い魔さんのお口に合うか分からないですけど煮干しありますし、暫くは食べ物に困らないと思いますよ」
せっせとヴァイオリンをケースに纏めて立ち上がり、
やはり相手を猫と見ているのか無意識に手招きをしそうになるが、ハッとしてすぐにやめる
■ロウゲート > 「そう…そうだな…気をつけろ…にゃ…
この世には、理由の無い悪意が沢山ある……」
空々しい言葉だった
罪悪感などを感じる神経が自分にはあるとは思えないが
そう言葉にする時、なんだか少し胸に引っかかりを覚える
「寂しさか、俺には良くわからんセンチメントだ…にゃ」
友達とかいないしな、気楽なものだ
この世界の人間は難儀な習性を持っている
「食えるならなんでも…
いや、イカとかミカンとかはダメなんだな…猫だし…にゃ
でも、煮干はあんまり好きじゃ…いや、猫だから美味しく感じるかも…」
ひょこひょこと無意識に尻尾を振って後を付いていく
食料の問題は野生では重要なのだ
久しぶりに普通の物が食えるかもしれないな…
ご案内:「歓楽街」から立花 響さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に立花 響さんが現れました。
ご案内:「歓楽街」から立花 響さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」からロウゲートさんが去りました。