2015/06/20 のログ
五代 基一郎 > ◇落第街 地下賭博場 黄泉比良坂

屈強な男達が守る入口をパスして階段を下りていく。
薄暗い照明が明滅する階段通路を下りて行けば、落第街でもいくつかある地下賭博場が見えてくる。
地上の雑多な喧噪とは違い、吸い上げられた金による黄泉の国のような世界。

そこに吸い込まれ出ることも敵わなくなった者からみれば死者の国。
生きる者は引き返せ、とも取れる世界があった。

こうした場所は少なくない。といっても多くはない。
存在自体はそれなりに在るのだ。

五代 基一郎 > しかしそこで見たのは大勢の金を注ぎ込む落第街の住人でも
吸い込まれた者達を見る高みの見物をする一部の富裕層でもない。
落第街の人間とは思えない正装と、奇抜な衣装を着た者達がそこにいた。

人はいない。彼らだけがいる。
良く見れば異邦人も見える。

「どういうことかねこれは」

五代 基一郎 > 待ち合わせしていたらしき人間は椅子に縛られている。
予想していなかったわけではないが、流石に間抜けすぎやしないか。
誰が来たのかわかったのか、謝罪の言葉を呟いているが何を言ってるのか正直わからない。

「待っていた。この男が貴様のことを吐いてからだな」

この賭博場で一番目上と思われる男がジャラジャラと音を鳴らしながら
手の中で金属系の球体を弄っている。

「なんのことだか……」
「探し物だろう。こいつはお前にくれてやる」

縛られている椅子ごと掴み、持ち上げるとそのまま五代の近くに放り投げた。
破裂音と共に、椅子は砕かれ縛られていた男は苦痛に身を捩り唸る

五代 基一郎 > 謝罪の言葉を吐き出しながら、ようように縄から抜け出して
情報を伝えようとするが
「いや、いい。もう直接聞いた方がいいみたいだし。」

ほら行った行った、と司法的なことも含めて取引していた男を逃して
溜め息をつく。あまりこういう目立つことはしたくないし
どうこうしたくはなかったんだが。

「ならお察しだろう。君らが使ってる”ウィルマースの遺産”の一部。その情報を教えてくれないか」

ウィルマース。オーランド・ウィルマース。
元ロストサイン・マスター。その人物が残した工作の中には偽装IDのほかにもある特殊なものがある。
それが鉄道委員会で管理していない地下路線である。

それらの存在は未だに調査されているが解明は難しく。
またそれらは現在進行形で違反部活や残党が利用していた。

その一部を利用し、学園や公的機関の目の届かない取引をして財を成している。
ここの連中はその一つであると目星を付けて中にいる人間を引きこもうとしたわけだが。

「条件がある。ゲームだ。」
「ゲーム……ね」

五代 基一郎 > 「元生徒会執行部長の五代……貴様と俺、どちらが生きるか死ぬか。」

閉口する。そんなゲームあるかというのと
何を言っているのかわかっているのか、という怪訝な顔になる。
金属の球体を鳴らし、その言葉を放った後から
威圧的に目に見えぬ威圧的な空気を放つ異邦人の男。

「一応俺、現職の風紀なんだけど。それわかってる?」
「この街では強さこそ全てに勝る。そうだろう。」

言葉が通じていない。どうするか。
異能か魔術か。よくある賭場の用心棒というようには見えない。
テラスフロアにいる連中も気になるが。
何か妙なことに遭遇している気がする。

「行くぞ、ゲームの始まりだ」

五代 基一郎 > 「靴が駄目になったな……買い替えるか」
半ば焼けた右足の靴を掃いながら具合を確かめる。
だいぶ酷使していたが、やはりいざ荒事となると服装が痛む。

戦いの開始から5分もしない。
一部が焼けた賭博場の床。巨大な鉄球により潰された賭場の設備。
球体状にえぐれ、爆心地となった方々の中をゆっくり上階へ上がる。

テラスフロアの手すりごと破壊し、壁に磔にされた賭場の主を目指して。

戦いは5合程度で終わった。
”ザ・コア”という異能を持つ男との戦い。
それが単純なものではないのは想像するに固くないが、5つの接近のうち
2度、胸部に蹴りを打ち込むことで戦いは終わった。

賭場の主は胸を炎で焼かれながら磔にされていた。
喋れる状況でもないだろうが。

「聞こえている」
その声を、音ではなく別のもので聞きながら答えた。
テラスにいた他の連中がいない。

情報は仕入れた。その残りの連中を探すようにその場から駆け出す。

駆けだして少し。その賭場を出たあたりで賭場の主は賭場ごと爆発した。

五代 基一郎 > 横の繋がりがある。
遺産の一部を手にしている者達がいる。
その顔を覚え、1人ずつ探し出さねばらない。
まだそこに至るピースがたりない……故に、探し出さねばらないと。

炎上する区画の一部を背に落第街の闇に消えた。

ご案内:「落第街大通り」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にダニエルさんが現れました。
ダニエル > こつ。こつ。こつ。外套をまとった男の靴音が、落第街に響く。
巡回医である。頭部が猫である点、しっぽがひょこひょこと左右する点を除けば、通勤途上の教師に見えなくもないだろうか。……場所柄を除けば、も付け加えようか。

ダニエル > 今日は懐に余裕がある。
栄養剤を安く仕入れて、異能で事足りることも多いのだが、念のためすこし麻酔なども手に入れねばならないか。加えて、食糧の買い出し。そう思って、猫はこの大通りまでやってきた。

……相変わらず、この場所は騒がしい。この通りは、戦闘能力のないダニエルにとって、さほど居心地のいい場所ではない。馴染みの場所で面倒事を回避するすべは心得ているが、なにごとにもイレギュラーはあるものだ。まして、この都市となれば。

ダニエル > 馴染みの仲介業の元に顔を出す。

「やあ、ジャック。どうだね、今日の調子は」

棘のある言葉も、いわば愛嬌のようなものだ。
普段のやり取りを繰り返し、私は目当ての物資を補充する。

ダニエル > 仕事の時間だ。

物資と懐に余裕がある。ということは、誰を治療してもいい、ということだ。ぶらぶらと街を歩く。

組織間抗争で傷付いたと思しき構成員ひとり。
情夫に殴られて青あざをつくったも娼婦ひとり。
それぞれ治療をおこなった。

ダニエル > 今日はもうすこし足をのばそうか。
買い出しに時間を取られたのでさほど深煎りはできないだろう、が。元よりついでの巡回だ。気軽に、奥へ。

ダニエル > ……この街は、興味深い。

学園なるものがここまで巨大な生き物になると、かつて男は想像したことがなかった。

この大通りなどは最たるものだ。
何処にでもある悲劇と喜劇が、まるで路傍の石のように転がっている。

ダニエル > 薄汚れた建造物の庭先に、浮浪者たちが天幕を張って共同生活をしている。彼ら一人ひとりに声をかけ、購入したばかりの栄養剤を打つ。異能は必要ない。

……と、そのときのことだ。すぐ傍に、誰かが立っていることに気づいた。接近にはまったく気付かなかったが、この都市ではありふれたことだ。

それに、知っている顔だ。ことさら慌てることはない。

「おや、きみか」

ダニエル > 眼前に立つスーツの男は、さる違法組織のエージェントだ。
以前ダニエルが治療を施したことがある。

「依頼か。……構わないが、報酬は請求するぞ」

あるところから取るのがダニエルの主義だ。でなければ、このような診療方針は打ち立てられない。いくらだ、と聞かれてふっかけるが、男はそれでも頷いた。どうやら、急ぎらしい。

ダニエル > 「……やむを得まい」

帽子を深々と被り、開いた医療かばんを手早くまとめる。ここでできることは多くない。次なる無料診療のためにも、資金はあるに越したことはない。

「それで、君の頭領だったか。彼に"代償”のことは話したのかね?」

ダニエル > ダニエルの治療魔術はほぼ万能といえる――死者、虚弱なもの、衰弱しきったもの、そして異能の影響こそ治療できないが、それ以外はたいていの病を解決できる。

しかし、なにごとにも代償はある。

ダニエル > 猫化。

治療から数日間の間、存在がより"猫に近くなる”。

ある者は猫耳が。ある者はひげが。ある者はしっぽが。ある者は語尾が――変化する。ダニエルの受けた異変が混じるのだ。克服しようとして、どうしてもできなかった副作用――

ダニエル > 違法組織の頭領の語尾に「にゃ」でもつこうものなら、しばらくビジネスの場に立てまい。そうした点を案じてのことだったが、どうやら委細承知のようだ。であればダニエルとしても、それ以上断る理由を持たなかった。

「行こう。患者を待たせるのは性に合わなくてね」

ダニエル > 巡回医とスーツの男は、闇のさらなる奥へと消えた。
ご案内:「落第街大通り」からダニエルさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > (落第街の片隅にひっそりと居を構える店舗に蓋盛は入っていく。
 いつものような白衣ではなく、革製の黒いジャケットを着込んでいる……)

蓋盛 椎月 > (淀んだ薄暗い空気の店。
 ところ狭しと銃器の類が並んでいる)

(大変容以後、既存の銃刀法はほとんど形骸化してしまった。
 しかしそれでも大っぴらに武器が販売されるようなことは少なく、
 こうした裏通りで販売が営まれている事が多い)

(並ぶ銃器には目もくれることなく、
 中年男性が佇むカウンターへと向かう)

蓋盛 椎月 > 『誰かと思ったら保健医の姉ちゃんか。
 タマが足りなくなったのかい?
 いつものやつなら……』

「いや違う。アレが必要になるかと思ってね。
 アレ。黒い奴」

『……《虚弾(ホローポイント)》か』

(店主の男性が小さな箱を取り出す。
 開いてみると、そこには光を反射しない
 漆黒の弾丸が詰まっている……)

蓋盛 椎月 > (《虚弾》。対異能者/魔術師/怪異用の弾丸だ。
 殺傷性は一般的な銃弾と変わりないが、
 射線軸上の超自然効果をキャンセルしてしまう特性を持っている)

(示された価格に蓋盛が難色を示す)

「高くない?
 《魔術師喰い》が出た関係?」

『それもある。まあ、単純に政情不安だな。
 お前も知ってるだろ、元・ロストサインメンバーが――』

「政情不安なのはいつものことでしょ。
 単に不景気って言いなさい」

『チェッ。で、どうすんだ、買うのか、買わんのか』

(無言で紙幣を何枚かまとめてカウンターに置く。
 一般的な弾薬を買うには高すぎる対価)

蓋盛 椎月 > 『しかしまたどうした。
 必要ないとか言ってなかったか?
 殺したい異能使いか魔術師でも出来たか』

「まさか。違うし、そもそもこんな玩具があるからって
 殺せるようになる奴なんてそうそういないよ。
 ……まあ、“お守り”みたいなもんかな」

蓋盛 椎月 > (《虚弾》は実際、戦闘向けの異能を持たない人間が
 護身用として買い求めることもある。
 しかしそれが有効に使われた例は少ない)

(当然の話だが、イノセントが能力者や怪異に襲われた場合――
 立ち向かうよりも、逃げるほうが圧倒的に生存率は高い。
 もちろん逃げてもどうにもならないこともあるが、
 この界隈で有名な“虞淵”――彼は異能者ではないのだが――などは
 逃げる弱者を悪戯に追ったりはしない)

蓋盛 椎月 > (ナイフや猟銃を手にしているからといって、
 人間が熊や虎に勝てるかというと全然そんなことはない――
 それと同じ話である)

(落第街に居を構える必要のない一般学生や教師であればなおさらだ。
 治安の悪さに怯える一般生徒は多いものの、
 自ら危険な区域に踏み込んだりしなければ
 そう命を落とすような事態には遭いはしない……)

(ということは蓋盛も知っているのだ)

「使うような事態にならないといいね、ホント。
 ……んじゃ、また。長生きしてね」

ご案内:「落第街大通り」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 白衣の男はごく自然に、まるでコンビニにでも入るかのように、店に足を踏み入れた。
並ぶ銃器を一瞥するも、特に気になるものはない。
強いて言うならば、ベネリM4ショットガンの払い下げモデルは、なかなかに見栄えがいい。そのくらいの感想しか持たなかった。

蓋盛と同じようにカウンターへ向かい、バッグをカウンターへ乗せる。
「いつもの“教材”をたのむ。それから……そうだな、焼夷手榴弾と、マグナムを3ケース、ミニガンの弾をフルパック……そのくらいでいいか。」
コイツは戦争でも始めるつもりだろうか。

なお、普段と違う服装の蓋盛には、顔さえ見なければ気づきもしないし、それこそ気にも留めないだろう。

ご案内:「落第街大通り」に来島さいこさんが現れました。
蓋盛 椎月 > (知った顔が堂々と店に入ってきて眉を動かす。
 とりあえず“変装”は効果があるらしく気づかれていないようだ。
 こんな場所になんでいるのか問い詰められても面倒だ)
(《虚弾》のパックを受け取り、獅南とすれ違うようにして銃器店を出ようとする、が……)

「どっかにカチコミでも仕掛けるんですか、獅南先生」

(よせばいいのに、ついつい半笑い気味で背中越しに声をかけてしまう)

来島さいこ >  軽く周囲の様子を伺ってから、店の中へと入る。
 この店はマシな方か、と思えば店内を探り始めるだろう。
 が、中々見つからない。ジャンルが違うのだろうかと首を傾げる。
 
 この店で何件目になるだろうか。
 探しものがあるのか、店主に尋ねるとする。

「吹き矢用の矢弾と弛緩毒を探しているのですが――」

 そう、店主に尋ねるだろう。

来島さいこ >  ……声に振り向き、思わず見てしまう。
 一人で戦争をおっぱじめるのだろうか。アクション洋画でもそう見ない光景に、視線が釘付けだ。

(うわ、容赦無いかも)

獅南蒼二 > 変装は十分に効力を発揮している。
少なくとも、周囲を警戒していない人物に対しては。

声をかけられれば静かに振り向いて、
「……不良教師が、こんなところで会うとはなぁ?
そんな熱い展開なら面白いのだが、見ての通り、これは“教材”だ。
私の授業では、どうしても大量に必要になるのでね。」
言いつつ、この男はなんと、学園宛で領収証を貰っている。

どういう魔術か、これだけの弾薬が……経費で落ちるらしい。

来島さいこ >  
「多分、噂の噂の異能嫌いの先生だよね……
 あっちの人……うーんと、どっかで見たような……確か、保険医辺りで……」

 ポツリと呟きながら、二人のやりとりと眺めている。

蓋盛 椎月 > 「あいにくとここは火器しか取り扱ってないよ。
 ブローガンならよそをあたったほうがいいんじゃないかな」
(店主の代わりに、さいこにそう教える)

(振り向く獅南に、蓋盛は皮肉げに口を歪めて)
「不良教師はお互い様ですよ。
 まさか同じ店の馴染みだったとはね……。
 前にも物騒なこと言ってましたけど、獅南先生の授業って何やってるんですか。
 ……いったいそれを何に向けるんです?」
(まさか生徒に? という意味を言外に含めて)

来島さいこ > 「あ、ありがとう。やっぱりここもダメみたいだねぇ……
 ……となると、スタングレネードの類も無いのかなあ。」

 誰かな、と思ってた所で声を掛けられる。店主も頷いた風に見えた。
 ……はぁ、と溜息一つ。そして声を聞けば、もやもやとしていたものが鮮明になり――

「……保険医・もしくは養護教諭の先生?」

 名前は出さずに小声で尋ねてみるだろうか。

獅南蒼二 > 「なんだ、ここは教員御用達か?」
さいこの方へ視線を向けて、肩を竦めた。
この男は、さいこが教員であることを、把握しているようだ。

蓋盛の方へと向き直って、
「異能を持たぬ者が異能者に対抗するための魔術戦闘術だ。言ってみれば、護身術の発展型だよ。
……向ける相手?
銃は何のために存在するのか、考えるまでも無いことではないか?」
返答は、ごく当たり前であるかのように、言外の言葉を肯定する。

蓋盛 椎月 > (そう訊かれて、彼女のような教員がいたことを思い出す)
「ええ、養護教諭ですよ。
 吹き矢にスタングレネード……そちらは護身グッズでもお探しですか」

「教員御用達ってイヤな武器屋だな~
 ナントカの温床って感じ」
(学校でそうしているような、緊張感のない笑い)

「魔術戦闘術……ですか。獅南先生は随分と先進的ですね」
(この現代においても近代兵器を使わない魔術師は多い。
 術式の都合であったり、美学の問題であったり。
 そこへいくと獅南のようなスタイルは珍しいと言える)
(返答には、真似るように肩をすくめる。もはや言うこともない)

来島さいこ >  
「私は一見さんだよ。
 吹き矢の矢弾を中心に色々探しているんだけど、マイナーすぎるみたいで中々売ってなくて……」

 困った風な苦笑を浮かべてみせて、溜息を一つ。 
 緊張感のない声を聞けば、つられるようにうふふと笑う。

「うふふ。椎茸の温床だっけ?
 ……うん。ここに来た目的は大体そんな所だよ。
 吹き矢は狩猟用でもあるんだけど。」

 そう言って、横ポケットから筒の入った袋の中身を取り出す。
 筒のようなものが、見えるかもしれない。
 

「 本当、最近は物騒だからねえ……怪異も多いみたいだし……
 ……ええと、先生は此処の常連さんかなあ?」

 ふんわりとした調子で尋ねるさいこの立ち居振る舞いや声、態度の調子は、
 先生と言うには若々しく、時折生徒のようにも見えるかもしれない。

獅南蒼二 > 「ははは、お前や私が訪れている時点で、既に相当、諸悪の根元臭が漂っているさ。」
蓋盛の言葉には楽しげに笑う。
色々と自覚はあるようだ。

「単純に考えて、ミニガンと同じ威力の魔術を使える魔術師は数えるくらいしかいないだろう?」
単純な威力であれば、現代兵器にも見るべきところはある。
銃と同じ威力を発揮するのは困難だが……銃を持っただけの相手を倒すのは容易い。
それこそが魔術だと、獅南は語っている。
「使えるものは何でも使う主義でね。
お陰で魔術学界隈でも、変人扱いだ。」

獅南蒼二 > 「吹き矢か……たしかに、規格品は少なそうだな。
そもそも、共通の規格があるのかどうかすら怪しい。」
肩を竦めて、話を聞きながら……
「自作できる職人を探した方が早いかもしれんな。」

蓋盛 椎月 > 「使えるものはなんでも、か。
 泥臭い考え方ですね。キライじゃないですよ」
(持たざるもの特有の考え方でもある)

「通好みのチョイスとは思ってましたが、狩猟用ですか、なるほど」
(このご時世もっとインスタントな護身武器がいくらでもあるだろうし)
「馴染みの顔ではありますが……常連、というほど熱心な客じゃないですね。
 落第街なんておっかなくてそうそう頻繁には出入りできませんよ。
 さいこ先生はビビったりはしないんですか」
(苦笑して。
 年若い外見の教員などここでは珍しいものではないが、
 さすがに落第街の銃器店では違和感甚だしい)

来島さいこ > 「ううん、そうだよね……
 ……作ったことがないから不安だけど、自分で作ってみようかな。
 何から作れば良いのかなあ……えっと、棒から?」

 きょとん。
 軽い調子で小首をかしげ、何気はなしに獅南へと尋ねた。

「うん。それに目立たなくて場所を取らないのも好みかも。
 銃も使えない事はないんだけど、私が忍ばせておくならこっちかも、って。」

 暢気な調子で語りながらも、筒を軽く回して遊んでから仕舞う。

 ……幼さの残る姿は、此処ではやや浮くだろう。
 とは言え当の本人は、あまり周囲を気に掛ける様子を見せない。

「うふふ。あんまりおどおどしすぎても、逆に目立っちゃうからね。
 それに、先生になる前は落第街にも良く居たからね。それで慣れているのかも。」 

獅南蒼二 > 「あぁ、私には魔術の才能も、無尽蔵の魔力も無いからな。」
肩を竦めてそうとだけ呟けば、購入した弾薬を、宙に浮かべるように持ち上げる。
どう見ても、才能が無いようには見えない。

「さて、すまんが、先に戻らせてもらうよ。
あまり長居して、本当に教員御用達などと噂が立っても面倒だ。」
楽しげに笑いながら、男は背を向けた。
振り替えることもせずに、店を歩き去る。

ご案内:「落第街大通り」から獅南蒼二さんが去りました。
来島さいこ >  
「あっ、うん。またね。獅南先生。」

 浮かせる様子に、"魔法かなぁ"なんてふんわりとした感想を抱きつつも、
 言葉と共に、見送るだろうか。

蓋盛 椎月 > 「……そのわりに結構ホイホイ魔法使うな~」
(この間もライター代わりに魔法使ってたし)
(なんて呟いて獅南が去るのを見送る)

「アルミパイプから作ったりするらしーですね。
 あたしも詳しくは知りませんが」

(吹き矢を咥える少女教員の姿は少し微笑ましいかもしれない、
 などと蓋盛は想像する)

「なるほど、そりゃ大したもんです。
 あたしなんかはしがない一般市民ですからね。
 こんな恐ろしいところ、いつまで経っても慣れませんよ」
(などとおどけて言ってみるが、言葉ほどには怯えているようにも見えない)

(“落第街によく居た”、つまり二級学生かそれに相当する存在だったのだろうか?
 という考えはすぐに浮かんだが、過去について触れるのは趣味ではなかった)

「さて、あんまり長話してても店主にどやされる。
 あたしもお暇しましょう。ではまた」

(会釈して、銃器店を後にする)

ご案内:「落第街大通り」から蓋盛 椎月さんが去りました。
来島さいこ > 「あっ、うん。またね。先生。」

 アルミパイプ。そう記憶に刻み込みつつ、見送っただろう。

「……あ。何も買ってない。
 ううん、何も買わないのも……ごめんなさい、失礼します。」

 既に長居した以上、無理に探してもあまり印象は良くないだろう。
 銃を買うにしても下調べと軍資金の調達が済んでいない――ともあれ、足早にその場を去った。

ご案内:「落第街大通り」から来島さいこさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にスラッシュさんが現れました。
スラッシュ > (今日は受けじゃなくて攻めで行こう)
一本外れれば暗く狭い路地。
ココならばお客を捕まえたらそっちに移動すればよい。

今は午後11時になったばかり。
表の世界がそろそろ眠り始める頃、この町ではやっと動き出したものも少なくない。
彼女もその一人だ。

腰まで届く長いポニーテール、謎のネコ耳カチューシャ。
ギラギラ輝く猫のステッカーを付けた地味なトランクを引き、見た目のうるさい女が現れた。

いつもならへらへらと笑っているところだが、今日は何だか重い表情だ。
最近の不調はかなり応えているのだ。
ふぅーっとため息を吐くとトランクに腰掛けた。

スラッシュ > 小さな路地の入口から、通りを眺める。
いつになく真剣な表情で通りを行く人の顔をじろじろと。

「あ~やってられんのニャー…。」
胸ポケットから煙草を取り出すと一本咥え火をつける。
最近の失敗から、確実にお客は選ばなくてはならない。
しかし、そもそも通る人が少ないのだ。
歓楽街であればこんなことではなかったのに。
己風紀め公安め。

そんな苛立ちが彼女に煙を促す。