2016/05/31 のログ
ご案内:「落第街大通り」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ > 【とても乱入歓迎です】 

 空き缶を蹴る音が一つ。
 
 空の器は乾いた音を響かせて、蹴り出された勢いのままに転がり続ける。
 路傍の段差にぶつかって、漸く止まる。

「……。」

 ……特にここに来た理由はない。
 ここが危険な場所とは分かっているけれど、どうにもこう思ってしまうのだ。
 "何処にいても危険だ、と。"
 一朝一夕で拭い切れぬ諦念が、無意識の内に危機感を壊していた。
 
 

水月エニィ >  
 昨日は知人の留以と遊んだ。
 それは今までなら考えられぬ事だったし、得がたい体験ではあった。
 だからきっと、この落ち着かなさはその余韻なのだろう。

「……恋愛映画なんて初めてみたわ。」

 ぽつりとつぶやく。
 彼女と見たのは好まれやすい恋愛映画。
 悪くはない、定番且つ手堅く、安定した質の作品だ。
 いいものだ、と思う。
 

水月エニィ > 「ああ言う映画も、いいものね。
 最近のトレンドはあんな感じなのかしら……」

 ぼけっと想起しながら、落第街の路を歩く。
 むせるとまではいかずとも、淀んだ空気が漂う路。

 ここがどういう所かもわかっているし、理性では危険だともわかる。
 だけれど。

「慣れちゃってるわねぇ……ん、謎肉の干し肉。」

 とてもとても慣れている。
 このような所が日常だったからこそ、当たり前のようにしてしまう。
 もしもや下見と言う建前こそはあれど、もう十分なはずだ。
 銭で干し肉を買って、口に含む。


 

水月エニィ > 「ッ――」

 実際辛い。
 臭みも強く処理も粗雑、質の悪い肉を何と調味料で誤魔化して食べられるようにしたものだ。
 咽たものの、落ち着いて咀嚼し、飲み込んだ。

「く、ふぅ……。」
 

ご案内:「落第街大通り」に鞍吹 朔さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に”マネキン”さんが現れました。
鞍吹 朔 > 「貴女も懲りないですよね、本当に。」

その背後から、いつの間に居たのか声がする。
前に聞いたような声だが、少しだけ息が上がっている。

「スリルに飢えてるんですか?それとも何か落し物でも?」

”マネキン” > 【落第街に場違いな見た目の少女二名の様子を、その進行方向の物陰から観察している。
片方が咽た様子を見て、木箱から瓶入りの飲料を取り出した。】

【視界内にいるだろうが、まだ声はかけていない。】

水月エニィ > 「……って、貴方だったの。
 全く気付かなかったわ。」

 何時から居たのか。振り返れば彼女が居る。
 ……息が上がっている事に気付けば、眉を顰めた。

「……映画みたいに息が上がっているけど、どうしたのかしら。
 追われていたの? それとも、ダイエットのジョギング中?」
 
 フードの男には、まだ気が付いていない。
 

鞍吹 朔 > 「………。」

息を吸って、吐く。
その一息で呼吸を整え、またいつものセメントのような感情の乏しい声に戻る。

「いえ、別に。少し野暮用がありまして、急いで戻ってきたんです。
 もう終わりましたけどね。」

そう言って、スカートの裾を払う。
……薄っすらと、首筋に赤い点が見える。

”マネキン” > …そこの娘。
干し肉だけじゃ口の中が乾くんじゃねえか。

どうだ、まけて置くぜ。

【片方が振り返った時点で、その死角からゆっくりと立ち上がり、近づいた。
呼びかけと共にスクリューキャップで密封された炭酸ジュースを突き出す。】

【フードで顔は見えないが、微かに見える口元は笑みを浮かべていた。】

水月エニィ >   
「ええ、とても乾くわ。
 ……負けてくれるなんて嬉しいわね。
 おひとつ頂きたいけれど、御幾ら程?」

 迷うことなく炭酸ジュース受け取って、小銭入れを取り出す。
 視線が辛うじて見える口元に向かっている。笑みを認めたのだろう。
 支払いの準備の中、視線をフードの男に注いだまま朔に声を返す。

「そう。お疲れ様。
 女の子なんだから、ちゃんと汗を流すのよ。」
 

鞍吹 朔 > 「………。」

ちらり、とそのフードの男を見る。

「……変な人に物を貰ったり売られたりするのは良くないですよ。中身なんていくらでも、どうとでも出来ますから。
 ええ、本当にどうとでも。商人より自販機のほうが信用できます。」

無表情に言い放つ。だがこれはフードの男に向けた言葉ではない。エニィへの忠告である。
『これだけの大声で言えばフードの男にも聞こえてしまうかもしれない』が。

「私、初見の人は基本的に信頼しないことにしてるので。
 ここが落第街ならなおさら。」

”マネキン” > 60円だ。
ああ、返品とか文句は勘弁してくれ。

【代金を受け取ると、置いてあった木箱の元に戻る。
普段はスラムにいるが、珍しく大通りでがらくたを並べているようだ。】

そういうな。
他にも何かと扱っているんだぜ。

どうだ、みていかねえか。

【シートの上には雑多な、そしてぱっとみ害にならないものが並んでいた。】

水月エニィ >  
「そうね。」

 忠告をさらりと流し、提示された金額をそのまま支払う。
 そうしてから、中身を確かめる事なく飲み込んだ。
 きっと何が入っていても飲み込んだ。
 
「待って朔。自販機だって中身を補充している業者が居るのよ。結局それも人が絡むの。
 むしろ誰も補充しないで独立している自販機の方が怖くないかしら。
 補充もせずに販売出来るなんてちょっとした恐怖じゃない。」

 冗句交じりに軽口を叩き、シートの上の商品に興味を向ける。
 視線を向ける頃には、ジュースはぱっと飲んだ感触がジュースならば空になっていた。

「商品の幅が広い気がするけれど、中古屋さんも兼ねていたりするの?」
 

鞍吹 朔 > 「………。」

飲み込む姿を見て、溜息をつく。
ああ、なるほど。生来こういう生き方だったのだろうか、などと建設的でないことを考えながら。

「私は、悪意を持っているかもしれない一個人が売っている飲み物より、
 企業がメリットだけを見て補充する自販機のほうが安全だ、と言いたいのですが。リスクとリターンの問題です。
 ……まあ、それはどうでもいいことですね。」

そう言って、眼帯とメガネの位置を気にする。
ついでに、後ろから並んでいる商品を見た。

”マネキン” > そっちの娘の言うとおりだ。
落第街にある自販機なんてろくなもんじゃない。

ああ、いや。どこにある自販機もろくなもんじゃないがな。
ひとついい話を教えてやろう。
この学園島ではどこかに”自販機に擬態した何か”が出没するって話だ。

まあ、だからといって何が危険か、なんて考えるだけ無駄だがな。
九九九。

【キャップは密閉されており、瓶の中身は味も中身も普通のコーラのようだ。
もう片方の地味な少女のほうに視線を向けて忠告する。】

こんな場所だからな。
そういったがらくたがどうしても中心になる。

新品や純正品がほしかったら、大人しく商店街にいくんだな。

【商品は何かの歯車やねじ、鉄くずから魔法的な小瓶、たいしたことの無いシルバーアクセサリー、妙な形のナイフなど
多岐にわたっている。
それが違法性が強くなく、興味を持つものであればこの場にあっていい。】

水月エニィ >  
「それは怖いわね……何でそんなものが産まれたのかしら。」

 新参故にその噂は聞いた事はない。
 今一イメージが掴めず、怪しげに点灯して人を寄せたかと思えばいきなり両手足を生やして人を襲う何かを想起した。

「そこそこに同意するわ。コーラ、美味しかったわよ。
 見た事のないブランドも捨てたものじゃないわね。いえ、それで十分よ。
 ブランドがなくて売れなくたってって、中身が劣るとは限らないもの。
 ま、ブランドは強いからブランドなんだけれど……」

 よほど強いか、縁のあるものでもなければ魔法的なものは良く分からない。
 薬品ならば尚更だ。

「必要なものはないけど……あ、この雑誌って早売りじゃない。
 ――これ、買っていって良いかしら?」
 
 目についたものは皺の出来た、読み込まれた痕のある週刊誌。
 大したものではないが、一般の発売日は明日だったはずだ。
 

鞍吹 朔 > 「……。根も葉もない噂話を信じて喉を乾かしながら行動するのも馬鹿らしいと思いますが。
 そんな事を言えば何も出来なくなりますよ。目に見えて大きなリスクを避けて生きればいいんです。」

リスクばかりを背負って生きている女性が言う言葉ではない。
まあそれはいいとして、売りに出されているガラクタを見た。

「……見事にガラクタと胡散臭いものが並んでいますね。
 道楽で商売をするにしてももっといい売り物があるのでは?
 仮に『実は価値がある』という代物でも買おうとはあまり思いませんが。」

いちいち失礼な子だった。
……だが、その中の一つに目を留めた。

「…………。これは…。」

それは、小さな赤色の髪留めだった。同じく赤色の、小さな花がくっついている。
普段は見た目には最低限しか気を使わない朔にしては珍しい。

”マネキン” > さあ?しらねえよ。
まあ代金のおまけ程度におぼえときゃいい。

根も葉もないかは、先輩にでも聞いてみるんだな。

そうか。何か入っているか疑っているか?
だがな、そういう場合は小細工する必要もない。大抵飛び掛ってしまえば済む。
そう言う場所だ。

【懐から警棒型のスタンガンを取り出して見せる。
護身用のようだ。すぐにしまう。】

雑誌か。適当に拾ったものだったか…
まあいい。金を払ってくれるなら売るぞ。

あたりまえだが。
そう価値のあるものを並べている店があったとしたらそいつは
「襲ってくれ」
って看板にかいてるってことだ。

…何か気になるものでもあったか?

【週刊誌の値段を本来の半額程度に言う。
そしてもう片方が気にとめた髪留めをその手でつまんで見せた。】

水月エニィ >  
「半値分、確かに置いたわよ。
 ……でも、確かに朔の通りね。ジュースにしても雑誌にしても、随分と気前が良いじゃない。
 そんなものなのかもしれないけれど、 これだけ で生活できるのかしら?
 ……あ、ジュースもう一本良いかしら。」

 雑誌片手に小さく笑ってみせて、目を覗こうとしながらも何気ないように尋ねてみせた。
 スタンガンにも、特に怯える様子はない。

「朔、それは案外"何でもできる"かもしれないわよ。
 だから何だって話だけれど………ん、それが気になるの? 朔。」

鞍吹 朔 > 「飛び掛かってしまうだけで済む程度の人物が多いなら、ここもそこまで治安は悪化しなかったでしょうけど。
 ……まあ、建設的でない話はここまでにしましょう。本人が気にしてませんし。」

そういって、髪留めをじっと見つめる。

「………。
 すみません、これ、いくらですか?」

何か、珍しいか懐かしい物を見るような顔のまま、財布を取り出した。
何か、思うところがあったようだ。

”マネキン” > 気前がいい?がらくたはがらくただ。
この落第街で取引される実際の商品ってのはそういうもんじゃない。

ああ、ジュースはこっちだ。

【椅子にしていた木箱から先ほどと同じ、瓶入りのコーラを取り出す。
黒い筒状の鉄の塊もなかに見える。すぐに蓋を閉じた。】

…詮索はなしだ。60円。
そちら側に踏み込む意思があって、知っていると言うのなら別だがな。

だが今のあんたには資格がない。
資格がないってことは、ここでは獲物だってことだ。

帰りは気をつけな。

【瓶入りのジュースを渡す。】

そいつか。
…そうだな。ただでいいぜ。もっていきな。疑い深い娘さんよ。

【楽しげに口元を歪めた。】

水月エニィ >  
「"必要に迫られての商売ではない"。それだけで十二分。道楽ならば道楽で応えられる。
 と言うかそこまでばらしてくれるなんて随分と親切ね。」

「でも大丈夫。私みたいな負け犬はどこに居たって獲物に至るから。
 ……ごちそうさま。ジュース、美味しかったわ。美味しい思いが出来たわ。」
 
 飄々な調子を変える事もなく、追加のジュースを購入する。
 そして瓶のふたを指で開け、飲む。
 
 ……朔とパーカーの彼のやり取りには特に口を挟む様子もない。
 但し自己へ向けられるそれと違い、強く気に掛けてはいる。」

鞍吹 朔 > 「…………。」

少し眉をしかめて、受け取る。
しかし、次の瞬間にはすでに顔は元に戻っていた。

「………ありがとうございます。」

素直に礼は言う。…嬉しそうには見えない。
むしろ、思い出したくないものを思い出してしまったかのような、そんな雰囲気。

”マネキン” > さっきの話だが本当の危険って言うのは怪しい商人の先の自販機、
そういったところに混じっているもんだ。

落第街では当たり前のことを当たり前に言っているだけ。
たいしたことじゃーない。こんなのただの世間話だ。

【小ばかに肩をすくめた。】

どうした?
手には入ったんだ。喜べよ。

代金を払えば素直に手に入る、なんての
ここのルールじゃないんだぞ。何を縋りにしてるんだ。

【いくつか商品が売れると、店じまいの準備をはじめた。
シートにガラクタをそのまま乱暴に包み、大きいものはそのまま木箱に放り込む。】

…ああ。
親切だって言うならついでだ。

高峰司っていう生徒を知らないか?
印象とか、感想でいい。