2016/06/01 のログ
■水月エニィ > 「そうね。失念していたわ。
でもそうねえ、当たり前は当たり前じゃないを認識する為にあるのよ。」
「……高峰司?」
尋ねられ、小首を傾げ、割って入る。
「ええ、この前の休日に演習場――演習施設で出会ったわ。
魔術を秘匿したいのに公共の場を使う子、ちょっと素直じゃないものね。
私程考えないみたいだけれど、私に比べて打算的で、勝気もある子だったかしら。
あと、打算的なのに変な所で義理堅い子ね。」
ここまでは、何の変哲もない感想だ。
そうしてからふと、思い出したように言って見せる。
少し、思案して。
「ああそうそう。
その子の弟の"高峰 士(つかさ)"って子がこの島にやってきて、
高峰 司を探していたわ。凄く良くできた子だけど、随分と"すなお"な瞳をのぞかせたわね。
ツテまで使って兄の行方を捜して、話がしたいって言っていたわ。
アレくらいなら手段は択ばないのでしょうけど、一体、どんなツテなのかしら。
それでその子の頼みで高峰 司を探しているのだけど、中々見つけられないわね。
生徒に話を聞いても、成果は乏しくない。」
――そう、何でもないように事細かに話す。
……ツテで人を追える能力がある。出来た性格を持ち、魔術師の弟。
そして何よりあの不躾(すなお)な瞳。話しても構わない、あるいは、望むだろうと。
故にフードの彼にだって話す。そのような判断だろう。
■鞍吹 朔 > 「手に入れたからといって、誰でも手に入ったことに喜ぶとは限りませんよ。
……貴方には分からないかもしれませんが。」
そう言うと、そっとヘアピンをポケットにしまう。
「手に入れたくないけど、手に入れさせたくないんですよ。
……これも、非建設的なのでやめましょう。」
そう言って、手を強く握りしめた。
その手は、少しだけ震えている。表情は一切変わっていないが、そこだけが感情を抑えきれていないように見えた。
「……いえ、知りません。
…いえ、ルーン術方面の試験で好成績を出していた生徒がそんな名前だったような。
その程度ですね。」
■”マネキン” > 打算的で勝気、魔術使いでルーン方面ね。
ああ、ちょっと拾ったものに名前があったからな。
取り戻しにくるようなやつかどうかだけ、確認したかったのさ。
(真っ赤な嘘だが。)
【片手を上げる。
追加の情報に礼を述べる言葉をとめた。】
…弟?
わかった、さっきの今でそう言うのなら気にかけておこう。
そういうことなんだろう?確かに家族のほうが危険ってこともあるだろうしな。
【もう片方の地味な娘に振り返る。】
いいやあ?
かまわんぞ。
どういう考え方をしようと自由だ。
誰が文句を言うことがある。
【おおむね片付けは済んだようだ。木箱を抱える。】
■水月エニィ > 「あ、大きな帽子をかぶっていたわ、その子。
アレで目を隠しているみたい。何を考えているか分からないけれど、
大きな家族げんかにならないと良いわね。」
肩を竦めてため息一つ。
「対照的だけど、どっちも素直さを隠している素直じゃなさよ。
ツンデレって言うのかしら……と。また雑誌でも買いに来ましょう。」
……抜けに気付けば補足する。事細かくはなかった。
流すような冗句で言葉を締めくくり、店じまいと判断すればまた来る旨を告げた。
「さて、そろそろ行きましょうか。朔。
…………貴方が襲われるのはちょっと困るわ。私より強いのは知っているけれど。」
■鞍吹 朔 > 「………。」
再び溜息をつくと、ふっと手の力を抜いた。
「まあ、何を目的に人探しをしてるのかはわかりませんが、面倒は起こさないようにしたほうがよろしいかと。
勘ですけどね。」
移動を促されれば、そのまま付いて行く。去り際、ちらりと露天商を見た。
奇妙な目だった。妙に乾いて、固まりきったどす黒い目。その奥に、何か感情が淀んで渦巻いているような。
そんな、不思議な目だった。
「…ええ、行きましょう。
大丈夫です、襲われても貴方だけは無事に帰しますから。」
■”マネキン” > 【フードを押さえて目深に被りなおす。】
(もう片方がいなければ襲っても良かったかもしれんが。
いや、そちらのほうが実験には都合がいいか?
まあ、あの調子ならまた来るだろう。”リスト”と照合しておくとしよう。)
じゃあな。気をつけな。
【木箱を抱えたまま路地の奥へ消えていく。】
ご案内:「落第街大通り」から”マネキン”さんが去りました。
■水月エニィ > フードの彼を見送る。
当然追うことはしないし、もしも朔が行こうとすれば意思を持って手で制止するだろう。
「道楽の商売は有難いわね。
それで儲けようとしないのだから、それだけならば貧者にとってある種の救いよ。
大抵裏はあるものだけど……ま、そういうものよね。」
息を吐きながら、空きビンを整備されていないゴミ箱に捨てる。
持ち帰っていてはキリがない。
■鞍吹 朔 > 「………貴女は裏に触れすぎて擦り切れているのでは。
まあ、それも詮なき事ですね。この世が本当に善意だけで回ってるならよほど嬉しいのですが。
……さあ、帰りましょう。長居する場所でもありません。」
そう言って、エニィの一歩前を歩き始めた。
ゴミ箱の周りには、様々なガラスの破片や赤黒いシミ等が落ちている。
また掃除しなければ。朔はそう思った。
■水月エニィ >
「"回っていないに決まっているじゃない。"
回しもされないものをどうして回るなんて言えるのよ。」
強く断言する。
その言葉には、呪いのような寒気が渦巻いた。
そうして、朔の後ろを歩く。
周囲の景色は把握しているが、特に気にしてはいない。
かと言って週刊誌を読んでいる訳でもない。
「……最寄りのファミレスに寄っていきましょ。
セットで出てくるフォカッチャにオリーブオイルを付けるとまたおいしいの。」
■鞍吹 朔 > 「………。貴女は…… いえ、これこそ一番詮なきことでしょう。
希望ですよ、ただの。私はこの世の中が大嫌いですが、絶望してはいませんから。」
そういって、少しだけ鳥肌が立った腕を押さえる。
腕に、少しだけ「返り血」が付いていたことに気付き、払い落とした。
「……ええ、分かりました。そうしましょう。」
朔は、ぐっとポケットの上からヘアピンを握り、そして離した。
その真意は、定かではない。その定かならざる真意を引きずりながら、落第街を後にした。
ご案内:「落第街大通り」から鞍吹 朔さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から水月エニィさんが去りました。