2016/07/04 のログ
獅南蒼二 > 2本目を差し出されれば苦笑交じりに受け取った。
「正直,あまり酒に強い方でもないのだがなぁ。」
なんて言うその言葉も嘘ではないだろう。
積み重なった疲労も相まって,酒の周りは早い。

「……自由な身分の方が都合が良いか?
 アンタもよくよく,危なっかしい女だな。
 まぁ,なんだ…本当に“学びたい”のなら何時でも言ってくれ。」

「私とアンタの仲だからな。」

楽しげに笑い,貴女の言葉を貴女に返す。
本当に必要とするのなら,この街の生徒と同様,身分など必要ではない。
2本目の蓋を開けて,今度は先ほどよりもゆっくりと,呷りつつ…

「…あぁ,確かにアンタは喧嘩の“後”が専門か?
 いや,場合によっちゃ喧嘩にも首を突っ込むんだろうが。」

少しだけ皮肉を込めて問いかける。
……蕎麦を押し付けられることに関してはもはや何も言うまい。

蕎麦屋 > 「酔いつぶれたら、その時は責任もってお届けしますよ?
 ――投げ込んだりはしませんから、大丈夫です。」

酒の酩酊より、疲労の色の方が余程濃く見えた。
まぁ、潰れたなら――研究棟の守衛当番にでも頼めばあとは何とかしてくれるだろう。そんな心算で。

「嗚呼、確かに自由は都合がよろしいですが。
 郷に入れば郷に従え、などとも申しますからね。いやいや、そんな危なくないですってば。
 何にでもとりあえず首輪を付けないと安心できない、というのはまぁ――」

人間の傲慢でしょうか。はてさて。

「仲ですからねー。そんな事言うと明日からでも押しかけますよ?
 なんせ現在絶賛夏休み中でして。――ほら、こうして自由研究していたりする。」

そういえば、ずっと持っていた魚籠の中身。
目下のテーマは未開拓地区の川魚の食用の可否である。
それよりは余程有意義で面白かろう、そちらの講義の方が。

「どちらかと言えば喧嘩の前が専門ですけど。正直喧嘩なんかせずに済むならそれが一番ですね?
 基本的には関わらないよう気を付けているんですけどね。この島来ていきなり巻き込まれました。あはは。
 ――あ、見届け人が必要ならお付き合いしますけどね。」

ひらひらと手を振る。
冗談か本気か、イマイチ読みづらかろう言動ではあるだろうか。

獅南蒼二 > 「残念だがそればかりは信用ならん。
 それに,そこまで迷惑はかけられんからな。」

過度の疲労が耐性を低下させているのだろう。
尤も,無理やりにでも飲ませない限り酔い潰れて寝てしまうようなことにはならないだろうが…

「さて,首輪を付けておかなければいつか飼い主に噛み付くような猛獣も居るからなぁ。
 …アンタがそうだとは言わんが,ね?」

酔いもあってか,皮肉めいた言葉と,楽しげな笑み。

「ん,別に構わんよ。喧嘩の前の方が都合がいいだろうからな。
 ………というか,一体何をやっているんだ,アンタは。」

貴女の“自由研究”の研究対象と成果を覗き込めば,苦笑が浮かぶ。
この研究は突き詰めれば,この地区で暮らす学生たちに恩恵をもたらしそうではあったが,それに言及してやることはなかった。

「そうかも知れんな……喧嘩せずに済むのなら,済むのなら…
 …期待に応えられなくてすまんが,どうにもその未来は見えてこない。」

苦笑しつつも2杯目のワンカップを飲み干した。
小さく息を吐いてから……小さく頷く。
苦笑交じりの表情ではあったが,酒の影響もあってか普段よりか,素の顔が出て…

「…アンタなら最後まで見届けてくれるだろうな。」

…その言葉には重みがあった。

「だが,保留だ。私だけの問題ではないからな。」

直後にその重みを笑い飛ばすように消し去って,肩を竦める。

蕎麦屋 > 「あら酷い。」

気にした様子もなく笑う。
此処で信用する男だとは思っても居ないからだが。
自身は早々と二本目、三本目――ではあるが。これ以上は飲ませない方がいいかもしれない。

「猛獣を飼い慣らせると思うのが見当違い、かと思うのですけどね?
 ――まぁ、そうならないように祈りましょう。そもそも首輪なんて御免蒙りますが。」

肩を竦める。
対等である、というのなら喜んで受け入れようが。それ以上もそれ以下も、この女は許容する気がない。

「ん、屋台出さないと暇でしてねー。最近は青垣山で釣り糸垂らしてますよ。
 ――とりあえず持って帰ってきたのは食えるのだけは確認していますけど。」

多種多様な魚の中には明らかにおかしなものも、多数。
食用に耐えるかどうか確かめるという意味では、案外適任なのであった。

「まぁ、どうしても引けぬ喧嘩もありましょう。
 むしろここで『喧嘩せずに済みそうだ』とか言われたら私が相手さんに恨まれますし?」

ふふ、と。
直後に見えた男の顔には――

「なら、気が向いたらどうぞ?出前のついでに呼ばれれば良いでしょう。
 そうでなくても、勝手に見に行くかもしれませんしね?」

あえて、気付かない風を装う。
世が世なら、是が非でも連れて帰っただろうに――。

獅南蒼二 > 飲み比べをするような性質ではない。
それに,これ以上思考を鈍らせるのはあまり好ましいことだとは思えなかった。
もっと素直に言えば,貴女に無様な姿を見せたくもなかったのだろう。

「ははは,なるほど確かにその通りだ。
 それに,いざ飼い慣らしてしまえば猛獣も面白味に欠けるというものだろう。
 …アンタならリードを握りしめた飼い主を市中引きずり回すくらいのことはしてくれそうだな。」

対等でないと自覚しているからこそ,首輪で抑え込みたいのだ。弱者であるという自覚があればこそ,工夫と発展が生まれる。
そんな考えがよぎり,鈍った思考の海に消えていく。

「アンタの役目じゃないんだろうが…大蛇を釣り上げたりするなよ?
 …で,ソイツらが蕎麦と一緒に出てくるのか。あまり食欲はそそらんフォルムだな。」

明日の蕎麦が心配だ。なんて冗談を交えてから…静かに立ち上がる。
立ち眩みで,ぐらりと視界がゆがんだ。

「…相変わらず,話が早くて助かるよ。」

貴女の表情を見て…獅南は,何かを察したかもしれない。
けれどそれを口に出すこともせず,静かに小さく頷いた。

「神出鬼没のアンタのことだ…何処に隠れて殴り合ってもひょっこり現れそうで恐ろしい。
 ……無様な負け戦を見せないためにも,帰ったら研究の続きをしようと思っていたのだがなぁ。」

酔った頭では無理だった。白衣の男は,ただ楽しげに笑う。
こうして冗談を言い合い,他愛も無い話をするのも,悪くない。

蕎麦屋 > 「飼い慣らすくらいなら、対等になるほうが先かと思いますけれどね。
 ――ああ、端から食う食われる、みたいな話になったらまた別でしょうけれど。

 いえいえ、飼い主振り回して遊ぶだけですから、平和なものです。」

工夫と発展は、人間が用いる最高にして最大の異能だろう。それを否定するつもりは、毛頭ない。
実際今も振り回して遊んでいたりはするのだが、それは別の話。

「大蛇とはこの間お話で解決しましたし、大丈夫だと思うんですけどねぇ――
 あ、これ蕎麦屋には出しませんよ、流石に。」

得体のしれないモノを出すほど落ちぶれてはいない、蕎麦屋の矜持である。
立ちくらみには、手を出さず――

「島の外となると現状管轄外ですけれどねぇ――まぁ、気が付いたら居るかもしれませんね?

 ほら、私蕎麦屋ですので。客に倒れられたら路頭に迷いますし?
 没頭するのは結構ですけれど、ここらで一度睡眠でも取って、すっきりしてから考えてくださいな。」
 
否定はしない。これだけの男が喧嘩するのだから、見届けたい、と思うのは思うのだ。
そして――
最初からこういう狙いだったのだろう、悪戯を仕掛けて成功した、そんな笑みを浮かべた。

獅南蒼二 > 「対等になるほうが先…か。
 どこかで猛獣と対峙することがあれば,アンタの言葉を思い出すとしよう。」

振り回される飼い主が不憫だ。なんて楽しげに笑う。
そんな不憫な飼い主が実在するなんて知る由もなく…知ったら知ったで,笑うだけだろう。

「解決か……しかし,物語には“続編”が付き物だぞ?」

自分でそう言ってから,貴女を見た。物語が終わってなお,登場人物はここに在る。
それが明確に“続編”の存在を示しているかのように思えた。
普段ならこんな飛躍した論理の欠片もない発想はしないはずである。
……映画のテロップ後じゃあるまいし,そう内心に嗤って,

「…なら,自分で食うのか。実に逞しいな…。」
話題を変えて小さく,肩を竦めた。
果たして貴女の狙い通り,自分で自分の思考を嗤うほどに“酔った”男は,

「…私1人が倒れたところで,他にも客は居るだろう。
 だがまぁ,アンタが路頭に迷わんよう私も…たまにはソファ以外で寝るとしよう。」

この近くに宿か何か無いか?と貴女に尋ねた。
何と言うか,ししなみせんせーってば極端過ぎる。

蕎麦屋 > 「え。そこまで切羽詰まった状況で思い出されても困るんですけど。」

もうちょっと気長な話である。いや、目の前に猛獣居るのかもしれないけど。居るけど。

「案外終わってないだけの可能性もありますけれどね。
 まぁ、続編があるというならそれこそ別のお話、でしょうし――」

流石に、大蛇と真正面から殴り合って生きてる自信ないですしー。などと。
終わっていないにせよ、続くにせよ、何かがこれから先あるということではある。存在している限りは。

「自由研究ですからね。研究レポート要ります?」

讃岐蕎麦とか一部の県民に殴られそうな文字の書いてある胸を張る。
実際、それなりのレポートが上がりそうな予感。

と――。

「――――え、大丈夫?酔ってます?
 この辺りで泊まるとか正気です?朝になって冷たい先生とか見つけたくないですよ私。
 あ、私の家も寝床ないですし。
 とりあえず歓楽街まで出ましょう。あっちならまだマトモな宿ありますから。」

次に出てきた爆弾発言に、思わず吹き出した。
いや、寄りにもよって此処で泊まる発想が出てくるとか、相当危ない。
自身は寝る発想がないゆえに寝床もなく。じゃあ仕方ない、と。落第街を出るまでは見送る構えに。

獅南蒼二 > 「まぁ,単にそれこそアンタの老後なだけかも知れんがな。
 どんな話になるかも,アンタがどういう“続編”を期待するかによる…か?」

私とアンタの仲だ,その時は少しくらい手伝ってやろう。なんて嘯きつつ。
以前にも問いかけた疑問が再び顔を出す。
役割と持った存在として物語を生きた登場人物が,その後をどう生きるのか。

「そのレポートは私ではなく……いや,誰に出すのが正しいのか怪しいな。
 アンタがどんなレポートを書くのか興味はあるが。」

──と,吹き出されても僅かに目を細めるのみ。
相当危ないという自覚が無いあたりが危ない。

「アンタの反応を見る限り…あまり大丈夫ではないかな?
 ここも街だ,宿くらいはあるだろうと思ったが…いや,やめておこう,今は思考力にもあまり自信が無い。」

小さく肩を竦めて,楽しげに笑う。
落第街の生徒たちを見ているからこその発想だったのかも知れない。
いずれにせよ,危機感が足りないことに変わりは無いのだが。

「ここは,アンタの言う通りにしよう。」

それは世にも珍しい,従順な獅南であった。

蕎麦屋 > 「私の話は、なるようにしかならないでしょう。
 まぁ――何かあったら先生に相談しましょうか。」

今のところは――それほど何やらある気もしない。
開幕を呼ぶ角笛を持ち込んだ誰かは居るようだが、不用意に吹き鳴らしはしないだろうし。
だが、何かあった時にこの教師は、非常に心強い味方になるのだろう。――味方になるのならば。

「まぁ、提出先もない話ですからねぇ?書けたら持っていきましょうか。書かないかもしれませんけれど。

 はい。飲ませたやつが言うのもなんですけれど。
 ――じゃあ、比較的安全なところまではお送りしますから。歩けます?」

予想以上の疲労と、酩酊だったらしい。
とりあえず大人しく従うのなら、歓楽街まで連れて行って、表通りのマトモな宿にでも投げ込もう。

獅南蒼二 > 「…その時まで私が生きていれば,な。」

それは“喧嘩”を意図した言葉に聞こえるだろうか。

「何せアンタの“老後”は長いのだろう?」

そして継ぎ足された言葉は,取り繕ったようにも聞こえるだろう。
自身とそしてあの美術教師の話がどのような終わりを迎えるのか,
“運命”が存在しないとするならば,それはまだ,誰にも分からない。

「飲まされた私が迂闊だった。が……流石そこまで酔ってはいないよ。」

もう1杯飲んだら分からないが,今はまだ思考の飛躍や停滞以外には何の弊害も無い。
足取りも確かで,傍からは送る必要があるようにも見えないだろう。

宿に着けば,獅南は貴女に礼を言って部屋を取り,そして文字通り,泥のように眠るだろう。
そしてそのまま……翌日の昼近くになるまで眠り続けた。

蕎麦屋 > 「まぁ、生きていれば、ですねぇ――」

取り繕ったような言葉の意図も理解はできたが。
まぁ、どちらにせよ、生きている間に何かあるとも限らない。

「酔ってない。そういう人が一番危ないのですよ?
 まぁ、歩けてはいるなら行きましょうか。」

そうして連れだって。宿の手続きはさくさくと代理でやってしまう。
宿代は前払い、すべて100円硬貨で払われた受付は相当嫌な顔をしたとか、しないとか。

ご案内:「落第街大通り」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から蕎麦屋さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に黒星さんが現れました。
黒星 > 最近でいう、落第街に悪魔だか魔王だか何だか知らんのが出る、らしいというのでウロついている。

特にこれといってアテがあるわけではないのだが。
本当に居るのかも分かったものではないのだが。

まぁ、こうして適当にフラついていても、探しましたという結果は残るから。

黒星 > 個人的な興味があったわけではなく、色々付き合いのある生徒から頼まれての捜索で。

呪い?とか
戦闘?とか

言っていたがイマイチ良く分からなかったのは、きっと、相談してきた相手も実際のところが良く分かっていなかったからだろう。

つまりはまぁ、そんな姿かたちも分からんものを探すわけだ。

モチベーションが上がる筈もない。

黒星 > 自分から 魔王です とかプラカードでも持っててくれれば楽なのだが……
まぁそんなの居ても、まず信じないというか、そういう宣伝マンなんだと確信するだろうけども。

一通り大きな通りを歩いてみて、コレってのは矢張り居なかった。

休憩がてらにその辺の露天だか何だか、の脇にあった木箱を適当に払って腰を下ろす。

隣の露天のあんちゃんが迷惑そうな顔をしてきたが、知らん顔。
ポケットから煙草を取り出して、一本咥えて。

「分かっちゃいたけど、収穫ないネー……
 段々飽きてきちゃったヨ。」

口の端から溜息を吐き出しつつ、煙草の先を指先がピンと弾く。
それだけで、火が点いた。

黒星 > 吸い込んだ煙を吐き出すと、人の顔にも見えるような形になって。
悲鳴を上げるような表情と共に薄れて消えていく。

それを見て、人が避けるわけなのだが……隣の露天のあんちゃんは本当に、心底迷惑そうだった。

「ふー……  あぁ、そうだヨ。
 ところで、景気の良く無さそうな顔した隣人さんヨ。

 悪魔だか魔王だとか、変なの見掛けてないかネ?」

黒星 > 「あぁ、知らん?
 まぁ、そうだよネ。
 私もよー知らんから、困ってるんだヨ。」

そもそも魔王ってその辺をひょこひょこ出歩いてるもんじゃねーだろ

という隣人こと、売れなくなった露天のあんちゃんの正論に返す言葉も無い。

カオス度の高いこの島でも、それはねーだろ、と自分でも思う。
思う、が、捜索を頼んできた相手が割とガチっぽかったので……


「ところで、コレ何売ってるんだネ?
 こんなきったない缶詰、売れなくないかネ?

 せめて拭いた方がいいと思うヨ。ところでキミ、学生かネ?」

もうそっちのけでダベり始めた。

ご案内:「落第街大通り」に蕎麦屋さんが現れました。
蕎麦屋 > 今日も今日とて夏休み。
釣りはあきました。とはいえやる事もさほどあるわけでもなく。

「――……。」

ぼへー、とぺったんぺったんやる気無さそうに帰り道。
まぁ、大体食える魚、食えない魚、旨い魚、死ぬ魚は判別できたのでよしとするとして。

さて、どう纏めたものか。実際に食べてみました、は多分殴られる。

そんなことを考えつつ大通りを通り過ぎていく――

黒星 > 「あぁ、学費ねぇ……金が無いのは命がないのと同じだからネ。
 しょうがないっちゃしょうがないヨ。

 キミもそのうちいいコト……無いかもしれんけどまぁ、今日はその缶詰買ってあげるヨ。
 それで美味しいものでもお食べヨ。」

話してる間に、中々の話術で自分の辛い現実を語ってみせる露天のあんちゃんにホロリと……

全くもってきてないけど、面白かったのでお捻り代わりに買い物してやることにした。
適当に財布から諭吉を出して放ってやる。

ハエを捕まえるカエルのような動きでそれをキャッチした露天のあんちゃんはいい感じの下っ端顔で黒星の手下へと化けていった。

蕎麦屋 > 「あー……」

なんかすごく胡散臭い会話が聞こえた気がした。
ふらりと立ち寄った露店――胡散臭いのと、何やら泣きそうな顔で万札握りしめた学生と。
学生の方に見覚えはないが――

「――あら。十二玉食べた人。」

残念ながら胡散臭い会話術をしてる方には見覚えがあった。
というか食いっぷりを覚えてた。

黒星 > 露天のあんちゃん改め、街角の手下Aとなったヤツが言うには

魔王じゃないけど、怪しい蕎麦屋なら時々居ましたよ ってな情報をくれました。

が、話し込んでいるせいか、そんな蕎麦屋が歩いてるのには気付いてないようですね。

「いや、蕎麦屋は関係ないからネ。
 アレは私も知ってるけど、飯食う以外にゃ関わらん方がオススメだヨ?
 キミみたいなのが関わってもいいコトないからネ。

     あ。」

声をかけられて、そっちを見たら、居たよ。

蕎麦屋 > 話し込む二人の後ろで笑顔がいい笑顔に。

「はいどうも。
 怪しくて関わらない方が身のため筆頭の蕎麦屋です。
 いや、人の商売妨害するとかいじめですか?いじめですね?蕎麦の値段10倍にしますよ?」

しっかり聞いてた。すごく、とてもいい笑顔である。

黒星 > 「いやいや、私は食うのは止めてないからネ?
 細かい詮索はするべきじゃあないって言っただけだからネ?」

そうだろう?
と、隣の手下Aに話を振れば、手下Aも

YES!YES!YES!

と激しく首を縦に振っていた。
真実はいつも一つであった。

「私は誰かをいじめて遊ぶ趣味はないからネ、カカカ。」

蕎麦屋 > 「宜しい分った、遺言はそれでよろしいですか。」

にっこり。
これはやる、絶対に殺る。

「まぁ、冗談はほどほどにして。
 無実の蕎麦屋吊し上げてどんな悪だくみされてたんです?
 せっかくですしおねーさんにも教えてみません?ん?」

悪意があっていってるわけではなかったのだろう、限りなく好意的に見れば、多分。
そういうわけでとりあえず脇において、手近な木箱を手繰り寄せて座る。

哀れ手下Aの露店はさらに客が遠のいていく。

黒星 > 「じゃあちょっと風紀委員呼ぼうかね、教師に乱暴する不審者がって……」

立場を振りかざしたこの言いようであった。

「別に吊るしちゃあ、いや、吊るし甲斐のありそうなナリはしとるし、おねーさんてカカカ。
 まぁ、この辺に悪魔とか魔王とか見かけなかったか?って話をしてたんだヨ。

 って、座るんかヨ。」

何でさも自然体で会話に加わってくるのか、ちょっとびっくりしてサングラスがズレたわ。

手下Aはもう二人とも帰ってくれないかって顔だが、勿論、帰らない。

蕎麦屋 > 「あ、そうなると逃げますけど。基本的に平和主義ですよ?」

えっへん。胸に輝く讃岐饂飩の文字。
最早何者だ。

「吊し上げても生憎と小銭しかでませんけれど。
 いやほら、悪だくみなら一枚噛んでおいた方が面白いじゃないですか。え、男の子同士の秘密の会話でしたか。

 で、魔王ならこないだ居ましたけど。」

すごく、すごく、すごーく不満そうな手下君には蕎麦煎餅をあげよう、勿論自家製。

黒星 > 「蕎麦はどうした、何で饂飩になってんだヨ。
 全然鞍替えしてんじゃないかネ、何だね、そのデカい胸のデカい文字はヨ。」

サングラスを直しつつ、蕎麦じゃなくなってるのを見て流石にツッコミを入れざるを得ない。

「ここじゃあ、小銭も大事になりそうなもんだヨ。
 平和主義者って二秒前に言ったヤツが、悪巧みに噛むのが面白いとか、キミはアレかネ?
 脳がうどん玉にでもなってるのかネ?」

コイツ考えて喋ってない気がすんなー って目をしているが、サングラスで上手く隠せていると信じたい。

手下Aは煎餅を貰って 物凄く困った顔をしながらバリバリ食べる。
食べることで黙っていることにしたらしい。

「そうだよネ、魔王とかその辺に居るわけない    居たのかヨ!」

サングラスがまたズレたわ。

蕎麦屋 > 「冷やしうどんはじめませんでした。とかの方が面白かったでしょうかねー。
 シャツのネタが早々に品切れで。あら、せくはらですか?訴えれば勝てますか?」

なお昨日は讃岐蕎麦だったが黙っておく。

「やですねー、もう。小銭なら脳天にきっちりいっこいれるのに。
 いやもう、食ったら死ぬ魚を食わずに判別した方法をどうやってとってつけるか考えるのと蕎麦屋の価格設定考えるのに忙しいのですよ。
 考えて喋ってるわけがないじゃないですか。」

自分も蕎麦煎餅もぐもぐ。うむ、天然素材、手前味噌だがなかなかいける。

「この島、万馬券以外は大体その辺探せばあると思いますけど。」

何を驚いているのだろうこのレコードホルダー(十二玉)。

黒星 > 「もう自分で作ったらいいんじゃないかネ。
 Tシャツにプリントするヤツとか売ってるじゃないかネ。

 いや、こんな程度では勝てないと思うヨ。私は詳しいんだヨ。」

何で詳しいのかはさておいて。

「ちょっと考えて喋ってくれないかネ?
 3秒でいいから、考えて喋ってくれないかネ、お願いだからヨ。

 私も居候と無茶言う生徒に振り回されて大変な多忙なところで、こうやって時間を割いているからネ。
 ちょっと建設的な話をしようじゃないかネ。」

コメカミに指を当てて、いいからちょっと黙れと宣言。
淀みなく寝言をしゃべるんじゃあない、とツッコミがさっきから忙しい。

「万馬券なら、歓楽街の駅の馬券売り場に間違って捨てられてたヨ。
 じゃあない、魔王だヨ魔王。どこで見て、どんなナリしてたんだネ。」

蕎麦屋 > 「いや、自分で作ってますけど?
 こんな阿呆なTシャツ他に売ってるわけがないじゃないですか。もうちょっと考えて喋りましょう?」

さくりと酷い言い草である。
そうかー、かてないかー。と別段訴える気もないのでそっちはどうでもいい。

「蕎麦打ってる時と面白い話の時は考えてますよ?
 そういうわけで考える時間は終了です。――まぁ、建設的な話ですか、ふむ。」

脚を組んで、考え込む――ふり。
いや、ちゃんと考えてます。

「まぁ、うちのがそのうち放り込まれると思いますし。
 どんなと聞かれても。魔王でしたとしか。あれは見たらわかるでしょうに。
 分らない人向けに解説すると紫髪だったのでもうそれだけで一発ですね?

 見かけたのはスラムですけれど、何処に住んでるかまでは流石に知りませんよ?」

あれ見て魔王ってわからない方がどうかしてるとか言いそうな雰囲気でした。