2015/06/16 のログ
否支中 活路 > 男同士で長々と腕を組んでいる趣味はない。
弾かれたように飛びすさり、距離を開けば綽々と立つ凶人がいる。

「カ    ハハアアァァぁぁ…………」

帯電しそうな呼吸。
肉体強化はすでに二段“ミナカタ”まで落ちている。
このまま二度はできない。
しかも再び掲げた左腕に痛みがある。今の衝突で骨にダメージが入っている。
それでも構えている。
嗤う鬼に向かって構え続けている。
その口元が、包帯の奥で確かにつり上がっている。

「それだけが取り柄やからな」

虞淵 > 「オウ、お前みたいなヤツがヤりあってて一番面白い。
 単純な力比べはとっくの昔に相手がいなくなっちまったからな」

どうやらまだやる気を保ってくれているようだ
こんなに嬉しいことはない

「ちょいとトバしすぎたな、一発いれさせてヤってもいいぜ…
 ………と一瞬思ったがやっぱ俺から行くわ、柄じゃねェし」

跳躍、一件無防備な行動に思えるそこから繰り出されるのは左右合計六撃の爪脚

連爪虎穿

地面に獣の爪跡を刻まんと蹴りによって生み出された、広範囲に及ぶ剛刃が迫る───!

否支中 活路 > グエンの一言二言の会話だけが余地。
その間に魔術を仕込む。

   【奇経八脈マナ注入】

そうでなければやって来るのは死だ。
だのに口の端が歪む。

                   【気脈ルーン起動“z R(アルジズ)”】
          
今はこんな事をしている場合ではないと思う。
でもガキの頃はそうだった。
僅かに残った血には、まだ焔が流れている。

             【両の腕は、鏡】

「おおよッ!」

吼える。
上方から来る六連の殺意へ。
一を躱し、二を左腕が受ける。先のグエンのごとく、蹴り入れれば腕は鋼、いやただそこで止まる壁になっている。
受けたまま右へと回りこむように滑る。

三を右腕で受け、自分を弾く。更に回る。

四がかすめ、五、六が追いすがる。

虞淵 > やるやる
回避されるだろうとは踏んでいたが、
一発受け止めやがった
大地を割るほどの剛刃脚の一発を

これだから面白い、何が飛び出してくるか予想がつかない相手ってのは

「ククッ…ハハハハハハッ!!
 いいね燃えるぜ楽しいぜェ!!」

尋常ではない蹴りの反動で男は未だ宙空、
腕を振る勢いを以って姿勢を変え、落下速度をモノにする
最後の二発の刃を追うように、真横にあった建物を蹴っ飛ばし、
更に反対の建物を蹴っ飛ばし、加速していく
どう見ても化物にしか見えないその動きで自身の刃に追い過がる

前菜は終わりだ、次のメニューはメインディッシュ
加速するGに獣の笑みを浮かべ、右の拳を握りこむ

否支中 活路 > 体内の気の脈そのものに北欧ルーンの力を刻印した。両の腕は【鏡】だ。
それを以って跳ね返した。
なんとか受け止めきった。

しかし防勢。
左の五指で地面をえぐりながら、両足も同じく滑り込み見上げれば、建物の壁を蹴って迫るグエンの背などとてもではないが捉えきれない。
高速神化はもはや一段“ミクマリ”まで解除寸前。

浮かぶ凶相はあまりに純粋な闘争。
そういうのが活路も確かに嫌いではなかったし。
かつてそれで道を通したのだと。

踏みしめた左の踵が上がる。

ほんのわずか。ほんの一瞬。
くい、と右の中指を迎えるように曲げた。

虞淵 > 「絶ッッッッ───────!!!」

活路の位置から前方にして数メートル
巨獣の拳が墜落する戦闘機の地面に突き刺さる

この男、気の流れのなんちゃらはまるで把握していない
ただその膨大な力量を軽く扱うだけの胆力はゆうに持っている

拳が大地を割り裂き、亀裂を生む
亀裂は前方、活路の方へ向けて周囲の地面を隆起させなら、
まるで噴火のように破壊の力を伴って爆砕する───!!!

さぁ、散り散りに吹っ飛ぶか?
男が愉しげに活路を見る
その視界に入った不可思議な、右手の動きも捉えた

楽しいじゃねえか
まだ何か魅せてくれるってことだ
さァ、何が起きる?どう対処し、どう動く?

否支中 活路 > グエンの動作と勢いで攻撃位置そのものはわかっていた。
では躱せるのか?否だ。この範囲は躱せない。
では防げるのか?否だ。防御は腕にしかない。

浮いた脚が前に出る。
何かできるわけではない。ただ両腕を重ねて少しでも襲いかかる衝撃を防ぐだけだ。
下から沸き起こる炸裂が、脚を襲い血飛沫が舞う。
それでも前に出た理由はひとつ。

血が出るならば、後ろの陣が崩れる前でなくては。

「こい“地の者”」

隆起する爆砕に後方へ吹き飛ばされながら、つぶやいた。
回避動作中、靴底に入れた彫り物と地面に突き立てた指だけで描いた雑な陣だ。それでも血の量が補うだろう。

活路が地面で輝く陣より後ろまでふっ飛ばされる頃には、隆起が急速に押し戻される。
はじけてめくれ上がった地面が動画の巻き戻しのように畳まれ。逆に塊として盛り上がっていく。

虞淵 > 「───?!」
割れ砕けた大地から拳を引き抜き、
目の前で起こる現象に怪訝な表情を浮かべてしまう

こいつァどういう手品だ?

アイツはこれで、何を狙った?

今の攻撃は確かにダメージを与えている、出血量からそれは確かだ
では今目の前で起こったこの現象は
護りのものであるはずがない───

否支中 活路 > ああ、目の前の漢は“格好がいい”。
暴の一つでひたすら自由に生きているのだろう。
それは間違いなく、同じ男の目には格好よく写った。

「せやけどあかんな…………おぐッ」

後方にふっ飛ばされたまま地面に背中から倒れこんで呻く。
途中で衝撃が収まったため、身を裂き体を割るほどのものにはなっていない。

膨れ上がる地面は今や活路の視界からグエンを隠しはじめている。
路地の全てを塞ぎこむように地面が起き上がる。

「アンタは確かにカッコエエけど――――なりたいもんやないわ」

ひたすら己の力を叩きつける漢に出会ってわかった。
自分の開いた道はこれではない。
だからこれは護りのものではなく。
だからこれは攻めのものではなく。

召喚されたのは四精霊の地・ノーム。無限に湧きいで盛り上がる土塁は、二人の間を高速で塞いでいく。

逃走のためのものだ。

虞淵 > 「───そういうコトか」
ビキ
男の額に血管が浮かぶ
俺を斃すでもなく
自身を護るでもなく
背を向けるための行動だったか

「──ッ把!!」

盛り上がる大地に拳を叩きつける
巨大なクレーターを容易に創る拳も流動する土壁が相手では、
抉れた部分が何度も盛り上がるだけだ

「………強ェ野郎が、
 ケツ向けてんじゃねェぞクラァッッッ!!!」

天高く仰いだ拳を手刀に変え、正面から斬り下ろす
叩いて抜けないなら、斬り裂く───!!

避けた土の間に開けた視界に、活路の背を僅かに捉えるも
無限に湧き続ける土にその隙間も埋められていく

「………チィッ…!」

否支中 活路 > ふらふらと立ち上がる。懐から出した呪符を貼っても気休め程度の治療だろう。
それでも脚はずいぶん動くようになる。

「わるいなぁ。俺にゃアンタには敵わへんよ。
せやけどテメェとテメェで討ちあって、負けて死んでも満足やーいうわけには、やっぱいかへんわ」

会った時は、自分に苛ついていた。
対照的に今は歯を向いて苦笑している。

「まぁ俺の負けやさかい、じゃあな」

そう言うと、土が視界を覆っているうちに路地裏の脇へと滑りこんでいく。

ご案内:「路地裏」から否支中 活路さんが去りました。
虞淵 > 「───ッ!!」
腹立たしげに男は左拳を振るう
男の左に位置する廃屋が轟音をたてて倒壊した

「……否支中活路。
 五体満足で負けを認めるだと…?」

まだまだ、もっともっと、楽しめたはずだ
アイツはまだ奥がある、そんな匂いがした

「……名前は覚えておく。
 次は出し惜しみなしぜ頼むぜ、大将」

踵を返す
そうは言っても、正直に楽しめた
ただもっともっと楽しさが見えていただけに落胆もある

虞淵 > 懐から煙草を取り出して火をつける
あんなヤツが風機にも公安に属さずいるとは

一昔前は大規模な違法部活があり、
戦闘向けの異能を持ったヤツは魔術師はこぞって治安維持の組織に入っていたものだ
時代が変わったのかもしれないが

「…そういやロストサインの名前を聞かねェな。
 以前はよく公安とやりあってたモンだが……」

ふぅーっと白煙を吐き出し、
壮絶な破壊跡を歩き始める

「ま…どうでもいいか、ンなこたぁ……」

殴れるヤツがいればいい
殴りがいたあるヤツがいるならもっといい
大男は路地裏の闇へと消えていった────

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に霜月 芙蓉さんが現れました。
霜月 芙蓉 > 「~~♪」

路地裏にのんびりと歩いている女子生徒。

左手には弓、右手には何もなし。

そんな恰好でお散歩と言うわけでもなく……風紀委員としての、見回りだ。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > はた、と

たまたま、二人が出会ってしまう

「……あン?」

今日は腹三部
以前よりも鋭い眼光が芙蓉を射抜くだろう

霜月 芙蓉 > 「あ、貴方は……!」

グエン、と言ったか。

忘れもしない、数日前戦った相手。

いや……自分に関しては、歯牙にもかけられなかった憎い相手。

「グエン!何をしているの!」

即座に少し間合いを取り、弓を構える。

虞淵 > 「…あぁ、あの時のガキじゃねぇか」
ジロリ、と目線を向けたまま

「何をしてる?退屈凌ぎの相手を探してんだよ。
 適当な風紀委員でもいねェかとおもってたが……」

まるで品定めするような目で芙蓉を睨めつける

「ひょろいガキじゃ、喰い物にもならねェなァ。
 落第街の餌になりたきゃもうちっと肉つけてから来いや、ククッ」

霜月 芙蓉 > 「……!」

またしても、相手にされていない。

それも度し難いが……「退屈凌ぎの相手を探している」と言う言葉。

コイツの退屈凌ぎは、人死にが出かねない……!

「貴方の退屈凌ぎなんて、要するに暴力でしょう!?許可出来るわけがない、戦闘がしたいのならば、演習場でルールに乗っ取ってやりなさい!」

気丈に弓を向ける。

その間に、宵闇に紛れるような漆黒の矢を生み出し、番える。

いついつでも、射れるように。

虞淵 > 「イヤだね」
ベロン、と舌を出してそう答える

「お行儀の良い模範生徒じゃねェんだ…。
 殺傷も許されねェお遊技場じゃ遊べねェんだよなァ…。
 で、ソイツを向けるってこたァ……ガキ扱いしねェが構わないのか?」
笑みを浮かべて、
無遠慮に芙蓉に向けて大股で歩き始める

霜月 芙蓉 > 「はっ…だったら、ちょうどよかったわね」

笑う。

不敵に笑う。

強気に笑う。

己の中の不安を、打ち払うために。

「風紀委員、霜月芙蓉!貴方の探してる風紀委員よ!
そして……風紀を、執行する!」

放つ。

第一射は、捕縛用。

漆黒の矢はグエンの足元を狙い……着弾すれば、そこから氷が発生して、足を縛るだろう。

虞淵 > 「オッ」
ビキビキと足元を氷が覆う

「へぇ…変わった術技を使うな…」
グッグッと足を引っ張りつつ、笑みを浮かべる

霜月 芙蓉 > 「それが、霜月流(そうげつりゅう)五行弓術です」

雰囲気は既に静謐に。

戦闘モードに切り替わってはいる……が、いまだ、いつもの零度ではなく。

静かさ以上に、気迫が満ちている。

「足は全ての武の要。足を殺されては、如何なる達人でもその力は発揮できない」

第二射を構え、勧告する。

「投降しなさい。さもなくば、肩を射抜きます……!」

虞淵 > 「なるほど上出来だな、手本通りのいい正義だ」
笑う、不敵に嘲笑うのだ

「で、聞きてェんだが…たかだか水分を氷結させただけの鉛にも劣る強度の枷で、なんで俺を縛れると思ったんだ?」

一瞬

文字通り一瞬で男は芙蓉の目の前
構えた弓よりも近く、密着とも言える距離へと移動する

羅刹脚

巨獣の脚を縛り付けていたはずの氷の枷は、今しがた砕けたばかりのように、粉々になって宙を散る

そのまま"男にとっては"軽いであろう拳を、芙蓉の腹へと叩きこむ───

霜月 芙蓉 > 「う、そ……!」

巫術による凍結が、そんな簡単なものであるはずがない。

下手な金属よりは硬いはず。

なのに、目の前の化け物は。

それを……「砕く」と「間合いを詰める」を同時にやってのけた。

反応が、遅れる。

「きゃ、あっ……!」

瞬間的に、氷を生み出しガード。だがそれも砕かれる。

芙蓉の体は、簡単に吹き飛んでいった。

……簡単すぎるほど簡単に。

虞淵 > 「おーい…風紀委員。まだ軽ィの一発入れただけだぜ?」
大股で歩く男
吹き飛んだ先までのしりのしりと歩いていく

「風紀を執行、なんだって?
 ガキ扱いが気に入らねェみてェだからちょっと遊んでやろうと思ったが、
 こりゃ話になんねェな」

肩を大仰に竦めて見せるが

この男の危険性が顔を覗かせる
殴るのが好きなのだ
決して、強いやつと戦うのが好き、なのではなく

「何寝てんだ?ガキ扱いじゃなくてちゃんと獲物として扱ってやってんだぞ?」
吹き飛び、倒れている芙蓉の脇腹目掛けて脚を踏み降ろす
殺さないようにという加減は感じられるものの、それは明らかな"攻撃"

霜月 芙蓉 > 「……誰が、寝てるですって?」

その踏み降ろし。

それに合わせて、即座に転がり、速射。

肩を狙い、矢を放つ……!

そう、あっさりと動いたのだ……ダメージなど、ほとんどないかのごとく。

虞淵 > ドドッ、と矢が男の肩に突き刺さる
……ように見えた。
すぐに矢は服の穴から抜けて、地面に落ちる

「へぇ、思ったよりタフじゃねぇか」

しかし、再び一瞬でこの男は間合いを詰めてくる
弓という得物の特性などは当然頭に入っているかの如く

繰り出される攻撃は、高速の喉輪
まともに入れば呼吸を阻害し同時に脳も揺さぶる技

それでも、この男にとっては加減の含まれる技には違いない

霜月 芙蓉 > 「タフなんじゃなくて、これは技術よ!」

そう。古流武術において、相手の打撃を真正面から受け止めるのではなく、吹き飛ぶ形で威力を流しつつ間合いを切るなどと言うのはよくある技術だ。

ただ……そうやって間合いを切っても、まるでそれをキープできないのだから話にならないのだが。

だが……

「弓術を侮り過ぎよ!」

即座に矢を作り、それを放つのではなく……それで、突く。

手槍のように、グエンの手に向かって突き出したのだ。

その色は白、金行の矢。

金属の属性を持つ矢は、それこそ氷とは比べ物にならないほど硬いだろう。

虞淵 > 「なるほど、受け流しの技術を心得てるわけだ」
くつくつと嘲笑う

「だとしたらお前、"掴まれる"のはマズいんじゃないのか?」

当然そうするだろう、と言わんばかりに突き出される矢をもった、その細腕を捉える
まるで万力で締めあげられるかのような怪力は押すことも引くことも許さず……

「これじゃ吹き飛べねえなァ…」

がら空きの腹へ、一瞬で三発、右拳を叩き込む

霜月 芙蓉 > 「そん、なっ……!」

古流弓術の持つ裏手……と言うほどのものでもないが、弓術は近距離に近寄られた場合の迎撃方法をいくつか持つ。

それは、弓と言う武器のイメージを知っていればいるほど……遠距離射撃武器であるという事を理解していればいるほど、安直に近寄ってきた相手に「刺さる」。

はずなのだ。

「(なんで……!)」

知っているはずのない技術に対して、こうも簡単に対応が追いつくのか。

それを考える間もなく、打撃が撃ち込まれる。

……今度は、流せない。

「あ、がっ、うぐっ……!」

苦悶の声が、こぼれる。

ご案内:「路地裏」に川添 孝一さんが現れました。
川添 孝一 > (ボロボロと形容してもいいくらい傷だらけの男が路地裏近くを歩く)
(今さっき負けてきたという顔つきだ)
(特攻服も破れて、ボンタンも泥だらけ)
(そんな男が騒ぎを聞いて彼らの現場を覗き込む)
オッオッオッ!? 何してんだ、お前ら。

霜月 芙蓉 > 「ぁ……」

殴られ、苦悶に顔をゆがめながら……現れた男に気付く。

「にげ、て……!」

必死に声を絞り出す。駄目だ。コイツとやりあっちゃいけない。

こんな状況から、更に一般生徒を巻き込むなんて許されない。

それが……風紀の矜持だ。

「だめ……逃げて……!」

虞淵 > 「おっと……ん?」

芙蓉の腕を掴んだまま、聞こえた声に視線を向ける

川添 孝一 > (少女に逃げてと言われれば深く重いため息をついて)
なぁ、そこのあんた。それくらいにしてやらねぇか?
そんなお嬢ちゃんの細い体殴ってよォ、冬の枝のようにポッキリ骨でも折れたらどうすんだよ。

俺もさ、ちょっといじめた連中に仕返しされてこのザマだ。
殴られりゃ痛い! そんなのガキだってわかるだろぉ。
……そこのあんた、やめとけって。な。

虞淵 > 「へぇ、やっぱタフじゃねぇかお前。
 他人の心配する余裕があるんだもんなァ」

もう一撃、再びその細い腹へと拳を叩き込む
先程よりも強く───!!

「あ?何か言ったか小僧」
殴り終えてから、問うのだ

霜月 芙蓉 > 「うぐえっ…」

女の子が出していい声ではない、吐き出すような声を出して……見出す。

隙を。

仮にも戦闘中に、別の人間と話をするなどと言う甘えた行為。

それをされるほどに甘く見られている屈辱を飲み込んで……奥の手を出す。

「よそ見は…ダメでしょ…!」

左手の矢を捨て、右手に小さなサイズの矢を生み出す。

そして、左手の……親指と中指を上下に伸ばし、人差し指を前に出す。

そこに出来る弧に魔力の弓を作り、動かない右手に持った矢を、無理矢理番える。

その弓の方を引っ張り、無理矢理に引き絞り……

「霜月流五行弓術、奥手「三指弓」……喰らいなさいっ!」

金行の白銀の矢を、今度こそ、この至近距離で、グエンの肩に向けて射ち放つ……!

川添 孝一 > いや、小僧て………確かにあんたよりは年下かも知れないけどさぁ。
やめときなって、こんなのよくねぇぜ。
お、おい……あんたもそんなダメージで戦闘続行ってのは無理だって!?
(顔に手を当てて俯く)ああ、もう。
喧嘩はダメだろ、おい。おい。(段々苛立ってくる)

虞淵 > 白銀の矢が男の肩に突き刺さる

確かに矢は男の肩を貫き抜けた
巨獣は一瞬驚いたような表情を浮かべるが……

ギチッッ

萎縮する肩の筋肉
一瞬空いた風穴はほんの僅かな出血を見せたに留まり、埋まってしまう

「ハッハ…こりゃあ確かにガキ扱いして悪かったなァ。
 俺の筋肉をブチ貫くなんざ、誇っていいぜ、お前」

ギリギリと芙蓉の腕を捉える手に力が篭もる

「認めてやるよ、お前は十分俺の得物だ」
言葉と同時に、膝を叩き込む
男にとっては男も女もまるで関係はないのだ

ジロリ、と男を睨めつける
「俺は人を殴るのが好きなんだよ、ケンカが嫌いな良い子ちゃんはどこかへ行きな」

霜月 芙蓉 > 「(そん、な……)」

絶望。

矢が当たった。貫いた。

それなのに、ダメージにならない。

それはつまり……手詰まり。

だが、それに心が折れる前に、まず

「あ、がっ……」

蹴りを喰らい、体がくの字に折れ曲がった。

力が抜けかけるが……

「に、にげ……」

最後の意地で、川添に声をかける。

風紀委員として、残された最後の矜持で。

虞淵 > 「逃げろってよ」
クク、と笑って崩折れる芙蓉の首にその太い腕をまわし、持ち上げる
ネックロックの状態になる

目の前の男は逃がしても、この少女を逃がす気はなさそうだ

川添 孝一 > ………やめとけって言ってるのが……わからねぇのかぁぁぁぁぁぁ!!!
(空気が振動するほどの声が響いた)

何の事情があろうが!! 女相手にこの仕打ち!!
今までの自分を思い出してヘドが出るぜ!!
生活委員会! 兼! 怪異対策室三課室長!!
二年、川添孝一!! てめーに喧嘩売ってやるってんだよ!!

(虞淵を睨みつけながら人差し指をくい、と自分のほうに曲げる)
逃げるなら今のうちだぜ……てめぇ、イジメられっ子に負けたとあっちゃおしまいだからよォ……
(額に血管が浮き上がる、異能の細胞侵食率62.7%)
離せよ、そいつ。それとも女を盾にしねーと戦えない腰抜けか?

霜月 芙蓉 > 「あ、だ、にげ……」

両手は力なく下がり、意識も遠のいていく。

最早うわごとのように逃げるように言っているが、脳内では別の事を思い浮かべていた。

「(おにいちゃん…レイチェルせんぱい…ごめんなさい…)」

大好きな兄に報いることも出来ず。

先輩の期待に応えることも出来ず。

敗れ去り、そして死ぬであろう事を……遠のく意識の中で詫び続けていた。

虞淵 > 「へェ…熱いセリフ吐きやがるな」
ニタニタと笑みを浮かべる

「ふゥん…逆に聞くがお前、女を盾にされると戦えないクチか?
 だったら俺の敵じゃねェよ」

既に力を抜けた芙蓉の服に手をかけ、ゆっくりと裂いていく

そうだ
この手のヤツにはこういうのが"盛り上がる"

川添 孝一 > ブッ…………(憤怒、そして激昂)
ブッ殺す!!(川添の妹と年が大して変わらない女に―――拳を腰溜めに構えた)
(伸縮する腕、そして伸びるパンチが虞淵のボディ目掛けて放たれる)
(仮に相手が激しく動いたとしても少女に当てることだけはない)
(それだけ精妙な腕の操作に自信があった)

霜月 芙蓉 > 「(わたし…おかされるんだ…)」

もう状況判断なんてできてはいない。

ほとんど残らない意識の中で、服が破られる感触から、それを察しただけだ。

「(いやだな…でも、もう…)」

分かっていて、一切抵抗する力が、残っていなかった。

虞淵 > 「あァ、いい目をしやがる……」
自分に向かって伸縮し、迫る拳
しかし矢の動きを見切ることすら出来る男には、遅い
豪腕が、叩きつけるように川添の拳をバラバラにせんという勢いで打ち払う

こういうヤツは"限界"を超えてくるタイプだ
煽れば呷るほど、
無力感を味合わせれば味わせるほどに反骨精神から力を発揮してくれる

「たまにはこういう青臭ェ女を抱くのも悪くねェんだよな。
 お前とはまた今度遊んでやるからよォ」

ビリ
              ビリ
      ビリ

川添の目の前で
芙蓉の穢れを知らない肌が露わにされて行く

川添 孝一 > ………!!(拳を打ち払われるとそれだけで骨が軋んだ)
(肉体強化型の異能か―――――しかも女を剥きながら片手間に拳を打ち払われた)
そうかよ……(怒りに精神が高揚していくのにどんどん頭はクールダウンしていく)

(彼の身体変化系の異能である追放されし異形の果実は細胞侵食率が戦闘能力に直結する)
(この精神状態により、さらに体を冒涜の神の加護が蝕んでいく)
(細胞侵食率、74.1%)

こっちを見やがれ、クソ野郎がぁ!!!
(腕を限界まで捻り、螺旋状に蓄えたエネルギーを解き放つ)
(螺旋撃、それはコークスクリュー・ブローを凶悪にしたかのような)
(相手の防御力をある程度無視する殴打を放つ)

虞淵 > 「おォ、んじゃクソ野郎らしくこういうのはどうだ?」

もはやその身に力を感じない芙蓉をガッチリと抱えたまま、
自身へと迫る螺旋に向ける

男の前面に密着した状態
正面からは、当然少女の体を貫く
背面からは、貫通すれば同じことだ
横から?
いやそれは無理だ、攻撃の性質上面が狭くなれば単純に避けやすくするだけだ

さぁどうする?
答えを見せろよ、熱血少年

堪え用のない笑みが浮かぶ
コイツは良い素材だ
正直に言えばココでブン殴りあいたいところだが、
それをもったいないとすら感じさせる何かある

川添 孝一 > ………!!(螺旋状に捻られた拳を寸前で止める)
うおおおおおおおおおおおぉぉぉッ!!!
この野郎ッ!! 腐りきっていやがるッ!!
(笑った――――笑いやがった)
(この状況で笑いやがった)

(殺す)
(殺してやる)

(細胞侵食率、80.2%)

霜月 芙蓉 > 服を剥かれ、盾の様に扱われ。

霜月芙蓉と言う少女の尊厳は、既に犯し尽くされている。

が……出来る事などない。

既に、意識がない。

ただただ、その体はグエンに弄ばれているだけだった。

虞淵 > 「クククククッ」
予想通り、予定通りすぎる展開に笑いが止まらない

「お前、川添つったか?
 俺様は虞淵<グエン>。覚えておけよ、俺が自ら名乗ることなんてほとんどねェぞ」

そう言うと意識がない芙蓉を肩に担ぐように持ち上げる

「その殺意も、意だけじゃァ届かねェ。
 お前は面白そうな玩具だ、ちっと甘ェがな。
 今夜俺はコイツを凌辱する。
 それはお前が無力だった故だと噛み締めろよ、そうすりゃア、もっと楽しく俺と遊べるぜ?ハハハハハッ!!」

地面を大きく蹴って、跳ぶ。
それは人間の跳躍を軽く超えて、建物の壁を蹴り、破壊しながら

川添孝一を嘲笑うように、闇へと消えて行くのだ───

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から霜月 芙蓉さんが去りました。
川添 孝一 > 虞淵………てめぇ…てめぇだけは殺すぜ………
(細胞の侵食率が高まる、しかし)

ま、待て!! 逃げる気か!!
待てって言ってんだろうが!!! クソ野郎ーーーーーーー!!!

(残された川添は震える、妹と同い年の女ぁ助けようとして一方的にあしらわれました、とさ)
こんなことが許されていいはずがねぇ………
(ガリ、と顔を引っかく――――至純の怒りと止めようのない狂気が満ちる)
(皮の破れたコメカミから血が流れる)
殺してやる。殺してやるぞ、虞淵ンンン……!!

(闇に向けて叫ぶ、怨敵に対する怒りだけが篭った叫びを)

ご案内:「路地裏」から川添 孝一さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > かつり、杖を鳴らす。
つい先刻まであったであろう戦闘の爪痕にちらり、目を見遣る。

(ンー……こりゃ酷いわぁ───……)

ぼんやりぼんやり、目を擦りながら歩くのは赤いジャージにヘッドフォン。
其れから特徴的な金属製の杖。
夜明け前の路地裏に、ふらりと顔を出す。

ご案内:「路地裏」にクロノスさんが現れました。
薄野ツヅラ > 「──精神掌握、区分物的読心」

ぽつり、呟いてしゃがみこみあちこちの戦闘痕に手を触れる。
流れ込む気分がいいとはいえない状況の数々。
厭そうに顔を顰めた。

(───名前は覚えておこうかしらねェ)

すくり、立ち上がる。

クロノス > 「ふむ、なるほど。」
現場に残された血を舐めつつ、鎌をぎりっと握る。
どうやら、少し出遅れたようだ。
上司からの注意を真面目に聞いてみればコレだ。

……やはり、腐っている。

ふと、近くに似たような事をして居る見知った顔を見て、
歪んだ笑みを顔に滲ませる。

「また会いましたね、監視番号109。
 ―――いけませんよ、一般学生がこんな所に来ては」

歪んだ笑みを見せながら、彼女の瞳を覗き込む。

薄野ツヅラ > 「やァ、クロノスお嬢さん」

ゆらり、紅の双眸が赤い其れを見つめ返す。
相も変わらず血を舐める趣味がいいとは云えない彼女をぼんやりと眺めながら笑顔を向ける。

「一般学生でもあれだけ朝方に騒ぎになればね、
 自分の住む街のことが気になると思うんだけれどどうかしらぁ?」

慣れた、と云わんばかりに彼女の笑顔を受け流す。

クロノス > 「本名ではないとはいえ、
 名前を覚えてくれるなんて嬉しいですね、監視番号109。」

目を細め、滲むような笑みを漏らした。

「確かにそうかもしれませんね。
 いい機会ですし、学生街への移住を検討してみては如何でしょう?」

帽子の鍔を掴み、正す。
片手にあった鎌を『ヒュン』と一度鳴らして消すと、
彼女に向けて手を差し出した。

「家まで送って差し上げましょう、監視番号109。
 どうやら、凶悪犯が出歩いてるようですから。」

貼り付けたような笑みを浮かべながら、彼女の瞳を覗き込む。

薄野ツヅラ > 「その提案は受け入れられないと解ってて言ってるわよねェ」

困ったものねェ、と頬を掻く。
顔には笑みを張り付ける。
鎌が消える様を眺めれば、
「魔術ってやつは便利で羨ましいわぁ」と皮肉をひとつ。

「残念ながら未だ用事が終わってなくてぇ───……
 もうすぐ空も白むわぁ、凶悪犯も出るのは大抵夜でしょう?」

明確にノーとは云わないものの、明らかな拒否。
覗き込まれる赤い瞳に嫌悪感を隠そうともせず、のんびりと笑う。

クロノス > 「金銭の問題ですか?なんなら私の部屋に住んで戴いても構わないんですが。」

顎に手を当て、ふむ、と頷く。

「用事が済んでいないのならご一緒しましょう。
 夜ほどでは無いとはいえ、落第街での学生の一人歩きは危険ですので。」

嫌悪感を隠さない瞳をじっとりと見つめ返し、
その嫌悪感を気にもしない素振りでにっこりと笑う。

薄野ツヅラ > 「ンー、悪くはないわぁ……
 可愛い女の子と同居できるなんて役得ねェ───」

あくまで監視の一環だったりするのかしらぁ、と茶化す。
ご一緒しましょうと云われれば、ドーゾと右手をひらつかせる。
先刻と同様に、ぺたぺたと右手を至る所にある戦闘痕に触れていく。
時折うーん、と悩むように首を傾げる。

「そう云えば───」

思い出したように口を開く。
口元には笑みを絶やさないものの、其処に在るのは確かな怒り。

「トバリは美味しかったかしらぁ?」

ゆらり、幽鬼の如く振り返る。
すらっとした公安の制服を着こなす彼女に、
歪んだ笑みを向けた。

クロノス > 「確かにそうかもしれませんね。」

くすくすと笑みを漏らす。
その「そうかもしれない」は、
「役得」のほうに返したものなのか、
「監視の一環」のほうに返したものなのかは
当然、伺い知れるわけもなく。

「トバリ?ああ、監視番号128、鈴鳴トバリですか。
 ―――そうですね、可も無く不可も無く。
 硬かったですが、味はそれほど悪いものでは無かったですよ。」

食べた事は否定せず、にっこりと笑う。
彼女の歪んだ笑みを特に気にする様子を見せる事も無く。

「『調査』に協力戴いたんですが、お友達だったとは。」

薄野ツヅラ > 「相も変わらず悪趣味ねェ」

猫を被る気も全く無く。
ただひたすらに思ったことをそのまま垂れ流す。
にっこりと笑みを向けられれば、
おもむろに舌を打った。

「だろうと思ったわぁ──……☆」

幾らか怒気を孕んだ声で、腹から吐き出すように。
暫しの瞑目の後、ゆっくりと再び口を開く。

「まァ話の限りじゃあトバリの自業自得なところもある訳だしぃ──
 其れについては個人的な私怨を向け続けるくらいにしておくけどぉ」

どこか名前を出すたびに恍惚とした表情を浮かべる。
悪いものではなかった、と聞けばカニバリズムは非推奨よぉ、と
また煽りをひとつ。

「で、一般生徒から公安のお姉さんに質問なんだけどぉ───……
 貴女の動き方って随分過激よねェ。他の公安の人間とは違う。

 誰か好きな人の為にやってるとかそんな感じかしらぁ」

ぼんやりとかまを掛ける。
どこか自分と行動理念が似通っているような気がした。

クロノス > 「貴方のような美少女と一緒に暮らすのが好き、
 という意味なら、さほど悪趣味ではないでしょう」

貼り付けたような笑みを浮かべ、クックと笑う。

「ええ、そうですね。
 私は『厳重注意』しようとしただけなんですが、
 抵抗されてしまったのでやむを得ず。」

彼女の怒気を吸い込むような距離でにこやかに口を開き、そう返す。
『あくまで彼の自業自得』という事だろう。
彼女の煽りには『そういう異能ですから。』と笑みを返し―――。

「他の公安委員は穏健派が多いですからね、進んで仕事を探したりはしないんですよ。」
 
「―――ええ、勿論好きな人の為ですよ。
 私は、貴女のような健全な一般市民を愛していますので。」

彼女の顔を恍惚の表情とも取れる笑みを浮かべて覗き込み、
『好きな人の為にはいくらでも頑張れるものでしょう?』と付け加える。

薄野ツヅラ > 「あっは、ボクは異性愛者なんだけどぉ?」

不快さを隠す気もなく、小さく笑い声を溢す。
彼女の特徴的な笑いにも大分慣れてきたのか、
ちらりと見遣ることもせず"現場検証"に戻る。
ぺたり、壁に触れる。
ひんやりとした心地のいい温度が掌に伝わる。
────同時に、此処で先刻まで起きていたであろう其れが伝わる。
 
「でも違うでしょう?
 貴女の異能は其れだけじゃあない。

 ───おおよそ推測が正しければ異能食いってやつかしらぁ?」

燃え跡と成った違反部活群に残されていた無数の杭。
其れが彼女のよく知るものだったということから導き出される推論。

「ボクの能力も食われちゃうのかしらぁ、なんて。
 好きな人の為には幾らでも頑張れる、って点には賛成だけれど」

空も白んでくる落第街の夜明け。
のんびりのんびりと言葉を選ぶ少女は、
必死に目の前の人間の手の内を暴き切ろうと、言葉を紡ぐ。

クロノス > 「相手が異性好きだろうと、自分が好きになるのは自由ですよ。」

そう冗談の応酬を続けながらも、彼女に笑いかける
彼女の異能を推察し、内心で便利な異能ですねと考えながら眺めつつ。

「ふむ、何を根拠にそんな事を?」

笑みを零し、彼女を見る。
真紅の瞳からは、何も伺い知れない。

「―――私に出来るのは『記憶を読み取るだけ』ですよ。
 監視番号109。何故そんな事を考えたのかは分かりかねますが。」

薄野ツヅラ > 「貴女に好かれる一般市民は気苦労が絶えなさそうねェ」

楽しげな友人同士の冗談と織り交じる牽制に
何処か心地よさを覚えながらも、黙々と作業を続ける。
何を根拠に、と聞かれれば暫し思案。
カードを切るタイミングは今でいいのか、と数秒の逡巡のあと、
ゆったりと口を開く。

「───燃え落ちた違反部活群に幾つか杭が残っててねェ
 
 生憎あの杭には何度も全身貫かれてるしよくわかるのよねぇ──……
 だってアレ、トバリのでしょう?」

にやり、口元を三日月に歪ませる。
重なり合った情報は、ひとつの事実を浮き上がらせる。
其れが薄野廿楽のやり方だった。
情報を掻き集めるのには手間を惜しまないし、
なによりこの、相手に問いただす瞬間が堪らなく好きだった。

「此れで説明になったかしらぁ?」

答え合わせをどうぞ、と云わんばかりにじいと
真紅の、まるで燃える炎のような其れを見つめた。

クロノス > 「ふむ、なるほどなるほど。」

彼女は嘲るように笑みを零す。
そうすると、彼女の前に手袋がはめられた自身の手を差し出した。
握った状態―――。

「―――まず1つ」

そこから、ぴんと指を1本立てる。

「そもそも、燃え落ちた違反部活郡の原因が私であるという根拠がない。
 確かに、私は「いくつかの」違反部活を焼き払いましたが、
 焼け落ちた全ての違反部活が全て私の手によるものとは限らない。
 ここは落第街ですよ?放火くらい日常茶飯事でしょう。
 それはそこに住む貴女のほうがよく知っているのでは?」

クックと笑うと、『二つ』と続け、
2本目の指を立てる。

「仮にその『放火魔』が私であると仮定しても、
 その杭が『異能』で作成されていない可能性を考慮していない。」

彼女があいた手を空中に翳すと、その手に鎌が現れる。

「私は魔術でこの通り鎌を生成しているわけですが、
 1度も『鎌しか作れない』とは言っていないですよね?
 鎌が作れるんですから、記憶を読み取れば『よく似た杭くらい』
 作れてもおかしくはないのではないですか?」

『変に思い込まれても困るので実演はしませんがね』と肩をすくめ、
手元の鎌を空中に放り投げるように消す。

「つまり、貴女の推論は女子高生の妄想、探偵ごっこの域を出ないわけです。
 ―――勝手な決め付けは視野を狭めますよ、監視番号109。」

薄野ツヅラ > 彼女の所作を眺めれば困ったように肩を竦める。
どーだか、と楽しげに笑みを洩らした。

「根拠も何も。
 なんなら今から燃え尽きた違反部活に、朝の散歩でもしに行きますぅ?
 デートのお誘いじゃあないですけどぉ───……」

楽しげに笑いながら軽口を叩く。
かつりと杖を鳴らす。乾いた音が静かな朝の落第街に反響する。

「この能力って───……
 女子高生が探偵ごっこするには最適の異能なんだゾ──……☆」

貴女には折角だしお教えしましょう、と。
知られていてもおかしくないと判断した少女は饒舌に言葉を並べる。

「書類上は片方しか認定されてないから公式な判定はないんだけどねェ。

 記憶の読心に洗脳、念話。記憶の消去に意志の増幅。
 それから感情の捏造に物的読心。
 精神系の異能のアーミーナイフみたいな異能がボクの本質的な異能。
 まァ其れをフルに活用してしまえば犯人が貴女である、
 なんてのも想像に容易いんだゾ──……☆」

右手で自慢げにピースサイン。
顔の横で幼い子供のようにポーズを決める。

「実演してもらえるなら少しのお捻りくらいは出せるんだけどねェ。
 まァ、その場に塵一つでも残ってれば状況の判別くらいは余裕なのよぉ────

 女子高生探偵だって何の根拠もなく云ってる訳じゃあないのよぉ?」

自慢げに、且つ目を細めて笑った。

クロノス > ふむ、と帽子の鍔を抑える。

「書類上に認定が無いのなら、
 そういった異能がある事は誰が証明するんです?
 その場に行って、その『あるかも分からない異能』によって読み取りました
 そう、口に出せば根拠も何も無くとも誰でも信じてくれるとでも?」

やれやれと首をふる。

「証拠も何も無く『そういう異能がある、だから私が証拠だ』
 と、いうような事が成り立つのなら、この世は冤罪塗れになるでしょうね。」

懐から公安委員会の登録証を出し、指差す
特記事項に『対象の一部から記憶を読み取る異能力がある為、
発言を参考程度の証拠として扱っても良い。』と書かれている。

「―――こうして、公の証明書を持っていても
 『参考程度』にしか扱えないんです。
 虚偽の報告がいくらでも出来てしまいますからね。」

クロノス > 「貴女が自称しているような異能力を本当に持っているのなら、
 それを公に証明してもらってから根拠とするべきでしょう。」

『もっとも』―――と、笑みを零し

「本当にそのような異能力があるのなら、
 私のように、公安に『スカウト』されるでしょうけどね。」

彼女の瞳を覗き込みながら歪んだ笑みを漏らす。
ここで言う『スカウト』とは、事実上の強制連行に近いものなのだろう。

薄野ツヅラ > 「───まァその通りよねぇ」

むう、と子供が拗ねるように考え込む。
ポシェットからチュッパチャップスを取り出すと、
おもむろに口の中に放り込む。
どこか悔しそうにガリガリと噛む。
自分の想定範囲外の返答をされれば外見以上に幼い行動を取る、
解りやすい彼女の癖だった。

「ンー……こういう時にはドロップアウト組は不利よねェ。
 不利も何も逃げ出したんだから当然と云えば当然か。

 少なくとも公安委員がそう云う異能を持っていれば『参考』に
 してくれるって云うのが知れただけでも十分ねェ」

アリガト、と小さく笑みを浮かべる。
公安内で異能を証拠に提示することができる、
など普通に生きていれば知り得ない情報。
其れが得られただけでも十分、と少女は満足そうに笑った。

「じゃあ証明できそうにはないわねェ……
 不登校は登校できないから不登校な訳だしぃ───☆

 スカウトも縁がなさそうだしねェ」

諦めるしかないみたい、とウインクをひとつ。
底知れない彼女の笑みも、慣れてしまえば可愛らしいもので。
ふふ、と小さく笑みを溢した。

「じゃあ素敵なことを教えてもらったお礼にハイ、あげるわぁ」

ポシェットの中から3本、
全く同じ味のチュッパチャップスを取り出す。
かつり、杖を鳴らして数歩彼女に歩み寄る。
───そのまま笑顔で押し付ける。

「清く正しい一般市民の探偵気取りに時間を割かせちゃったお詫び。
 もう路地裏の『調査』は終わりよぉ☆

 元気な生徒はもうすぐ『登校時間』だしねェ」

にっこりと、されど自嘲するように。楽しげに笑った。

クロノス > 「労いとしてありがたく貰っておきましょう。」
クスクスと笑って飴を受け取る。
うち1本を口に含むと、にっこりと微笑みかけ、
彼女の頭をぽんぽんと撫でる。

「―――そう拗ねないでください、監視番号109。」

身体をかがめ、彼女の瞳を覗き込む。

「そうやって、『正しき事』を愛する人間が居て、
 其々に『目』を光らせている事は非常に喜ばしい事です。
 その『目』は、学園の平和を守る大きな力になるでしょう。」

じわり、と笑みを零す。
―――彼女のその悔しそうな表情を、どこか、懐かしむように。

「その異能が本当にあるのかは証明できなくとも
 他でもない自分自身がその情報を信じる事は出来る。
 ―――精神系能力者というのは孤独なものです。
 信じてもらえないのなら、相応の地位を手に入れる為に努力するか、
 手に入るまで待てないなら、その情報を自分の力で生かして行くしかない。」

『少し話しすぎましたね』と帽子の鍔を握り、正しながら微笑む。
彼女も似たような能力者だ、似たような経験があったからこそ、
彼女は今の場所を、公安委員を目指したのかもしれない。

バキバキ、と音を立てて残りの飴玉を噛み砕いた。
味はしない。それが彼女の異能の対価だ。

「では、今度こそ家まで送って行きましょう。
 ……サボりはよくありませんよ?監視番号109。」

薄野ツヅラ > 「こういう時くらいは『監視番号109』じゃなくって
 ────『薄野廿楽』って呼んでもらえないのかしらぁ?」

それとも未だ業務時間中?と軽口を叩く。
覗き込まれれば小さく溜息を吐きながらからからと笑う。

「その『目』を掻い潜ってなんだかんだするのは
 なかなかに難しいみたいねェ───……」

数日の間に彼女の中での公安委員の────中でも
第二特別教室への評価は大きく上がっている。
得体の知れない「室長代理補佐」と大層な名前の中間管理職に。
それから目の前の赤い赤い瞳の彼女に。
其々の立場から等しく「平穏」を追及する姿は落第街の彼女の紅の其れにも
────それなりに魅力的には映っていた。

「精々趣味に活用する程度が丁度ねェ。
 もし趣味の範囲で手伝えることがあったら何時でも手伝うわぁ」

にこり、と幼い笑みを返す。
そこのホテルなんだけど、と云いながら直ぐ先のホテルを杖で指す。


「───偶には登校してもいいかもしれないわぁ、なんて」

クロノス > 「名前を呼ぶとどうしても愛着が湧く、
 愛着が湧けば、その人間が悪を働いた時に、
 あるいは、悪の被害にあった時に辛くなります。」

―――ぐっと帽子の鍔を握り、正す。

「なので名前は呼びませんよ、監視番号109。」

いつも通りに貼り付けたような笑みを浮かべると、
彼女に手を差し出した。

「あと、偶にではなく、
 特別な事情が無いのなら毎日登校してください。」

そのまま彼女とすぐ先のホテルの入り口まで歩くと、
彼女はまた貼り付けたような笑みを浮かべて、
手を振って去って行くだろう。

薄野ツヅラ > 「そ、じゃあ諦めるわぁ」

にっこりと、柔らかく微笑む。
左腕で杖を抱え込むと、
差し出された手を取って上機嫌に歩みを進める。

「厭よぉ、向いてないのよ集団生活」

何時も通りのその笑顔を見れば楽しそうに手を振り返す。
くるり、向きを変えればのんびりと杖を鳴らしてホテルへと入って行った。

ご案内:「路地裏」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「路地裏」からクロノスさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に異形の影さんが現れました。
ご案内:「路地裏」から異形の影さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に異形の影さんが現れました。
異形の影 > 「ひ――――」

【路地裏に、悲鳴は響かない。
 運悪くも偶然背後を振り向いてしまった女は、自分を飲み込もうとする黒いナニカを目にし、次の瞬間には灰も残さず消え去った】

《キキ――》

【人を一人、スラムの住民か、二級学生か、はたまた違反部の生徒か。
 誰かはわからないが、ともかく喰らった黒い影は、まだ日の光が届く路地裏で愉しげに蠢く。
 ずるずると、物陰に潜むでもなく、堂々と道の真ん中を這って動き、次の獲物を探して彷徨う】

異形の影 > 《キ……》

【すると、破壊の跡が残る路地へと出る。
 そこは昨晩、いくつかの戦闘が起きた場所。
 影はその一部始終を、ただ観察していた。
 そして思った。この場所には、やはり自分以上の化け物が住み着いているのだと】

《キキキ――ッ》

【影は心底愉しそうに、甲高い金属音を上げて日向で蠢いた。
 勿論、自分がそれらと係わり合いになるのは避けたい。
 影がこうして狩りを続けているのはただともかく、生き残るためなのだから。
 けれど、けれど、そんな壊れた人間共を見るのは、愉快で仕方がないのだ】

異形の影 > 【破壊跡を見ながら、ずるずると路地を進む。
 そしてしばらく先を歩く一組の男女がいた。
 相手は二人。どうしたものか、一度で狩るには面倒がある】

《キィ……》

【一瞬悩み、影は二つに分かれ、路地の壁際を音もなく這い進む。
 男女は気付かない。どのような二人組みか、影には判断がつかない。
 だが、その身なりを見れば、あまりいい生活をしている人間でない事くらいはわかった。
 なら、獲物にするには悪くない】

異形の影 > 《――――》

【気配を殺し、息を……もともとしていなかった。
 ただ静かに忍び寄る。歩く男女にゆっくりと忍び寄る。
 人間ならあと数歩分、つまり数メートル。
 飛び掛るのなら可能な限り、望ましいのは足元近く。そこまで寄らねばならない。
 影が僅かに速度を上げようとして、男女の足が止まった】

《――――ッ》

【哂い出しそうになり、耐える。
 この男女は、ワタシの存在にも気付かず、こんな場所でコトを始めようというのか。
 馬鹿げたスリルを求める人間の心理は、影にはまだ理解できなかったが……今は非常に都合がいい】

異形の影 > 【二つに分かれた影は、瞬く間に距離を詰める。
 そして、路地の壁を這い登り、人間の頭の高さに達すると】

《――!》

【二分され小さくなった影が、同時に二人の上半身へ飛び掛る。
 その直後、支えを失ったように影は地面へびしゃり、と落ちた。
 それとわずか前後して、ごとりと。地面に二つの物体が転がる。
 胸から上を完全に焼失した、人間の残骸だった】

異形の影 > 《キキキ……》

【一つに戻った影は、転がったソレを見て哂う。
 そして、そのうちの一つに焼失した断面からゆっくりと覆いかぶさっていく。
 じゅう、と。焼けるような音も、人が焼ける異臭も、発生していない。
 けれど、残った女の残骸は、その断面を焼かれたかの様に溶かして転がっている。勿論、出血など微塵もない】

異形の影 > 《…………キ》

【影にとっての食事は既に終わっている。
 だからこれは証拠の抹消、痕跡の除去だ。
 男の次は女の残骸。またゆっくりと覆いかぶされば、その直後にその残骸は灰も残らず焼却されている。
 それに満足した影は、陽光が指す位置にだらりと、水が広がっていくように『寝転がった』】

《…………》

【それは食事休憩のような物だった。
 真昼間から路地裏を歩き回る人間は、そう多くはない。
 昨夜は見事にくいっぱぐれたが、運よく三人もの人間を喰らうことが出来て満足感に浸っている。
 路地に広がる黒い影は、バケツの水をぶちまけたかのように、道の上に染みとなって、暖かな日差しを堪能していた】

異形の影 > 《キキ――》

【しばらくそうして昼寝を楽しんでいた影だったが、いい加減飽きたかのように動き始める。
 そのままずるずると、けだるげに路地を這い回り。
 いつの間にか日陰に入り込むと……そのまま姿を消したのだった】

ご案内:「路地裏」から異形の影さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 路地裏の一角。
薄汚れたベンチに腰掛け、ホットドッグを齧って休んでいる男が1人。
こんなところでそんな風にのんびりしていれば普通は何かと面倒が舞い込んでくるが、公安委員の腕章をつけるその男に何かしようとするものは今のところいない。
あくまで『今のところ』だが。

ご案内:「路地裏」にヴィクトリアさんが現れました。
『室長補佐代理』 > ホットドッグを咀嚼しながら、近寄ってくる気配に一瞥を向ける。
ごく自然に。ごくごくいつも通りに。

ヴィクトリア > 【そして突然、ガンっと後ろから蹴られるベンチ】
『室長補佐代理』 > 「そんなものでも公共物ですよ、局長殿。生活委員会に文句をいわれますよ」
振り返りもせずに、そういって溜息を吐く。
「たべます? ホットドッグ」
そういってから、ようやく振り返る。

ヴィクトリア > おおーい、きこえてますかー、もしもーし?
なんだよ、お前あれっきりほったらかしかよ、ボクのこと。

だいぶ見損なったぞ。
【ジト目で見下ろしつつ、いらねーよ、と言いながら受け取り、一口で3分の1持って行って返す
んぐんぐ。】

『室長補佐代理』 > 残りをそのまま丸のみするように口に放り込み、数回咀嚼してからすぐに飲み込む。
「申し訳ありません。局長殿は御多忙のようでしたので中々伺う機会がありませんでした」
事も無げにそういって、左肩だけで肩を竦める。
「立ち話もなんですし、こちらへどうです?」
ぽんぽんとベンチを叩く。

ヴィクトリア > おまえさー、いーかげんにしろよ?
ボクは怒ってんだよ、見て分かれよ。更に怒らせるよーなことすんじゃねーよ。

【言うと、補佐代理の膝の上にどかっと座る】

機嫌取るならこっちだって分かってんだろーがよ、あんまふざけんなよ。

【そのまま振り返らずに背中を預けた】

『室長補佐代理』 > 「いつもの5倍マシくらいに素直ですね」
膝の上に乗られてもビクともせず、苦笑しながらそう返す。
圧倒的身長差のせいで傍目からみれば兄と妹どころか叔父と姪ほどだ。
お互い顔を合わせないまま、それでも囁ければ聞こえる距離で会話を続ける。
「まぁしかし、ふざけているわけじゃあないんですよ局長殿。本当に機会がとれなかっただけですよ。局長殿は人気者ですからね」

ご案内:「路地裏」に麻美子さんが現れました。
ヴィクトリア > 人気ってお前さぁ……ボクがあのあと落第街でフラフラになってたり、ガタガタ震えながら目覚めたり
クロダイでくそまずいコーヒーを飲みながらブルー入ってたりしてたの放ったらかして何やってたんだよ
それ以上に用事なんかあったのかよ、ええ?

……おまえさ、まだ間に合わなかった失点あんだからさ、ボクはまだそれ返してもらってないぞ?

【すなお、というかあれから一度も顔見せもなかった来なかったことを明らかに拗ねている
拗ねているというか怒っているというか、とにかく苛立っているのは確かなようだった】

麻美子 > 風紀委員会の人間や公安委員会の人間を『狩っている』
人間が居るという情報の確認の為に、のんびりと路地裏を歩く。

落第街での出来事には『広報』は原則として不干渉だが、
『風紀』の人間が被害に合ったとなれば話は別だ。
事実だとすれば、警告を出さなければならない。

「争いの痕跡とかは結構あるッスけど、
 正直、落第街の路地裏なんてこんなものッスよねー。」

はぁ、とため息をつく、後で確認に来ても闇から闇、
情報なんて集まりはしない。……これだから落第街の路地裏は嫌いだ。

『……ん?あれは『室長補佐代理』サンじゃないッスか。
 ―――『室長補佐代理』サンも調査ッスかね。』

「し―――ッ」

そう考えて声をかけようとするが、
膝の上に乗っている少女に気がついて声を飲み込む。
……ついでに、特に意味も無く物陰に隠れた。

『室長補佐代理』 > 「すいません、仕事があったもので。課題も溜まってますし。それに、局長殿の側近には翔君や犬飼もいるでしょうに」
拗ねている様子に気付いているのかいないのか、曖昧に微笑む。
微笑の吐息すら、今は如実に伝わる。
「まぁ、埋め合わせはしますがほどほどで勘弁しておいてくださいよ。俺は見ての通り本来は実働員ではないので」
そう、彼は本来、前線にでるタイプではない。
あくまで諜報員だ。
それが、無理を押して出てきたことの意味は、明白と言えば明白である。

『室長補佐代理』 > 「……?」
ふと、声をかけられた気がして物陰に目を向けるが、誰もいない。
「……気のせいだったか?」
最近、気を張り過ぎているか、とまた視線を戻す。

麻美子 > 『……え、えっと、その、彼女ッス、かね?』

これまた、特に意味も無く口を押さえながら2人の様子を伺う。
彼の喋り方はいつもと違って優しく、
囁く声で聞こえるほど近い二人の距離は、
2人がただならぬ関係である事を示しているように見える。

『なんスか、モテなそうに見せかけてちゃんと大事な人がいるんじゃないッスか……。』

彼の優しい微笑みを見て、ぎゅっと手を握る。

『いやいや、麻美子は何で凹んでるんスか、
 『室長補佐代理』サンとは友達ッス。友達ッスよ。
 ちょっと勉強を教わって、一緒に帰ったりしただけッス。
 ………麻美子と、『室長補佐代理』サンは、それだけッス。』

ヴィクトリア > あいつらボクと同類じゃねーか、ボロボロだし傷つけたら泣いちゃうだろ。
だからボクはあいつらを困らせたくないんだよ。

だいたいお前、ボクがあの時、距離取られるの嫌だっつったろ、わかれよ。
お前ボクをナンだと思ってんだよばーか。

【拗ねる、目一杯拗ねる
要はアレっきり顔見せもないので、我慢の限界なのだ。
別に意識として恋とか愛とかといったことではないのだが、コイツに放って置かれるのは嫌だった】

ボクがアレだけ洗いざらいぶちまけたんだから、いい加減それなりの態度見せやがれよ……

ヴィクトリア > 【麻美子にはもちろん気がついていない】
『室長補佐代理』 > 「大事な大事な上司ですよ。前に言ったでしょうに。
それにああいう男共は少しくらい傷つけてやったほうが喜びますよ。
基本的に男ってのは女よりは臆病なんですよ。
特にああいう手合いはそうなんじゃないんですかね」
まるで自分の事を棚に上げるかのようにいっているが、恐らくこの男はそんな事には気づいていない。
かつてないほど拗ねに拗ねている局長に大きく溜息をついて、ぽんと左手を頭におく。
「だからってお互い四六時中一緒にいれるような立場でも境遇でもねーだろが。
そっちこそ、俺が処分覚悟で助けに行った時点で少しは察せよな。
お互いまるきり知らない仲でもねーんだし、俺よりずーっと頭もいいだろ」
そう、若干あきれるように言った。
ごく当たり前のように。

麻美子 > 2人の会話は右から左に抜けていく、
ただ、ここに居ちゃダメだ、という事は分かる。
頭で分かってもこの二人を二人きりにさせるなんて、絶対に嫌だ。
そもそも、彼とは何も無いのだ。何も無いのなら、気を使う必要もない。

『そうッスよ、だから隠れる必要なんてないッス。
 別に何の後ろめたい所もないんスから。』

そう言い聞かせると、いつものように笑顔を浮かべる。
念のため手鏡でチェック。特に問題なし。泣いたりはしていない。

『まったく、嫌な女ッスね』
僅かに頭に浮かんだ考えを目を伏せて振り切ると、
物陰からにっこりと笑顔を浮かべて2人のほうへ歩いていく。

「『室長補佐代理』サン、こんにちはッス。
 なんスか?路地裏で密会なんて、許されない恋か何かッスか?」

『しかもロリコンって随分と業が深いッスねー。』と冗談を飛ばしつつ、
いつもより3割増しわざとらしい笑みを浮かべて、そう声をかけた。

『室長補佐代理』 > そう話しかけられると、ん、と顔を向けて……男は『笑った』。
傍目から見れば相変わらず不気味な笑みそのものだが、それなりに男の事を知っていれば、まぁ上機嫌だろうと分かる程度には穏やかに笑った。
「ブン屋の血が騒ぐようなスキャンダルだったか?
だが、悪いな麻美子。これは上司と部下の楽しい昼下がりってところだ」
そういって、肩を竦めた。

麻美子 > 「そうッスねー、路地裏で公安の男とどこの誰とも知らない見知らぬ女が密会。
 なかなか刺激的なスキャンダルッスよー。」

けらけらと笑いながら手に持ったペンをくるっと回した、
手にはメモ帳を開いて持っている。

「―――で、その『上司』らしいその女の子、誰ッスか?
 『上司』にしては随分仲良さそうに見えるッスけど。
 ………頭とかも撫でてたッスよね?本当に『上司』ッスか?」

ヴィクトリア > ……おまえ、さ。ボクがアレのせいでフツーじゃないって分かってて、それを分かってて言ってんのか、なぁ?
それとも、勝手にどーにかするとでも思ってやがんのかよ、あぁ!?

処分覚悟ってのは、わからなくもねーよ?
だからってさ、だからって……おまえ、ボクを……何だと………………

【俯きながら絞りだすように怒る。怒るというよりは懇願しているだけかもしれない。
正確には哀願に近い気もするが。

そこでかけられる声、震えた声を必死に戻し、溢れかけた涙を押し留める
察するに代理子飼いのブン屋か? 広報部の麻美子で検索し、表向きの情報を用意して引っ張りだす】

……おーぅ何嗅ぎまわってんだよ。
別に叩いてもなんかでやしねーぞ?

【未見不 麻美子、高等部1年……広報部校内誌担当か。
スキャンダル好きってやつか?
とりあえず横柄に出る。代理はどうするつもりなのか多少出方を見るとするか】

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > 廃ビルの上から見下ろす男がいる
獣もかくやという視力で、風紀の腕章を捉える
一人は風紀委員か
あとは制服をだらしなく着た女に、ガキ
妙な取り合わせだ

だが男は今日は"そこそこ"満たされていた
俺の庭に入り込んだ3人のツラを網膜に焼付け、男は去る

去り際、廃ビルから欠けたアスファルトがからから乾いた音を立てた───

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
『室長補佐代理』 > 「大事な上司と思ってるっていったじゃないですか」
若干含みのある言い方で局長の頭をなでてから、麻美子に目を向ける。
心なしか穏やかな面持ちではある。
「ああ、まぁ麻美子ならいいか。
いつも世話になってる俺のそうだなえーと……3つだか4つくらい上のところにいる上司だな。
昔からの馴染みでな。あぶねぇ橋渡るときはよく世話んなってる。
公安と風紀の件でも裏から手ぇまわしてくれたのはこの人だ。
麻美子も感謝しとけよ」
そういって、いつものように麻美子の目を見る。
黒い、虚のような瞳で。

麻美子 > 『やっぱり彼女ッスかね。』

ヴィクトリアの「ボクを何だと……。」
という発言を聞いて考えつつ、くるくるとペンを回す。

「かぎまわるのが広報の仕事ッスからー。」
と、口元は笑ってメモ帳をペンでさしつつ、
彼女を睨みつけるような目で見る。

横に離れたのを『今更遅いッスよ』と考えながら見下ろし、
彼女には用が無いとばかりに『室長補佐代理』のほうに目線を移した。

麻美子 > 「そうッスか、麻美子より長い付き合いなんスね。
 どおりでやけに仲良さそうに見えるわけッス。」

にっこりと笑ってペンをくるくると回す。

「―――なら、『ただの』上司で、
 上司以上でも上司以下でもないって事ッスね?」

『いやー、それなら確かにスキャンダルにはならなそうッスー。』
と笑いながらメモ帳を閉じた。

「なんか世話になったみたいッスね。一応お礼は言っておくッスよ。」
『あと、室長補佐代理サンがいつも世話になってるッス』
と付け加えつつ、彼女に笑いかける。

ヴィクトリア > ……おいおい、随分信用してやがんなぁ?
コイツもボクと一緒で猫だぞ? それとも猫を手懐けるのはお手の物って?

【麻美子の睨みつけるような視線をあざ笑うような視線で受け止める
麻美子の手前、一応膝の上からは離れたが、それでも撫でられるままに補佐代理に身を預けっぱなしのまま
ボクの紹介の仕方が随分踏み込んだ紹介だなと、代理補佐と麻美子の関係を勘ぐる、炎の巨人のの件で後方が妙な動きしてるっってたのはコイツか?
しかしやけに突っ掛かるな、ポジショントークにしては。】

おーぅ、ボクのことはネコミミとでも呼んでくれ
コイツの保護者兼ただならぬ仲、だよ。

【敢えてぶん投げてみよう、おもしろそーだ。ワザと代理の腕を抱きかかえごろにゃんする
どーにかなってもコイツが何とかするだろ。ってかさせる】

麻美子 > 「ネコミミサンッスね、覚えて―――」
と適当に流そうとするが、
その後の紹介と行動にピクっと笑顔を浮かべた頬を動かす。

「『室長補佐代理』サン、
 本人がただならぬ仲って言ってるッスけど、
 ……そうなんスか?」

『室長補佐代理』のほうににっこりと笑みを浮かべて問いかける。

『室長補佐代理』 > 「ああ。まぁな。普通……いや、普通というには少し気難しいが良い上司だ。俺が懇意にして頂いていることが恐れ多いくらいだよ」
そう、上司の件に返答しつつ、離れた局長に笑みを返し。
「猫? まぁ、確かに麻美子も猫っぽいところはあるかもなぁ……でも、手懐けるどころか、引っかかれてばっかりですよ」
連日からかわれっぱなしの現状を思い出して、苦笑いを漏らす。
先日のカフェの件といい、最近麻美子には翻弄されっぱなしである。

『室長補佐代理』 > 麻美子の普段よりも影の濃い笑みに気付いているのかいないのか、男は一度思い出すように虚空に視線を投げてから、また麻美子に視線を戻した。
「俺でタダならぬ仲なら他の彼女の部下共はどうなるんだとは思っているが……まぁそう浅からぬ仲ではないな。
丁度……うーん、あ、そうだな」
そういって、左手の人差し指をたてて、丁度いい例えを思いついたとばかりに嘯く。
 
「丁度、麻美子と同じくらいの仲だ」
 
暗に、長年世話になっているそれなりに懇意の上司と同じかそれ以上にはもう麻美子を信頼しているとも言っていた。

ヴィクトリア > 【……おやこの女。ボクにでなくそっちに聞く。しかも返礼を遮ってまで。
最初の登場の感じからして、ネタは面白がるタイプじゃないのか?コイツ。
んじゃーやることはひとつだ】

ん、でも……この間とかマジですごかったからな。
ボクがあんなになったのはさすがに初めてだからなァ。
……だろ?

【半分は代理に対する恨み節、半分は麻美子に対するあてつけだ。
下手に説明したら、殺すし。
それにブン屋を代理のやつがそこまで信用するというのも興味があった。
どっちにしろ多少本性をひきずり出して見とく必要がある

場合によってはボクにまで飛んでくる件だからな、これは】

ヴィクトリア > 【しかし代理のやつボクと同じぐらいだとふざけんな死ね
などと思いつつ甘えてみせる。女は怖い】

麻美子 > 「んー、同じくらいの仲ッスか。」

仮にも彼女が居る前で同じくらいとか言うのはどうなのとか、
長年付き合っている相手と同じくらいと言われるのは嬉しいとか、
でもやっぱり嘘でもいいから麻美子のほうがと言って欲しいとか、
……まぁ、でも『室長補佐代理』さんの事だから、
同じくらいっていうのは最大の評価なんだろうなとか思いつつ、

『うーん、同じくらいなら麻美子の事も撫でてくれるッスかね。』

とぼんやりと考えている所に、彼女の発言が聞こえて、叫ぶ。

「―――って、全然同じじゃないじゃないッスか!!!
 麻美子、まだ『室長補佐代理』サンには手繋いでもらっただけッスよ!!!」

ヴィクトリア > あはは、なーんだまだ乳臭い小娘なんだ、ふーん……可愛いなぁ?
ナンだ、アレか?
他人のこと聞くときは活き活きとして容赦なく突っ込んでくるけど自分の立場になったらオロオロするってやつか?
【今日のお前が言うなスレはここですか?】

……んで代理ぃ、実際のとこどーなってんだよコレは。
いきなり現れた女に、ボク並みって言われたら、さすがにボクは舐められてるとしか思わないんだけどさァ。
そこんトコどーなのよ。

お前がボクのことを随分と突っ込んだ紹介してくれるあたり、信用してるってのはわかるんだけどさ
さすがにボクもそろそろ怒るぜ?

【最初から怒ってるくせに棚上げしたまま代理に尋ねる
どう考えても今のコイツは不誠実極まりない、つまり殺す。ちょー殺す。すげえ殺す。
切って刺して千切って焼いて煮て揚げたりするぐらいは許されるはずだ

殺人許可証はボクと麻美子の手にあるんだからな】

『室長補佐代理』 > 「ん? あ?」
話が見えないとばかりに首をかしげる。
スゴかった。
まぁ確かに凄かったろう。あんな目にあったのは初めてだろうし。
そして、また傍と男は思い至る。
そう、日頃から隠語だの暗喩だのの世界で生きている男だ。
そういわれれば、なるべく受け返そうとはする。
だからこそ、そのあたり彼女たちも察しているのだろうなと思って、男は応えた。
「まぁでも『ああいう状況』だったら、麻美子にも同じようにするぞ」

そして、局長に向き直ると、敢えてじっとりと笑って……普段通りの滲むような笑みを浮かべて、つぶやく。

「世話になってる事はどちらにも変わりはない。
それに、舐めてるのはむしろ局長でしょう。
『部下』の皆さんとああだこうだあったことを俺だって知らないわけじゃあ、ありませんよ」

暗に犬飼との件を引き合いに出して、静かに笑う。
といっても、穏やかなものだ。
恫喝するようなものではない。

「だからいったでしょう。『ご多忙のようなので遠慮した』って」

そういって、またポンポンと頭を撫でた。

麻美子 > 「う、うるさいッスよ!!
 自分が経験無いからそういうのに夢とかをもつんス!!」

そこで初めて自分がからかわれてると気がついて、
すーはーと深呼吸する、
冷静に考えれば、なんでこんなに熱くなってるんだ。

憧れの先輩が居たけど正直女の子に縁も無さそうだし、
今の関係でもそれなりに満足してるから別にそれでいいかなーとか思ってたら、
思いもよらず彼女っぽい女の子が居て慌てた感じ。

『そう、これッス』

自分の心理状況を客観的に分析して、
―――ふぅ、と落ち着く。

ヴィクトリア > あ?夢を持つってことはそうなりたいってこと?
代理と?
ナンだ、代理お前ちゃんと手懐けてんじゃんか。引っかかれるとかどう考えてもスキンシップだろーがよ
そのうち甘咬みされるぞ?
【ケラケラとからかうように麻美子に笑いかけて。】

麻美子 > 落ち着いたが、彼の発言を聞けば再び顔を真っ赤にする。

「麻美子にもって!!麻美子にもってなんスか!!!!」

そういう事に縁が無さそうに見えて、案外スミに置けない人種なんだろうか。
そんな事を考えているうちに彼と彼女のその後のやり取りを聞いて、
ヴィトリアに凄い物を見たような目を向ける。

「ふ、不純異性交遊はよくないッスよ!?
 恋愛って言うのは一対一でやるものッス!!!
 彼氏が居るのに部下との、その、アレとか、良くないッス!!!
 このビッチ!!!!!ッス!!!!!!」

ヴィクトリア > で……代理お前さァ、それをボクに言っちゃう訳か?
ボクがどんな状態だったか知ってるお前がさァ?
さすがにビジネスだけの関係ってなら、ボクはもっと容赦なくドライになるぞ?
そこまでさせんなよ、分かってんだろ? 言ったろ、怒らせんな、マジで。
【どうも、最初から怒ってるのとはまた別に本気でちょっと怒っている様子が伺える
どうやらだいぶ代理にすえかねてる部分があるらしいように思える】

あー。
まァ、ボクはだいぶビッチでクズみたいだからな。
そーなんじゃないの?
【うーわー麻美子のやつ、かわいーな、これ。
多分コレすげー言葉選んだ悪口なんだろうなぁ、なでてやりたい】

『室長補佐代理』 > 「恋愛? いや、まぁそういうのじゃねーけど」
うろたえる麻美子をみて、不思議そうな顔をしつつ、局長を窘める。
「局長もあんまり煽らないでくださいよ」
そして、物騒なことを嘯く局長にはすこしまたあきれた様子で。
「それと、身内の『そういうこと』は応援したくなるのが常ってのもご理解頂きたいもんですね。
つーかな……バカの振りはやめろよ。
察せるくらいのあれこれはある癖にあれもこれもと手を伸ばすからよくねぇんだよアンタは」
そういって、また局長をポンポンなでる。
まぁ大事に思っていることは確かなのだろう。
だいたいビジネスだけで考えるならあそこで処分覚悟で踏み込む理由はただの一つもない。
だが、それでも男はそこに踏み込んだ。
「俺が口下手な事だって知った上で言わせようとするのは昔からの悪癖だな」
なら、それ以上の明確な理由は恐らくないのだ。
恋や愛とは異なるのかもしれないが、それでも局長の事はこの男なりに気付かっているのである。
傍目から見ると歪な形かもしれないが、もし一番近いものを引き合いにだすとすれば、それは本当に『身内』に抱くそれが近いのかもしれない。

麻美子 > 「いやでも、麻美子にもそういう事するって………。」

そこまで考えて、つい先ほどまでからかわれていた事を思い出す。
彼の横に座る彼女を睨みつけると、
いい加減立ち話は疲れたのか、室長補佐代理の膝の上に座った。
……彼女への当てつけもという意味もあるが。

「まったく、変な勘違いさせるなッスよ。
 無駄に慌てたッス。」

はぁーとため息をつく。

「そっちのビッチ猫耳もビッチ猫耳ッスよ。
 『室長補佐代理』サンが好きなら好きって素直に言うッス。
 ………言わないなら、麻美子が貰っちゃうッスよ?」

足をぱたぱたと動かしながら問いかける。

ヴィクトリア > あのさ、ボクはお前の妹じゃないんだからさァ
おにいちゃんって呼ぶぞこの野郎。
お前のは口下手じゃなくて煽ってるっていうんだよ。口なんか回り過ぎる方だろーがよ。
だいたい、あの時なんで距離取るんだっつったろ?
んで、さんざん逆撫でして美味しいとこもっていきやが……んぁ!?
ふざけんなそこはボクの特等席だっつってんだろ、どけよこのボサボサメガネ!
クラゲやわかめみたいな頭してエラソーに座ってんじゃねーぞコラ!
【代理に返事をしてる最中に膝を奪われ麻美子ともみ合いつつ暴れる、ちなみに、特等席だといったことはない】

麻美子 > 「『室長補佐代理』サンが同じくらいっていったッス!!
 麻美子にもここに座る権利があるッス!!!!
 あと、これはもてかわウェーブってやつッスよ!!!
 町をコスプレ紛いの服で歩き回る変態には分からないかもッスけど!!
 ちょっとはファッション雑誌とか読むッスよ!!バーカ!!バーカ!!」

相手の手とかほっぺたを掴んでギリギリと押し返す。
どくつもりは無いらしい。

『室長補佐代理』 > やっといつもの調子に戻ってきた局長をみて、いくらか和やかな表情を浮かべながら笑う。
「詰めようにも本当に四六時中部下を侍らせてた寂しがり大名様がよくもまぁ……おい、お前ら、人の膝の上で喧嘩はじめるんじゃ……」

と、口を差し挟もうとは一応してみるが……

麻美子 > 「黙るッス!!!これはこのネコミミと麻美子の問題ッス!!」

そう、彼のほうを向いて叫ぶ。

ヴィクトリア > 死ね、死ね!ばーかばーか!なにがもてかわだよ何でも略さないと死んじゃう種族かよ!
そんなにそこが好きならいっそ挟まれ死んでしまえー!
【麻美子の膝の上に乗り、さらにぎゅーぎゅー押し付けて麻美子を挟んで殺し代理補佐を圧死させるべく奮闘する】

ヴィクトリア > 【ちなみに代理の発言は聞いていない】
『室長補佐代理』 > 「え、あ……お、おう……」

最早何もいえない。

麻美子 > 「このネコミミ!!重いッスよ!!乗るなッス!!!
 ここは麻美子の場所ッスー!!!」

ぐいぐいと押しのけようとしながら、
ふと思いついたように当事者である彼に振る

「元はといえば『室長補佐代理』サンが、
 「同じくらい」とか言ったのが悪いんスよ。
 実際、麻美子とこのネコミミ、どっちのほうが大事ッスか?
 同じくらいはダメッス、どっちかと言うとッス。2つに1つッス」

ヴィクトリア > そんなにその場所が好きなら場所とともに滅びるが良いわー!
【ぎゅーぎゅー】

それもそーだ。
ボクとこんなメガネ小娘なんか一緒にしやがって。
なンだよボクとの仲はそんな軽かったのかよ、え?
……ボクはあの時の気持ち忘れてないからな!
【麻美子の上に対面で座って伸し掛かり押しのけあいながら、完全に便乗する】

『室長補佐代理』 >  
「そっちの問題じゃなかったのかよ」
 
いいながらも、返答は考える。
2人分の体重をかけられながら、不可解な問いに頭を捻る。
流石に二人そろって全体重押し付けてくるので重い。
この返答にも重力のような何かが干渉しているように思えるのも、多分そのせいなのだろうと男は思った。
いずれにせよ、男は真剣に考えた。
真面目に考えた。
故に必死に頭をこねくり回した末に、答えた。
 
「二者択一はそれに押し込んだ時点で答えにバイアスが掛かり過ぎる。
それで正確な答えがでるはずもない。流石に卑怯だぞ二人とも。
だが、それでもあえて答えるなら……」
 
はっきりと、屹然と、答えを言う。
 
「堂々と無回答だ。どっちにも一言で言い表せないほど世話になってる。片方だけ見捨てろともとれる問いに易々答えられるほど俺は不義理じゃねーよ。
まぁでも、その上でもいうのだとしたらこれは返答ではなく苦言だ、おい、局長。
アンタ、俺は別にいくらでも構うが、それで翔だの犬飼だのに不義理するかもしれないことは覚えておけよ。
『部下』は大事にしろよな」

そう、少し疲れたようにいった。

麻美子 > 『はぁ』と呆れたように頬を掻く

「『室長補佐代理』サン、この場合では、
 むしろ片方を見捨てないほうが『不義理』ッスよ。」

『ま、ある意味『室長補佐代理』さんらしい回答ッスね。』と考えつつ、
膝の上(と書いてバトルフィールドと読む)から降りて、にっこりと笑う。

「ま、組織同士での争いでそう答えるのは大正解ッスけど、
 女の子にもそういう事ばっかり言ってると、そのうち刺されるッスよ?
 ………というか、むしろ麻美子が刺すッス。」

『室長補佐代理』 > 「お前は自分の価値観と客観に一家言もってんだろ、麻美子。
なら、麻美子の判断で俺を刺すべきと思ったらそれでいい。
それはおそらく、間違ってない。そういう麻美子だからこそ、俺は信用してんだ」

その意味を本当に知ってか知らずか、男はそう答えた。

ヴィクトリア > 不義理って……ボクはぜんぶそうなっちまうのか?
【その回答に、何かぶつっと切れる】

わかるよ、言いたいことはわかるよ……でも当事者の一人のお前がそれ言うのかよ!?

ボクが苦しんでたら、結局誰かを傷つけるしか解答がないってのかよ。
それもあんなことがあった後に、ちょっとぐらいそう思っちゃいけないってのかよ?

あーそーだよボクはキズつけまくる錆びたナイフだよ!

おまえの言いたいことだってわかるよ
なら、あいつらボクをそういう目で見てるのか?
それともボクが不安すぎるのがいけないのか?
ボクはそういう目で見られる餌なのか、それともなんか不幸を振りまくだけなのか?

お前がボクをほったらかしたからっていう部分をそう言われたらさァ……それじゃボクはどーすりゃよかったんだよ!

お前だってわかんないからそーなってんだろ! 不義理でも何でもそーするしか無いからそーなってんだろ!?
そーじゃないってならお前がボクをどーにかすればよかっただろ!
距離空けるなって言ったじゃんか、ボクはお前が友達でいてくれるかどうかすら不安だったってのに
ボクがあの後目覚めて一人だって知ったときどんな顔してたかわかるか?
なんであんなことのすぐ後に落第街うろついて死にかけたと思ってんだよ!
ボクはそうでもしないと不安で怖くて死にそうだったからだよ!!

……あんなことの後に冷静で普段通りでいろっていうのかボクに!?
だからボクはおまえに嫌われてるのかって不安になるんだよいつも……あの時だって間に合わなかったじゃないかぁ……

だけどボクは間に合わなかったことをお前に転嫁したつもりはないぞ……ないだろ?
そんなんでもボクは嬉しかったんだ………………

【あとはもう、どうにもとまらない
麻美子のいる前で、泣きじゃくりながら懇願するようにしがみついて、必至に乞うしかなかった
おそらく、代理が思っている以上に、言葉で刺したのだ】

『室長補佐代理』 > 吐き出された局長の吐露をきいて、男は頭を振る。
一度だけ麻美子をみて、頷く。
おそらくこれで麻美子にもわかるだろう。
彼女がどういう存在なのか。どういう子なのか。
そして、どれだけ不安定なのか。
だからこそなのかもしれない、男は動じない。
安心させるように、全くいつも通りに笑う。
滲むような、不気味な笑みだった。
「局長。アンタはアンタが思っている以上に慕われてる。
俺だって、『いつも通り』だったろ。何も変わらなかったろ。
不安になんて思うなよ。それが答えだ。それでも寂しかったら少しは自分から言えばいいんだ」

そして、一歩近づいて、遥か頭上から、左手を伸ばして。

「今日みたいにな」

そういって、また、ポンと頭に手を置いた。
あの時のように。
 
「アンタのそういうところにうんざりする奴は最初からアンタの下についてない。
周りにいる連中ももうちょっと信用してやれよ。じゃないと、可哀想だぜ」
 

麻美子 > 大いに泣いて騒ぐ彼女をちらりと見て、
彼からの視線を受け取り、目立たないように少しだけ歯軋りをして
ブレザーのポケットに手を突っ込む。

「そうッスね、麻美子は『客観視』には自信があるッス。」

はぁ、と息をつく。
彼女には彼が必要で、彼も彼女を見捨てる気が無いのなら、
今さら私がどうこう言っても仕方が無い。悔しいが。
―――目を伏せ、一拍置いて、にっこりと微笑む

「何があったかは知らないッスけど、『客観的に見て』、
 どうにもそっちのネコミミのほうが、
 『室長補佐代理』サンを必要としてるように見えるッス。
 しかも、『室長補佐代理』サンも、それを見捨てる気がないみたいッス。」

ゆっくりと、2人から離れていく。
途中でくるりと振り返ると、にへらーっと笑う。

「……邪魔して悪かったッスよ、
 『室長補佐代理』サン、その子と一緒に居てやるッス。
 まぁ、麻美子の事は気にするなッスよ。
 麻美子は所詮、ちょっと憧れの先輩が居たってだけッスから。」

『ちゃんと支えてやるんスよー!』
と笑いながら、ブレザーのポケットの中で手を握り締めつつ、
逃げるようにその場から去っていった。

ご案内:「路地裏」から麻美子さんが去りました。
ヴィクトリア > ……悪ぃ……。
【麻美子にも悪いことをした。
どっちがその位置にいるかなんていう話じゃなくなってしまった。
沸騰した頭であるがゆえに判断が加速する】

……わかってない!
【室長代理補佐の左手をはねのける】

わかってないってんだよこの……クソ野郎……!
ボクはお前が代理になってから名前で呼ぶことすら出来ないんだぞ……!?

お前がボクを見捨てないってのはわかる、わかるけどさぁ!
わかるけど、ボクはあんなことをされても放し飼いなのかよ!?

……買いかぶるなよ、ボクは……クズなんだからさァ!
言えばわかるって言うならお前だって言えよ!
ボクはクズでガキでどーしよーもない腐ったやつだから、言われたってわかんないんだよ!

言ってわかるお前と一緒にすんじゃねーよ!!
一緒になんか……

普段だったらお前のいうことだって分かってやるよ!
ここまで反発しねーよ!

だけどさァ…………
こんな時にまで金だけ与えて子供は満足だろ愛情たっぷりかけてやってるみたいな考えの親父みたいなそんな態度されてみろ
ただでさえグズグズでグチャグチャなボクは何を信じればいーんだよ!!

翔だって犬飼だっていいやつらだよ!
ボクになんか勿体無い奴らだよ!

でも、お前がそれを言うなよ……お前にそれを言われたらボクは……さぁ、あいつらの手を掴むのもできなくなるじゃんか……
別に代わりとかそーゆーんじゃないよ、ボクのわがままで不安で喚いてるだけだよ!
喚いちゃ悪いのかよこんな時ぐらい……!!!
そんな時に助けてくれたあいつらに、義理ってなんなんだ?
そういうのって義理とか不義理とかで判断すべきことなのか……?

だから言ったろ、ボクは……お前の何なんだって……

ボクは手の伸ばし方も知らないんだよ……?

【跪いて哀願するように弱々しく、喚いた。
いつもの激昂したような口調で……不安そうに。】

『室長補佐代理』 > 「あ? おい、麻美子お前何いって……おい!」

背に声をかけるが、彼女が立ち止まることはない。
流石に様子がおかしい事はわかる。
後を追ったほうが恐らくいい。
しかし、ただでさえ危ないこんなところで、恐慌状態の局長を置いていくわけにも当然いかない。
ガリガリと頭をかいてから、立ち上がり、局長の手を引こうとするが。
 
「ああ、くそまどろっこしい。
わかんねぇなら教えてやる」

弾き落とされても気にしないで、そういって左手を強引に伸ばして。
 
「こうやるんだよ」
 
いつかのように、片腕だけで抱き上げる。 

「悪いなんて一言もいってねぇし喚くなともいってねぇ。
だが、てめぇの環境の幸福さで他人を傷つけることもあることは覚えておけ」
 
そして、目の前でハッキリと告げる。
 
「自分は何なのかなんて卑怯な問いはな、せめて同じことを俺やアイツらに聞かれてハッキリ答えられるようになってから云え。
敢えてそれでも甘やかして答えてやれば、俺にとってのアンタは『大事な上司』だ。
俺にここまで言わせる意味くらいわかってんだろうが。
クズで腐ってるアンタで構わないって連中までまとめて貶めてんじゃねぇよこの御姫様が」

ぐいっと腕の上に乗せるように片腕で抱き上げて、走り出す。
 
「あとは走りながら聞くからいいたい事あるならいえ。聞いてやるから」
 
口調だけは、いつも通りに。

ヴィクトリア > ……おまえが、ゆーな…………。
おまえが、他のだれでもないおまえがそれを言うな……!
ボクは……お前にいて欲しいんだ……ボクがこんなになるまで放っておきやがって……ばかやろう……!

【あとは、腕の中で必死にしがみつくしか出来なかった】

『室長補佐代理』 > そこで、目を向けながら一言、はっきりと。
ただ、ともに走り去りながら告げる。
 
「選ばない奴が俺に選べなんてぬかすんじゃねぇ。
俺とアンタは同じクズだ。
だからきっと俺はアンタを選ばない。
だが、求めるなら寄り添ってやる。泣きついたら助けてやる。
御姫様らしくしてりゃあいいんだよ。この贅沢者が」

振り払うこともなく、ただ、しっかと抱いたまま、走った。

ヴィクトリア > ……さすがにいま……ボクに贅沢って言われるのは……キツイよ?
【震えながらそれだけ言って、一層強く抱きついた】

『室長補佐代理』 > 「きつくてもなんでも友人なら聞けアホ。
一緒にいてぇんだろうが。
友人ってのはアンタが思うよりは簡単にいなくならねぇよ。
俺の魔術名でも思い出しながら、しばらく気が済むまで泣いてろ」

抱きつかれても、抵抗することなく。
震える身体をむしろ強く抱きとめて、路地裏を走る。
まだ姿は見えない。

「ちっ……こりゃ無理か。撒かれたな」

ヴィクトリア > ……ごめん。
【それだけ言うのが精一杯だった】

『室長補佐代理』 > その人事を聞けば、気が緩んだように微笑んで、頭を撫でる。
 
「その一言が言えるようになっただけ上等だ」

いつもよりも、朗らかな笑顔で。
度合いなど、余人には分からないかもしれない。
それでも、近くにいることが多いなら分かる笑みだ。

「帰んぞ。しょうがねぇからなんか奢ってやる。
飴玉でいいだろ」

暗に好物の事をいいながら、そのまま肩に抱いたまま路地裏に消える。
足取りは、ゆっくりだった。

ご案内:「路地裏」から『室長補佐代理』さんが去りました。
ヴィクトリア > 【そのまま抱かれていた。震えは、止まっていた】
ご案内:「路地裏」からヴィクトリアさんが去りました。