2015/08/02 のログ
ご案内:「路地裏」に霜月 芙蓉さんが現れました。
霜月 芙蓉 > 今日はお仕事の見回りである。流石に一人はマズい、と言う事でスリーマンセルを組んでだ。

「はーいそこー!生徒証みせてねー!」
『逃げんなよー』

そんな感じでゆるゆるとお仕事中である。

霜月 芙蓉 > 『霜月は毎度、明るいと言うか緩いと言うかだな』
「そりゃあもう、それが取り柄ですから!」
『でも無理してため込んじゃダメよ?そう言った所が少し分かり辛いんだから、霜月さん』
「あはは、気を付けまーす!」

路地裏に似合わぬ、ユルく楽しげな三人。
しっかりとスリーマンセルを組んでいるという安心感と、芙蓉の明るさがそれを齎していた。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > ゴリ、という乾いた音
ところどころヒビの入る粗末なアスファルトが踏み割られる音だ

その音の先には、巨躯の男が立っている

「二級学生がスタコラ逃げて来るもんで来てみたら、
 クックッ、風紀委員サマがお仕事中じゃねェか」

男の笑い声が、3人へと向けられる

「へェ?さすがに単独で見回りなんて危機感のねェ真似はやめたらしいなァ」

眼前の3人の風紀委員の顔をまるで品定めするように眺め……そのうちの一人で、視線を止める

霜月 芙蓉 > 『あ?なんだ、コイツ……?』
『あれ、この特徴聞いたことあるような……?』

そばにいる二人が若干気の抜けた事を口にしていると……

霜月 芙蓉 > 「二人とも、逃げてッ!!!!」
霜月 芙蓉 > 必死の形相、普段の明るさや気楽さが一切ない表情で、霜月芙蓉は叫んだ。

『おい、何だいきなり……』
『ちょっと、何言ってるの……』

この期に及んで危機感の薄い二人に、訴える様に告げる。

「コイツは虞淵……身体能力最強の化け物。どうなるかわかんない、女の子なら犯されるかもしれないし、男の子は殺されちゃうかもしれない!私が殿(しんがり)をやるから逃げて!!」

弓を握りしめ、決死の表情で虞淵を見上げる。

虞淵 > 「お前、どっかで見たなァ」
次に聞こえる男の声は、少女…霜月芙蓉の背後だった
少女が弓を構えた先、先程まで男が立っていた位置ではアスファルトが割れ砕け宙を舞っている

次の瞬間
暴風に叩きつけられるように後方にいた風紀委員二人は声もなく路地裏を10メートル以上転がっていく

霜月 芙蓉 > 『うわぁっ!』
『きゃあっ!』

後ろの二人が吹き飛ばされる。そっちを一瞬見るが……これは、僥倖。

「今のうちに逃げて、私が時間を稼ぐから!!」

叫んだあと、虞淵をじっと睨み付ける。

「忘れちゃったのかな。私は霜月芙蓉……脳味噌まで筋肉に回して、記憶力もお粗末になっちゃったの?」

不敵に笑う。挑発的に、挑戦的に。
自分の中に未だ残る恐怖を踏み付けて、無理矢理相対するために。

虞淵 > 「軽ィなぁお前らちゃんと飯喰ってんのかァ?異能ばっか頼ってるからヒョロいんだよ」
路地裏を転がり、そのまま駆け足の二人の背中へと嘲笑を向け

「あー…聞き覚えはあんなァ…?
 まぁいいや、覚えてねェってことはどうでもいい雑魚だったってことだろう」

ザリ、と安全靴の下の砂利を鳴らして、少女と対面する

霜月 芙蓉 > 『た、助け呼んでくるからね……!』
『無理、すんなよ……!』

逃げ出す二人。……良かった。少なくとも二人、守ることが出来た。

「へぇ、肩をブチ抜かれても記憶できないとか逆に凄くない?大丈夫?」

笑う。笑って話を続け、時間を稼ぐ。
弓を強く握りしめ、震えを抑え込む。なんで、なんで克服したはずなのにこんなに怖いの……!

虞淵 > 「クックッ、言ってることと態度が裏腹だぜ、メスガキ。肩が震えてるじゃねェか」

ゴツ、ゴツ、と歩みを進め、近づく

「お前も一目散に逃げたほうが良かったんじゃねェか?」

霜月 芙蓉 > 「ッ……!」

言い当てられてドキリとする。完全に見透かされている……!

「生憎さま、それでもアンタになんか私は負けてやれないの」

不敵に笑う。例え滑稽でも、そうして意地を張る事しか、今は出来ないから。

「それとも何?もう一回その肩をブチ抜かれてみる?」

言いながら、少し下がって距離を取る。弓と言う武器の有効射程へと。

虞淵 > 「ふゥん…」
口の端に笑みを浮かべて少女を見下ろす

成程

思い出したぜ

「お前、あの時の口だけ達者なガキか。
 ガキ扱いが不服だったみてぇだから女にしてやったってのに、ちっともガキくせェところが抜けてねェなァ。
 何だったらもういっぺん遊んでやろうか…?」

両腕を大きく広げて大仰な態度を取ってみせる
無防備にしか見えないその姿には、一切の隙がない

霜月 芙蓉 > ギリ、と歯軋りする。
屈辱的だ。本当に、単に記憶に留める価値もないと思われていたというだけの事。
自分の決死は、記憶の片隅の更に端程度にしか、自分を置いてくれなかったという事。
でも、自分が今逃げれば、あの二人が捕まる可能性だってゼロじゃない。自分がここであっさり逃げるわけにはいかない……!

「偉そうなこと言わないでよね。なんだったら、本当にもう一回ブチ抜いたげる……!」

言いながら、バックステップで更に大きく間合いを取る。
そして、即座に弓を構え、純白の矢を生成し、番え、速射。

「喰らえ、金行の矢を……!」

属性は以前肩を撃ち抜いたのと同じ、金行。
最も硬く、最も貫通力のある矢が虞淵の右肩を襲う……!

虞淵 > 「涙ぐましいねェ、先に逃げたガキ二匹、わざわざこうやって一人残って逃がす程の価値があるとも思えねェがなァ…」

無遠慮に、無防備に歩みを進める

「でもって挑発も未熟なら腕も未熟、カラダのほうはまァそこそこ、ってところか、ククッ」

連なって飛来する、五行によって強化されているであろう矢
しかし男は物ともしない
その技は、すでに一度見ている

矢はすべて巨拳の甲に打ち払われ、軌道を逸らされた
貫く力が強ければ強いほど力は直線的になり、横からの力に脆くなる

「ま、本気で撃ってきたことだけは認めてやるよ。
 それが自分を奮い立たせようとしてのもの、でなけりゃあな」

霜月 芙蓉 > 「こ、の……!」

確かに一度見せたけど。見せたけど、なんてあっさり対応出来るのよ……!と内心悪態を吐く。
だが、相手は埒外なのもよくわかっていた。だから、こういう時のために、色々と練習してきたのだ……!

「霜月流五行弓術、驟雨……!」

属性は水行。漆黒の矢を斜め上、虞淵の真上に向かって放つ。
真上に到達すればそれは分裂し、まさしく矢の雨となって上空から降り注ぐだろう。
しかも、触れた個所から凍り付くというオマケつき。これならば……!

虞淵 > 「イヤイヤ、努力は認めるぜ。オマエぐらいの年でそこまで極めてりゃ大したもんだ」
笑みを浮かべたまま、右腕を真横へ振りぬく
2階建てのプレハブが斜めに切断されて傾き、男の頭上を覆う
狭い路地裏ならではだろう、腕の一振りで男は【屋根】を作った

「けどまァ…そんだけ真っ当にやってりゃわかんだろ?
 おのずと、相手との差ってヤツもなァ…逃げるなら追わねェが、敵対するならこれ以上はオマエは【餌】だ。
 前みたいに優しく済むとは思うなよ、風紀委員」

猛獣のような笑みを、対峙する少女へと向ける

霜月 芙蓉 > 「ひっ……!」

【餌】と言う言葉に、あの地獄が脳裏を駆け巡る。
泣いても叫んでも、容赦なく犯された。遂には反応する気力すら失せた。
その記憶と、そして目の前にいるその元凶。
その状況は……霜月芙蓉の気力を圧し折るには十分すぎた。

「あ、うあ……」

震える。体が震え、心が萎える。
何とか弓を構えようとするも、腕が上がってくれない。視界が僅かに滲み、向かっていこうという姿勢を見せることが出来ない。

「なんで、なんで……!」

トラウマは、表面的には克服出来ても、その深層には常に残り続けるモノ。
いくら日常生活でそれを感じさせないほどまでに回復しても、その状況が、その元凶によって再現されようとすれば、容赦なく牙を剥く。
その恐怖の牙に、霜月芙蓉の心は喰らい尽されかけていた。

ご案内:「路地裏」に相楽 満さんが現れました。
虞淵 > 「なぁ、どうした?逃げないのか?逃げないってことは、そういうコトだな?」
眼前の相手の状態が一変したのはひと目でわかる
が、それで自分が行動を変える意味はない

ゆっくりと、無遠慮に、歩み寄って行く

相楽 満 > 「見ーつけたっと」

のそのそ、歩み寄る。
恋人の少女の元へ。

「行くなら一言俺に言えーって言ったのにこいつは」

むふー、と息を吐きながら。
歩み寄り、追い越し、虞淵の正面へ。

霜月 芙蓉 > 「ひ、嫌っ……!」

ぺたん、と座り込んでしまう。
前に進めず。さりとて下がることも出来ず。
その場に座り込んでしまった芙蓉は、まさしく【餌】と呼ぶにふさわしいものだった。

「(お兄ちゃん、満君……!)」

心の中で呼びかける。
無意味だ、二人が来る可能性は0に等しい。特にあの兄は、こんなところに近寄るほどワルくない。

「(助けて……!)」

目を閉じ、祈る。あり得はしない都合のいい奇跡を。


――声が、した。


「え……?」

そちらを見る。
そこにいたのは、気負った様子のない、だけどどこまでも心強い己の恋人。

「なん、で……」

震える声で問い掛ける。なんでこんなところに、と。

虞淵 > 足を止める
久々に見る顔だ

「……相変わらず俺を白けさせるタイミングを熟知してる野郎だな」

相楽 満 > 「だろ?
 白けたついでに、二人まとめて見逃してくんねー?」

にたり、笑う。
前の笑顔とはまた何か違う異質さ。
治療を終え、体の芯から姿勢が整っている。

「いいよな、オッサン?
 逃げるぜ、俺ら」

芙蓉に手を伸ばす。
虞淵に笑顔を向けたまま。

霜月 芙蓉 > 「あ、あ……」

心に力が宿る。折れていた心が修復されていく。
震えの収まった手で、しっかりと自分に伸ばされた手を握り締めた。

虞淵 > 懐から煙草を取り出し、火をつける
やる気がなくなったサインだ

「ああ、連れてけよ、へたりこんだガキをボコったって楽しくもなんともねェ」
フーっと白い煙を吹き上げながらそう応える

相楽 満 > 「OK、んじゃそれでいいな。
 グエンのオッサンと喧嘩すんのはまだ先だ」

ぴちゃり、音を立てて自分の唇を舐めた。

まるで『餌』を見ているように。

そして大男に背を向け、芙蓉の手を引いて歩き出す。
強く、離せないほどに強く握りしめて。

「またな、オッサン。
 そのうち遊びに来るぜ」

にへら、と笑顔を浮かべたまま、警戒しているのかしていないのかわからない様子で歩き出す。

霜月 芙蓉 > 足はまだ上手く力が入ってくれない。だが、それでも力を振り絞って立ち上がる。

「ありがとう、満君……」

小さく礼を言いながら、キッと虞淵を見る。
みっともなくとも、最後の意地のように。


――少し、虞淵が遠くに見えた。瞳の中に『本来存在しえない輪』が、小さくなっていた。

虞淵 > 「オマエとはやらねェって前に言ったろ」
つまらなさそうに煙草を捨て、踏み潰す

最後に睨みつけた少女を一瞥し、シッシッと手で追い払うような仕草を向けて、落第街の闇へと消えていった

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から霜月 芙蓉さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にシェムハザさんが現れました。
シェムハザ > ……またひとつ

【スラムの路地裏の一角、廃ビルの一室
猫は上機嫌だった

やっと進めようとしていたことが形になってきたからだ】

シェムハザ > ん、この調子で進むといいわね?
くすくす……

【今日もまたひとつ
違法組織が潰される、だが潰れていない

ただ潰れるだけなら何の問題もないし、わかりやすい
……だから

スリーパーが入れ替わる

組織自体は潰した上でそこに新しい子が入る
もともと構成員として新しい子がいる
別の新しい組織として中身を入れ替えていく
などなど

いずれにせよ、しばらく前から続けていたことが徐々に形になっている】

シェムハザ > ん、いーかんじ♪

【時期もちょうどいい……

落第街での有能な2級生徒が一部いなくなってしまったせいで、特に今は混乱している
それに、今回そういったことがわかりやすく示されたことで、攻略法ができた
すなわち、正式に学生になるための手段が少なくとも明確になった
ということはその攻略法に従う限り、あまり違法な活動をするわけに行かなくなる
そうした方面を目指しているっ連中にはいかがわしい活動と関わりあいいなりたくないものも出始めている

要は必要な人員が減っている上にルールが混乱しているのだ
スリーパーが入るにはちょうどいい

もっとも、入れ替わるといても、殺すことで入れ替わっているわけではない
最悪でもせいぜい半殺しにして追放……まあ、この島ではリタイヤというやつだ……した上ですり替わるのが関の山で
多くは単なる偽IDによる経歴詐称にすぎない

いずれにしても、人形たちを放り込むには最適の季節だ】

シェムハザ > ……ふう、ま、それはいいんだけどね?
いいんだけど、もう少しやるべきことが欲しいっていうか?

【だから、少しずつ少しずつ進めていけばいい
問題がない程度に気づかない程度に、少しずつ

尻尾を揺らしつつ苦笑するように微笑む

……が、だからといってそれ以外に何かできることがあるわけでもない
つまり、シェムハザ自体は比較的時間を持て余している

彼女は後方支援のためのユニットであり、うまく進行している間は維持管理としての役目を持つ
せいぜい、コミュニケーションを取るぐらいだ
それもあまり彼女のところに来ない時期は単純に時間をおてあまし気味ではある】

シェムハザ > ……ね、あなたはどう思う?

【正直に言って、物事がうまくいく分だけヒマである
仕事上がりにお気に入りの子を抱きつつ耳元でささやく

まあ、実際特に何かがあるわけでもない
本気で遊ぶなら工作室で遊べばいいし、こんなところでにいないで帰ればいいのだが
儀式と火遊びみたいなものだ

だいたい、実際にはこんな行動は必要ないのだが、シェムハザはこうした行為を好んでいる
一言で言えば情報がほしいのだ】

シェムハザ > ……ま、とくに答えはないか?
ふふ、可愛い

【もちろん答えはない
あるとすれば壱耶やアマナのようなクラスだけで、あとはとくにそういったことはない
従うだけの人形だ

まあそんなものだ
だから可愛いのだが

そうしてしばらく楽しむと、そのままスラムを後にした】

ご案内:「路地裏」からシェムハザさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にシインさんが現れました。
シイン > 路地裏。
教師や部下の者から場所の存在を聞いてるだけだった。
真っ先に告げられた言葉は『危険な場所』この島の者達が、そのように言うのだ。
それだけでも、以下にこの場所が危険なのか。
こうして、この場所に入って堂々と歩くだけでもそれが判る。
嫌でも判ると言えるだろう。

そんなキケンな場所に立ち寄るのは、可笑しな話とも言えるが興味心というのは恐ろしい物だ。
危険やら駄目やらと言われれば、人でなくともどのような場所なのか、言葉だけでなく目視で確認をしたいものだ。

黒いハイヒールを履いて、碌に整地されてない場所を優雅に堂々と歩く姿は怖いもの知らずか、それとも無謀者か。

シイン > 此処に住んでいる住人か、視線が自分に突き刺さる感覚を覚える。
狙われて襲われるなら好都合なのだが、此処で住んでいるの奴等は馬鹿ではないだろう。
何もしてない奴を襲う程に愚かではないはずだ。
もしそんな愚か者が居るのであれば、ペットの餌にしてやった方がまだ建設的だ。

話しに聞くだけでも、組織化されてるグールプ帯が複数は確認されてるとか。
噂だけでもそのような話を聞いた。
だが噂は所詮噂なだけで、真実とは掛け離れている場合も可能性としては当然あるだろう。

其れ等の組織に介入・関係を持とうとは思わない。
が、最近御無沙汰なのだ。屑ならやってしまっても構わないだろう。
そんな物騒な考えを巡らせながら狙ってくださいと言わんばかりに路地裏の道を歩き続ける。

シイン > 新しい目標として十分に素質を持つ人間は居たが、アレはまだ熟してない果実だ。
熟してない果実をもぎ取ったとしても、半端でしかない。
ゆっくりと時間を費やして育てた後に実った果実は摘むに限る。
それまでお預けというのは実に耐え切れない案件である。

メインディッシュは未だ取らず、取り敢えずはデザートタイム。
雑食ではないので全てが対象と言うわけではないが、此処ならば良いデザートが見つかる。
そんな勘がしたのだ。不確定要素で確実性はないが、時に勘というのは当たるもので馬鹿に出来ない。

シイン > されど勘というのは当たらない事も多いので、信頼出来るかと言われれば答えはNOになる。

教師として活動している以上、顔は知られているはずなので、略綬は教員証は思えば外しても意味がなかったかもしれない。
そんな今更な考えは直ぐに頭の片隅に片付けられたのだ。
教員を狙う者など居るのだろうか、私なら別に関係なく狙うが、どうだろうか。
自問自答、答えが出ない自問自答程は意味を成さない。

無謀な奴は居ないだろうか、正義の味方は居ないだろうか。
此処は危ないと告げてくるお人好しは居ないだろうか。
思いは巡りに巡りながら、前へ前へと進む歩は止まらない。

ご案内:「路地裏」に獅南蒼二さんが現れました。
ご案内:「路地裏」にメグミさんが現れました。
獅南蒼二 > 果たして貴方の勘は正しかったのか、そうでないのか。
路地裏の奥の暗がりから、紫煙を燻らせながら現れたのは、無謀な生徒でも路地裏の偽善者でもなかった。
貴方の歩む道、その真正面。
普段通りの白衣に身を包んだ男は、真っ直ぐに、貴方の方へと歩む。
僅かに細められた目が、貴方の身形と、顔を順に見た。

「珍しい顔だな…こんな場所に何か用事でも?」

白衣の男は、貴方を見れば立ち止まりはしたが……道をあけるつもりはなさそうだ。

シイン > 「おや、これはこれは、蒼二先生じゃないですか。」

デザートと思ったら、どうやらシェフから届いたのは食べ物ではないようだ。
残念だ、そんな落胆の表情。
彼とは会話を交わしたことはないが、面識がある程度。
教師という関係上、どんな者でも顔ぐらいは知っているものだ。

「個人的に用事がありましてね?今日は授業もありませんし、適当にぶらついてたのですよ。」

まずはそんな世間話、こんな所でする話ではないが、知らん顔で会話を繋げる。

メグミ > (何を話しているんでしょう?)

 落第街の巡回中に通りすがる。
 路地裏をこっそり覗けば、二人の教師が対峙し、会話を始めていた。

獅南蒼二 > 相手に落胆に気付いたか、白衣の男は僅かに笑みを浮かべた。
その内心まで読み取ることはできずとも、略綬や教員証まで外して身分を隠している様子を見れば、大方の見当はつく。

「ほぉ、こんなところに“個人的な用事”とは、穏やかでは無いな?」

自分の事は棚に上げて、肩を竦め、笑う。
その口調からも、発言からも、この男は頻繁にこの場所に訪れているのだろう。

「必要とあれば、口利きくらいはしてやらんでもないが?」

白衣の男は煙草を携帯灰皿に入れ、相手を試すように、そうとだけ告げた。

シイン > 「口利きですか、なるほど、どうやら貴方は此処に知り合いなどが居ると。」

闇と裏側の住人か、それともただ単に知り合いがいるだけか。
そんなことはないだろう。笑みを見せながら告げていき。

「別に答えなくてもいいですよ、適当に言っただけなので、それで何故に先生は私の眼の前に現れたのでしょうか?」

路地裏に入ってきた頃から注がれた視線の一つは恐らく彼のだったのだろう。
そんな彼が何も要件もなく、眼の前に立ち塞ぐように現れるわけがない。

獅南蒼二 > 「あぁ、私の可愛い教え子たちが…な。」

こんな場所で身を窶す者の多くは、不法に島に滞在している者たちだ。
だが、全てがそうだとは限らない…もはや誰も、この暗闇の隅々までを把握している者など、いるはずもないのだから。

貴方が疑問を向ければ、白衣の男は小さく頷いた。
「話が早いな。早い話が牽制だよ…ここで面倒事を起こしてほしくない。
 私も教え子は守らなけりゃならんが、あんたと戦争はしたくないのでね。」
そして、内容とは裏腹に、楽しげに笑いながら告げる。

獅南蒼二 > 巡回に通りすがった生徒の姿には、まだ気づいていない。
魔術師としては非常に高い能力を持っているとしても、この男はただの人間だ。

恐らく貴女が何らかのアクションを起こすか、下手をしない限り気づかれることは無いだろう。

シイン > 「教え子ですか、立派な教え子さんを持ちましたね。尊敬しますよ。」

明らかな嫌味として取れる発言、軽い挑発とも取れるだろう。
立派などとは程遠いであろう、それがわかっているのだから質が悪い。

「ははっ、戦争なんて物騒な。私がそのようなことをする教師に見えますか?」

彼と同じ様に楽しそうに告げるのだ。
実際は戦争など起こす気は実際は一切とない。
そんな面倒なことを行ってしまえば、平穏に果実を頂けなくなるのだから。

メグミ > (……)

 特に何も起こさず、聞いているだろう。

シイン > 彼は気付いていた。
この場を覗いている者のことを。
機械故に視覚・聴覚と無駄とも言えるぐらいに優れている御蔭だろう。

何も関わってこないのであれば、関与はしない。
その意図を伝えるかのように、視線は眼の前の蒼二から一瞬逸れて、メグミの方へ。
ただただ視線を送るだけ、それ以外は何もせずに。
再び視線は戻された。

獅南蒼二 > 「お褒めの言葉を頂き光栄だ。折角だ、今度紹介してやろう。」
白衣の男はそんな皮肉を楽しげな笑みで受け流す。
どのような“教え子”がここで蠢いているのか分からないが、こうして直接足を運ぶ程度には“立派”なのだろう。
尤もそれが、世間一般に通じる“立派”でないことは明白だが。

目が僅かに細められて…相手を分析するような、鋭さを湛えて貴方を見た。
「ははは、戦争を始めたいなどと願っているのは間抜けな国家元首くらいだろう?
 まぁ、あんたがどんな教師だろうと、知っておいてくれればそれでいい。」
肩を竦め、楽しげに笑う。
それから白衣の男は静かに右に避けて、貴方に道をあけるだろう。

メグミ > (……)

 気付いている、とは察する。
 とは言え、彼はすぐに視線を戻してしまった。
 いわばそれは関わらないなら気付かないふりをする、という事である。
 追い払う事もあぶり出す事もしない。聞かれても問題ないのであるだろう。
 とは言え、会話の内容が内容だ。終わるまではこの場で監視を続けるだろう。

獅南蒼二 > 獅南は監視者の存在を知覚することはできない。
だが、眼前の人物の視線の動きを見落とすほど愚かでもない。

「………………。」

隠れる人物へ視線を向けることはしないが…僅かに視線が泳ぐ。
恐らく、この男も、監視者の存在に気付いたのだろう。

シイン > 「それは有り難い。その時は食事でもご馳走しましょう。」

割りと本心であり本音であった。
別に紹介されることは素直に有り難いし、顔が広がるというのは悪くない。
良いことだけとは言えないが、悪くはない。

「ふふっ、記憶に刻んでおきましょう。その言葉を忘れないように。」

塞がられてた道を彼は進む。
歩は進み、路をハイヒールがカツカツと鳴らす。
そして彼の隣にまで歩を進めて、歩みを止めると

『一つ、いや二つだけ聞きたい』

笑いを含めた巫山戯た声でなく、真剣な声量で問いかけた。
その視線は前へと向けられたままに、隣にいるであろう彼には向かずに。

メグミ > (……全員に気付かれましたね。
 こちらを追う様子もありませんし、話もだいたい終わったみたいですから。立ち去りましょうか。)
 
 そうして離れ、その場を後にし、巡回を再開するだろうか。

ご案内:「路地裏」からメグミさんが去りました。
獅南蒼二 > 「素晴らしいやり取りだ…こうして世界の平和は保たれていくのだな?」
冗談じみた笑みを浮かべながら、歩む貴方を暗がりの奥へと誘う。
もう貴方の歩みを妨げるものは何もない…貴方に向けられる視線も、いくらかは減ったように感じるだろうか。


白衣の男の視線は貴方の横顔を、見つめるだろう。
貴方が言葉を発せば、面倒だとばかり溜息を吐くが…
『…何だ?』
…返す言葉はただ、それだけ。答えるとも答えないとも明言せず。
しかし貴方と同様に、声量も抑えられたその声は、真剣なものだった。

シイン > 「貴方は人間か?」

一つ目の質問は実にシンプルな物だ。
ようは貴方の種族は何ですかと聞いてることだけなのだ。
答えるのはどんな馬鹿でも、どんな幼稚な者でも簡単に答えられる。
そんな質問だ。

獅南蒼二 > その質問に、僅かに眉を顰めた。
真意が掴みきれなかったからだろう。

「それが質問なら、答えはYESだ。」

僅かに間があいたが、男はそうとだけ答えた。

シイン > 「なるほど、ではもう一つ。」

小さく頷く、一つの答えは示された。
そして一つの条件は埋まった。

「貴方は、前に進む人間か。それとも前に進まずに歩みを止めた人間か?」

二つ目の質問は先程の質問とはまるで関係のない質問。
食べれないモノがデザートになるかどうかの質問。

獅南蒼二 > 続けられた言葉には、先ほど以上に、大袈裟にため息を吐いた。
「…教師として助言するが、発問はもう少し意図が分かりやすくなるよう工夫するべきだな。」
そう返すが、意図を汲み取れなかったというわけではないようだ。
小さく頷いてから、

「定義にもよるだろうが…少なくとも私は、まだ歩みを止めるつもりは無い。」

シイン > 質問の答えを聞き届けて、彼は溜息を一つ。残念そうに。

「ま、この質問は相手に分かられては意味が無いのですよ。
それにしても残念だ。」

歩みは再開された。
カツカツとハイヒールが鳴らす音は徐々に蒼二から遠くなりつつ
彼はボソッと一言だけ呟いた。

「対象になると思ったのに。」

その一言を最後に彼はその場から去って行った。

ご案内:「路地裏」からシインさんが去りました。
獅南蒼二 > 質問の意図はある程度汲み取れても、その奥の真意まではそうはいかない。
貴方が去れば、最後にもう一度、小さなため息が漏れた。
「…人体実験の研究対象にでもするつもりだったのか?」
冗談交じりにそうとだけ呟いて、白衣の男は煙草を取り出す。

……そう、まだ歩みを止めるわけにはいかない。
非合法な大きさの魔石も、生体エネルギーの結晶も、研究を進めるにあたって必要なものは全て手に入れた。

獅南蒼二 > 僅かに気にかかるのは、先ほどシイン教諭が視線を向けた相手だ。
その先に居たのが何者かは分からない…言葉は選び、不必要な情報は漏らしていないが…
…何者かに後をつけられていた、ということか?
いや、純粋に通りすがっただけの人物だった可能性もある。
「……………。」
尤も、仮に何者かに露顕したとしても、困ることは殆ど無いのだが。

獅南蒼二 > この路地裏では、凡人教室の卒業生が数名、暗躍している。
彼らは表立って行動することは無いが、ここで発生する“事件”を利用して魔導具を作り出していた。

この魔石も、生体エネルギーの結晶も、この暗闇に蠢く“教え子”が作り出したものだ。

…死体を作り出さずとも、ここでは簡単に手に入る。

獅南蒼二 > 逆に言えば、ここで誰かの手によって作り出された“死体”はすぐに片付けられてしまうだろう。
引き取り手の居ない死体も、誰かに愛された者の亡骸も、どんな死体であれ何の痕跡も残さずに。

……そうやって、この場所は均衡を保っていた。
いつしか、人間が消えてもだれも気にしない、そんな『危険な場所』となっていった。

獅南蒼二 > 教師としてはこの状況を是正すべきなのだろうが…
…だが、ここは危険な場所であってもらわなければならない。

先ほど会話を監視していた人物が誰であるのか…その目的は何なのか。

「少しだけ、調べる必要があるか…。」

ご案内:「路地裏」から獅南蒼二さんが去りました。