2016/09/05 のログ
■寄月 秋輝 >
「チッ……!」
次の刃を弾
(……待てよ)
弾くことをやめ、あえてその一撃を受けてみることとする。
しかしただ食らうわけではなく。
「落ちろ、太陽の穿槍」
自分にエニィの槍が刺さる前に。
巨大な光の柱をこの場に落とし、周囲の霊全てを霧散させる。
(さて、耐えられるかどうか!)
一応全身に力を入れ、魔力で防御を固める。
食らう瞬間まで、エニィの顔だけを見続ける。
■水月エニィ > 太刀筋――槍に見立てられたものは確かな力を備えている。
ものの、"どうしても間に合わない。"
ほんの僅かに何かが働けば、絶好の一撃が叶う事はなく光の柱に呑まるる。
力無きものは、光の柱に打ち据えられた。彼女も例外ではない。
「く……ま、だ……ッ!」
全身を光で灼かれながらも再び立つ。
途切れた気力を込め直して己を奮い立たせる。
いくら物理的は衝撃は無いと言え、無視しているとはいえ、
感覚を焼き続けている事は確かだ。そうでなければ、苦しそうに顔を歪めてまで立ち上がらない。
「そんな裁きを、認めてたまるか……ッ!」
再び吠える。強い怨嗟が辺りへ散らされる。
今の所は霊が引き寄せられる事はないものの、実質的な領域のような形を取るか。
■柴木 香 > 「……んー」
もぐもぐ、ジャーキー二枚目。おいしい。
「……派手だなぁ。」
降り注ぐ光の柱は傍目から見ていても、すごく目立つ。
修練の結果の派手さだとは思いつつも。
オトコノコです、そういうことにあこがれないこともなく。
――痛いのは嫌だけど。
それはともかく、かなり派手なことやってるし――ううん、通報しなくても人が集まるのは時間の問題かもしれない。
だけどまぁ、決着がつかないと双方収まりつきそうになし。
■寄月 秋輝 >
直撃を耐えるつもりでいたのに、その槍が届かない。
ここまでの完璧な太刀筋、そして肉体的ダメージはほとんどないとはいえ、秋輝の魔術に耐えるだけの根性があったにも関わらず。
(……これは?)
その違和感を感じ取りながら、三歩下がる。
光の柱がゆっくりと消えていき、お互いの姿がほぼ露わになる。
正面のエニィ、怨嗟の声、領域の展開。
それに合わせるように自分もまた魔術を展開する。
大きく、広く。結界を。
この内部を周囲の世界と隔絶する。
光も騒音も周囲に届かぬように。
ここからはもう少し、力を出さねばならない。
これ以上目立つのはまずい。
(……性格だけでなく……なんらかの運命的な力が存在するのかもしれない。
呪いか、魔術か、異能か……)
眉間にしわを寄せ、しっかりと睨みつける。
エニィの胸のあたり、その奥底を。
■水月エニィ >
霊を退けた分、少々見易くなっている。
何らかの手段で識別しようとするならば、"普遍的な"聖性、二つの魂、そして異能の基となる『混ざり合った何か』がある。
いずれにせよ。
「アアア、アアアアアァァァァァァァァッッ!」
狂犬じみた叫び声と共に猛進し、片手で鞭に見立てた長布を繰る。
空気を引き裂く音と共に、速く・重く・鈍い力を持った打撃が寄月へと迫る……!
■寄月 秋輝 >
目を細めて、思い切り感覚を強化する。
本質を『視る』技術は不得手な上、それらを可能とする術も組んでいない。
(……妙だ……この性質がありながら……
何故彼女は負ける!?)
並列思考とはいえ限度がある。
戦いながら、解決策を取れるほども余裕はない。
鞭のようにしなり、鋭く迫る布の一撃。
「っ、ん!」
刀でその布の半ばあたりを叩く。
計算が上手くいけば、この布は半ばで曲がり、この体を撃つはずだ。
■水月エニィ >
「ちッ……!」
計算通り よりも少しだけ弱い。ほんの僅かに柔らかい。
布の半ば打てば軌道を変えはするが少しだけ曲がりが大きい。
寄月の身体こそ打てど、肩に中るようなやや逸れたものとなる。
同様の違和感を覚えられるものであるが、
紐解いてみれば遮断した事によって霊の出入りが妨害されている故だろう。
彼女もそうだと気付いたらしく、視線を見遣った後に飛び退いて距離を取った。
結界の隅へと寄る事は想像に難くないか。
■寄月 秋輝 >
痛みこそ走るが、本来の鞭の一撃ほどではない。
鞭でのダメージは、この程度ではないのだ。
(……斬れるといいな……頼むぞ、母さん!)
刀を一度鞘に納め、魔力を込める。
飛びのいて、端に寄ったエニィ。
絶好の機会だ。
「八雲流抜刀術……月光剣」
痛みに耐え、構えを取る。
斬るのは彼女の体ではない。
エニィを取り巻く、悪しき運命。魔力。呪い。異能。
斬れることを、自分の剣術と魔力が彼女を取り巻く力を凌駕することを願って。
「三日月!」
結界の円周内を這うように、神速の三日月型の剣閃が走る。
月光の刃は、力を削ぐ刃。
異能も魔力も、一時的に無力化させられる。
エニィの力を断ち切り、彼女を勝利させられるようにするため。
■水月エニィ >
――本当に切ってしまったのか?
飛び退き、結界を断とうと背を向けて爪を立てる彼女を背中から切る事は出来る。
但し、それらは『混ざり合った何か』であり、『断ち切る』のならば。
水月エニィだったものはそのまま崩れ落ちた。
無効化したのではなく、してしまった。
……一次的な物と言え、壊滅的に厭な予感する筈だ。
■柴木 香 > 「……わふ?」
もぐもぐ、口を動かしながら、首をかしげる。
今までのと、少し違うような構え。
離れて得手な間合いになったのか。
――爆ぜる剣閃、倒れる身体。
……意外すぎるほどにあっさりで思考が追い付かない。
■寄月 秋輝 >
(……斬った!)
刀を再び納め直し、再び腰を落とす。
斬ったのは、その悪しき力だ。
ならば次に彼女を支配するのは。
(悪性か、善性か)
そもそも彼女自身か。
一切の気を抜かない。
決着が付いたとは思っていない。
勝利の瞬間を堪能してはいけない。
彼女を救うまでが、戦いだ。
■水月エニィ >
水月エニィ足り得る要素は断ち切られ、生きている事だけが残る。
――鏡花ハルナはただの器にしかなっていない。ならば、再び立ち上がったものは
「……。」
"何者でもない"ものが立ち上がる。
二つの歴史を要素を備えながら、そのどちらの人格も持たぬものだ。
有体に言えば強引な切断《否定》による人格の損害。
目の前の彼を推しはかる様に、寄月を見据えている。
確かに、悪しき要素は消え去っているが――
楔から解き放たれてしまったような、危うい気配を備えている。
■寄月 秋輝 >
動き出した。
彼女は『何』なのかだ。
「君は?」
刀からは手を離し、問いかける。
こちらに向ける目線から、彼女はエニィではないようにも見える。
かといって、記憶を断ったということもないだろう。
最初から敵対する意志を見せないように、声をかけた。
■水月エニィ >
「鏡花ハルナ」
備えていた歴史通りの名を告げる。
手応え通り記憶を斬られた訳ではない。
ただ、まともに紐づいていないだけだ。
「ばーかばーか」
平易な言葉で罵倒した後、手に持っているをものを奮う。
長布は見立てではなく実物として茨の鞭へと形を変え――。
結界ごと寄月を薙ぎ払う。
当たり前のように叩き壊さんと結界ごと周囲を薙ぎ――重く堅い、本物の茨の鞭が繰って放つ。
余程のものがなければ結界はガラスのように砕く。
そうして尚勢いを余らせている鞭は、余波として寄月へと迫るか。
■柴木 香 > 「――わふ。」
雰囲気も、空気も、何もかも変わった。
振るわれた鞭は――わふ、目の前で決壊が割れた。思わず首をすくめる。
「わふー……風紀委員のおにーさん、大丈夫です?」
ちょっと心配になってきたので聞いてみる。
声をかければ、流石に路地の入口辺りで傍観してる大八車にも気付くだろう。
■寄月 秋輝 >
「はっ……?」
名がある。というのはどういうことだ。
(……二重人格……にしては、『現在』が出来過ぎている……
まさか存在同位体……エニィとハルナは存在次元が同位で……
僕が隙間を断ち切ったせいで、ハルナが入り込んだ……)
一瞬で思考する。
これもまた予測に過ぎないとはいえ。
「いや、バカとはなんですか……」
子供っぽい罵倒に呆れたように答えるが。
次の瞬間、一瞬で破壊される結界。
元々結界術が得意ではないにしろ、極大の魔力で編んだ結界だ、一瞬で破壊されるというのは異常とも思える。
即座に顔を引き締め、迫りくる茨の鞭。
(これは……食らったら死ぬ)
それを察して回避しようとする、が。
そこに香の声が響く。
「なっ……!!」
子供の姿。見えた瞬間、光速飛行魔術を展開する。
音すら超えて、そのソニックブームを抑えて、香の前へ。
途中鞭の余波を受け、全身に傷を負いながらも。
刀を振るう。
少年に当たらぬよう、自分も直撃だけはしないよう。
■水月エニィ >
執念も熱意も何もない。薄ら寒いような優勢の残滓。
水月エニィの異能が負けるものならばこちらは勝つと言うべきだろう。
厳密には 成立する であるのだが。
但し絶対のものではなく、何処か儚さのある力となっている。早い話が加工が甘い。
鏡花ハルナの歴史が備えていた優性の残滓をそのまま使っているような何かだ。
……結界にこそ強い力を示したが、それ以外にはそれ程でもない。
刀で応じればあっさりと弾く事が出来る筈だ。
「ふんだ 自分勝手にあーだこーだ言う人はきらい。
わたしともとってもつらかったんだから!」
奇妙なアクセントで罵倒する。
左眼を下に提げ、思い切って舌を出す。
ざっくり言えば、あっかんべー。
そのまま踵を返し、たったか走り去る。
■柴木 香 > 「わふっ」
声をかけた瞬間飛び込んでこられるとは思わなかった。
むしろそっちの方が怖いので首をすくめてみたり。
まさか守るために、とは思ってなかった。
「あ。僕は大丈夫です。
――それより……?」
自衛位できなければここに居るはずもない。
視界は風紀委員さんで覆われてよく見えないが、なにやら立ち去る気配がする。
あのままま行かせると大変なことになりそう。なんとなくだけど。
■寄月 秋輝 >
弾く、だけなら弾けた。
結局は最初の余波の中を突っ切ったのだけだ問題だったのだろう。
制服がボロボロになってしまった、これはまた痛い出費だ。
しかし、妙な感覚だ。
自分を傷付けられない鞭が、こうもあっさり結界を破壊した。
先ほどとはまるで真逆の力、のような。
「何を……まさか聞いて……
ちょっと、待ってください!」
走り去るその背中に右手を伸ばし、止めようとするが。
彼女を追うよりも、まずはこんな場所に居る少年のほうが問題だ。
「君もなんて場所に……
まだ小さいんだからちゃんと帰って……」
と言うが、彼女を放っておいてはいけない気がする。
「……ちゃんと帰ってくださいね!」
そう言い残し、エニィ……の姿をしたハルナを追う。
飛翔し、光を追う。
捕まえられるか、逃げ切れるかはわからないが。
■水月エニィ >
てってこと狭い路地へと入り込み、素早く迫る寄月を撒き切る。
寄月同様、水月エニィも落第街の路はある程度調べ上げている。
加えて寄月が柴木を庇っていた分だけ時間の優位に立っている。
結果、あと一歩の所で撒いてしまうだろう。
少なくとも今回に限ってはその様な結末に至った。
ご案内:「路地裏」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「路地裏」から寄月 秋輝さんが去りました。
■柴木 香 > 「割と最初から。です?――知らずにだれか入ると大変だし。
あ。まってまって。僕も行くです。」
ひょい、とはっちゃんから飛び降りれば、がらがらと引いて追いかける。
結局追いつけるかどうかは分らないが。
――エニィさんどころか、風紀委員のおにーさんもすぐに見えなくなるし。
暫く探し回った後に、ようやく諦めて帰ったとか帰らなかったとか。
ご案内:「路地裏」から柴木 香さんが去りました。