2015/06/06 のログ
ご案内:「スラム」にロウゲートさんが現れました。
ロウゲート > 「ゲホッ…ケホッ…」
魔法とは、自分の体内を巡る力を外に放出する事である
自分の場合、魔力の他に体内にある血液などを媒介に
更に違う場所から力を呼び寄せる

まさしく悪魔の契約であり、地獄への片道切符に他ならない

ゆえに――身体を内側から焼く激痛にうめきながら
ズルリ…と赤黒い色の、この世に長く留まってはならないゲートから崩れるように現れると
その場で血反吐をぶちまけた

ロウゲート > 昨日歓楽街の余興、能力者のギグで放ったのは
予定になかった奥の手だ、奥の手を奥の手とするには、それなりに理由がある

それが今の苦痛と言ってもいい、スラム街の片隅でうち回る様
手を臓腑に無造作に突っ込まれて、かき混ぜられているような感覚が
一瞬も途切れることなく襲ってくる。
ただ濃縮した対価の痛みを前に、地を齧りながらのたうち回った

「あァ…ぐ……ぎ、ィィ…ッ!」
指を噛む、ガリガリと肉を犬歯で引き千切れば正気を保てるかもしれない
けれど幸か不幸か、顎が激痛で痙攣しているものだから、牙は肉しか突き破れない。

ロウゲート > 熱い溶岩にも似た感覚が万雷の苦痛をもたらす中、思い返すのは
先日の二人組だ、能力者というのが驚異的だったのは間違いなく
生き残る事ができたとしても大きな代償が厳然と訪れた

「これの様じゃ…戦闘はなるべく避けた方がいいな…」
自分の未熟はさておき、奴等は何の代償もなく超常を操作する
使いすぎて精々頭が痛いぐらいだと聞いた事がある
身体機能の一つのようなものだというのだから割に合わない
呪われろ呪われろ…呪詛のように才能持ちに心の中で毒づいた

感応した膨大なアストラルが身体から抜け落ちるまで、這うようにスラムを移動する

ご案内:「スラム」からロウゲートさんが去りました。
ご案内:「スラム」にchitaさんが現れました。
chita >  その街は、遠望する摩天楼の使い古しで出来ていた。
 灰色の材木、錆びたトタン、擦り切れたビニールシート、コンクリートブ
ロック、あるいはその破片、印刷の剥げた甲板……。
何一つ新品なものはない。そして住人も、何処からかあふれたゴミなのだ。
 常世島東の突端にあるスラム街の、さらに外周にあるバラック街。

chita >  この島は、異能者、異邦人、魔術使い……等々。社会から厄介モノとされ
た者共を押し込めた場所だとも言われる。
 厄介者達の島に、さらに世の中からあぶれてしまった人々までが押し寄せる
のだ。
 自分のような人間に、似合いの場所。そう、チタは、思う。
 思ってから、いつも不機嫌な彼女は、ますます不機嫌になり。ブーツで穴
だらけの舗装路に落ちていたゴミを踏み砕いた。

chita > 「……」
「……」

chita >  道路脇のバラック。その暗がりから、疑りぶかそうな眼差しを向ける老人と
目があった。
 彼は、元は白かっただろう前掛けをしていて。バラックの前には、カウン
ターのように、長机が置かれていた。
 長机に並んで、飯を食らう人達がある。
 男も居る、女も居る、老婆や、赤子を背に紐で括った女も居る。
 そこらのゴミ貯めから拾い出したような、まるでバラバラな器の中身を、
皆、一様に啜り、掻き込み、器を両手で持ち上げて飲み干していた。
 濡れたまま、使い古された箸の束が、突っ立つ容器もあって。
 練った小麦で包んで揚げた、三角形の揚餃子のような食い物の上には、
まだ朝も早いから、ハエは集っていない。
 チタの腹は、小さく鳴った。料理を食ったのは2週間程前であったろうか。
彼女は、再び、ひどい舗装路を歩き出す。
 目があった老人は、もうチタを見ては居なかった。
 薄暗がりに湯気を立たせる鍋と、足元に置かれたタライへ、水道から伸びた
ホースが入れられただけの流しがあるバラックのキッチンで、仕事に戻って
いた。
 彼の眼差しが、当たり前の警戒だということは、チタにも分かっていた。
 そして彼女の事を『見かけない顔だが、まぁご同類だろう』そう思ってい
た事も、だいたい察しがついていた。

chita >  チタは歩いた、朝の大通りは人でごった返していた。この地区には最寄りの
鉄道が無いので。大多数の人間が歩いて、通りの脇を錆びた自転車が、列を
成して走る。
 薄汚れた迷彩服を着た彼女の姿は、周囲の人の群れによく溶け込んでいた。
 人の濁流の中に、おそらく通勤するであろう人達の他に、首に立売り箱を
かけて行商する者の姿がある。
 箱も持たずに、タバコを売り歩く子供もいた。箱ではなく、1本づつバラで
売っているのだ。

chita > 「お姉さん、買いませんか」
「お金持ってない」

chita >  側に寄ってきた少女に、チタはそう答えた。少女は、流れるように、自転
車を止めた人の元へ行った。
 大通りの両脇は、さっきのバラック屋台のような店舗の列で。やはり、多く
の人間が、一心不乱に食物を貪り。そのお零れに与ろうと、乞食が足元に座
り込んで、せめて汁だけでも恵んでくれと言っている。
 哀れを誘うというより図々しくすらあるねだり声を、チタは、数十m離れた
所から聞き取っていた。
 聞いたからといってどうということはない。

chita >  さらに、歩いた。
 バラック街を離れると、ある通りを境に、急に立派な建物が増えだす。
 コンクリート建ての、あるいはレンガ作りで。平屋な小屋ばかりだったバ
ラック街と比べて、こちらは皆3階建て以上の高いビルだらけだ。
 しかしまぁ、通りに満ちる人々の顔ぶれも、数十m手前側と大差ないよう
である。
 カラースプレーで落書きの大書された塀を過ぎると、歩道からゴミバケツの
中身をぶちまけるている太ったおばさんが居た。
 横を通り過ぎついでに見てみる。
 歩道の下は、2mほど地面の低くなった、ビルとビルの間の空き地で、
その下で豚が数匹、降ってきた残飯を漁っていた。
 空き地と歩道の間に、柵も何もない。
 ゴミバケツの底を叩いて、汁の一滴まで落とすおばさんは、横を通り過ぎた
チタの事を、一瞥すらしなかった。

chita >  雑に塞がれた、あるいは割れたままの窓の多い通りを、チタは、歩いた。
 途中で、野良犬が群れてゴミ袋の山に鼻を突っ込んでいるのに遭遇する。
 方向を変えて、チタは、犬共の方へ向かう。接近に気づいたポインター種の
野良犬が唸った。
 構わずに近づく。他の犬達も、自分たちの餌場に近づく侵入者に吠えた。
 だが、チタは、そんな威嚇など聞こえてすら居ないように歩みより。
 未だにゴミを漁る意地汚い一匹を除き、野良犬の群れが一斉に吠え立てる。
その吠え声は、チタが近づく度に大きくなるが。群れの目の前に彼女が立ち
はだかった時、犬達は、耳を垂れてしっぽを股に巻いた。
 ゴミ山の袋の中は、なるほど食えそうなものが多くあった。
 大体じゃ野菜のくずや元がなんだか分からない料理の混ぜ物、骨の類だが。
食いかけのバーガーや、デリバリーのパックに入ったままの食い残しなんて、
豪華な代物まであった。

chita > (さっきのバラックの人達なら、拾ってでも食べそうなのにな)
chita >  腐りかけた残飯を、躊躇なく掴んで食いながら、チタは思った。
 ガウッと声がして、チタの手を、黒いテリアが噛む。
 さっきの野良犬との攻防で、最後まで餌漁りに執心していた犬だった。
 チタは、無視して食い続けた。何度も噛まれたが、犬の方が根負けして、
横から入ってきたチタを邪魔そうにしながら、一緒に残飯をあさった。

chita >  チタは、歩き続けた。そろそろ昼も近くなっている。
 島の中心部へと近づくに連れて、町並みは取り繕うように小奇麗になって
いく。
 崩れた塀や、割れた窓の数も減り。路上で倒れて寝ているのか、死んでい
るのか定かならぬ人も減る。
 今居るのは、チタが上陸したスラムの沿岸部より、大分内陸寄りの場所で
ある。歓楽区と呼ばれる、スラムとの境界付近である。
 在る一線を超えた瞬間、チタは、自分を見る周囲の視線に決定的な違いを
感じて立ち止まった。
 制服を着た二人組の少女が、チタを見ている。
 年の頃は、チタと同じくらいに見えるが、少女達と、チタとの間には確実な
違いがある。
 チタは、即座に踵を返して、スラムの方面へと向かった。

chita > (あれが、学園生徒ってやつなのかな)
chita >  彼女達の視線は、チタの事を異質なモノを見る目で見ていたから。
 この島における、正当な住人。その住まう領域のおそらく外側に、今踏み
込んだのだ。

chita > (これ以上、中央部には近づかない方がいい)
chita >  縄張りの境界は確かめた、だからチタは戻ることにした。
chita >  
「こんにちわ、ちょっといいですか?」

chita >  チタの前に、二人組の男が立って、行く手を遮った。
 見上げると、独りはあごひげで短髪を逆立てた若い男で、もう一人は坊主
で小太りな奴である。
 何も言わず、男たちの横を通りすぎようとしたら、また阻まれた。

chita >  
「お時間取らせませんから、ちょっとだけ、ね?」

chita >  お断りである。
 さっきの少女たちの視線には、警戒を越した嫌悪すら感じたが。この男共か
らは、香水に混じって血と情欲の臭いがする。
 野良犬の群れには喧嘩を売ったチタだが、こういう人間とは関わりたくない
のであるから。無視して立ち去ろうとした、が。

chita >  
「君、学生証持ってんの?無いでしょ?
 ね?別に悪いようにはしないって、お話だけでも聞いてくれないかな」

chita >  チタの腕を、あごひげが掴んだ。その横で、小太りは、腕に何やら黒いオー
ラをだした。
 チタは、いつだって不機嫌である。
 戦いが好きなわけじゃない。むしろ避けていようと思っているのだ。
 だけど、彼女の心の中は満杯の火薬を詰めたようなものなのだから。例え
些細な火花でも、散ってしまえば……。

chita > 「うっ!……おっ?ほぅッおお!!ああッ~~ッ!!」
chita >  腕を掴んだあごひげは、悲鳴を上げた。掴んでいた筈の腕が振るわれた動
きで、手首を捻り折られて。小太りの方は、地面に転がってヒュゥ、ヒュウッ
……と息をしている。
 一瞬の間であった。チタは、掴まれた腕を大きく振り上げて、同時に蹴りを
繰り出したのだ。
 その動きを、彼らは見ることすら出来なかった。
 何も言わず、チタは、地面に這う二人組に背を向けた。
 戻ってきた。
 小太りの方の懐を探って、小物入れを取り出す。

chita > 「や、やめ……おぅっほ!?」
chita >  制止しようとしたあごひげを、ビンタ一発で気絶させると。膨れた小物入れ
を開いた。
 中身は札束である。

chita > (すごいお金持ちだ。少し貰っていこう)
chita >  いくらかの金を抜き出してチタは、小物入れを放って返してやった。
chita > 「あっ……おっ、やめ…ひっ、ふぅ……おまっそっ…ひゅぅッ……!」
chita >  大して取っても居ないのに小太りが、息も絶え絶えに足にすがるので。軽
く腹を蹴って、黙らせてやる。
 小太りは、ゲロを枕に突っ伏した。

chita > (これでまずは服でも買うか)
chita >  スラムの方へと戻りながら、チタはそう考えた。
 そして、もう一回戻ると。ついでにタバコも貰っていった。

ご案内:「スラム」からchitaさんが去りました。
ご案内:「スラム」に”マネキン”さんが現れました。
”マネキン” > 【いつもどおりシーツに安っぽいアクセサリー、怪しげな缶詰や保存食、適当なガラクタなんかを並べてみかんのダンボール箱に座っている。
ときおりスラムの住人がやってきて食料などと金や物を交換していく。】
そいつか。そいつはこれくらいで交換だ。どうだ?ああ、商談成立だな……。
ふぅ…これは落第街にモノの出入りが増えてるのか?それとも締め付けでもやってんのか…きなくさいぞ。

【取引を終えて懐にしまう傷のついた硬貨を数えたりしながら、ひとりごちる。】

”マネキン” > 【売り上げはなかなか繁盛しているようだ。
シーツの上の商品はときおり交換で持ち込まれる変な品々に入れ替わり、またダンボールの中から新たに取り出したりして補充される。
フードから湿気たタバコを覗かせた顔で、そんな商品の一つを手にとって見た。】

変な…穂先か、こりゃあ。遺跡あたりからでも流れ着いたってのか。

【三叉の、不可思議な黄金色の金属で出来たそれを見つめる。色はそれっぽいがその硬さは黄金ではなく。
指で弾いてみると明らかに既存の金属とは違うような音が聞こえる。まるで何かの悲鳴のような。】

”マネキン” > 意味も価値もありそうだが、オカルトは門外漢。まあ稼ぎ自体はなくてもかまわないんだが……。
役に立ちそうには無い…ん、傷があるなァ。
【様々な方向からそれを見ていると何かに気づき、ポケットからルーペを取り出して穂先の先端と根元あたりをじっくりと眺める。】

へし折られた…何かとやりあって取れたようだな。となるとやっぱり三叉矛か。
微粉末が付着していれば何とやりあったか分かるだろうが…生体組織も採取できれば……。
【しばらく見つめていたそれを商品から外すことにして、ビニール袋に慎重に密封してダンボール箱にしまう。】

ご案内:「スラム」に阿東 衛さんが現れました。
阿東 衛 > (ダンボールの箱に商品をしまっている所に、足音ひとつ近付いてくるのがわかるだろうか。軽快な足取りでやってくる姿がひとつ)
もーかりまっか?
(露天の前で立ち止まるとしゃがみこんで商品と店主であろう相手を見比べながら能天気な声で訊ねた)

”マネキン” > …ぼちぼちでんな、とでも言えばいいか?
まあ、割りと繁盛しているな。それで…買うのか?それとも、何か用か?
【振り返ると肩をすくめて見せて、蓋を閉めたダンボール箱に座りなおす。】

阿東 衛 > ……へへ、おおきにってね。案外ノリがよくてよかった
(ニッと笑って店主を見遣る。それから商品を一瞥してから篆書を見直して)
……冷やかしは嫌いかな。珍しいから寄って来たってだけなんだけど。それとも、こんな変哲もない学生にオススメの商品とかあるのかな?
(冗談とも本気ともつかない顔をして訊ねる。少なくとも、普段ここに来るような客と違って、とくにやましいものがあるようには見えないか)

”マネキン” > ここはスラムだからな、堅苦しいのは表だけで十分だろう。
冷やかしもどうせたいした商売じゃない。好きに見ていけ。
(さて…正規学生か?この様子だと本業のほうじゃなさそうだな……。)
学生向け?普通の商品なら学生街にいったほうがいいぞ。掘り出し物もあるかもしれんが…
こんなところにあるのは校則すれすれな代物ばかりだ。

【そんなことを言いながら、反応を試すようにナックルガードつきの奇怪な形状のナイフをとり出して見せる。反応を見るようにしばらく黙って見せたあと…。】

……りんごの皮むきナイフや。あくまで、な。
【冗談めかしてそう言った。】

阿東 衛 > モノ好きだなあ、と思ってるでしょ。ま、実際その通りだと思うけど
(普通の学生が、こんな時間にこんな場所にいる事自体がまずモノ好きである証拠だろう。そういう自覚もある。かと言って悪びれる様子もなく、相手の考えている事も知る由もなく差し出された商品をじっと見て)
……ッ、これで剥いたら、器用になれそうですなあ?
(冗談にはくす、と笑って同じように冗談で返した。それから、すっとそのナイフに手を伸ばそうとしてから店主を伺って)
……触ったらお買い上げ、とかないよね?

”マネキン” > 見た目真っ当でも、そうじゃない奴も多い。むしろそう言う奴のほうが危ないものだ。
確かにあんたはそうは見えないが……
あえてそこを詮索しないのも、スラムらしいだろう?

ああ、でも買う奴はまず「器用な」奴が多いと思うがな。
【ナイフ使い、という意味を匂わせながら、
くるりと刃を返して持ち手の部分を差し出し、相手が受け取りやすいようにする。】
安心しろ。第一、何と取引するか、値段の交渉もしていない。
うちは金だけじゃなく物々交換も受け付けてるからな。
【フードの奥の口元がにやり、と不敵に笑った。】

阿東 衛 > はは、確かに。なんていうか、ここはすごく自由だなあって未だに思うことが多いよ。……まあ、色々それで大変みたいだけど
(ここ最近の学園の様子を思い出せばぽつりとそんな事を呟いて。差し出されたナイフの持ち手をぐっと握って受け取る)
うーん、確かに。俺は獲物はあんまり得意じゃなくてなあー
(しゅっ、と口でいいながら軽く振って見せる。それなりに様にはなっているが慣れていない様子はわかるだろう。しばらくそうしてから、受け取った時と同じように今度はこちらが持ち手を店主に差し出した)
へー……物々交換かー……
(なにかあったかな、とジャージのポケットをまさぐって。スマホを取り出してコレはダメ、と元に戻したりして結局出てきたのは飴玉ひとつだった)
飴ちゃんしかないなー!
(ダメだこりゃ、と自分で突っ込む)

”マネキン” > 九九九、自由か。薄汚れた場所に気持ちのいい感想を言うものだ。
【聞こえ方の変な、妙な笑い方をする。】

そうか?いい肉体をしていると思ったんだが。
【あっさりと受け取り返して、懐のなかにナイフをしまう。】
モノでなくても、売れそうなものなら何でもいい。
肉体の一部でも、形が無いものでも…そう言う取引が出来る場所なのだ、ここは。

………飴か。そうだな…このあたりならどうだ。
【黒い砂の入った小瓶、穴の開いた貝殻、木で出来た、安っぽいアクセサリーなどを差し出す。】

阿東 衛 > 綺麗なだけが世の中じゃないのは俺でもわかる。こんな場所だから見える自由だってあるんじゃね?
(不思議な聞こえ方の笑い声が少し気にかかったけれども、今はそこに何かを突っ込む事もなくニッとまた笑って)
あー、うん。俺はコレだから
(そう言って拳を店主の目の前ギリギリに突き出してから、元に戻して。それから肉体の一部、と言われればわざとらしく身震いをした)
ひえ、それはまだお世話になりたくないなあ。出来れば
(と、言いながら飴の対価に出てきた商品をじっと見る)
コレなに?普通の砂?
(小瓶の中身が気にかかったのか指を指して訊ねる)

”マネキン” > 気持ちはいいが……あまりここでそういうことを言うと、妬まれるとは忠告しておこう。
その言い方を借りるとここは綺麗でない、酷く淀んで歪んだ場所だ。特に、自由とは無縁な二級学生にはな。
【場末の商売人らしい口調のなかに、微かな苛立ちが…ほんの微かなものが感じられるかもしれない。何に対してかはわからないが。】

徒手空拳か。九九、脅しただけだ…そうだな……その体格なら用心棒、など売れそうだな。

さあね……適当に取引しているだけだ、詳しくは知らん。と言いたいが…
異界の毒、とだけ聞いている。
それ以上はわからんし、たいした取引でもなかったぞ。
【よどみなくさらさらと答える声音からは、嘘か真かはわからない。
ただ、逆にそれが真実だとも思わせないような不気味な雰囲気はあった。】

阿東 衛 > ああ、それは失礼。悪気はないんだけど……上下で差別するつもりも、ね。とはいえ、それ自体が上から目線って言われりゃーそれまでだなあ
(相手の言葉に申し訳なさげに眉を寄せるとぽりぽりと頬を掻いた)
用心棒?……そうだなあ、出来るかもしれないけど……困ったらお願いしようかな
(冗談っぽく笑ってみせてから、異界の毒と言われた小瓶をじーっと見つめた)
へー、え、なんかけったいなヤツなん?飴ちゃん一個とコレ交換してくれんの?
(食いついた、わかりやすく自分の手の中の飴と小瓶を見比べて)

”マネキン” > 同じところまで一度落ちれば、わかるかもしれんぞ?
【すまなそうな様子に気にしてない、とでも言うような冗談めかした口調で言う。】

今はこちらも不自由していない。縁があれば…な。
【笑い返すフードの奥、その視線が相手の胴体に向けられているような感じがする。
粘りつくようなその感覚に、鋭いものなら気づくかもしれない。】

実際にそうかも分からなければ、どう使うかも分からない。
開けていいものかどうかすら不明。
……つまり分かる人間以外にはただの机の飾りのようなものだ。

飴と小瓶…相応だとおもうが、どうだ?
【小瓶をつまんで差し出し、問うた。】

阿東 衛 > ……そうかもね。っていうか、明日は我が身っていうし、気付けば落ちちゃうかも
(冗談めかした口調には、苦笑浮かべて。こちらも冗談半分、といったところではあるが)
……腕っ節は、まあ、日々精進してるって所かなあ。ここの人たちにどこまで通用するかしっかりと試した事は無いんだけど
(まとわりつくような視線に一瞬鋭い視線を返したが、それはすぐにのんきな表情へと変わった)
……んーじゃあ、おもしろそうだしもらおうかな!……変なクスリじゃないよねえ?
(訊ねて、答えがもらえるとは思っていないけれども差し出された小瓶を受け取りながら、代わりに自分の飴を店主へと差し出して)

”マネキン” > では、交渉成立だ。毎度あり…。

変な?ああ……
最近出回っているとかいう噂のアレではないぞ。おそらくだが、違う。
【推測であることを示唆するものの、はっきりと否定する。
まるで噂のクスリとやらの本物をみたことがあるかのような。】

ではそろそろ店を閉めるとするか。
落ちたときには歓迎しよう、新たな「仲間」として。

その腕を試す機会が来る前に……用が終わればなるべく早く逃げることだ。打ち破れるものばかりとはかぎらんぞ。
【残った品物を箱に詰め込んで、店じまいの準備をする。
受け取った飴はポケットに入れた。】

阿東 衛 > へーえ。じゃあ大丈夫かな。持ってるだけでやんや言われたらかなわないし……
(含みのある言い方に感じる所はあれど深追いはしない。ここはそういう場所なのだろうし、下手に正義感を振りかざすつもりもない。それが自由な場所に対する少年なりの敬意のつもりで)
へへ、おおきに。何かよくわかんないけど大事にするわ!
(小瓶を一瞥してポケットにつっこみながら笑みを浮かべる。打ち破れるものばかりではない、と言われれば手のひらと拳をパン、と打ち付けた)
……打ち破れないなら打ち破れるまで殴るのみ、なんてね。親父によく言われたけど……まあ、無茶はしないよ
(ありがとね、と言って見せれば立ち上がってぐいっと伸びをした)
大した実りの無い客に付き合ってくれてありがと!また来た時には嫌がらないで相手してな?
(よろしく、と一言付け足して店じまいの邪魔はするまい、と背を向けてその場を去っていった)

ご案内:「スラム」から阿東 衛さんが去りました。
”マネキン” > ……ああいう生徒が来ると言うのは多少事態が落ち着きつつあるのか、
それとも嵐の前に静けさか…?

まあ、関わることの無いことだ…おそらくな。
【片付けたあとのダンボール箱を抱えて、スラムの擦り切れた布と傷だらけのトタン壁の向こうに消えていく。
あとには燻ったタバコだけが残された。】

ご案内:「スラム」から”マネキン”さんが去りました。