2016/12/21 のログ
■黒龍 > そして、何時もと違ってその一角はやたら静かだと思う黒いスーツに隻腕の男が一人。
そう、彼は件の事件を一切知らない…知らぬが故に、その彷徨う女を見つけても動じもしなかった。
ただ…
「……あン?何だあの軽装は…こんな場所に居るヤツの服装じゃあねぇな…」
見た所、こちらの世界の病院着のようだ。足元はスリッパ。顔は…当然見覚えが無い。
丁度、少女の進行方向からこの隻腕の男は歩いてくる構図だ。
■八百万 頼 >
――嘘やろ。
(彼女を見て思わず呟いた言葉がそれだった。
元同僚とは言え、殆ど面識はない。
だが顔は知っている。
彼女がこんなところに居るはずがない。
この間偽造の学生証を渡した男には目もくれず、彼の後ろから彼女を見てぽかんと口を開けている。)
■謎の少女 > ふらふらと歩く。
瓦礫の中を、何処に向かっているかも分からず。
だってそうだろう。
自分の事も、場所の事も、何もかも分からないのだ。
歩いてみるしかないではないか。
「私、一体……」
ぶつぶつといいながら、必死に思い出す。
――ダメだ。何も、思い出せない。
■黒龍 > 「……近くの病院から抜け出してきた…ってのはありえねぇな」
そもそもこのスラムにまともな…清潔なベッドや整った医療器具のある施設があるとは思えない。
フラフラと、危なっかしい足取りの女を暫し眺めていたが…それだけでは埒が明かない。
「……おい、そこのフラフラ歩いてる女。テメェこんな所で何してやがる?」
だから、堂々と近寄っていきながら声を掛けてみるのだ。
過去の事件も、女の素性も何も知らぬゆえの堂々とした態度。
例え、詳細を知ったとしても何か変わる訳でもないだろうが。
■八百万 頼 >
(しかし何か様子がおかしい。
彼女の人となりを知っているわけではない。
それでも何かおかしいと思わせる何かを読み取った。
そうこうしている間に男が彼女へ向かっていった。
いつもの猫のような笑顔を作り、近寄っていく。)
兄さんあきまへんで。
そないな乱暴な声掛けたら、お姉ちゃん怖がってまう。
(彼女であればこちらの顔を知っているはずだ。
ならば合わせてくれるだろう、と彼女が何も思い出せないとは知らず、いつもの調子で声を掛ける。)
■謎の少女 > 「え……」
困った。
どちらの男も知らない。
というか、なんか怖い隻腕の男と、なんかチャラい金髪の男。
どう考えても堅気じゃない二人。
これはピンチなのでは?
「あ、あの、私、その……」
とはいえ、ようやく見つけた人間。
ここはひとつ……
「わ、私が誰だか、ご存知ありませんか!?」
■黒龍 > 「……はぁ?」
少女の言葉に思わず間の抜けた声を一つ漏らす。
参った…このパターンは想定していなかった。
ある意味でそれは後ろから声を掛けてきた男もかもしれないが。
「…うっせぇなヤオヨロズ。別にこの女をどうこうするつもりはねーっての。
こんなスラムで、こんな格好をした女がフラフラしてりゃ、流石に気にもなるだろーがよぉ」
と、後ろを一度振り返って男をジロリと眺める。が男には偽造学生証の借りもある。
”何でここに居るのかは”尋ねない。情報屋ならば不思議でもないだろう。
「悪いが俺はテメーとは多分初対面だな。…つか何だ、何も思い出せねぇって事か?」
変に少女を怯えさせる趣味も無いので、近くまで歩み寄るが、ある程度の距離で足を止めて。
■八百万 頼 >
――は?
(まさかそんな事になっているとは。
男と同じタイミングで同じ音を、違う感情を篭めて口から出した。
が、あっけに取られたのも一瞬。
すぐに頭の中で状況を整理する。)
それなら尚更や。
兄さんあからさまにチンピラ感丸出しやもん。
こういう時は優しく声かけたらなあかんで。
(詳しいことは知らないが、記憶を失ったのだろう。
何が原因か、記憶を思い出す見込みはあるか、しゃべりながら色々と考えて。)
んー、ボクもわからんなぁ。
――一応自己紹介しとこか、ボクは情報屋の八百万頼、こっちのデカイ兄ちゃんはボクんとこ社員や。
キミが誰か探す手伝いぐらいはしたるで?
■謎の少女 > 本当ならば、こんな場所で、知らない男の人。
凄く怖いはずなのに。彼女の心には、何故か恐怖心が沸かなかった。
「あ、はい。私は、その――よく、分からなくて」
頭を抑え、必死に思い出そうとするが。
何も、思い出せない。
「私は、一体誰で……なんで、こんな所に居るのかも……」
そう、分からないのだ。
何も。
■黒龍 > 「…記憶喪失ってヤツか。…なら、今すぐに無理に思い出そうとするのは止めとけ。無駄だ」
見た目のチンピラ具合に相違なく、素っ気無く突き放す口調だが男なりの気遣い?でもある。
こういうのは、唐突に思い出したり何かを切っ掛けに蘇ったりする事が多い。
が、無理に思い出そうとしても大抵は何も思い出せずに徒労になる。
「…あぁ?テメェみたいに軽薄で胡散臭い態度をしろってか?
死んでもゴメンだぜ…ってか、”アレ”の交換条件で手伝う約束はしたがよぉ?
……勝手に社員にすんじゃねぇ!!」
と、ヤオヨロズに一度突っ込みを入れておきながら少女へと向き直る。
見た所、変に怯えた様子は無い。肝が据わっているのか記憶が無いからなのか。
「……とはいえ、名前も分からないとなると…何て呼べばいんだかな。…あぁ、俺は黒龍でいい」
と、思い出したようにヤオヨロズに続いて名乗りはしておこう。
■八百万 頼 >
記憶喪失言うんはトラウマやら精神的なショックやらで起こることもあるからなぁ。
無理に思い出しても再起不能なりかねんで。
(正直忘れたままなら忘れたままの方が楽だ。
彼女が記憶を取り戻したら、また色々と面倒な事になりかねない。
とは言え場所が場所だ。
記憶はともかく、彼女が目を覚ましたと言う事はあっという間に広まるだろう。)
そんなこと言っとらんよ。
もっと優しい言葉使お言うとるんや。
――ちゃんと契約内容確認せんかった兄さんが悪いわ。
もう八百万情報商会の社員として届けてしもた。
(に、と勝ち誇った笑み。
勿論そんな契約内容はないが、書面も無いので言ったモン勝ちだ。)
せやなぁ、名前無いんは不便や。
なんか、こう呼ばれたいとか、心に引っかかってる事、あれへん?
■謎の少女 > 「えっと……」
目の前の男たちの事は、よく分からない。
けれど、ほかに行くアテもなければしたい事もない。
幸い、彼らは情報屋だという。
ならば、彼らについていくのが最適解だろう。
「はい、その……」
名前、引っかかる事。
そういえば……
「――シノブ。誰かに、シノブ、と、呼ばれていたような」
■黒龍 > 「……いや、何で俺が情報屋の真似事しなきゃいけねーんだよ…」
そういう方面に男が向いているとは思えない。物凄く嫌そうに舌打ちを一つ。
ヤオヨロズの調子に良い具合に巻き込まれてしまっているのが腹立だしい。
「シノブ…ねぇ。…おい、ヤオヨロズ。シノブって名前に覚えは?テメェ情報屋なら何か引っ掛かったりしねーのかよ?」
少女の名前を呟きつつ、もう一度八百万の方へと振り返って一言。
■八百万 頼 >
なんでて、そう言う契約やろ。
ま、気が向いた時だけでええよ。
気が向いた時だけで、な。
(にいい、と狐の笑み。
気が向いた時だけ手伝えばいいとは言うが、気が向くように仕向けないとは言っていない。
そう顔に書いてある。)
覚えがあると言えばあるし、ないといえばない。
昨日デートした子の名前もシノブちゃんやったし。
(その名前は、読み方だけであれば珍しくもない名前だ。
勿論彼女の事を知らない訳は無いのだが、彼女に教えるわけにも行かず。)
ほな、シノブちゃん呼ぼか。
なんやったらとりあえずの仮住まいとか、世話するもんとか用意するけどどうする?
――ああ、ただのお節介やからお金はいらん。
(どうする、と言いながら右手を差し出す。
受けるかどうかの確認の握手だが、彼女が本当に彼女かを確かめるためでもある。)
ご案内:「スラム」に黒龍さんが現れました。
■謎の少女 > 「あ……」
そうだ。
今の自分には、衣食住の全てが無い。
いや、あるのかもしれないが、それが何処にあるのか分からない。
「その、すみません、お願いできますか――いずれ、記憶が戻ったら、お返しします――」
恥ずかしそうにお願いし
■黒龍 > 「…嘘付け。テメェの事だ。俺が”動かざるを得ないように”誘導してくるクチだろうがよぉ」
苦虫を噛み潰した顔で一言。だからこういう輩は昔っから苦手なのだ。
胡散臭いとか打算的なのは別にいいのだが、油断すると巻き込まれるのが最悪だ。
もっと最悪なのは、こちらが気付く前に既に巻き込まれていたりする状況になりかねない事だ。
「…あぁ、そうかいテメェの女好きなのは別に聞いてねぇしどうでもいいわクソッたれが」
ハァ、と疲れたように嘆息を零す。ある意味でこの男は完全に部外者ではある。
(そもそも、俺がこの場に居なくてもコイツがシノブを保護しただろうな…思惑はさて置き)
八百万からの提案を彼女が受けたのを確認し、目を閉じてやれやれと一息。
ご案内:「スラム」に黒龍さんが現れました。
■八百万 頼 >
なんのことやら。
(楽しそうに笑ってシラを切る。
巻き込む人数は多ければ多いほうが良い。
その方が、色々情報が得られるから。)
なに言うとるんや、世話すんのキミやで。
ほい連絡用のケータイ。
(部外者になどさせはしない。
わざとらしくキョトンとした顔を見せて、首まで傾げて見せた。
そうして彼にケータイを渡す。
スマホではない、折りたたみ式のガラケーだ。
逃がすものかよ。
目だけがそう語っている。)
そんな訳でなんかわからんことあったらこの兄さんに連絡してな。
これがシノブちゃんのケータイな。
好きに使ってくれてええから。
ボクらの番号はもう入ってるから。
(そうして彼女にもケータイを渡す。
こちらは最新式のスマートフォンだ。
伸ばした自身の右手に、いつの間にか収まっている。)
■謎の少女 > 「え、あ、はい」
びっくりしながらスマホを受け取る。
幸い、記憶がなくなったといっても、表層的なものだけ。このような生活に必要な品の知識は残っている。
「その、すみません――お二人の、お名前を」
そうだ、自分は自分の事ばかりかまけて、目の前の二人の事を何も聞いていなかった。
■黒龍 > 「……ハァァ!?」
おい、待てこの狐野郎、今なんつった!?という顔でそちらを凝視する。
予想外すぎてサングラスがズレて金色の瞳が露になっているが、それはそれだ。
「ちょっと待てやコラ!テメェが世話すんじゃねぇのかよ!?つぅか人選考えろやテメェ!!」
猛抗議していく。コイツはアレか?馬鹿なのか?と、この島に来て多分一番動揺した瞬間かもしれない。
そして、ガラケーを押し付けられる男。使い方は一応分かる。
が、どうやら既にアドレスや番号も設定されてる様子。
(…確信犯じゃねぇかクソ野郎!!)
で、どうやら彼女の携帯にも当然自分や彼のアドレスは入っている訳で。
この瞬間、過去の事件も彼女の素性も何も知らない異世界の龍が部外者ではなくなってしまった。
「……黒龍だ。言いにくかったらクロでいい。……あと、俺より頼るならコイツにしとけ。」
シノブの方へ視線を向けて改めて名乗る。あと、頼るならこのキツネ野郎にしとけ、とも言っておく。
■八百万 頼 >
――いや、君が世話係やで。
(きょとんとした顔で首を傾げる。
抗議はスルーし、彼女の方に向き直って。)
さっきも言うたけど、八百万 頼や。
この辺で八百万情報商会言う情報屋さんやっとる。
――いやーボクが直接力なってあげたいのはやまやまやねんけど、色々やらなあかんこと沢山あってなー。
ここは涙を呑んで黒龍クンにお願いするわー。
大丈夫や、こう見えて結構優しいから。
(最後の言葉は彼女へ耳打ちするように、しかししっかり彼にも聞こえるように。)
■謎の少女 > 「あ、はい」
何やら二人は顔見知りらしい。
言ってる事は、あまり分からない、が。
「その、よろしくお願いします。頼さん、黒龍さん」
ぺこりと頭を下げる。
まずは、自分が何者かを確認しないと。
ご案内:「スラム」に黒龍さんが現れました。
■黒龍 > 「……ざけんなクソが。どうしてこうなった…。」
ウンザリしたように空を仰ぐ。こんな事なら、後はコイツに任せてさっさと立ち去れば良かったか。
…どちらにしろ、その場合も後日に世話係を押し付けられそうだが。
あと、シノブに耳打ちをしているがこちらにもわざと聞こえる調子で言ってるのがムカつく。
そして、頭を下げる彼女を一瞥してから、ガリガリと頭を掻いた…本当にどうしてこうなる。
「……さっさと記憶戻して自分取り戻せよ」
と、ぶっきらぼうにそう答える。チンピラ属性だから捻くれているのはしょうがない。
■八百万 頼 >
ボクに会うたのが運の尽きっちゅうことで。
(にっこり笑って。
諦めてくれた様子に、満足そうな顔。)
ほいよろしゅう。
――とりあえず引き上げましょか。
こないとこでだらだらくっちゃべってたら悪い人に襲われてしまう。
(周囲の様子を伺いながら。
人の姿は見えないが、人気が無いわけでは無いらしい。
そこかしこで隠れて様子を伺っている気配がする。)
■謎の少女 > 良かった、いい人たちのようだ。
まったく、こんな場所で悪い人間に捕まったらどうしようかと――
「あ、はい、お願いします――」
再びぺこりと二人に頭を下げる。
――彼女は、自分の犯した罪も、背負った業も、まだ知らない。
■黒龍 > 「…そうだな、長居する事もねぇか。…ったく、何で俺が世話係なんて…」
と、愚痴を零しつつも帰りにシノブが暴漢に襲撃されないよう、さりげなくガードする位置をキープ。
ヤオヨロズ一人が居れば十分だろうが念の為だ。
――そして、男はまだ何も知らない。誰を保護したのか、それが何を招くのかも。
■八百万 頼 >
ほな行こか。
今日はとりあえず近場の部屋使うけど、流石に物騒やからな。
希望あったら言うてや。
(そうして隠れ家の一つへと歩き出す。
爆弾を一つ抱え込んだようなものだが、同時にうまく使えば切り札になりそうだ。
どちらに転ぶか狐の笑みを深くしながら、それらを彼らに見せないように先導して――)
ご案内:「スラム」から八百万 頼さんが去りました。
ご案内:「スラム」から謎の少女さんが去りました。
ご案内:「スラム」から黒龍さんが去りました。